3 生産・加工・流通過程を通じた新たな価値の創出による需要の開拓
(1)6次産業化等の取組の質の向上と拡大に向けた戦略的推進
ア 6次産業化等の推進
都道府県及び市町村段階に、行政、農林漁業、商工、金融機関等の関係機関で構成される6次産業化・地産地消推進協議会を設置し、6次産業化等戦略を策定する取組を支援しました。
また、6次産業化等に取り組む農林漁業者等に対するサポート体制を整備するとともに、農林漁業者等が多様な事業者とネットワークを構築して行う新商品開発・販路開拓の取組、「地域資源を活用した農林漁業者等による新事業の創出等及び地域の農林水産物の利用促進に関する法律」(平成22年法律第67号)等に基づき認定された農林漁業者等が農林水産物を加工・販売するための機械・施設の整備等を支援しました。
さらに、市町村の6次産業化等に関する戦略に沿って、市町村が地域ぐるみで行う6次産業化の取組を支援しました。
イ 農林漁業成長産業化ファンドの積極的活用
農林漁業成長産業化ファンドを通じて、農林漁業者が主体となった6次産業化の取組や、農業生産関連事業者による生産資材価格の引下げや農産物の流通・加工構造の改革に向けた取組等に対し、資本の提供と経営支援を一体的に実施しました。
また、最近の出資状況、過去の投資実績等を踏まえ、農林漁業成長産業化ファンドに対し、令和3(2021)年度以降、新たな出資の決定を行わないなどの方向で、投資計画を見直すよう指示しました。
(2)食品産業の競争力の強化
ア 新たな市場を創出するための環境づくり
(ア)介護食品に関する普及
パンフレットや映像等の教育ツールを用いてスマイルケア食の普及を図りました。
(イ)「強み」のアピールにつながるJAS等の検討
産品の品質や特色、事業者の技術や取組について、説明・証明、信頼の獲得を容易にし、取引の円滑化に資するよう、訴求力の高いJASの制定・活用等を進めました。
また、これを足掛かりとしたJASの国際化を推進しました。
イ 食品流通の効率化や高度化等
(ア)流通・加工の業界構造の見直し
「農業競争力強化支援法」に基づき、農産物流通・加工の合理化を図るため、流通・加工業界の再編に係る取組の支援等を実施しました。
(イ)卸売市場を含めた食品流通構造改革
平成30(2018)年10月に改正された「食品等の流通の合理化と取引の適正化に関する法律」(平成3年法律第59号)に基づき、食品等の流通の合理化を図る取組を支援するとともに、食品等の取引の適正化のため、取引状況に関する調査を行いました。
また、令和2(2020)年6月の「卸売市場法」(昭和46年法律第35号)の改正に向け、卸売市場における取引ルール等の議論を促進しました。
(ウ)商品先物市場の活性化
a商品先物市場の健全な運営を確保するため、商品先物市場の監視を行うとともに、外国規制当局と協力しつつ適切な市場管理を行いました。
b顧客の保護及び取引の適正化を図るため、「商品先物取引法」(昭和25年法律第239号)の迅速かつ適正な執行をしました。
ウ 生産性向上等の取組
ロボット・AI・IoT技術の活用実証や、食品事業者の生産性向上に対する意識改革を目的とした研修会の開催等により、食品産業におけるイノベーションを創出し、食品製造業から外食・中食産業に至る食品産業全体の生産性向上を支援しました。
また、生産性向上等に向けた民間の気運を醸成する表彰事業を通じて、外食産業の振興に取り組みました。
エ 環境問題等の社会的な課題への対応
(ア)食品ロスの削減に向けた取組
SDGs(持続可能な開発目標)を踏まえ、令和元(2019)年7月に策定した「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(平成12年法律第116号。以下「食品リサイクル法」という。)に基づく新たな基本方針において、食品関連事業者から発生する食品ロスを2000年度比で2030年度までに半減させる目標を設定しました。
また、令和元(2019)年10月には「食品ロスの削減の推進に関する法律」(令和元年法律第19号)が施行され、同法に基づき食品ロス削減推進会議において、食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針について検討し、令和2(2020)年3月に閣議決定しました。
事業系食品ロスの削減に向け、フードチェーン全体での商慣習の見直しに向けた取組や、フードバンク活動団体の人材育成等を支援しました。令和元(2019)年10月の「食品ロス削減月間」には、食品小売業者の消費者向け啓発活動の取組状況、飲食店における食品提供・食材使いきりの工夫等の事例集等について公表しました。
また、令和2(2020)年2月の恵方巻きシーズンには、需要に見合った販売に取り組む食品小売業者の公表や消費者向け情報発信資材の提供を行いました。
(イ)食品産業における環境負荷の低減及び資源の有効利用
a 食品循環資源有効利用促進対策
令和元(2019)年7月に策定した食品リサイクル法に基づく新たな基本方針において、食品循環資源の再生利用等の実施状況を踏まえ、発生抑制及び再生利用等の実施率に係る目標の見直しを行いました。
食品流通の川下における食品循環資源の再生利用等を促進するため、農業者やメタン発酵事業者等の関係者で構成される協議会等の設立・運営や消化液等の肥料利用に関する調査・実証等の取組を通じて、メタン発酵消化液等の肥料利用を行うための取組を支援しました。
b 容器包装リサイクル促進対策
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(平成7年法律第112号)に基づく、義務履行の促進、容器包装廃棄物の排出抑制のための取組として、食品関連事業者への点検指導、食品小売事業者からの定期報告の提出の促進等を実施しました。
また、食品産業等から募集したプラスチック資源循環に資する自主的取組である「プラスチック資源循環アクション宣言」を広く発信するなど、農林水産・食品産業で利活用されるプラスチック資源の循環を促進しました。
さらに、レジ袋の有料化を義務付けることについて、食品関連企業・業界団体と意見交換を行いながら検討を進めるとともに、その在り方を周知・啓発しました。
c CO2排出削減対策
食品産業の持続可能な発展に寄与する地球温暖化防止・省エネルギー等の優れた取組を表彰するとともに、低炭素社会実行計画の進捗状況の点検等を実施しました。
(ウ)高齢化の進展等に対応した食料提供等
食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる「食料品アクセス問題」に対する市町村等の取組事例を公表しました。
(エ)労働力不足への対応
食品産業の現場で特定技能制度による外国人材を円滑に受け入れるため、飲食料品製造分野及び外食業分野において制度の周知を目的とした説明会の開催や外国人材の技能を評価する試験の実施等を行いました。
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