食品ロス統計調査(世帯調査・外食産業調査)の概要
調査の目的
食品ロス統計調査は、世帯及び外食における食品ロスの実態を把握し、食品の食べ残しや廃棄の減少に向けた取組等の推進に資することを目的とする。
調査の沿革
平成12年 : | 世帯における食べ残し等を調査する「世帯調査」、外食産業等の食品産業における食べ残しと食品廃棄の状況を調査する「外食産業調査」、「食品小売業調査」、「食品卸売業調査」及び「食品製造業調査」を実施 |
平成13年 : | 「世帯調査」以外は休止し、新たに全国の食品製造業、食品卸売業、食品小売業及び外食産業を営む事業所を調査対象とした「食品循環資源の再生利用等実態調査」を実施 |
平成15年 : | 「外食産業調査」の対象を食堂・レストランに限定し調査を再開 |
平成18年 : | 「外食産業調査」の調査対象を食堂・レストランに加え、結婚披露宴、宴会、宿泊施設を営む事業所とし調査を実施 |
平成19年 : | 「外食産業調査」を休止 |
平成20年 : | 「世帯調査」、「外食産業調査」ともに休止 |
平成21年 : | 「世帯調査」、「外食産業調査」ともに調査を再開 |
平成22年 : | 「世帯調査」、「外食産業調査」ともに休止 |
平成26年 : | 「世帯調査」を実施 |
調査の根拠法令
調査は、統計法(平成19年法律第53号)第19条第1項に基づく一般統計調査として実施している。
調査の対象
- 世帯調査
(1) 調査の範囲
全国
(2) 調査対象
住居及び生計を共にする者の集まり又は独立して住居を維持し、若しくは独立して生計を営む者の世帯(家族と一緒に間借りや同居しているもの及び一人で1戸を構えて暮らしているものも含む。) - 外食産業調査
(1) 調査の範囲
札幌市、仙台市、東京都特別区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、神戸市、広島市及び福岡市
(2) 調査対象
食堂・レストラン、結婚披露宴、宴会及び宿泊施設を営む事業所
抽出方法
- 世帯調査
地方公共団体等からの情報収集及び公募により作成した標本抽出名簿から、世帯を代表する調査対象を有意に抽出した。 - 外食産業調査
インターネット等による情報収集により作成した標本抽出名簿から、調査対象を有意に抽出した。
調査事項
- 世帯調査
世帯における食品の使用状況(下処理をする前の重量又はそのまま食事に提供した重量、調理時に食べられない部分として取り除いた重量、食べ残して捨てた重量及び賞味期限切れ等で食卓に出さずにそのまま捨てた重量)を調査する。 - 外食産業調査
食品使用量及び食べ残し量
(1) 調査対象メニューは、食堂・レストランは昼食を、宿泊施設は宿泊客に提供された夕食を対象とし、調査対象事業所ごとに、食堂・レストランにおいては5メニュー、結婚披露宴、宴会及び宿泊施設においては1コースを選定した。
(2) 厨房内での調査の制約から、食べ残しのみを調査しており、厨房内での廃棄は調査していない。
調査の時期
- 世帯調査
平成26 年12 月を調査月とし、連続した7 日間(1 週間)とした。
なお、前回平成21年度調査では、年4回(6月、9月、12月、3月)各月の連続した7日間(1週間)とした。 - 外食産業調査
調査対象期間は9月から翌年1月までの期間のうち任意の1日間とした。
調査の方法
- 世帯調査
農林水産省-民間事業者の流れによって行い、調査対象世帯に対して調査票を配布・回収する自計申告の方法によって行った。調査票の記入は、調査対象世帯による実測、記帳によった。 - 外食産業調査
農林水産省-民間事業者-調査員の流れによって行い、民間事業者の調査員が調査対象事業所に出向いて行う実測調査及び調査対象への聞き取りによる方法によって行った。
集計・推計方法
- 世帯調査
次の式により算出している。
注:1 直接廃棄重量
賞味期限切れ等により料理の食材又はそのまま食べられる食品として使用・提供されずにそのまま廃棄した重量
注:2 過剰除去重量
調理時にだいこんの皮の厚むきなど、不可食部分を除去する際に過剰に除去した可食部分の重量。これには、腐敗等により食べられないことから除去した可食部分の重量も含まれる。 - 外食産業調査
次の式により算出している。
用語の解説
- 世帯調査
(1)食品使用量
家庭における食事において、料理の食材として使用又はそのまま食べられるものとして提供された食品であって、魚の骨など通常食さない(食べられない)部分を除いた重量をいう。これには、本来、食品として使用・提供されるものが、結果的に賞味期限切れ等により使用・提供されずにそのまま廃棄された食品の重量 も含まれている。
(2)食品ロス量
家庭における食事において、使用・提供された食品の食べ残し及び廃棄されたものをいい、世帯調査においては、次のとおり分離し た。
ア 食べ残し
家庭における食事において、料理の食材として使用又はそのまま食べられるものとして提供された食品のうち、食べ残して廃棄したものをいう。
イ 廃棄
(ア) 直接廃棄
家庭における食事において、賞味期限切れ等により料理の食材又はそのまま食べられる食品として使用・提供されずにそのまま廃棄したも のをいう。
(イ) 過剰除去
家庭における食事において、調理時にだいこんの皮の厚むきなど、不可食部分を除去する際に過剰に除去した可食部分をいう。具体的には、文部 科学省「日本食品標準成分表」の廃棄率を上回る除去をしたもの、油脂類については、「食料需給表」の廃棄率を上回る廃棄をしたものとした。
なお、これには、腐敗等に より食べられないことから除去した可食部分も含まれている。
世帯調査で把握した食品ロスの範囲(概念図)
食品使用量は、農林水産省「食料需給表」の純食料に相当するもので、国内消費仕向量から、(ア)食用以外(飼料用等)に仕向けられた量及び(イ)輸送途上における減耗、倉庫、店頭 等における貯蔵中の減耗を除いたものから、(ウ)みかんの皮、魚の骨、野菜くず、米ぬかなどの不可食部分を除いたものである。
(3) 食事管理者
世帯において、食材の購入、調理などを行う、家庭での食事管理の主体となる者をいう。 - 外食産業調査
(1) メニュー
食事において、代金の支払いをもって客に提供される定食(例えば、焼魚定食、とんかつ定食などを指し、焼魚、とんかつなど主となる料理に加え、ごはん、みそ汁、漬けものなど複数の料理を組み合わせたもの)又は一品料理(単品のラーメン、牛丼、オムライスなど)をいう。
(2) 調理品
定食に含まれる料理又は一品料理をいう。例えば、焼魚定食(焼魚、ごはん、みそ汁、漬けもののセット)であれば、焼魚、ごはん、みそ汁、漬けもの、それぞれの料理を指し、一品料理(単品のラーメン、牛丼、オムライス)であれば、ラーメン、牛丼、オムライスなどを指す。
(3) メニューの食数及び調理品の食数
メニューの食数は定食又は一品料理をカウントしたものをいい、調理品の食数は定食に含まれる料理品ごと又は一品料理をカウントしたものをいう。
(4) 提供量及び提供量に対する食べ残し量
提供量は客に提供された定食の料理ごと又は一品料理ごとの重量であって、魚の骨などの通常食さない(食べられない)部分を除いた重量をいい、提供量に対する食べ残し量は食器上に食べ残された料理の重量をいう。
例えば、焼魚定食(焼魚、ごはん、みそ汁、漬けもののセット)であれば、焼魚、ごはん、みそ汁、漬けもの、それぞれの料理の重量と食べ残された重量を指す。
なお、外食産業調査においては、ラーメン、そば、うどん等のつゆ、天ぷら等のつけ汁、薬味等の必ずしも完食しない部分の食べ残しについては、食べ残し量には含めないこととした(食品使用量に対する食べ残し量についても同じ。)。
(5) 食品使用量及び食品使用量に対する食べ残し量
食品使用量は客に提供された定食の料理又は一品料理を食品区分に基づいて分離した重量をいい、食品使用量に対する食べ残し量は食器上に食べ残された料理を食品区分に基づいて分離した重量をいう。
調査票
食品ロス統計調査(外食産業調査(食堂・レストラン))(PDF:239KB)
利用上の注意
- 世帯調査
(1) 食品ロスの定義について、平成14年度調査までは不可食部分(魚の骨や果物の皮等)が食後に食卓に残った場合、これらを食べ残しとしていたが、15年度調査以降は食後に食卓に残ったものが不可食部分であった場合、食べ残しとしないよう改善を図った。このため15年度調査以降の結果と、14年度調査までの結果とは接続しない。
(2) 調査対象期間について、平成15年度調査までは9月~10月までのうち、連続した7日間(1週間)であったが、16年度調査から21年度調査までは以降は6月、9月 、12月及び翌年3月の各調査月ごとに任意の連続した7日間(1週間)とし、26 年調査では12月を調査月とし、連続した7日間(1 週間)とした。
(3) 食品別の結果については、食品によって出回り時期が限られるものもあり、今回の調査では出現しなかった食品もあることから、必ずしもその食品の平均を現していない場合も想定される。
(4) 統計数値については、単位未満の端数を四捨五入したため、計と内訳の積み上げ値が一致しない場合がある。
(5) 統計表中に用いた記号は次のとおりである。
「0.0」又は「0.00」:単位に満たないもの(例:0.04%→0.0%、0.004回→0.00回)
「-」:事実のないもの - 外食産業調査
(1) 統計数値については、単位未満の端数を四捨五入したため、計と内訳の積み上げ値が一致しない場合がある。
(2) 統計表中に用いた記号は次のとおりである。
「0.0」:単位に満たないもの(例:0.04g→0.0g)
「-」:事実のないもの
利活用事例
- 「食育基本法」に基づく新たな「食育推進基本計画」の策定
- 「食品ロス削減関係省庁等連絡会議」や「食品ロス削減等総合対策事業」等において、食品ロス削減のための意識改革に向けた取組を推進するための施策の企画・立案
Q&A
1.食品ロス統計調査とは
Q 食品ロス統計調査とはどのような調査ですか?
A 食品ロス統計調査は、世帯及び外食産業における食品ロスの実態を把握し、食品の食べ残しや廃棄の減少に向けた取組等の推進に資することを目的とする調査です。
Q 食品ロス統計調査の結果からどのようなことがわかりますか?
A 世帯調査の結果からは、世帯食における食品使用量、食品ロス量及び食品ロス率等を調査しています。外食産業調査の結果からは、食堂・レストラン、結婚披露宴、宴会、宿泊施設別の食べ残し量の割合等がわかります。
Q 食品ロス統計調査はどのように利用されているのですか?
A 食育基本法に基づいて、食育推進基本計画を策定することとされており、この策定に資するために開催される食育推進基本計画検討会の資料として食品ロス率が利用されています。
また、消費者自らが食品ロスの削減を意識した消費行動等を実践する自覚を形成するため普及啓発方策について検討・協議する際の資料などに利用されています。
2.結果の公表について
Q 調査の結果はいつ頃公表されるのですか?
A 農林水産省のホームページで年間の公表予定を掲載していますので、大まかな時期はそちらを参考にして下さい。また、具体的な公表予定日時については、公表日を含む週の前週の金曜日に週間公表予定という形で掲載しますのでそちらで確認して下さい。
(リンク先:農林水産統計公表予定 )
3.プライバシーの保護について
Q 調査票に記入されたプライバシーは保護されるのでしょうか?
A この調査は、「統計法」(平成19年法律第53号)に基づく統計調査として行われます。
統計調査に従事する者には統計法により守秘義務が課せられており、違反した場合には罰則(2年以下の懲役又は100万円以下の罰金)が科せられます。また、過去に統計調査に従していた者に対しても、同様の義務と罰則が規定されています(統計法第41条、第57条第2号)。
このように、統計調査の業務に従事する者、あるいは過去に従事していた者に対して守秘義務と厳しい罰則が設けられているのは、調査対象となる方々に、調査項目全てについて、安心して回答いただくためです。
この調査でいただいた回答(調査票)は、外部の人の目に触れないよう厳重に保管され、統計法で認められている統計の作成・分析の目的にのみ使用されます。統計以外の目的に利用することや、外部に出されることは一切ありませんので、安心してご記入ください。
お問合せ先
大臣官房統計部生産流通消費統計課消費統計室
担当者:食品産業動向班
代表:03-3502-8111(内線3717)
ダイヤルイン:03-3591-0783