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令和6年度第7回畜産部会議事録

令和6年度第7回畜産部会議事録(PDF : 881KB)

1. 日時及び場所

日時:令和6年11月13日(水曜日) 13時19分~16時17分

会場:農林水産省三番町共用会議所2階大会議室(web併催)

2. 議事

○新井畜産総合推進室長

それでは、ただいまより令和6年度第7回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。

委員の皆様におかれましては、お忙しい中、本日も御出席いただきまして誠にありがとうございます。

それでは、小針部会長に議事をお進めいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 

小針部会長

部会長の小針でございます。本日もどうぞよろしくお願いします。

まず初めに、松本畜産局長から御挨拶をお願いいたします。

 

松本畜産局長

どうもこんにちは。畜産局長の松本でございます。

本日は、畜産部会開会に当たり、お忙しい中御参集いただきましたことをまずは御礼申し上げます。

委員の皆様方におかれましては、日頃から農林水産行政、特に畜産・酪農行政につきまして御理解賜っておりますこと、また御協力いただいておりますことにつきまして、厚く御礼申し上げます。

会議が始まる前の挨拶ではございますが、まず最初に、国内におきまして、鳥インフルエンザ、豚熱が発生している状況につきまして、少し触れさせていただきたいと思います。

先月、北海道におきまして発生が確認されて以来、鳥インフルエンザにつきましては例年より速いペースで発生が続いている状況で、現下足元におきましては8例発生しているところでございます。

また、豚熱につきましては、今月、愛媛県で発生したところでございます。こちらは国内では94例目が確認されたところでございます。

農林水産省におきましては、衛生部局が中心になりまして、我々も最大限の参画をしながら、こちらの感染拡大防止に向けて、政府一丸となって取り組んでいるところでございます。改めまして強い危機感を持ち、衛生管理を含めた対応をしていきたいというところに触れさせていただきました。

また、この畜産部会、酪肉近の改定におきまして、まずは酪農・乳業関係、先般は肉用牛・食肉関係につきまして御説明をさせていただき、議論を重ねてきたところでございます。

本日は、こちら両方の共通テーマでもございます飼料生産、また畜産経営、家畜防疫といったようなテーマにつきまして、資料を御説明させていただき、御議論を願いたいと思っているところでございます。あわせて、本日は、家畜改良増殖目標、家畜排せつ物の法律や養豚振興法によります基本方針の関係につきましても検討を進めているところですので、この場であわせて報告させていただきたいと思っております。

本日はいつにも増して少しボリュームの多い形でございますが、こちらからの説明も端的にしつつ、応答も短くやっていきたいと思いますが、委員の皆様方から日頃からの御指摘を賜って、議論を積み重ねていきたいと思っているところでございます。今回は少し長い時間になるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 

小針部会長

ありがとうございました。

撮影の方は、ここで終了となりますので、御退室願います。

 

(報道退室)

 

小針部会長

それでは、議事を進めます。

まず、本日の配付資料の確認、委員の出欠状況の報告などについて、事務局からお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長

それでは、本日配付しております資料について確認させていただきます。

会議資料ですが、お手元の端末に資料1から8、また参考資料1から4、全部で12個のシートが表示されているかと思いますが、タブで開かれていることを御確認いただければと思います。使用方法など御不明点があれば、いつも申しておりますが、遠慮なくお問合せいただければと存じます。

あと、本日、マイクはボタンを押して御発言いただく形になりますので、よろしくお願いいたします。

次に、出席状況ですが、本日14名の委員の皆様に出席いただいております。このうち、椛木委員、石田委員、里井委員におかれましてはリモートにて参加いただいております。また、宮島委員は途中から参加と伺っております。あと、二村委員、井上委員、川田委員、松田委員、丸橋委員におかれましては、御都合により本日御欠席との連絡を受けております。審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますが、規定数を満たしていることを報告いたします。

私から以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

本日は、9月10日に諮問されました酪肉近の見直しに向けて、飼料及びその他の項目について議論してまいりたいと思います。事務局から飼料及びその他の項目を説明いただきますが、それぞれの説明の後に意見交換の時間を設けたいと思います。委員の皆様におかれましては、飼料若しくはその他の項目の少なくともどちらかで、挙手の上、簡潔に御意見を頂ければと思います。

また、その後、同じく諮問をされました家畜改良増殖目標の検討状況等について報告いただきたいと思います。

本日は、いつもより議事が多くなっておりますが、議事の円滑な進行に御協力いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それではまず、事務局より、資料3-1、飼料の現状と課題の整理、資料3-2、配合飼料価格安定制度の運用改善についての説明をお願いいたします。

 

金澤飼料課長

飼料課長の金澤でございます。短い時間ですので、ちょっと駆け足で説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

それでは、資料3-1、飼料の現状と課題について御説明させていただきます。

目次にありますとおり、大きく粗飼料と濃厚飼料に分けて整理しております。

2ページを御覧ください。

御案内のとおりでございます。畜産業につきましては、飼料、家畜、堆肥という資源の循環により成立しております。また、条件不利地の放牧利用により、地域活性化にも貢献しているところでございます。

飼料の自給率でございますが、25%前後で推移しておりますが、内訳としまして、粗飼料は78%前後、その8割が牧草や青刈りとうもろこしとなっております。

3ページを御覧ください。輸入飼料の状況でございます。

配合飼料原料は主に北南米、また豪州から、乾牧草は北米、豪州からと、各国から輸入されてございます。それに、稲わらにつきましては全量が中国という形になってございます。

御案内のとおり、配合飼料の原料価格や、輸入乾牧草、稲わらの価格につきましては、国際情勢、為替の影響を受けて大きく変動いたします。輸入乾牧草や稲わらにつきましては、輸出国側の事情によって、価格だけではなく数量も大きく変動してきたところでございます。

4ページを御覧ください。

粗飼料の需要量を見ますと、左のとおり、粗飼料の給与割合が高い乳用牛や肉用繁殖経営でございますが、北海道や繁殖経営では低下傾向となっております。

また、右のとおり、乳用牛の飼養頭数の減少によりまして、需要量としても減少しておりますが、国産・輸入ともに供給量の方も若干減少してございますので、粗飼料自給率自体は横ばいという形になってございます。

5ページを御覧ください。粗飼料生産についてでございます。

下段、青色が北海道でございますが、全体の作付面積は横ばいとなっておりますが、内訳を見ますと、近年、牧草が減る一方で、青刈りとうもろこしの生産が拡大してございます。

上段、オレンジ色の都府県でございます。牧草や青刈りとうもろこしともに作付が減少する一方、稲ホールクロップサイレージの拡大によりまして、全体としましては微減という形にとどまっているところでございます。

続きまして、6ページでございます。飼料生産の担い手についてでございます。

畜産経営の規模拡大が進む中、左の上の図のとおり、酪農経営では搾乳牛1頭当たりの労働時間は減少しています。また、総労働時間のうち、自給牧草生産に掛ける時間の割合は、酪農、肉用牛、肉用繁殖ともに低下しています。

これを補う形で、コントラクターやTMRセンターは増加してございます。右の方でございます。

左下にコントラクターの経営形態別組織数を示しておりますが、北海道、都府県ともに、株式会社が多くございます。北海道では有限会社や農協直営経営、都府県では農事組合法人が多い傾向でございます。

右下にTMRセンターの供給先の畜種を示してございます。北海道では9割が乳用牛向けでございます。一方、都府県につきましては、3割が乳用牛、肉用牛の両方に供給しているというところが特徴的なところでございます。

7ページを御覧ください。

コントラクター、TMRセンターの経営上の課題でございます。コントラクター、TMRセンターとも、多くの組織で、赤枠でございますが、人材の確保、黒枠の経営の課題、青枠の機械・施設関係といった課題を抱えているところでございます。特に大型機械を使いこなせるオペレーターの確保につきましては、他の業種との競合競争となっております。処遇の改善や人材育成等々が必要と考えられるところでございます。また、畜産経営への配慮もあり、なかなか生産コストの上昇分を価格転嫁できていない組織も少なくない状況が見て取れるところでございます。

8ページを御覧ください。飼料作付地の確保についてでございます。

規模拡大に合わせまして、作付地を確保するにも近隣に条件の良い農地を確保することが難しい中、水田の活用が都府県中心に進んでございます。

左の方に地域別を示してございますが、特に都府県で、グレーの部分、稲のホールクロップサイレージや、水色の水田での飼料生産の割合が高くなってございます。地域によっては緑色の畑地での飼料作物生産よりも多くを占めている状況でございます。

右上のとおり、稲ホールクロップサイレージの作付面積が拡大する中、右下にございますが、都府県のコントラクターにつきましては、収穫している飼料作物では稲ホールクロップサイレージが最も多くなってございます。主な粗飼料として定着していることがうかがえます。

9ページでございます。稲ホールクロップサイレージの組織的な取組事例を御紹介してございます。

左は広島県酪のTMRセンターでございますが、県内の農業生産法人などと連携しまして、稲ホールクロップサイレージの栽培や給与の技術研修会を開催したり、また、専用品種の作付を拡大するなどしてございます。もともとTMRの原料の一部を輸入粗飼料から国産の稲ホールクロップに置き換えを進めてきておりまして、現在では県外にも販売しているところでございます。

右は栃木県のコントラクターでございますが、耕種農家と収穫作業受委託契約を結びまして、収穫した稲ホールクロップサイレージを耕種農家から買い取り、県酪農協を通して酪農家に販売供給してございます。

いずれの取組も、耕種側への堆肥の還元等々も行われておりまして、面積を着実に増加させるなど、地域に根づいた取組となってございます。

10ページを御覧ください。草地基盤整備についてでございます。

牧草の単収は、天候要因だけでなく、経年変化によっても変動するところでございます。現在、残念ながら低下傾向で推移してございます。

実際、右上のとおり、北海道の草地更新・整備率につきましては、近年、低い水準で推移しているところでございます。草地の生産性向上のためには、難防除雑草対策といった適切な管理、また草地改良、大区画化等々の草地基盤の整備が必要となってございます。

11ページを御覧ください。青刈りとうもろこしについて御紹介してございます。

御案内のとおり、青刈りとうもろこしにつきましては、乳用牛にとって高エネルギーで嗜好性が高い重要な粗飼料でございます。

左上のとおり、北海道の畑地を中心に面積が拡大してございます。

また、左下にございますが、単位面積当たりの労働時間につきましては、他の作物に比べて比較的短時間なものとなってございます。

右のところに事例を御紹介してございますが、青刈りとうもろこしの給与により配合飼料の給与量を減少させた事例とか、また、肥育農家での事例というのも御紹介してございます。

12ページを御覧ください。

一方で、青刈りとうもろこしでございますが、課題も抱えているところでございます。

一つは、耐湿性が低いため、栽培に当たっては、しっかりと排水対策を行う必要がございます。水田での水張りの翌年に作付を行う場合に比べまして、畑地化して作付した場合は単収が増える、約2倍となるというところでございます。

また、単収は、右上のグラフにもお示ししたとおり、優良品種の普及等によりまして増加しているところでございますが、台風等々の影響で減少するリスクもございますし、写真右下の方、紹介してございますが、クマを始めとした獣害の被害事例というものが非常に問題となっているところでございます。

13ページと14ページに関しまして、スマート農業技術の事例を御紹介してございます。限られた労働力を活用しまして飼料生産の省力化また効率化を図るために、活用できるスマート技術の現場での普及が進んできているところでございます。

13ページ左の事例は、作業軌跡を自動記録しましてリアルタイムで表示するシステムで、作業員関係者全員で状況共有するという形で効率化、また作業時間の短縮につながっている事例でございます。

13ページはスマート技術の続きでございますが、14ページの方は現場での実証研究段階の事例でございます。説明の方は割愛させていただきます。

15ページを御覧ください。国産の粗飼料の流通・販売の取組の御紹介でございます。

国内には、販売用の飼料を生産販売する事業者のほか、畜産農家が自給飼料として生産した余剰分を販売する取組も行われているところでございます。国産飼料につきましては、もともとは自家利用が主体ということでございますが、販売時の品質表示や長距離への流通では輸送コストが高くなるというのが一つの課題かということでございます。

左は、自ら飼料生産を行うのではなく、流通の調整を行うような事例、右は、畜産経営から飼料の生産販売専業に経営転換をした事例を御紹介してございます。

いずれの事例につきましても、遠方への輸送を可能とするため、角形のコンパクトな形に加工することで輸送の効率化を図っておりまして、北海道内から都府県の方にも供給販売しているところでございます。

16ページを御覧ください。

左のとおり、主食用米の作付面積につきましては、需要の減少により年々減少しているところでございます。今後、余剰農地の増加が見込まれるところでございます。

国産飼料の作付拡大のためには、こうした農地の活用というところが必要でございますが、右にございますとおり、耕種農家、畜産農家ともに、経営体数は減少傾向で推移しているところでございます。飼料生産の担い手の確保が大きな課題になってございます。

17ページを御覧ください。

こうした中、地域の将来の農地の在り方を定めます地域計画の協議に畜産農家も参加しながら、地域一体となった飼料生産を推進することが有効と考えてございます。飼料生産が計画に位置づけられている地域では、コントラクター等の飼料生産組織も話合いに参加していただいている傾向がございます。

下段に三つの事例を御紹介してございますが、コントラクターも協議に参加し、飼料生産をしっかりと計画に位置づけられているところでございます。こういった取組を更に推進していきたいと考えてございます。

18ページを御覧ください。草地の放牧利用についてでございます。

放牧につきましては、条件不利地域の土地の有効利用に加えまして、左にございますとおり、飼養管理の省力化にも貢献するところでございます。しかしながら、立地上の制約、また、周辺住民からの理解といったことが推進の課題ということになってございます。

下段、公共牧場でございますが、公共牧場につきましては、預託頭数の減少による休止などから、牧場数自体は減少してございます。所有する牧草地面積も減少傾向にはございます。

一方で、公共牧場につきましては、畜産経営、畜産農家の労働負担軽減に貢献するということに加えまして、都府県においても重要な飼料基盤になってございます。施設や機械の老朽化、人材不足などが課題となってございます。

続きまして、19ページ以降、濃厚飼料について御説明いたします。

19ページ、御覧ください。初めに全体需給でございます。

濃厚飼料の需要量につきましては、左上のとおり、飼養頭羽数の減少から、長期的には若干減少傾向で推移しているところでございます。

左下の飼料穀物の内訳でございますが、飼料向けの穀物のうち、国産の飼料用米、また子実とうもろこしが占める割合は、ごく僅かなものとなってございます。

右のとおり、飼料用米、子実とうもろこしとも、大部分が水田活用の直接支払交付金を利用して生産されているところでございますが、面積につきましては増加拡大傾向で推移してきているところでございます。

20ページを御覧ください。飼料用米についてでございます。

米は家畜にとってとうもろこしと同等の栄養価となってございます。現在、主に配合飼料メーカーに飼料原料として供給されまして、豚や鳥で使用されているのが中心になってございます。

そのほか、右の事例のように、畜産農家が耕種農家から直接購入しまして、米の特性を生かした畜産物の差別化を図っている事例もございます。

21ページを御覧ください。子実とうもろこしについてでございます。

子実とうもろこしにつきましては、輪作体系に取り入れることにより、排水性の改善や緑肥として使うことによる地力改善、また、それに伴う連作障害の回避ということに加えまして、飼料用米等々に比べまして面積当たりの労働時間が少なく、労働生産性は高い作物でございます。

一方、青刈りとうもろこしよりも作期が長いということもございまして、台風、また病害虫のリスクが高い、子実の乾燥に追加コストが掛かるといった課題もございます。

22ページを御覧ください。エコフィードについてでございます。

右上のとおり、エコフィードの製造数量は、令和5年度には101万TDNトンという形で、濃厚飼料全体の約5%を占めているところでございます。

下段、エコフィードの原料となります食品廃棄物の再生利用状況をお示ししてございます。再生利用の手法として飼料化が最も大きい割合を占めておりまして、その割合は約8割となってございます。

一方、食品廃棄物の発生量自体が減少していること、また、バイオマス利用が増加しているといった中で、近年、製造量自体は減少傾向で推移してございます。

23ページを御覧ください。今まで御説明させていただきましたことを概念図的にお示ししたものでございます。

国際情勢に左右されない畜産経営のため、国産飼料の生産・利用の拡大を進めていくことが重要と考えてございます。

一方で、濃厚飼料につきましては、国内生産だけでは需要を賄えないということを踏まえまして、安定的な輸入と備蓄についても検討していく必要があると考えてございます。

次のページ、24ページを御覧ください。飼料穀物の備蓄についてでございます。

とうもろこしなどの配合飼料の原料のほとんどは輸入に依存してございます。こういったことから、不測の事態に備えまして、配合飼料メーカー等々におきまして、約1か月分の需要量に相当します、およそ100万トンの飼料穀物を備蓄しているところでございます。

政府では、このうち過去の大震災に匹敵します事態にも対応可能な水準としまして、75万トンを対象に保管経費等の一部を補助しているところでございます。

25ページを御覧ください。配合飼料工場の事業再編に関して、まずは配合飼料工場の立地状況をお示ししてございます。

令和4年度時点で、配合飼料工場が57社、102工場ございますが、その立地は、原料の輸入に有利かつ畜産の主産地が存在する太平洋側に、一定の集約が進んできたところでございます。現在、操業から50年を超える工場が37工場、全体の36%を占めている状況になってございます。

26ページを御覧ください。

農業競争力強化支援法に基づきまして、配合飼料工場の事業再編を促進しています。これまで、同法によりまして6件の計画が認定されてきたところでございます。直近で事業再編を終えましたメーカー様に聞き取りをしたところ、この事業再編によりまして、生産性・財務内容の健全性が向上したり、配合飼料の販売価格の抑制にも効果があったというような意見を頂いているところでございます。2事例御紹介してございます。

27ページを御覧ください。飼料輸送の合理化について、以降、御説明いたします。

物流業界全体で、2024年問題による人手不足が懸念されてございますが、配合飼料の輸送につきましては、バルク車などの特殊車両を使用するといったことや、飼料タンクの上に上って在庫確認、また納品を行う高所作業が伴うところでございます。特にそういったことから担い手の確保が困難になっていくということが懸念されております。このため、飼料輸送特有の課題に早急に対応しないと、飼料輸送の担い手がいなくなりまして、畜産業の継続というところに影響が出るおそれがございます。

現在、補助事業によりまして実証等々も進めているところでございますが、次ページ以降で、どういった問題が発生しているのか、若干触れたいと思います。

28ページを御覧ください。飼料の納品に欠かせないタンクへの昇降作業でございます。

左の写真のように、上りづらい箇所に設置されているタンクへの納品作業を行わなければならなかったり、危険な例としまして支柱が腐食しているといった例も発生しているところでございます。

また、右のところにございます、農家からの依頼によりましてトラックドライバーが添加剤等の投入を行っている実態がございます。20キロ袋の袋を担いではしごを上るというような形での作業といったものが発生しているところでございます。

29ページを御覧ください。

加えまして、飼料タンクの在庫確認不足によります突発的な配送への対応等々の実態もございます。

また、配合飼料工場が、右の例でございますが、主に太平洋側に偏在しているということもございまして、超長距離かつ長時間の輸送、また、土地によっては、場所によっては大型車が入れないというようなことで、少量多頻度な輸送という形での非効率な状況もございます。

30ページを御覧ください。

こうした課題に対応するため、農水省におきましても、飼料タンクの開閉の装置や在庫管理センサー等々によります作業の効率化、また、ストックポイントの設置等々によります合理化といった取組を支援しているところでございます。

31ページ、32ページは、これまで御説明した論点をまとめさせていただいたところでございます。

31ページ、御覧ください。

冒頭でも御説明しましたとおり、国際情勢に左右される輸入飼料への過度な依存から脱却し、地域の実情や需要に応じた国産飼料の確保が必要ではないかと考えてございます。以降、担い手の問題、持続的な生産の確保、飼料生産技術の向上、国産粗飼料の流通・販売、こういったところをそれぞれ進めていく必要があると考えてございます。

32ページでございます。

畜産農家が求め望む飼料を生産していくということで、地域計画にしっかり位置づけていくことが重要と考えてございます。

そのほか、草地の放牧利用につきましても、しっかりと進めていく必要があると考えてございます。

配合飼料関係につきましては、民間備蓄の支援の継続とともに、輸入先国の多様化等々を検討する、また、製造コストの低減に向けた業界の取組を促していくこと等々が必要ではないかと考えているところでございます。

すみません、少し長くなってしまいましたが、最後に、報告事項も兼ねまして、資料3-2をお開きください。配合飼料価格安定制度の運用改善についてでございます。

1ページ目を御覧ください。

当畜産部会でも一度御説明したところでございますが、今般の配合飼料価格高騰に伴いまして、約3年にわたりまして補塡金が発動いたしました。総額5,700億円を超える補塡金を生産者に交付してきたところでございます。

一方で、民間においては1,200億円を超える借入れを行ったという実態がございます。

こういった仕組みに関しまして持続可能性に懸念の声ということがございまして、本年1月の畜産部会でも説明しましたが、2月より、あり方検討会を立ち上げて議論してきたところでございます。

2ページを御覧ください。

検討会の構成員については、全農、専門農協系、商系のそれぞれの基金、関係団体、我々飼料課となってございます。

これまで2回以降7回の検討会開催したところでございますが、第2回には制度のステークホルダーとなります生産者の団体からもヒアリングを行ったところです。

3ページを御覧ください。

検討会での議論も踏まえまして、本年10月に畜産局の責任で制度の運用改善の方向性を決めさせていただいたところでございます。

検討の過程にあっては、各基金で一致する部分、一致しない部分ございました。

一方で、来年度から新たな業務期間が開始されるというタイミングでございます。一切改善せずに運用をスタートするわけにいかないという中で決めさせていただいた経緯がございます。

そういったことを踏まえまして、現状の課題を一部改善できる方向といたしまして、令和3年度時点の保有水準、またそれ以降の補塡も踏まえまして、保有水準を引き上げるということとともに、異常補塡基金につきまして、今の相積み方式から見直すという形で、国と民間の負担割合の1対1を維持した上で、基本的には各基金足並みをそろえて補塡をしていくということでございますが、財源が不足する場合には各基金が補塡単価や借入れ等の是非を個別に判断するという形で、運用改善する方向で進めているところでございます。

駆け足になりましたが、私の方からの説明は以上でございます。

 

小針部会長

それでは、これから審議を行いますが、委員の皆様におかれましては、挙手の上、1人3分をめどに、ポイントを絞って御発言いただければと思いますので、よろしくお願いします。御意見ございます方は、挙手にてお願いいたします。

では、馬場委員、お願いします。

 

馬場委員

ありがとうございます。国産飼料の生産・利用に係る課題を数多く御説明頂きました。

資料3-1の2ページに「国産飼料の意義・飼料自給率の現状」とございますとおり、国産飼料に立脚した畜産は重要であるものの、飼料自給率は伸び悩んでいる現状があります。今後は、こうした課題を克服するための具体的な施策を示していただくことが重要だと考えます。

特に、先日の企画部会の議論においても、農業者の急速な減少が最大の課題とされております。省力的な飼料生産は農地維持の観点からも重要になってきます。飼料生産を維持していく取組や、小規模圃場の多い中山間地域での取組を含め、現場で活用しやすい施策を構築いただきたいと思います。

また、畜産農家だけでは更なる飼料生産は難しいなかで、耕種農家やコントラクターの役割が重要になってくると考えます。

耕種農家に飼料を生産してもらうためには水田政策との連携が必要であり、農産局をはじめとして他部局とも連携いただき、水田活用直接支払交付金を含め、耕種農家の継続的な飼料生産に対する施策の継続・拡充をお願いしたいと思います。

コントラクターについて、生産コストの上昇分にかかる価格転嫁も必要ではありますが、畜産経営も非常に厳しい中で、国の支援を通じてコントラクターの収益力向上や経営安定を図っていく必要があろうかと思います。

最後に、飼料輸送特有の課題に対して、対策が急務とされています。飼料輸送の合理化に向けて、国としても実証事業で支援いただいておりますが、その後の普及・定着の加速化に向けて現場の取組を後押しすることや、更なる技術開発も進めていただきたいと思います。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

里井委員、お願いいたします。

 

里井委員

里井です。よろしくお願いします。

資料3に対する意見と、お伺いの点を発表させていただきます。

特に後半で酪肉近に向けた論点というのがまとめられているという点は非常に分かりやすく、有り難く思います。

17ページで、宮崎県と千葉県、岩手県のモデル事例が御紹介されていましたが、私も飼料も含めた地域計画の策定ということに非常に賛同し、重要であると考えております。そこで今回一番お伺いしたかったのが、この地域計画の協議に畜産関係者も参加し、計画に飼料生産を位置づけて取り組むことが重要と論点まとめていただいていますが、この地域計画の協議へ参加するにあたって、畜産関係者の方々はどのように参加方法を知るんだろうかという点が一つです。また、私は畜産を経営している者ではありませんが、そういった人たちも参加ができるのだろうかとか、地域計画の協議というものへの関わり方、そして、モデル事例のようなすばらしい状況をほかの地域の方々が知るための術があるんだろうかという、この二つをお伺いできればと思いました。

非常に分かりやすいまとめの発表でした。以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

庄司委員、お願いいたします。

 

庄司委員

配合飼料価格安定制度の運用改善について意見を申し上げます。

御説明のとおり、未曾有の原料高騰により巨額の基金が発動され、通常・異常基金ともに財源が枯渇して借金に陥っています。飼料・畜産業界は今後、年間600億円以上の積立てを継続していかなければいけなくて、このような状況で、もし再び異常基金発動のような事態になれば、もはや制度が持続できない状況です。

この認識があるからこそ農水省も検討会を立ち上げて議論を開始したと思いますが、一部の論点で現状維持を訴える団体もいて、結局、事務局がリーダーシップを発揮できず、最終的には、問題解決はおろか、改善にもならない事務局案で議論を終了してしまうというのは非常に残念で、市場の7割を超えるシェアを持つ商系の生産者とメーカーは、失望と今後への不安を強く感じています。

借金をして補塡を行うということは、積立者と受益者のずれを生み、やめた生産者の付けを将来を担う生産者に押し付けることになるという観点で、多くの生産者や団体も反対の立場を取っています。

また、異常基金に関して借金返済が続く状況では、民間の共積みは非常に厳しいにもかかわらず、借金をして資金を用意しなければ国の資金も得られないという本案は、残念ながら解決につながらず、国の資金を求めて借金を膨らませる負のループが強要されるだけだと考えております。資金繰りが悪化している民間に対して、お金が欲しければ借金をしてでもお金を出せというルールは、一般通念上理解し難いと感じております。補助事業は受益者負担が当然という考え方ですが、設備投資におけるクラスター事業のようなものとは区別されるべきものであり、せめて異常基金返済終了の令和13年までは何らかの緊急避難的な運用が図られてしかるべきだと考えております。

ちなみに、平成3年以降3回の異常基金発動のうち異常基金の額は、初めが約900億円、2回目が260億円であったのに対して、今回は2,000億円を超えるものであり、いかに今回が災害級の高騰であったかということが分かると思います。

誤解なきように申し上げれば、我々は、いたずらに国費に頼るつもりもなく、基金はあくまでも激変緩和であり、生産者の手取り保障、援助ではないと理解しています。基金の健全な運営のために、自分たちが自費で積み立てた資金の範囲内でコスト上昇の一部をカバーするという基金本来の趣旨に基づいて、一部の生産者の基金頼み、基金は天から降ってくる、借金をしてでも補塡を、という風潮を改めて、基金は自分たちと同じお財布であるという正しい認識を持っていただきたいと我々は発信を続けていくつもりです。そして、そのレベルを超える異常事態においては、政府の裁量でサポートいただく。これは今回の発動時でも特別対策緊急補塡として行われたことであり、このようなスタイルが目指すべき本来の姿と考えております。

これらの点を是非御勘案いただき、基金改革の検討を継続し、農水省として、食料安保の観点から飼料・畜産業界全体を捉えた方向性を示して、リーダーシップを御発揮いただければと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

私から以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

ほかに御意見ございます方。

小椋委員お願いします。

 

小椋委員

小椋です。よろしくお願いします。

今ほど、粗飼料の生産増大に向けた様々な資料説明ありましたが、これはごもっともな考えでありますし、まとめに関しても、当然の最終的な取りまとめなのかなと思います。やはり、この粗飼料増大、生産拡大を取り進めるためには、そこには労働力問題も然り、収穫機械、また昨今の物流2024問題等々も絡んできます。そういう中で粗飼料、土地の有効活用、飼料増大を取り進めなければなりませんが、機械の高騰等々、さらに、円安も進んでおります。そういう状況を鑑みた中で、今後、粗飼料生産を拡大していくためには、やはり機械の更新・導入、人件費等々の改善が必要であると思います。現在の畜産クラスター事業では機械リース等ありますが、単純な機械更新は認められません。私も以前から部会でお話し意見申し上げていますけれども、これらの要件緩和を取り進めていかなければならないと思っていますし、補助率について、現状5割でありますが、昨今の機械の高騰に対する補助率の改定というものも一緒になって取り進めていかないと、幾ら国産自給粗飼料拡大をうたっても、なかなか現場はそれについてこない。そういった状況になってしまうと考えます。今後の課題として早急に、今申し上げた提案内容を十分協議し、取り進めていただきたいと切に思います。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございます。

畠中委員、お願いいたします。

 

畠中委員

畠中です。

2点意見申し上げます。まず1点は、先ほど庄司委員がおっしゃったように、配合飼料の基金の問題についてです。どのように議論をまとめていただくのか期待していただけに、本日の資料3-2でで説明頂いたことは非常に肩透かしというか、一体何が変わったのか。というよりも、もっとひどいことになるんじゃないかと思って、ちょっと心配しているところです。生産者としては本当に、これではもう将来が見えないなという状況です。現在も飼料価格は高止まりしていますが、将来、災害級にそういったことがあったときに、もしこのままであれば本当に生産者は続けられないなと感じているところです。

もう1点は飼料米、濃厚飼料の自給に関してです。この資料を作成いただいた時点では、増加傾向であるとまとめられていたかと思いますが、もう既に今年の段階で、主食用米が足りなくなったこともあって、飼料米の生産量がものすごく減っているらしいです。うちがグリーンコープ生協に出している分のみ国産穀物の餌を使っていますが、飼料米が集まらなかったということで、普段だと飼料用米を20%ぐらい入れている分を5%に減らし、残りを全部国産のとうもろこしで補っています。そのため、今、ほかの餌は全部、農協だとトン当たり5,000円ぐらい下がったと言われていますが、採卵鶏、商系はそこまで下がっておらず、他の飼料がそれぐらい下がっている中でうちが買っている国産飼料の餌は、7,000円以上上がりました。そういうことが起きている現状、今年でさえこのようなことが起きている状況なので、来年どうなるのかなというのが非常に心配です。私の周りでも、稲作農家が「飼料米を減らして、主食用米を増やす」とみんな言っています。そうなると、来年はどうなるのか非常に心配です。この傾向が続けば、もうやっぱりみんな、今はまだ補塡補助がある段階ですが、この間の日本農業新聞に載っていたように、財務省が2027年以降、飼料用米を水田活用の直接支払交付金の助成対象から外すというような提案が採用されてしまったらどうなるのかなと、すごく心配しています。どうかその辺りも、意見としてよろしくお願いします。

 

小針部会長

ありがとうございました。

ここで一度、事務局から回答をお願いいたします。

 

金澤飼料課長

まず、馬場委員と小椋委員から、各種施策、重要な施策について引き続きしっかりと充実していただきたいという御意見がございました。小規模な生産、またコントラクター・耕種農家との連携等々、そういったところは引き続きしっかりやっていきたいと思いますし、この酪肉近の議論も踏まえながら、また御意見頂きながら、しっかり対応していきたいと思います。また、水田施策との連携というところも、重要な視点だと思ってございます。

それから、里井委員から地域計画のお話がございました。地域計画につきましては、御案内のとおり、まずは今年度中に作成するということで動いてきたところでございます。これまでも我々の方でも、チラシ、パンフレット、あとネット広告のような形で、情報発信してきたところでございます。作成を先導しております経営局の方とも連携しながら、地域への説明もこれまでやってきたところです。それから、地域計画の策定に関する協議への関わり方というのはパンフレットで紹介してきたところでございますし、実際できた計画の事例の方も、我々のホームページ等々で紹介もしているところでございます。引き続き周知等については、しっかり横展開していただくことが重要だと我々も思っておりますので、経営局また農業会議所等々と連携して進めていきたいと思っています。

それから、庄司委員から厳しい御意見、畠中委員からも配合飼料価格安定制度の御意見を頂きました。

繰り返しになりますが、本制度につきましては激変緩和対策ということで、高騰局面で、平時から民間主導で積んでいただいております通常補塡、また、異常な高騰時には国の補助が入った異常補塡という形の2階建てで行ってきたところでございます。もともと民間主導で始まったところに国の方も協力しているという形でございます。

今回の運用改善につきましては、現場の方にもしっかり丁寧に説明していきたいと思ってございます。これまで、いわゆる相積みが必須であった異常補塡に関しまして、今回、個別に判断できる形にするということでございますが、現在、各畜種ごとに経営安定対策の方も充実してきているところです。生産者の方々の中には、「別途経営安定対策がある中で、借入れしてまで補塡は必要ない」、「本制度については激変緩和の機能を」という声も実際に頂いているところでございます。今般、安易に財政負担を増やす形の改正が実際に国民の理解が得られるかというところは、よく考えていくべき論点かなと思ってございます。まずは運用改善の効果を見極めながら、この検討会につきましては、これで検討が終わりという形ではなくて、引き続き検討していくという形にもしているところでございます。どういった形で制度を運用していくのが良いかというところにつきましては、引き続きしっかり意見をお伺いしていきたいと思ってございます。

それから、飼料用米の話がございました。御案内のとおり、飼料用米に関しましては、水田活用の直接支払交付金という形で、米の需給にどうしても左右される部分があるというのは御理解の上、ただ一方で、しっかり相対で作られているところ等々もあるところですので、実需者側の畜産側としては、引き続き対応していく必要があるかと思っております。

財政審の御意見もございました。制度所管が我々の方ではなく、間違ったことも言えませんので、お答えを控えるところでございますが、あくまで財政審は財政審で、そういった議論があったということかなと、今のところは受け止めてございます。

先ほどの馬場委員の御意見もありました水田施策の見直しに関しましても、どのような形でやっていくのかということは、省全体として議論していく中で、我々の方としても必要な意見を言っていくということかなと考えてございます。

私の方からは以上でございます。

 

小針部会長

企画課長、お願いします。

 

廣岡企画課長

企画課長でございます。

小椋委員の方から、機械導入について、要件緩和あるいは単純更新などそういったものを今後の課題として考えていくべきじゃないかというような御意見がございました。

まず、状況をお話しさせていただきます。通常の農林水産省の補助事業は2分の1の補助率ということでやっておりまして、現状、本事業でも、個人の所有物である施設の整備あるいは機械の導入ということで、この最大の補助率を適用しているところでございます。

その上で、私どもも規模拡大をお願いしているところですが、例えば、家族経営であれば家族経営の平均規模を上回ればよいですよとか、そういった様々な工夫ができるような形でで対応してきておりますので、難しいところもありますが、引き続き、考えていく必要があるかと思います。

ただ、機械を導入するにあたっては、やはり生産性を上げていくということは必須になってくると思いますので、そういったことも踏まえてこの事業をやっていきたいと思っております。

 

小針部会長



それでは、ほかに御意見ある方。

大山委員、お願いします。

 

大山委員

大山です。よろしくお願いいたします。

御説明ありがとうございました。

説明の中で少し気になった点として、資料3-1の6ページにあるコントラクターの構成や割合についてお示し頂いた点についてです。私の認識が違っているのかもしれませんし、地域性なのかもしれないですが、この中に、本当に専業として飼料生産を担っている法人が実際どれぐらいあるのかということは、とても大きなポイントなのかなと思います。その数字は私もはっきり分かりませんが、やはり、例えば酪農家であったり、養豚農家であったり、養鶏家というようなものがあるのと同じように、飼料作物を専業としている農家というものが今後大事なのではないかと思います。例えば酪農家が兼業として、飼料生産を一つの事業の中で取り組んでいることがほとんどであれば、何か環境変化があった際に、飼料生産が少し滞ったり、減らしてみたりというような、その辺の増減というのがかなり起きてくるのかなと思うので、その辺り、畜産業界の一つの形態として位置づけられるような方策のようなものを考えていくことが大事なのかなと思います。

それから、自給飼料を作るということが大事であるということは当然ですが、コントラクター等を今度使う側に立場になったときに、飼料の質なのか価格なのか、ブランドに繋がっているのか等、どういう動機で使用しているのか、そういったユーザー側の動機というものもしっかりと形にしていかないと、なかなかその広がりも難しいのではないかなと思います。

その2点、御検討いただければと思います。

 

小針部会長

ありがとうございます。

ほかに御意見ある方、お願いいたします。

前田委員、お願いします。

 

前田委員

様々なお考え、御意見がある中ですが、飼料基金のことが大変重要な問題になっております。その中で、私の意見はちょっと実現が更に厳しいのかなとは思いますが、飼料基金とマルキンの二つの制度について、これを一体として一つの制度として見直すことができないかという意見です。といいますのも、今、飼料費だけが上がっているのではなくて、資材、電気代、薬品、人件費、全てのもののコストが上がっています。どうやって経営を維持していくかについて考える中で、餌代だけでは本当の意味の解決になるんだろうかと考えたりします。それぞれのお立場がある中で、まとめるのは至難の業かもしれませんが、違う視点から、そういうことも考える局面に来ているのではないかなと思うところもあります。それぞれの立場、またさらに、公平性をどう図っていくかが大変課題でありますが、考えを申し上げたいと思います。

それから、畠中委員がおっしゃっていた先日の日本農業新聞に掲載されていた水活の記事について、大変ショックを受けました。

おっしゃるとおり、今年も国産飼料米を年間1,000トン使っていますが、今年は本当に値段交渉が大変でした。どなたも引上げを求められていて、やめられた方もいっぱいいらっしゃいましたが、新しいところが何とか入ったことで何とか去年同等の量を維持したところです。今の主食用米の高騰見ると、よいことではありますが、我々の飼料米がどうなるのかなと心配に思っております。

今選挙の後、状況が少し変わってきている中で、本当に財務省に押し切られるのではないかなという不安がございます。頑張っていただけると思いますが、万が一の場合、今のそれに対応する施策も少し頭をよぎります。

現在、飼料米1に対してMA米2など、様々なルールがありますが、そういうものも当然見直していただけると思いますし、畠中さんのようにブランド化しているものは、資料の20ページにあります備蓄米、そういうものをしっかりと供給していただくとか。私たちもそうですが、施設整備をして飼料米を使っていますので、MA米等でもよいのかもしれませんが、飼料用米の設備がちゃんと稼働できるようなそういう御配慮をしていただきたいと思います。問題が起こってからではいけないので、議論だけは省内の方で事前にしていただければ有り難いなと思います。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

オンラインの方で御意見ある方、お願いいたします。

石田委員、お願いします。



 

石田委員



自給飼料の生産を拡大していくというところについては全く同意です。

一方で、なぜ自給飼料が安いのかというと、家族経営で酪農しながら、酪農の朝と夕の仕事の間で自給飼料を作っている大部分の畜産農家、酪農家は、飼料作りにかかる本人の人件費を入れていないから安く生産できるということで、その所得向上も含めて価格転嫁の方にも話が連携するような形にしていくことが、自給飼料を持続可能で作り続けていくためには必要なのではないかなと思っております。

小針部会長

ありがとうございます。

それではここで、本日御欠席の井上委員からも御意見をお預かりしておりますので、事務局から代読をお願いします。その後、事務局から御回答という形でお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長

井上委員から、3点意見を頂いております。

1点目、耕作面積に合わせて飼養頭数を制限すべき、という意見です。

2点目、コントラクター事業に民間企業が参入しやすい(作業機の補助など)政策が必要。現状のJA主体では運営に甘さがある、という意見です。

3点目、農道、圃場への取付け道路、ほとんど町道の整備が地域によっては遅れています。近年の大型機械が入れません、という意見でございます。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

では、今までの御意見に対して、事務局からお願いします。

 

金澤飼料課長

まず、大山委員からございましたコントラクターの関係についてです。

飼料だけ生産しているわけではなくて、耕種側の作業など、いろいろされているところもございます。すみません、専業かどうかの割合のデータについては、持ってございませんが、御指摘のとおり、数的には、その多くが畜産農家や耕種農家であったり、また、耕種農家と畜産農家が共同で運営しているような小さなところが多いというのが実態でございます。一方で、いわゆる土建屋のような建設関係の会社といった企業的なところや、農協が運営する子会社的なところや第三セクターみたいなところも一部ございます。

我々としましても、やはりコントラクター、耕種も畜産も、労働力は今後、地方も含め、どんどん減ってまいります。今いるコントラクターをいかに永続的、持続的なものに位置付けていくかということは重要な視点だと思っておりますので、しっかり検討していきたいと思います。

それから、前田委員からございました基金の関係についてです。

繰り返しになりますが、配合飼料価格安定制度自体は、激変緩和という形で機能してございます。マルキンとセットになる形で、マルキンの方ではしっかりコストの上昇分を補塡を差し引いた上で織り込むという形で、全体として再生産を確保していく形でやらせていただいておりますので、マルキンがある畜種と、マルキンがない畜種もございます。そこは仕組みとセットで、機能していくところだと思っています。餌以外の様々なコスト上昇の方は、マルキンなど他の制度の方でもしっかり見ているという形かと思っています。

それから、飼料用米の関係で前田委員からも御意見ございました。

御指摘のとおり、主食用米の需給の変動に伴ってあおりを食う部分でございます。備蓄米とともに、実は飼料用米として供給している毎年の生産部分と、備蓄米からの払下げ部分と、あとは一部MA米からの払下げ部分、そういったものが全体としてございます。

いずれにしましても、委員御指摘のとおり、畜産、利用者側そして飼料メーカーも色々な施設整備もしてきたところでございます。米の見直しについて、これからまた色々と協議があると思いますが、そういった実情といいますか、ある意味定着しているところは定着しているということはしっかり申し上げていきたいと思っております。

それから、石田委員からございました自給飼料の関係についてです。家族経営中心にやられているということで、経営としての所得向上・確保が重要という点について、もっともな御意見だと思います。餌は餌、経営は経営ではなくて、酪農、肉用牛ともに、畜産施策全体として、それぞれの再生産をどうしていくのか、全体としてしっかり考えていくということが必要かなと思ってございます。

井上委員からございましたコントラクター等々への民間参入についてです。民間、農家集団、民間参入に限らず、コントラクター等々への支援というのは同じようにやっているところでございます。JA主体だと運営が甘いというような御意見もございました。そこは必ずしもJAだから甘いということでもないのかなと思っておりますが、いずれにしても重要な担い手ということで考えてございますので、そういったところをしっかり後押ししていきたいと考えてございます。

私の方から、まず以上です。

 

小針部会長

廣岡課長、お願いします。

 

廣岡企画課長

井上委員の方から、耕作面積に合わせて飼養頭数を制限すべきという御意見ございました。

国産飼料の生産・利用拡大を進めていく、そういった畜産経営を実現していくことは非常に重要な御指摘だと思います。

一方で、飼料生産ということでいえば、地域によって土地資源が豊富であるかないか、あるいは気候、地理的な事情など、飼料作物に関する事情は様々だと思います。

利用の在り方についても、耕種農家に作ってもらう場合や、あるいは遠隔地から国産飼料を購入したりする場合もあると思います。

こうしたことを踏まえると、その土地資源に基づく畜産の展開というのは非常に重要な御指摘であり、その通りだと思います。一方で、飼養頭数自体を何か制限するとか、そういったことはなかなか難しいのかなという気もしております。

 

小針部会長

飼料課長、お願いします。

 

金澤飼料課長

井上委員からございました町道の整備の関係でございます。

町道の整備に関しまして、関係省庁、様々な助成があると承知してございます。まずは管理者たる町の方に問い合わせていただくというのが重要かなと思っております。

私どもの事業では、町道自体の整備という形では手が出せるものではございませんが、草地畜産基盤整備事業におきましては、草地の整備改良と併せまして、その草地の利用に必要な私道部分や農道部分といったところの支援はできるようになってございますので、御理解いただければと思います。

 

小針部会長

ありがとうございました。

それでは、ここで5分間の休憩を挟みたいと思います。14時37分から再開しますので、よろしくお願いします。

 

午後2時31分休憩

午後2時37分再開

 

小針部会長

それでは、審議を再開いたします。

事務局より資料4、その他の項目の現状と課題の整理の説明をお願いいたします。

 

木下総務課長

それでは、総務課長の木下と申します。私の方からその他の項目の現状と課題の整理について御説明をさせていただきます。

資料4でございます。

まず、1ページを御覧ください。

目次になりますが、この資料では担い手確保、労働力、家畜防疫、アニマルウェルフェアなど畜種横断的なテーマについてまとめています。

2ページです。

初めに、担い手の確保、技術・経営の指導についてです。

3ページを御覧ください。

左上の帯グラフのとおり、畜産経営からの離脱要因は、薄い青の高齢化と濃い青の後継者不在で約7割を占めています。

その下の表は新規就農者数の推移ですが、毎年酪農では100人弱、肉用牛では200人前後となっています。

担い手を呼び込み、定着させるためには左下の絵のとおり、技術や経営の総合的なサポートが必要でありまして、新規就農者への支援としては右側にございますように、牧場のリースなどによる初期費用の軽減、自治体や農業団体による技術や経営の指導が重要と考えています。

次に、4ページを御覧ください。

左上のグラフでございますが、国の調査によれば4から5割の人が移住を検討したいというデータがございます。

左下を見ると移住するに当たっては住宅や子育てに関心が高くなっています。

今のは参考の情報でございます。

次に、5ページを御覧ください。

ここからは技術・経営指導で経営改善がされた事例を御紹介したいと思います。

まず、酪農の事例ですが、獣医師が農場の定期巡回を行って、肥満の牛の増加と平均搾乳日数の長期化といった課題を確認したため、牛の泌乳ステージごとの栄養状態や乳量等の推移を踏まえ、飼料の栄養濃度を下げるという変更をした事例です。

この結果、乳量は維持しつつも飼料費が低減し、4か月で40万円の収益の増加が実現できたというものでございます。

次に、6ページを御覧ください。

これは肉用牛の事例でございますが、獣医師が定期巡回をしまして、繁殖成績や子牛事故に係る課題を確認したということでございます。具体的には左上にございますように、JMRという空胎期間の指標でございますが、その指標が20を超えていて非常に長い、さらに子牛の事故率が10%という高い状況にあったということでございます。

こうした状況の改善に向けまして、左下にございますように、繁殖雌牛の産褥期の衛生状態の改善や、自由運動の増加によりまして発情行動を促したり、初回授精月齢を後ろ倒しすることによって適正化させたり、繁殖牛への呼吸器病ワクチン接種などを実施しまして、空胎日数の短縮や子牛事故率の低減が実現できたというものでございます。

次に、7ページです。県の畜産協会の経営分析を活用して、経営改善を行った肉用牛、肥育農家の事例を挙げさせていただいています。

こちらの農家は経営診断の受診で、ほかの農家と比べて牛の死亡率が高いということを知り、事故率の改善や肥育成績の向上に取り組んだということでございます。

飼養管理マニュアルの作成や従業員の意識改革に取り組んで事故率を低減した。それから、これまでの出荷成績などのデータに基づいて素牛の導入価格を設定して、1頭ごとの収益を管理・検証することで肥育成績を向上させてきたという事例でございます。

これらの事例のように、担い手の定着や経営改善に向けて農業組織、あるいは獣医組織、そういった方々から技術面や経営面などの指導を活用するということも有効だと考えております。

次に、8ページからですが、労働力不足対応として、スマート農業技術や外国人材、外部支援組織の活用について御説明いたします。

9ページを御覧ください。

今年10月1日にスマート農業技術活用促進法が施行されました。この法律では計画認定制度を創設しまして、生産現場での導入と技術開発の両面からスマート農業技術の活用促進を図ることとしております。

生産者は、この法律に基づいて生産方式革新実施計画の認定を受けますと、長期低利融資や特別償却による税制優遇を受けることができます。こうした支援を通じて、生産現場での省力化機器の導入をしていくというものでございます。

一方で、右側にございますが、スマート機械は高額なものが多く、畜舎の改修に伴う費用やランニングコストや修理費用なども生じますので、費用対効果を十分に検討した上で導入するということもまた重要な視点であると考えております。

次に、10ページを御覧ください。

左のグラフのとおり、技能実習生や特定技能外国人は増加傾向にございまして、人手不足への対応として、その活用が進展しております。

右上の表にございますように、令和9年度には現行の「技能実習制度」に代わりまして、人手不足における人材確保と人材育成を目的とした「育成就労制度」が創設されるということになっております。

右下にございます特定技能への移行を念頭に置いた制度となっておりますので、人材育成の段階から長期にわたる人材の確保が可能になるということでございます。

一方で、左下に事例を示しておりますが、外国人材の定着、活用には待遇や仕事面だけでなくて、生活面での支援や地域の理解醸成、そういった環境整備も重要になっていると考えております。

続いて、11ページを御覧ください。

酪農家に代わって搾乳や給餌作業を行う酪農ヘルパーでございます。

左下にございますように、酪農ヘルパーの1戸当たりの年間利用日数は24日まで増加してきています。

また、酪農ヘルパーは、ヘルパーとして経験を積んだ後に新規就農する例も多くなっておりまして、酪農の知識や技術を習得する場としても重要な役割を担っております。

一方で、真ん中の折れ線グラフにございますように、酪農ヘルパーの数は減少しております。右の表に主な離職の要因を示していますが、ヘルパーの処遇改善や酪農家とヘルパー間の円滑な関係づくりというのが重要になっていると考えています。

次に、12ページでございますが、これは肉用牛関係の外部支援組織でございます。

左上のグラフにありますように、肉用牛ヘルパーというものの利用率も高まっておりまして、高齢化が進む繁殖経営において、出荷する牛をトラックに乗せるといった一時的な力仕事などを担うケースが多くございます。

下の表に、ヘルパー要員の構成という表をご覧ください。肉用牛ヘルパーの多くは農家が助け合う互助的な活動でございますが、ヘルパー要員は減少しておりまして、要員の確保が課題となっております。

一方で、右側は子牛の保育育成を行うキャトルステーション(CS)と繁殖雌牛の分娩、種付けまでを行うキャトルブリーディングステーション(CBS)についてですが、こういった施設の数は着実に増加をしてきておりまして、労働力不足を補う重要な手段になっております。

次に、家畜防疫についてます。

14ページを御覧ください。

海外からの家畜伝染病の侵入防止についてでございます。口蹄疫などの海外悪性伝染病はアジア諸国に広く浸潤しておりまして、我が国に侵入するリスクは極めて高いと言えると思います。

侵入リスクは海外との物流や人の交流により高まりますが、左上にあるグラフのとおり訪日外国人数はコロナ禍で一時的に減少しましたが、それを除けば右肩上がりで推移しておりまして、畜産物の持込み違反件数もそれにつれて増加しております。

また、下の方にありますが、国際郵便による畜産物の持込み違反というのもeコマースの進展によりまして最近顕著に増えているという状況にございます。

引き続き関係機関と連携して、水際対策の強化や相手国での周知等、重層的な対応が重要と考えているところでございます。

続いて、15ページでございます。

国内での牛疾病の発生状況と取組です。

左上の表のとおり、口蹄疫のような急性家畜伝染病の発生は、近年我が国では認められておりませんが、万が一の発生に備えまして、右側の取組例にございますように、平時より飼養衛生管理の向上とまん延防止措置の準備や埋却地の確保等を進めていくことが重要と考えています。

また、ヨーネ病や牛伝染性リンパ腫等の慢性疾病については、事故率の増加や損耗につながりまして、大きな経済的な影響を与えることから、発生予防に重点を置いて、飼養衛生管理の向上や疾病に応じた適切な措置を採るということが重要でございます。

なお、先日、11月6日に、福岡県下の酪農場において届出伝染病のランピースキン病の発生が国内で初めて確認されたところでございます。鳥インフルエンザや口蹄疫のように殺処分などの強力なまん延防止措置を要する病気ではありません。また、人には感染しないので落ち着いた対応が必要だというところでございますが、関係機関などと連携して適切に対応してまいることとしております。

16ページを御覧ください。

産業動物獣医師は地域における家畜診療や飼養衛生管理の指導を行う畜産経営に欠かせない存在でございます。

左にございますように、獣医師全体の4割が小動物分野に就業して、産業動物分野への就業は2割に当たる8,000人弱に止まっています。また、獣医系大学の卒業生のうち、産業動物分野に就職する割合も2割に止まっています。

産業動物獣医師が不足すれば、地域の獣医療提供体制が脆弱化しますので、若い世代やその保護者も含めた産業動物獣医師への誘導、就業後の転職支援や研修、診療を効率的に行うための遠隔診療の導入など様々な取組が重要だと考えております。

次は薬剤耐性についてです。

18ページを御覧ください。

抗菌薬は動物の健康を維持し、良質な畜産物を安定供給するために必要である一方で、使い過ぎなどによって薬剤耐性菌が増加すると、人や動物の治療が困難となって、畜産物の生産に影響を及ぼす可能性があります。このためWHOや国連総会でも取り上げられるなど、国際的に重要な課題となっています。

我が国では、中央に示した薬剤耐性対策アクションプランに定めた抗菌薬使用量の削減に向けまして、抗菌薬の適正使用、飼養衛生管理の向上やワクチン接種による感染症予防等の取組を推進し使用量を着実に削減しておりまして、引き続き取り組んでいくことが重要と考えております。

次は、アニマルウェルフェアについてでございます。

20ページを御覧ください。

アニマルウェルフェアにつきましては、畜産物の輸出拡大やSDGsへの対応など、国際的な動向を踏まえまして、昨年7月に国際基準に沿った国の指針を発出し、関係者への周知を精力的に実施してきたところでございます。

左側の図の令和6年度の部分にあるとおり、現在生産現場における指針の取組状況を把握するための本格調査を実施しています。今後はその結果を踏まえて将来的に「実施が推奨される事項」の目標達成年を設定するなど、生産現場における更なる普及・定着を図っていくこととしています。

21ページを御覧ください。

左側のグラフは、昨年度に実施した調査結果で、生産者におけるアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針の認知度を示しています。豚、鶏の生産者の認知度は相対的に高いのですが、牛や馬の生産者では低い傾向が見られております。引き続き、広く指針を周知する必要があると考えております。

また、右側ですが、畜産物購入時にどのような環境で飼育しているかをどの程度気にしているかというものを調査したものです。気にするとしている割合は高くはないということですので、消費者に対する理解醸成も重要と考えています。

次、環境負荷低減についてでございます。

23ページを御覧ください。

温室効果ガスの排出量の内訳と対策の動向です。左側の円グラフにございますように、我が国のGHG総排出量のうち畜産由来は約1%です。ですが、農林水産分野の中では3割を占めています。政府は2050年までのカーボンニュートラルを目指し、諸外国においても畜産分野におけるGHG排出削減に向けた動きが出ている中、我が国の畜産においても対策が必須だと考えています。

また、右側は畜産のGHG排出削減に関するアンケート結果ですが、4割以上の消費者が関心を持っておりまして、こういった点からも対応が必要と考えております。

24ページを御覧ください。

畜産分野におけるGHG排出削減に向けた課題でございます。

我が国の畜産分野におけるGHG排出量は左の円グラフにあるように、乳用牛と肉用牛で約8割を占めています。また、下のグラフにあるように、真ん中の下の棒線のグラフですが、乳用牛、肉用牛共に1頭当たりの排出量は余り減少していなくて、飼養頭数の増減に応じて排出量が変動しているという状況でございます。このため改良などによりまして生産効率を高めるほか、1頭当たりのGHG排出量削減に向けた取組の加速化というのが必要ではないかと考えています。

次、25ページは畜産におけるGHG排出削減の手段についてです。

左上のみどり認定は、みどりの食料システム法に基づいて、GHG排出削減に取り組む生産者を認定する仕組みです。全国で1万8,000の生産者が認定を受けていますが、大半が耕種農家でございまして、畜産でも認定を推進して増やしていくということが必要と考えています。

次に、左下のJ-クレジットですが、クレジット化することによって収益を得ることができるという仕組みです。生産者の取組を後押しするインセンティブとして推進していきたいと考えています。

右側の見える化でございますが、GHG排出と吸収を定量的に算定して、削減度合いに応じて星の数で等級ラベルを表示する取組です。畜産でも算定方法を検討中ですので、運用が始まり次第普及を図っていきたいと思っております。

次に、26ページでございます。

畜産分野におけるJ-クレジットの取組事例を紹介したものでございます。

最後に、畜産業や畜産物に対する国民の理解醸成についてです。

28ページを御覧ください。

国産畜産物が引き続き消費者に選択されて、持続的な畜産物生産が可能となるためには、国民の理解を得ていく必要がありますが、そのためには左の囲みにあるように、畜産物の供給のみならず、飼料、家畜、堆肥という資源循環の形成や雇用を通じた農村の維持・活性化に貢献する重要な産業であるということや、真ん中にございますように、生産現場ではGHGの排出削減や有機畜産に取り組むことで持続的な畜産物生産に向けて努力を行っているところでございます。

右側にありますように、畜産物の価格形成には生産コストが増大してもコストを価格に反映しづらいということについて、消費者に伝えていくことが重要と考えています。

このため、生産から消費の各段階に向けて情報を発信して、次世代を担う若年層なども含めて食料システムの関係者の理解醸成を一層推進する必要があると考えています。

最後に、29ページにこれまで説明した論点と方向性ということで、まとめてございます。

担い手の確保、技術・経営の指導、そして労働力不足それぞれについてまとめているところでございます。

私の説明は以上でございます。

 

小針部会長

ありがとうございました。

それでは、これより審議を行います。

委員の皆様、御意見のある方は挙手をお願いいたします。

彦坂委員、お願いいたします。

 

彦坂委員

家畜防疫と疾病についてお話がありましたので、それについて意見を述べさせていただきます。

家伝法による殺処分が行われた後の手当金等の支払が、互助基金も含めてセーフティネットとして据え付けられていますが、それの交付がかなり遅く、1年半とか2年後に支払が行われるというケースが多くあります。

国の方といろいろ意見交換させていただくと、資料がちゃんと整っていれば、早めに支払うことができますよという話ですが、県といろいろ話をしていても、県が手を抜いているということはなくて、必死にやってもやはり遅くなってしまう。もちろん防疫措置はしなければいけない。その後の清浄性に向かっての作業はしなければいけない。そういうことで県についても通常営業で算定するという状況ではないので、遅れてしまう要因はあるのかなと、私自身は県と話していて、そういう印象を受けます。

そこで、畜産をやっている人たちと話した中で、今のように精密に算定をして手当金を算出する必要が本当にあるんだろうかという意見は出ています。やはり家畜の種別だとか特性、日齢である程度家畜の金額を決めて、殺処分した頭数に応じて自動的に支払われるという仕組みがあってもいいのではないかという意見があります。

あわせて、問題になっているのは殺処分が行われても経営は相変わらず続くので、資金的な需要がタイムリーに行われる必要があるという意見は聞きます。例えば、手当金や互助基金は将来に払われるということがほぼほぼ確定しているので、それを支払の手当として融資を行うような仕組みがあってもよいのではないかという意見もあります。

そのときの融資については、よく聞く、無担保・無保証ですよというような借入れ制度では必ず審査が付きます。審査でまたすごく時間が掛かってしまうので、そういう手当金や互助基金を支払の代替わりとして行うような仕組みであれば、無担保、無保証、無審査で早期に総支払額の50%ぐらいを支払うような融資の制度があってもいいのかなという気はしています。

なかなか難しい件だと思いますが、やはり被害に遭った畜産農家は、翌日からも従業員には給料を払わなければいけないし、自分に関係している運送屋さんとの関係も継続していく必要があるので、そういう形での時期的な早期な対応ができるような仕組みを是非検討していただければと思っています。

殺処分された家畜の処分についてですが、現在、埋却が主たる形になっていると思います。やはり埋却地の確保や、埋却した後に起き得る様々な問題を考えると、生産者の気持ちとしてはできれば焼却やレンダリングができるような形にならないかというような希望がありますので、移動式の焼却やレンダリングの装置の拡充を是非検討していただければ有り難いと思っています。

現行の手当金制度の算定の方法を大きく変えるのはなかなか難しいと思いますが、畜産生産者の経営の現状などを勘案していただいて、なるべく早くそれができるような仕組みを検討していただけたらと思っています。よろしくお願いします。

 

小針部会長

ありがとうございます。

ほかに御意見ありますか。

小山委員、お願いします。

 

小山委員

私は担い手の確保と環境負荷低減についてお話ししたいと思います。

担い手というと、普通は農家だと自宅就農というのがあります。それだと就農者よりも親の方が先走ってしまうことがあります。それこそ50%の補助金を使って、親の方がどんどん機械を買った結果、支払ができず牛を売ってしまう。親子のことだからよいでしょうが、来年からの支払が大変だということで、水田を畑地化してお金を頂き、それで払うことで落ちついたというような話が近くでありました。その辺り、担い手本人が本当に進んで機械等を購入していくのであればよいでしょうが、親の方が先走るようなところもあったりするので、そこら辺の対応は少し難しいのかなと思っておりました。

また、私はJ-クレジットのシステムについてすごく興味があります。農家の人はもちろん農地もそうですが、山林もたくさんあります。それでみどりのクレジットを活用してしてどうにかしたいなと思っていますが、その術がありません。例えば北海道なんかは草地がたくさんあると思うので、その辺の指導を詳しく進めていただきたいなというのがありました。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございます。

ほかに御意見はありますか。

馬場委員、お願いいたします。

 

馬場委員

資料4の最後のページの論点についてです。まず担い手の確保について、JAグループでも、経営中止者の経営基盤を経営継承者に円滑に継承するため、JAの取組を支援するJA畜産経営継承支援事業を平成13年度に創設し、生産基盤の維持、拡大を進めております。

こうしたなか、高齢化、後継者不足による離脱に加えて、近年は特に経営不振、悪化による離脱が多いことを実感しています。

生産基盤を維持するためには経営継承、新規就農のための支援はもちろんでありますが、経営環境が悪化する中で、まずは既存の経営体の維持改善に向けた施策も必要だと考えます。

「技術・経営の指導」に係る論点では、「自治体や農業組織による指導を推奨」とありますが、こうした組織自体も人手不足等の深刻な課題を抱えておりますので、国の支援も含めて整理していただく必要があるのではないかと考えます。

また、家畜疾病の脅威が拡大する中で、輸出や国内供給、農家経営などにも多大なる影響が生じることもふまえ、水際対策を含めて発生防止に万全を期すとともに、産業動物獣医師の確保などの体制整備をお願いしたいと思います。

最後に、労働力不足の課題についてです。スマート農業技術の導入による省力化は重要であると考えますが、機械代はこの数年で急激に高騰しています。小椋委員からもありましたが、現場負担を十分に軽減し、導入の促進が図られるよう施策を講じていただきたいと思います。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

椛木委員、お願いいたします。

 

椛木委員

北海道の十勝で酪農をしている椛木と申します。

どの分野でも人手不足というのはもちろんそうですし、ほかの委員の方々もおっしゃっていますが、うちは牧場をしながら大学生とかが結構実習とか体験に来るので、学生さんと関わる機会が多くあります。その時にいろいろお話を聞いてみると、新規就農したいという若い人たちもスマート農業をやりたいというよりは放牧酪農だったり、そんなに大きな規模の挑戦は余り考えてないという人も多いなと、感じます。

そして、各地域でやはり離農が増えている中で、離農の農家さんが増えるスピードと新規就農者が酪農を始めるスピードが全然違うなと思っています。その分新規の人が入りにくい。正直なところ、今の情勢の中で地域、農協がそこまで支援し切れないという点で、新規就農させるということに慎重になっているところはあるなと思います。でも先ほど馬場委員がおっしゃったように、経営が余りうまくいかなくて離農せざるを得ないという農家さんが、私と同年代の方でもいるということも現実だと思っているので、その中でどうやって新しい人を受け入れるのか、地域はもちろん、国としてのサポートも大事だなと思っています。

私はスマート農業を否定するわけではないですが、ロボット入れたいとか、機械を導入してやりたいというのは、後継者の方が多い印象を持っています。

その中でもスマート農業でロボットを使う上でも、牛を見る目が私は一番大事だと思っているので、作業は機械がやったとしてもちゃんと牛を見る、畑を見るという、そういう技術的な目を育成していくといったことがすごく大事なのかなと思っています。

また、ヘルパーについてです。私たちの地域にも酪農ヘルパーさんがいて、私たちも助けられている部分がたくさんあるんですが、年々ヘルパーさんの数も減っていて、農家さんがヘルパーさんを取り合うぐらいの状況というか、それぐらい人が減っているなと感じています。人の入れ替わりがとても激しく、ヘルパーさんとお話ししても3年で続けるかやめるか決める、という話をするぐらい選ばれる仕事になりにくいのかなという印象を受けています。

その中でも、ヘルパーさんも機械に乗る作業をする上で、自分のお金を払って免許を取らなきゃいけない、これは各地域のヘルパー組合で違うと思いますが、大特の免許も取ったとか、牽引の免許を取るとかそういうふうになったときに、うちの地域の方は半額の補助がもらえるが、そのもう半額は自分で出さなければいけません。限られたお給料の中で払わなければいけないとなると結構な負担があるのかなと感じています。

ほかの地域がどのようなやり方でやっているかは分からないですが、前向きにこの仕事を続けたいという思いの上で免許を取ろうとしている子たちがいると思うので、何かサポートなどがあったりすると、免許を取ってもっとレベルアップした仕事をしたいなと思う人が増えるのかなと感じています。

あともう一つ、感染症の話について意見を言わせてもらいます。先ほどおっしゃっていたように、ランピースキン病とか今まで聞いたことがない伝染病がたくさん日本にも入ってきていて、農家さんの中には伝染病をシビアに考えている人もいれば、いろいろな病気があって、少し警戒心が薄れているなとも感じます。今回の病気が出たときも家畜保健衛生所からファックスが来ましたが、そういった危機感を継続的に農家さんも持って飼養衛生管理をちゃんと守っていく上で、定期的な指導というのがあったらいいのになと思います。私たちの地域は特にヨーネ病の感染が多いので、私たちの地域の家畜保健衛生所の方は多分検査で手いっぱいで、指導まで回れるほどの余裕がないと思います。

そういう意味でもそこまで指導が回れない分、農家さんの警戒心が少し薄れないのかなと心配なので、農水省としても家畜保健衛生所に対してサポートというか、何かしていただけたらいいなと思っています。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

羽田委員、お願いいたします。

 

羽田委員

私からは労働力不足対応についてお話しさせていただきたいと思います。

まず、11ページのヘルパーさんについてです。主な離職理由をまとめていただきましたが、とても興味がありますす。重要なところをピンクにされているかと思いますが、勤続年数が三つに分かれているが中で断トツ多いのはやはり家庭の事情なはずなんですが、これはどうしてピンクになっていないのかなと。ほかの産業でもやはり育児、介護、結婚。ここがやはり問題になっているところだと思います。女性のヘルパーさんが多いかと思いますので、是非この家庭の事情、結婚、介護、病気というところの待遇改善というところにも目を向けていただきたいなと思うことが一つです。

次に、人材確保についてです。外国人材も今は農業、畜産業でも結構入っていらっしゃるんでしょうか。そこら辺の数的なところは分かりませんが、外国人材、いわゆる実習生を受け入れるとなれば、労働基準法において一部農業が除外されているものがありますが、そこもきっちり守っていかなければいけないというところに現在なっております。外国人材を受け入れると大変なこともありますが、受け入れることによって、ほかの従業員さんとか家族への労働条件、待遇の改善が図られていくというところがあるので、外国人材も受け入れるということについて、是非皆さん前向きに検討していただけるとヘルパーさんなり、ほかの従業員さんの待遇改善にもつながり、畜産業も労働不足が多少なりとも解消されていくのかなと思います。

私からは以上です。

 

小針部会長

ありがとうございます。

ここで、事務局から回答をお願いいたします。

企画課長、お願いします。

 

廣岡企画課長

まず、担い手、労働力についてたくさんの御意見を頂きました。一つ一つに全部お答えすることは難しいかもしれませんが、新規就農者、後継者、ヘルパーさんといったいろいろな担い手、あるいはそれを担っていくような人たちがいらっしゃって、それに対して私どももソフト面、それからハード面でいろいろ支援をしております。

それから、国や地方、それから馬場委員からもありましたとおり、団体も独自にやっていただいているというところがあると思います。そういった様々な支援、ここで一つ一つは列挙いたしませんが、そういった支援を組み合わせながら、しっかりとやっていきたいと思いますし、離職理由の中にも家族の事情とか、あるいは人間関係とかいろいろな事情があります。これからも引き続き調査して、対応していきたいと思っております。

特にヘルパーさんについて、非常に助けられているというお話がありました。3年未満で続けるかやめるかというお話もある中で、免許取得へのサポートについてお話でございました。ヘルパー業務に関連する、例えば大型特殊免許ですとか、その他車両系の建設機械の免許とかの取得については、サポートする制度もございますので、また御相談いただければと思います。

外国人材について、羽田委員の方から、数がどれくらいかというのは、10ページの左上の方に示しているとおり、畜産分野も増えております。その中で、左下のメイプル牧場でもお示ししたとおり、やはり雇用主の方々が気を遣ったり配慮したりすることによって、外国人材の定着率も上がるというふうな事例もあります。こういった事例を展開、あるいは日本語の学習の支援なども行っておりますので、引き続きしっかりやっていきたいと思っております。

あと小山委員の方からも、例えば親が進んで機械を買ってしまって、その後の支払いがしんどくなってしまうというお話がありました。

先ほども資料の中にもありましたとおり、例えば各県にある畜産協会みたいなコンサルタント組織などもありますので、是非気軽にそういったところに相談して、経営指導なり、あるいは分析を受けていただくということが非常に重要かなと考えております。

また、馬場委員から、そもそも経営体の中止には新規就農支援に加えて、経営体の維持、あるいは改善に向けた取組が必要であるというお話がございました。そのとおりだと思いますので、私どもも経営安定対策を始め様々な支援・事業で支えていきたいと思います。

現場負担の軽減ということは先ほど小椋委員の方からありましたが、なかなかここではっきりしたお答えができなくて申し訳ありませんが、しっかりと意見交換をしていきたいと思っております。

 

小針部会長

ありがとうございました。

大倉家畜防疫対策室長、お願いいたします。

 

大倉家畜防疫対策室長

家畜防疫対策室長をしております大倉と申します。

彦坂委員から殺処分に伴う手当金の支払の早期化ということで御意見を頂きました。こちらについては彦坂委員からも1年半から2年くらい掛かるケースもあるという御意見がございましたが、確かに長期化する事例としてそういうケースもありますが、実際に農家さん、それから都道府県の方で手続を早めていただいて、3、4か月程度での支払を終えているというケースもございます。

ですので、我々の方としてまずは、日頃からどういった経費が掛かっているのかということの整理であったり、申請のために必要な書類のリスト化であったり、そういったものも都道府県の中に共有していただき、起こってしまったときに早期の支払に向けた準備をしていただけるよう、共有を進めているところでございます。

あとは仕組みとしてということでございましたが、具体的にそれだけではなくどういったやり方でなるべく早いお支払ができるかということは引き続き、いろいろな関係部局と検討しているところでございます。

それから、殺処分した後の埋却地の確保が大変だという話がございました。確かに環境問題などいろいろな問題も引き起こすということで、全てを埋却するというのはなかなか難しいということと、土地の確保という点においても再発してしまったところでは困難だというお話も聞いております。

そのため、令和4年のシーズンの鳥インフルエンザの大きな流行があった際には、焼却による処分は、既に84事例の発生があり、そのうちの3分の1ぐらいは焼却も併用、あるいは焼却のみで処分するようなこともございました。

それから、昨シーズン、令和5年の発生のときもこれは半分ぐらいのケースにおいて、焼却を活用するようなケースもございますので、徐々に焼却の活用というのは広まってきております。そういった焼却で処分ができるように、自治体の協力はもちろん、そういったケースをどんどんほかの県にも横展開していこうということで、事例の共有なども進めているところでございます。

移動式の焼却炉やレンダリングの拡充という御意見がございましたが、こちらも令和5年の補正予算で移動式レンダリングの拡充ということで、今年度1台追加配備予定となってございます。

また、馬場委員からも家畜疾病、輸出にも大きな影響のある疾病の侵入のために水際対策強化という御意見がございました。令和2年の家畜伝染病予防法改正で我々も家畜防疫官、輸入してくるものに対しての質問権限の強化、あるいは検疫探知犬の拡充といったことの取組も進めております。それから相手国に対して、観光客の方への周知や、そもそも畜産物を持ってこない対策、持ってきてしまったときの権限強化、そうしたところでの重層的な対策というのを強化しているところでございます。

それから、椛木委員からランピースキン、聞いたことがないような疾病が入ってくるということに対しての農家の危機意識が薄れていることで御心配の声がございました。こちらについては確かに我々も常日頃こういった疾病に対しての備え、事あるごとに発信しているところでございますが、なかなか届き切ってないところもあろうかと思います。

また、現場の家保も各農家さんになかなかお時間を取ってコミュニケーションを取るというのが難しくなってございます。これは家畜保健衛生所の人材、人員不足という問題もございますし、特に十勝では農家件数も多いことでなかなか濃密な巡回というところができていないという問題もございます。おっしゃったヨーネ病での対応で手がいっぱいということもございましたが、我々何かできないのかということで、家畜保健衛生所の職員の業務負担軽減という面も大事なアプローチかと思っておりますので、そういったことも合わせながら農家さんへのコミュニケーションという、本来大事にするべき業務の方にリソースを割けるよう、いろいろな施策全体で考えていきたいと思っております。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございました。

新井室長、お願いします。

 

新井畜産総合推進室長

小山委員からJ-クレジットの関係で御意見を頂きました。今、J-クレジット制度に関しましては、農林漁業者の方が削減・吸収の取組をし、それによって生じたクレジットを売却することで、収益が得られる仕組みになっております。J-クレジット制度の活用を推進していくことが必要だろうと考えているところでございます。

また、資料でもありましたが、畜産関係ではアミノ酸バランス改善飼料の給餌ですとか、肉用牛へのバイパスアミノ酸の給餌、あとは家畜排せつ物の管理方法の変更という3つの方法論があるところでございます。

森林の話がありましたが、森林の部分は深くは承知していませんが、森林系活動や、再造林活動でJ-クレジットの方法論がございまして、その地域で実際にその方法論を使ったプロジェクトがあれば、そこに加わるということもできるのだろうと思います。

以上でございます。

 

小針部会長

ありがとうございました。事務局からはよろしいですか。

畠中委員、お願いします。

 

畠中委員

スマート農業技術に関してです。10月1日にスマート農業技術活用促進法が施行されたということで、今日の資料の労働力不足や、飼料生産性向上、遠隔診療のところでも出てきておりました。資料4のp.9で示されている、スマート農業技術の導入に当たっての留意すべきポイントでは、ランニングコストが掛かるとか、いろいろ書いてありますが、一番現場でネックになるのは電波が来ない、圏外だ、そもそもスマート技術なんか使えないといったことです。関村審議官にも御同席いただいたので、多分御承知していただいているとは思いますが、私が会長をしている畜産に携わる女性のネットワークでの意見交換会でもスマート農業に関する意見がありました。農業全体だと土地利用型のところでは使いやすいこともあるのかもしれないですが、例えばコントラクターで大型機械が入れるような道がなかったり、山間地が多かったり、放牧したらもう山の中だったり、うちの経営者でも3農場のうち1農場はスマホが使えない、圏外だというような状況です。やはりそういうところで活動している畜産農家は多いと思うので、同じ農業の中でも畜産でスマート農業技術を活用する、それを促進するというのであれば、電波のところから国にも対応を考えていただかないと、片手落ちなんじゃないかという意見が出ていましたので、一応お伝えしておきます。よろしくお願いします。

 

小針部会長

ありがとうございます。

宮島委員、お願いいたします。

 

宮島委員

どの分野でも一番問題となっているのは担い手不足であり、どこの分野でも完全に人の取り合いになっています。そこでどのように人材を確保していくかというのは、どの業界も相当厳しいものになっています。

先ほどヘルパーの方が3年でいなくなってしまうとおっしゃったんですけど、そこは多分気にしなくてよいと思います。というのは、普通のサラリーマンも新入社員が3年で離れる時代ですので、むしろ畜産を、ここに入ったらここで一生やっていくとか、そこまでの構えでなくても、まずは畜産に触れてみる、あるいは短期間やってみるというところで、人を惹きつけるというのもよいのではないかと思います。

畜産に携わるということと、別の職業に就くこと、あるいは都市でサラリーマンをやることの差をできるだけ少なくするというのは重要だと思います。

例えば、経営指導を受けているのが畜産にもよいということだったんですが、正にいろいろな分野で自分が経営の視点を持っている、あるいは経営というものがどういうことなのかが分かっているというのは、若者にとっての一つの売りになると思います。ですので、畜産業は早い時期から経営に触れられるとか、その経営意識を単に自分のところの経営をよくするという目的だけではなくて、携わっていく中で経営意識をしっかり身に付けられるという点は、非常に重要であると思います。

それから、電波が届かないというのは、実はかなり大きな問題かなと私も思っています。若い人に、どんな職業に就きたいかと聞く中で、まずスマホが通じないというのは相当なデメリットとなります。若者にとっては丸一日電波が届かないということは、考えられないことです。

かなりやる気のある人でも、くじける要因の一つになると思うので、そういったインフラは非常に重要だと思います。

また、離職理由にはいろいろあるという話がありましたが、私自身は地域の状況について非常に強い関心があります。やはり今、首都圏に人が集まっている中で、地域をどうやって維持していくかというような分析を色々と読んでいるのですが、実は離職する理由の中で、みんな必ずしも本音を言ってないというか、調べていくと実は真の理由はそれじゃないという場合があります。

例えば、女性が仕事を辞めるというときに、みんな納得するので育児や家事を辞める理由としてあげます。例えば、もし今育児や家事があるから辞めますと会社に言ったら、それは大変だね、介護があるから大変だねと納得してくれると思います。でも、実はその裏には育児、家事の問題ではなくてその組織に自分がうまくはまらなかった、あるいは人間関係、といっても別に誰かがいじわるをしたというのではなくて、そこの地域が持つ文化的な常識、あるいは自分とのずれが原因でうまく活躍する気持ちが持てず離職してしまうということもあるという研究があります。それは地域の問題としてよくあります。

ですので、畜産の現場がどうなのかは分からないですが、若い人たちを温かく迎えたつもりだったとしても、もしかしたら若い人たちとの間に意識のギャップがあったのかもしれません。よくジェンダーの意識に関しては都市と地域が大きく離れているというのがあります。そして、それは悪気がなくても相手に「えっ」と思わせてしまうことがあるというのはよく聞きますので、やはり会話をしながらその地域にどうやって定着してもらうにはどうすべきなのか、そういうところはかなり深掘りして考えないと、なかなかうまくいかないのかなと思っています。

また、飼料のところで国産の飼料がうまくできないという話がありました。飼料を作っていたとしても、今後水田活用の直接支払交付金がどうなるか分からないから、いろいろと不安に思うことがある中で、やはり地域計画の中に飼料をどうしていくかというのは計画内に入れていく必要があると思います。

その地域計画そのものを作る際には、そのエリアのいわゆるボスみたいな人、あるいは地主みたいな人が自治体と話し合うだけではなくて、若手や新規参入者もその地域がどうしたらよいか話し合いに参加し、考えられるように地域計画を作っていくことが大事ではないかと思います。そういったところから地域に触れていくことで、自分たちがこの地域で暮らしていくとか、ここで何とかやっていけるとか、受け入れられたとか、様々な気持ちを持つことができるのではないかと思います。

 

小針部会長

ありがとうございます。

それでは、ここで井上委員の代読をお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長

井上委員から書面の意見を頂いておりますので、申し上げます。

6点ございます。

まず、担い手の確保です。地域の行政とJAの役割、積極的な活用、活動が必要と考えます。

次に、労働力不足に対する意見です。酪農ヘルパー、肉牛ヘルパーの拡充が必要。そのスタッフの中に外国人労働者を採用できる施策が必要と考えます。

次に、家畜防疫、薬剤耐性の関係です。産業動物獣医師の養成が必要。その中で開業医が増え、コンサル契約などによる治療ではなく予防の指導が必要。現状の一般的な対応では治療ばかりで予防指導までできていない現状と思います。

次に、アニマルウェルフェアです。諸外国の動向から日本も遅れてはいけない問題です。日本のアニマルウェルフェアの指標は曖昧過ぎます。言葉の解釈でどうとでもなる。ある程度数字で表すべきと考えます。その一方で、日本独自の管理技術、和牛の鼻輪などもあります。これは家畜と管理者双方の安全に配慮したやり方です。このような管理方法に対して、諸外国や消費者の理解を得る努力も必要です。

次、環境負荷の関係です。生産者の意識が低過ぎます。国から生産者への啓蒙と、先進的(J-クレジットの取組など)に行動する生産者や関係者に対して協力と推奨をしていただきたいです。

最後に、畜産の国民への理解の関係です。何よりも大切なことと考えます。多くの方法を駆使して個人、組織、国を挙げて取り組んでいく必要があります。

以上でございます。

 

小針部会長

ありがとうございました。

事務局から御回答をお願いいたします。

企画課長、お願いいたします。

 

廣岡企画課長

たくさん御意見を頂きまして、ありがとうございます。

まず、畠中委員からのスマート農業についてで、一番大きなお話は電波に関するインフラだったと思います。なかなか農水省で改善していくということは難しいですが、スマート農業に関する関係省庁連絡会議というのがありまして、そこに地域の情報インフラの整備をしたりする総務省の情報流通行政局というところも来ておりまして、農水省から地域の情報インフラもしっかりやってくださいねという、お願い事項としてお示ししているところです。

難しい面もありますが、引き続き対応していきたいと思っています。スマート農業において、あるいは担い手の確保においても、電波が通じるということは極めて重要だということで重々認識しているところでございます。

それから、宮島委員からも担い手不足、人の取り合いになっているという観点の御指摘がありましたが、全くそのとおりだと思いますし、重要な視点だと思います。その中で経営指導とかをしっかり行い、この経営は経営の視点を持っているねと認識できるということが非常に重要だというお話もそのとおりでございます。

先ほども獣医師の指導であるとか、あるいは畜産コンサルタントの指導を受けた経営が非常に改善したという事例もお示ししましたし、これからの説明になりますが、養豚ではそういうのが結構進んでいます。専門的な用語でベンチマークというものがありますが、基準を比較するような経営がとても多くて、そのようなことをしていこうという御意見がありました。それも後ほど御紹介しますが、そのような経営の改善をしていく観点を入れていくことは非常に重要だと思います。

それから、井上委員からもヘルパー、担い手関係の御意見がありました。行政やJAの役割が非常に重要だというお話はそのとおりだと思います。ヘルパーについても例えば、ヘルパーの処遇を上げるための支援もしておりますので、活用していただきたいと思いますし、私どもも広報していきたいと思います。

また、ヘルパーの方に外国人の方を活用していくための試験的な支援もしており、かつて北海道で活用していただいたことがあるので、そういう支援もあるということをお話ししておきたいと思います。

 

小針部会長

ありがとうございます。

飼料課長、お願いいたします。

 

金澤飼料課長

宮島委員から飼料の関係、地域計画の関係、御意見がありました。御指摘のとおりだと我々も思っております。水田活用の交付金がどうなるのかといういろいろな要素がございますが、そもそもやはり地域の農地をどうしていくかというのを地域で話し合っていただくのが今回の地域計画の取組だと思っております。

資料の説明の際はユーザー側、餌の方からの視点で申し上げましたが、やはり今後耕種農家さんの方も人が減ってくる。あと残念ながら米自体の需要量も減少していくという中で、やはり農地をどう活用していくのかというのは省を挙げての課題だと思っていますし、農水省だけではなくて、その地域の切実な課題だと思ってございます。

御指摘のとおり地域のボス的な方だけではなくて、多様な方が入って議論してくださいという働きかけは我々からもしてございます。取りあえず3月までに地域計画を作るということで現場は動いておりますが、当然、見直しもしつつ、作って終わりではなくて、いかに実行に移していくかということが重要であると思っておりますので、その辺りはしっかり経営局、そして地域とも向き合っていきたいなと思っております。

そういう面では井上委員からも担い手確保の中で、地域の行政とJAの役割が必要という御意見がございました。正に地域計画の実行は土地の問題もそうですが、要は担い手をどうするかという問題であると思っております。資料の中でも紹介いたしましたが、耕畜連携のように間をしっかりつなぐ側の役割というのが非常に重要だと思っております。事例で紹介した中にも広島県酪さんの例を紹介しましたが、やはり関係づくりもそうですが、お金も伴う関係なので、代金の支払をどうするかとか、そういった間に入っていただくJAや専門農協の役割というのは非常に重要だと思っております。委員の方に逆にお願いを申し上げてしまいますが、JAグループもそういったところを一緒になってやっていただければ有り難いなと思っております。

私の方からは以上です。

 

小針部会長

お願いいたします。

 

星野畜水産安全管理課長

畜水産安全管理課の星野でございます。

井上委員の方から産業動物の獣医師の件とそれから予防がおろそかになっているのではないかというお話がございました。

先ほど、椛木委員の方からもお話がありましたように、家保の方が検査にすごく追われていて、なかなか普通の病気の相談や伝染病予防の方に手が回っていないとのことでしたが、正に実態として現場はそういう状況になっているのかなと思います。

産業動物で言えば、臨床家畜共済や個人で開業されている臨床獣医の方、それから家畜保健衛生所の方とか、大きく二つに分かれているところではございますが、この数十年の間、いろいろな大きな病気が出ているのが事実ですので、やはりどうしてもそういう病気への対応を何とかしなければいけないというところに、獣医師が割かれているという面がございます。

また、予防の方に手が回らない理由の一つとして我々が考えていますのは、畜産農家と同様に、獣医の分野でも人手が足りてないということです。一定数の卒業生は毎年出ますが、やはり通常の獣医師との魅力をいろいろ比べてしまうと、産業動物獣医師の方は、正に先ほど御意見にもあったようなにスマホが通じないエリアでの勤務かもしれませんし、肉体的にも大変きついという印象を持たれているという問題がございますので、そういうところにどれだけの人間が行くのかというところもあります。

我々としては、とはいえ食の安全・日本の国民の食生活を支えている重要な仕事なんだということを改めて発信していかなければいけないと思っておりまして、獣医系の大学、学生さんに対して産業動物獣医者の魅力、活躍の場をどんどん発信しながら、更には高校生、中学生、あるいは小学生ぐらいの若い世代に対しても家畜、動物と一緒に暮らすということはこういうことだよ、家畜ってこういう生き物なんだよ、そこに病気を治してくれる獣医がいるんだよということをどんどんPRしていこうという取組もしています。今すぐに結果は出ないかもしれませんが、しっかりとした取組をして、畜産現場を支えていきたいと思います。

以上です。

 

小針部会長

ありがとうございます。

畜産振興課長、お願いいたします。

 

冨澤畜産振興課長

畜産振興課長の冨澤でございます。

井上委員からアニマルウェルフェアについて、数値的な目標が必要ではないか、また日本独自の管理であります鼻環についても御意見を頂いております。昨年国の方として公表したアニマルウェルフェアに関する飼養管理指針につきましては、国際基準であるWOAHコードに沿って作成したところでございます。

同コードにおいては具体的な数値基準は示されてないところでございますが、当省としては指針の公表に合わせて数値の検討の参考になりますように、文献など資料を提示させていただいたところでございます。こちらを参考にしていただければというのが1点でございます。

また、鼻環のような日本の管理手法についても、その装着方法や取扱い時の留意点などについて今回指針の中で示させていただいております。

国際的な面につきましては、指針を英訳した上で広く公表しまして、輸出事業者にも活用いただいているところでございますので、引き続き指針の周知に努めてまいりたいと考えております。

 

小針部会長

ありがとうございました。

それでは、最後に私からコメントをして締めたいと思います。

本日は、様々な論点を御議論いただきありがとうございました。飼料に関して、最後に少しコメントしたいと思います。

初めのときから言っておりますが、やはり、為替を含めて前提条件が変わっている中でどうするか。厳しいということは前提にした上でどうしていかなければいけないかを真剣に考えていかなければいけない。そのために、本日は制度についての話もあったのだと思います。

それがあるからこそ、資料3-1の23ページにある、この「国産飼料の基盤に立脚した生産」というのは今初めて出てきたことではなくて、ずっと言われてきていることでありながらも、改めてこの局面だと認識しております。

これを本当にやっていこうとすると、結局土地基盤との結び付きが必要なので、そこで地域計画や農地を扱う経営局、耕種農業との連携ということで農産局の話があったり、当然そこには水活の話も関連するような形になりますが、そもそもこの水田活用の交付金というのは実需に応じた生産というのがベースになります。なので、本日、委員の皆さんの意見にもあったとおり、飼料米もきちんと活用されている、これをこういうふうに持続的に使っていきたいという、そういうニーズをしっかりと畜産の場でも捉えて、こういう形で必要だから、こういうふうにやっていくべきだということを畜産部会の場で議論した上で、それをもってそれぞれの局と連携する形で進んでいくことが重要だと思います。ここの部分については、皆さんが現場で今とても苦労されていて、ここまでやっているけどやり切れなくて、こういう政策が必要だということをおっしゃっているのは認識していますが、やはりどういうことをしていけるのか、そこにはどういう政策のサポートができるのかというのをこの場で今後議論した上で、それが計画に反映されるという流れになればいいかなと思っています。

私からのコメントは以上です。

では、一旦ここでこの2つの議題についての議論は終了したいと思います。

それでは、次に諮問を受けておりました家畜改良増殖目標の検討状況のほか、諮問事項ではありませんが、合わせて改正予定の家畜排せつ物法に基づく基本方針の見直し、養豚農業基本方針の検討状況について、事務局より概要の報告を簡潔にお願いいたします。

 

冨澤畜産振興課長

畜産振興課長の冨澤でございます。

資料5、新たな家畜改良増殖目標の検討状況について御覧いただきたいと思います。新たな家畜改良増殖目標については、本年9月に開催されました第4回の畜産部会において、諮問させていただいたところでございます。その際、検討内容の専門性が高いということで、畜種別に研究会を開催して各畜種の専門家、有識者の方から御意見を頂いて検討を進めるということで、御理解いただいたところでございます。

まず、1ページ目については、今後のスケジュールとこれまでの状況ということになります。まず一番上のところですが、研究会に先立ちまして委員へ現状の説明や改良増殖目標に関する意見をあらかじめいろいろお聞かせいただいた上で始めているところでございます。令和6年の10月から11月にかけて、乳用牛、肉用牛、豚、鶏について検討していただいたところでございます。馬、めん羊に関しては11月下旬から12月にかけて開催させていただき、改良増殖目標の中身について御検討していただく予定でございます。それぞれの研究会で、骨子案、内容について御議論いただいた内容を踏まえ、、次回の1月頃の畜産部会で構成案について御説明させていただき、2月には骨子案、3月には本文案と、順次御相談して決定してまいりたいと考えております。

続きまして、2ページを御覧ください。まずは乳用牛の現状と課題についてです。ポイントだけ御説明させていただければと思いますが、現状と課題の部分でいいますと、乳量が増加している中で、供用期間の短縮や受胎率の低下が課題となっているということや、先ほどお話がありましたが、酪農の労働時間が長くて担い手が不足しているということ。地球温暖化の環境の変化やアニマルウェルウェアに配慮した飼養管理ということが課題として挙げられております。

主な方向性としては、能力に関する目標の乳量では、生涯生産性を高めるため、繁殖性の向上を行いながら乳量もバランスよく改良していくということが挙げられます。

関連して、3ポツ目になりますが、長命連産性ということで、疾病抵抗性なども考慮した形で繁殖性・耐久性に重点を置いた改良を推進するということ、4ポツ目のその他の形質ということでは、暑熱耐性などの改良の推進や飼料利用性など新たな形質の導入ということも重要ではないかということで御意見を頂いております。

下の能力向上に資する取組というところでございますが、アニマルウェルフェアの指針に配慮した飼養管理、ICT技術等を活用した飼養管理の実施などの観点を折り込むべきというような形で御意見を頂いております。

続きまして、3ページでございますが、肉用牛でございます。現状と課題の部分ですが、現在の肉用牛は、脂肪交雑を重視した和牛生産となっておりますが、消費者ニーズは多様化しておるということでございますし、和牛全体での近交係数が上昇しまして、遺伝的多様性の喪失が懸念されるというような中身となっております。

また、今は飼料の高止まり等によって生産コストが増加する中で、枝肉価格が低迷しておりますので、より効率的な肉用牛生産が必要だというような御意見となっております。

これを踏まえた主な方向性でございますが、能力に関する部分としては脂肪の質など食味の向上に重点を置いた種畜の選抜・利用の推進ということが挙げられます。

また、能力向上に資する取組ということでございますが、改良手法の2ポツ目になりますが、広域流通される種雄牛については希少系統の繁殖雌牛群から希少系統種雄牛を造成するなど、遺伝的多様性に配慮するという観点、飼養管理の部分では一番下の下段になりますが、短期肥育・早期出荷の普及に向けた実証に取り組みまして、生産現場への定着の推進という観点を折り込むべきというような御意見を頂いているところでございます。

続きまして、4ページ。豚でございます。

豚につきましては、1ポツ目にございますように、国内で遺伝資源を確保いたしまして、純粋種豚の改良体制を維持していくという基本的な考え方が重要だというような御意見も頂いております。

主な方向性について、能力に関する部分といたしましては、2ポツ目になりますが、産肉能力の部分で、産肉形質の影響を考慮した中で増体性に着目した改良、特に止め雄ということでデュロック種においては、ロース芯の脂肪交雑の高い集団の作出・利用を推進するという観点、能力向上に資する取組というところでまいりますと、改良手法の部分ですと、純粋種豚の多様性を維持した中で、能力向上と優良な育種素材の活用を進めるという考え方、衛生管理の面では、

グループ生産システム等を活用したオールイン・オールアウトの導入等の推進についても触れるべきというような御意見を頂いております。

続きまして、5ページになりますが、鶏でございます。

鶏につきましては、現状と課題の部分になりますが、多様な消費者ニーズに対応した鶏卵・鶏肉の安定供給と生産コストの低減のための改良という観点が重要ということでございます。2ポツ目になりますが、輸入規制等のリスクに備えて、国内育種資源の多様性及び選択肢の確保並びに外国種鶏の国内における安定供給が重要というような御意見を頂いております。

主な方向性ということでございますが、能力に関する目標といたしましては、卵用鶏につきましては、長い期間、高い産卵性を維持する改良を推進するという視点、肉用鶏、ブロイラーに関しましては生産コストの低減をするための飼料要求率と育成率の改良の推進、国産鶏のいわゆる地鶏については、特色ある品質を保持した中で生産コストの低減も推進するという観点でございます。

能力向上に資する取組ということでは、2ポツ目になりますが、遺伝資源の保存や改良増殖に資する始原生殖細胞の保存等技術の習得及び普及体制について関係者間で相互に補完できるよう体制の構築を図るなどという観点を入れていくべきということで御意見を頂いております。

6ページ以降につきましては、今回参加していただいています委員の名簿です。引き続き、改良増殖目標について検討を進めてまいりたいと考えております。

続きまして、資料6を御覧いただければと思います。

家畜排せつ物法に基づく基本方針の見直しについての資料です。こちらにつきましても、9月の第4回の畜産部会において紹介させていただきました。

資料の1ページ目、2ページ目、3ページ目につきまして、9月の畜産部会の中で家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針の概要ということで、ご説明いたしましたので、この分は割愛させていただきまして、4ページ目に移っていただければと思います。

見直しのスケジュール(案)ということでございます。

家畜排せつ物の利用の促進法の見直しにつきましては、令和6年度の6月以降、有識者、専門家との意見交換ということで続けてまいりました。第1回については6月、第2回については9月、第3回については11月を予定しております。

第4回については、1月から2月に計画しており、骨子案について御議論いただくということでございます。

その上で、令和7年2月以降ということになるかと思いますが、骨子案の御説明、更に見直し案の説明をさせていただきまして、最終的に今回の基本方針の見直しを行いたいと考えております。

主な議論ということで、次のページ以下、第1回、第2回の概要を示しておりますが、第1回では環境規制の対応ということで、生産面の取組や行政の連携の観点から意見交換していただいております。

第2回目は6ページになりますが、国内の肥料資源としての有効活用ということで、1点は堆肥の利用につきまして、その堆肥の効果や利用者のニーズの観点からいろいろ御意見をお聞きしたところでございます。

もう一つ、次の7ページになりますが、堆肥のペレット化によります、有効利用ということで、ペレット化の部分やその流通ということで、ペレット化の課題や堆肥の流通についての課題、堆肥センターの利用という観点からも御意見を頂いたということでございます。

これらを踏まえまして、現在、見直しの方向として考えています内容につきまして、8ページにまとめさせていただいております。

まず、環境規制の対応については、悪臭苦情などを防ぐための方策として、地域住民とのコミュニケーションの重要性や行政における環境部局と畜産部局の連携などの指導体制整備に関する記述を具体化していくということを考えております。

また、排水につきましては、定期的なメンテナンスの重要性とともに、省力化、コスト低減に資するスマート機械の活用に関する記述を新たに追加したいと考えております。

真ん中の部分、次の国内肥料資源としての有効活用についてですが、大きなポイントとして3点ございます。

1点目は前回の基本方針見直し以降に策定されました「みどりの食料システム戦略」や「食料安全保障強化政策大綱」を踏まえ、食料安全保障の観点から化学肥料の使用量削減に向けた堆肥利用の推進等について新たに記載するということでございます。

2点目は、土づくり効果や炭素貯留効果などの堆肥利用のメリット、輸送距離や散布方法に応じた堆肥の形状の使い分けなどについて、改めて整理したいということでございます。

3点目は、今後の更なる高齢化の進展や労働力の確保が課題となるということを踏まえまして、堆肥センターなど地域の共同利用施設の機能強化について記載を拡充したいということでございます。

一番下のGHG対策・エネルギー利用についてですが、来週開催予定の第3回の意見交換会では、令和3年10月に策定された地球温暖化計画を踏まえまして、J-クレジットの普及拡大や消費者への理解情勢の取組、メタン発酵の推進、発酵残渣の利用方法等を中心に議論していただき、温暖化対策やエネルギー利用についての記載をできればと考えている状況でございます。

引き続き検討会を進めまして、見直しを進めていくということでございます。また報告させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

以上です。

 

廣岡企画課長

資料7を御覧ください。

企画課長の廣岡でございます。

養豚農業振興法に基づく基本方針について見直しに着手しております。現在、様々な分野で養豚農業に関わっておられる方々を委員として、1回目の意見を聴く会を11月1日に開催しました。この部会の前田委員もそのお一人なんですが、意見を聴く会での主な御意見を報告したいと思います。

1ページ、2ページはこれまでの説明したものですので、省略させていただきます。

3ページを御覧ください。スケジュールでございます。

年明け1月下旬以降に骨子案について意見交換をして、2月の畜産部会ではその報告を予定しております。

4ページをお願いいたします。

意見を聴く会での委員からの主な意見を基本方針の項目に沿って御報告いたします。

一番上の経営の安定につきましては、今後生産性の向上は必須、そのためには施設整備などのハード面に加え、経営分析、ベンチマーキングなどのソフト面にも取り組むことが不可欠といった意見がございました。これは先ほど宮島委員から御意見のあった経営分析に関するところで私が紹介したところでございます。

国内由来飼料につきましては、食品廃棄物は飼料利用が最優先とされていることが知られていない、という意見がございました。

飼養衛生管理の高度化につきましては、主な意見として飼養衛生管理基準の遵守、あるいは獣医師によるアドバイスを取り入れた衛生管理に取り組むことが重要といった意見がございました。

次の5ページをお開きください。

疾病の発生予防に関しまして、豚熱についてはワクチン接種のほか、病気を入れない農場バイオセキュリティが重要という意見がございました。

それから、その真ん中のところで、豚肉の生産・消費に関してでございますが、消費者の欲求は高くても良質なもの、安価なものに二極化しているという意見がございました。

その他の意見としましては、と畜場は公共性の高い施設だが、老朽化、労働力不足が課題という意見もございました。

今後、これらの意見を踏まえた骨子案を事務局で作成しまして、年明け以降に骨子案について第2回の意見を聴く会を開催し、内容を詰めていくこととしております。

以上でございます。

 

小針部会長

ありがとうございました。

これらについては別の会議体において深掘りした議論を行っていただいているところでございますが、このことについて委員から御意見等がありましたら挙手にてお願いいたします。

よろしいでしょうか。

それでは、家畜増殖目標等の報告は以上といたします。

次に、食料・農業・農村基本計画の見直しに関し、11月6日の食料・農業・農村政策審議会企画部会において、審議されておりますので、その概要について事務局から御報告をお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長

それでは、資料8をお開きいただければと思います。

食農審の企画部会ですが、次期基本計画の見直しに向けまして、第4回企画部会が先週6日に開かれております。第4回は次のページにもございますが、農地、人、技術の観点から我が国の食料供給について資料説明をしておりますので、畜産関係を中心にポイントを説明したいと思います。

では、目次のページを御覧いただきたいと思います。資料の構成ですが、まず最初に1で問題意識が記載されておりまして、2で供給能力確保に向けた品目別の現状分析・克服すべき課題・検討の視点が書かれております。3で次期基本計画で取り組む横断的な施策の方向性を説明している構成になっております。

3ページをお開きください。

まず、全体的な問題意識が記載されております。食料安全保障の確保には、農地の確保、経営体の確保、収量(生産性)の向上が必要ですが、特に農業者の急速な減少が最大の課題であると整理されております。

次、4ページでございます。

農業経営体のすう勢が示されております。2020年には108万だった経営体数が準主業、副業的経営体の大幅な減少などにより、2030年には54万に半減する見込みとなっております。仮に経営規模の拡大がなければ、2020年と比べて3割の農地が利用されなくなるおそれもあるところです。

5ページ、お願いします。

こうした状況ですが、品目ごとに経営体減少の影響は異なるところです。

主業や法人経営が多い畜産はそこまででもないですが、準主業、複合的経営体が占める割合が比較的高い米、果樹においては大きな影響があると見込まれているところです。

6、7ページは割愛して8ページ、お願いいたします。

農地利用の考え方がここで整理されております。農業者が急速に減少する中で、農地を適正に利用する人の確保が最大の課題となっておりますが、農業経営体の減少状況及び新規就農の状況というのは品目ごとに大きく異なるとなっております。このため下になりますが、農地の適正利用に向けては主要な品目ごとに既存経営体の規模拡大や新規就農、参入を図った上で収量の拡大、収益性の拡大が必要になってくると整理しております。

9ページからがその供給能力の確保に向けた品目別の現状課題の分析になりますが、土地利用型作物や野菜、果樹がありますが、時間の都合上割愛いたします。22ページまで飛んでいただければと思います。



22ページが飼料作物の現状分析となっております。本日も既に議論いただいた中身にはなりますが、飼料作物の生産は畜産経営による自給生産が主体となっており、畜産経営の規模拡大が進む中で飼料生産までなかなか手が回りにくくなっている部分があって、飼料生産作業の外部化が進展しているとなっております。

また、飼料作物の作付面積は減少傾向で推移しておりますが、栄養価の高い青刈りとうもろこしでは近年微増しているとなっております。

一方で、草地更新率の低下などにより飼料作物の単収は伸び悩んでいると整理されているところです。

23ページをお願いいたします。

飼料作物の克服すべき課題と検討の視点が3点記載されております。

一つ目が、生産コスト低減のための効率的な飼料生産が可能な農地の確保となっております。地域計画に基づいて耕種農家による飼料生産を含め集約化した飼料産地を育成することが必要と考えております。

また、飼料作物の選択に当たっては、栄養価や省力生産といった観点も含めて利用する畜産農家のニーズに合った品質・数量の生産が必要と考えております。

2点目です。畜産農家が規模拡大する中で、自ら飼料生産を拡大する余地が少なくなっている点でございます。これについては右側にありますが、コントラクターなどの飼料生産組織の育成が重要と考えております。

3点目が先進的な技術の活用などによる飼料生産の省力化や生産性の向上になっております。

こちらに関しては、右になりますが地域の実情も踏まえながらスマート農業技術や新品種の開発・普及、草地の整備・改良などによる省力化や生産性の向上を図りつつ、飼料作物の生産拡大をすることが必要と考えているところございます。

25ページ以降が、次期基本計画で取り組む横断的な施策の方向性として、農業構造の転換ですとか、生産性向上に向けた取組、付加価値向上に向けた取組を説明しております。詳細は割愛いたしますが、ここでも地域計画を核とした取組ですとか、基盤整備、スマート農業技術の開発普及、知的財産の課題とか検討の視点を紹介しているところでございます。

資料の説明は以上でございます。今後も企画部会は開かれていきますので、また適宜状況を報告できればと思います。

以上でございます。

 

小針部会長

ありがとうございました。

このことについて委員の方から御意見がありましたら、挙手にてお願いいたします。

よろしいですか。

それでは、私から一言だけコメントいいですか。

企画部会で議論が進んでいて、前回は「環境との調和」というのもあり、本日、出てきた論点というのは基本法や基本理念のところで出されているものとかなりリンクしているところも多いと思います。、問題意識は同じなので、作っていけば必ず内容はかぶっていきますし結果的にそれで重なりあっていくものであると思うんですが、やはり同じ時期に出されるものなので、最後の仕上がりのときにはきちんと同じ方向性を向いて、つながっている形でできていった方がいいかなと思っています。そのために毎回、御報告していただいているかと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

以上です。

それでは、企画部会における審議概要の報告は以上といたします。

本日は、長時間にわたり熱心に御審議いただきまして、ありがとうございました。酪肉近におけるテーマごとの現状や議論については1回目で酪農・乳業で、2回目は肉用牛・食肉、そして今回、飼料・その他の項目ということで整理をすることができたと思っております。

今後はこれらを基に構成案、骨子案、本文案の議論となってまいりますので、引き続きそれぞれの御立場から御意見を頂ければと思います。

最後に、事務局から何かあればお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長

本日も長時間にわたり御審議いただきまして、ありがとうございました。

部会長からもお話を頂きましたが、今回でテーマ別の議論を終えることができたと考えております。

酪肉近に関する議論としては来年の1月を予定しております。1月の部会でこれまで頂いた意見を事務局にて整理しつつ、次期酪肉近の構成案を示していければと考えておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。

なお、例年12月ですと畜産物価格の決定に係る畜産部会の開催があるところですが、時期は未定でございますので、こちらに関しましてはまた事務局の方から別途御連絡を差し上げたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

 

小針部会長

それでは、本日の畜産部会は終了いたします。

ありがとうございました。

 

午後4時17分閉会

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、松山、細川
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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