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農林水産省

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令和4・5年度調査結果(穀類加工品、油脂類、菓子類、調味料・香辛料類)

2024年10月30日作

農林水産省は、令和4・5年度に、食品中の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の含有実態を調査しました。その結果、平成18・19年度及び平成26・27年度の調査結果と比較して、トランス脂肪酸が全体的に減少傾向にあることを確認しました。一方で、飽和脂肪酸には大きな変動が見られませんでした。
この結果は、食品事業者がトランス脂肪酸の低減に効果的に取り組んできたことを示していると考えられます。また、トランス脂肪酸の減少が確認されたことから、通常の食生活におけるトランス脂肪酸の摂取量についても、食品安全委員会が「通常の食生活では健康への影響は小さい」と評価した水準を維持しているものと考えられます。
今後とも農林水産省は、トランス脂肪酸等に関する情報を収集し、消費者や食品事業者の皆様に提供していくとともに、食品事業者の取組状況のフォローアップを行ってまいります。


調査の背景、目的、これまでの調査結果等についてはこちらを御覧ください。

調査した食品

油脂類や油脂を原材料とする加工食品27品目:計522点

試料の購入時期

  • 令和4年9月~令和5年1月:マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、「乳等を主要原料とする食品」のうちバター又はマーガリンと類似の用途のもの
  • 令和4年10月:米菓、ビスケット、ウエハース、スナック菓子(一部)
  • 令和5年5月~令和5年10月:上記以外

試料の採取方法

市販の食品を、小売店、インターネット注文等で、商品の重複がないよう購入し、調査試料としました。一部の植物性油脂については、一般社団法人日本植物油協会を通じて入手しました。

調査対象とした物質及び分析法

1   脂質
「食品表示基準について(平成27年3月30日消食表第139号)」の「別添栄養成分等の分析方法等」で定められた脂質分析法から、対象食品に適した抽出法を用いました。

脂質分析法 抽出溶媒 適用した食品
エーテル抽出法 ジエチルエーテル マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、「乳等を主要原料とする食品」のうちバター又はマーガリンと類似の用途のもの、食用植物油脂、ドレッシング類、ルウ類
クロロホルム・メタノール混液抽出法 クロロホルム・メタノール混液(2 : 1) シュークリーム
酸分解法 ジエチルエーテル・石油エーテル混液(1 : 1)
(塩酸で加熱分解後)
上記以外の食品

2   トランス脂肪酸、飽和脂肪酸
(1)   マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング
         ア   前処理:AOCS Official Method Ce 2b-11
         イ   定量:AOCS Official Method Ce 1h-05
(2)  食用植物油脂、「乳等を主要原料とする食品」のうちバター又はマーガリンと類似の用途のもの
         ア   前処理:AOCS Official Method Ce 2b-11                                    
         イ   定量:AOCS Official Method Ce 1j-07
(3)   (1)及び(2)以外の食品
         ア   前処理:AOCS Official Method Ce 2c-11
         イ   定量:AOCS Official Method Ce 1j-07

<トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度の算出方法>
炭素数が14~22のトランス脂肪酸の食品100 g当たりの総量、炭素数が4~24の飽和脂肪酸の食品100 g当たりの総量を、それぞれ「トランス脂肪酸濃度」、「飽和脂肪酸濃度」としました。分析した脂肪酸の種類や、各脂肪酸の定量下限・検出下限、回収率については、こちら(PDF : 374KB)をご覧ください。 トランス脂肪酸濃度や飽和脂肪酸濃度は、検出下限未満又は定量下限の濃度であった脂肪酸も含めて算出しました。具体的には、その脂肪酸の濃度が検出下限未満又は定量下限未満であった試料が、その品目の全試料中どのくらいを占めていたかに応じて、下表の値を用いました。

品目ごとの各脂肪酸の濃度 トランス脂肪酸濃度・飽和脂肪酸濃度を計算するときの
定量下限値未満または検出下限値未満の濃度の取扱い
全ての試料で検出下限値未満 検出下限値未満となった測定値をゼロと換算して計算
6割を超える試料で定量下限値未満 検出下限値以上定量下限値未満となった濃度を定量下限値の2分の1と換算して計算
検出下限値未満となった濃度を検出下限値の2分の1と換算して計算
6割以下の試料で定量下限値未満 かつ
定量下限値未満の試料のうち5割以上で検出下限未満
6割以下の試料で定量下限値未満 かつ
定量下限値未満の試料のうち5割未満で検出下限値未満
定量下限値未満となった濃度を定量下限値の2分の1と換算して計算


調査結果の概要

食品中の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度を表に示しました。
令和4・5年度に調査した27品目のうち、これまでに実施した、平成18・19年度及び平成26・27年度の調査と共通する食品は26品目でした。
令和4・5年度の調査とこれまでの調査とでは、試料の採取方法(注)や試料とした食品の銘柄が異なります。したがって、各調査の結果の違いは、トランス脂肪酸や飽和脂肪酸の増減のみを表すものではないことに留意する必要があります。

  • トランス脂肪酸については、共通する26品目のいずれも、これまでの調査と同等又はより低い値となり、全体的に減少傾向にあることを確認しました。
  • 飽和脂肪酸については、これまでの調査よりも高いものが一部ありましたが、トランス脂肪酸の低減に伴い飽和脂肪酸が増加するといった傾向は確認されず、大きな変動は見られませんでした。

この結果は、食品事業者がトランス脂肪酸の低減に効果的に取り組んできたことを示していると考えられます。
また、平成18・19年度の調査結果は、平成24年度に食品安全委員会から示されたトランス脂肪酸の食品健康影響評価における日本人のトランス脂肪酸の摂取量推定に利用されています。その際、食品安全委員会は、「トランス脂肪酸の摂取量について、日本人の大多数がWHOの勧告(目標)基準であるエネルギー比の1%未満であり、また、健康への影響を評価できるレベルを下回っていることから、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられる。」と評価しています。今回、食品中のトランス脂肪酸の減少が確認されたことから、通常の食生活におけるトランス脂肪酸の摂取量についても、食品安全委員会が「通常の食生活では健康への影響は小さい」と評価した水準を維持しているものと考えられます。
(注)試料の採取方法:平成26・27年度の調査では販売量を考慮せずに商品を選択したのに対し、令和4・5年度の調査では販売量を考慮して商品を選択した。 

(留意事項)

  • この調査結果は、令和4・5年当時の市販品のデータです。
  • 調査試料の構成は、実際の販売量のシェアと異なる可能性があります。また、各品目の調査点数は、国内で流通している食品中のトランス脂肪酸濃度の分布を把握するのに十分ではありません。調査結果はおおよその目安として御覧ください。
  • 脂質は私たちの重要なエネルギー源及び栄養成分です。各食品から摂取するトランス脂肪酸や飽和脂肪酸について考えるときには、食品中の濃度だけではなく、その食品を食べる量についても考える必要があります。

(注:通常、食品中の化学物質の濃度は、国際単位系(例:mg/kg, µg/kg)で記載しますが、下表では栄養表示で使われることが多い、食品100 g当たりの量で記載しています。)

表   食品中の脂質、トランス脂肪酸及び飽和脂肪酸の濃度

食品群 品目 調査
点数
脂質
(g/食品100 g)
トランス脂肪酸
(g/食品100 g)
飽和脂肪酸
(g/食品100 g)
中央値*1
[範囲]
中央値
[範囲]
中央値
[範囲]
穀類 食パン 20 3.7
[2.0~14]
0.03
[0.03~0.16]
1.3
[0.43~5.7]
ロールパン 10 6.6
[4.4~8.6]
0.05
[0.03~0.09]
2.5
[1.4~3.5]
クロワッサン 10 24
[20~31]
0.20
[0.12~2.3]
11
[8.0~16]
菓子パン*2 20 13
[3.8~27]
0.08
[0.04~0.23]
5.5
[1.2~14]
調理パン*3
惣菜パン*4
20 16
[4.1~22]
0.10
[0.05~0.23]
3.3
[0.92~9.7]
即席めん*5 20 18
[14~25]
0.10
[0.06~0.17]
7.7
[5.7~12]
油脂類 マーガリン 60 82
[81~86]
0.65
[0.33~1.3]
30
[17~45]
ファットスプレッド 60 64
[39~77]
0.48
[0.20~1.3]
20
[5.1~26]
ショートニング 12 100 0.61
[0.52~0.86]
46
[38~54]
「乳等を主要原料とする食品」のうちバター又はマーガリンと類似の用途のもの 24 72
[61~79]
1.0
[0.72~1.7]
27
[22~32]
植物性油脂*6 60 100 0.64
[0.17~1.5]
15
[6.9~87]
菓子類 米菓 10 33
[25~40]
0.25
[0.15~0.40]
13
[4.2~18]
ショートケーキ 10 19
[15~26]
0.12
[0.04~0.40]
12
[9.6~16]
アップルパイ
ミートパイ
10 20
[13~25]
0.13
[0.09~1.2]
9.0
[6.3~14]
デニッシュ 10 15
[13~21]
0.14
[0.12~0.27]
6.7
[5.2~10]
シュークリーム 10 21
[16~30]
0.12
[0.10~0.24]
9.7
[6.9~16]
ドーナツ 10 28
[19~40]
0.16
[0.08~0.35]
12
[8.7~19]
菓子パイ 10 31
[24~36]
0.20
[0.09~0.62]
17
[14~21]
半生ケーキ*7 10 29
[21~32]
0.13
[0.12~1.5]
14
[8.0~18]
ビスケット*8 20 27
[11~34]
0.18
[0.09~1.1]
13
[5.7~18]
ウエハース 10 27
[24~38]
0.46
[0.08~1.3]
14
[10~24]
スナック菓子 40 32
[23~38]
0.17
[0.08~0.35]
12
[1.7~16]
プリン 10 6.3
[3.9~13]
0.04
[0.03~0.10]
3.2
[1.8~6.3]
チョコレート 10 35
[24~39]
0.18
[0.09~0.25]
21
[14~24]
調味料・香辛料類 マヨネーズ
サラダクリーミードレッシング(マヨネーズタイプ)
10 66
[9.3~79]
0.39
[0.09~1.2]
6.3
[1.5~19]
ドレッシング
(マヨネーズ及びサラダクリーミードレッシングを除く)
10 34
[15~50]
0.38
[0.22~0.80]
3.1
[1.3~8.0]
ルウ
(カレー、ハヤシ、シチュー)
20 33
[18~42]
0.46
[0.09~7.0]
19
[9.4~24]

  *1 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。 データが偶数個の場合は、中央に近い二つの値の平均値です。
  *2 クロワッサン及び デニッシュは除きます。
  *3 パンにサラダ、ハム、カツ、コロッケ等をはさみ込み、そのまま摂食できるようにしたものです。
  *4 パン生地にサラダ、ハム、カツ、コロッケ等を包む、はさむ、載せる等して焼き上げたもの、又は油脂で揚げたものです。
  *5 揚げたもののみ
  *6 固形油脂を含みます。
  *7 常温で流通する、ケーキに近い半生タイプの洋菓子です。
  *8 ビスケット及びビスケット加工品(クッキーを含む)

今後の対応

農林水産省は、今後もトランス脂肪酸等に関する情報を収集し、消費者や食品事業者の皆様に提供していくとともに、食品事業者の取組状況のフォローアップを行ってまいります。また、必要に応じて最新の含有実態を調査します。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
化学物質管理班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-3502-8731

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