1 新たな価値の創出による需要の開拓
(1)新たな市場創出に向けた取組
ア地場産農林水産物等を活用した介護食品の開発を支援しました。また、パンフレットや映像等の教育ツールを用いてスマイルケア食の普及を図りました。さらに、スマートミール(病気の予防や健康寿命を延ばすことを目的とした、栄養バランスのとれた食事)の普及等を支援しました。
イ健康に資する食生活のビッグデータ収集・活用のための基盤整備を推進しました。また、農産物等の免疫機能等への効果に関する科学的エビデンス取得や食生活の適正化に資する研究開発を推進しました。
ウ実需者や産地が参画したコンソーシアムを構築し、ニーズに対応した新品種の開発等の取組を推進しました。また、従来の育種では困難だった収量性や品質等の形質の改良等を短期間で実現するスマート育種システムの開発を推進しました。
エ国立研究開発法人、公設試験場、大学等が連携し、輸出先国の規制等にも対応し得る防除等の栽培技術等の開発・実証を推進するとともに、輸出促進に資する品種開発を推進しました。
オ令和3(2021)年4月に施行された新たな日本版SBIR制度を活用し、フードテック等の新たな技術・サービスの事業化を目指すスタートアップが行う研究開発等を切れ目なく支援しました。
カフードテック官民協議会での議論等を通じて、課題解決や新市場創出に向けた取組を推進しました。
(2)需要に応じた新たなバリューチェーンの創出
都道府県及び市町村段階に、行政、農林漁業、商工、金融機関等の関係機関で構成される6次産業化・地産地消推進協議会を設置し、6次産業化等戦略を策定する取組を支援しました。
また、6次産業化等に取り組む農林漁業者等に対するサポート体制を整備するとともに、業務用需要に対応したBtoB(事業者向けビジネス)の取組、農泊と連携した観光消費の促進等に資する新商品開発・販路開拓の取組や加工・販売施設等の整備を支援しました。
(3)食品産業の競争力の強化
ア 食品流通の合理化等
(ア)「食品等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律」(平成3年法律第59号)に基づき、食品等流通合理化計画の認定を行うことにより、食品等の流通の合理化を図る取組を支援しました。特に、トラックドライバーを始めとする食品流通に係る人手不足等の問題に対応するため、サプライチェーン全体での合理化を推進しました。
また、「卸売市場法」(昭和46年法律第35号)に基づき、中央卸売市場の認定を行うとともに、施設整備に対する助成や卸売市場に対する指導監督を行いました。さらに、食品等の取引の適正化のため、取引状況に関する調査を行い、その結果に応じて関係事業者に対する指導・助言を実施しました。
(イ)令和3(2021)年12月に関係省庁等において取りまとめられた「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」の取組の一環として、「食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドライン」を策定し、関係事業者への普及・啓発を実施しました。
(ウ)「商品先物取引法」(昭和25年法律第239号)に基づき、商品先物市場の監視及び監督を行うとともに、同法を迅速かつ適正に執行しました。
イ 労働力不足への対応
食品製造等の現場におけるロボット、AI、IoT等の先端技術のモデル実証や、その成果の情報発信により、食品産業におけるイノベーションの創出や、業界全体の生産性向上に向けた取組を支援しました。
また、「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」の普及等により、食品産業の現場における作業安全対策を推進しました。さらに、食品産業の現場で特定技能制度による外国人材を円滑に受け入れるため、試験の実施や外国人が働きやすい環境の整備に取り組むなど、食品産業特定技能協議会等を活用し、地域の労働力不足克服に向けた有用な情報等を発信しました。
ウ 規格・認証の活用
産品の品質や特色、事業者の技術や取組について、訴求力の高いJASの制定・活用等を進めるとともに、JASの国内外への普及、JASと調和のとれた国際規格の制定等を推進しました。
また、輸出促進に資するよう、GFSI(世界食品安全イニシアティブ)の承認を受けたJFS規格(日本発の食品安全管理規格)の国内外での普及を推進しました。
(4)食品ロス等をはじめとする環境問題への対応
ア 食品ロスの削減
「食品ロスの削減の推進に関する法律」(令和元年法律第19号)に基づく「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」(令和2(2020)年3月31日閣議決定)に則して、事業系食品ロスを平成12(2000)年度比で令和12(2030)年度までに半減させる目標の達成に向けて、事業者、消費者、地方公共団体等と連携した取組を進めました。
また、個別企業等では解決が困難な商慣習の見直しに向けたフードチェーン全体の取組、食品産業から発生する未利用食品をフードバンクが適切に管理・提供するためのマッチングシステムを実証・構築する取組や寄附金付未利用食品の販売により利益の一部をフードバンク活動の支援等に活用する新たな仕組み構築のための検討等を推進しました。
さらに、飲食店及び消費者の双方での食べきりや食べきれずに残した料理の自己責任の範囲での持ち帰りの取組など、食品関連事業者と連携した消費者への働き掛けを推進しました。
くわえて、下水汚泥との混合利用の取組を支援するとともに、メタン発酵消化液等の肥料利用に関する調査・実証等の取組を通じて、メタン発酵消化液等の地域での有効利用を行うための取組を支援しました。
イ 食品産業分野におけるプラスチックごみ問題への対応
「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(平成7年法律第112号)に基づく、義務履行の促進、容器包装廃棄物の排出抑制のための取組として、食品関連事業者への点検指導、食品小売事業者からの定期報告の提出の促進を実施しました。
また、「プラスチック資源循環戦略」(令和元(2019)年5月策定)及び「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」等に基づき、食品産業におけるプラスチック資源循環等の取組や、PETボトルの新たな回収・リサイクルモデルを構築する取組を推進しました。
ウ 気候変動リスクへの対応
(ア)TCFD提言(気候変動リスク・機会に関する情報開示のフレームワークを取りまとめた最終報告書)のガイダンス、取組事例等を踏まえた食品関連事業者による気候関連の情報開示の取組を推進しました。
(イ)食品産業の持続可能な発展に寄与する地球温暖化防止・省エネルギー等の優れた取組を表彰するとともに、低炭素社会実行計画の進捗状況の点検等を実施しました。
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