第3節 農業の生産基盤の確保に向けた取組
農業者の減少・高齢化等に直面する我が国の農業においては、荒廃農地(*1)が拡大し、地域の農地が適切に利用されなくなることが懸念されています。また、生産性の向上や農業生産活動が継続的に行われるようにするため、農業生産基盤の整備・保全により良好な営農条件を備えた農地・農業用水を確保し、これらの有効利用を図ることが必要です。
本節では、農地面積の動向や担い手への農地の集積・集約化の取組、水田の大区画化、汎用化・畑地化の状況等について紹介します。
*1 現に耕作に供されておらず、耕作の放棄により荒廃し、通常の農作業では作物の栽培が客観的に不可能となっている農地
(1)農地の確保に向けた取組
(農地面積は減少傾向で推移)
令和7(2025)年の農地面積(*1)は424万haと、前年に比べ3万3千ha減少しました(図表2-3-1)。これは、荒廃農地からの再生等による増加があったものの、耕地の荒廃や転用等による減少によるものです。作付(栽培)延べ面積も減少傾向が続いており、令和6(2024)年の耕地利用率は90.4%と、前年に比べ0.6ポイント低下しました。
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*1 農林水産省「耕地及び作付面積統計」における耕地面積の数値
(新たに発生した荒廃農地面積は2万4千ha)
令和6(2024)年度に新たに発生した荒廃農地面積は2万4千haとなりました(図表2-3-2)。これは、農業者の高齢化・病気・死亡、担い手・労働力不足等によるものです。
一方、新たに再生利用された荒廃農地面積は8千haとなりました。これは、耕作の再開、農地所有者・地域住民による保全活動等によるものです。なお、令和7(2025)年3月末時点における荒廃農地面積は25万7千ha、このうち再生利用が可能な荒廃農地面積は9万8千haとなっています。
引き続き、地域における積極的な話合いを通じて、多面的機能支払交付金や中山間地域等直接支払交付金の活用、担い手への農地の集積・集約化、農山漁村活性化法(*1)に基づく農山漁村活性化計画の策定等による放牧等の農地の粗放的な利用等により荒廃農地の発生を防止するとともに、農業委員会による所有者等への利用の働き掛け等により荒廃農地の再生利用に取り組むこととしています。
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*1 正式名称は「農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律」
(所有者不明農地への対応を推進)
所有者不明土地の解消に向けて、令和3(2021)年に民法等が改正され、令和6(2024)年4月から相続登記の申請が義務化されましたが、相続未登記農地の面積は、令和7(2025)年3月末時点で49万7千ha、このうち遊休農地(*1)は2万2千haとなっています。
このような中、所有者不明農地であっても、農業委員会が行う探索・公示の手続により農地中間管理機構(以下「農地バンク」という。)経由で担い手へ貸付けできる仕組みを措置し、担い手への農地の集積・集約化を進めています。農地バンクに貸付けを行った所有者不明農地の面積は、令和7(2025)年3月末時点で294haとなっています。
くわえて、不在村の農地所有者が増加すると、その所有農地の利用が困難になるおそれがあるため、地域計画の枠組みにおいて、所有者だけでなく相続人まで意向を把握し、相続前における権利移転の促進や、相続発生の時点で農地の適正利用を確保する新たな方策を検討する必要があります。
*1 以下の(1)、(2)のいずれかに該当する農地をいう。
(1)現に耕作の目的に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的に供されないと見込まれる農地
(2)その農業上の利用の程度がその周辺の地域における農地の利用の程度に比し著しく劣っていると認められる農地((1)に掲げる農地を除く。)
(法人の農業参入を推進)
我が国においては、農地法上、基本的に、農地を所有できる法人は農地所有適格法人に限られており、その他の一般法人はリース方式による農地の権利取得が認められています。
令和6(2024)年1月時点の農地所有適格法人の経営面積の合計は69万3千ha、1法人当たりの平均面積は31.7haとなっており、農地の受皿として大きな役割を果たしています。また、令和7(2025)年4月の改正後の農業経営基盤強化促進法に基づく農業経営発展計画制度の開始により、認定農業者として一定の実績があること等の要件を満たす農地所有適格法人が、取引実績のある食品事業者等から出資を受けて農業経営の発展に取り組む場合、計画認定によって議決権要件の特例を受けることができるようになりました(*1)。
農地を借りて農業経営を行うリース法人数は増加傾向で推移しており、令和6(2024)年1月時点では、4,544法人と前年に比べ423法人増加しました。リース法人の借入面積の合計は1万8千ha、1法人当たりの平均面積は4haとなり、それぞれ前年に比べ3千ha、0.3ha増加しています。
*1 これにより、農地所有適格法人は農地の権利移転等の重要事項に関する農業関係者の拒否権を確保しつつ、最大3分の2未満まで食品事業者等から出資を受けることが可能となる。
(外国法人等による農地取得面積の合計は175ha)
令和6(2024)年の外国法人等による農地取得面積の合計は175haでした。内訳を見ると、外国法人や海外居住外国人が主要株主等や理事等となっている法人による農地取得が3社、1.3ha、国内居住外国人による農地取得が377者、95ha、国内居住外国人が主要株主等や理事等となっている法人による農地取得が32社、79haとなっています。
我が国において農地を取得する際には、農地法において、取得する農地の全てを効率的に利用して耕作の事業を行うこと、必要な農作業に常時従事すること等の要件を満たし、地域とのつながりを持って継続的・効率的に農業を営む必要があります。引き続き、農地法の適切な運用により農地の適正な利用を確保していくこととしています。
(担い手への農地集積率は前年度に比べ1.1ポイント上昇)
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担い手への農地集積率(*1)については上昇傾向にあり、令和6(2024)年度は61.5%と前年度に比べ1.1ポイント上昇しました(図表2-3-3)。
農業者の減少が進行する中、農業の生産基盤を維持する観点から、農地の受け手となる農業経営体の役割が一層重要となっており、農地バンク等の活用や基盤整備の推進により、「地域計画」において目標地図(*2)に位置付けられた受け手への農地の集積・集約化を進めていく必要があります。
*1 耕地面積のうち、認定農業者等の担い手が利用している面積の割合
*2 トピックス1を参照
(農地バンクの借入面積は前年度に比べ1万1千ha増加)
農業現場においては、農地の集積・集約化を進めることによって、(1)作業がしやすくなり、生産コストや手間を減らすことができる、(2)スマート農業等にも取り組みやすくなる、(3)遊休農地の発生防止を図ることができるなどの効果が期待できます。このため、農地バンクにおいては、地域内に分散・錯綜(さくそう)する農地を借り受け、まとまった形で担い手へ再配分し、農地の集積・集約化を実現する農地中間管理事業を行っています。
令和6(2024)年度の農地バンクの借入面積は6万3千haと前年度に比べ1万1千ha増加したほか、転貸面積は7万2千haと前年度に比べ1万ha増加し、このうち担い手に新たに集積された面積は2万5千haと前年度に比べ4千ha増加しました。
農地バンクは、地域計画において、将来の農地の利用者として位置付けられた農業者に対して、農地の集積・集約化を進めていくこととしています。一方、令和7(2025)年度から、市町村の農用地利用集積計画が農地バンクの農用地利用集積等促進計画へ統合され、農地の権利設定の業務効率化等の課題も生じています。
農林水産省では、農地バンクが農地をまとめて借り受けた場合には、農業者の費用負担がない基盤整備、農地の集約化等に取り組む地域等への機構集積協力金の交付、出し手に対する固定資産税の軽減を支援措置として講じています。
(農業委員会による農地利用の最適化に向けた活動を推進)
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農業委員会は、農地法等の法令業務や農地利用の最適化業務を行う行政委員会で、全国の市町村に設置されています。農業委員と農地利用最適化推進委員(以下「推進委員」という。)から構成され、農業委員は農地の権利移動の許可等を審議し、推進委員は現場で農地の集積・集約化や遊休農地の解消、新規参入の促進といった農地利用の最適化に向けた現場活動を担っています。
農業委員会系統組織では、地域計画の策定に向け、地域内における農地の出し手・受け手の意向把握、目標地図の素案作成を担うとともに、その実現に向けた活動、農地バンクへの農地貸付け等を積極的に促進することとしています。
農業委員会数は横ばい傾向で推移しており、令和7(2025)年は1,696委員会となっています(図表2-3-4)。また、農業委員数は22,933人、推進委員数は17,474人で、合わせて40,407人となっています。
(農業振興地域制度に基づき農用地の確保を推進)
農林水産省では、農業上の利用を図るべき土地の区域を設定する農業振興地域制度と個々の農地の転用等を規制する農地転用許可制度等により農地の確保とその有効利用を図っています。農業振興地域制度では、都道府県知事が、一体として農業の振興を図ることが相当であると認められる地域を農業振興地域として指定することとしており、さらに市町村において、同地域内の土地について農用地等として利用すべき土地の区域(以下「農用地区域」という。)を定めることとしています。この農用地区域内の土地については、開発行為が制限されるほか、農地転用許可制度において転用が不許可とされるなどの措置がとられています。
令和7(2025)年4月の改正後の「農業振興地域の整備に関する法律」では、その目的規定に、食料の安定供給の確保及びそのために必要な農用地等を確保する旨が明記されるとともに、国と地方公共団体の責務が明確化されています。また、農用地区域からの除外に係る都道府県の同意基準として都道府県の面積目標の達成に支障を及ぼすおそれがないことを規定するとともに、国の関与に係る手続を整備し、農地の総量確保(令和12(2030)年時点で確保すべき農地面積目標412万ha)のための措置の強化を図ることとしています。
農業振興地域制度及び農地転用許可制度
URL:https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukei/totiriyo/index.html
(2)農業生産基盤の整備・保全
(新たな土地改良長期計画を策定)
令和7(2025)年9月に、令和7(2025)年度から令和11(2029)年度までを計画期間とする新たな土地改良長期計画を閣議決定しました。同計画は、「生産性向上等に向けた生産基盤の強化」、「農業用水の安定供給及び良好な排水条件の確保」、「増大する災害リスクに対応するための農業・農村の強靱(きょうじん)化」、「農村の価値や魅力の創出」の四つの政策課題を設定しています。今後は、コストの徹底的な低減に向けた農地の大区画化、中山間地域等における管理作業の省力化整備を推進するとともに、老朽化する農業水利施設の補修・更新、防災重点農業用ため池の防災工事等を集中的かつ計画的に進めていくこととしています。
(農地の大区画化、水田の汎用化等を推進)
令和6(2024)年の水田の整備状況を見ると、水田面積全体(232万ha)に対して占める割合は、30a程度以上の区画に整備済みの面積は69.3%(161万ha)、50a以上の区画に整備済みの面積は12.6%(29万ha)、労働時間の大幅な削減を可能とする1ha以上の大区画に整備済みの面積は6.5%(15万ha)となっています。また、暗渠(あんきょ)排水の設置等により汎用化が行われた面積は48.2%(112万ha)となっています(図表2-3-5、図表2-3-6)。
一方、令和6(2024)年の畑の整備状況を見ると、畑面積全体(195万ha)に対して占める割合は、畑地かんがい施設整備済み面積は26.1%(51万ha)、区画整備済み面積は66.1%(129万ha)となっています。
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これまで麦・大豆等の生産拡大や生産性向上に向けて整備を進め、農地整備率の高い市町村ほど麦や大豆の作付率が高くなっており、農業生産基盤の整備が畑作物の生産拡大に向けて重要な要素となっていることがうかがわれます(図表2-3-7)。
今後、農業者が減少する中で、生産性向上を図るためには、担い手への農地の集積・集約化及びスマート農業の推進に資する基盤整備を推進する必要があります。
農林水産省では、農地の大区画化に加え、大区画化が困難な中山間地域等においても、区画拡大、管理作業の省力化に資する農地の整備等を推進するとともに、産地形成等に向けた水田の汎用化・畑地化等に引き続き取り組んでいくこととしています。
(事例)基盤整備を契機とした法人への農地の集積と高付加価値化の取組(兵庫県)
兵庫県新温泉町(しんおんせんちょう)では、農業者個人による水稲を中心とした農業が営まれており、高齢化が進んでいる上、水路が用排水兼用の土水路で、その維持管理に多大な労力を要しており、排水不良が生じていました。
このような課題に対応するため、ほ場の大区画化や用排水路のパイプライン化といった農業生産基盤の整備を実施しました。基盤整備を契機として平成29(2017)年に集落営農を法人化し、農事組合法人「戸田(へだ)営農組合」が発足しました。令和7(2025)年において基盤整備を実施した20.2haの農地のうち、同法人への集積面積は13.5ha、集積率は67%となり、農作業や維持管理作業の効率化による生産コストの低減を実現しています。
さらに、環境への負荷が少なく付加価値の高い減農薬ブランド米や、地元酒造会社との契約栽培による酒米の生産が拡大しており、これらの生産額は同法人設立時から約2.5倍の3千万円となり、農業者の所得向上に貢献しています。
これらの取組を進め、雇用の創出や経営基盤の強化を図り、新たに安心して農業に従事できる環境を整備して担い手を確保することで、地域の農業を次世代につないでいくことを目指しています。

減農薬ブランド米
資料:戸田営農組合
酒米栽培の様子
資料:戸田営農組合
(標準耐用年数を超過している基幹的施設は59%、基幹的水路は50%)
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基幹的農業水利施設の整備状況は、令和6(2024)年3月末時点で、基幹的施設数が7,781か所、基幹的水路の延長が5万2,118kmとなっており、これらは土地改良区等が管理しています(図表2-3-8)。
基幹的農業水利施設は老朽化が進行しており、標準耐用年数(*1)を超過している基幹的施設が4,622か所、基幹的水路が2万5,814kmで、それぞれ全体の59.4%、49.5%を占めています。
また、経年劣化やその他の原因による農業水利施設の漏水等の突発事故については、令和6(2024)年度は1,886件となっており、多発しています。このため、令和7(2025)年4月の改正後の土地改良法においては、農業者からの申請のみならず、国又は都道府県の発意による事業実施を通じて、計画的に施設を更新する仕組みや、突発事故の復旧と併せて行う類似の被害防止対策、老朽化等により損壊が生じるおそれがある農業水利施設の迅速な補強等を通じて、事故の未然防止を図る仕組みが設けられています。
農林水産省では、これらの仕組みを的確に活用して、農業水利施設を長寿命化し、ライフサイクルコスト(*2)の低減を進めるとともに、適期の更新整備と事故防止の取組を推進することとしています。
*1 所得税法等の減価償却資産の償却期間を定めた財務省令を基に農林水産省が定めたもの
*2 施設の建設に要する経費、供用期間中の維持保全コストや、廃棄に係る経費に至るまでの全ての経費の総額
(人口減少に対応した農業水利施設の維持管理の効率化・高度化を推進)
都市化の進展、集中豪雨の激甚化・頻発化等により、施設管理者は複雑かつ高度な維持管理を行うことが求められている一方、農村人口の減少等により、施設操作等に係る人員や、土地改良区の賦課金収入の確保が困難となりつつあり、この傾向は今後より一層深刻化するおそれがあります。
農業水利施設の維持管理の効率化・高度化や突発事故の発生防止に向け、基幹施設においては、ハード面での対応(農地面積や営農の変化を踏まえた集約・再編等によるストックの適正化)のほか、ソフト面での対応(ドローン、ロボット等を活用した管理水準の向上、ICT導入等による施設の操作・運転の省力化・自動化、維持管理要員の確保・育成、土地改良区に対する専門家派遣等)も併せた総合的な対策が重要です。
また、末端施設においては、開水路の管路化、畦畔(けいはん)拡幅、法面(のりめん)被覆といったほ場周りの管理作業の省力化に資する整備を推進していくとともに、末端施設の保全管理を行う地域の活動組織の体制強化を図っていくことが必要となっています。
農業水利施設の保全管理
URL:https://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/sutomane/index.html
(農業水利施設、農業用ため池の防災・減災対策を推進)
激甚化・頻発化する自然災害に適切に対応するためには、豪雨・地震への対策、農業水利施設等の老朽化対策等を通じた適切な防災・減災対策が重要です。
このうち、農業用ため池については、ため池管理保全法(*1)に基づき、適切な管理及び保全を推進しています。また、決壊した場合に人的被害を与えるおそれのある防災重点農業用ため池については、防災工事等を集中的かつ計画的に推進するため、ため池工事特措法(*2)に基づき、都道府県知事が防災重点農業用ため池を指定するとともに、防災工事等推進計画を策定することとなっており、令和7(2025)年3月末時点で指定された防災重点農業用ため池は約5万2千か所となっています。
農林水産省では、防災重点農業用ため池の監視・管理体制を強化するため、令和8(2026)年2月末時点で42道府県において設立されている「ため池サポートセンター」による農業用ため池の管理者等への技術的な指導、助言等の活動を支援しています。また、令和7(2025)年3月末時点でハザードマップ等を作成した防災重点農業用ため池の数は、全体の約98%となっています。
さらに、災害発生時に緊急点検対象となる農業用ため池を自動抽出して、市町村やため池管理者等へ点検を依頼し、点検結果を国や都道府県へ共有する「ため池防災支援システム」の活用や、点検結果の報告等が現地において可能な「ため池管理アプリ」の普及を推進するとともに、農業用ため池への水位計、監視カメラ等の遠隔監視機器の設置を支援しています。
*1 正式名称は「農業用ため池の管理及び保全に関する法律」
*2 正式名称は「防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法」
(事例)農業用ため池の遠隔監視により防災・減災対策を強化(長野県)

農業用ため池に設置された
遠隔監視機器
資料:長野県
長野県では、農業用ため池の適切な管理と大雨時の安全かつ迅速な点検を実施するため、同県内の市町村等から要望があった防災重点農業用ため池149か所に水位計、カメラ等の遠隔監視機器を設置するとともに、得られた水位データや画像データの集約・閲覧が可能な「長野県ため池監視システム」を構築しました。
遠隔監視機器が農業用ため池の水位上昇を検知すると、ため池管理者等に警戒メールが通知されます。また、同システムを通じて水位データと静止画がインターネット上で一般公開されており、遠隔での水位確認が可能となっています。これらにより、災害に備えた的確な事前対応や、ため池管理者等の現地確認作業の負担軽減が図られています。
さらに、大雨前後の水位データ、放流時間、気象情報等を踏まえ総合的に判断し、ため池の事前放流を適切に行うことで、決壊リスクを回避するとともに流域治水の取組にも寄与しています。
(土地改良区の運営体制の強化を推進)
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土地改良区は、農業水利施設の整備、農地の大区画化等のほか、農業水利施設の保全管理も行っています。土地改良区の数は合併の推進もあり減少傾向で推移しており、令和6(2024)年度には4,043地区となっているほか、1土地改良区当たりの受益面積は拡大傾向にあり、同年度には596haとなっています(図表2-3-9)。しかしながら、同年度における専任職員不在の土地改良区は全体の約5割を占めているなど、いまだ小規模で専任職員が不在の土地改良区も多いことから、将来の農業水利施設の保全管理体制の確立や、運営基盤の強化に引き続き取り組んでいく必要があります。
このような中、改正後の土地改良法では、改正基本法の方向性に即した農業生産基盤の整備・保全の取組が位置付けられており、土地改良区は、将来にわたる保全体制を構築する連携管理保全計画(通称は「水土里(みどり)ビジョン」)を作成し、市町村や関連施設の管理者等の地域の関係者と連携して土地改良施設及びその関連施設を保全する連携管理保全事業を実施することができるようになりました。
(事例)地域住民が一体となって農業水利施設の維持管理を実施(香川県)
香川県の香川用水(かがわようすい)土地改良区は、高松市(たかまつし)を中心とした同県の複数市町にまたがる農業水利施設の維持管理を担っており、農家のみならず、地域住民とも一体となって活動に取り組んでいます。
同土地改良区は、香川用水の幹線水路等の沿線地域住民等に施設巡視員として登録してもらい、ごみの投棄や漏水等について随時情報を提供してもらうことで、農業水利施設に異常が発生した際に迅速な対応ができるようにしています。このことにより、登録者に農業水利施設を地域の財産として認識してもらうことにもつながっています。
また、同県内の小学生を対象とし、農業水利施設の清掃体験や出前授業を実施しています。同土地改良区の若手職員が中心となり、水に関する同県の歴史への理解を促すとともに、将来は様々な立場から香川用水と関わりを持ってもらうことを目指しています。
同土地改良区は、今後も香川用水を適切に次世代に引き継いでいくため、その重要性や水の大切さ等を積極的に情報発信していくこととしています。

農業水利施設の清掃体験
資料:香川用水土地改良区
出前授業
資料:香川用水土地改良区
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