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農林水産省

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平成28年度調査結果(揚げもの・調理冷凍食品)

2018年3月30日作成


農林水産省は、平成28年度に、市販の揚げものと調理冷凍食品中のトランス脂肪酸含有実態を調査しました。この結果、トランス脂肪酸濃度は、揚げものの約7割、調理冷凍食品の約9割で、消費者庁がトランス脂肪酸の含有量を「0 g」と表示できるとしている、食品100 gあたり0.3 g未満であることが分かりました。
農林水産省は、今後も食品中のトランス脂肪酸に関する情報を収集し、消費者や食品事業者の皆様に提供します。


農林水産省は、平成28年度に、消費者・食品事業者の皆様へ提供する情報をさらに充実させるため、これまで調査していなかった、揚げものや調理冷凍食品について、脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度を調査しました。調査の背景や目的についてはこちらを御覧ください。

調査した食品

揚げもの(注1):計60点
調理冷凍食品(注2):計120点

(注1)スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の他、飲食店で売られているものを調査しました。
(注2)コロッケやハンバーグ等、複数の原材料から作られ、調味、成形、加熱等の加工がされたものを調査しました。食べる前に焼く・蒸す等の加熱調理が必要なものも含みますが、油で揚げる必要があるものは除きました。

 

試料の購入時期

平成28年10月~11月

試料の採取方法

市販の食品を、小売店、インターネット注文等で、商品の重複がないよう購入しました。

調査対象とした物質及び分析法

1   脂質
「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について(平成11年4月26日衛新第13号)」で定められた脂質分析法のうち、揚げもの、調理冷凍食品に適している「酸分解法」を用いました。食品に塩酸を加えて加水分解した後、ジエチルエーテル及び石油エーテルを用いて脂質を抽出しました。
なお、この分析法について、現在は「食品表示基準について(平成27年3月30日消食表第139号、平成29年9月1日最終改正)」で定められています。

2   トランス脂肪酸、飽和脂肪酸
ア   メチルエステル化:AOCS Official Method Ce 2c-11
イ   定量:AOCS Official Method Ce 1j-07

<トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度の算出方法>
炭素数が14~22のトランス脂肪酸の食品100 g当たりの総量、炭素数が4~24の飽和脂肪酸の食品100 g当たりの総量を、それぞれ「トランス脂肪酸濃度」、「飽和脂肪酸濃度」としました。分析した脂肪酸の種類や、各脂肪酸の定量限界・検出限界、回収率については、こちら(PDF:308KB)をご覧ください。 トランス脂肪酸濃度や飽和脂肪酸濃度は、検出限界未満又は定量限界未満の濃度であった脂肪酸も含めて算出しました。具体的には、その脂肪酸の濃度が検出限界未満又は定量限界未満であった試料が、その品目の全試料中どのくらいを占めていたかに応じて、下表の値を用いました。

品目ごとの各脂肪酸の濃度 トランス脂肪酸濃度・飽和脂肪酸濃度の
算出に用いた値
全ての試料で検出限界未満 検出限界未満:ゼロ
6割を超える試料で定量限界未満 定量限界以上:分析値
検出限界以上定量限界未満:定量限界の2分の1
検出限界未満:検出限界の2分の1
6割以下の試料で定量限界未満 かつ
定量限界未満の試料のうち5割以上で検出限界未満
6割以下の試料で定量限界未満 かつ
定量限界未満の試料のうち5割未満で検出限界未満
定量限界以上:分析値
定量限界未満:定量限界の2分の1

調査結果の概要

表1に揚げもの、表2に調理冷凍食品の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度を示しました。食品1個分や、包装などから1食分と推定できる量も示しました。

消費者庁は、『トランス脂肪酸の情報開示に関する指針』〔外部リンク〕で、「0(ゼロ)gと表示することができるのは、原則として当該食品にトランス脂肪酸が含まれない場合に限られる。しかしながら、分析精度にはばらつきがあることから、食品100g当たり(清涼飲料水等にあっては100ml当たり)のトランス脂肪酸の含有量が0.3g 未満である場合には、0gと表示しても差し支えない」としています。今回調査した食品のトランス脂肪酸濃度は、揚げものの約7割、調理冷凍食品の約9割で、これより低い濃度でした。

今回調査した食品のトランス脂肪酸濃度には幅がありました。また、鶏からあげや水産物フライ等、品目名が同じであっても、揚げものであるのか、調理冷凍食品であるのかによって、トランス脂肪酸の濃度に差があるものがありました。食品のトランス脂肪酸濃度には、原材料として使用される油脂の種類やその他の食材、製造・加工方法や調理条件が影響していると考えられます。

また、今回調査した食品には、1個あたりの重さや大きさが異なるものが多くありました。小さい食品や表面がでこぼこしている食品は、食品全体の重さに対する表面積の比率が大きくなります。このような食品は、食品全体の重さに対して、揚げ衣の割合や、揚げ調理のときに吸収する油の割合が大きくなり、食品の脂質濃度やトランス脂肪酸濃度に影響している可能性もあります。

(留意事項)

  • この調査結果は、平成28年当時の市販品のデータです。この調査以降も、食品事業者はトランス脂肪酸を低減する努力をしています。
  • 調査試料の構成は、実際の販売量シェアと異なる可能性があります。各品目の調査点数は、国内で流通している食品中のトランス脂肪酸濃度の分布を把握するのに十分ではありません。調査結果はおおよその目安として御覧ください。
  • 調査試料には、国内で市販されている輸入品を一部含みます。
  • 各食品からのトランス脂肪酸摂取量を考えるときには、トランス脂肪酸の濃度だけではなく、各食品を食べる量についても考える必要があります。

(注:通常、食品中の化学物質の濃度は、国際単位系(例:mg/kg, µg/kg)で記載しますが、下表では栄養表示で使われることが多い、食品100 g当たりの量で記載しています。)

表1   揚げもの中の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度

品目 調査
点数
脂質
(g/食品100 g)
トランス脂肪酸
(g/食品100 g)
飽和脂肪酸
(g/食品100 g)
1個分または
1食相当分重量*2
(g)
中央値*1
[範囲]
中央値
[範囲]
中央値
[範囲]
フライドポテト 10 12
[6.7~17]
0.15
[0.07~0.25]
2.6
[1.3~6.7]
71~223
(1包装)
鶏からあげ
フライドチキン
チキンナゲット
10 16
[13~25]
0.15
[0.08~0.22]
3.8
[2.3~7.0]
83~122
(1個又は1包装)
コロッケ*3 10 20
[15~28]
0.27
[0.19~0.57]
4.7
[2.4~5.8]
70~102
(1個)
ロースカツ
メンチカツ
9 24
[18~30]
0.22
[0.11~0.47]
6.8
[3.3~9.6]
73~196
(1個)
水産物フライ*4 11 20
[15~30]
0.16
[0.10~0.63]
2.7
[1.7~5.3]
36~178
(1個)
天ぷら 10 27
[16~48]
0.23
[0.07~0.77]
3.2
[1.2~6.6]
94~286
(1個)

 

表2   調理冷凍食品中の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度*5

品目 調査
点数
脂質
(g/食品100 g)
トランス脂肪酸
(g/食品100 g)
飽和脂肪酸
(g/食品100 g)
1個分または
1食相当分重量*2
(g)
中央値*1
[範囲]
中央値
[範囲]
中央値
[範囲]
冷凍クリームコロッケ 4 15
[14~22]
0.14
[0.12~0.17]
6.9
[5.6~7.2]
21~24
(1個)
冷凍コロッケ
(クリームコロッケを除く。)
6 21
[16~24]
0.23
[0.11~0.51]
5.0
[4.2~6.8]
22~32
(1個)
冷凍ハンバーグ
冷凍ミートボール
10 14
[6.6~18]
0.19
[0.04~0.43]
5.1
[2.6~6.7]
12~165
(1個)
冷凍鶏からあげ 10 11
[7.7~17]
0.06
[0.05~0.10]
3.3
[2.3~5.0]
20~35
(1個)
冷凍中華まんじゅう
(あんまん、肉まん)
10 7.8
[2.5~11]
0.03
[0.02~0.07]
2.4
[0.74~3.9]
72~250
(1個)
冷凍春巻 5 20
[16~22]
0.27
[0.13~0.30]
2.4
[2.1~8.6]
22~25
(1個)
冷凍天ぷら 5 13
[7.0~17]
0.10
[0.04~0.18]
3.7
[2.0~4.0]
15~55
(1個)
冷凍カツ(肉類) 9 19
[13~24]
0.16
[0.10~0.26]
4.4
[2.3~5.3]
23~70
(1個)
冷凍水産物フライ*4 11 25
[19~31]
0.25
[0.16~0.42]
6.0
[2.5~7.4]
13~32
(1個)
冷凍米飯類*6 10 5.0
[2.1~7.8]
0.04
[0.03~0.06]
1.0
[0.37~2.1]
215~300
(1食)
冷凍パンケーキ
冷凍ホットケーキ
10 4.6
[4.0~14]
0.04
[0.03~0.10]
1.2
[0.97~5.1]
18~91
(1枚)
冷凍お好み焼き 5 5.6
[3.8~7.3]
0.05
[0.03~0.13]
1.9
[1.1~2.4]
130~290
(1枚)
冷凍たこ焼き 5 4.0
[2.0~7.2]
0.04
[0.02~0.06]
0.56
[0.23~1.1]
22~31
(1個)
冷凍ピザ*7 10 8.7
[6.3~13]
0.14
[0.07~0.29]
3.8
[2.4~7.3]
100~270
(1枚)
冷凍ぎょうざ*7 6 12
[8.5~16]
0.07
[0.07~0.11]
3.1
[2.2~5.4]
13~70
(1個)
冷凍しゅうまい 4 13
[7.5~15]
0.03
[0.02~0.05]
4.5
[2.5~5.9]
13~35
(1個)

 *1 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。 データが偶数個の場合は、中央に近い二つの値の平均値です。
 *2 1食相当分重量は、各食品の包装等に表示された1個当たりの重量です。また、常識的に1包装が1食分に相当すると考えられる食品についてはその内容量としました。
 *3牛肉コロッケ、ポテトコロッケ等です。クリームコロッケは含みません。
 *4 えび、あじ等の水産物(すり身を含む。)を原材料としたフライです。名称が「~カツ」の製品も含みます。
 *5 個袋等で別添されている調味料は除いて分析しました。
 *6 チャーハン、ピラフ等の成型されていない米飯類です。
 *7 喫食前に焼き調理又は蒸し調理が必要なものも含みます。

今後の対応

農林水産省は、引き続き食品中のトランス脂肪酸に関する情報を収集し、消費者や食品事業者の皆様へ提供します。また、必要に応じて最新の含有実態を調査します。

 

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731