食品中のアクリルアミド分析について
食品中のアクリルアミドを低減するために必要な措置を判断する上で、どの食品にどれくらいの濃度のアクリルアミドが含まれるのかを知ることが必要です。これによって、優先的にアクリルアミドの低減を図るべき食品を把握したり、低減技術の効果を検証したりすることができ、より効率的な低減対策につなげることができます。 ここでは、食品中のアクリルアミド分析の概要と分析機関にアクリルアミド分析を依頼するときに役立つ情報をご紹介します。 |
食品中のアクリルアミド分析の概要
食品中のアクリルアミドについては、様々な分析方法が報告されています。
そもそも、分析を発注したり、自ら測定を行うときには、
- 分析対象とする食品は何か?
- 対象とする食品の分析法は存在するのか?また、その分析法の妥当性は確認されているか?
- どれくらいの濃度範囲をどのくらいの精度で分析するのか?
- どのような機器を使うことができるのか ?
- どれくらいの費用、時間及び労力をかけられるのか?
などを考えて、それに見合った分析法、分析機関を選択することが重要です。
食品中のアクリルアミドは、一般的に右図のような手順を経て分析します。
まず、試料を機器分析に適した形態に調製し、アクリルアミドの検出を妨害する不純物等を取り除くことを目的として、前処理を行います。
具体的には、分析用試料である食品について、1製品分・1食分などある程度まとまった量(必要な量やサンプリングの方法は、何を代表する濃度を知りたいのかにより異なります)をフードプロセッサーやホモジナイザー等で均質化し、必要に応じて内部標準物質を加えた後、水や有機溶媒で抽出します。抽出した溶液は固相カラム等を用いて不純物を取り除きます(精製)。分析機器としてガスクロマトグラフを用いる場合には、通常アクリルアミドをGC分析に適した分子に変換(誘導体化)します。
次に、アクリルアミドを調製液から分離し、検出するために機器分析を行います。現在はLC-MS/MSやGC-MSを用いる方法が主流です。
これらの分析法は、比較的高価な機器と高度な技術が必要であるため、現在、日本で食品中のアクリルアミドについて受託分析を行っている分析機関は限られています。上記のような機器、設備が整った試験室があれば自ら行うことができますが、採用した分析法の性能を再現できるかどうか検証することが重要です。
信頼できるデータを得るためには、妥当性が確認された分析法を用いて、適切な精度管理の下で分析を行うことが不可欠です。分析法の妥当性確認や試験所の精度管理についてはこちらをご覧ください。
参考
- Safety evaluation of certain contaminants in food. WHO Food Additives Series, No. 55/FAO Food and Nutrition Paper, No. 82 (WHO, 2006)
分析機関にアクリルアミド分析を依頼するときは…
食品中のアクリルアミド分析に必要な機器や能力を自ら有していない場合には、外部の分析機関に依頼することができます。食品中のアクリルアミドの分析は、国内では別表の分析機関が受託しています。分析機関により、受託可能な食品の種類、定量限界、価格、納期等は異なりますので、依頼者の目的に合った分析機関を選択するようにしましょう。
また、科学的に信頼できるデータを得る観点からは、分析値の信頼性を客観的に証明できる分析機関に依頼することが大切です。詳しくは各分析機関にお問い合わせください。
なお、本表に掲載した分析機関の分析技能やデータの信頼性を、農林水産省が保証しているわけではありません。
掲載を希望する分析機関の方は、下記問い合わせ先までご連絡下さい。
別表:食品中のアクリルアミドの受託分析を行っている分析機関一覧(PDF : 164KB)(令和5年1月現在)
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674
FAX:03-3597-0329