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農林水産省

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7 情報通信技術等の活用による農業生産・流通現場のイノベーションの促進


(1)スマート農業の加速化等農業現場でのデジタル技術の利活用の推進

スマート農業技術活用促進法に基づき、スマート農業技術の活用及びこれと併せて行う農産物の新たな生産の方式の導入に関する計画の認定を受けた農業者等や、スマート農業技術等の開発及びその成果の普及に関する計画の認定を受けた事業者等に対し、金融等の支援措置を講じました。

令和6(2024)年7月に食料・農業・農村政策審議会企画部会に「スマート農業技術活用促進小委員会」を設置し、意見を聴取した上で、同年9月に「生産方式革新事業活動及び開発供給事業の促進に関する基本的な方針」を定めました。

生産方式革新事業活動及び開発供給事業の促進に関する基本的な方針に基づき設置するスマート農業イノベーション推進会議(IPCSA(イプサ))の準備会合を開催し、スマート農業技術の活用に向けた機運を醸成しました。

関係府省庁と連携し、スマート農業技術の活用の促進に関する取組を一体的に進めるために「スマート農業技術の活用の促進に関する関係府省庁連絡会議」を設置しました。

スマート農業実証プロジェクトから得られた成果と課題を踏まえ、開発が不十分な分野での技術開発や現場実装に向けた情報発信、実証参加者による他産地への実地指導に取り組みました。

農業機械メーカー、金融、保険等の民間企業が参画したプラットフォームにおいて、農業機械のリース・シェアリングやスマート農業機械を用いた農作業の代行サービス等の新たな農業支援サービスの創出が進むよう、業者間の情報共有やマッチング等を進めました。

現場実装に際して安全上の課題解決が必要なロボット技術の安全性の検証や安全性確保策の検討に取り組みました。

生産から加工・流通・販売・消費に至るまでデータの相互活用が可能なスマートフードチェーンプラットフォームを活用し、農業データの川下とのデータ連携実証を支援しました。また、オープンAPI整備・活用に必要となるルールづくりや異なる種類・メーカーの機器・システムから取得されるデータの連携実証への支援によりデータ活用を推進しました。さらに、これまで実装・公開したオープンAPIを活用した新たなサービスの開発によるサービス事業体の育成や機能強化に取り組みました。

営農データの分析支援を始め、農業支援サービスを提供する企業が活躍できる環境整備、農産物のサプライチェーンにおけるデータ・物流のデジタル化、農村地域の多様なビジネス創出等を推進しました。

(2)農業施策の展開におけるデジタル化の推進

農業現場と農林水産省が切れ目なくつながり、行政手続に係る農業者等の負担を大幅に軽減し、経営に集中できるよう、徹底した行政手続の簡素化の促進を行うとともに、農林水産省が所管する法令や補助金等の行政手続をオンラインで申請することができる「農林水産省共通申請サービス(eMAFF(イーマフ))」のオンライン利用率の向上と利用者の利便性向上に向けた取組を進めました。ただし、事務の効率化に一定の効果がある一方、申請件数は低調であり費用対効果に大きな課題があることが明らかになったため、見直しを開始しました。

農林水産省の農林漁業者向けスマートフォン・アプリケーション(MAFF(マフ)アプリ)について、eMAFF等との連動を進め、個々の農業者の属性・関心に応じた営農・政策情報を提供しました。

デジタル地図を活用し、農地の利用状況の現地確認等の抜本的な効率化・省力化を図るための「農林水産省地理情報共通管理システム(eMAFF(イーマフ)地図)」の利用の推進に取り組みました。

デジタル人材の確保・育成、「データ活用基盤」の構築等のデータ利活用に向けた取組を推進しました。

(3)イノベーション創出・技術開発の推進

ア 研究開発の推進

(ア)研究開発の重点事項や目標を定める「農林水産研究イノベーション戦略」を策定するとともに、内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」や「研究開発とSociety5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)」等も活用して食料安全保障や農業の環境負荷低減をミッションとした研究開発を推進しました。

(イ)総合科学技術・イノベーション会議が決定したムーンショット目標5「2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出」を実現するため、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される挑戦的な研究開発(ムーンショット型研究開発)を推進しました。

(ウ)Society 5.0の実現に向け、産学官と農業の生産現場が一体となって、オープンイノベーションを促進するとともに、人材・知・資金が循環するよう農林水産・食品分野での更なるイノベーションの創出を計画的・戦略的に推進しました。

イ 国際農林水産業研究の推進

海外の農業研究機関や国際農業研究機関の優れた知見や技術を活用し、戦略的に国際共同研究を推進しました。

ウ 科学に基づく食品安全、動物衛生、植物防疫等の施策に必要な研究の更なる推進

(ア)「安全な農畜水産物の安定供給のためのレギュラトリーサイエンス研究推進計画」で明確化した取り組むべき調査研究の内容や課題について、情勢の変化や新たな科学的知見を踏まえた見直しを行いました。また、農林水産省が所管する国立研究開発法人のほか、大学、民間企業、関係学会等への情報提供や研究機関との意見交換を行い、研究者の認識や理解の醸成とレギュラトリーサイエンスに属する研究を推進しました。

(イ)研究開発部局と規制担当部局が連携して食品中の危害要因の分析や低減技術の開発、家畜の伝染性疾病を防除・低減する技術や資材の開発、植物病害虫等の侵入・まん延防止のための防除技術の開発や防除体系の確立といったリスク管理に必要な調査研究を推進しました。

(ウ)レギュラトリーサイエンスに属する研究事業の成果を国民に分かりやすい形で公表しました。また、行政施策・措置とその検討・判断に活用された科学的根拠となる研究成果を紹介する機会を設け、レギュラトリーサイエンスへの理解の醸成を推進しました。

エ 戦略的な研究開発を推進するための環境整備

(ア)「農林水産研究における知的財産に関する方針」(令和4(2022)年12月改訂)を踏まえ、農林水産業・食品産業に関する研究に取り組む国立研究開発法人や都道府県の公設試験場等における知的財産マネジメントの強化を図るため、専門家による指導・助言等を行いました。また、知的財産戦略や侵害対応マニュアルを策定するなど、知的財産マネジメントの実践に取り組む公的研究機関等を対象に重点的に支援しました。

(イ)最先端技術の研究開発・実用化に向けて、消費者への分かりやすい情報発信、意見交換を行い、当該技術の理解の醸成を図りました。特にゲノム編集技術等の育種利用については、より多くの消費者に情報発信等ができるよう出前講座やオープンラボ交流会、大規模シンポジウムを実施したほか、漫画等のコンテンツの作成等のサイエンスコミュニケーション等の取組を強化しました。

オ 開発技術の迅速な普及・定着

(ア)「橋渡し」機能の強化

a多様な分野のアイデア・技術等を農林水産・食品分野に導入し、イノベーションの創出に向けて、基礎から実用化段階までの研究開発を切れ目なく推進しました。

b大学、民間企業等の地域の関係者による技術開発から改良、開発までの取組を切れ目なく支援しました。

cSBIR制度を活用し、農林水産・食品分野において、サービス事業体の創出やフードテック等の新たな技術の事業化を目指すスタートアップ・中小企業が行う研究開発・大規模技術実証等を切れ目なく支援しました。

d『「知」の集積と活用の場 産学官連携協議会』において、ポスターセッション、セミナー、ワークショップ等を開催し、技術シーズ・ニーズに関する関係者間の情報交換やマッチングを促すとともに、研究成果の社会実装・事業化等を支援しました。

e研究機関、生産者、社会実装の担い手等が行うイノベーションの創出に向けて、研究成果の展示会、相談会等により、技術交流を推進しました。

fコーディネーターを全国に配置し、技術開発ニーズ等の収集、研究シーズとのマッチング支援や商品化・事業化に向けた支援等を行い、研究の企画段階から産学官が密接に連携し、早期に成果を創出できるよう支援しました。

(イ)効果的・効率的な技術・知識の普及指導

国と都道府県が協同して、高度な技術・知識を持つ普及指導員を設置し、普及指導員が試験研究機関や民間企業等と連携して直接農業者に接して行う技術・経営指導等を引き続き推進しました。

また、効率的・効果的な普及指導活動の実施に向けて、普及指導員による新技術や新品種の導入等に係る地域の合意形成、新規就農者の支援、地球温暖化や自然災害への対応といった公的機関が担うべき分野についての取組を強化しました。さらに、計画的に研修等を実施し、普及指導員の資質向上を推進しました。



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