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農林水産省

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令和5年度第2回畜産部会議事録

令和5年度第2回畜産部会議事録(PDF : 659KB)

1. 日時及び場所

日時:令和5年12月13日(水曜日) 10時00分~15時14分

会場:農林水産省 第3特別会議室(web併催)

2. 議事

午前10時00分開会

○新井畜産総合推進室長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから令和5年度第2回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席を賜り誠にありがとうございます。
私、当部会の事務局を担当しております畜産局総務課の新井でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、小針部会長に議事を進めていただきたいと思いますので、小針部会長、よろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
おはようございます。部会長の小針でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに渡邉畜産局長に御挨拶を頂きたいと思います。
渡邉畜産局長、お願いいたします。
 
○渡邉畜産局長
おはようございます。
令和5年度第2回食料・農業・農村政策審議会の畜産部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日お集まりいただいている皆様方におかれましては、年の瀬を迎え大変お忙しい中、本部会に御出席を頂きまして誠にありがとうございます。また、日頃より畜産業の発展に向けまして御協力、御尽力を頂いておりますことに、深く感謝を申し上げる次第でございます。
本日は、令和6年度の畜産物価格などといたしまして、加工原料乳生産者補給金の単価、集送乳調整金の単価、それから総交付対象数量、また、肉用子牛の生産者補給金制度におけます保証基準価格と合理化目標価格、また、鶏卵生産者経営安定対策事業におけます補塡基準価格と安定基準価格について、農林水産大臣から諮問、そしてそれを踏まえて御審議を頂くことになります。委員の皆様方からそれぞれのお立場から、お考えから、忌憚のない御意見を承りたいというふうに考えております。
円安による飼料費を始めとした生産コストの上昇ですとか需給の動向ですとか、厳しい経営環境の中で日々畜産物の安定供給に御尽力を頂いている意欲のある生産者の方々が、前向きに畜産・酪農に取り組めるよう活発な御議論をお願いをいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。
本日はどうぞよろしくお願いしたいと存じます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
報道の方は、ここで終了といたしますので御退室ください。
 
(報道退室)
 
○小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、御出席の委員の紹介、委員の出欠状況の報告などについて事務局からお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
まず、本日配付をしております資料について確認をさせていただきます。
会議資料、会場の委員の方におかれましては、お手元のタブレットの端末に資料の一覧、資料1から6、あと参考資料1及び2の計九つのシートが表示されているかと思います。また、資料3から資料5のところに関しては、3であれば3-1、3-2、3-3という形で、一つのタブの中に枝番三つ資料がございます。これら全て確認されていることを御確認いただければと思います。また、タブレットの使用に関して不明な点がございましたら、近くに控えている職員に遠慮なくお問合せいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。リモートの委員におかれましても資料を事前に送らせていただいておりますが、よろしくお願いいたします。
次に、資料2の委員名簿に沿いまして委員を御紹介いたします。まず会場に出席いただいている委員の方から御紹介いたします。
まず、部会長の小針委員でございます。
次に、椛木委員です。
 
○椛木委員
よろしくお願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
石田委員です。
 
○石田委員
よろしくお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
井上委員です。
 
○井上委員
よろしくお願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
大山委員です。
 
○大山委員
よろしくお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
小椋委員です。
 
○小椋委員
よろしくお願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
小山委員です。
 
○小山委員
よろしくお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
畠中委員です。
 
○畠中委員
よろしくお願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
羽田委員です。
 
○羽田委員
お願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
馬場委員です。
 
○馬場委員
馬場です。よろしくお願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
続きまして、リモートにて参加いただいている委員3名御紹介させていただきます。
まず宮島委員です。ありがとうございます。
里井委員です。
 
 
○里井委員
よろしくお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
彦坂委員です。ありがとうございます。
なお、本日、二村委員、川田委員、駒井委員、庄司委員、前田委員、松田委員におかれましては、所用により欠席との連絡を受けております。
審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ、会議を開き議決することができないと定められておりますが、本日は19名の委員のうち現時点で13名の委員の皆様に出席を頂いておりますので、規定数を満たしていることを御報告いたします。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、本日は令和6年度の畜産経営の安定に関する法律に基づく総交付対象数量並びに加工原料乳の生産者補給金及び集送乳調整金単価、肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格並びに、鶏卵の補塡基準価格及び安定基準価格を定めるに当たり留意すべき事項につきまして御審議いただきます。
本日の審議の結果、当部会の答申が出ますと、規定によりそれが審議会の答申とされることとなっております。そのため審議には十分な時間を取りたいと考えておりますが、委員の皆様も大変お忙しいことと存じますので、できるだけ効率的な運営に努めたいと思います。御協力のほどよろしくお願いいたします。
本日のスケジュールですが、まずは事務局からそれぞれの諮問内容等に関連して説明いただき、その後、委員の皆様からの御意見を伺い、12時をめどに昼休みを取ることといたします。そして13時から議事を再開いたしまして、14時15分くらいまでをめどとして午前に引き続き御意見を伺った後、委員の皆様から農林水産大臣からの諮問内容に対する賛否をお伺いしたいと思います。その後、委員の皆様から出された意見の概要を事務局に取りまとめていただきますので、14時半頃から1時間程度の休憩を挟みます。休憩後、意見の概要の案を皆様にお諮りして答申案を固めた後、諮問に対する答申を行いたいと思います。全体で16時10分頃には終了したいと考えております。
以上のとおり議事を取り進めたいと考えておりますが、御異議ございますでしょうか。
御異議なしと認め、そのようにしたいと思います。
それでは、本日付けで農林水産大臣から食料・農業・農村政策審議会に諮問がございますので、牛乳乳製品課長から諮問文の朗読をお願いいたします。
 
○須永牛乳乳製品課長
牛乳乳製品課長の須永でございます。
諮問文を朗読させていただきます。お手元の資料3-1でございます。
畜産経営の安定に関する法律第6条第3項の規定に基づき、令和6年度に交付する加工原料乳についての生産者補給交付金等に係る総交付対象数量並びに生産者補給金の単価及び集送乳調整金の単価を定めるに当たり留意すべき事項について、貴審議会の意見を求める。
以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは続きまして、朗読いただいた諮問に関連し、牛乳乳製品課長から説明をお願いいたします。
 
○須永牛乳乳製品課長
資料3-2に基づきまして、令和6年度加工原料乳生産者補給金単価等の算定概要について御説明いたします。前半に算定の考え方を御説明し、後半にその考え方に基づく算定結果を御説明いたします。
まず算定の考え方について御説明いたします。
1ページ御覧ください。まず単価についてですが、補給金及び集送乳調整金単価は平成13年度以降、変動率方式により算定しております。具体的には、下側青い箱でお示ししている補給金については、搾乳牛1頭当たりの生産費の変動率を搾乳牛1頭当たりの乳量の変動率で除して算出した、生乳1キログラム当たりの生産費の変動率を、令和5年度単価に乗じることにより、令和6年度の単価を算定しております。
生産費の変動率につきましては、令和2年から4年の3年間の生産費を分子に、その1年前までの3年間の生産費を分母に置いた上で、分子については可能な限り直近までの酪農経営情勢を反映するため、本年8月から10月の直近3か月間、分母については、1年前の8月から10月の3か月間の物価に、それぞれ修正して計算します。これにより、直近の物価動向を織り込んだ上で昨年からの変動率を算出しております。
また、上側赤い箱でお示ししている集送乳調整金についても、算式は補給金単価と同様となっておりまして、加工原料乳の集送乳経費の変動率を加工原料乳の集送乳量の変動率で除して算出した、加工原料乳1キログラム当たりの集送乳経費の変動率、これを令和5年度単価に乗じることにより、令和6年度の単価を算定しております。
集送乳経費の変動率につきましても、令和2年度から4年度の3年間の集送乳経費を分子に、その1年前までの3年間の集送乳経費を分母に置いた上で、補給金同様、直近の物価に修正して計算します。これにより、直近の物価動向を織り込んだ上で、昨年からの1年間の集送乳経費の変動率を算出しております。
次に、2ページ目を御覧ください。飲用牛乳及び乳製品の需要等に応じて定める総交付対象数量の算定方法について御説明します。
加工原料乳に対して交付される補給金や調整金は、交付される数量の最高限度として総交付対象数量が設定されており、国産乳製品の需要が拡大基調にあるときは、その数量を増やし、国産乳製品の需要が減少傾向にあるときは、その数量を減少させるなどの数量設定を行うことで、需給の安定を図るというものになっております。総交付対象数量は、推定国産乳製品向け生乳消費量から、脱脂粉乳・バター需給に直接影響を与えますカレントアクセス輸入量及びTPP11、日EU・EPA関税割当数量を控除して、国産乳製品の需要に対して設定するものとなっております。
それでは、算定結果について御説明します。3ページ目、御覧ください。ただいま御説明しました補給金と集送乳調整金単価の算定の考え方に沿って算定した結果をお示ししています。左が本年度の単価、右が令和6年度単価の算定結果でございます。まず下の青い箱でお示ししております補給金単価につきましては、本年度から23銭上げの8円92銭となりました。次に、上の赤い箱でお示ししております集送乳調整金単価につきましては、本年度から3銭上げの2円68銭となりました。その結果、補給金と集送乳調整金を合わせた単価は、本年度から26銭上げの11円60銭となりました。
 
4ページ目を御覧ください。こちらが補給金単価の算定結果の詳細になります。搾乳牛1頭当たり生産費の変動率については、初妊牛価格の下落に対して飼料価格の高騰や、ヌレ子を始めとした子牛価格の下落による副産物収入の減少等の上げ要因もあった結果、1.0525となりました。主な内訳は餌費、飼料費が1.0484、乳牛償却費が0.9778、副産物が1.0103となっています。搾乳牛1頭当たりの乳量の変動率については、搾乳牛1頭当たり乳量が増加した結果、1.0248となりました。これらから生産コスト変動率は1.0270となり、これを令和5年度単価である8円69銭に乗じると、令和6年度単価は8円92銭という結果となります。
続きまして、5ページ目を御覧ください。集送乳調整金単価の詳細についてです。加工原料乳の集送乳経費の変動率については、集送乳に係る輸送単価が上昇傾向で推移した結果、1.0341となりました。主な内訳は集送乳委託費でして、1.0349となっております。加工原料乳の集送乳量の変動率については、加工原料乳の集送乳量が増加した結果、1.0242となりました。これらから集送乳コストの変動率は1.0097となり、これを令和5年度単価である2円65銭に乗じますと、令和6年度単価は2円68銭となるということになります。
6ページ目を御覧ください。最後に、総交付対象数量についてです。繰り返しになりますが、総交付対象数量は、推定国産乳製品向け生乳消費量から、カレントアクセス輸入量及びTPP11、日EU・EPAの関税割当数量を控除して、国産の乳製品需要量に対して設定をしております。下の表にお示ししている項目のうち、総交付対象数量の算定に直接影響しますD3の推定国産乳製品向け生乳消費量、これについては、国民1人当たりのバター、国産脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、脱脂濃縮乳、国産ナチュラルチーズの消費量などから算出しております。令和6年度については、乳製品の消費量、特に脱脂粉乳等の消費量の減少が見込まれることから、令和5年度を下回るものと推定をしております。この推定結果を図示したものが次のページになります。
7ページ目になります。令和6年度の国産生乳需給の見通しを表しています。総交付対象数量は、ピンク色で示されている推定乳製品向け生乳消費量である341万トンから、右上のカレントアクセス輸入量14万トン、それと令和5年度の関税割当枠の消化状況を考慮した令和6年度のTPP11、日EU・EPA関税割当数量3万トン、これを差し引いた結果、令和5年度からマイナス5万トンの325万トンとなりました。
なお、自家消費等量のD1、牛乳等向けのD2、総交付対象数量のLの合計が、国産生乳の需要量、すなわち推定国産の生乳必要量になりますが、この必要量と推定した国産生乳生産量の差は、要調整数量と設定しております。要調整数量は18万トンとなっておりまして、国産乳製品の需給均衡を図るための調整に必要な数量を意味しております。これは、バターの需要は見込まれるものの、同時に生産される脱脂粉乳の需要は見込めないということから、消費拡大や在庫低減対策によって調整する必要がある数量と考えております。
続けて、関連する対策についても御説明いたします。8ページ目を御覧ください。生乳流通改善緊急事業についてです。集送乳調整金の算定ルールにおいては、御案内のように直近物価動向を反映するということとされております。このため、2024年4月からのトラックドライバーに対する時間外労働の上限規制の適用を間近に控えて、今後の集送乳経費の上昇が懸念されている一方で、これらは算定に加味することができませんので、こうしたことを踏まえて関連対策として、ALIC事業により流通を合理化する取組を緊急で促すための奨励金を、更に7銭交付したいと考えております。
続いて9ページ目を御覧ください。脱脂粉乳需給改善緊急事業についてです。生乳からバターを作りますと同時に脱脂粉乳が作られます。総交付対象数量325万トンに要調整数量18万トンを加えた加工仕向け343万トン、このうち少なくとも18万トン程度は、国産バターの需要はありますが、ヨーグルト需要の低迷などによって国産脱脂粉乳の需要は見込めていないと考えております。このため、バターと脱脂粉乳の需給不均衡を改善する取組を促すとともに、325万トンを超える18万トンについては、バター分のみに単価を充てる数量を13万トンとし、5万トンについては11円67銭の単価を充てることとしたいと考えています。また、下段の米印に注書きをしておりますが、バターのみに単価を充てる13万トンについて、対象の仕向け量が13万トンを下回る場合、2分の1の係数を1までの範囲で引き上げて予算額を最大限活用できるようにすることで、この取組を推進していきたいというふうに考えています。
以上、御説明していただいた内容をまとめたものである10ページを御覧ください。補給金等単価につきましては、昨年度から合計しますとプラス33銭の11円67銭で、内訳が加工原料乳生産者補給金で昨年度からプラス5銭の8円92銭で、集送乳調整金はALIC事業の集送乳経費を合理化するための緊急事業、先ほど御説明したものと合わせてプラス10銭の2円75銭となります。また、数量につきましては、昨年度からプラス、昨年度は交付対象数量にALICで10万トン足していまして340でした。それに対してプラス3万トンの343万トンとなりました。内訳は、総交付対象数量が325万トンで、ALIC事業のバターと脱脂粉乳の需給不均衡を改善する事業の対象数量は18万トンとなります。この結果、支援総額は昨年度からプラス7億円の393億円となります。内訳は、補給金等が前年度の374.2億円からプラス2.8億円の377億円、ALIC事業が前年の11.3億円からプラス4.3億円の15.7億円となります。
以上が、今年度の加工原料乳生産者補給金等の算定結果と関連対策となります。
以上となります。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは次に、食肉鶏卵課長から肉用子牛に関する諮問文の朗読をお願いいたします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長の猪口でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料4-1、諮問文を読み上げさせていただきます。
 
 
5畜産第1770号
令和5年12月13日
食料・農業・農村政策審議会
会長大橋弘殿
農林水産大臣宮下一郎
諮問
肉用子牛生産安定等特別措置法(昭和63年法律第98号)第5条第7項の規定に基づき、令和6年度の肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格を試算に示した考え方で定めるに当たり留意すべき事項について、貴審議会の意見を求める。
 
以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは続きまして、朗読いただいた諮問に関連し、食肉鶏卵課長より説明をお願いいたします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
それでは、お手元の資料4-2、肉用子牛の保証基準価格等の算定概要に基づいて御説明させていただきます。
表紙をおめくりいただき1ページ目をお願いいたします。まず、肉用子牛生産者補給金制度でございますが、上段枠内にありますとおり、一つ目として、牛肉輸入自由化後における肉用子牛価格の低落に対処すること、2点目といたしまして、中長期的に肉用牛生産の合理化によって輸入牛肉に対抗し得る国産牛肉価格の実現を図ること、この2点を目的としております。右の吹き出しにあるとおり、上の保証基準価格は肉用子牛の再生産を確保することを旨として定められる価格であり、下の合理化目標価格は、輸入牛肉に対抗し得る肉用牛生産を確立するための目標価格でございます。本制度は、肉用子牛の平均売買価格が下落した際、保証基準価格から合理化目標価格までの間については国が10分の10を補塡し、合理化目標価格を下回った部分については、国、県、生産者が積み立てた財源から9割を補塡します。図にありますとおり、令和5年度は黒毛和種の場合、保証基準価格は55万6,000円、合理化目標価格は43万9,000円となっております。
次に、2ページを御覧ください。保証基準価格の算定式について御説明いたします。
まずは和子牛についてです。平成30年度に見直しを行って以降この算定式を用いており、令和6年度についてもこの式で算出しております。具体的には、まず左端の水色の部分ですが、平成23から29年度までの7年間の生産費をベースとした基準価格であり、これは毎年固定となります。次に黄色の部分、生産コストの変化率につきましては、分母は平成23年から29年度の7年間の平均的な生産費になっています。分子は毎年変化する部分で、今回は令和6年度の生産費の推計値となります。その右横の緑色の部分ですが、市場取引換算係数でございまして、農家の庭先価格から市場取引価格に換算するための係数でございます。右端の赤色の部分でございますが、品種格差係数でございます。黒毛和種、褐毛和種などの3種類の和牛の子牛価格に変換するもので、平成28年11月から令和5年10月までの直近7年間の取引価格を基に係数を算出しております。
3ページを御覧ください。和子牛の保証基準価格の計算結果でございます。基準価格は毎年固定で50万1,162円です。生産コストの変化率につきましては、分母は基準期間の生産費であり、こちらも毎年固定の53万8,589円です。分子の令和6年度の推計生産費につきましては、令和4年までの過去7年間の生産費のトレンドや直近の経済事情で物価修正し、これらを踏まえて推計すると、配合飼料価格などの飼料費の上昇などにより57万8,658円となり、変化率は1.074となっております。これに、市場取引価格に換算するため、農家庭先価格と市場取引価格との一次回帰式から求めた係数を掛けまして、さらに、過去7年間の黒毛和種と褐毛和種の子牛の市場取引価格と品種ごとの和子牛の市場取引価格の価格差から算出した品種格差係数を掛けます。黒では1.002、褐毛では0.913、その他肉専用種では0.582となっております。最後に千円単位に丸めまして、結果、黒毛和種は、令和5年度の価格から8,000円上がりまして56万4,000円、褐毛和種につきましては、令和5年度から7,000円上がりまして51万4,000円、その他肉専用種は3,000円上がりまして32万8,000円となります。
次に、4ページをお願いいたします。乳用種及び交雑種の保証基準価格です。こちらにつきましては、和子牛と異なり品種格差係数はございません。
おめくりいただきまして5ページでございます。乳用種及び交雑種の保証基準価格の計算結果でございます。和子牛同様に基準価格は、乳用種は15万916円、交雑種は25万4,216円となっております。生産コストの変化率における分母の基準期間の生産費は、乳用種は15万5,127円、交雑種は26万7,684円と固定でございます。分子の令和6年度の生産費の推計値でございますが、乳用種、交雑種ともに配合飼料価格などの飼料費の上昇がございます一方で、生産費の五、六割を占める素畜費、こちらが低下傾向にありますことから、乳用種は16万4,384円、交雑種は28万1,880円となり、変化率はそれぞれ1.060及び1.053となっております。これに和子牛同様、農家の庭先販売価格と市場取引価格との一次回帰式から求めた係数を用いて、それぞれの市場取引価格に換算いたします。結果、これを千円単位にまとめますと乳用種は16万4,000円、交雑種は27万4,000円と、いずれも令和5年度から据置きとなります。
次に、6ページをお願いいたします。合理化目標価格でございますが、まず算定式を御説明いたします。保証基準価格と同様、平成30年度に算定式の見直しを行っておりますが、具体的には、まず水色の部分、輸入牛肉に対抗可能な子牛価格を求めます。輸入牛肉価格に国産牛肉と輸入牛肉の品質格差を加味して、輸入牛肉に対抗できる国産牛肉価格を算出いたします。それを生きた肥育牛の農家販売価格へ換算し、そこから合理的な肥育経費を引きまして、肥育農家が購入する子牛価格を算定いたします。この価格に緑色の市場取引価格換算係数を掛けて市場取引価格に換算いたしまして、最後に赤色の品種格差係数を掛けて品種ごとに算出しています。
7ページを御覧ください。ただいま御説明した算定式に基づき計算したところ、輸入牛肉価格が上昇していることから、黒毛和種は令和5年度の価格から5,000円上がりまして44万4,000円、褐毛和種は令和5年度から4,000円上がりまして40万4,000円、その他の肉専用種は令和5年度から2,000円上がりまして25万8,000円となります。
次に、8ページをお願いいたします。最後に、乳用種及び交雑種の合理化目標価格についてでございます。和子牛と違い品種格差係数はございません。
9ページでございます。算定式に基づき計算しましたところ、乳用種が11万円ちょうど、交雑種が21万6,000円と、いずれも令和5年度からの据置きとなります。
肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格の算定につきましての説明は以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
引き続き食肉鶏卵課長から、鶏卵に関する諮問文の朗読をお願いいたします。
○猪口食肉鶏卵課長続きまして、鶏卵についてでございます。朗読させていただきます。
 
5畜産第1773号
令和5年12月13日
食料・農業・農村政策審議会
会長大橋弘殿
農林水産大臣宮下一郎
諮問
令和6年度の鶏卵生産者経営安定対策事業に係る鶏卵の補塡基準価格及び安定基準価格を試算に示した考え方で定めるに当たり留意すべき事項について、貴審議会の意見を求める。
 
以上でございます。
 
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは続きまして、朗読いただいた諮問に関連し、食肉鶏卵課長より説明をお願いいたします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
それでは、諮問に関しまして資料5-2の算定概要で御説明させていただきます。
おめくりいただきまして1ページを御覧ください。まず鶏卵生産者経営安定対策事業の概要について御説明させていただきます。資料の右側にございます事業イメージを御覧いただければと思いますが、紫色の線、こちらが標準取引価格という鶏卵価格を示しておりますが、標準取引価格が青い線の補塡基準価格を下回った場合に、その差額の9割を補塡する価格差補塡事業が発動されます。そして標準取引価格が更に下落して赤い線、安定基準価格を下回った場合には、鶏舎を長期間空けることで生産量を減産させて需給改善を図る取組に対して奨励金を交付する成鶏更新・空舎延長事業が発動されます。この二つの事業により鶏卵生産者の経営の安定を図るとともに、鶏卵の需給と価格の安定を確保することを目的としております。今回は、この価格差補塡事業の発動基準となる補塡基準価格と、成鶏更新・空舎延長事業の発動基準となる安定基準価格について諮問するものでございます。
2ページ、こちらは御参考までに本事業の実施状況を記載しております。
3ページを御覧ください。算定方法の説明に移ります。まずは補塡基準価格でございますが、上段枠内にございます「基本的な考え方」にありますとおり、鶏卵価格には6年間の周期変動が見られることに加えまして、夏に需要が低迷し卵価が低下するという季節変動が見られるところでございます。補塡基準価格につきましては、低需要期に見られる平均的な価格低落を下回った場合、補塡金により経営の下支えを行うための基準として設定しています。このため、過去6年間を基準期間として、その鶏卵価格の平均値を基にして、生産コストの変化率と低需要期の平均の低落率を織り込んで補塡基準価格を算出することとしています。
次の4ページをお願いいたします。安定基準価格の算定方法でございますが、こちらは通常の変動を超えた大幅な価格低落の際に、需給改善に取り組む基準とする価格でございます。算定式につきましては、補塡基準価格から、基準期間の標準取引価格の平均値と標準偏差から算出した変動の幅を超えて低落した水準として、安定基準価格を算出することとしております。
5ページをおめくりください。こちらが補塡基準価格と安定基準価格のイメージ図でございます。鶏卵価格の推移と補塡基準価格、安定基準価格との関連を模式化した図でございますが、補塡基準価格と安定基準価格の間にある緑色の範囲、こちらが補塡金により経営の下支えを行うところでございます。緑の下にあります黄色の線のところが需給改善に取り組むところを示しています。
次に、算定結果でございます。6ページをお願いいたします。まずは補塡基準価格でございますが、基準期間の標準取引価格の平均値につきましては、平成30年から令和5年までの直近6年間の平均価格であり、207.78円となりました。続いて、生産コストの変化率につきましては、コストの約6割を占める配合飼料やひなの価格などが上昇したことにより1.128となりました。最後に、低需要期の平均低落率につきましては、今年度から僅かに上昇しまして0.949となりました。これらを掛け合わせた結果、補塡基準価格は今年度から13円増となる222円となりました。
7ページをお願いいたします。安定基準価格の算定結果でございますが、安定基準価格につきましては、補塡基準価格を基に一定の下落幅を乗じて算出します。この下落幅の係数となる変動係数につきましては、今年度と同様0.09となりました。この結果、今年度から12円増となる202円となりました。
私からの説明は以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。農林水産省からの説明は以上となります。
それでは、これより委員の皆様から御意見を伺いたいと思います。
また、皆様からの御意見につきましては、事務局で簡潔に整理をしていただき、この部会の場で皆様に御承認を頂いた上で意見の概要として取りまとめ、今後の施策の展開に当たっての参考にしていただきたいと考えております。これにつきましても、部会終了後、公表したいと考えております。
それでは、質疑応答・意見聴取に入りたいと思います。
本日御出席の委員の皆様から、挙手により御意見、御質問など頂きたいと思います。リモートで御参加の委員は、挙手ボタンにてお知らせいただければと思います。
各委員には、約4分程度で御発言いただければと存じます。おおむね4人ずつで御意見をお伺いし、その後、農林水産省から御回答を頂きます。
なお、諮問内容に対する賛否は、後ほど改めて皆様にお1人ずつお聞きしますので、現時点で賛否の有無に触れていただく必要はありません。途中で御退席の予定がある委員におかれましては、退室前にお早めに御発言いただき、その際に併せて本日の諮問を審議するに当たり参考として示された試算値を踏まえ、賛否を御表明いただければと思います。その際、特段の御意見があれば簡潔にお願いいたします。
それでは、御意見のある方は挙手をお願いいたします。
では、馬場委員、よろしくお願いいたします。
 
○馬場委員
諮問に対する賛否については後ほどと言われましたが、私は途中退席をいたしますので、今回の内容については賛成の立場であることを表明いたします。その上で、何点か意見を申し上げたいと思います。
まず加工原料乳の生産者補給金、集送乳調整金、総交付対象数量については、生産コストの上昇や、物流2024年問題なども踏まえて、関連対策も含めて適切に設定いただいているものと認識しています。また、肉用子牛生産者補給金制度においては、特に黒毛和種における保証基準価格が2年連続で上げ改定となるなど、生産コストの上昇を踏まえて設定いただいているものと認識しております。また、今般の畜産物価格等とは別に、様々な対策を補正予算で措置いただきました。これらの対策は、畜産・酪農の生産基盤強化、持続可能な経営実現に向けても重要なものであります。今般の畜産物価格等とともに、JAグループもしっかりと生産現場に周知し、最大限活用を図ってまいりたいと思いますので、国としても十分な周知を頂くようお願いいたします。
そのほか何点か申し上げます。まず生乳の需給調整の在り方についてであります。畜安法の運用改善などの具体的な対応に加えて、次期酪肉近の議論の中でも、今後の取組を整理いただけるものと承知しております。酪農家間の不公平感や、それに伴う地域の分断が生じているという現場の声がある中で、次期酪肉近の議論でも一定の取りまとめができるよう、引き続き十分な御検討をお願いいたします。
また、後継者不足や高齢化など生産基盤が弱体化する中で、今、生産コストの上昇、更に需要の低迷ということで、生産現場はこれまでにない危機的な状況に直面しております。こうした中で、生産現場の営農継続に向けたメッセージとしても、次期酪肉近における政策の方向性がこれまで以上に重要となると思います。国におかれても、持続可能な畜産・酪農経営を実現して食料安全保障を確立する観点から、議論を早期に開始するなど、現場実態を踏まえて十分に議論を尽くしていただけるようお願い申し上げて、意見表明とさせていただきます。ありがとうございました。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、ほかの皆様で御意見ある方は挙手をお願いいたします。
まずは井上委員からでお願いします。
 
○井上委員
質問です。意見じゃないです。子牛生産者補給金についての質問があるんですが、算定基準の計算方法を、今、私、見ていたんですが、これによって基準価格は平成31年度の、平成23年から29年度の7年間を基に計算しているということですね。そして令和6年度の生産費、これを生産コストの変化率として分子に持っていっているということですよね。であれば、直近ここ2、3年すさまじい形でコストが上がっているんですが、それは令和6年度の生産費の推計という形で捉えていただいていると思います。であれば平成31年から令和5年、この4年間の数字というのはどこに入ってくるんでしょうか。私の質問分かりますか。
 
○小針部会長
分かります。すみません、一度ここでその点については御回答をお願いできますか。
 
○猪口食肉鶏卵課長
御質問ありがとうございます。食肉鶏卵課長でございます。
正に基準価格からの生産コストの変化率ということでございますので、正に基準価格は平成31年度、初年度に決めたものとして固定されております。その後の変化率を求めるに当たり、基準期間の生産費と令和6年推計の生産費の変化率を求めるということでございますが、令和6年度の生産費の推計に当たって、直近の物価変動を織り込むとともに令和4年までの生産費、こちらはもう判明しておりますので、こちらのトレンドという形で加味しております。令和4年度の生産費までのトレンドとともに直近の物価変動を加味してやっておりますので、トレンドというところにつきましては令和4年度生産費、こちらまで加味して算定しているところでございます。
 
○小針部会長
井上委員、お願いします。
 
○井上委員
今のは分かりました。その計算方法が、令和6年度の方に令和4年度までのを用いていると、その数字も引っ張っているということですよね。それは分かるんですが、分母はここの5年分が分母で、掛ける分子ですよね。その計算方法ですと、本当の直近のここ2年、3年の物価の上昇が反映されていないと思うんですよ。その部分に対してはどういうふうなお考えでしょうか。
 
○猪口食肉鶏卵課長
お答えいたします。まず令和4年度まで判明している生産費のトレンドで反映させている部分と、あと直近の物価動向で物価修正している部分ということで、正に今、令和5年の直近までの物価、こちらも使っていますので直近の物価変動、例えば餌が高くなっているですとか、光熱費が上がっているとか、そういう部分につきましては、そのトレンドとともに物価修正という形で反映しているので、直近のコストの変動についても十分加味したものになっています。
 
○小針部会長
井上委員、お願いします。
 
○井上委員
すみません、私うまく質問できなくて。分母・分子、分子の部分に6年度の生産費、そこに物価動向も入っていますということですよね。そこは理解できました。でも、計算方法自体が、この分母と分子でやりますと、実際の現実の数字としてのこの2年、3年の原料高が反映されない計算方法になってしまうんでないでしょうかということが質問なんです。計算方法自体に現状を表していないんじゃないのかと。
 
○猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。
正に分母の部分は固定値でございますけれども、分子の部分が変動がある部分でございます。こちらの分子の推計に当たりまして、一番判明している生産費のトレンドとともに直近の物価動向を反映させておりますので、結果、この計算結果に固定している分母、変動する分子、この分子の算定においてコストのトレンドと直近の物価が反映されますので、計算結果にも直近の物価の動向がはっきり反映される計算式になっていると理解しております。
 
○小針部会長
私から、恐らく井上委員がおっしゃりたい話というのは、多分令和6年度の推計となったときの推計になる元のベースのところに何が使われているのかというところに、ちゃんとその飼料費なりなんなりが、上がったものがきちんと入っているかどうかということなんだと思うんですね。ということで理解していいんですよね。
 
○井上委員
それは入っていると私は理解しているんです。ただ、その急激な、いいです、もう4分超えてしまったので。
 
○小針部会長
いいですよ。
 
○井上委員
ここ1年と言ったらいいかな。1年、2年、急激に私どもの生産原価が上がっているんですよね。それをこの計算方式では表現できないと思うんですよ。だからすみません、もともとのこの計算方式に対して問題があるんじゃないかと、今回のこの急激なコスト高に対しては。ですから、この計算方式プラス今回は特別に、何か急激にこの上がってしまったコストに対する何か係数が必要ではないのかなというのが私の意見なんです。すみませんね、説明が下手で。
 
○小針部会長
おっしゃりたいことは分かります。多分それなので資料4ですね。お願いします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
改めまして、まずこの計算式は、まず基準価格というのを、この審議会でも平成31年度の算定に当たって議論して決めた基準値がございます。そこからのコストの変動率を掛けて、保証基準価格を毎年据え置くのか改定するのかというのを判断して計算式でやっていくものでございますが、基準価格からの変動率ということで言うと、まずコストの変動率は反映させています。一方で、急激な変化に対応するというのは、もちろんこの保証基準価格だけで対応しているものではない部分ももちろんありますので、例えば飼料費の大幅な変動について激変緩和をする措置というのも、ここは正にさっきおっしゃった最近としては2年やっていますし、あるいは、これは別途対策ではございますけれども、和牛については別途の臨時対策という形で繁殖農家の皆様をお支えするとか、そういうことをやっておりますけれども、この保証基準価格のものというのは、正に直近だけでなくこの7年のトレンド、キャトル・サイクルという考え方で7年のトレンドという形でやらせていただいておりますので、単年度の大きな変化が一番そのまま直接反映されるというものにはなっていないと思いますが、それは上がるときも下がるときも一緒でございますので、そういうキャトル・サイクル7年のトレンドを踏まえて、あとは物価につきましては直近のものを使うという形でやっておりますので、その大きなトレンドと直近の物価の変動、両方加味した算定式になっていると理解しております。
 
○小針部会長
井上委員。
 
 
○井上委員
そうなんですよね。ある程度の長いスパンで考えなくちゃいけないということは、よく理解を私もしているんですよ。今のお話の揚げ足を取るわけではないんですけれども、ということは農水省の皆様も、直近の対応としてはこれだけでは十分でないと、それほど生産者側が疲弊していると、こんなような状況の中であるので飼料の対策、それから和牛の別途対策というようなことを打っていると、現状の中ではこれだけでは不十分だというふうに認識されていると、そう考えてよろしいんでしょうか。
 
○猪口食肉鶏卵課長
なかなか不十分という言葉を使っていいのかというのはございますけれども、正にこの対策、肉用子牛生産者補給金制度に加えまして様々な対策を加味した上で、繁殖農家の経営を支えるということをやってきているところでございますので、これだけで全国一本でまず下支えするというのは、この正に自由化対策としてのこの対策はやった上で更なる別途対策をやることによって、全体として経営を支えるという考え方でやらせていただいております。
 
○小針部会長
井上委員。
 
○井上委員
私、これ昨日ですね。もちろん決まったのが昨日だから十分勉強する時間がちょっとなかったんですが、これは仕方ないなと思う。和牛の方が6,000円だっけ、8,000だっけ、上げてもらって、交雑ですよね。たしか据置きで27万4,000円。私も、いろいろな農業団体の中から多分推されてここの席に座らせていただいていると思っているんですが、これ同じ仲間に和牛、F1のこの据置きをどんなふうに説明したらいいのかなと思って、どう考えてもこの直近のコスト高が全く反映されていない。いろいろ説明を受けまして納得しなくちゃいけないんでしょうけれども、でも、一緒なんですよね。これ帰って私は仲間に何と説明したらよろしいんでしょうか。
 
 
○小針部会長
食肉鶏卵課長、お願いします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
まず和子牛と乳用種、交雑種の大きな違いは、乳用種、交雑種につきましてはコストの約5割以上を素畜費、いわゆるヌレ子の価格が占めております。このヌレ子の価格が大きく下落しておりますので、乳用種、交雑種の育成農家にとりましてはコストが大幅に下がっている状況でございます。乳用種、交雑種につきましては、素畜の購入費が大きく下がる一方で飼料費とか光熱費、こういったものが大きく上昇している中での変化率がこういうことになっており、一方で、黒毛の繁殖農家にとりましては、もちろん繁殖雌牛の償却費という形では素畜費はもちろん関係してきますけれども、それはコストの中の1割程度でございますので、コストの約5割以上を占める素畜費の低下というのが和子牛と乳用種、交雑種の大きな違いということが、丸めて説明するとそういうことになろうかと思います。
 
○井上委員
よろしいですか。要するにヌレ子の低下がF1子牛の補給金の27万4,000円の現状維持になったということですよね。ヌレ子の低下というのは分かるんですが、これほとんどこの27万4,000円という数字を見ますと、私どもの多分素牛の育成期間というのは、たしか7.何か月と算定していますよね。であれば、その7.何か月という数字の中で多分育成費用は、これは一概に言えませんが、現状ですと21、2万という数字になってしまっている。すると、ヌレ子の数字は、そこから引いた数字というのは本当に5、6万、もっと安くなってしまって、交雑牛は酪農家が生産するものですから、酪農家の本当にその副産物としての子牛がとても価値のない非常に厳しい数字になってしまうというふうに思います。
いつまでも質問しても仕方ないのでもうやめますが、あと和牛に関しては、子牛基金というのは基本的に消費者の方のためになる、そういう制度でなくてはいけないと思うんですよ。今の消費者の方が和牛の肉からちょっと離れているなという感覚を私は受けています、生産していて。それはやっぱり価格、値頃感が大事でしょうと、価格に対して一番影響があるのは今おっしゃったヌレ子、子牛の価格ですよね。その子牛の価格が上がり過ぎてしまうとどうしてもお肉が高くなると、その子牛の価格をある程度安定させなくちゃいけない。それが子牛基金ですよね。それは理解できるんですね、子牛基金で安定させると。
ある程度私ら生産者は、非常に不安定な気持ちで毎日経営しているんですよ、心配がいっぱいで。私はもちろんそうなんですが、複雑なこの農政を全て理解しているわけではないので、そういう政策の1個、2個を一喜一憂してしまうんですよ、どうしても。そうすると今回の保証基準価格の27万4,000円と60、幾らだっけな、であれば、ちょっとがっかりしますよね、気持ち的に。がっかりして生産意欲が衰える、そうすると生産が減る、そうすると足りなくなる、そうすると素牛の価格上昇にはつながるかもしれませんが、お肉の原価が結果上がると、まず私は、生産は減らさないで安定した生産をさせるためには、手厚い繁殖側の手当てが必要だなというふうに感じます。これは今のは意見です。もう質問ではありません。
 
○小針部会長
ありがとうございます。今のところで1点事実としてきちんとしておいた方がいいなと思うのは、3ページと5ページのところで、推定の生産費の分子の部分の数字が出ている、この数字の感度のことだと思うんですね。恐らく今、生産現場として感じられている変動とのというのが、この数字だけだと見えないので、例えばこれが令和4年の出てきた生産費の数字とどれだけ違うのかというところが見えてくると、今のところというのは、ただ、それはきちんとそこも今の御説明だと反映をした形でというのでされているので、きちんと数字で見たときに出てくるものと肌の実感というのは当然違うところも出てくると思うので、そこのところだけ整理するのが可能であればお願いできればと思います。
では、小椋委員、お願いいたします。
 
○小椋委員
小椋です。よろしくお願いします。
私も今の井上委員と同じような計算式の質問をさせていただきます。私は牛乳に関しての質問でありますけれども、12月4日に農水省から発表されました令和4年の生乳生産費であります。これが全国で100万8,902円ということで、前年に比べて14.1%の生産費が公表という数字が出されまして、これを基にそれぞれの計算式の中で今回の補給金、集送乳調整金、限度数量等々が出たのかなと思いますけれども、今、井上委員から話をされたように、この牛乳に関しても直近の経費高、これが今の計算式の中では、昨年もそうですけれども、今年も加味されていない。そういう状況を何とか現状の生産費に合った計算式にしてもらわなければ、この急激にコストが上がった分が反映されていない、そういうふうに私は理解しますし、昨年も同じでありましたけれども、飼料を始め生産費が上がる、為替が円安になる、その急激な対応を、今の3年の平均を取った計算式の中では反映されていない。昨年と比較して14.1%、これが増加しているわけでありますから、これをストレートに加味できる計算式の改定、あるいは急激なコスト高に対応できる別途の計算等々を組み入れていただかなければ、来年も恐らくこのコスト高というのは、恐らく高止まりをしていくのかなと思います。そうなると、来年は今年よりも上げ幅が恐らく小さくなってくる、そういう状況が危惧されますので、是非そこはですね。まあ今年はこの計算式でいかざるを得ないと思いますけれども、次年度以降に向けて内部で十分協議をしていただきたい、そういうふうに思います。
それともう一点でありますけれども、総交付対象数量、これが330万トンから325万トンということで昨日、数字が出ました。それとは別にALIC事業の中で18万トン、トータル合わせて343万トンということで、昨年と比べると3万トン増えてはいるんですけれども、総交付対象数量、それと別に昨年からALICの中で昨年は10万トン、今年は18万トンということで、抱き合わせで343万トンという数字は出てはおりますけれども、これも基本的に総交付対象数量、この中で数字を当てはめていただきたいと思いますし、ALIC事業というのは輸入肉の関税の財源であります。これがいつまで肉以外の牛乳の部門で活用できるのかというのが大きな不安でありまして、ここも総交付対象数量の範疇で取決めをしていただきたいのと、ALIC事業の18万トンの中で13万トン、これがバター、脂肪分で加味するという説明ですけれども、ここがちょっと理解できない。私の頭の中ではどういうふうに捉えていいのか理解できないので、ここも詳しく説明をお願いしたいと思います。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
そうしましたら、もしよろしければ羽田委員、すみません。指名してあれなんですが、大分数字の話が出ているということもありますので、何か専門家の立場の視点から御意見が、よろしくお願いします。
 
○羽田委員
私でよろしいのか分からないんですけれども、今、全業種コスト高、コスト増で、どこをどうすればいいのかという世間というか社会経済状況ですので、そうしたらもうコストを価格に転嫁するしかない状況なんですよね、世間それから社会経済一般。日本が今まで本当に安過ぎたというのがあります。生産者さんも一生懸命やっていらっしゃるし、食料というところで欠かせないところですが、それを全て基金や補助金でプラスできるかといったらできないので、どうするかといったら価格を上げていくしかないと私は思うんですね。価格が上がると、消費者は買い控えるという不安はありますが、今、政策で賃金アップを一生懸命やっているところですので、一方だけ見るとコストで買い控えになるかもしれないけれども、今、経済全体を活性化しようとして政策、政府の面々頑張っていらっしゃいますので、全産業の経営者さん頑張っています。なので、賃金アップまで時間が掛かるかもしれないけれども、そこを政策で今どうにか上げてもらおうというところの補助金も出ているので、そこら辺の全体もう少し俯瞰して、日本の経済状況等々を見ていただけるといいかなと思っております。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
じゃ、一度ここで一旦、御質問もありましたので農林水産省の方から御回答をお願いいたします。
 
○須永牛乳乳製品課長
牛乳課長です。
まず先ほども肉の関係でお話がありましたけれども、急激なコストの増がこの今回の価格の中で十分反映されているのかどうかと、その点の御疑問なんだと思います。一つは、この生乳の加工乳に向けた価格でもそうなんですけれども、これ3年の移動平均を取っています。その結果として、単年度だけの算定にするとコストの影響を大きく受けて、あるときには大きく単価が上がる一方で、あるときには大きく下がるということで、乱高下が激しくなるということでもあります。この場合、安定的な経営に向けてどうなのだろうかということもあって、平成13年以降この方式を採ってきた結果、平成13年からの中でも、この単価の中で一定程度生産者に価格が変わらないことのメリットがある時期もあれば、今回のような苦しい時期も出てくるんだろうというふうには思っています。この単価のみをもって我々は酪農経営を支えようということではなくて、こういうふうに酪農経営が厳しい環境にある中でもあるということは非常に重々承知をしていますし、我々も多くの声をお聞きして心を痛めながら、できる努力をと思いながら、この畜産局としてもずっとやってきているというふうに理解をしています。
ですので、この単価に加えて酪農経営、畜産経営、それから生乳需給の安定のための各種施策をこれまでも講じてきました。配合飼料については、異例の累次にわたる補塡をしてきて総額は2,000億円を超えていたと承知していますし、酪農についても需給安定対策もろもろを過去から打ってきて、さらには、直近の令和5年度補正予算の中でも、コストの低減につながり経営安定を支える長命連産の牛群構成への転換、それからチーズの生産拡大に需給安定、そして今大きく課題になっています脱脂粉乳の在庫低減、消費拡大というこの取組に対して、この三つ合わせただけでも150億円を超える補正予算を先月決定をして、これから執行していくという中でもあります。今回も補給金の単価に加えて、関連対策としてそれぞれの課題に対応するためのものを加えることで、酪農経営を全体パッケージで支えていきたいというふうに我々は思っております。確かに、生産者それぞれの方々にとっては、この一個一個の価格を捉えて一喜一憂されるというお話はあったとは思うんですけれども、我々としては取れる手段、いろいろなものを活用しながら全体パッケージで酪農・畜産経営を支えていきたいということで、これまでもやってきたという、そういう流れなのかなというふうに思っています。
こういう急激な変動というもの、それは何からどういうふうに起きるかということも予断できるものではありません。数年前の段階でコロナ、それから今回のウクライナ・ロシア、それとこの為替、このいずれについて予想できた方はいないと思います。我々が今後に向けてこれを予断した形で何らか措置をするということは、それはやはり難しいんではないかと思います。その時々の政策課題に応じて、今回も畜種横断でやった対策も多くあります。課題に応じたその時々の対応をしていくというほか、今回のようなものを振り返るにはないのではないかというようなことが、政策担当側の話としてはあるのかなというふうに思っております。これが一つです。
もう一つは、総交付対象数量のお話です。総交付対象数量につきましては、私も資料の中で御説明しましたが、この総交付対象数量の基本的な考え方は、交付の最高限度ではありますが、これによって国産乳製品の需要が拡大基調にあるときは、その数量を増やすメッセージにし、逆に、国産乳製品の需要が過剰で減少基調にあるときは、その数量を減少させるメッセージを出すことで、生産数量とそれと需給、この二つのバランスを取っていくという趣旨もあるというふうに思っています。それがこの法定の内容でして、飽くまでも国産の需要がある分と、それを上回って生産はされるわけでして、その生産に対しては関連対策によって取組をしっかりと促していくということ、全体これもパッケージで生産と需給とのバランスを取っていくということが必要なんだろうと思います。
生産者の側からすれば、作ったものはある、それはそれなりの価格で買ってほしいという思いは分かる一方で、それがそのまま消費されるかというと、そういうわけにもなかなかならない。この間の課題というのは、その時々で変わっていくものだと思います。
今年で言いますと脱脂粉乳、去年まではバターと脱脂粉乳両方が余っていた状態だったと認識していますが、去年の末ぐらいからはバターの需要は堅調に推移をして、今は脱脂粉乳だけが単独で余っているという状態になってきております。この課題を生産側と乳業とそれと国と、みんなで連携をしながら解決をしていくということが、この生産現場それから酪農産業にとっても必要だろうということで、その対策を打つためのものとして今回の13万トンというものを設定をし、さらには、この13万トンのところは裏側で、当初から令和5年度補正予算で我々初めてですけれども、一般財源を充てて在庫対策としての脱脂粉乳の問題を解決しようということで協力をしていきたいというふうに思っています。脱脂粉乳については補正予算で支えをすると、一方で、残るバター分については補給金相当額で支えをすると、この組合せによって問題を解決してはどうかというのが、この13万トンについての我々の考え方でありまして、何か13万トンがぽっかり空いているとかそういうわけではなくて、法定の中は飽くまでも国産の生乳全体に対して需要がある分、そこを超えて課題が個々出てきたときには、それはいろいろな関連対策によってその生産現場の課題を解決していくというのが、我々の考え方かなというふうに思っています。
ちょっと長くなりましたが、以上です。
 
○小針部会長
小椋委員。
 
○小椋委員
今、須永課長の方から説明を頂きました。様々な関連対策、これに関しては大変有り難く受け止めておりますし、農水の皆さんも頑張って物価・生産費高騰に対する関連対策、これを講じていただいているということは、大変感謝を申し上げるところであります。
しかしながら、また話が戻りますけれども、生産費の関係ですけれども、3年平均を取れば上がりづらく下がりづらい、これは分かります。ただ、その計算が、今の先ほどもお話ししましたように、急激に経費高騰に果たして対応できる生産費なのか、私はそこを訴えているわけでありまして、経費が上がれば当然我々の経営は苦しくなる。それに付随して補給金の計算も同等に対応していただかなければ、先ほどもお話ししましたように、1年間の生乳の生産費100万円を超えております。この状況を解決するためには、何度も同じ話になりますけれども、直近の生産費を加味した計算式に乗っていただかなければ、私は理解ができないと思いますし、これが経費が上がれば計算式も変動するというのは、これは当然だと思うんです。経費が下がって所得が増えてくれば計算式も当然下がってくる、これは当たり前のことでして、ここをタイムリーに取り進める計算式、変動式、これを何とか取り入れていただいて、物価が上がれば計算式も上がる、逆に、コストが下がれば計算式も下がる、これはやむを得ないと思うんです。再度ここを提案したいと思います。
 
○小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
今回の急激な物価高騰というものが生産現場を非常に畜種横断で苦しめたということは、我々も多くの声を聞いております。それだからこその去年からの様々な対策だったと思いますが、この去年からのコストの高騰というものは畜種横断、それから地域横断、全国的に起きた話なんだったというふうな理解をしています。だからこその全畜種に対する対策が打たれたと、打つことができたということだったと、一方で、この加工原料乳補給金制度というものは、大本の成り立ちもそうですが、主な加工地帯、ありていに言えば北海道を中心に支えるための制度であります。そういう意味で北海道、加工に限定したお話は、確かにこの話の中に結構しっくりくるものだとは思うんですけれども、畜種横断、全体で起きた問題というものは全体で考えていくということだったのが、去年来からのこの我々の対策の考え方だったのかなというふうには思っています。
これを納得してくれと言うつもりは全くございませんし、お立場はすごくよく理解して、言っていることは全く分かっております。去年来からの対策の考え方を更に説明しているだけでございまして、将来に向けては、小椋委員がおっしゃったような急激な高騰、そういうものに対してどう考えていくのか、これはよくよく議論をしていくというものではあると思うんですが、その大きな考え方の中でもう一つ申し上げると、この加工原料乳補給金、先ほど申したとおり上がりづらく下がりづらい3年平均を取っております。結果として下がりづらいがゆえに一定程度一定期間、我々手元で計算すると相当期間、生産者にメリットとして生じた期間がある程度あるようなものでもあったというふうには理解をしています。
それは当たり前なんですが、加工乳補給金が変わらなければ、自分でコストを落とした分は自分の手元に落ちます。乳価交渉をして上げた分、これもまた自分の手元に落ちます。遅効性があるがゆえに、そのメリットというものもそれぞれ落ちると、生産者、生産者団体の努力が報われるものではある。一方で、今回のようなときには、その逆のことが一定程度起きてしまうものなんだろうというふうにも思っております。それはそれで一つの、今回3年ちょっとの間のこの様々な課題の中で、よくよく顧みていくことが必要なものなのかなというふうには思っております。
 
○小針部会長
ありがとうございます。農林水産省の方からよろしいでしょうか。
それでは、2巡目の方にいきたいと思います。御意見のある方は挙手をお願いいたします。
では、椛木委員、お願いいたします。
 
○椛木委員
北海道の十勝で酪農家をやっています椛木と申します。
先ほどの皆さんのやり取りの中でも、私もなるほどと思うことというか、賛同できるところもすごいあるなと思っていて、今回の補給金や集送乳調整金のことに関しては、私個人的な意見としては、もともとこの数式に決まっているからしようがないのかなというか、このように設定されたものなんだなということで理解しているという部分ではあります。
そして対象数量に関しても、人口が少なくなっているから単純に需要が減っているのかなというところも思うところではあるんですけれども、私もちょっと気になるのが、バターの需要は上がっているけれども、脱脂粉乳は余っているという状況で、様々な形で生産者ももちろん乳業メーカーだったりとか国だったりとかで、その対策をしているのにもかかわらず、どんどん在庫が減らない状況ではあるのかなというふうに思っていて、でも、この状況って消費者の人って全然分からないようなことのような気がするんですよね。
例えばバターが買いたくても買えないような状況になったら、またバターが足りなくなったらもっと搾ればいいじゃんみたいなふうに、当たり前に消費者の方は考えると思うんですよ。でも、中身を見ると私たちの生産状況って正直余り良くないし、私は指定団体に出しているところもあるので生産の抑制もあったりだとか、あと今年の夏の暑さでどうしても計画どおりに搾れなかったりとかという、そういう現状が実際あるんですけれども、それってなかなか消費者の方に理解してもらうのって難しいなと思うし、それをどうしていったらいいのかなというのは、この業界全体で理解していただく環境をうまく作るということは大事なのかなというふうに思っています。
そして先ほどの意見にもあったと思うんですけれども、畜安法のことで各農家さんの不公平感とか地域の分断という話もあったんですけれども、私も正にそれはすごく感じていて、うちのまちで言えば酪農家さんは六十数軒しかないんですけれども、その中でも本当にいろいろな意見を持っている農家さんがいる中で、何とかこんな大変なときにみんなで乗り越えようというふうな雰囲気になりづらいというところは、正直あるような気がするんですよね。そういうところも考えていただきたいなと思うので、畜安法に関しては本当に早急な見直しがすごい必要なのかなというふうに感じています。
いろいろな酪農家さんが、昨年からの抑制だったりとかって、物価の高騰だったりして年を越せないから、お金を借りて何とか乗り切るという形を取ってきているんですけれども、今年も同じように、セーフティーネットを借りて何とか年末を乗り越えるという農家さんもいるんですけれども、その償還が3年後から始まるのに、今の状況で本当に3年後、4年後とかにやっていけない農家さんがどんどん増えるんじゃないかということが、私はすごく怖くて、そういう意味での生産者の経営能力というのもすごい大事になってくるのかなと思っています。
こうやって酪農業界がネガティブな話が多いと、そういうのって周りにも伝わって、そうすると新規就農だったりとかUターン、Iターンの人がどんどん減る。それこそ北海道では過去最低だったと思うんですよね。今年就農した数がすごい少ないという話も聞いているので、離農も増えて新しい人も出てこないとなると、本当にこの業界がなくなるというか、本当に衰退していってしまうと思うので、その中で国だったり生産者だったりみんなでこの状況をどうしていくかというのは、今後の問題というか課題にしていかなきゃいけないのかなというふうに思います。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
そうしましたら石田委員。
 
○石田委員
神奈川で酪農をしている石田と申します。
私の意見としましては、今回御説明いただいた加工原料乳生産者補給金と集送乳調整金の単価の算定の計算方法について、これについては椛木委員と同様に受け止めるといったような形で、私の中では理解をしております。
今回この1年、1年半の急激な経営環境の変化というのは今後も起き得ることですし、逆に急激に改善することもありますので、そこのドラスチックに変化するところに対しては、ベーシックな補給金みたいな土台のところは、遅効性というところも須永さんがおっしゃっておりましたが、ここを変え過ぎると逆に不安定な制度になってしまうのかなというのも、私も聞いていて思いました。ですので、緊急性のあるところについては別のパッケージで緊急支援をというようなところで、この計算方法についてはいいのかなと思いました。
なので、本質的に立ち戻って考えてみたら、実際問題、やっぱり適正価格ですよね。まずは酪農家、酪農業という立場で意見を言うとすれば、乳価の上昇というところについてどう御支援いただけるか、国内の需要というのは限りがある中で牛乳、乳製品の輸出の拡大、LL牛乳、脱脂粉乳の輸出拡大というところの御支援いただきたいというところと、あとは国産飼料をどう生産拡大していくか、特に私のような神奈川、都市近郊のところに対しても国産飼料を行き渡らせられるような対策を是非採っていただけるというところで、都市近郊の酪農家、神奈川、埼玉、千葉というようなところの、どうしても粗飼料を自給できないというところに対して、今まで輸入粗飼料を使っているというのが、私も含めて当たり前の価値観だったところを、国内の粗飼料を手段として選べるといったようなところに対して支援を頂くといったところが、まず本質的に必要なのかなというふうに思っております。
私からは以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、挙手が入っているので里井委員からお願いします。
 
○里井委員
分かりました。里井です。フードジャーナリストをしています。
私も若干意見が重なるところがあるかと思うんですけれども、皆さんの算定方式などに関しましては、そこの専門家ではないという立場上、これで6年ぐらいになるんですけれども、委員をさせていただいて、本当に細かいところというのは、御専門とされる方々の意見に従う方向性なのかなというのが本音ではあります。ただ、我々のこの委員の中で、一番今後も農林水産省も含め、この国産食材というものを強くしていかなきゃいけないというのが大前提の中、生産者さんの今後の明るい未来が見えるような数字というのは、本当に強烈に皆さんに出てくるものだと思うんですね、それがこのお金という面に関しては。そこでいろいろな議論が交わされ、今この現在も熱い議論が交わされていても、一つ価格というものがバンと出たときにどれだけの影響力があるかということを、いま一度皆さん意識を持っていただいた上での御納得がいく状態での結果となればいいなと思っております。
一方で、消費者にとっても同じ状況でございまして、生産者さんの方の苦しみというのがいずれ消費者側にも、結果として価格が高騰するであるとか、国産の食材を応援している方々にとってもいい方向にならないというダブルの効果になってきてしまいます。ですので、改めていま一度、この数字が明るい強い農水省の国産食材に非常に密接しているという意識を、認識を強くしたいと思います。価格のこの自分に対しての意見というのは後ほどということですので、今はこの状態であるということを意思表明として投げさせていただきます。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見のある委員の方がいらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。
では、畠中委員、お願いします。
 
○畠中委員
福岡の畠中と申します。採卵養鶏をやっております。
私の方は採卵養鶏なので、今回の鶏卵補塡基準価格及び安定基準価格の件についてだけではないんですけれども、今までの全てのあれにも関係するとは思うんですが、とにかく今の皆さん他の牛とか豚とかもそうですけれども、鶏もコストが物すごく高くなっているということに対してのある意味異常事態について、皆さん同じ問題を共有していると思っていますが、鶏卵の場合は、鶏卵というか鶏の場合は、更にそこにもってきて鳥インフルエンザの発生が、昨シーズン13%の鶏を殺処分するというような、これはただの動物の疾病というよりも天変地異に近いような問題であると思うんですよね。自然災害のようなことが昨シーズン起き、しかもこれは多分単発ではない。また繰り返す可能性もあるようなこの事態の中で、果たしてこれまでのシステムとか仕組みとか、この算定基準とか、そういうものにこういう異常事態のときのものをそのままはめ込んで大丈夫なのかと、生産者にとってどっちが良く出るのか悪く出るのか分からないですけれども、相場も去年だけはそのせいですごく高かったとかですね。卵が足りなかったとか、こんな卵が足りないなんていうことはいまだかつて誰も考えたこと、生産者も考えたことなかったし、多分農林水産省の方も考えたことなかったし、一般の消費者ももちろん卵が手に入らないことがあるなんて誰も思っていないような事態が、去年、昨シーズン起きたわけで、これからも今後それがないとは到底言えないような、こういう異常事態なわけですよね。その異常事態にこういう仕組みに、それをただ毎年決まっているからといって、多少係数を変えたとしても当てはめていいのかなというのが、本当にすごい単純な疑問を非常に持っています。
しかも、だからこれだけに限らずなんですけれども、鳥インフルエンザ対策に関しては、例えば今回の資料にも参考資料の中に多分あったんじゃなかろうかと思いますけれども、雇用調整助成金を社員とかそういうのに使えますよというような文章がいっぱい入っていたと思うんですけれども、これをよく読んでみると、発生農場の経済上の理由では対象外となると書いてあって、つまり発生農場には全くそれは適用できないというようなことらしいんですよね。これじゃ発生農場は一体どうするんだろうという、非常にだから結局こういう既成のシステムには、今回の鳥インフルエンザの発生農場の経済上の問題とかいうのは一切適用できないんだから、もっと何か抜本的なことを考えないといけないわけで、あとは埋却地の問題も、今年既に4件出ているけれども、4件中2件が昨年12月にも出ているところなんですよ。御存じない方も多いと思いますけれども、農林水産省の方は御存じだと思いますけれども、それ以外の2件のうちの1件は同じ経営体なんですよね、発生しているのが。結局4件のうち3件が経営体としては一緒のところに発生している、2年連続でというのは、しかもよく知っている農場も発生しましたけれども、そこなんかは本当に模範的な対策をしているにもかかわらず再発しているというところがある中で、結局これは生産者の責任とは考えられない。野鳥が汚染をものすごくしていて自然災害なんじゃないかと生産者としては思っています。
なので、それを生産者だけの負担にするようなことというのは本当に大変なことであって、埋却地の問題も2年連続で出ているから、もう既にもし今回再建しようと思ったら、また更に同じ面積の土地を生産者の負担で用意しないと再建もできないというようなことを、こんな単発で終わらないような事態が毎年、来年も再来年もまだ続く、今年も続くかもしれないようなことのときに、今までの常識で、この埋却地を生産者が用意してするのは生産者の責任だみたいなことというのは、前から当たり前のことのように言われているけれども、そんなのが通らないような異常事態なんだから、もっと踏み込んだ対策なりなんなりをしないと、システムを作らないと、とてもじゃないけれども、既成のシステムとかそういう対策では対応不可能なんじゃないかなと思いまして、今回の場合、鶏卵の補塡基準価格とか安定基準価格の算定も、本当にこれを今までどおりのようなことで入れてしまって数字さえ入れればいいのかというのは、非常に疑問に思います。
ましてや成鶏更新・空舎延長事業とかは、今までの安定供給できているときだったら、それは効果があったかなとは思いますけれども、多分これはこの鳥インフルエンザが多発するようなときには誰も取り組む人いないですよね。だって足りなくなるかもしれないのにわざわざ減らそうなんて、生産者は思わないんじゃなかろうかと思うので、これは絵に描いた餅で使いようがないみたいなシステムになってしまうんじゃないかなと思うので、もっと踏み込んだ、今年は無理にしても踏み込んだ、異常事態が起きたときにはもっと違うあれをするとかいうようなことも考えていただかないと、本当に使いようのないことになってしまうんじゃなかろうかと不安に思っております。すみません、どうぞ飼料基金の方もそうですけれども、今までにない仕組み作り、見直しなんていうのも全部含めてやっていただかないと、生産者は経営継続できないんじゃなかろうかと思いますんで、よろしくお願いします。
 
○小針部会長ありがとうございました。
そうしましたら宮島委員、お願いいたします。
 
○宮島委員
日本テレビの宮島です。よろしくお願いします。
まず大前提の諮問に関しまして私はどの項目に関しても賛成いたします。様々な変化、できるだけ安定的なというところに配慮をした計算式と拝見しておりました。
一方で、今ここまでの議論でもあったように、今起こっていることが一体短期的なのか、いつ収まるのかと、そういう視点があると思います。例えば飼料の価格などは、国産にしていくという方向が、まずとても必要だと思っていて、世界情勢の中で為替はどうなるか分からないわけですし、日本経済が全体として出後れている中で、ずっと高い可能性もあると思っています。このような全体の動きに対しては、短期の補助金ではでは対応できないと思っています。私は他の政策も見ておりますけれども、短期で問題があって、税金を投入したりシステムを作るんだけれども、その状況がずっと続いてしまったときに、その制度自体が先行きが見えなかったり、その業界の先行きへのいい形での変化をかえって阻害することになっているような制度が、他の政策ではあるというふうに思っています。
なので今の状態は、もちろん短期的に起こったことに対しては対処するにしても、この業界の将来的な持続可能な形というのを、しっかりと長期戦略を持って探るのが必要だと思います。そのときに日本の財政そのものがとても厳しいので、どの業界も支援に期待は大きいですけれども、財政も含めて持続可能で、かつ、業界の先行きを見通せるという戦略が必要だと思います。今回はこれでもちろん了承なんですけれども、いよいよ事態が変わってきた中で長期戦略をしっかり書いていく必要がある時期かと思いました。よろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それではここで、農林水産省からの回答をお願いいたします。
牛乳乳製品課長、お願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
椛木委員の御質問の前に、小椋委員が冒頭でおっしゃられたALICのお金というものが不安定ではないかというお話がございましたけれども、私ども、長くこの仕事をしている立場からすると、当初予算で取ろうと補正予算で取ろうと、予備費だろうがALICだろうが、それが1回取ったらずっと未来永劫安定するというものではなく、これは残念ながら毎年予算編成の中で、厳しい折衝とともに何らかの形でいろいろ出口を探しながら我々はやってきているということでもあります。お金を出すルートによって、これは価値があり、これは価値がない、これは安定、これは不安定ということは、我々としてはそういう理解はしていないというか、実務上そうなっていないということです。
実際、当初予算も、全部ゼロ査定なりゼロベースで考えるみたいなことはいつも起きるわけでして、これが別に当初予算で入れたから安定するということは、これはないということはお話をさせていただきたいと思いますし、一方で、我々は酪農・畜産の安定を図っていかなければいけない立場でもありますので、その予算制度の枠組みの中で、最大限のそれぞれ努力を毎年繰り返しているということの御理解を頂ければというふうには思います。
続いて、椛木委員からお話のあった脱脂粉乳のお話は、どうしてもバターは堅調ですが、ヨーグルトの需要がそれに比して落ち込み続けているというのが、この3年以上にわたっての消費環境であります。在庫は1回上がって、それは確かに対策によって減らすことはできましたけれども、構造が変わっていないので、バターを作るたびにそれに応じた脱脂粉乳というもののさばき先が一定程度ないという現象は、ずっと変わっていません。ですので、来年度の末であっても脱脂粉乳の在庫は積み上がるだろうというふうに見ていますので、今回の補正予算で脱脂粉乳対策を入れたということであります。これは生産それから需要双方で取り組んでいかないと、この乖離というのは消えていかないだろうと思っています。ですので、消費拡大対策も当然大切だろうというふうに思います。バター、脱脂粉乳、牛乳に関連して、多く酪農が抱えている問題も、消費者に継続的に地道に伝えていくほかはないだろうと思っておりますので、そういう業界を挙げた理解醸成の取組は引き続きやっていかないといけないと思っています。補正予算の中でもその考え方を入れて支えようとは思っております。
特にバターは景気の変動によって大きく消費が変動をします。1年の中で変動を大きくします。一方で、酪農は通常約5年、最短でも3年のスパンが掛かります。普通で5年ぐらい掛かります。5年のスパンで生産増減が起きるものに対して、バターの需要というのは1年の短期の中で増減を激しく繰り返していきます。これに完全に国産だけで対応し切るというのは難しいというふうに思います。今もそうですが、国産のバターに対しての需要は非常に根強いものがあって、価格の優位性というのは若干今あるんですけれども、国産への消費というものが非常に好まれてはいるんですけれども、それに向けた生産というのは望ましいとは思うものの、やはり生産体制と共にあるものだろうというふうに思いますので、その隙間はどうしてもいろいろな他の形で短期的には埋めていかざるを得ないというのも一つあるのかなと思っていますし、この辺も消費者に対する理解醸成というのは必要だろうというふうには思います。
お話のありました、今後こういう需給環境それから生産環境が大きく変わっていく中で、生産者がどういうふうに希望を持って営農してもらうかというこの辺は、次期酪肉近の中でも、今回非常に大きな3年間、4年間を迎えたと思いますので、その課題をよく捉えながら議論をしていくということが必要かなというふうに思っています。
それから石田委員から、本質的にはという話で幾つかお話がありました。まず乳価、これはそのとおりだというふうに思っています。去年11月以降、飲用向けで10円引き上げが2回、それから乳製品向けが10円引き上げ1回の、更にこの12月からも値上げがありました。合計4回値上げがありました。この間で結局飲用向けで20円とか、乳製品向けでも十数円という上昇がありました。一方で、我々が今議論している補給金の単価、今年で言うと33銭という値上げになっています。乳価によって支える、その環境を作るということがいかに大切かということの一つでもあろうかというふうには思っています。その乳価を円滑に交渉していく上でも、在庫というこの邪魔になっているものを、いかに業界全体で処理をしていくのかということが大切だと思っていますので、この脱脂粉乳という問題をちゃんと捉えながら乳業から負荷を下げ、生産者の生産体制、消費体制も変えながら、この乳価交渉というものをいかに円滑な環境を作っていくかと、これが非常に酪農経営を支える上でも大切な要素だろうというふうに思っています。
それから当然ですけれども、輸出も大切でして、LLについては国産生乳を大きく使いますので、これに我々としても期待をしています。まだ数年前で8,000トン程度と、まだまだ量は少ないんですけれども、東南アジアを中心に日本のブランドの需要はまだまだありますので、そこをしっかりと支えて伸ばしていくということだと思っています。コンソーシアムなり輸出の全国ナショナル1本での団体も作ったばかりということもありますので、活動をしっかり支えていきたいというふうに思っています。
私からは以上。
 
○小針部会長
お願いいたします。
 
○廣岡飼料課長
飼料課長でございます。
石田委員の方から国産飼料の重要性についてお話を頂きました。特に都市近郊での飼料を行き渡らせるような施策が必要ではないかということで、特に酪農のお話だと思うんですけれども、私どももそう思っております。大変難しい課題ではありますけれども、また本質的な課題でもございますが、しっかりやっていきたいと思っています。
地域ごとにいろいろ事情があると思います。例えば都市近郊でも水田あるいは畑地があるところであれば、そこに少しでも飼料作物を作っていただけませんかと、稲あるいは麦・大豆よりもかなり省力化ができますので、人がなかなかいない中でそういう省力化が進むので作っていただけませんかというふうな働きかけも、しっかりやっていきたいと思いますし、どうしても土地資源の制約が大きな所では、別の所で作った国産飼料を、しっかり品質を担保した上で販売したりあるいは流通したりといった、こういうふうなことを促すといったことも取り組んでいきたいと思っています。これまでも長らくの課題でありましたし、非常に難しい課題でもありますけれども、粘り強く取り組んでいきたいというふうに考えております。
 
○小針部会長
動物衛生課長、お願いいたします。
 
○沖田動物衛生課長
動物衛生課長でございます。
畠中委員から鳥インフルエンザに関して幾つか御意見がありましたので、ちょっと補足的に説明させていただきたいこと、それからおっしゃられた御意見に対するお答えということでいきたいと思います。
まず雇用調整助成金のお話でございます。確かに厚生労働省のウェブサイトを見ますと、鳥インフルエンザ等は対象になりませんというふうに書かれていたりして、ちょっと誤解を招くような表現があるところがございます。しかし、我々、厚生労働省と担当部局とちゃんと話をしていまして、発生農場が全く対象にならないということではないということが、これは私らも確認していますし、彼らもそういうつもりでいるということです。ちょっと分かりにくいんですけれども、確かに発生農場において法律に基づいて殺処分を行う、それから移動制限が掛かる、こういったことによる雇用者を雇い止めをしなきゃいけないとかそういうところに関しては、対象にならないというふうになっていますが、一旦移動制限を解除して、その後更に例えばひなを再導入をしなきゃいけないけれども、なかなかひなが入らない。あるいは卵を出そうと思っているけれども、なかなか出せないような状態にあると、市場を別の方が埋めているというような形でなかなか出せないような状態にあると、こういった経済的な状況から雇用者を雇うことが難しくなっていると、こういったものについては対象になるということですので、どこからどこまでが対象にならなくて、どこからは対象になるんだということは、これは是非諦めずに生産者の方は相談をしていただきたいと思います、都道府県の窓口に。そうしますと、そこでサジェスチョンがちゃんと頂けると思いますんで、そこはまずそういうことだということを御理解いただければというふうに思います。
それから鳥インフルエンザに関して、もちろん昨シーズンはこれまでで最多発生、最多の殺処分、それから鳥インフルエンザだけではないと思いますけれども、卵の不足、価格の高騰、こういったことがございましたんで、その影響を緩和するための対策というのは、これは我々農水省としてもしっかりと考えていかなければならないと思っておりまして、まず第一にいかに殺処分を低減するか、必要な数、殺さなきゃいけない鳥の数を少なくするかという方策として導入しようとしているのが、分割管理でございます。分割管理を行いますけれども、これは農場の一部分を残していいということではなくて、このウイルスという目に見えない敵を考えますと、しっかりと区分がされているというのが前提になると思います。されていさえすれば、それは別の農場として扱って農場単位での殺処分ということで、半分であるとか3分の1であるとか、そういうふうにするということは技術的にも可能だろうと思っていますので、そういった方策を是非取っていただきたくて、今年の補正予算でも、それから6年度の当初にも要求をさせていただいて、この支援を使ってそういった農場の分割管理に取り組んでいただければというふうに思っています。そのための相談は我々しっかり乗っていきたいと思いますので、是非何かあったら都道府県を通じて、あるいは我々に相談を頂ければと思います。
それから埋却地の話でございます。おっしゃられるとおり、繰り返すような所は埋却地の確保が難しいということ、その問題が出てくると思います。それより何より、まず埋却地がきちっと実効性のあるものが確保できているかということが、大事になるわけですけれども、それを確保されているというのは現在調査をしておりまして、調査結果に基づいて県を通じて指導はちゃんとしていきたいと思っていますが、まず確保されていること、それから確保されていても、そうやって繰り返すとなかなか難しくなるということがあると、ですので、例えば埋却地がどうしても難しいとなれば、焼却を活用することは鶏の場合十分にできます。実際に今年のその4件のうち半分は焼却で対応しています。去年も全体で84ありましたけれども、3分の1は焼却で対応しています。焼却で対応するためにどんなことが必要か、こういったことは都道府県それから我々もしっかりと相談に乗っていきたいというふうに思いますので、うまく活用する。
ただし、農家さん本人が、自分が経営をしていく上でマイナスのリスクは誰か他の人に対応してもらってプラスのところだけというのは、やはり経営の基本として、そういうリスクもきちっと経営の中で考えていくというのは基本だというふうに思っています。ですので、埋却地あるいは焼却でもいいですけれども、確保していただくというのは、農家さん本人が主体的に取り組んでいただくことが基本的なことだろうと思っています。そのための支援、それから相談、こういったものは、都道府県それから我々もしっかりと対応していきたいと思っています。
 
○小針部会長
お願いします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。
鶏卵の関係で担当部門について補足させていただきますと、まず今、今回価格について御相談させていただいております鶏卵の価格変動に対する経営安定の対策につきましては、もちろん昨年のように鳥インフルエンザの影響もあって価格が大きく上昇するような中で、今、少なくとも発動はしていない状況にありますけれども、鳥インフルエンザの対策と、こうした価格変動に対する経営の安定の対策というのは切り分けて、こちらはこちらでしっかり対応していく必要があると思っています。
御承知のとおり鶏卵につきましては、輸入が極めて少なくて国内で需給がある程度閉じている関係で、需要に応じた生産をすることによってコストをしっかり上回る価格で取引されるというのが、大きな原則でございます。ただ、需要が季節的に変わるので、季節的な変動があることに対して対応しなきゃいけない部分もありますし、また、価格が上がれば生産が増えて価格が下がり、価格が下がれば生産が減って価格が上がるという、年を超えた大きなエッグサイクルみたいなものもございますので、そういったものに対応していく必要がありますが、もちろん成鶏更新・空舎延長事業が発動するように、予想を超えた大きな下落というのが起こらないことが理想だとは思います。ただ、これまでもこういう季節的な、あるいは年によっては大きな下落などの経験もございましたので、そういったときに生産者の皆様に需給調整に取り組んでいただくという仕組みで、安定基準価格を下回った場合にいつもよりも空舎期間を延長するという取組で需給改善を図るというのをやってきておりますので、こちらにつきましては生産者団体ともいろいろな意見を交換させていただきながら、必要な仕組みとしてやっているものと理解しております。もちろん鳥インフルエンザが起こっているようなときに生産を減らすような取組をするというのは、全く方向が違うと思いますが、そういったときはこのように価格下落は普通しないものでございますので、正に卵が余って価格が下がったときに需給調整をする仕組みとして、これは措置されているものと理解してございます。
また、すみません、冒頭の井上委員からの乳用種、交雑種のヌレ子の話、データを整理しましたので御説明させていただきますと、まず先ほど御指摘のあったとおりヌレ子の取引価格は、酪農家の皆さんにとっては大事な副産物収入であって、子牛を育成する育成農家さんにとってはコストに当たりますので、ヌレ子価格が上がればコストが上がり、ヌレ子価格が下がればコストが下がるという状況になっています。
それで、先ほど算定の説明の中で、過去、令和4年以前の7年の生産費を伸ばしてトレンドを取ると申しましたけれども、そのトレンドを取るに当たっては、生産費を物価変動を除いた実質化したものでトレンドを取り、直近の物価を掛けて物価修正をするというやり方をやっておりますが、ヌレ子の価格につきましては非常に年ごとの変動が大きゅうございますので、直近の物価を取るのではなく、過去13年の長いトレンドを取って物価修正しています。その意味で、ヌレ子価格が大きく上がったときにも余り大きく上がらず、ヌレ子価格が大きく下がったときにも余り大きく下がらないという仕組みのために、ヌレ子価格に限って言えば、直近の物価ではなく過去の長いトレンドでやっておりますが、それでもなお最近のここ2年ほどのヌレ子価格の下落はかなり効いてきておりまして、データで申し上げますと、乳用種で言えば昨年の算定時より4%減、交雑種で言えば5%減、これがコストの約5割以上を占める、コストへの貢献度が約5割以上ある素畜費で4%、5%の下落になっているものが強い下げ要因になっておりまして、物価その他の餌代ですとか光熱費ですとかの上げ要素を打ち消して今、据置きになっているというような状況でございます。
 
 
○小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
1点、お答え漏れしていたものが、畜安法について椛木委員から御質問のあった件です。生乳需給の安定のためには、酪農家それから酪農家の団体自らが需要に応じて計画的な生産に取り組んでいくということが、一番大切だというふうに思っていますし、国はそうした取組を支えていきたいと、これがまず基本的な考え方です。その上でこの畜安法は様々な御懸念があることも承知をしておりまして、特にあまねく集乳する義務が指定団体には課されていますが、それと個別の酪農家との関係、ここについて、さはさりながら組合員平等という原則も同時にございまして、この制度の中で制度上何ができるか、今も公正取引委員会と議論をしております。この辺は現場の声をよくお伺いしながら進めていきたいというふうに思っておりまして、特に我々この指定団体の活動を支えたいということもありますので、指定団体の皆様の取り組める内容なのかどうか、意識が合うかどうか、我々が、ぽんと出して、「これじゃない」というふうなことにならないように、丁寧に議論を積み重ねながら進めていきたいというふうには思います。
また、11月6日にも系統と系統外、各事業者と需要に応じた計画生産の考え方についての情報交換会を開催しました。これを今後も会議として積み重ねていって、もう少しアウトの方々とも、この需給調整について議論を深めていきたいということであります。その全てをこの場の議論で、次期酪肉近で議論されていくと思いますので、その中でも取り上げさせていただいて議論を更に深めていって、酪肉近の議論の完成を待つことなくできるところから順次発車していきたいというのが、我々の考え方であります。
 
○小針部会長
お願いします。
 
○新井畜産総合推進室長
推進室長の新井でございます。
里井委員から消費者の理解醸成のお話があったかと思います。羽田委員からも価格を上げていかないといけないよねと、消費者の理解醸成の話があったかと思いますけれども、畜産局の方でも正に今年の春頃から、畜産・酪農の価格形成に向けた推進会議を開いていたところです。そこの中間取りまとめの一つでも、消費者の理解醸成が大事だよねというものが、大きな中間取りまとめの柱になったところでして、正に適正価格の形成のための情報プラットフォームというものを、8月から畜産局ホームページの方に載せておりますけれども、これだけ生産にコストが掛かっているんですよとか、要は価格に対する消費者の理解を少しでもしていただくというような取組を進めているところでございます。
また、全体でもフェアプライスプロジェクトということで、「売る人にも、買う人にも、育てる人にも。フェアでいい値を、考える。」ということで、そういった理解醸成の取組を全体としても取り進めているところですので御報告をいたします。
あと宮島委員からも、正に様々な意味で持続可能な形にしていくという御指摘を頂きまして、正にそこはそのとおりかなというふうに思っております。ありがとうございます。
以上です。
 
○宮島委員
ありがとうございます。
 
○小針部会長
 
ありがとうございました。
それでは、ここで一旦中断し昼休みとさせていただきます。13時から再開とさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、宮島委員におかれましては、所用によりここで御退席となります。ありがとうございました。
午後0時01分休憩
午後1時00分再開
 
○小針部会長
それでは、部会を再開いたします。午前に引き続き、意見聴取を行いますので、挙手を頂ければと思います。
それでは、小山委員、よろしくお願いします。
 
○小山委員
肉用繁殖和牛を飼育しています、宮城県の小山と申します。
私は、今繁殖和牛をしていますが、30年前までは酪農をしておりました。うちの母の実家が採卵養鶏ということだったので、すごい何か今回、今回というか、縁のある会議だなと思って、いつもおります。
今回、和牛に対してとか畜産に対して、様々な助成措置をしていただいていますことに、大変感謝をしております。
先ほどから話題になっています子牛保証基準価格の算定については、十分考えられた算式だと思いますので、今回のように急激な事情に関して緊急支援とかできないものでしょうかというふうに、算式は算式で、これはこれでいいんじゃないかなと思う次第であります。
今、日本中が大変なときですから、肉用牛がこのような状況で、生産者が同じような恩恵を、日本の全和牛農家が恩恵を同じように受けたい。ちまたで聞きますと、名のある産地は現状に左右されることなく高値で推移しておりますので、その周辺の地域の人がいろいろ考えるところがあるらしくて、ちょっと元気がないというか。私たちはちょっと離れていますので余り、現状、みんな同じような状況なのでみんなで頑張ろうねというような感じではあるんですけれども、差があるのはそれも地域の産地の努力なんだからしようがないだろうねという話ではあります。
近くで、7年前から、5頭から60頭に繁殖和牛を増頭した生産者が、酪農家がいれば、繫殖和牛の生産は要らないということなのかと嘆くんですね。受精卵で、北海道も子牛事情、15%ぐらい増えていると。じゃ、もう要らないじゃないか。全部受精卵でいいんじゃないかというふうに、この間、うちに来て話していきました。
繁殖の現場の生産者が減らないように、今後とも、小さいところにも手の届く支援をよろしくお願いしたいと思います。
以上です。
 
○小針部会長ありがとうございました。
ほかに。
大山委員、お願いいたします。
 
○大山委員
神戸大の大山です。よろしくお願いします。
今回、価格については、毎年こういう形で価格の算定をしてきたわけですけれども、幸いですか、和牛子牛に関してはこれまで長らく発動がなかったというところで、今回21年ぶりになるんですかね、発動があったということで。過去を振り返れば、非常に有り難い状況だったのかなというのは感じる一方で、やはりこういうような状況になって、先行きの見えない中で、農家さんもこの制度がセーフティーネットとして、今後どういうふうに機能、効果が出てくるのかというのを非常に期待して、そこを注視しているところだろうなというふうに思っています。
そういうことがありますので、やはり今回、発動の結果をしっかりそこは検証というか、確認をして、不十分だったとすれば、どういうところが問題だったのかということをしっかり一度考えるいい機会なんじゃないかなというふうに思っているところです。
特に、これ、価格、今回のを見せていただきましたけれども、平成30年の改正のときに、やはり二階建てのちょっとややこしかった制度を一本化して分かりやすくしたという認識があるわけなんですけれども、そのときに平成30年ですか、価格としては53万円に保証基準価格が上がったわけなんですけれども、今回の結果を見せていただくと56万4,000円ということで、平成30年から比較したところで約3万円強のプラスにはなっているんですけれども、この期間のいろんな様々な状況の変化を考えたときに、この額が本当に妥当だったのかということを、多分皆さん、午前中からおっしゃっていたんだと思うんですね。
実感として合わない、肌感覚として、皆さんの経営の中でこの金額というのが十分なのかどうかということにちょっとクエスチョンを、皆さん、寄せられたのかなというふうに思っていますので、繰り返しになりますけれども、先ほどやはりあったようにしっかり検証をお願いしたいなというところが、今日、話を聞いていて感じたところです。
と同時に、やはり平成30年の改正のときもそうだったんですけれども、考え方として、生産費を取り入れて計算しましょうということになったかと思います。それは、生産費調査の、いわゆる中身がしっかりしてきたということがその理由だったかと思うんですけれども、そのときにも、委員の皆さんが再三おっしゃっていたのは、小規模への配慮ということがやっぱり一番大きな争点というか、心配事だったと思っています。
とはいえ、一方で、やっぱり酪肉近が示している方向というものに対しても配慮をしなければいけないということで、今回、労働費の部分ですか、10頭以上という経営層に絞ったやり方の算定を採用したということだったと思いますけれども、この辺も含めて、やっぱり今小規模ほど苦しい状況にあるのかもしれませんし、先ほどもありましたけれども、和牛子牛に関していえば地域間差も非常に大きい中で、皆さんが納得できるような内容にしていく必要があるだろうし、その中で重要になっているのはやはり生産費調査自体そのものなのかなと、改めてそういうふうに感じているところです。
先ほど、価格転嫁の話もあったんですけれども、やはり価格転嫁をやっていく上では、その土台となるようなちゃんとしたコストの計算というのがなければ消費者も納得しないでしょうから、生産費調査の重要性というのは今まで以上にあるのかなと、そこは十分に認識しておく必要があるというふうに感じています。
総論としては、算定そのものに関してはやはり制度にのっとってやるというのが大原則にはなりますので、それはそれとして結構かと思うんですけれども、見直しを幅広く声を聞いた上で柔軟に、足りていないところは何なのかというのを、あるとすれば、その辺りはしっかり今後また考えていただくように期待しているところです。私が今感じているのはそういうところです。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
彦坂委員お願いいたします。
 
○彦坂委員採卵養鶏を経営している彦坂といいます。
今日のいろいろな話の中で、特に鶏卵の方で事業の算定結果については一定の方向で理解はできるんですけれども、やはり畜産経営の現場との感覚とはまだ隔たりがあるのかなというふうに思っております。
その辺のところが、やはり生産者の100%納得できるような形、いろいろ難しいと思いますけれども、その形に近付くような形の、例えば要素を取り入れるだとか計算式の修正だとか、そういうことに取り組んでいただけたらなというふうに思っています。
あとは、畠中委員からお話があったのと同じで、家伝法による殺処分についてなんですけれども、法律によって殺処分された家畜については手当金によって補償されるんですけれども、その支払が半年以上、1年を超えるケースもあります。家畜はいなくても経営は続くので、部分的な早期概算払を検討していただけないかなというふうに思っています。
先ほど、疾病被害に遭った生産者に対する、例えば雇用調整助成金だとか緊急融資というような制度もあるという形でホームページにも書かれているんですけれども、恐らくさっき例を挙げていただいた雇用調整助成金についてもその状況が見定まるまで、恐らく2か月とか3か月後にその申請が始まるような形になると思いますし、融資についても、無利息、無保証ですけれども無審査ということではないと思います。翌月から従業員の給料ですとか様々な経費は支払が起きていきますので、そういう形で、家伝法の手当金が部分的でも構いませんので、翌月ぐらいに早期支払できるような仕組みが検討いただけたらなというふうに思っています。
あと、鳥インフルエンザに関係しますけれども、今回のような疾病による大減産が起き、その反動で加工・外食の需給減退が起きる。このようなことが繰り返していくと、市場全体が縮小していくと思います。鶏卵業界全体で、さらに市場に目を向けて、大きな需給変動に対する何らかの対策を業界としても考えていかなきゃいけないと思いますけれども、国の方でも、そういうことに対する支援ですとか指導を一緒にしていくような形をしていただけたら有り難いかなというふうに思っています。
以上です。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
では、ここで一度、農林水産省の方から回答を。
では、食肉鶏卵課長からお願いします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。
小山委員、大山委員から子牛対策についてのお話を頂きましたけれども、まず、正に21年ぶりに黒毛和種について子牛補給金が発動するような状況になっている中で、先ほど御指摘あったように、算定方式を見直した平成30年のときから、いろんなコスト高で、コストの変動率ということで今現在56万円、令和6年度の算定、56万4,000円というふうな形になっております。
生産コストの中で、餌代が大体4割、その半分が配合飼料費という中で、特にやっぱり配合飼料費の増大というのが一番大きく効いていると思いますが、一方で、この間、配合飼料に対して激変緩和の対策─制度の中での対策、制度の外での対策、かなりの額を掛けてやってきておりますので、この餌に対する補塡を行った部分というのは算定の中では変動からは除いて算定しています。そういう意味で、こちらのコストの変動率で上がった保証基準価格で支える部分とこれまで激変緩和でやってきた部分とを併せて、繁殖農家の生産を支えているという状況であると理解しております。
また、地域差のような話もありましたけれども、やはり、確かに地域によって価格差が生じている実態もありますし、農家の間で価格差が生じているものもあります。一般的な傾向として、やはり高く売れている牛はそれなりにコストを掛けてやってきているというところもございますので、頑張った方が報われるということであれば、やはり全国一本でやっている、この肉用子牛生産者補給金制度というのが基本にあって、そういった形で全国一本のげたで支払われることによって、より頑張った人がより報われるという仕組みになっていると思います。
一方で、今地域の価格差が出てきていることも踏まえまして、上乗せ対策につきましては全国4ブロックということでやらせていただいておりますけれども、また、こうやってブロック別でやると、ブロックの中での不公平感みたいなお話を頂いているところであります。来年度、来年に向けて、このブロックでやっている対策につきましては少しの見直しをしようとは思っておりますけれども、やはりこの部分というのは基本的に平均値で支えることによって、より頑張った人が報われるという仕組みを維持していきたいと思っております。
あと、現在、補給金が出ていることを今後も検証が必要という御指摘を頂きましたけれども、子牛補給金が発動し続けている状況というのがいいこととはやはり思っていなくて、より高く売れる子牛生産というのができていくことが望ましいと思っています。そういう意味で、やっぱり政策のパッケージといたしましては、輸出拡大、国内需要の拡大などによって、しっかり需要を作っていくということも子牛価格の引上げにつながっていくと思いますし、また、それぞれの子牛の安い原因などを分析してみますと、高齢の雌牛から生まれる子牛ほど安いといった傾向もありますので、今回、補正予算で高齢の雌牛をより能力の高い母牛に更新するのを助成する事業なども取り入れさせていただいております。
また、家畜市場ごとの取引価格の差、下がっている要因を分析したり、あるいは市場の魅力を高める取組などに対して実証的な取組を支援する仕組みも入れておりますので、こういった取組を地域で活用させていただきながら、子牛価格の底上げを図っていくことが大事だと思っております。
また、彦坂委員から、鶏卵の事業についてのお話と、あと鶏卵需給についてのお話がありました。現行の仕組みの中で算定ルールに基づいてやっているところはそのとおりでございますけれども、今後とも、生産者の皆様の御意見いただきながら、事業の在り方も含めて、3年間の事業年度でやっている予算事業でございますので議論をしていきたいと思っております。
また、鶏卵の需給についてのお話がありました。やはり、現在、昨年の鳥インフルエンザで鶏卵の供給が不足したときに、供給が不足した加工向けあるいは外食向けの需要回復というのが喫緊の課題であります。やはり、加工・外食の事業者の皆様に対して、鶏卵が安定供給可能であることを認識いただくことが非常に重要だと思っております。
今回、補正予算で、農林水産省といたしましては、粉卵の製造施設整備への支援というのを措置しました。長期保存可能な粉卵の流通量を増加させて、あるいは輸入粉卵から一部国産粉卵に置き換えていって、安定供給が確保されることによって、持続的な鶏卵事業の確保と生産基盤が維持されていくということを期待しているところでございます。
また、今の足元の状況の改善という観点で言えば、やはり鶏卵の安定供給に必要なことあるいは需給状況などについて、生産者、加工事業者あるいは食品製造メーカーなどの実需者、こういったことで認識を一にすることが大事だと思っておりますので、年内に意見交換の場などを呼び掛けておりまして、農林水産省としても、業界の声を聞きながら、必要な対応を検討していきたいと思っております。
以上です。
 
○小針部会長
動物衛生課長、お願いいたします。
 
○沖田動物衛生課長
彦坂委員から鳥インフルエンザに関する手当金に関するお話がありましたので、お答えをしたいと思いますが、その前に先ほどの需給の関係で、需給直接というわけではございませんが、委員御指摘のとおり、鳥インフルエンザが出れば、出て、需給に影響が出れば、それは当然縮小に行ってしまうということもあります。
ですので、動物衛生課としては、やはり出さないこと、予防がやっぱりすごく大事だと思います。予防のためには、まずは何といっても各農家さんにおける衛生管理をしっかりと徹底していただくことが重要だと思います。
我々、支援できるところは、それから県を通じての指導、そういったところは対応してまいりたいと思いますので、生産者の皆さん、それから関係者の皆さんと一緒になって、発生予防に努めていければと。それがひいては市場の縮小に歯止めを掛けるというか、そういう方向にも行くと思いますので、そこのところを頑張りたいと思います。
それから、手当金のお話でございます。手当金につきましては、基本は評価額の100%を手当金としてお支払いする。疑似患畜、患畜で処分した場合にはお支払をするということで、この100%の評価額というものが、例えば全国一律で何百円とかとやってしまうと、それは特色のある農場─自分のところはこういうふうに頑張っているんだというところがある場合にはそういった努力が報われないというか、それが反映されないというようなお話もございますので、できるだけきめ細かく、この手当金というものを算定をしていこうということで、我々、その基本的な考え方を示しつつ、どういう評価額と、何をそろえて評価額を算出すべきかというようなところを県と農場とで相談をしっかりしてもらって、まずは県でしっかりと算定してもらった上で我々の方で審査をしていくという形になっていて、できるだけそういう評価額を丁寧に対応しようという取組をする中での手当金の手続を進めているというところでございますので、一定程度、やはり掛かるところはあるかと思います。
ただ、その中でもできるだけ早く手当金が交付できるような努力というか、工夫。例えば、先ほど1年くらいというお話ありましたけれども、全然そんなところまで行かずに速やかに交付ができているところもあれば、やっぱり時間の掛かるところもある。じゃ、時間がそうスムーズに進むところは何がうまく行っているのか。こういったところを検証しつつ、その優良な事例については横展開をしていく。こういったことも取り組みながら、早期の交付というものについてしっかりと対応していきたいというふうに思っております。その上で、発生状況等を考えながら、あるいは交付金の早期の支払ができる改善の状況等を見ながら、どのような対応が最適になるのかというのは、これからも検討はしてまいりたいというふうに考えております。
○小針部会長
ありがとうございました。
ほかに、農林水産省の方からありますか。
よろしくお願いします。
 
○郷畜産振興課長
畜産振興課長でございます。
小山委員の方から、酪農で黒毛を増やせばいいんだから、繁殖農家要らないんじゃないかという声が現場であるというお話を頂きました。非常に悲しいし、非常に残念だなと。ただ、和牛については、もう皆さん、改めて申し上げるまでもなく、先人が地域で頑張り、各県切磋琢磨して、ここまで育ててきた日本の宝です。近交係数が上がってきたりとかということもあり、遺伝資源、我が国でしか確保できないものですので、私どももしっかり、またニーズもよく踏まえてですね。不飽和脂肪酸に対するニーズも上がってきていますし、全和でもそういうファクターを入れた形で共進会開いたりやっていただいています。酪農経営にとって、副産物収入が非常に大きな支えになっているのは事実ではございますが、それは、飽くまでも、和牛のこれまで培ってきた努力、改良があってこそであります。
これからも、マーケットニーズに合わせた形で、改良をしっかり応援してまいりたいと思いますので、現場の農家の方々に見放されたような気持ちにならないように、私どもも皆様と一緒に頑張ってまいりますので、そこは現場の方でしっかりお伝えいただければなというふうに思っております。
以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
それでは、ここで本日御欠席の駒井委員、松田委員からの御意見をお預かりしてまいりますので、事務局の方で代読をよろしくお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
駒井委員、松田委員から意見いただいておりますので、私の方で読み上げさせていただきます。
まず、駒井委員です。肉用子牛の関係でございます。
1、食肉流通、特に牛肉、豚肉の価格形成に携わる者として、状況を報告いたします。
国産牛肉のうち、和牛の価格については、本年に入って以降、混乱発生直後の混乱期を除くと、過去5年では最低の水準で推移しておりまして、需要期の年末になり、若干の価格上昇はありますが、過去の水準には達していません。これは、諸物価高騰の中にあって、消費者が高級食材である和牛肉を敬遠しているからだと考えています。
また、期待されるインバウンド事業についても、確かに地元の京都には大勢の観光客が戻ってきましたが、和牛肉の需要に貢献しているか、はっきりしない状況にあります。
国産豚肉の価格については、コロナ以降、高い水準で推移しておりまして、本年に入ってからも過去5年の最高水準にあります。国産豚肉は、コロナ禍以降も消費者の強い支持が得られた食材になったと考えています。
この場で何度も申し上げてきましたが、消費者は頃合いのさしの入った手頃な価格の牛肉を求めていることを改めて申し上げます。
2、諸物価高騰の中、生産コストの上昇を畜産物の小売価格等にどう反映していくのかについて、政府内での議論が進んできていると承知しておりますが、卸売市場を含めた流通業界もコスト高に苦しんでいることをお伝えいたします。
卸売市場での取引は、枝肉価格を基にした取扱手数料での運営ですので、コスト転嫁は用意ではなくて、手数料以外の料金、例えば冷蔵庫使用料、屠畜解体料でも、当協会会員のアンケート調査では、多くの会員が値上げを実行できていません。
3、トラック輸送に関わる2024年度問題も、かなりの数の会員が懸念しています。できるだけ広い地域から牛豚を集めてくることが中央卸売市場の役割なので、輸送に制限が掛かると、従前できていた集荷が困難になる事態が想定されます。
また、労働者の確保もいよいよ深刻さを増しています。牛豚の解体処理は特殊な技能を必要としますので、人材育成を含めた人材確保を要しますが、高齢化も進んできており、今後の円滑な運営について懸念されるところです。
4、牛肉の輸出促進については、農林水産省による様々な支援策が講じられ、輸出量の更なる増加が期待されるところですが、輸出の起点となる輸出認定施設になることや、それを維持すること、特に米国や香港、EUなど、屠畜方法がつり下げ放血方式に限られることによる血斑の発生増に伴う補償金対策が根本的に解決されていないこと等、認定施設として運営を続けることにはまだまだ課題があります。引き続き、具体的な課題の解決につながる継続的な技術面、資金面での支援を切にお願いします。
5、2020年以来、話題にしてきた原皮については、一旦好転するかと思われた状況が、特に豚原皮で深刻さを増しています。卸売市場での価格は極めて低い水準にとどまっています。産業廃棄物とせず、消費者に使われる商品の原材料として、供給し続けられるような方策を準備しておく必要があると考えます。
6、最後です。豚熱、アフリカ豚熱等、家畜疾病の水際対策、防疫対策については、全世界での発生状況に合わせた、しっかりとした対策をお願いします。
駒井委員からは以上でございます。
続きまして、松田委員からの意見を申し上げます。代読します。
乳業者の立場から、第2回畜産部会に当たり、3点意見を述べさせていただきたいと思います。
1、チーズ対策の継続性の確保。1点目は、チーズ対策の継続性の確保についてです。補正予算において、需給改善のためのチーズの生産拡大対策が措置されたことに感謝申し上げたいと思います。
こうした対策の裏付けがあれば、生産者の皆様は2年連続での生産抑制から解放され、自然体に近い形で安心して生産に取り組めるものと思われます。
乳業者としても、生産者団体と連携して、工場における生産体制を見直し、チーズの生産を少しでも拡大することにより、脱脂粉乳の生産を抑制し、需給の改善に努めてまいりたいと考えています。
他方、今回の対策は補正予算により措置されたものであり、事業の継続性に不安があることから、各乳業者においては、チーズ生産拡大のための投資の判断が非常に難しいこともまた事実です。
農水省のホームページを見ると、現在でも、令和6年度概算要求として、本対策の基になったと思われる予算要求が掲載されています。
生乳需給の持続的な改善を目指して、生産者も乳業者も安心してチーズの生産拡大に取り組めるよう、来年度も当初予算で要求し、事業の継続性が少しでも担保されるよう、御検討いただければ幸いです。
2、来年から検討が開始される酪肉近代化基本方針について。2点目は、来年から検討が開始される酪肉近代化基本方針についてです。
5年前に前回の検討が開始されたときと比較すると、酪農・乳業をめぐる情勢だけでなく、目標年度に向けて様々な変化が想定されています。国内的には、2035年までにチーズの関税がゼロ(2033年度)になり、関税割当制度は維持不可能となること。国際的には、SDGsの目標年度が2030年とされていることなどです。
したがって、目標年度までに想定される、こうした変化を踏まえた検討が必要であると考えます。とりわけ、チーズの関税がゼロになることと関税割当制度の廃止が事実上決定している中で、何の対策も講じなければ、近い将来、国の政策により、改めて追加の生産抑制が必要になり、生産者の意欲を大きく損なうことが懸念されますので、補給金制度の運用改善を含めた真摯な議論、検討が必要であると考えます。
また、SDGsについては、乳業協会としても、乳業各社の取組実態の調査などを通じて、地道に普及・定着を図っているところです。
他方、酪農分野については、昨今の生産事情が非常に厳しいものであったことから、ほとんど検討が進められていない状況にあると認識しています。このため、今後は、酪農家の取組について基本方針の中でその方向性を明確に示し、業界の自主的な取組に任せるだけでなく、業界と連携しつつ、国が率先して指導・支援していく必要があると考える次第です。
3、より長期的な酪農乳業政策の検討。第3に、2008年をピークに日本は人口減少社会に入り、2035年度以降も引き続き加速度的に人口が減少し、2050年には約9,500万人になると予測されています。
こうした中で、酪肉近代化基本方針とも関係しますが、生乳生産や酪農経営の長期的な安定、さらには乳原料の調達を含めた食料安全保障のためには、基本方針の目標年度よりももっと先の次世代を見据えた長期的な酪農乳業の在り方についても検討する必要があると考えます。その際には、基本方針とはやや異なる視点から、次世代に至る道筋を含めて、官民が連携・協力して検討を進めてはどうかと考えるところです。
以上でございます。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
委員の皆様から、追加で御意見があるだとか、さっきちょっと言い足りなかったという部分が、もしあれば、ここでお願いしたいと思いますが、大丈夫でしょうか。
それでは、最後に私の方からも発言をさせていただきたいというふうに思います。
今回、この算定で出てきた数値に関しましては、もともと作られている算定式に基づいてという形になっておりますので、それはその形なのかなというふうに思っています。
ただ、一方で、今の飼料高であるだとか、あと疫病の発生というのが本当に急性的なものなのか、やはりこれから、もう慢性的にも続くのかということによって、今の形の算定のままでいいのか、やはり情勢に合わせて見直していかなければいけないのかというのは、これから考えていかなきゃいけない部分だと思いますので、それは今後議論を進めていかなければいけないところかなというふうに思っています。
例えば、直感的に、私が今回のを見て感じたのは、今回の鶏卵の価格であったりすると、今の鳥インフルエンザによる需給の変動というものが、恐らくそれが影響をしていて、価格が上がっている。そこの部分が算定式のところにも入ってくるということになるので、それがその形でいいのか、そこは何らか検討する必要があるのかといった形で、今の算定式の中でも見直しを考えなければいけない部分ということと、算定式を、そのものをやはり考えなきゃいけない。それぞれ、考えなきゃいけない段階というのがレベルによっても違うと思うので、その辺りは検討いただきながら。そのときに、先ほど大山委員から御指摘があったとおり、きちんとデータで検証をして、どうなのかということは見ていく必要があると思うので、そこをそれぞれのレベルで検討しなきゃいけないことに対して、きちんとデータで検証していくということをこれから進めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、農水省の方から、まとめて回答をお願いいたします。
 
○猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。
駒井委員から、食肉業界の課題について多岐にわたって御指摘を頂きましたので、簡単に触れさせていただきたいと思いますが、御指摘のあったとおり、物価上昇の中で消費者の生活防衛意識が高まったということで、和牛肉、特に高級部位の販売が振るわず、需要が軟調に推移しておりますけれども、足元では中央卸売市場における12月現時点の和牛の平均価格は2,577円。昨年より3.4%増加していて、やや回復の兆しを見せています。さきの補正予算で、輸出促進対策や国内需要の喚起対策などを掲げておりまして、しっかりと国内外の需要開拓に取り組んでいきたいと思っております。
適度な脂肪交雑、値頃感のある牛肉、何度もこの審議会の中でも御指摘いただいた論点でございますが、脂肪交雑の多いものへのニーズも根強い一方で、適度な脂肪交雑、値頃感のある牛肉へのニーズも高まっていると認識しております。多様な消費者ニーズに合わせて、牛肉の供給が図られていくことが大事だと考えています。我が国の牛肉供給の中で、輸入牛肉が6割、乳用種・交雑種が2割、残り和牛が18%というような形で既に多様な供給が図られていますが、このような中でどのように消費者ニーズに対応していくかというのが大事だと思っております。
物価高騰の中での、特に流通段階でのコスト転嫁という話がありました。正に、農水省で、本年8月から適正な価格形成に関する協議会が開催されております。持続可能な食料供給の実現のためには、フードチェーン全体の中での持続性が大事であって、全体の中で適正な価格形成が図られる必要があるという問題意識は共有されていると思っています。個別の対応、なかなか容易でない部分あると思いますが、どのようなことができるか、我々としても考えていきたいと思っております。
物流2024年問題については、政府全体のパッケージに基づきまして、商慣行の見直しや物流の効率化に向けて、業界分野別に自主行動計画を作成することとされています。市場の関係においても、日本食肉市場卸売協会と連携しながら、取り組んでいるところでございます。
輸出に関して、アメリカ向けなどの輸出に当たっての懸垂放血に関する課題につきましては、引き続き血斑発生率の低減につながる取組や設備改良などを支援しておりますが、現場における具体的な課題の解決に活用いただきたいと思っておりますし、技術的な課題について、我々も入り込んで、一緒に考えていきたいと思っております。
原皮の話題は何度か触れさせていただいておりますが、やはり牛の半分、豚の方は全量が、皮については輸出されておりますけれども、今世界的に合成皮革の性能が向上してきた中で、一方で、一部の、やっぱり世界の中で動物由来の皮革を避ける傾向なども見え始めていて、やはり国際的な原皮の相場が中長期的に低迷しています。皮を所管する経産省とも連携しながら、やっぱり原皮というのは極めてサステナブルな素材であるということを我々としても訴えかけているところでありまして、今後の取引動向や皮革産業の動向をしっかり注視してまいりたいと思っております。
以上です。
 
○小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
 
○須永牛乳乳製品課長
松田委員から、チーズについてお話がありました。まず、ちょっとこのチーズの予算の前に、チーズは今、加工原料乳生産者補給金制度の対象になっておりますけれども、それは平成29、30年度、TPP以降ではありますが、乳価の高い生クリーム等の液状乳製品を対象品目に追加することと併せて、相対的に乳価の低いチーズも含めて、補給金単価を一本化したという経緯がございます。
これは、効果としましては、乳価の高い生クリーム等の生産が促されます。また、加えて、生クリーム、バター、チーズ、主要三品ございますが、それぞれの用途の需要に応じて、仕向け先の変更が柔軟に行えるという効果もございます。生産者にメリットがあった、この統合だったというふうに理解をしています。これがまず出発点です。
その上で、チーズに対しては、この補給金制度に重ねて、総合的なTPP等関連大綱に基づいて、今も継続している事業を繰り返しをしています。このTPP関連予算ですが、閣議決定している大綱の中では、農林水産分野の対策の財源については、既存の農林水産予算に支障を来さないよう、毎年の予算編成過程で確保するということが規定をされています。
我々が、TPP以降、平成29年度以降、継続してクラスター、それからこのチーズ、いろいろなものをTPP関連予算として、ずっと補正予算で計上しておりますが、それはこの閣議決定があるということが一つの根拠になっております。
我々、役人としましては、予算をいろいろな形で、その時々の政策ニーズに合わせて、生産者、それから業界を支えるべく、いろいろな形で財源を取ってきているというものでもあります。財政施策上、90年代以降、非常に苦しい財政運営が繰り返している中での、こういういろいろな形で支えてきているという一つのものかなというふうに思っておりますので、その付いた予算の根拠が当初なのか、補正なのか、予備費なのか、いずれにしても、我々としてはいろんな形で皆さんをお支えするという、その考え方自体は変わらないということを繰り返し述べさせていただきたいと思います。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
食肉鶏卵課長。
 
○猪口食肉鶏卵課長
最後に、部会長から御指摘のあった算定方式。特に、例として挙がった鶏卵の価格の話でございますが、現状について申し上げさせていただきますと、鶏卵の算定式、冒頭御説明させていただいたとおり、直近6年で実現した実勢価格をベースにコストの変動率を掛けるということになっておりまして、その直近6年の実現した価格の中には、例えば昨年のように鳥インフルエンザによって、鶏卵不足によって価格が大きく上がった分も含まれてはいます。そういう意味で、今回、その直近6年の価格というのが大きく上がったことが上げ要因の一つになっているところではあります。
もちろん、一つの考え方としては、通常の需給の変動によらない、こういう疾病ですとか災害ですとかによる価格変動は異常値として排除するという考え方もあり得るとは思いますが、現状、今そういうふうにはなっておりません。今回、そういうことをすれば、もちろん下げ要因になってしまう部分ではありますけれども、正にそういう、鶏卵については予算事業でありますので、どういった考え方ができるかというのは、今後の事業実施期間の度に見直しを行いますので、その中で考えていくことも一つのアイデアではあると思いますが、そういう下げ要素になるという点についても慎重な検討が必要なのかなとも思っています。
 
○小針部会長
ありがとうございます。
動物衛生課長、よろしくお願いします。
 
○沖田動物衛生課長
駒井委員の御意見の中で、家畜の病気に対する水際対策、防疫対策は、世界での発生状況に合わせて対応をお願いしたいという御意見ございましたので、お答えしたいと思います。
正に、アフリカ豚熱、それから口蹄疫ですね。口蹄疫に関しては、お隣の韓国で5月に発生をしています。これは再発です。ワクチンを全国的に打っている中で再発したという状況でございます。ですので、ワクチンで一応抑えていたけれども、そういうところでもいつ発生するか分からない。
もちろん、アフリカ豚熱という、現在有効なワクチンがない病気については、アジアでは、もう台湾と日本以外はほぼ全て感染しているという状況の中で、日本に対する侵入のリスク、病気が侵入してくるリスクは非常に高い状態にあるということをきちんと把握をしておりますので、それに合わせて水際対策、これは令和2年に家伝法を改正して、水際の対策のための強化を行いました。この法律を根拠として、水際対策はしっかりと対応していきたいというふうに考えております。
それから、もちろん発生している豚熱、それから鳥インフルエンザに関しては、国内でありますので、まずは国内で予防を第一に行うことと、それから、発生した場合の蔓延防止を速やかに徹底的に行うということで対応をしていきたいというふうに考えております。
 
○小針部会長
ありがとうございました。
一通り、出席委員から御発言を頂きましたので、意見の聴取はここまでといたしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、意見の聴取はここまでにさせていただきます。
これより、諮問に対する賛否表明をお願いしたいと思います。
本日の諮問を審議するに当たり、示された試算値を踏まえ、各委員より賛否を御表明いただければと思います。その際、特段の御意見があれば、簡潔にお願いいたします。
賛否については、挙手制ではなく、名簿順に沿って進めさせていただきたいと思います。
それでは、椛木委員から、順次お願いいたします。
○椛木委員
私は賛成いたします。今後とも、生産者が安心して前向きに生産できるような環境になっていけばと願っております。
以上です。
 
○小針部会長
石田委員、お願いします。
 
○石田委員
賛成いたします。お願いします。
 
○井上委員
賛成しますが、まだ、私、理解できないところ、あと矛盾点もあるように感じていますので、今後とも議論の方をさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
大山委員、お願いいたします。
 
○大山委員
今回の価格については、承認いたしたいと思います。
 
○小椋委員
提案内容には賛成をいたしますけれども、午前中申し上げましたとおり、単価の基準設定ですね、計算式、ここの検討をしていただきたいと思いますし、財源の確保に関しましても、一般予算で確保できるような検討を、是非お願いしたいと思います。
以上です。
 
○小山委員
賛成いたします。
 
○畠中委員
今年の価格に関しては承認というか、賛成したいと思いますが、部会長もおっしゃられていたように、非常にイレギュラーな相場であったり、そういうときに、これに当てはめるだけでは駄目なのではないかということは、あえて、再度申し上げたいと思います。
 
○小針部会長
羽田委員。
 
○羽田委員
賛成いたします。
 
○小針部会長
それでは、リモートで里井委員、お願いいたします。
 
○里井委員
賛成させていただきます。
今後とも、生産者さんを含め、消費者みんなにとっての明るい未来になるように祈っております。よろしくお願いいたします。
 
○小針部会長
彦坂委員、お願いいたします。
 
○彦坂委員
賛成いたします。
 
○小針部会長
どうもありがとうございました。
私も委員として、賛成ということでお願いしたいと思いますので、全体で賛成多数と認めます。
以上をもちまして、意見聴取並びに諮問等に対する賛否表明が終了いたしました。
それでは、これから本日出された御意見を事務局で簡潔に整理していただきますので、その間、休憩といたします。
15時をめどに部会を再開して、委員の皆様方に意見の概要の確認、取りまとめを行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
なお、リモートで御出席の委員の皆様には、事務局よりメールでの意見の概要案をお送りしますので、御確認をよろしくお願いいたします。
なお、椛木委員におかれましては、所用によりここで御退席となります。ありがとうございました。
午後1時48分休憩
午後2時59分再開
○小針部会長
お待たせいたしました。それでは、部会を再開いたします。
まず、事務局から配付された意見の概要原案を御一読いただき、その後、皆様から御意見を伺いたいと思います。リモートで御参加の委員には、事務局よりメールで意見の概要案が送付されております。
それでは、3分ほど時間を取りますので、御一読願います。
 
(概要原案一読)
○小針部会長
よろしいでしょうか。
それでは、意見概要の取りまとめを行います。
御覧いただいた意見の概要案について、御意見等がございましたら、挙手をお願いいたします。ありがとうございます。
特段、御意見はないということですので、時間の制約もございますので、最終的な取りまとめにつきましては、部会長の私に御一任いただくという形でよろしいでしょうか。
 
(異議なし)
○小針部会長
ありがとうございます。
それでは、引き続き、答申案の承認に入ります。
事務局から答申案の配付をお願いいたします。リモートで御参加の委員の皆様には、画面に表示の答申案を御覧ください。
 
(答申案配付)
○小針部会長
それでは、事務局から答申案の朗読をお願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
それでは、答申案を朗読させていただきます。
 
5食農審第65号
令和5年12月13日
農林水産大臣宮下一郎殿
食料・農業・農村政策審議会
会長大橋弘
答申
 
本日、諮問された次の事項について、下記のとおり答申する。
 
1令和6年度に交付する加工原料乳についての生産者補給金等に係る総交付対象数量並びに生産者補給金の単価及び集送乳調整金の単価を定めるに当たり留意すべき事項(令和5年12月13日付け1768号)
2令和6年度の肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格を試算に示した考え方で定めるに当たり留意すべき事項(令和5年12月13日付け1770号)
3令和6年度の鶏卵生産者経営安定対策事業に係る鶏卵の補塡基準価格及び安定基準価格を試算に示した考え方で定めるに当たり留意すべき事項(令和5年12月13日付け1773号)

1加工原料乳についての生産者補給金等に係る総交付対象数量並びに生産者補給金の単価及び集送乳調整金の単価については、生産条件、需給事情及び物価その他の経済事情を総合的に考慮すると、試算に示された考え方で定めることは妥当である。
2肉用子牛の保証基準価格及び合理化目標価格については、生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、令和6年度につき試算に示された考え方で定めることは妥当である。
3鶏卵生産者経営安定対策事業に係る鶏卵の補塡基準価格及び安定基準価格については、生産条件及び需給事情その他の経済事情を総合的に考慮すると、令和6年度につき試算に示された考え方で定めることは妥当である。
 
以上でございます。
 
○小針部会長
ただいま朗読いただきました答申案につきまして、御賛同を得られるなら、この案で決議したいと思いますが、よろしいでしょうか。
 
(異議なし)
○小針部会長
異議なしと認めます。御異議ないようですので、本答申案につきましては、当部会の決定と同時に、関係規則に基づき、食料・農業・農村政策審議会の正式な答申といたします。
 
○新井畜産総合推進室長
この後、答申を行いますので、このまましばらくお待ちいただければと思います。この後、報道関係者が入りますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 
(報道入室)
 
○小針部会長
答申につきましては、食料・農業・農村政策審議会として、農林水産大臣に提出するわけでございますが、本日は渡邉畜産局長にお渡ししたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
(答申手交)
 
○小針部会長
それでは、渡邉畜産局長から、一言御挨拶をお願いいたします。
 
 
○渡邉畜産局長
畜産部会の委員の皆様方には、大変お忙しい中、長時間にわたりまして、熱心に御審議を頂きまして、心から厚く御礼を申し上げます。
農林水産省といたしましては、ただいま小針部会長から受け取りました、この答申を踏まえまして、令和6年度の畜産物価格などといたしまして、加工原料乳生産者補給金の単価、集送乳調整金の単価、総交付対象数量、肉用子牛生産者補給金制度におけます保証基準価格と合理化目標価格、鶏卵生産者経営安定対策事業におけます補塡基準価格と安定基準価格について決定をさせていただきます。
また、本日、本部会で委員の皆様から頂きました御意見につきましても、その趣旨に従いまして、今後の畜産行政の推進にしっかりと生かしていきたいというふうに思っております。
我が国の畜産業におきましては、円安による飼料費を始めとした生産コストの上昇などの影響が見られておりまして、当省としては、昨年来、予備費、補正予算などを通じ、異例の対応を積み重ねてきました。加えて、先般成立した令和5年度の補正予算におきましても、畜産酪農をめぐる課題に対応するための諸対策を講じたところでございます。引き続き、情勢の変化に則した施策を推進していきたいというふうに考えてございます。
委員の皆様方には、我が国畜産業の更なる発展に向けまして、引き続き御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日は誠にありがとうございました。
 
○小針部会長
どうもありがとうございました。
それでは、報道の方はここまでで御退席をお願いいたします。
 
(報道退室)
 
○小針部会長
本日は、長時間に及び、熱心に御審議いただきまして、ありがとうございました。委員の皆様方の御協力に対しまして、改めて感謝申し上げます。
ここで、事務局より、何か連絡事項があれば、お願いいたします。
 
○新井畜産総合推進室長
事務局からです。
改めまして、本日、お忙しいところ、長時間にわたる審議、どうもありがとうございました。
今後の畜産部会の開催につきましては、改めて事務局の方から御連絡して、日程ですとか、調整させていただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
 
○小針部会長
それでは、これをもちまして、食料・農業・農村政策審議会令和5年度第2回畜産部会を閉会いたします。皆様、どうもありがとうございました。
午後3時14分閉会
 

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、河田、松山
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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