ワタの種子を輸入される方々へ(詳細)
ワタについて
ワタの基本的な情報
用途
綿花は綿糸・綿織物などの製綿用などに用いられます。また、種子は食用油のほかマーガリンや石鹸の原料として、搾油後の粕は精製して主に飼料や肥料として用いられます。
種類
ワタの栽培種としては4種(学名 Gossypium arboretum L., Gossypium herbaceum L., Gossypium hirsutum L., Gossypium barbadense L.)が知られています。日本で古くから栽培されているのはGossypium arboretum L.です。
形態
ワタは、アオイ科ワタ属の植物で、栽培種は一年生です。
日本では、一般的には、草丈1 m~1.5 m程度で栽培されます。
ワタは成熟すると、はじけて、3~5室から成るコットンボール(さく)となります。それぞれの室の中に数個の種子が形成されるため、1つのコットンボールにつき25 ~ 35個の種子を形成します。脱粒性は低く、栽培種は休眠性を最小限に抑えられています。
ワタの花の様子(写真左)。写真では淡い黄色だが、品種によっては白色や紫色のものもある(花の直径は5cm程度)。
コットンボールの様子(写真右)。写真のコットンボール(大きさは直径7cm程度)は5室に分かれている。それぞれの室の中に、数個の種子が形成される。
生育環境及び栽培地域
ワタの発芽又は実生の生育には 15 ℃以上が必要で、 38 ℃以上になると生育が遅延することが知られています。品種にもよりますが、最適生育温度は昼温 25 ℃から 35 ℃の間で、25 ℃以下では生育量は著しく低下します。また、正常な生育には、霜の無い期間が 180~200日以上並びに 500 mm以上の降雨量が必要です。
主なワタの栽培国は、インド、中国、アメリカ、パキスタンです。また、これらの国々で栽培されている遺伝子組換えワタの形質には、以下のようなものがあります。
(参考)海外で栽培されている遺伝子組換えワタの形質(複数の形質を併せ持つ場合もあります)
- 除草剤グリホサート耐性
- 除草剤グルホシネート耐性
- チョウ目害虫抵抗性
繁殖の方法
ワタは、基本的には自家受粉(一つの植物体の花粉が同じ個体の雌しべの柱頭につく受粉)しますが、マルハナバチやミツバチ等の虫媒等による他家受粉(ある植物体の花粉が別の個体の雌しべの柱頭につく受粉)も知られています。花粉は比較的重く粘着性が高いことから、風により運ばれる可能性は少ないとされています。
遺伝子組換えワタについて
海外における遺伝子組換えワタの栽培について
現在、アメリカをはじめとした15ヵ国において、グリホサートなどの除草剤への耐性(※1)や、チョウ目害虫に対する抵抗性(※2)を付与した遺伝子組換えワタの栽培が認められています。そのため、輸入する種子袋の表示やカタログの記載等に組換え体の形質を示す記載(PDF:120KB)がある場合、当該種子は組換え体と考えられます。
(※1)特定の除草剤を使用しても枯れない形質
(※2)特定の害虫を寄せ付けない形質
我が国で食用または飼料用で使用できる遺伝子組換えワタについて
日本では、除草剤への耐性や害虫への抵抗性が付与された遺伝子組換えワタについて、食用又は飼料用での使用等が認められています。これらのワタは、Gossypium hirsutum L., 又はGossypium barbadense L.を用いて作出されています。
いずれの遺伝子組換えワタについても、栽培用として用いた場合の生物多様性影響について審査がなされていないため、日本で遺伝子組換えワタを栽培すると法律違反となります。
現在までに、食用又は飼料用での使用等が認められている遺伝子組換えワタの系統については、「第一種使用規程の承認状況」のページの承認した遺伝子組換え農作物一覧をご覧下さい。
遺伝子組換えワタの生物多様性への影響について
ワタは日本では古来より長期にわたり栽培されてきました。これまで、自然環境下(人為による栽培以外)で自ら世代交代しているとの報告や、野生動植物の生育に影響するような物質を作るとの報告はなく、ワタの種子を食べる野生動物の報告もありません。しかしながら、前述の通り、遺伝子組換えワタは、国内において栽培用としての評価はされておらず、カルタヘナ法に基づく栽培の承認がされていません。このため、我が国で遺伝子組換えワタを栽培すると法律違反になります。
(参考情報)
- 除草剤グルホシネート及びチョウ目害虫抵抗性ワタの申請書等の概要
- 専門の学識経験者の意見
- 意見募集の実施結果
http://www.biodic.go.jp/bch/bch_3_1_8.html (環境省)[外部リンク]
遺伝子組換え農作物について
遺伝子組換え農作物とは
遺伝子組換え技術とは、ある生物が持つ遺伝子の一部を、他の生物の細胞に導入して、その遺伝子を発現(遺伝子の情報をもとにしてタンパク質が合成されること)させる技術のことです。
この技術を活用して、様々な性質を持つよう改良した農作物のことを遺伝子組換え農作物といいます。
遺伝子組換えの概要をお知りになりたい方は「生物多様性と遺伝子組換え(基礎情報)」のページをご覧ください。
栽培しようとする際に安全性を確保するための仕組み
我が国で遺伝子組換え農作物を栽培しようとする場合には、カルタヘナ法に基づき、事前に、品種ごとに、生物多様性への影響について、科学的に審査し、問題がないことを確認することになっています。
カルタヘナ法に関する詳細な情報については「カルタヘナ法とは」のページをご覧ください。
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課
担当者:組換え体企画班・組換え体管理指導班
代表:03-3502-8111(内線4510)
ダイヤルイン:03-6744-2102