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農林水産省

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第6節 農作業安全の確保と農業生産工程管理・衛生管理


我が国における農業の持続的な発展を図るためには、農作業環境の安全対策の強化と農業者の安全意識の向上が重要です。また、農業生産の各工程の実施、記録、点検及び評価を行うことによる持続的な改善活動(GAP(*1))や、HACCP(*2)の考え方を生産農場段階に採り入れた飼養衛生管理手法の高度化も必要です。

本節では、農作業安全の確保に向けた取組のほか、GAPや農場HACCPの推進について紹介します。

*1 Good Agricultural Practicesの略

*2 Hazard Analysis and Critical Control Pointの略で、危害要因分析及び重要管理点のこと。我が国においては、令和3(2021)年6月から、原則全ての食品等事業者についてHACCPに沿った衛生管理が義務化されている。

(1)農作業安全の確保

(農作業事故の死亡者数は287人と前年の236人から51人増加)

令和6(2024)年の農作業事故の死亡者数は287人となり、前年から51人増加しました(図表2-6-1)。このうち熱中症による死亡者数は59人と、前年から22人増加しました。就業者10万人当たりの死亡者数は14.8人であり、全産業平均の1.1人と比較して極めて高い水準となっています(図表2-6-2)。

また、同年の夏が記録的な暑さとなったこともあり、5月から9月までの死亡者数は184人で前年の132人から52人増(うち熱中症が21人)となり、高温が熱中症のみならず熱中症以外の事故にも影響している可能性が考えられます。要因別では農業機械作業に係るものが156人と半数以上を占めており、このうち乗用型トラクタに係るものが53人で最多となっています。

図表2-6-1 農作業中の死亡事故発生状況

データ(エクセル:26KB

図表2-6-2 就業者10万人当たりの死亡者数

データ(エクセル:27KB

(農作業における熱中症等対策総合パッケージの推進)

気温が上昇傾向にある中、熱中症等の発生リスクを低減するため、農林水産省では、農業者の安全意識の強化を推進するとともに、農作業の省力化・軽労化に資する生産方式への転換を進める「農作業における熱中症等対策総合パッケージ」を令和8(2026)年2月に取りまとめ、関係機関を挙げて強力に推進していくこととしています。具体的には、4月から6月までを「熱中症等対策研修強化期間」とし、地域における農業者向けの研修を推進するほか、特に熱中症リスクの高い7月から9月までを「夏の熱中症等対策声かけ期間」とし、農業者への声かけ運動を展開していくこととしています。

また、農業経営にスマート農業技術の導入や農業支援サービスの活用、農作物の高温対策を組み込んで熱中症等のリスクを低減する栽培方式である「ホワイト生産方式」への転換に向け、関連する支援策を活用して推進することとしています。

農作業における熱中症等対策総合パッケージ

(乗用型トラクタ等の安全対策を強化)

乗用型トラクタでの道路走行時における
シートベルトの着用を呼び掛けるチラシ

農業機械に係る農作業中の死亡事故要因では乗用型トラクタに係るものが最も多く、その中で機械の転落・転倒によるものが最多となっています。また、道路で発生した農耕作業用自動車の転落・転倒事故においても乗用型トラクタの事故が最も多く発生しています。

このため、国土交通省は令和7(2025)年6月に道路運送車両の保安基準を改正し、令和9(2027)年1月以降に製造される乗用型トラクタから、道路走行時のシートベルトの着用が義務付けられることとなりました。

また、農業機械の安全性の向上に向け、農研機構において安全性検査が実施されています。令和7(2025)年4月には、海外や他産業で普及している安全装置の装備を新たに盛り込むなどの検査基準の改訂が行われ、乗用型トラクタや自脱型コンバイン等を対象に新基準での検査が行われています。

(2)GAPや農場HACCPの推進

(国際水準GAPの取組拡大を推進)

農林水産省では、「食品安全」、「環境保全」、「労働安全」(*1)、「人権保護」、「農場経営管理」の5分野を含むGAPを国際水準GAPと呼称しています。令和4(2022)年3月に「我が国における国際水準GAPの推進方策」を策定するとともに、我が国共通の取組基準として「国際水準GAPガイドライン」を策定し、その普及を推進しています。

図表2-6-3 GAP認証取得経営体数

データ(エクセル:30KB

我が国では、主にGLOBALG.A.P.(*2)、ASIAGAP(*3)、JGAP(*4)の3種類のGAP認証が普及しています。令和6(2024)年度のGAP認証取得経営体数は、7,414経営体となっています(図表2-6-3)。

農林水産省では、令和7(2025)年度を国際水準GAPの本格実施年として、その普及を加速化しています。大阪・関西万博や令和8(2026)年の第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)、令和9(2027)年のGREEN×EXPO 2027において、GAP認証農産物や国際水準GAPガイドラインに準拠したGAPに基づき生産された農産物は、持続可能性に配慮した農産物の調達基準への適合度が高いものとして位置付けられています。また、政府は、令和8(2026)年2月にグリーン購入法(*5)に基づく、国、独立行政法人及び特殊法人が環境物品等の調達を総合的かつ、計画的に推進するための基本的事項を定めた「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」を閣議決定し、GAP認証農産物等やこれを原材料とする加工品の取扱いが、新たに食堂での調達基準に位置付けられました。農林水産省では、これらの国際的なイベントの開催や普及促進に向けた取組を契機として、国際水準GAPの取組を更に推進していくこととしています。

*1 使用者(事業者)は、作業者の労働安全のために、ほ場、作業道、農産物取扱施設等における危険な場所、危険な作業に関するリスク評価を行い、事故やけがを防止する対策を実施することとしている。

*2 ドイツのAgraya GmbHが策定した第三者認証のGAP

*3 一般財団法人日本GAP協会が策定した第三者認証のGAP。対象は青果物、穀物、茶。令和10(2028)年に終了予定

*4 一般財団法人日本GAP協会が策定した第三者認証のGAP。対象は青果物、穀物、茶、家畜・畜産物

*5 正式名称は「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」

(事例)GAPの取組によって働く人に優しい農業を実現(群馬県)

(1)自然災害の経験から、リスク管理のためGAP認証を取得

群馬県伊勢崎市(いせさきし)の株式会社国太郎(くにたろう)は、約5haのビニールハウスでこまつなの周年栽培に取り組んでおり、過去に経験した台風や大雪による自然災害の経験から、GAPを活用した災害対策・リスク管理を行っています。同社は、平成29(2017)年に全国優良経営体表彰を受けており、その受賞式の際に出会った全国の優良経営体の多くがGAP認証を取得して持続可能な経営に取り組んでいることを知り、平成31(2019)年3月に自らもJGAP認証を取得し経営の柱として位置付けています。

(2)GAPの取組によって働く人に優しい農業を実現するとともに、GAP認証の普及にも貢献

日々の記帳の煩雑さを解消するべく、本認証に準拠した形式で、栽培から労務までを一括して管理できる自社の作業体系に合わせたオリジナルソフトを会計事務所と共同で作成し、栽培の記録、肥料・農薬の使用履歴の記録、在庫管理、収穫量管理、雇用管理を一括して実施しています。

また、労働安全の観点からも、従業員からの提案でサマータイムを導入したほか、疲れにくい高さかつ床清掃ができるような移動分割式の作業台や荷受台を作成するなど、全員で自作することを基本として作業場改善に取り組んでおり、従業員の主体性と協調性を両立させています。

このような農業生産工程管理の改善を通じて、企業的な経営の効率化のみならず、家族的な協調性の醸成にもつなげており、働く人に優しい農業を実現しています。

さらに、同社は、令和2(2020)年度から、同県の農業経営・就農支援センターの担い手支援スペシャリストとして、認証取得を希望する経営体への支援・指導を行うほか、農業経営においてGAPを取り入れる意義についての講演を行うなど、GAP認証の普及にも貢献しています。

群馬県伊勢崎市

出荷したこまつな

資料:株式会社国太郎

社長の宮田さんと従業員

社長の宮田さんと従業員

資料:株式会社国太郎

(農場HACCPの推進)

畜産物の安全性を向上させるためには、個々の畜産農場における衛生管理を向上させ、農場から消費者までの一貫した衛生管理を行うことが重要です。

畜産においては、持続可能性に配慮した生産工程管理であるGAPに加え、畜産物の安全性確保のための高度な飼養衛生管理手法である農場HACCPの普及・定着を図るとともに、認証取得等を推進しています。

家畜の生産段階における飼養衛生管理の向上について
(農場HACCP等)
URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/douei/katiku_yobo/k_haccp/


お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883

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