8 気候変動への対応等環境政策の推進
食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針として「みどりの食料システム戦略」を検討し、令和3(2021)年3月に中間取りまとめを決定しました。
(1)気候変動に対する緩和・適応策の推進
ア「農林水産省地球温暖化対策計画」(平成29(2017)年3月策定)に基づき、農林水産分野における地球温暖化対策技術の開発、マニュアル等を活用した省エネ型の生産管理の普及・啓発や省エネ設備の導入等による施設園芸の省エネルギー対策、施肥の適正化を推進しました。
イ農地からのGHGの排出・吸収量の国連への報告に必要な農地土壌中の炭素量等のデータを収集する調査を行いました。また、家畜由来のGHG排出量の国連への報告の算出に必要な消化管由来のメタン量等のデータを収集するための基礎調査を行いました。
ウ環境保全型農業直接支払制度により、堆肥の施用やカバークロップ等、地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に対して支援しました。
エバイオマスの変換・利用施設等の整備等を支援し、農山漁村地域におけるバイオマス等の再生可能エネルギーの利用を推進しました。
オ廃棄物系バイオマスの利活用については、「廃棄物処理施設整備計画」(平成30(2018)年6月策定)に基づく施設整備を推進するとともに、市町村等における生ごみのメタン化等の活用方策の導入検討を支援しました。
カ気候変動の緩和に資するため、国際連携の下、各国の水田におけるGHG排出削減を実現する総合的栽培管理技術及び農産廃棄物を有効活用したGHG排出削減に関する影響評価手法の開発を推進しました。
キ食品関連事業者のTCFD提言に基づく気候リスク・機会に関する情報開示のための手引きの作成、農林漁業関係の脱炭素技術紹介資料の作成、カーボンフットプリントのニーズ調査等を実施し、フードサプライチェーンにおける脱炭素化の実践とその可視化(見える化)を推進しました。
ク「気候変動適応計画」(平成30(2018)年11月策定)及び「農林水産省気候変動適応計画」(平成30(2018)年11月改定)等に基づき、農林水産分野における気候変動の影響への適応に関する取組を推進するため、以下の取組を実施しました。
(ア)中長期的な視点に立った我が国の農林水産業に与える気候変動の影響評価や適応技術の開発を行うとともに、各国の研究機関等との連携により気候変動適応技術の開発を推進しました。
(イ)「強み」のある産地形成に向け、生産者・実需者等が一体となって地球温暖化に対応する品種・技術を活用する取組を支援しました。
(ウ)農業者等自らが気候変動に対するリスクマネジメントを行う際の参考となる手引きを作成しました。
(エ)地方公共団体による農林水産分野の地域気候変動適応計画の策定及び適応策の実践を促進するために、科学的知見等の情報提供、農林漁業関係者とのコミュニケーション等を支援しました。
ケ国連気候変動枠組条約等の地球環境問題に係る国際会議に参画し、農林水産分野における国際的な地球環境問題に対する取組を推進しました。
(2)生物多様性の保全及び利用
ア「農林水産省生物多様性戦略」(平成24(2012)年2月改定)に基づき、田園地域や里地・里山の保全・管理を推進しました。
イ食料生産が生物多様性に及ぼす影響に鑑み、原材料や資材調達を含めた持続可能な生産・消費の達成に向けてグローバルなフードサプライチェーン全体における生物多様性保全の視点を取り込み、「農林水産省生物多様性戦略」を改定するため、有識者検討会を開催しました。
ウ企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた農林漁業者及び企業等向け手引き・パンフレット並びにUNDB-J(国連生物多様性の10年日本委員会)のMy行動宣言の更なる促進につながる農林水産関係アクション(エコツーリズム、森林ボランティア、藻場の再生等)の普及・啓発資料を活用し、農林水産分野における生物多様性保全活動を推進しました。
エ環境保全型農業直接支払制度により、有機農業や冬期湛水(たんすい)管理等、生物多様性保全等に効果の高い営農活動に対して支援しました。
オ遺伝子組換え農作物に関する取組として、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号)に基づき、生物多様性に及ぼす影響についての科学的な評価、生態系への影響の監視等を継続するとともに、未承認の遺伝子組換え農作物の輸入防止を図るため、栽培用種苗を対象に、輸入時のモニタリング検査及び特定の生産地及び植物種について、輸入者に対し輸入に先立つ届出や検査を義務付ける「生物検査」を実施しました。
カ海外遺伝資源を戦略的に確保するため、締約国として食料・農業植物遺伝資源条約の運営に必要な資金拠出を行うとともに、遺伝資源保有国における制度等の調査、遺伝資源の保全の促進、遺伝資源の取得・利用に関する手続・実績の確立とその活用に向けた周知活動等を実施しました。
(3)有機農業の更なる推進
ア有機農業指導員の育成や新たに有機農業に取り組む農業者の技術習得等による人材育成、オーガニックビジネス実践拠点づくり等による産地づくりを推進しました。
イ流通・加工・小売事業者等と連携した需要喚起の取組を支援し、バリューチェーンの構築を進めました。
ウ耕作放棄地等を活用した農地の確保とともに、有機農業を活かして地域振興につなげている市町村等のネットワークづくりを進めました。
エ有機食品の輸出を促進するため、有機JAS認証の取得を支援するとともに、諸外国との有機同等性の取得等を推進しました。また、有機JASについて、消費者がより合理的な選択ができるよう必要な見直しを行いました。
(4)土づくりの推進
ア全国的な土づくりを推進するため、都道府県の土壌調査結果の共有を進めるとともに、堆肥等の活用を促進しました。また、収量向上効果を含めた土壌診断データベースの構築に向けて、都道府県とともに、土壌専門家を活用しつつ、農業生産現場における土壌診断の取組と診断結果のデータベース化の取組を推進するとともに、ドローン等を用いた簡便かつ広域的な診断手法や土壌診断の新たな評価軸としての生物性評価手法の検証・評価を推進しました。
イ「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)の趣旨を踏まえ、家畜排せつ物の適正な管理に加え、その広域流通・利活用を図るため、ペレット化や化学肥料との配合等による堆肥の高品質化等を推進しました。
(5)農業分野におけるプラスチックごみ問題への対応
農業分野のプラスチックごみ問題に対応するため、施設園芸及び畜産における廃プラスチック対策の推進、生分解性マルチ導入の推進、プラスチックを使用した被覆肥料の実態調査を行いました。
(6)農業の自然循環機能の維持増進とコミュニケーション
ア有機農業を消費者に分かりやすく伝える取組を推進しました。
イ気候変動や生物多様性等環境に配慮した生産を後押しするため、令和2(2020)年6月に官民協働のプラットフォームである「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」を立ち上げ、持続可能な消費を促進するためのサステナウィーク等を実施しました。
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