畜産物生産費統計の概要
調査の目的
農業経営統計調査「畜産物生産費統計」は、牛乳、子牛、乳用雄育成牛、交雑種育成牛、去勢若齢肥育牛、乳用雄肥育牛、交雑種肥育牛(「調査の沿革」を除き、以下、乳用雄育成牛及び交雑種育成牛を「育成牛」、去勢若齢肥育牛、乳用雄肥育牛及び交雑種肥育牛を「肥育牛」という。)及び肥育豚の生産費の実態を明らかにし、畜産物価格の安定をはじめとする畜産行政及び畜産経営の改善に必要な資料を整備することを目的としている。
調査の沿革
わが国の畜産物生産費調査は、昭和26年に農林省統計調査部において牛乳生産費調査を実施したのが始まりで、その後、国民の食料消費構造の変化から畜産物の需要が増加する中で、昭和29年に、「酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律」(昭和29年法律第182号)が施行されたことに伴い、牛乳生産費調査を拡充した。昭和33年に食肉価格が急騰し、食肉の需給安定対策が緊急の課題となったことに伴い、昭和34年から子牛、肥育牛、子豚及び肥育豚の生産費調査を開始し、翌35年に「養鶏振興法」(昭和35年法律第49号)が制定されたことを契機に鶏卵生産費調査を開始した。
昭和36年には「畜産物の価格安定等に関する法律」(昭和36年法律第183号)が、昭和40年には「加工原料乳生産者補給金等暫定措置法」(昭和40年法律第112号)がそれぞれ施行されたことにより、価格安定対策の資料としての必要性から各種畜産物生産費調査の規模を大幅に拡充した。また、昭和42年にはブロイラー生産費調査、昭和48年には乳用雄肥育牛生産費調査をそれぞれ開始した。
昭和63年には、牛肉の輸入自由化に関連した国内対策として「肉用子牛生産安定等特別措置法」(昭和63年法律第98号)が施行され、肉用子牛価格安定制度が抜本的に強化拡充されたことに伴い、乳用雄育成牛生産費調査を開始した。
その後の農業・農村・農業経営の実態変化は著しく、こうした実態を的確に捉えたものとするため、平成2年から3年にかけて生産費調査の見直し検討を行い、その結果を踏まえ、平成3年には農業及び農業経営の著しい変化に対応できるよう調査項目の一部改正を行った。
その後は、ブロイラー生産費調査は平成4年まで、鶏卵生産費調査は平成6年まで実施し、それ以降は調査を廃止し、また、養豚経営において、子取り経営農家及び肥育経営農家の割合が低下し、子取りから肥育までを一貫して行う養豚経営農家の割合が高まっている状況に鑑み、平成5年から肥育豚生産費調査対象農家を、これまでの肥育経営農家から一貫経営農家に変更した。これに伴い、子豚生産費調査を廃止した。
平成6年には、農業経営の実態把握に重点を置き、多面的な統計作成が可能な調査体系とすることを目的に、従来、別体系で実施していた農家経済調査と農畜産物繭生産費調査を統合し、「農業経営統計調査」(指定統計第119号)として、「農業経営統計調査規則」(平成6年農林水産省令第42号)に基づき実施されることとなった。
畜産物生産費については、平成7年から農業経営統計調査の下、「畜産物生産費統計」として取りまとめることとなり、同時に間接労働の取扱い等の改正を行い、また、平成10年から家族労働費について、それまでの男女別評価から男女同一評価(当該地域で男女を問わず実際に支払われた平均賃金による評価)に改定が行われた。
平成11年度からは、多様な肉用牛経営について品目別に把握するため「交雑種肥育牛生産費統計」及び「交雑種育成牛生産費統計」の取りまとめをそれぞれ開始した。また、畜産物価格算定時期の変更に伴い調査期間を変更し、全ての品目について当年4月から翌年3月とした。
平成16年には、食料・農業・農村基本計画等の新たな施策の展開に応えるため「農業経営統計調査」を、営農類型別・地域別に経営実態を把握する営農類型別経営統計に編成する調査体系の再編・整備等の所要の見直しを行った。これに伴って畜産物生産費についても、平成16年度から農家の農業経営全体の農業収支、自家農業投下労働時間の把握の取りやめ、自動車費を農機具費から分離・表章する等の一部改正を行った。
令和元年から、調査への決算書類等の活用の幅が広がる等、調査の効率化を図るため、全ての品目の調査期間を当年1月から12月までと変更した。
調査の根拠法令
本調査は、統計法(平成19年法律第53号)第9条第1項の規定に基づく総務大臣の承認を受けた基幹統計調査(基幹統計である農業経営統計を作成する調査)として、農業経営統計調査規則(平成6年農林水産省令第42号)に基づき実施した。
調査の体系
農業経営統計調査は、営農類型別経営統計及び生産費統計の2つの体系から構成されており、それぞれ次図のとおりである。
調査の対象
本調査における調査の対象は次のとおりである。
農業生産物の販売を目的とし、世帯による農業経営を行う農業経営体(法人格を有する経営体を含む。本調査において「個別経営体」という。)であり、かつ品目ごとに、次の条件に該当するものである。
牛乳生産費:搾乳牛(ホルスタイン種等の乳用種に限る。)を1頭以上飼養し、生乳を販売する経営体
肥育牛生産費
去勢若齢肥育牛生産費:肥育を目的とする去勢若齢和牛を1頭以上飼養し、販売する経営体
乳用雄肥育牛生産費:肥育を目的とする乳用雄牛を1頭以上飼養し、販売する経営体
交雑種肥育牛生産費:肥育を目的とする交雑種牛を1頭以上飼養し、販売する経営体
子牛生産費:肉用種の繁殖雌牛を2頭以上飼養して子牛を生産し、販売する経営体
育成牛生産費
乳用雄育成牛生産費:肥育用もと牛とする目的で育成している乳用雄牛を5頭以上飼養し、販売する経営体
交雑種育成牛生産費:肥育用もと牛とする目的で育成している交雑種牛を5頭以上飼養し、販売する経営体
肥育豚生産費:肥育豚を年間20頭以上販売し、肥育用もと豚に占める自家生産子豚の割合が7割以上の経営体
なお、農業経営体とは、次のいずれかに該当する事業を行う者をいう。
- 経営耕地面積が30a以上の規模の農業
- 農作物の作付面積又は栽培面積、家畜の飼養頭羽数又はその出荷羽数その他の事業の規模が次に示す農業経営体の外形基準(面積、頭数等といった物的指標)以上の農業
露地野菜作付面積 15a
施設野菜栽培面積 350m2
果樹栽培面積 10a
露地花き栽培面積 10a
施設花き栽培面積 250m2
搾乳牛飼養頭数 1頭
肥育牛飼養頭数 1頭
豚飼養頭数 15頭
採卵鶏飼養羽数 150羽
ブロイラー年間出荷羽数 1,000羽
その他 1年間における農業生産物の総販売額が50万円に相当する事業の規模
抽出(選定)方法
- 対象品目別経営体リストの作成
2015年農林業センサス(農林業経営体調査票)において把握した農業経営体のうち、対象品目ごとに次の経営体を飼養頭数規模別及び全国農業地域別に区分したリストを作成している。なお、対象品目別の飼養頭数規模階層は表1のとおりである。
(1)牛乳生産費
乳用牛(24か月齢以上。以下同じ。)を飼養する経営体
(2)肥育牛生産費
和牛などの肉用種(肥育中の牛)、肉用として飼っている乳用種(肥育中の牛)又は和牛と乳用種の交雑種(肥育中の牛)を飼養する経営体
(3)子牛生産費
和牛などの肉用種(子取り用雌牛)(以下「繁殖雌牛」という。)を飼養する経営体
(4)育成牛生産費
肉用として飼っている乳用種(売る予定の子牛)又は和牛と乳用種の交雑種(売る予定の子牛)を飼養する経営体
(5)肥育豚生産費
肥育豚を飼養する経営体
- 調査対象経営体数(標本の大きさ)
調査対象経営体数(標本の大きさ)については、計算対象品目ごとの計算単位当たり資本利子・地代全額算入生産費(以下「全算入生産費」という。)を指標とした目標精度(標準誤差率)に基づき、それぞれ必要な調査対象経営体数を算出している。
各品目における指標、目標精度、調査対象経営体数(標本配分における追加数を含む。)、抽出率は表2のとおりである。
- 標本配分
(1)牛乳生産費
2で定めた北海道、都府県別の調査対象経営体数を飼養頭数規模別に最適配分し、更に全国農業地域別の乳用牛を飼養する経営体数に応じて比例配分している。この際、都府県において規模階層別の精度が4%を下回った階層について、精度が4%となるまで調査対象経営体を追加し、全国農業地域別の精度が8%を下回った全国農業地域について、精度が8%となるまで調査対象経営体を追加している。
(2)牛乳生産費以外
2で定めた調査対象経営体数を飼養頭数規模別に最適配分し、更に全国農業地域別に該当畜を飼養する経営体数に応じて比例配分している。 - 標本抽出
1で作成した対象品目別経営体リストにおいて、調査対象畜を飼養頭数の小さい経営体から順に並べた上で、3で配分した当該規模階層の調査対象経営体数で等分し、等分したそれぞれの区分から1経営体ずつ無作為に抽出している。
調査事項
調査対象畜の飼養及び自給牧草の生産に要した費目別の費用(消費税を含む。)、労働時間、建物・農機具等の所有状況並びに土地及び地代、調査対象畜へ給与した飼料の給与量、調査対象畜の取引状況、主産物及び副産物の数量と価額、農業就業者数、経営耕地面積等で、次のとおりである。
- 経営の概況
- 生産物の販売等の状況又は調査対象畜の取引状況
- 調査対象畜産物の生産に使用した資材等に関する事項
- 物件税及び公課諸負担に関する事項
- 消費税
- 借入金(買掛未払金を含む。)及び支払利子に関する事項
- 出荷に要した経費(牛乳生産費を除く。)
- 建物及び構築物(土地改良設備を含む。)の所有状況
- 自動車(自動二輪・三輪を含む。)の所有状況
- 農業機械(生産管理機器を含む。)の所有状況
- 農具の購入費等に関する事項
- 搾乳牛等の所有状況(牛乳生産費のみ)
- 土地の面積及び地代に関する事項
- 労働に関する事項
- 乳用牛の月齢別の飼育経費に関する事項(牛乳生産費のみ)
調査の時期
- 調査対象期間
当年1月1日から当年12月31日までの1年間である。 - 調査票の配布時期及び提出期限
調査期間前に配布し、提出期限については、調査期間終了月の翌々月とする。
調査の方法
調査は、農林水産省-地方農政局等(注)-報告者の実施系統で実施している。
職員又は統計調査員が調査票を調査対象経営体に配布し、郵送、職員若しくは統計調査員による訪問又はオンラインの方法により回収(決算書類等の提供を含む。)する自計調査の方法で行っている。
また、必要に応じて、職員又は統計調査員による調査対象経営体に対する面接調査の方法も併用している。
注:「地方農政局等」とは、地方農政局、北海道農政事務所、内閣府沖縄総合事務局(農林水産センターを含む。)をいう。
集計・推計方法
本調査の集計は、農林水産省大臣官房統計部経営・構造統計課において行っている。
- 集計対象(集計経営体)
集計経営体は、調査対象経営体のうち、次の経営体を除いた経営体としている。
(1)調査期間途中で調査対象畜の飼養を中止した経営体
(2)記帳不可能等により調査ができなくなった経営体
(3)調査期間中の家畜の飼養実績が調査対象に該当しなかった経営体 - 平均値の算出方法
集計経営体ごとにウエイトを定め、全国又は規模階層別等の集計対象とする区分ごとに1経営体平均値及び計算単位当たり生産費を算出している。
この場合のウエイトとは、全国農業地域別飼養頭数規模別に、集計経営体数を「畜産統計」における規模別飼養経営体数で除した値の逆数としている。
なお、肥育牛、子牛、育成牛の全国農業地域別の平均値については、算術平均(相加平均)により算出している。
用語の説明
- 搾乳牛1頭当たり生産費
1経営体当たり生産費を年間月平均搾乳牛(乾乳中の牛を含む。)飼養頭数で除して算出したものである。 - 生乳100kg当たり生産費
搾乳牛1頭当たり生産費を調査期間中に搾乳された生乳の全量(乳脂肪分3.5%換算乳量または実搾乳量)で除して算出したものである。
なお、乳脂肪分3.5%換算乳量の算出方法は、次のとおりである。
- 家族労働費
家族労働時間に「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の「建設業」、「製造業」及び「運輸業、郵便業」に属する5~29人規模の事業所における賃金データ(都道府県単位)を基に算出した単価を乗じて計算したものである。 - 自作地地代
調査対象畜の飼養及び飼料作物の生産に利用された土地のうち、所有地について、その近傍類地(調査対象畜の生産に利用される所有地と地力等が類似している土地)の賃借料又は支払地代により評価したものである。 - 自己資本利子
調査対象畜の生産のために投下された総資本額から、借入資本額を差し引いた自己資本額に年利率4%を乗じて計算した。
なお、本利率は、統計法に基づく生産費調査開始時(昭和24年)の国債、郵便貯金の利子率を基礎に定めたものを踏襲している。
なお、詳細については、こちら〔外部リンク〕からご覧いただけます。
調査票
利用上の注意
- 畜産物生産費調査の見直しに基づく調査項目の一部改正
畜産物生産費調査は、農業・農山村・農業経営の著しい実態変化を的確に捉えたものとするため、平成2~3年にかけて見直し検討を行い、その検討結果を踏まえ調査項目の一部改正を行っている(ブロイラー生産費を除き、平成4年から適用。)。
したがって、平成4年以降の生産費及び収益性等に関する数値は、厳密な意味で平成3年以前とは接続しないので、利用に当たっては十分留意されたい。
なお、改正の内容は次のとおりである。
(1)家族労働の評価方法を、「毎月勤労統計」により算出した単価によって評価する方法に変更。
(2)「生産管理労働時間」を家族労働時間に、「生産管理費」を物財費に新たに計上。
(3)土地改良に係る負担金の取扱いを変更し、草地造成事業及び草地開発事業の負担金のうち、事業効果が個人の資産価値の増加につながるもの(整地、表土扱い)を除き全て飼料作物の生産費用(費用価)として計上。
(4)減価償却費の計上方法を変更し、更新、廃棄等に伴う処分差損益を計上。乳牛償却費については、農機具等と同様の法定に即した償却計算に改めるとともに、売却等に伴う処分差損益を新たに計上し、繁殖雌牛の耐用年数についても、法定耐用年数に改めている。
(5)物件税及び公課諸負担のうち、調査対象畜の生産を維持・継続していく上で必要なものを新たに計上。
(6)きゅう肥を処分するために処理(乾燥、脱臭等)を加えて販売した場合の加工経費を新たに計上。
(7)資本利子を支払利子と自己資本利子に、地代を支払地代と自作地地代に区分。
(8)統計表章において、「第1次生産費」を「生産費(副産物価額差引)」に、「第2次生産費」を「資本利子・地代全額算入生産費」にそれぞれ置き換え、「生産費(副産物価額差引)」と「資本利子・地代算入生産費」の間に、新たに、実際に支払った利子・地代を加えた「支払利子・地代算入生産費」を新設。 - 農業経営統計調査への移行に伴う調査項目の一部変更
平成6年7月、農業経営の実態把握に重点を置き、農業経営収支と生産費の相互関係を明らかにするなど多面的な統計作成が可能な調査体系とすることを目的に、従来、別体系で実施していた農家経済調査と農畜産物繭生産費調査を統合し、農業経営統計調査へと移行。
畜産物生産費は、平成7年から農業経営統計調査の下「畜産物生産費統計」として取りまとめることとなり、同時に、畜産物の生産に係る直接的な労働以外の労働(購入付帯労働及び建物・農機具等の修繕労働等)を間接労働として関係費目から分離し、「労働費」及び「労働時間」に含め計上することとしている。 - 家族労働評価方法の一部改正
(1)平成10年から従来の男女別評価を男女同一評価(当該地域で男女を問わず実際に支払われた平均賃金による評価)に改正。
(2)平成17年1月から、毎月勤労統計の表章産業が変更されたことに伴い、家族労働評価に使用する賃金データを「建設業」、「製造業」及び「運輸、通信業」から、「建設業」、「製造業」及び「運輸業」に改正。
(3)平成22年1月から、毎月勤労統計の表章産業が変更されたことに伴い、家族労働評価に使用する賃金データを「建設業」、「製造業」及び「運輸業」から、「建設業」、「製造業」及び「運輸業、郵便業」に改正。 - 調査期間の変更について
令和元年調査から調査期間を変更し、全ての品目について、当年1月1日から当年12月31日としている。
なお、平成11年度調査から平成30年度調査の調査期間は、全ての品目について、当年4月1日から翌年3月31日である。
また、平成11年調査以前の調査期間については、それぞれ次のとおりである。
(1)牛乳生産費統計
前年9月1日から当年8月31日までの1年間
(2)子牛、育成牛及び肥育牛生産費統計
前年8月1日から当年7月31日までの1年間
(3)肥育豚生産費統計
前年7月1日から当年6月30日までの1年間 - 公表資料名の年次の変更について
公表資料名の年次については、平成18年までは公表する年を記載していたが、平成19年の公表から調査期間の該当する年度を記載することとしている。このことにより、掲載している平成18年度以降の年次別統計表(累年統計表)については、調査対象期間の変更を行った平成12年まで遡って変更している。したがって、既に公表した『平成12年畜産物生産費』~『平成18年畜産物生産費』を『平成11年度畜産物生産費』~『平成17年度畜産物生産費』と読み替えている。 - 農業経営統計調査の体系整備(平成16年)に伴う調査項目の一部変更等
平成16年には、食料・農業・農村基本計画等の新たな施策の展開に応えるため、農業経営統計調査を、営農類型別・地域別に経営実態を把握する営農類型別経営統計に編成する調査体系の再編・整備等の所要の見直しを行っている。
これに伴って畜産物生産費についても、平成16年度から農家の農業経営全体の農業収支、自家農業投下労働時間の把握の取りやめ、自動車費を農機具費から分離・表章する等の一部改正を行っている。 - 税制改正における減価償却計算の見直し
(1)平成19年度税制改正における減価償却費計算の見直しに伴い、農業経営統計調査における1か年の減価償却額は償却資産の取得時期により次のとおり算出している。なお、本方式による計算は平成30年度まで適用している。
ア 平成19年4月以降に取得した資産
1か年の減価償却額=(取得価額-1円(備忘価額))×耐用年数に応じた償却率
イ 平成19年3月以前に取得した資産
(ア)平成20年1月時点で耐用年数が終了していない資産
1か年の減価償却額=(取得価額-残存価額)×耐用年数に応じた償却率
(イ)上記aにおいて耐用年数が終了した場合、耐用年数が終了した翌年調査期間から5年間
1か年の減価償却額=(残存価額-1円(備忘価額))÷5年
(ウ)平成19年12月時点で耐用年数が終了している資産の場合、20年1月以降開始する調査期間から5年間
1か年の減価償却額=(残存価額-1円(備忘価額))÷5年
(2)平成20年度税制改正における減価償却費計算の見直し(資産区分の大括化、法定耐用年数の見直し)を踏まえて、平成21年度以降の農業経営統計調査における1か年の減価償却額を算出している。 - 調査票の変更に伴う、調査範囲、方式の変更
令和元年から、これまで使用してきた現金出納帳・作業日誌、経営台帳に変えて、調査品目別の調査票を用いた調査に変更している。これに伴い、次の変更を行っている。
(1)建物の面積、自動車、農機具の台数は、従前、経営における所有面積、所有台数であったが、調査対象品目の生産に使用した建物の面積、使用した台数に変更している。
(2)自給肥料の評価は、従前、材料費と生産に要した労働時間から評価する費用価主義によっていたが、市価評価に変更している。 - 牧草の費用価に係る統計表の廃止について
牧草等の飼料作物の生産に要した費用及び野生草・野乾草・放牧場・採草地に要した費用を費用価計算した統計表について、令和元年から廃止している。
注:費用価とは、自給物の生産に要した材料、固定財、労働等に係る費用を計算し評価したものである。 - 全国農業地域別や飼養頭数規模別及び目標精度を設定していない調査結果について
全国農業地域別や飼養頭数規模別の結果及び目標精度を設定していない結果については、集計対象数が少ないほか、一部の表章項目によってはごく少数の経営体にしか出現しないことから、相当程度の誤差を含んだ値となっており、結果の利用に当たっては十分留意されたい。 - 収益性指標(所得及び家族労働報酬)の計算
収益性指標は本来、農業経営全体の経営計算から求めるべき性格のものであるが、ここでは、調査対象となる畜産物と他の農畜産物との収益性を比較する指標として該当畜産物についてのみ取りまとめている。
なお、牛乳生産費における「加工原料乳生産者補給金」は、該当する主産物価格に含めて表章しているので留意されたい。
(1)所得
生産費総額から家族労働費、自己資本利子及び自作地地代を控除した額を粗収益から差し引いたものである。
なお、所得には配合飼料価格安定基金の受取金や肉用子牛生産者補給金等の補助金は含まない。
所得=粗収益-〔生産費総額-(家族労働費+自己資本利子+自作地地代)〕
ただし、生産費総額=費用合計+支払利子+支払地代+自己資本利子+自作地地代
(2)1日当たり所得
所得を家族労働時間で除し、これに8(1日を8時間とみなす。)を乗じて算出したものである。
1日当たり所得=所得÷家族労働時間×8時間(1日換算)
(3)家族労働報酬
生産費総額から家族労働費を控除した額を粗収益から差し引いて求めたものである。
家族労働報酬=粗収益-(生産費総額-家族労働費)
(4)1日当たり家族労働報酬
家族労働報酬を家族労働時間で除し、これに8(1日を8時間とみなす。)を乗じて算出したものである。
1日当たり家族労働報酬=家族労働報酬÷家族労働時間×8時間(1日換算) - 記号について
統計表中に用いた記号は、次のとおりである。
「0」:単位に満たないもの(例:0.4円→0円)
「0.0」、「0.00」: 単位に満たないもの(例:0.04頭→0.0頭)又は増減がないもの
「-」 : 事実のないもの
「…」 : 事実不詳又は調査を欠くもの
「x」 : 個人又は法人その他の団体に関する秘密を保護するため、統計数値を公表しないもの
「△」 : 負数又は減少したもの
「nc」: 計算不能 - 秘匿措置について
統計調査結果について、集計経営体数が2以下の場合には調査結果の秘密保護の観点から、該当結果を「x」表示とする秘匿措置を施している。 - ホームページ掲載案内
畜産物生産費統計の詳細については、農林水産省ホームページの統計情報に掲載している分野別分類「農家の所得や生産コスト、農業産出額など」の「畜産物生産費統計」で御覧いただけます。
なお、公表した数値の正誤情報は、ホームページでお知らせします。
利活用事例
- 「畜産経営の安定に関する法律」に基づく加工原料乳生産者補給金単価の算定資料に利用。
- 「肉用子牛生産安定等特別措置法」に基づく肉用子牛の保証基準価格及び肉用子牛の合理化目標価格の算定資料に利用。
- 「畜産経営の安定に関する法律」に基づく肉用牛肥育経営安定交付金及び肉豚経営安定交付金の算定資料に利用。
- 「酪農及び肉用牛生産の振興に関する法律」に基づく「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」の経営指標作成のための資料に利用。
その他
農業経営統計調査見直しの際の変更については、軽微な変更を除き、総務省を通じて統計委員会への諮問・答申を踏まえて実施している。
(参考)
諮問第116号農業経営統計調査の変更について(諮問)〔外部リンク〕
諮問第116号の答申農業経営統計調査の変更について(PDF:1.58MB)〔外部リンク〕
諮問第151号農業経営統計調査の変更について(諮問)〔外部リンク〕
諮問第151号の答申農業経営統計調査の変更について(PDF:450.92KB)〔外部リンク〕
Q&A
1.「畜産物生産費統計」とは
Q: 「畜産物生産費統計」はどのような調査なのですか?
A: 牛乳、子牛、育成牛、肥育牛及び肥育豚の生産に要した経費等の実態を調査し、畜産物価格の安定をはじめとする各種政策の推進に必要な資料を整備することを目的として実施しています。
Q: 「畜産物生産費統計」の結果からどのようなことがわかるのですか?
A: 畜産物生産費統計からは、畜産物一定単位の生産のために要した費用の合計等が分かります。ここでいう費用の合計とは、具体的に畜産物の生産に要した材料(種付料、もと畜、飼料、その他の材料)、賃借料及び料金、物件税及び公課諸負担、労働費(家族・雇用(生産管理労働を含む。))、固定資産(建物・構築物、自動車、農機具、生産管理機器、搾乳牛・繁殖雌牛)の財貨や用役等の合計をいいます。
Q: 「畜産物生産費統計」ではどのようなことを調べるのですか?
A: 当該畜産物の生産のために投入した費目別の費用、労働時間、飼料の給与量、主産物及び副産物の数量と価額や農業就業者数、経営耕地面積、調査対象畜の飼養状況、投下資本額、農機具の所有状況等について調べています。
Q: 「畜産物生産費統計」の結果はどのように利用されているのですか?
A: 加工原料乳生産者補給金、肉用子牛の保証基準価格・合理化目標価格、肉用牛肥育経営安定交付金、肉豚経営安定交付金の算定等の資料として利用されているほか、畜産生産農家における経営改善資料としても利用されています。
Q: 調査にはどうしても答えなければならないのでしょうか?
A: もし、皆様から回答を頂けなかったり、正確な回答が頂けなかった場合、得られた統計が不正確なものとなってしまいます。そのようなことになれば、この調査の結果を利用して立案・実施されている様々な施策や将来計画が誤った方向に向かったり、行政の公平性や効率性が失われたりするおそれがあります。
正確な統計に基づいて、公正で効率的な行政を行うためには正確な回答が必要です。
また、この調査は、統計法に基づく基幹統計調査として実施しており、調査対象者には調査票を記入・提出して頂く義務(報告義務)がございますのでご協力をお願いします(統計法第13条)。
2.調査方法について
Q: 「畜産物生産費統計」の調査方法はどのように行われているのですか?
A: 地方農政局等の職員又は統計調査員が調査票を配布し、原則として、調査対象に選ばれた方に調査票を記入して頂き、郵送、オンライン又は職員若しくは統計調査員による訪問により回収(決算書類等の提供を含む。)する方法により実施しています。また、必要に応じて、職員又は統計調査員による面接の方法も併用しております。
Q: 「畜産物生産費統計」の対象はどのように選ばれるのですか?
A: 2015年農林業センサスに回答していただいた農業経営体の名簿に基づいて、調査対象品目別、飼養頭数規模区分別、全国農業地域別に区分し、それぞれの区分から必要な数の調査対象経営体を選定しています。なお、本調査では、調査対象に選ばれた方には、原則、選定後5年間にわたり調査に御協力いただいております。
3.結果の公表について
Q: 調査の結果はいつ頃公表されるのですか?
A: 農林水産省のホームページで年間の公表予定を掲載していますので、大まかな時期はそちらを参考にしてください。また、具体的な公表予定日時については、公表日を含む週の前週の金曜日に週間公表予定という形で掲載しますのでそちらで確認してください。
(リンク先:農林水産統計公表予定)
4.プライバシーの保護について
Q: 調査票に記入されたプライバシーは保護されるのでしょうか?
A: この調査は、「統計法」(平成19年法律第53号)に基づく統計調査として行われます。調査対象の方々からいただいた回答(調査票)は、外部の目に触れないよう厳重に保管され、統計法で認められている統計の作成・分析の目的にのみ使用されます。統計以外の目的に使うことや、外部に出されることは一切ありません。
統計調査に従事する者には統計法により守秘義務が課せられており、違反した場合には罰則(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が科せられます。また、過去に統計調査に従事していた者に対しても、同様の義務と罰則が規定されています(統計法第41条、第57条第2号)。
このように、統計調査の業務に従事する者、あるいは過去に従事していた者に対して守秘義務と厳しい罰則が設けられているのは、調査対象となる方々に、調査項目すべてについて、安心して御回答いただくためです。
お問合せ先
大臣官房統計部経営・構造統計課
担当者:畜産物生産費統計班
代表:03-3502-8111(内線3630)
ダイヤルイン:03-3591-0923