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農林水産省

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8 気候変動への対応等環境政策の推進


食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む新たな政策方針として令和3(2021)年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、各種政府方針等に反映するとともに、アジアモンスーン地域の持続的な食料システムの取組モデルとして、同年9月に開催された国連食料システムサミット等において本戦略について発信しました。

また、戦略を強力に推進するため、補正予算においてみどりの食料システム戦略緊急対策事業等に必要な予算を措置しました。

(1)気候変動に対する緩和・適応策の推進

令和3(2021)年10月に「農林水産省地球温暖化対策計画」を改定するとともに、同計画に基づき、農林水産分野における地球温暖化対策技術の開発、マニュアル等を活用した省エネ型の生産管理の普及・啓発や省エネ設備の導入等による施設園芸の省エネルギー対策、施肥の適正化を推進しました。

農地からのGHGの排出・吸収量の国連への報告に必要な農地土壌中の炭素量等のデータを収集する調査を行いました。また、家畜由来のGHG排出量の国連への報告の算出に必要な消化管由来のメタン量等のデータを収集する調査を行いました。

環境保全型農業直接支払制度により、堆肥の施用やカバークロップ等、地球温暖化防止等に効果の高い営農活動に対して支援しました。また、バイオ炭の農地施用に伴う影響評価、炭素貯留効果と土壌改良効果を併せ持つバイオ炭資材の開発等に取り組みました。

バイオマスの変換・利用施設等の整備等を支援し、農山漁村地域におけるバイオマス等の再生可能エネルギーの利用を推進しました。

廃棄物系バイオマスの利活用については、「廃棄物処理施設整備計画」(平成30(2018)年6月閣議決定)に基づく施設整備を推進するとともに、市町村等における生ごみのメタン化等の活用方策の導入検討を支援しました。

国際連携の下、各国の水田におけるGHG排出削減を実現する総合的栽培管理技術及び農産廃棄物を有効活用したGHG排出削減に関する影響評価手法の開発を推進しました。

食品関連事業者のTCFD提言に基づく気候リスク・機会に関する情報開示のための手引の作成、農林漁業関係の脱炭素技術紹介資料の作成、温室効果ガスの削減効果を把握するための簡易算定ツールの作成等を実施し、フードサプライチェーンにおける脱炭素化の実践とその見える化を推進しました。

令和3(2021)年10月に、「農林水産省気候変動適応計画」を改定し、以下の取組を実施しました。

(ア)中長期的な視点に立った我が国の農林水産業に与える気候変動の影響評価や適応技術の開発を行うとともに、各国の研究機関等との連携により気候変動適応技術の開発を推進しました。

(イ)農業者等自らが気候変動に対するリスクマネジメントを行う際の参考となる手引(農業生産における気候変動適応ガイド)を、都道府県普及指導員等を通じて、農業者への普及啓発に努めました。

(ウ)地方公共団体による農林水産分野の地域気候変動適応計画の策定及び適応策の実践を推進するために、科学的知見等の情報提供、農林漁業関係者とのコミュニケーション等を支援しました。

科学的なエビデンスに基づいた緩和策の導入・拡大に向けて、研究者、農業者、自治体等の連携による技術の開発・最適化を推進するとともに、農業者等の地球温暖化適応行動・温室効果ガス削減行動を促進するための政策措置に関する研究を実施しました。

国連気候変動枠組条約等の地球環境問題に係る国際会議に参画し、農林水産分野における国際的な地球環境問題に対する取組を推進しました。また、国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において立ち上げられた新たな国際イニシアティブである「グローバル・メタン・プレッジ」に参加しました。

(2)生物多様性の保全及び利用

「農林水産省生物多様性戦略」(平成24(2012)年2月改定)に基づき、田園地域や里地・里山の保全・管理を推進しました。

国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)でポスト2020生物多様性枠組が採択されることを見据えて「農林水産省生物多様性戦略」を改定するため、有識者検討会を開催しました。

企業等による生物多様性保全活動への支援等について取りまとめた農林漁業者及び企業等向け手引・パンフレット並びにエコツーリズム、森林ボランティア、藻場の再生等の普及・啓発資料を活用し、農林水産分野における生物多様性保全活動を推進しました。

環境保全型農業直接支払制度により、有機農業や冬期湛水(たんすい)管理等、生物多様性保全等に効果の高い営農活動に対して支援しました。

遺伝子組換え農作物に関する取組として、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(平成15年法律第97号)に基づき、生物多様性に及ぼす影響についての科学的な評価、生態系への影響の監視等を継続し、栽培用種苗を対象に輸入時のモニタリング検査を行うとともに、特定の生産地及び植物種について、輸入者に対し輸入に先立つ届出や検査を義務付ける「生物検査」を実施しました。

締約国としてITPGRの運営に必要な資金拠出を行うとともに、遺伝資源保有国における制度等の調査、遺伝資源の取得・利用に関する手続・実績の確立とその活用に向けた周知活動等を実施しました。

(3)有機農業の更なる推進

有機農業指導員の育成や新たに有機農業に取り組む農業者の技術習得等による人材育成、オーガニックビジネス実践拠点づくり等による産地づくりを推進しました。

流通・加工・小売事業者等と連携した需要喚起の取組を支援し、バリューチェーンの構築を進めました。

耕作放棄地等を活用した農地の確保とともに、有機農業を活かして地域振興につなげている市町村等のネットワークづくりを進めました。

有機JAS認証の取得を支援するとともに、諸外国との有機同等性の取得等を推進しました。また、有機JASについて、消費者がより合理的な選択ができるよう必要な見直しを行いました。

(4)土づくりの推進

都道府県の土壌調査結果の共有を進めるとともに、堆肥等の活用を促進しました。また、収量向上効果を含めた土壌診断データベースの構築に向けて、都道府県とともに、土壌専門家を活用しつつ、農業生産現場における土壌診断の取組と診断結果のデータベース化の取組を推進するとともに、ドローン等を用いた簡便かつ広域的な診断手法や土壌診断の新たな評価軸としての生物性評価手法の検証・評価を推進しました。

「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)の趣旨を踏まえ、家畜排せつ物の適正な管理に加え、ペレット化や化学肥料との配合等による堆肥の高品質化等を推進しました。

(5)農業分野におけるプラスチックごみ問題への対応

施設園芸及び畜産における廃プラスチック対策の推進、生分解性マルチ導入の推進、プラスチックを使用した被覆肥料の実態調査を行いました。

(6)農業の自然循環機能の維持増進とコミュニケーション

有機農業を消費者に分かりやすく伝える取組を推進しました。

官民協働のプラットフォームである「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」における勉強会・交流会、情報発信や表彰等の活動を通じて、持続可能な生産消費を促進しました。



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