令和6年度第2回畜産部会議事録
1. 日時及び場所
日時:令和6年5月24日(金曜日) 9時45分~12時00分
会場:農林水産省 第2特別会議室(web併催)
2. 議事
〇新井畜産総合推進室長それでは、定刻になりましたので、ただいまより令和6年度第2回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙中にもかかわらず御出席を賜りまして、ありがとうございます。
それでは、小針部会長に議事をお進めいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
〇小針部会長
おはようございます。部会長の小針でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、初めに渡邉畜産局長に御挨拶を頂きたいと思います。局長、よろしくお願いいたします。
〇渡邉畜産局長
おはようございます。
本日は食料・農業・農村審議会の畜産部会に御出席を頂き、誠にありがとうございます。
委員の皆様方に加えて、本日プレゼンテーションを頂く関係者の皆様にも御参加頂いております。誠にありがとうございます。
この畜産部会でございますけれども、現在、畜産・酪農の政策の現状・課題を整理するために関係者の皆様方から発表いただいて、お聞かせを頂いているところでございます。3月、4月の部会では、酪農、肉用牛生産の分野におきまして、それぞれの取組をされておられる方々からプレゼンを頂きまして、取組の効果や今後の課題などについてお伺いしたところでございます。
今回は生乳需給や家畜・畜産物の流通関係の皆様方にお集まり頂いたところでございまして、これまでと同じように御発表いただき、お伺いをさせていただきまして、現場目線での課題について御示唆、御教授いただきまして議論を深めたいと考えておりますので、本日もどうぞよろしくお願い申し上げます。
我が国の畜産・酪農の更なる発展に向けまして、今後またいろんな政策などを検討していくということになると思いますので、引き続き御協力を賜りますことをお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
〇小針部会長
ありがとうございました。
報道の方はここで終了といたしますので、御退室ください。
(報道退室)
〇小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、委員の出欠状況の報告などについて事務局からお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
まず、本日配付しております資料について、確認をさせていただきます。
会議資料は、会場の委員の方におかれましては、お手元のパソコンの画面に資料一覧、資料1から9、また、参考資料、全部で10個になりますけれども、シートが表示されているかと思いますので、御確認を頂ければと思います。操作方法で不明点などございましたら、近くにいる職員に遠慮なくお問合せいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日の出欠状況ですけれども、本日は14名の委員に御出席いただいております。そのうち椛木委員、馬場委員、前田委員におかれましてはリモートにて参加いただいております。ありがとうございます。また、本日、二村委員、川田委員、駒井委員、里井委員、松田委員におかれては、御都合により本日欠席との連絡を受けております。
審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますが、本日規定数を満たしておりますことを御報告いたします。
以上です。
〇小針部会長
ありがとうございました。
今回は畜産物の需給や流通関係に携わる有識者の方からヒアリングを実施することといたしております。本日お招きした皆様を御紹介いたします。
資料3を御覧ください。
お一人目は関東生乳販売農業協同組合連合会代表理事常務の迫田様です。
お二人目は株式会社MMJ取締役事業統括本部長の藤本様です。
現在、農水省において生乳の需給安定や需要拡大のための情報交換会が行われているところです。まず、牛乳乳製品課から議論の状況について報告いただいた後に、お二方には生乳流通事業者というそれぞれのお立場から需給調整の取組や課題等について発表いただきます。
続いて発表いただくのは、一般社団法人日本乳業協会常務理事の本郷様です。よろしくお願いいたします。
本郷様には、乳業から見た現状や課題、消費拡大の取組等について御発表いただきます。
続きまして、肉用牛・食肉関係になります。
ながさき西海農業協同組合営農振興部畜産振興課課長の森田様です。
森田様には、同農協が開設する平戸口中央家畜市場の取組事例について発表いただきます。
最後は全国農業協同組合連合会畜産総合対策部次長の廣岡様です。
廣岡様には、食肉処理施設の再編による処理量向上、コスト低減に向けた取組や課題等について御発表いただきます。
皆様、本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります。
有識者の皆様におかれましては、事務局から御発表者を御紹介した後、御説明をお願いいたします。御説明の後、約15分程度の質疑応答時間を設けておりますので、御意見や御質問のある方は挙手いただければと思います。
なお、冒頭の農林水産省及び生乳流通事業者お二方の御報告に関しては、まとめて説明いただいた後、質疑応答の時間を設けさせていただきたいと思います。
それでは、初めに畜産局牛乳乳製品課より生乳の需給調整及び動向の現状と課題を説明いただきたいと思います。
それでは、お願いいたします。
〇須永牛乳乳製品課長
牛乳乳製品課長です。
資料4を御確認ください。昨年11月以降、4回開催しております生乳の需給等に係る情報交換会議において、私ども農水省から説明した内容を簡単に御説明させていただきます。
1枚めくっていただいて、需給調整の考え方という紙です。
最初に生乳の用途別取引と需給調整の考え方について説明をしました。牛乳は保存性が低く、様々な要因で供給過剰と価格暴落が起こりやすいという性質があります。こうした中、用途別取引によって牛乳の需給と価格を透明化し、その牛乳需給に合わせて生乳を乳製品に仕向けるということで牛乳の価格を安定させています。牛乳の市場環境はこの需給調整の仕組みが支えてきたものと考えておりまして、牛乳価格の安定には加工仕向けが重要であると考えています。
次のページを御確認ください。
生乳は全国的見地からの需給調整が必要となります。具体的には、一つ目は年間を通じて牛乳を安定供給するには不需要期である冬を中心として乳製品の加工が不可欠になります。また、二つ目ですが、牛の出産から搾乳開始までは3から5年程度の期間が掛かります。その間に消費構造が変化する場合には、乳製品への加工が増減するという形で需給から現れます。ここ数年は脱脂粉乳の需要のみが低迷しておりまして、全国協調の対策を通じて生乳全体の需給の安定に取り組んでいるところであります。こうした生乳需給の安定が全国的な課題であるということを関係者間で共有・認識して、協調して取り組んでいくことが重要であると考えています。
次のページを御確認ください。
生乳生産量と牛乳の需給の関係については、大きく二つの考えがあろうかと思っています。一つ目は左側の、夏の牛乳需要期にも牛乳を安定的に供給するという考え方でして、その場合、乳製品工場の通年操業を確保する必要性があったり、牛乳の需要減少や脱脂粉乳とバターの需要の跛行性と呼ばれる、両者の需要が離れるということ、それから、生乳需給の構造問題、全国的な見地での需給調整コストが一部の事業者にどうしても寄ってしまうということが課題となっています。
もう一つは不需要期の冬にも生乳仕向けを最大化したい、すなわち加工仕向けを極小化したいという考え方があります。その場合は右側の図になりますが、需要に合わせた生産、つまり、下向きに凸となる生産カーブの形状を夏を軸に上向きの凸となる需要カーブに合わせようとするということ。ただ、そうすると、そもそも牛の生態を鑑みると非常に難しいということが課題としてあります。
もう一つが需要に合わせた供給、需要期である夏に不足する分をほかの地域や事業者によって供給しようとしたり、成分無調整牛乳が基本的な流通になっていますが、それ以外の乳飲料ですとかその他の飲料によって供給しようとするということが基本的な対応として考えられますが、特にこの成分無調整に代わる乳飲料による供給をしてしまうと、成分無調整牛乳市場を縮小させることになって、ひいては国産生乳の優位性や高い生産者乳価を毀損する可能性もあるという問題があると考えています。左側の現状の需給構造の方が需要の維持などの観点から、牛乳の安定供給にとってはメリットが大きいと考えております。
次のページを御確認ください。
続いて、情報交換会議での説明内容とは別に現在の飲用牛乳の消費動向について簡単に御説明、御紹介をさせていただきます。
飲用牛乳の販売本数については、令和3年度からこれまでにかけてグラフのとおり減少傾向で推移をしております。特に赤くマーキングをした右側のところですが、令和4年11月の飲用乳価10円値上げがありました。その後から令和5年8月までの期間では、その1年前の期間と比べて販売本数で平均5.0%の減少となっております。また、その後、赤く塗り潰した以降ですけれども、令和5年8月、更に飲用乳価が10円以上値上がりしましたが、その後から令和6年5月の直近までの期間では、その1年前の期間と比べて販売本数で平均3.8%の減少となっています。このグラフが示すとおり、これまでの乳価引上げが飲用牛乳の需給状況に影響を与えているということが懸念されています。今後の生乳需給の安定に向けては、生乳の需要の減少傾向をいかに克服するかが重要だと考えております。
私からの説明は以上です。
〇小針部会長
ありがとうございました。
続きまして、関東生乳販売農業協同組合連合会の迫田様より発表を頂きますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料5を御覧いただければと思います。
資料5の1枚目でございます、関東生乳販売農業協同組合連合会様ですが、関東圏内の約1,700戸の酪農家が生産をする年間約100万トンの生乳の受託・販売を行うほか、生乳の需給調整、また、乳質の向上や酪農の理解醸成などに取り組まれております。
それでは、迫田様、御発表をお願いいたします。
〇迫田様
関東生乳販連の迫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日御用意いたしました資料は合計14ページありますけれども、参考のグラフと図は時間の都合で省略させていただきます。後ほど御目通しいただければ幸いでございます。
3ページを御覧ください。
まず、最近の牛乳需要の動向を御説明申し上げます。
以前から漸減傾向でございましたけれども、おととし11月、それから、去年8月の二度にわたる値上げによりまして、前年比5%の減少をいたしました。ほぼ一巡した現在も前年割れが継続している状況でございます。今申し上げたように牛乳の需要減の主たる原因は値上げだと思いますけれども、加えてプラントベースフードなどの代替需要ですとか、あるいは少子化、給食費高騰を背景とした代替飲料への切替えによる学乳の低下というのも無視できない要因になっているかなと思います。
そして、牛乳全体のパイが縮小しているのに加えて、より低価格帯の商品にシフトしています。具体的には大手乳業者さんのナショナルブランドと言われる商品から、プライベートブランドへ、また、あるいは更に安い乳飲料などへのシフトも見られます。
次のページをお願いいたします。
需給調整の取組を三つに分けて書いておりますが、まず、日々需給調整というのは行っております。生産量あるいは乳業者からの需要量などを日々把握いたしまして、全農さんあるいは全酪連さん、我々の業界では全国連と呼んでおりますが、全国連さんなど関係者と協働して送乳車1台単位での調整を図っております。
その日々の調整のほかに、大きく需要期の需給調整と不需要期の需給調整について御説明申し上げます。
まず、需要期の需給調整ですが、これは一言で言うと生産と需要の差を埋める作業です。牛は非常に暑さに弱い生き物でございまして、この関東地域でも猛暑によって1日に100トン以上生産が急減することがございます。また一方で、需要も天候その他の要因で突発的に上下いたします。乳業者さんの需要も突発的に増減すると。飲用の不足期には、加工工場に搬入する予定だった生乳をキャンセルして飲用に振り向けるですとか、そういった対応を取っておりますけれども、最後のポツですが、地域内で可能な対応というのは限界がございます。ですので、全国連さんが行う他地域の生乳、こちらも私どもの業界では広域生乳と呼んでおりますが、この広域生乳の移出入調整が非常に大きな役割を果たしております。
次のページをお願いいたします。
では、不需要期はどうかというと、不需要期はこちらも一言で言うと、いかに全量を処理するかというのが不需要期の需給調整でございます。飲用需要が低下するこの時期、脱脂粉乳・バター、また北海道ではチーズなどを製造することによって対応しておりますが、特に処理が困難となるのは年末年始などの工場が停止したり、あるいは小売店が休業となる期間、これも業界用語で恐縮ですが、コア期と呼んでおりますけれども、このコア期の処理が非常に課題でございます。この期間に向けて、コア期に突入する前から生産者団体ではCSという生乳の貯蔵施設(クーラーステーション)の貯乳量を最低限に減らしておく、ですとか、乳業者の方でも加工工場をお持ちの乳業者さんには、加工工場を24時間体制で連続稼働していただくですとか、そういった準備を行っていただきます。
最後のポツです。しかしながら、この不需要期は全国的に余っている時期ですので、このクーラーステーションや乳業者のタンクでの繰越しの最適化あるいは近隣加工工場の処理最大化以外には、全国連調整による遠方の加工工場の余力があればそちらに転送するというのがほぼ唯一の選択肢で、需要期以上に対応方法や手段は限られます。
次のページをお願いいたします。
需給調整のための取組について、これは図で需給の1年間の流れを表しております。先ほど牛乳乳製品課長からも御説明あったものをより細かく示したものですが、オレンジの曲線は生産量です。夏に一番低くて、4、5月に一番高くなります。一方で需要は非常に複雑な曲線を描いおり、大きく見ると、7、8、9月がピークで、3、4月に向けて減っていきます。その中でも非常に大きな谷が三つあります。3月末から4月にかけての学校の春休み期間、それとゴールデンウイークの期間、そして、一番谷が深いのは年末年始でございます。この期間に生乳を廃棄することなく、どう全量処理するかというのが非常に大きな課題でございます。
次のページをお願いいたします。
円滑な需給調整実現のための取組でございますが、今申し上げたのは物理的な処理の話ですけれども、物理的に工場で処理が可能であっても、乳製品在庫が過剰な状況下で乳業者が生乳を追加で買い入れるのにはもちろん限界がございます。現在、飲用需要が低迷する中で脱脂粉乳とバターの需要格差も拡大した結果、脱脂粉乳の緩和状況が続いておりますので、令和4年度以降、生産者・乳業者、それから、国からも助成を頂きまして、この脱脂粉乳の過剰在庫削減対策というのを今年度も継続しているところでございます。
次の(4)ですけれども、今まで申し上げた需給調整は用途別取引と各種制度を前提に機能しております。需給調整というのは、基本的には保存期間の長い脱脂粉乳・バターに加工して保存するということが基本ですが、これは用途別取引、それから、乳価の安い脱脂粉乳・バターに仕向けたときに補給金を出していただく補給金制度をはじめとする各種制度を前提としておりまして、その仕組みの上で関係者の協調によって対応が行われています。この用途別取引と各種制度が前提になって初めて機能しているという認識を持っております。
次のページをお願いいたします。
2ページに分けて課題を書いております。
まず最初に、都府県における加工処理能力の低下です。長らく生乳不足が続いておりまして、都府県の乳製品工場の稼働率は著しく低下いたしました。結果、工場の閉鎖や規模の縮小が続いていまして、残った工場へのコア期の過度な集中によるオーバーフロー、また、反対に年間を通じた稼働率が低迷しておりますので、今後の工場の維持という両面を現在懸念しております。
もう一点の懸念は、かつては季節需給を勘案して牛乳量が調整されていました。広域生乳というのは、不需要期には消費地帯には極力流入させないというシステムが働いていましたが、現在は1年を通じて、特に不需要期も平均的に生乳が入ってきておりまして、そちらは主にプライベートブランドなどの比較的安い商品になっておりますので、結果、都府県の飲用需要を先食いする、というのはちょっと言葉が悪いかもしれませんが、不需要期には都府県の生乳の行き場がなくなるという状態に陥っております。
(2)は脱脂粉乳・バターの需要の跛行性の問題でございます。これは先ほど申し上げましたので、省略させていただきます。
最後、次のページをお願いいたします。
全国協調的な仕組みの困難さ・新たなルールの必要性と書いておりますけれども、この現在の需給調整の仕組みですが、用途別取引がおよそ50年前に開始されて以降、生乳の生産あるいは流通環境の変化、牛乳乳製品の消費流通構造の変化に対応しながら非常に長い時間を掛けてブラッシュアップして形成されてきたものと認識しております。生乳廃棄の回避をはじめとして関係者全てがそのメリットを享受していると認識しておりますし、また、合理的な価格での牛乳乳製品の安定供給という意味では、国民消費者の方々にも貢献しているものだと認識しております。
一方で、この機能の維持・発揮には当然ながらコストが掛かります。これは様々な要素がありまして、本日は時間の制約があって詳細には触れませんが、例えば地理的に優位な大規模生産者の生乳だけを扱うといったことは、我々農協には許されません。条件不利地域も含めて規模の大小にかかわらず全量処理する、あるいはいわゆる部分委託の生産者の方の未集荷分にも対応するといった、いわゆるユニバーサルサービスの提供のためのコストも発生しておりまして、これも広い意味では需給調整コストと言えるのかもしれません。
一方で最大のコストはクーラーステーションなど物理的な施設あるいは人の維持以外には、恐らく季節変動への対応だろうと思います。不需要期には加工率を大きく引き上げて、これは生産者の手取り乳価を大きく引き下げるということにもなりますが、これによって生乳の全量処理を行っています。この生産者乳価の下落分というのは、需給調整コストの最大のものの一つだろうなと思っております。
これまではそういったコストは、基本的には農協に出荷する酪農家の方々が担ってきたというのが私どもの認識でございます。しかしながら、現在生産・販売・流通、全てのセクターでプレイヤーが多様化して、その量が増えてきている中で特に厳しい経営環境に置かれている生産者サイドの中には、この負担の偏りに対する非常に強い不満の声があります。需給調整機能の維持は、この業界のみならず消費者の方も含めて全体最適に貢献しているということへの理解と協調に全面的に依存するだけでは、この仕組みの維持がもう限界を迎えつつあるんじゃないかなと思っております。いわゆる指定団体といいますか、農協に限定せず全国レベルで協調して取り組んでいく必要があると思いますが、ただ、季節変動への対応に代表されるような需給調整の仕組みに参加しないことがビジネスの機会というか、経済的メリットを生じさせているという現状が続けば、これは合理的な経済行為でございますので、この環境下ではそういう状況が進展すると考えております。
そうすると、この機能の維持は非常に困難になるんじゃないかなと危惧しております。酪農関係者全てに参加を求めるような仕組みというかルールが今強く求められているのではないかというのが私どもの認識でございます。
説明は以上でございます。
〇小針部会長
ありがとうございました。
続きまして、株式会社MMJの藤本様より発表を頂きますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
続きまして、資料6を御覧いただければと思います。
1枚目の概要でございます、株式会社MMJ様ですが、群馬県伊勢崎市に所在しまして、67戸の酪農家と契約されております。下の方にありますけれども、民間企業として日本で初めて酪農家から直接購入した生乳を乳業メーカーなどに販売する卸売業を始められ、中間経費を省いたシンプルな契約と機動的で柔軟な生乳供給に取り組まれております。
それでは、藤本様、発表をお願いいたします。
〇藤本様
MMJの藤本と申します。今日はよろしくお願いいたします。
まず弊社の事業概要について資料1ページによって御説明させていただきます。
事業の内容として、生乳の仕入れ販売・卸売業をやっております。取扱い数量の2023年度実績の数量は13万8,000トン、うち北海道が7万6,000トンとなっております。また、今年度、2024年度の見込み取扱い数量は17万5,000トン、うち北海道が11万トンになっております。地域別の生乳の仕入れ数量を図で示させていただいておりますが、MMJは恐らく自主流通事業者では唯一、全国から生乳を仕入れて多方面に販売するという全国ネットワークを持っている事業者であり、また、取扱い数量規模が最大の事業者になっております。
次のページに移ります。
事業概要が残り三つありますが、ほかには乳製品の販売事業、生乳の卸売だけではなくて製品化したものの販売、国内だけではなく海外への輸出にも取り組んでおります。
それから、2024年、自社工場を建設いたしまして、乳製品の製造事業への取組を開始いたしました。これについては、次のページからの需給調整に関する取組の中で詳しくお話しさせていただきたいと思います。
それから、(エ)として生乳の検査事業も行っております。こちらは契約している酪農家さんからの生乳、自社で取り扱う生乳の品質管理以外にも、生乳の検査を受け入れてほしいというところが結構ありまして、そういった需要ニーズに対応して事業化したものでございます。伊勢崎の本社に検査室がございまして、生乳検査精度管理認証検査施設となっております。
では、次のページに移ります。
生乳の需給調整に関わる取組についてです。今日の議案というかトピックの一番重要なところかなと思っております。MMJの加工状況について、大体過去5年で加工向け比率が6から8%程度で推移をしておりますが、加工数量の増加とともに加工による需給調整の重要性が増しております。やはり先ほど迫田様の発表にもありましたように、生乳を取り扱う以上、大なり小なり規模にかかわらず、需給調整は避けて通れないと思っております。実際に避けて通っている事業者はいないと思います。実際その方が、年間通して売れているとおっしゃっていたとしても、川上から川下までサプライチェーン全体を見れば、必ずどこか需給調整が発生している、誰かが担っているというのが生乳の需給調整というところであろうなと思っております。
自主流通の需給調整についてお話しさせていただきますと、先ほど課題として迫田様の発表にもあったような不公平感については、やはり自主流通の生乳、余乳を実際に乳製品に加工するということがやはり唯一の解決方法なのではないかと考えております。MMJでは自社工場を建設して稼働するところなんですけれども、やはり加工工場を自前で持って維持するというのは非常に大きな投資であり、維持管理コストが掛かります。MMJも現在売上げが年商200億に届くところですが、その規模になって初めてそういったものを立ち上げて維持するという負担ができる体力がついてきたという実態があります。
自主流通のその他の事業者を見ますと、やはり小規模の事業者の方が多いですね。ですので、実際にこういった加工をしようとしてもなかなか難しい。それから、既存の加工工場に委託をしようとしても、それもなかなか難しいということで、MMJではそういった自主流通の余乳をできる限り引き受けることで、自主流通の生乳が飲用乳価、飲用市場を低下させる要因にならないように、一事業者でできる範囲ということではあるんですけれども、できる限り引き受けていきたいと思っております。
次のページにまいります。
生乳の高付加価値化と記載しておりますが、自主流通の生乳がなかなか加工に向かない理由は、先ほど言った通り物理的に加工を受け入れるところがない、加工ができないということももちろんありますが、やはり飲用向けよりも安い乳価になってしまうことです。加工向けが発生すると大赤字になってしまうことが分かっているので、なかなか選択肢にすることが難しいという状況があります。
MMJの方でも、自主流通の生乳が余っているときに加工工場に誘導するためには、やはり加工乳製品自体を高付加価値化するしかないだろうという取組を継続しております。そこに書かれているフリーズドライ牛乳はそのうちの一例ですが、やはりこの円安情勢によって、この1、2年特に輸出向けで大幅に引き合いが増加しています。種類別でいうと全粉乳なんですけれども、一般の全粉乳のお取引先によりますが、5倍から10倍の価格でも引き合いがあり、可能性を感じております。
自社工場で今後製造する製品に関しても、引き続き高付加価値化を目指して取り組んでいくことにより、飲用市場の安定、乳の新たな価値を付加していくことで乳の価値向上に貢献していきたいというような取組でございます。
次のページに移ります。
販売情勢について、これは飲用牛乳に関することですが、これはどちらかというと小売側の差別化戦略の一環という動機ですが、付加価値化です。やはりほかにない商品、PB開発を積極的に行っているということと、原料を直接買い付けることでコストの見える化をするコスト戦略、この二つの動機から各小売チェーンのPB開発、自主流通の生乳をMMJの方でも「別海のおいしい牛乳」といった商品が生まれる商環境になっております。
また、A2ミルクに関しても、早くから取り組んでいる酪農家さんと連携させていただきまして、こちらもPBとして関東の主力スーパーで採用されております。メディアの露出が近年非常に多くなっていて、A2ミルクの取扱いにおいてもトップシェアになっております。通常の牛乳よりも少し高いんですけれども、こちらに関しても固定のファンがついているのが販売実績により見えてきているというところです。
次のページでは流通合理化の取組についてですが、2024年問題は生乳の流通においても全く同様の課題を抱えております。生乳は365日荷物があるということで、以前は運送屋さんからは喜ばれていましたが、現在はそれがネックになってしまっており、できる限りそこを緩和するために1台当たりの運べる数量を大きくしたり、あるいはなるべく陸送の距離を短縮する方法を考えるというところで、CSについても以前はMMJは持っていなかったんですけれども、やはりこういった物流の問題に対応するために各拠点にCSを設置いたしまして、荷積み・荷下ろしを最短の時間でやってあげるということを推進しております。需給調整を適切に行うことも、結局はこういった物流の問題とリンクしてきますので、ローリーの待機が長いなど、そういったことがないように適切に加工を仕向けることが必要と考えております。
資料の説明については以上です。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、農林水産省の説明及びお二方の説明に関して御質問等ある方は挙手にてお願いいたします。
〇小椋委員
小椋です。よろしくお願いします。
先ほど農水省の方より牛乳の生産状況、また、消費、需給状況等々の話がございましたし、関東生販連、またMMJさんからもそれぞれの対応、取り進め方、考え方をお話しいただきましたけれども、それらを踏まえて私の方から少し意見をさせていただきたいと思います。
昨年、令和5年度の全国の生乳生産ですが、先ほどの資料にありましたように約730万トンです。そのうち飲料向けに消費されているのが、数年前は400万トン以上あったわけですが、この資料にあるように現在は400万トンを切って380から約390万トンで、そのほかの340万トン程度が加工向けになっているのが現状であります。
したがって、飲用と加工向け消費割合が6対4になっておりますが、この需給調整についてです。コロナ禍に端を発して令和3年から、大幅に飲用・加工向けが低下したわけです。脱脂粉乳の過大な在庫積み増しによって、今国、国、乳業、我々生産者を含めて脱脂粉乳の飼料用販売などの在庫対策をやっていただいておりますし、生産の調整もそうですけれども、やはり加工向けでできた脱脂粉乳の対策も需給調整であります。先ほど生乳販連の方からお話がありましたように、牛乳を生産している、流通している業者を含めて系統外問わず、一律に需給調整を取り進めなければならないと思いますし、今脱脂粉乳の在庫対策を行っておりますけれども、これも一律に取り進めなければいけない。やはり農水省としてはこの取組を一日も早く取り進めていただきたいと思います。MMJさんからも加工向けに関しては部分委託をしているが、今年から自社工場を建設して加工向けに割合を増やすというお話がありましたけれども、これもMMJさんのみならず系統外、自主流通の皆さんに一堂に対応していただかないと、やはりここで不平等感が出てきます。
需給調整というのは牛乳のみならず野菜もお米も、全ての生産において取り進めているわけですから、是非ともこのことについて考えていただき、農水省とMMJさんからのお考えをお伺いしたいと思います。
以上です。
〇小針部会長
ありがとうございました。
馬場委員から手が挙がっておりますので、お願いします。時間の関係もありますので、御質問、御意見は簡潔にお願いいたします。
〇馬場委員
馬場でございます。
小椋委員や迫田常務が言われたとおり、需給調整には酪農乳業関係者全ての参加を求めるようなルールや制度がどうしても必要であるということは、私も同感であります。
迫田常務に感想も含めて質問です。脱脂粉乳・バターへの加工による季節ごとの需給調整が不可欠である中、日々努力をされている指定団体の取組には頭が下がる思いです。特に生乳廃棄の回避に向けた大変な努力をコロナ禍等でされてきたと思いますが、その需給調整の取組について、予期せぬ需給緩和の際の取組を改めて教えていただければと思います。
また、季節需給を勘案しないような低価格帯の牛乳の急増など、現在の需給調整上の課題もよく分かりました。将来の酪農乳業業界全体にとって、今のような趨勢が続けばどのような影響が生じるのか、想定されることがあれば教えて頂ければと思います。
以上です
〇小針部会長
では、宮島委員、お願いいたします。
〇宮島委員
日本テレビの宮島です。今日はプレゼンテーションをありがとうございます。
2つ質問があります。1つは不公平感がなく、全部の事業者が参加する仕組みということについて、せっかくの機会ですので、どのような形が考えられるか、例えばどこかに基金を作って参加する人たちみんながそこでお金をプールして、必要なところに振り分けるなど、考えられる仕組みや期待する仕組みがあれば教えていただきたいと思います。
2つ目は一般消費者との関係について、これは確認です。牛乳の需要が減っているということで、基本的にはもっと飲んでほしいということだと思いますが、消費者との関係において何かできることはあるでしょうか。例えば一般の人は、牛乳の供給にこんなに差があるものとは余り思っていなくて、毎月同じ値段で買えるものだと勝手に思っているのではないかと思います。でも、そうではないことを分かってもらって、値段に差があることを消費者が受け入れるようなことが仮にあった場合に、それは解決になるのか。それとも関係者の方から見れば、やはり同じような価格で売り続けて安定的な方がいいのか。
また、例えばお米や砂糖ですと、SNSで広がる糖質ダイエットとか、健康によくないかもみたいな不要な評判が需要を落とすことがありますが、牛乳に関してはそのようなことがあるのか、一般の人たちの認識で改善すべきことがあるかどうか、教えていただきたいと思います。
〇小針部会長
生乳事業者の方お二方にそれぞれということでよろしいですか。
〇宮島委員
はい。
〇小針部会長
では、まずは関東生乳販連迫田様からお願いいたします。
〇迫田様
小椋委員からの御質問は農水省とMMJさんということだったかと思いますので、それでは、馬場委員と宮島委員からの御質問に答えさせていただきます。
まず、馬場委員からの御質問について、一つが予期せぬ需給変動に対してどのような対応をしているのか、という御質問だったかと思いますが、こちらはコロナのときが典型的ですけれども、学校給食が完全にストップしました。関東管内では1日約500トンの学乳需要がありますので、これが丸々消えてしまったわけです。こちらは取引先乳業者あるいは全国連に即座にやり取りをしまして、学校給食に振り向けられるはずだった生乳をほかの乳業者や、場合によってはブロックを越えて調整を行い、生乳の廃棄を防ぐことができました。一部巣籠もり需要で一般用が跳ね上がったという事情もありましたけれども、これは日々やっている需給調整の業務のためのインフラあるいは長年培ってきた乳業あるいは全国連との関係が非常に大きな役割を果たしたのかなと思っております。
それから、2点目のこの状況が続けばどうなることが予想されるかというご質問について、2点が考えられます。1点目は直近の話ですが、先ほど申し上げたように、農協に出荷されている生産者の方は非常に強い不満があります。この需給調整機能を維持するためには当然コストが掛かって、そのコストというのは農協ではなく、農協に出荷している生産者の方が負担しておりますので、この生産者の方の合意がなければ機能を維持するためのコストを賄うことができません。そういう意味で、この需給調整機能が毀損されるおそれがあると思っております。
もう一つは、これはより大きな話かもしれませんが、安価な、私どもに言わせていただくと需給調整コストを応分に負担しているとは考えにくい商品、それによって低価格帯のPBというか、商品が作られて、これによって合理的な価格形成が阻害されていると思います。具体的にはおととしの11月、去年の8月の2回にわたって飲用乳価交渉を行いました。これまでのところ、関東生乳販連が全国に先駆けて交渉を行って、その妥結結果が全国の指標になってきたのではないかと考えておりますが、この交渉の場で最大の障壁は安価な商品の存在です。これは複数の乳業者の方から実際に言われましたが、そのような商品がある状態で値上げは難しいと言われました。私自身もこの乳価交渉の乳価引上げの最大の障壁はこの安価な製品の存在だったなと思っております。
2回にわたる飲用乳価の引上げにもかかわらず今現在も酪農経営は厳しいままでございますが、これをコストに見合うための価格にするためには、この問題をどうしても解決しないといけないと思っております。これが解決されなければ生産基盤が毀損されて、国内の牛乳乳製品を十分に供給できなくなるのではないかというのが私の最大の懸念でございます。
それから、宮島委員からの御質問について、1点目は不公平を感じないような仕組みは例えばどういうことが考えられるかという御質問だったかと思いますが、こちらについては、川下の商品になった段階で需給調整コストを負担させるような仕組みというのはなかなか考えづらいと思います。これは独禁法などさまざまなハードルがあって考えづらいと思うので、私が思うに一番川上の酪農家段階で、例えば需給調整機能を維持するためのコストを何らかの形で負担するというのを酪農家全員が参加しているような事業なりがあれば、そのための参加要件にするというのは一つのアイデアではないかと思います。
2点目ですが、牛乳需要が減っている中で、消費者との関係でできることはあるかという事について、私どももこれは合理的な価格形成の最重要点の一つだと思っております。消費者の方に今の酪農経営の状況を知っていただくということと、誤解を恐れずに言えば、日本の牛乳乳製品は高いが、なぜ高いのかということを丁寧に説明する事。国内でしっかり食料を生産して供給するためにはこれだけのコストが掛かるので、高いですが、是非手に取ってください、ということを分かりやすく丁寧に説明する必要があるのではないかと思います。
それから、牛乳が体に悪いという評判について、定期的に牛乳害悪論が出てきますが、これに対してはエビデンスを持った冷静な反論が必要だと思います。業界にはJミルクという団体がありますが、そちらで牛乳の悪いうわさが本当はどうかということを資料にして、ホームページで公表されています。それをもっと周知する必要があるかなと思いますが、そういう対応が引き続き必要かと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、MMJ藤本様から御回答をお願いいたします。
〇藤本様
まず小椋委員から脱脂粉乳の対策も需給調整であり、MMJの考えをお聞きしたいということだったと思いますが、やはりおっしゃるとおり脱脂粉乳の在庫対策は非常に重要で、自主流通も同じように取り組まないといけない課題だと認識しております。
ただ、やはり先ほど発表の中で申し上げたとおり、これまで事実上自主流通が加工に仕向けることができなかった環境にありました。やはり大きく言えば、一つはまず加工施設を自前で持つ体力がないということと、もう一つは既存の加工工場ではなかなか受入れが難しいということです。それに対するアンサーとしては、MMJとしてというか、自主流通全体として、需給調整のために加工乳製品向けに自主流通の生乳を誘導する仕掛けを作っていきたいと思っております。弊社の自社工場ももちろんですが、需給調整の様々な方法を提案して、メリットを感じてもらうことによって加工に誘導することができるのではないかと考えております。
昨年Jミルクでやった脱脂粉乳対策に対する拠出金について、自主流通の事業者からも拠出金を、というのは一つの御意見としてはあるのかと思いますが、それだけではこの需給調整の問題は解決しないと考えております。繰り返しになりますが、やはり実際に自主流通の生乳を加工するということでしか解決しないのではないかということで、自主流通の最大の事業者である弊社MMJの役割としては、そういった自主流通の余乳を最大限引き受けるのが役割であると認識しているところであります。
それから、宮島委員からの御質問で、全体協調した具体的な対策方法についてご質問頂きました。この次に頂いた消費者に関してのご質問とも関連しますが、やはり商品を売ることに関しては、消費者のニーズを的確につかんで、マーケティングの考えをもって消費者の求めるもの、おいしいもの、健康によいものの提案を愚直にやっていくということではないかと思います。
価格の上下については、やはり消費者が牛乳の価格の上下を受け入れないことは全然ないと思いますし、先ほど飲用牛乳の値上げによる需要の低下というグラフもありましたが、ほかの食品に比べれば牛乳は生活の中で必需品に位置づけている消費者が多い食品であるということの裏付けになるデータでもあるのではないかと見ております。
また新たな牛乳の需要を掘り起こすというところでは、先ほど紹介した、本当に一部での取組ではあるんですけれども、A2ミルクのような、今まではお腹がごろごろして飲めなかった方をターゲットにした少し変わった商品など、やはり消費者の方のそういったニーズというのを考えながらやっていくということでしょうか。また、消費者とはまた異なりますが、牛乳のBtoBにもまだ商機が眠っていると個人的には思っておりますので、飲用の牛乳だけではなくそういったところも狙って、やっていきたいと思っております。
〇小針部会長
では、牛乳乳製品課長、簡潔にお願いします。
〇須永牛乳乳製品課長
小椋委員からありましたところについて簡潔に、我々としては生乳・牛乳には加工が不可欠だと思っています。また、牛乳、脱脂粉乳の需要低下など生乳・牛乳に関わる全国的な課題を共有して、関係者が協調して対応していくことが何よりだと思います。現在、生産者と乳業で構成する全国協調対策があります。これを維持・拡充していくことを我々としても支えたいということ、また、さらに特に脱脂粉乳の在庫対策だけではなくて、牛乳の需要消費面での対応も業界で協調してやっていただきたいと思っております。
それから、こうしたことも含めまして、多様化する流通の中で生産者、流通事業者に対する規律を確保していくということも必要だろうと思っています。本年4月には、生産者が流通事業者に対して行う翌年の生乳生産数量の申出期限についての規律を強化いたしました。本年度も更に規律を強化すべき点がないか、実務面でどこまでできるのかという課題もありますので、関係者の声を聞きながらよく検討、議論を進めていきたいと思っています。
以上です。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、続きまして、一般社団法人日本乳業協会の本郷様より発表いただきますので、事務局より紹介をお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料7を御覧いただければと思います。
日本乳業協会様ですが、企業や都道府県の協会などを会員とする団体でございます。関係団体や会員企業と連携をして、酪農乳業の健全な発展に取り組まれているところです。
なお、松田会長は本日欠席ですけれども、畜産部会の委員を務めていただいております。
それでは、本郷常務、御発表をお願いいたします。
〇本郷様
ただいま御紹介いただきました日本乳業協会の本郷でございます。
酪農の安定なくして乳業の安定もあり得ませんので、「酪農の安定・調和・発展に向けて」と題しまして、現状と課題を踏まえて、安定的な酪農乳業を次世代につなぐために期待することなどをお話しさせていただきたいと思っております。
スライドの3を御覧ください。
初めに、世界の生乳需給と日本への示唆と題しまして、世界の人口予測を見ていただきたいと思います。それによりますと、世界の人口は現在の約80億人から2050年には97億人に増加すると見込まれております。乳製品の需要は新興国などを中心に人口の増加率を上回って増加すると見込まれております。
次のページをお願いします。
2010年から2020年までの10年間で世界の人口が12%増加したのに対して、需要を反映した生乳生産量は28%も増加しております。ただし、今後は人口や需要が増加するのに対して、環境規制の強化等により主要輸出国を中心に生産の伸びが制約されつつありますので、生乳需給はタイトになっていく可能性が高いと考えられております。
日本は需要の約40%を輸入に依存しておりますが、最近では地球温暖化に伴う異常気象や国際紛争、飼料穀物価格の高騰、コロナ禍など想定を超える事象が頻発しておりまして、海外から乳資源の確保が次第に困難になっていくという懸念が現実のものとなりつつあると考えております。
次のスライドをお願いします。
次に、私ども乳業の基本的・社会的な役割を3つにまとめてみました。
1点目は生乳全量受入れと需給調整による酪農経営支援でございます。生乳生産と牛乳乳製品の需要は日々あるいは季節的にも大きく異なるため、原則として生産された生乳を全量受け入れて、様々な乳製品に加工・処理して需給調整を行うことにより、酪農家の皆様が日々安心して生産が行える環境を提供しているところです。
2点目は生乳の加工処理・商品開発を通じた価値向上でございます。生乳はそのままでは消費者の皆様に販売できないため、ミルクツリーが示すように様々な乳製品に処理・加工して、生乳の価値を高めております。
3点目は安全・安心な牛乳乳製品の安定供給です。生乳の受入れから牛乳乳製品の生産まで品質管理を徹底しまして、消費者の皆様の需要に応じて多様な牛乳乳製品を過不足なく安定的に提供するように努めております。
次のスライドをお願いします。
酪農の現状でございます。1点目は配合飼料価格等の高騰でございます。これに対して、生産者の皆様と連携、協調して需給の改善を図りつつ、飲用向け乳価を2回、合計で20円引き上げ、乳製品向け乳価も2回引き上げまして、酪農経営の安定化を図っているところでございます。
次のスライドです。
2点目は生乳需給の大幅緩和です。これは生産者の皆様の努力によるものですが、2年連続の減産により需給の改善を図っていただいております。
3点目は脱脂粉乳の過剰在庫です。国の支援も頂きながら生産者も過剰在庫処理対策費を負担し、在庫削減に努めていただいております。
次のスライドです。
乳業の現状でございます。生産者への支払乳価の引上げに加えまして、包材費、エネルギー費等生産資材コストが高騰しているため、製品価格に転嫁したところ、このグラフが示すとおり牛乳の需要は減少しております。また、過剰在庫処理対策費は乳業者も生産者と連携して同額負担し、在庫削減に努めているところでございます。仮に対策を講じていなければ前のページのグラフが示すとおり在庫は約18万トンに達して、賞味期限切れによる廃棄が続出していたところだと思いますが、自主対策等により5万トン程度まで削減したところでございます。
次のスライドをお願いします。
最近の生乳生産と酪農経営の課題は多岐にわたっております。特に輸入粗飼料を利用する経営や規模拡大した経営における経営悪化と生産抑制に伴う生産意欲の低下、そういった状況の中で新規就農希望者が不安を感じ、その確保が難しくなっていると考えられること、またこうした環境の悪化に伴う離農の増加などがあると考えております。また、先ほどの議論のとおり、需給調整に係る生産者間の不公平感の増大も懸念されております。加えまして、後継牛の減少が数年先の生乳生産に暗雲を投げ掛けているような状況だと感じております。
次のスライドをお願いします。
他方、牛乳乳製品の需要・乳業の課題といたしましては、堅調なバター需要と低迷する脱脂粉乳(無脂乳固形分)の需要の不均衡が挙げられます。バターの需要から見れば生産拡大が必要と言える一方で、脱脂粉乳の需要から見れば逆に減産が必要というジレンマに陥っているところでございます。
次のスライドです。
2033年度までにチーズの関税は段階的に引き下げられ、無税となります。結果的にプロセスチーズ原料用ナチュラルチーズの関税割当は効果がなくなり、いずれ割当てがなくなると見込まれるため、約25万トンもの生乳需給が危機にさらされております。
次のスライドです。
人口の減少に伴う牛乳乳製品の需要減少も懸念されるところでございます。このため乳業者といたしましては、本来の業務として互いに競い合いながら、各社が不断に牛乳乳製品の販売促進や消費拡大に努めているところでございます。また、当協会といたしましても、他団体とも連携しながら消費拡大イベントの共催ですとか、牛乳パックの側面広告の利用、SNSの利用、レシピ開発等により牛乳乳製品の普及啓発と消費拡大に努めているところでございます。
次のスライドです。
国内での需要拡大対策だけではなく、微力ながら輸出拡大にも取り組んでおります。東日本大震災直後の2012年には27億円まで落ち込んだものの、その後順調に回復し、10年後の2022年には在庫削減のための自主対策による脱脂粉乳の輸出もあり、約11倍の319億円にまで拡大しているところでございます。また、乳業経営の合理化を図るために、個社の判断で乳業工場の集約化に努めております。最近では少なくなっていますが、国の支援も受けまして、複数の乳業による再編合理化も進められているところでございます。
次、スライド14です。
ここは仮定の話になりますけれども、対策なしで対応した場合に生じる課題についてまとめてみました。現在、牛乳乳製品の自給率は約60%です。特に牛乳乳製品需要の約3分の1を占めるチーズの自給率は15%に過ぎず、輸入品が85%とそのほとんどを占めております。チーズの関税割当の効果がなくなり、いずれ割当てがなくなると見込まれることに加えまして、低迷する脱脂粉乳の需要に応じた生産を行うとすれば、2年連続での生産抑制から解放されたばかりであるにもかかわらず、改めて相当の減産が必要になると考えられます。また、需給緩和時にチーズ生産という補助・補完手段が縮小してしまい、弾力的な需給調整が困難になると考えられます。
加えまして、追加減産が必要になれば、特に北海道において酪農経営から肉用牛経営への転換が進み、肉用牛生産にも影響が及ぶと考えられます。需給逼迫時の課題が増幅・拡大する懸念もございます。具体的には、安定的な牛乳乳製品の供給が困難になることが懸念されます。過去の経験を踏まえますと、消費地における最需要期の牛乳が不足する可能性と年末のバターの最需要期に向けて、その造りだめが困難になる可能性があるということでございます。
最後のスライド15です。
以上のような現状と課題を踏まえると、酪農の安定・調和・発展を実現するためには、以下のような取組の検討が必要になると考えております。
酪農の安定のためには、需要の確保により生産を安定化させることが何にも増して重要であると考えております。このため、乳業者としては新商品開発や輸出等により本来業務としての需要確保・拡大に努めてまいる所存でございます。
また、酪農の調和のためには、需給と価格の安定が重要であり、需給調整や経営安定対策に加えまして、生産者間の公平性の確保も必要だと考えております。さらに、酪農の発展のためには、無脂乳固形分の需要確保対策と需要のあるチーズ生産対策により、脱脂粉乳とバターの需要の均衡を図るとともに、生産の維持を図ることが生産者の意欲を維持するためにも重要であると考えております。
以上のとおり酪農の安定・調和・発展のためには、生産者と乳業者それぞれの自助努力は当然のことといたしまして、これ以上の生産抑制をしないで済むような対応策あるいは生産者間の公平性の確保を含めた酪農関連制度の運用の見直しの検討も必要ではないかと考えているところでございます。その上で全ての関係者が連携、協調して対応していけば、夢と希望のある安定的な酪農乳業を次世代につなぐことができると期待を込めて考えている次第です。
御清聴ありがとうございました。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問等ある方は挙手にてお願いいたします。
井上委員、お願いいたします。
〇井上委員
北海道で酪農と肉用牛の生産をしていますトップファームグループの井上と申します。
意見とか質問ではないんですけれども、今日おいでの皆様、先生方に生産現場の生産者としての本音を聞いてほしいというような話でもよろしいでしょうか。
〇小針部会長
はい。
〇井上委員
過去何十年にもわたって、流通・加工、そして、様々な関係機関、団体や農水省も含めて、知恵を出し合って努力していただき、酪農生産を守ろうとしているということは私も十分理解していますし、今日の話の中でも十分理解できます。しかし、例えば資料4、5にありました通り、若干値上げをするとすぐ消費が落ちてしまうということが強調して書いてありますが、もちろんそのとおりだという事は数字で理解しているんですが、生産者としてこの数字を見ると、そんなに牛乳は値上げしたのかな、そんなに高いのかなと思います。
例えば私は今年牛舎を建てるので、10年前の平成25年の生コンの価格と比べたところ、ちょうど2倍になっていました。北海道では、1万2,000円の生コンが2万5,000円になっていました。この前私の友人がクラウンを買うと言って、400万円ぐらいのイメージでしたが、800万円もするんですね。10年でほとんど倍になっている。あと、お菓子もうどんもラーメンも、値上げするときにそんなに抵抗感をもって上げていますかね。あっという間に値上げするのではないかと思うんです。牛乳が諸外国と比べて高いというお話も先ほど伺いました。全部は把握していませんが、私は研修生の関係でネパールとベトナムへよく行きますが、生活水準が十分高いとは思えない国ですけれども、牛乳は生産者手取りで67円くらいしています。販売価格も日本より少し安いぐらいで、日本円にしてリットル100円で売れています。向こうの諸物価と比べたら決して安くはない。それで値上げしたら消費が落ちる。
でも、実際私どもの地域でも経営難によって廃業している生産者がいるんです。要するに破産した、経営できないと。その方にしてみれば、値上げで消費が減るうんぬんよりも今の現状価格で安く売って自分の経営が潰れるのであれば、それは値上げしてほしいじゃないですか。値上げするのが当たり前じゃないですか。会社が潰れるのを放っておいて、そのまま安く売り続ける会社がどこにあるんでしょうか、そんな思いでいるんじゃないかなと思うんです。
私は35年前に酪農を辞めました。5年前にまた再参入して、今は日量15~16トン生乳を生産していますが、今はいかに酪農業界からまたリタイアするかな、ということを真面目に考えています。今の酪農情勢というのは、そのぐらい困窮しているのではないかなというのが私の本音です。現状、生産者として私の本音をお話しさせていただきました。
以上です。
〇小針部会長
ありがとうございました。
石田委員、お願いいたします。
〇石田委員
神奈川県で酪農をしております石田と申します。
本郷さん、すばらしい分かりやすいプレゼンテーションをありがとうございました。これは迫田さんと藤本さんにもお伺いできればと思いましたが、時間の関係で質問できなかったので、本郷さんにお伺いしたいと思うんですけれども、酪農業界については私も実際現場にいて、厳しい状況を身をもって感じております。一方で少数ではございますが、そんな状況下でも農家一軒一軒の規模で、自分の牧場だけでも、よりよい安心・安全な牛乳を生産することで、この状況を打開できるんじゃないかと信じて、例えば農場HACCPの認証を取得しようですとか、JGAPに取り組んでみようですとか、そういった一軒一軒の小さな努力をされている生産者もございます。
実際やはり生乳は液体であり、基本的には全量集荷されるので、そういった一つ一つ、一軒一軒の努力は、結局混ざってしまい、乳価はそれほど変わらないんですが、それでも一つ一つの努力がよくなるはずだと、衛生面に非常に気を付けて取り組むような動きも実際見られていると思います。
全体協調を目指そうとしているわけでは決してないですが、乳業メーカーさんから見て、そういった小さな努力、結果につながるかどうか分からない努力をされている農家さんに対して、今後全体統一の乳価以上にプレミアムを払ってでも牛乳を買いたいとお思いになる傾向があるのかどうか。また、SDGsとも絡んできますけれども、自給飼料を生産しながら堆肥を自分の畑に還元するような、有機物の循環にしっかりと取組む農家さんに対しても、今後プラスアルファの乳価で買い取りたいと思うのか。例えば消費者のニーズであったり、投資家から見て、そういう牛乳を使っている乳業メーカーであれば応援したいというような傾向があるのであれば、プレミアムを払ってでも買ってみたいというような事があれば農家も、じゃあもっとよりよい牛乳を搾ってみようかな、と努力をするようにもなるのかと思いますが、そのあたりのことについてお伺いさせてください。
〇本郷様
石田委員、貴重な御意見・御質問を頂きまして、ありがとうございます。
生乳は基本的に合乳されますので、分離流通ができるかというところが大きな課題になると思います。特別によい生乳を作ったり生産過程が違うものについてプレミアムを付けることについては、そういう取組を是非進めていただきたいと思います。それが広がっていけば、より有効におっしゃるような対応が取れるようになるのではないかと思います。
具体的な例を言えば、大手乳業でも有機牛乳を特定の地域で酪農家の皆さんに生産してもらって、それを販売している例もございますし、私の知るところでは、石田委員も「いせはら地ミルク」を作っていらっしゃるかと思います。特別な飼い方などをしている特定の地域の生乳を、分離流通して販売することができれば可能な対応ですので、メーカーと生産者、生産者団体の間をうまくつなぐことができればプレミアムを付けて販売することも可能なのではないかなと思います。そういった取組は是非拡大していただければと思います。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、時間もありますので、次の議題に移りたいと思います。
続きまして、ながさき西海農業協同組合の森田様より発表いただきますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料8になります。1枚目の概要を御覧いただければと思います。
ながさき西海農業協同組合様ですが、長崎県平戸市に所在しまして、平戸口中央家畜市場において年間約7,000頭の牛を取引されております。年12回開催をされております。県有の種雄牛が上場頭数の8割を超えているということで、優良な雌牛の確保にも努められている地域とのことでございます。
それでは、森田様、御発表よろしくお願いいたします。
〇森田様
ながさき西海農業協同組合の畜産営農振興部畜産振興課の森田といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
私の方からは家畜市場の再編・統合について、ということで、平戸口中央家畜市場の事例について御説明したいと思います。
次をお願いいたします。
まず、平戸口中央家畜市場の概要ですが、ただいま御案内がありましたように、長崎県の県北地域に所在し、市場開催日については曜日関係なく固定の毎月21日、22日の2日間、全12回開催しております。令和5年度の取引頭数については、子牛が7,088頭、成牛が628頭の、全体で約7,700頭上場しております。また、購買者関係につきましては、主な出荷先が九州各県と、北の方では東北の青森県、場合によっては北海道辺りからも購買者が来られるなど、日本全国から来ていただいており、全体の取引頭数の3分の2は県外に出荷されているというような状況です。逆に言いますと、県内への購買率が実質25%前後でございます。
次をお願いします。
平戸口中央家畜市場の変遷でございますが、平成14年4月に県北地域の農協が合併して、ながさき西海農業協同組合が発足しております。平成15年7月にJA全農長崎県本部の家畜市場がながさき西海農協へ移管をして、市場名がJAながさき西海平戸口中央家畜市場に変更となりました。それぞれ地図でお示ししておりますけれども、うちの管内では平戸口中央家畜市場、離島の宇久小値賀家畜市場、そして、同じ佐世保地区でございますが、早岐市場という3つの市場があります。まず、平成18年10月に広域早岐家畜市場が平戸口中央家畜市場へ本土地区で統合されました。その後平成21年10月に宇久の家畜市場と小値賀の家畜市場を統合して宇久小値賀家畜市場が発足し、令和2年8月に平戸口中央家畜市場へ離島の宇久小値賀家畜市場を統合して、県北地区において平戸口中央家畜市場として再編されました。
次をお願いします。
統合前の状況について、平戸口中央家畜市場は2か月に1回、年8回の市場開催でした。1回の取引頭数は少ないときで350頭、多いときは800頭であり、隔月の開催であることから、頭数の安定性に不安があるような状況でした。宇久小値賀家畜市場は、年5回の開催で、1回当たりの取引頭数が300頭前後でした。繁殖農家の高齢化などもあり、頭数が減少傾向で推移した部分もあったり、市場施設の老朽化や、離島であることから交通面が非常に厳しいところもあり、天候等にも左右されて予定どおり開設されないという時期もあったと聞いております。そういったところがありまして、2市場とも毎月開催でないため、日齢や体重、牛の統一性などのばらつきが非常に目立つという課題が当時起きていたと聞いております。
次をお願いします。
統合による効果についてです。出荷頭数の安定と子牛の斉一化ということで、統合して毎月開催となったことで1回当たりの出荷頭数がおおむね500、600頭前後に安定してきました。それから、毎月出荷をするものですから、子牛の日齢、体重等のばらつきがなくなり、購買者としても購買しやすい環境となり、家畜市場としての魅力が高まってきました。そういった中で参考ですが、当市場管内では出荷日齢の目標を、雌を290日、去勢牛は280日以内として掲げております。この目標についても、令和元年度、令和3年度の数値でございますが、目標を超える割合が統合後は雌において約14%弱、去勢では4.6%減少し、雌で33.7%、去勢牛は28.8%になったということで、品質向上につながっている状況です。
また、購買者関係につきましても、それまで購買者がそれぞれ分かれてましたが、統合後は市場に来場する購買者が増加して、競りの活性化につながりました。購買者数についても、統合後はおおむね20件程度増加しました。
次をお願いします。
続きまして、市場運営の効率化ということで、特に家畜市場の施設維持・管理の運営面において、一つの市場になったことから資源や投資を集約することができ、効率的な市場運営につながったと思っております。また、運営費用についても、資料の右側にお示しした通りです。ほかに毎月開催になったことで、出荷者・購買者等が情報を交換する機会が増加して、生産面においても非常にプラスになっている。また、出荷者については毎月開催ということで、毎月収入が入ってくるという面で非常にプラスになっていると聞いております。
次をお願いします。
統合までの経緯ですが、それぞれの家畜市場が抱える、取引頭数の減少や購買者の減少、子牛の取引頭数のばらつき等の課題の解決に向けて、平成29年9月に「家畜市場運営の在り方検討会」を立ち上げました。検討会メンバーにつきましては、お示しのとおりでございます。当農協管内の16の繁殖部会、当農協、そして、県、各市町、全農で検討をしてきました。もともと平戸口中央家畜市場に上場している部会につきましては、離島の市場からのボリュームが増すということで大いに賛成でした。ただ、宇久小値賀地区の離島の部分につきましては、地元から海を渡って県北地区の方に流れてくるものですから、いろいろな課題がありました。宇久小値賀の生産者の理解を求めるために、2か月に1回程度のペースで検討会を開催して、様々な課題解決に向けて議論を行い、現在に至ったということを聞いております。
平成30年10月に、平戸口中央家畜市場に宇久小値賀家畜市場を統合して、毎月2日間開催するということが検討会で提案されました。
次をお願いします。
和牛繁殖部会連絡協議会の開催による合意形成ということで、先ほど申しましたように、当ながさき西海農協管内には、県北地域で3市2町、佐世保市、松浦市、平戸市、小値賀町、佐々町からなる16の部会がありまして、それらを和牛繁殖部会連絡協議会として組織しており、この中でそれぞれ課題を整理して、協議を行っております。
家畜市場の統合に向けて解決すべき課題について、宇久小値賀の家畜市場に出荷していた生産者は、市場が遠くなります。輸送経費など、出荷に対する手間暇が非常に出てくること、その他には平戸口中央家畜市場への流入頭数が増えることから、受け入れる体制ができているのか、というのが当時検討する課題だったということで聞いております。
次をお願いします。
統合に向けて解決すべき課題への対応ですが、一つは統合により家畜市場が遠くなる出荷者への対応ということで、離島の方は海を渡る必要があることから、ここに係る経費が色々と発生してきます。その部分につきましては、出荷者全員から一律の負担費を徴収してプールし、それを財源に離島の宇久地区、小値賀地区の出荷者に輸送費を助成するという事を連絡協議会の中で理解を求めて今現在になります。
あと、当農協の方で、子牛を預かるキャトルセンターを整備して、宇久地区、小値賀地区から出荷される子牛を一旦キャトルセンターに受け入れてから市場開催日当日に市場搬入することで、円滑な受入れを実現するということで利用促進を行っております。
今現在に至るわけですが、それぞれ連絡協議会などを通して、実績を基に検討を重ねて、今後も改善できる部分については改善するために検討を行っているところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
〇小針部会長
森田様、ありがとうございました。
それでは、御質問等ある方は挙手にてお願いいたします。
井上委員、お願いします。
〇井上委員
井上でございます。
この市場の統合ですが、私はとてもいいことだと思います。大賛成です。私も北海道では市場に売る側、買う側、両方の立場にいますが、市場が大きければ大きいほど買う側にも売る側にもメリットがあります。売る側、買う側というのは盾と矛の関係なので、両方メリットはないだろうという考えもあるかもしれませんが、そんなことはないです。本当に市場が大きくなればいろんな種類の牛、よいもの、悪いものにきちっと購買者が来て、きちっと処理してもらえます。これは両方にとって必ずメリットがあります。日本全国で行政の方もそれをどんどん進めてほしいなと思っています。
以上です。
〇小針部会長
ありがとうございます。
大山委員。
〇大山委員
神戸大学の大山と申します。よろしくお願いいたします。説明ありがとうございました。
出荷月齢が短くなったということを資料の中で触れていただいたんですけれども、多分2か月おきに開催していた市場が毎月になったことで、タイミングよく出荷できるようになった結果だと思いますが、別の見方をすれば、いわゆる和牛の早期出荷、肥育を早く始めることで早期に出荷できる、ということにもつながりますし、あるいは繁殖農家が高齢化している中で、300キロを超えるような子牛を扱うのがなかなか大変になっているので、早期に出荷できるというのは、そういう意味でも非常に利点があるのかなと、個人的には非常にいいことだなとは思っています。一方で、早く出荷することによる体重の低下により価格が低下したり、あるいは開設者の手数料の問題などいろんなことが絡んできて、なかなか実現しなかったのかもしれませんが、新しく市場を統合されたことで出荷月齢が早まることのデメリットを実際に感じることがあるかお伺いしたいです。
〇小針部会長
森田様、お願いいたします。
〇森田様
やはりどうしてもボリュームがあるといいますか、農家によっては体重が350キロも360キロも、極端になると400キロ近くになる牛とかもいたということです。ただ、月齢も若いのに300キロ弱ぐらいある牛が、よい牛なのに逆に貧弱に見られがちという部分もあって、各部会の中でもそういう話が出て、まずは足並みをそろえていきましょうよということで、そのような問題に今現在取り組んでいるところです。
あと、購買者の方からも非常に安定をしてきたという評価も得ておりますので、こちらとしても引き続き取り組んでいかなければということで、部会とも話をしているところです。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、馬場委員お願いいたします。
〇馬場委員
統合のメリットをしっかりと発揮されている事例だと思いました。購買者も増えているとお聞きしましたが、購買者の獲得に向けた努力、取り組まれたことがあれば教えていただければと思います。また、購買者を今後どのように増やしていくのかということも含めて、お願いします。
以上です。
〇森田様
購買者の増加については、離島のみに行かれていた購買者がこちらに来たことで増加してきましたが、今現在は、当時来られていた購買者からも変化してきており、波があるような状態です。
あとは、毎月の開設前に、購買者誘致のために情報提供を行っている状況です。今後、これらのやり方についても再度検討しながら購買者への情報提供に努めていこうと取り組んでいるところです。
〇小針部会長
ありがとうございます。
続きまして、全国農業協同組合連合会畜産総合対策部次長の廣岡様より御発表いただきます。事務局より紹介をお願いいたします。
〇新井畜産総合推進室長
それでは、資料9を御覧いただければと思います。
概要でございますけれども、全国農業協同組合連合会様ですが、全国食肉センター協議会の食肉処理施設が全国各地に34か所ありまして、年間で、牛を約40万頭、豚約600万頭の食肉処理を行っております。また、全国食肉センター協議会の運営を通じて、従業員の技術向上、食肉の品質・衛生管理の向上に取り組まれております。
それでは、廣岡様、御発表をお願いいたします。
〇廣岡様
ただいま紹介いただきました全農の廣岡でございます。本日はこうした説明の機会を設けていただきまして、誠にありがとうございます。
本日は、全国の食肉処理施設の取組や課題、それから、優良事例を中心に御説明させていただきたいと考えております。
では、1ページ目に移っていただければと思います。
まず、基本的な部分ですが、食肉処理施設とは、ということの説明でございます。一番上のイラストにございますとおり、家畜が食べる飼料の原料の大半が海外から輸入されています。ですので、一番左のイラストにございますとおり海外の穀物生産から始まり、海外輸送、飼料製造を経て生産者の方々に飼料をお届けしております。そして生産者の方々が育てた家畜を食肉処理施設に出荷していただき、食肉処理施設では家畜をと畜処理、それから、枝肉にして冷蔵保管をしてございます。
その右のイラストにございますとおり、枝肉はそのまま販売されることもございますが、加工場におきましてロースとかバラなどの部位ごとに分割・脱骨をされた後、部分肉に整形されて販売会社などに出荷をしているという流れでございます。
ここでお伝えしたいことは、食肉はほかの農産物と違いまして、生産者が出荷した家畜そのままでは食品として流通できない、ということです。と畜加工という工程を経て食品に変換されなければならないことから、食肉処理施設は畜産食肉産業のサプライチェーンの中でも必要不可欠なインフラであるという特徴がございます。
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今申し上げたところを分かりやすく写真にてお示ししました。下のイラストにございますとおり、牛はおよそ800キロから1トン、豚については100キロ強ございますが、食肉処理施設で多くの人の手によって骨や皮、内臓などに解体をされながら、最終的には部分肉として加工していますが、その歩留りは半分にも至らないという特徴がございます。
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今現在、食肉処理施設は全国で164か所稼働していると認識してございます。このうち私どもJAグループが出資する食肉センターは52か所、その中でJAグループの出資比率が過半数以上を占めるなど、事実上経営責任を有しているような食肉センター、これを私どもでは農協系統産地食肉センターと呼んでおりまして、全国に37か所ございます。冒頭申し上げました全国食肉センター協議会はこのうちの31社が加入しているということでございます。ちなみに、昨年まで私も秋田県鹿角市の株式会社ミートランドという食肉センターで社長を務めておりました。
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食肉センターが直面する課題について説明します。今様々な課題に直面しておりまして、家畜を食品に変換する機能の持続可能性に黄色信号がともっております。とりわけ上の青い丸二つにございますとおり、要員不足、それと施設の老朽化がクローズアップされている課題と認識をしてございます。
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その要員不足という課題への対応でございます。食肉センターでは左の写真にあるとおり、多くの従業員による流れ作業で家畜を処理し、お肉に加工してございます。その工程は手作業若しくは人の手による機械の取扱いによるものが中心です。例えばと畜加工では一頭一頭体格、体形の違う家畜を、できるだけ肉の部分に損傷を与えないように丁寧に処理する必要がございます。また、骨を取る脱骨作業ではできるだけお肉の部分に傷をつけないように、また、お肉に骨が残らないようにナイフを用いながら安全第一で1頭ずつ骨を取っていくわけですけれども、この工程は一番力と技が求められることから技術、経験、そして体力が必要不可欠な作業です。
また、その後の部分肉整形、これは脂を削り取っていく作業でございますが、これもお客様が求める規格ごとに余分な脂を削ぐといった、きめ細やかな仕事が求められており、ここでも技術とキャリアが必要になってくるということでごす。つまり食肉センターにおける要員不足という課題は、経験や技術を持った技術者の不足と言えますので、単に人数の問題ではございません。これまでJAグループでは、右の写真にもありますとおり、全国食肉学校を設立し、技術者の育成に取り組んでまいりました。それから、最近ではお肉の骨を自動で除骨するロボットなどの開発が進んでおりますけれども、それでもなお技術者の確保が追い付かず要員不足の解消の決め手にはなっていないというのが現実でございます。
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もう一つの課題、老朽化への対応でございます。左の日本地図にございますとおり、農協系統産地食肉センター37か所のうち創業から30年を超える施設が25か所も存在いたします。私どもの経験でも大体1工場当たりの建築費用はおおむね100億円が目安と言われております。ただ、直近の円安、ウクライナ危機等の影響によって3割以上高騰していると言われております。このため、仮にその25か所全てに150億円の更新費用を要した場合、総額は3,750億に上るという計算になります。
こうした中、更新が急務ではございますけれども、右のイラストにあるとおり課題が山積しています。まずは高額な建築費、それから、食肉センターの多くは収入源が屠畜料、加工料などに限られているといったこと、それから、集荷頭数に左右されるため、施設の稼働率が不安定だといったような課題がございます。その結果、巨額の投資に対する回収がスムーズに進まない、イコールすなわち持続的な経営が見通せないという課題がございます。
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そうした中、国による食肉処理施設への支援措置といたしまして、食肉流通構造高度化・輸出拡大総合対策事業といった支援措置が設けられています。これは事実上、食肉センターの再編合理化、それから、輸出施設を備えた場合を対象とする補助でございます。次のページからは、それぞれの各食肉センターでの取組事例を紹介させていただきたいと思います。
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まず、再編整備の事例といたしまして静岡県食肉センター様の事例を御紹介させていただきます。こちらは上の地図にございますとおり、現在、静岡県では浜松市食肉地方卸売市場と静岡経済連小笠食肉センターの2施設がございますが、国庫補助事業を活用いたしまして、令和8年度稼働予定で小笠食肉センターの場所に静岡県食肉センターとして再編合理化を図るという計画になってございます。下の四角囲みにございますとおり、全体事業費で120億円、公設民営といった形態での計画であり、稼働に向けて準備しているという事例でございます。
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食肉処理施設の合理的な運営実現に向けては、再編合理化は有効な手段でございます。一方で課題も幾つかあるというのも事実でございます。例えば右下のイラストにございますとおり、新たに新A食肉センターへ再編された場合、既存のB・Cセンターに出荷していた生産者の運賃が増嵩してしまうといった問題があります。それから、新A食肉センターで稼働頭数が大きくなるわけですけれども、ここでも要員不足、技術者不足という問題が生じてまいります。また、再編が県をまたぐ場合、県行政間の調整も必要になってくるといった課題はございますけれども、いずれにしましても、施設の再編についてはこれから合理化を図っていく上で有効な手段でございますので、一筋縄ではいかないものの引き続き広域的な視点を持って検討を続けていきたいと考えてございます。
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輸出の事例でございます。ここでは岐阜県の飛騨食肉センター様の事例を御紹介させていただきます。前回のこの会議でも飛騨食肉センターから御報告があったと承っておりますけれども、2002年に牛専用の食肉処理施設として稼働いたしました。当時国内の和牛需要が頭打ちで、これを打破したいという思い、それから、ブランド力のある飛騨牛で輸出の可能性を見いだしたいということで、2010年の香港を皮切りに、ここの資料にございますとおり輸出先の拡大に取り組んでこられました。
ちなみに飛騨高山は海外から多くの観光客が訪れる場所です。海外からの観光客が現地で飛騨牛を食べて、帰国後も飛騨牛を食べてみたいとなれば、この飛騨食肉センターで加工された牛肉の輸出も結果的に伸びていくのではないかと、そういった好循環のモデルでございます。観光名所と輸出がうまく連携している事例ともいえるのではないかなと考えております。センターでは、左下の取組のポイントに記載したとおり、こういった取組を通しながら従業員や稼働のレベルを向上させることで、他の産地との差別化を図った事例と言えるのではないかと考えています。
次をお願いします。
今後、販売の出口戦略として輸出拡大が求められます。一方で食肉処理施設においては、3つイラストにございますとおり、建築費用が増嵩するといった問題、それから、施設運用の変更が求められるといった問題、それから、例えば輸出施設を備えたにもかかわらず、輸出センターのある地域で疾病が仮に発生した場合、輸出が停止してしまうリスクがあるといったように、課題が幾つかあるのが実態でございます。とはいえ、食肉センターの更新といった課題を解決する有効な打ち手であるということには違いございませんし、現在、更新を検討している食肉センターの多くが輸出施設を備えることを計画してございます。
次のページをお願いします。
ここまで御説明いたしましたとおり、食肉センターはもはや地域ごとに施設が古くなったから更新するという局面にはないと考えております。また、食肉センターは食肉産業にとって必要不可欠なインフラであるというのは申し上げたとおりですが、運営が立ち行かなくなれば食肉センターがボトルネックになり、いずれ日本の食卓に食肉を安定供給する機能すら失われるのではないかと危惧してございます。すなわち食肉センター問題は生産から消費までの畜産・食肉バリューチェーン全体、それから、我が国の食料安全保障の根幹に関わる課題であると捉える必要があり、単なる施設の老朽化、要員不足といったところにのみ課題があるわけではないと考えております。ですので、この食肉センターというインフラだけを見て答えを解決できないことから、生産基盤、それから、流通販売、そして、それを結ぶ食肉センターとインフラ、この畜産・食肉バリューチェーン全体の将来ビジョンを考えながら答えを見いだしていく必要があるのではないかと考えております。
これまで御説明してきましたとおり、食肉センターの仕事というのは、工場でスイッチを押せばお肉が出てくるといったようなものでもございません。それぞれの人がバトンを渡すようにお肉を食卓に届けているということが御理解いただけたかと思います。そして、それぞれの食肉センター単独での課題解決はもはや困難であるということから、なかなか民間の力だけでも進展していかないというのが、残念ながら実態であると考えております。地域行政の方々におかれましては、これまで地域の生活者への食肉の供給や生産振興のために密接に連携してきた経過を踏まえて、施設の更新や再編などにも引き続き御指導いただきたいと考えております。また今後国の指導も頂きながら食肉産業の維持・発展に努めていきたいと考えておりますので、引き続きの御支援、御指導をよろしくお願いしたいと思います。
説明は以上でございます。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、御質問等ある方は挙手にてお願いいたします。
井上委員、お願いいたします。
〇井上委員
説明ありがとうございました。井上です。
この飛騨食肉センターの輸出対応はいい例だなと思って、お話を聞いていました。これはもう皆さん御存じでしょうけれども、特に和牛などの高級食材は、海外消費ですよね。であればやはり海外に向けた輸出認定を受けた食肉処理センターがほしい。もちろん進めてもらっていますが、私はまだまだ足りないんじゃないかなと思うんです。私のところも全農さんをパートナーに精肉で多分180トンぐらい、200トン近くが今海外に行っていますが、まだまだ需要があります。向こうのバイヤーももっと欲しいと言う。ただ、国によって、例えばドバイですが、ハラルなんですね。そこの販売先の社長がサウジアラビアでも売りたいと。ここに大きな需要がありますが、認可と畜場がないんです。日本には二つしかなかったかな、ちょっと私の知識が正しくないかもしれないけれども。せっかく大きなマーケット、需要があっても、と畜場の認可の問題で輸出できないのは非常に歯がゆいなという思いがします。
それともう一点、食肉学校の役割は大きいですね。海外に持っていくときに、特に和牛はある程度のブロックで持っていきますよね。ただ、日本のお肉ほど各部位に細かく分ける技術は海外にありません。日本ではとてつもなく細かく分けて使うんですね。そして、そこにそれぞれの希少価値が出るんですよ。この技術を海外に教えないと、ただお肉だけぽんと持っていっても本当にうまく販売してもらえません。もったいないんですよ。ここら辺の技術が必要なんですよ。私は食肉学校の先生を2人連れて、一緒に行ってもらって向こうの現地で見てもらいましたが、非常に好評でした。この食肉学校の技術者の役割というのはこれから海外で大きく必要になって伸びると思いますので、食肉学校の方もますますきちっと生徒を増やして伸ばしてほしいなと、そういった希望をもっています。
以上です。
〇廣岡様
貴重な御意見ありがとうございました。
輸出だけでなく食肉学校の役割につきましては、私どもが考えている以上に大きな期待を受けていると新たに認識したところです。学校にもこうした期待を伝えるとともに、今後の事業運営にも役立てていきたいと思います。御意見ありがとうございました。
〇小針部会長
小椋委員、お願いします。
〇小椋委員
井上委員とお話はかぶるかと思いますけれども、やはり先ほどの牛乳もそうですけれども、和牛肉の消費が滞っております。今も力を入れて全農さんにも販路拡大はしていただいておりますけれども、やはりまだまだEU、ハラルを含めて販路はあります。ただ、そこで一番の問題というのはと畜場の衛生条件です。そこをクリアしなければ相手国には持っていきたいけれども、行けない。この衛生条件が整った屠畜場の拡大もそうですけれども、やはり全農さんが中心となって今以上の販路拡大を行っていただいて、この和牛肉の消費拡大を含めて取り進めていただきたいなと思います。これは要望です。お願いします。
〇廣岡様
貴重な御意見ありがとうございます。先ほど申したとおりまだまだ食肉センターの課題も多いんですけれども、一つずつ解決しながら取り組んでいきたいと思っています。
〇小針部会長
大山委員、お願いいたします。
〇大山委員
大山です。よろしくお願いします。
冒頭で食肉が野菜などとは少し違って、と畜というプロセスを経ないといけないと、そういう特殊性をお話しいただいて、それは当然理解した上での御質問にはなるんですけれども、例えば我々が牛を出荷してと畜を依頼する場合は、大体全農さんに委託して、家畜商の方に運搬をしてもらって、自治体が設置していると場に入っている民間の荷受会社にと畜をしてもらって、その後のルートも例えば内臓肉に関してはまた別途、というように、やはりかなり複雑な経路だというのは間違いない。それが必要な部分というのは当然あるんだろうとは思いますが、かなり複雑であるのも一方で事実だと思います。
そうなったときに、例えば飛騨ミートさんは多分開設と荷受けは同じですよね。そういうところもあるし、海外ではミートパッカーというシンプルな構造になっていると思いますが、日本の牛肉の流通システムが例えば経済性であったり効率性であったり、あるいは意思決定、変化に対応する対応力のスピードだったり、そういった面で何かデメリットがあるのではないかというのを少し感じたりしていて、これが今最適なのかということについてもし御意見があれば教えていただけたらと思います。
〇廣岡様
御質問ありがとうございます。
冒頭私が秋田県鹿角市の食肉センターに勤めていたということをお話しさせてもらったのですが、私のところは豚だけの取り扱いで、私どもの食肉センターが生産者から豚肉の生体を購入し、販売会社に加工して販売するという、いたってシンプルな流通形態でした。一方でそうではない形態もございまして、加工委託代行を受けているような経営体があったり、内臓の取扱いは別の業者がやっておられるなど様々な経営体や流通システムがあります。今申し上げたような食肉センター課題の解決に向けてもそれぞれの流通システムにおける経済性、効率性といった課題の検討が必要とされる場面もあるかもしれませんが、いずれにせよ、最後に申し上げましたとおり食肉センターは、老朽化や要員不足といった課題を食肉センター個別で解決するのは非常に難しいですし、生産者から販売者まで一つのテーブルの中で、どのように解決していくか、どんな事業に変えていくか、どんな流通システムに変えていくかについて議論することが今後求められるんだろうなと考えています。非常に難しい問題だけれども、超えていかなければならない課題だろうなと認識をしてございます。
〇小針部会長
ほかに御意見、御質問のある方は挙手願います。
彦坂委員、お願いいたします。
〇彦坂委員
神奈川で採卵養鶏をやっている彦坂といいます。
牛乳の件で少し教えていただきたいのですが、私自身は瓶牛乳の宅配から、パックでスーパーで購入する2つの世代にまたがっていると思っているんですけれども、私自身は3年前ぐらいから牛乳の定期購入を始めて、牛乳の消費量が僕自身は増えています。しかし、今宅配の牛乳がとても少なくなってきている、ほとんど見ないと言ってもいいと思うんですけれども、牛乳を家庭に宅配するという形態がなくなった理由は何なのか知りたいなと思って、教えていただければなと思います。
あと、これは畜産農家の経営の現場での実感ですが、やはりいろいろなところでもお話に出ている物流費の問題、原料だとか生産物の販売に関わる物流費、あと、人件費についても、最低賃金だけじゃなくて、労働市場で競合するときにはやはり賃金が上がっていかなければならないので、そういうことが反映されるような農産物の価格が本当に必要かなと思っています。これは意見なので、牛乳の件についてもし何か分かれば教えていただきたいなと思います。
〇本郷様
御質問ありがとうございます。
いろいろ理由はあるかと思いますけれども、今、彦坂委員がおっしゃったとおり、牛乳の購入形態は宅配と、スーパー等で牛乳を買う2つの形態があると思います。牛乳販売は、もともとは宅配中心でしたが、スーパーが台頭してきてから、皆さんがスーパーで買うようになり宅配牛乳がぐっと減少しました。そうすると、だんだん宅配の需要も縮んでいって後継者が減っていくことなどもあって、ますますスーパーで買う形態が増えていったのだと思います。宅配牛乳はまだ無くなってはいませんので、しっかり続けて販売を増やしていきたいと思っております。ありがとうございます。
〇彦坂委員
分かりました。ありがとうございます。
〇小針部会長
小山委員、お願いします。
小山委員
私は繁殖農家ですが、先ほどのお話を聞いて食肉産業の一部分を担っていること、全体で食肉産業の一員なんだなということがよく分かりました。ありがとうございます。
それで、全国のと畜場で輸出するための施設というのはどのくらいあるのかなと今疑問に思いましたので、お伺いしたいと思います。
〇小針部会長
食肉鶏卵課長、お願いします。
〇猪口食肉鶏卵課長
食肉鶏卵課長でございます。先ほど発表の中にもありましたとおり、食肉を輸出する際は食肉処理施設が輸出先国の認定を受ける必要があります。数でいいますと、例えば国によってもちろん異なりますが、アメリカ向けの輸出施設は現在16施設ございます。重複もありますけれども、EU向けですと12施設、あと、もう少し基準が緩い台湾ですと28施設、あとタイだと81施設など、厳しい基準の国ほど認証が取れている食肉センターは少ない状況でありまして、一番基準が厳しいアメリカ、EU向けを皆さん目指して施設を整備しているような状況にあります。
〇小山委員
どんどんそういうのが増えていけば、もっともっと輸出が伸びていく可能性があるということですか。
〇猪口食肉鶏卵課長
はい。
〇小山委員
ありがとうございました。
〇小針部会長
ありがとうございました。
それでは、本日の議事はここまでといたします。ヒアリングに御協力いただいた皆様、本日は本当にありがとうございました。
最後に事務局から御連絡があればよろしくお願いします。
〇新井畜産総合推進室長
本日も誠にありがとうございました。
次回の畜産部会ですけれども、小売や輸出、また、環境の関係をテーマにヒアリングを実施してまいりたいと考えております。
日程につきましては、別途メール等で調整させていただいているところですが、6月下旬の開催を予定しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
事務局からは以上です。
〇小針部会長
それでは、本日の部会は以上で終了となります。
ありがとうございました。
お問合せ先
畜産局総務課畜産総合推進室
担当者:請川、河田、松山
代表:03-3502-8111(内線4888)
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