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令和6年度第10回畜産部会議事録

令和6年度第10回畜産部会議事録(PDF : 1,427KB)

1. 日時及び場所

日時:令和7年2月20日(木曜日) 14時30分~17時17分

会場:農林水産省第2特別会議室(web併催)

2. 議事

午後2時30分開会


新井畜産総合推進室長
それでは時間になりましたので、ただいまより令和6年度第10回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
それでは小針部会長に議事をお進めいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 
小針部会長
部会長の小針でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、初めに松本畜産局長から御挨拶をお願いいたします。

 
松本畜産局長
皆さんこんにちは。畜産局長の松本でございます。
本年度第10回の畜産部会開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
日頃より委員の皆様方におかれましては、農林水産行政、とりわけ畜産行政に関しまして御理解、御協力賜っておりますことを、この場を借りましてまず御礼申し上げます。
また本日はお忙しい中、このような形で御参集いただきまして開会できることにつきまして、改めて御礼申し上げます。
前回の第9回の畜産部会におきましては、これまでの議論を踏まえまして新たな酪肉近、また家畜改良増殖目標の方向性の案をお示しさせていただき、御議論賜ったところでございます。
今回は、その御議論を踏まえまして、また再整理をいたしまして、大きく4つお示しします。新たな酪肉近の骨子案、また家畜改良増殖目標の骨子案、これらに加えまして、別途御議論賜っておりました家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針の骨子案、あとは養豚農業の振興に関する基本方針の骨子案をお示ししまして、併せて御議論賜るようにしておるところでございます。
年度末に向けまして、最終局面でございますが、本文案作成に向けまして、また忌憚のない御意見を賜りまして議論を重ねて、我々としても整理をしていきたいと思っているところでございます。
改めまして本日の会議がうまく進みますことをお祈りいたしまして、私からの挨拶とさせていただきます。本日は御参集、誠にありがとうございます。

 
小針部会長
ありがとうございました。
撮影の方はここで終了となりますので、御退室をお願いします。

 
(報道退室)

 
小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、委員の出欠状況の報告などについて事務局からお願いいたします。

 

新井畜産総合推進室長
まず本日配布しております資料について確認させていただきます。
会議資料ですが、対面出席の方におかれましてはお手元のパソコン端末の方に資料1から8、参考資料1、2で枝番も含めると計11個のシートが表示されているかと思いますので、それらが開かれていることを御確認いただければと思います。あと、お手元に今日議論用に、酪肉近の骨子案を紙でも配らせていただいております。
次に出席状況でございますが、本日10名の委員の皆様に出席いただいております。出席委員のうち石田委員、丸橋委員におかれましてはリモートにて参加いただいております。丸橋委員は御都合により途中退席と伺っております。よろしくお願いいたします。
また本日、椛木委員、二村委員、井上委員、大山委員、川田委員、庄司委員、馬場委員、彦坂委員、松田委員におかれましては、御都合により欠席との連絡を受けております。
審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますが、本日規定数を満たしておりますことを御報告いたします。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございました。
本日は、酪肉近をはじめ、家畜改良増殖目標や家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針、養豚農業の振興に関する基本方針の骨子案を中心に議論してまいりたいと思います。本日もできる限り効率的な運営に努めますので、円滑な議事の進行に御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
まず初めに、次期酪肉近の骨子案の議論に入る前に、畜安法の関係について事務局より説明いただきます。次期酪肉近に向けたこれまでの議論においては、改正畜安法の施行後の生乳流通を巡る情勢への対応を求める意見もあったことから、畜安法や生乳需給調整に関する現状や対応方向について別途説明を頂くというものです。
それでは、事務局より説明をお願いいたします。

 
須永牛乳乳製品課長
牛乳課の須永でございます。
それでは、まず資料の3について御説明します。9月に紹介しそびれた資料、それと骨子案にも関連した記載があります畜安法の今後の対応について御説明させていただきます。
P.11を御覧ください。
畜安法は補給金の交付先を定める法律になっております。左下の棒グラフですが、平成29年の畜安法の改正後、水色で塗りました加工し補給金を交付されている系統外のシェアは、2%から1%シェアを広げ、3%となりました。これに加えて、水色の上の段の畜安法の外側におります加工せず補給金を交付されていない系統外の事業者がもともとシェア1%だったところから、より大きくシェアを広げているという状況にございました。
右下の課題の箇所を御覧ください。需給の安定のためには、加工に仕向け、それに伴い過剰乳製品在庫をさばくための全国的な取組が避けられません。こうした需給調整機能を拡大させていくことが、平成29年の改正畜安法の残された課題だというように我々として考えております。
P.15を御覧ください。
下段黄色のハイライトの箇所になりますが、全国的に必要な取組、つまり過剰乳製品在庫をさばくための取組になりますが、これへの参加拠出を酪農関係の補助事業の申請要件とする措置、いわゆるクロスコンプライアンスを今年の4月から段階的に導入していこうと考えております。
P.18を御覧ください。
P.18以降は、需要、生産、経営の3点についての補足資料になります。
まずP.18の右上ところですが、過去の酪肉近で設定してきた目標を大きく三つに分類して表示しています。牛乳需要が拡大する中での目標だった時期、そして牛乳・乳製品需要が停滞減少し始めた中での目標だった時期、そして3つ目が今を含む期間で需要の停滞減少を前提とした目標になっているという時期だと考えております。
続いてP.19を御覧ください。
今度は生産量です。生産量を左右する要因を並べました。真ん中下段のグラフにございますが、現状は令和4年、5年の生産抑制、それから餌など幾つか要因がありますが、そうした影響で牛の本来の能力と比べて3%ほど乳量が低下しているという状況にございます。生産量は、戸数、そして頭数の動向だけではなく、この1頭当たり乳量にも留意する必要があると考えております。
続いてP.20を御覧ください。
続いて経営になります。左側を御覧ください。
酪農経営の安定は、基本的に需給を安定させ、乳価を形成することで図ってきております。この数年間は脱脂粉乳の在庫を減らして、その中での4回の乳価の値上げにより、単純計算しますと1,200億円以上乳代が増えたということになっております。
これに加えて一番下、箱の中になりますが、経営安定に向けては中長期的に飼養管理などの生産性の向上、そして経営資源に見合った経営体、これを実現していくということが重要だと考えています。
P.21を御覧ください。
右のグラフにございますが、利潤が低い階層の特徴としまして、乳量が少ない、それから獣医療費そして、乳牛償却費が高い、つまり飼養管理に課題があるのではないかと推察される特徴がございます。
P.22を御覧ください。
この飼養管理を把握する指標の一例になります。
あくまで平均で見たものではありますが、左のグラフにありますとおり、分娩間隔が短い経営体は1頭当たり乳量が多いという傾向がございます。また、右の表のとおり、生産コストが少なく、所得が多いといった傾向も見られます。こうした分娩、空胎などの様々な指標で、御自身の飼養管理を把握するということが重要だと考えています。
P.23を御覧ください。
頭数規模にも留意が必要だという内容になっています。
頭数が拡大しても、スケールメリットでは、キロ当たりの利潤が増える、生産性が向上するという関係は見られておりません。ですので、人や土地といった経営資源に見合った適切な規模を選択していくことが経営上重要だと考えております。
私の説明は以上になります。

 
小針部会長
ありがとうございました。
この内容は、この後の酪肉近のところにもエッセンスが入っているということもあると思いますので、この御意見に関しても骨子案の意見交換の中でまとめて扱いたいと思います。
続きまして、酪肉近の骨子案について説明をお願いいたします。
 

木下畜産局総務課長
総務課長の木下でございます。続きまして、私の方から新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の骨子案について御説明をいたします。資料4を御覧ください。
まず、前回構成案をお示しさせていただいたところですが、本日は、そこから肉付けをする形で骨子案を作成いたしましたので御説明させていただきます。
1枚目のポンチ絵でございますが、骨子案の全体像をお示ししております。
全体像としましては、先日お示ししました構成案の内容とほぼ変わっておりません。前回いただきました御指摘を踏まえて、一番上の状況の変化の一つ目に現行酪肉近が定められてからの大きな動向の変化であります食料・農業・農村基本法の改正について追記をいたしております。
それからページをおめくりいただきまして、骨子案本体でございますが、目次の次のP.1に第1の酪農及び肉用牛生産の近代化に関する基本的な指針の冒頭に総論として、まず基本法の改正について記載をしております。
13行目や28行目に、同法において基本理念の柱と位置づけられている食料安全保障の確保について、あるいは30行目に酪農及び肉用牛生産についても、新たな基本法の理念に合致した形で政策を推進していく旨記載しております。
次に、生乳や牛肉の需要に応じた生産の推進といたしまして、P.2の18行目から需要拡大と需要に応じた畜産物生産による需給ギャップを解消する重要性を述べております。
次に、生産コストの低減・生産性の向上、国産飼料の生産・利用の拡大を通じた輸入飼料依存度の低減について、さらにP.3に行って、環境負荷低減などについて記述をしております。
P.3の35行目から、2(ローマ数字)といたしまして、需給を巡る情勢の変化と対応方向について、1生乳、2牛肉、3飼料の順に記載をしております。
まず1の酪農ですが、需給事情の変化としてP.4の19行目から、脱脂粉乳の需要が低迷し過剰在庫が発生したこと、全国で協調した在庫削減対策を実施してきたが当面この対策がなければ在庫が積み上がる状況であることなど、これまでの経過について記載をしています。

32行目から対応方向を記載しておりまして、需要拡大については、P.5の12行目から、構造的に低迷している牛乳や脱脂粉乳の需要を好転させ、次いでバターも含めた需要拡大を順に進めていくべきであること。これに向けて22行目から、関係者の目線を合わせながら、取組を全力で拡大させていくこと。27行目からは、現在の輸出量を踏まえると短期的な効果としては限定的であるものの、輸出促進についても着実に進めていくことについて記載しております。
P.6の4行目からの需給調整については、経営安定のためには年間安定取引が重要であり、契約の遵守や規律の強化を進めていく必要があること。18行目では、全国的な見地から需給調整の取組への参画・拠出を補助事業への申請要件とするクロスコンプライアンスの導入など、国がこうした取組を制度化していくことについて記載しています。
次にP.7からの肉用牛についてです。
13行目から、令和3年度以降、新型コロナウイルス感染症や物価上昇等の影響を受けて、需要が牛肉からより安価な豚肉、鶏肉にシフトしていること、24行目からは、和牛肉の枝肉価格は生産量の増加と需要の減少が相まって弱含みで推移していること。29行目からは、我が国の人口が減少する中、牛肉の生産基盤を維持するためには輸出が不可欠な要素になっていること。
P.8の7行目からは、消費者ニーズが適度な脂肪交雑や赤身肉など多様化しており、和牛、交雑種、乳用種の国産牛全体でニーズに対応していることについて記載をしています。
その対応方向としまして、20行目からは、オレイン酸や小ザシなどの指標により、脂肪交雑と食味のバランスを重視した牛肉の価値の発信に取り組むこと。26行目からは、適度な脂肪交雑の牛肉を生産する短期肥育や早期出荷の推進について記載しています。
また30行目からは、輸出拡大について記載をしております。
P.9の16行目からは飼料についてでございます。
25行目にあるとおり、粗飼料を中心とした国産飼料を利用することで、畜産経営は安定する傾向にあり、規模拡大をする場合には、国産飼料の生産・調達可能量に見合った経営が重要であることを記載しています。
P.10の対応方向としまして、5行目から、耕畜連携、外部支援組織の運営強化等により、国産飼料の生産・利用の拡大が重要であることを記載しています。
12行目からが、3(ローマ数字)の持続可能な生産に向けた取組でございます。
まず酪農の生産基盤についてですが、25行目にあるように、戸数減少が続いていますが、個々の生産者の飼養管理をはじめとする経営努力により、1戸当たりの生乳生産量は増加しており、全国の生産量はやや増加しています。
32行目からの取組の方向性としましては、生産者が自ら種付け率や死廃率をコントロールしていくことが重要であり、酪農家が生産基盤を見通すために必要な客観的データの情報発信を強化することを記載しています。
P.11の6行目からの経営安定については、17行目から、労働費にスケールメリットが見られるものの、主な生産コストについては、規模の大きさによる費用低減効果は必ずしも見られず、経営の持続性・耐久性は必ずしも経営規模と比例しておらず、飼料基盤が影響していることを記載しています。
P.12の10行目からの取組の方向性としては、13行目にあるように、土地、労働力等の経営資源に見合った持続可能な生産規模の選択を推進することが重要であること。27行目にありますように、長命連産性に優れた牛群への転換などにより、生産コストの削減を図るほか、32行目の生産者が自らの経営を分析し、改善を図る取組を推進すること。35行目にあります、10年に一度の経営危機に速やかに対応できる備えとして、ナラシのメニュー拡充を検討していくことについて記載をしております。
次に、P.13の肉用牛についてです。
まず生産基盤につきましては、15行目にありますように、和牛については近交係数が上昇しており、遺伝的多様性が失われるおそれがあります。このため22行目にあるとおり、希少血統など遺伝資源の多様性にも配慮して改良を行うことについて記載しています。
29行目からの経営安定につきましては、P.14の1行目から、1頭当たりの生産コストは、繁殖経営では飼養頭数規模50頭以上層から平均を下回る一方、100頭以上層では飼料費が増加する傾向があること。肥育経営では飼養頭数規模によって大きな差が見られないことを記載しています。
11行目からは、取組の方向性としまして、生産コストの増加や労働力不足に対応するため、繁殖経営については、分娩間隔の短縮等に有効なスマート農業技術や放牧の活用のほか、土地や労働力等の経営資源に見合った生産規模の実現を推進すること。肥育経営については、栄養価が高く、濃厚飼料からの置き換えも可能な青刈りとうもろこしの活用や、早期出荷に対する関係者の認知度向上、理解醸成について記載しています。
また26行目には、畜産コンサルタント等による経営指導の普及・定着や肉用牛生産者が適切な経営判断を行えるよう、客観的データの情報提供を行う旨記載しています。
P.14の下からは、飼料生産についてでございます。
P.15の3行目にありますように、飼料作物生産は畜産経営による自給生産が主体であり、規模拡大が進む中、農地や飼料生産にかける労働力の確保が困難となっています。これを補う形で、コントラクターやTMRセンターへの外部化が進展していますが、これらの外部支援組織における人材確保が課題となっています。
また11行目にありますように、耕種農家など地域の労働力が不足し、遊休農地が発生している状況です。
こうしたことを踏まえまして、24行目から、限られた農地や労働力を有効に活用するとともに、生産性を向上させつつ、地域の実情や需要に応じた国産飼料の生産・利用の拡大を図る観点から、現場の実態を調査・検証した上で、田畑における耕畜連携の在り方について検討するとともに、飼料生産を地域計画に位置づけ、国産飼料の作付け拡大を推進します。このため外部支援組織の運営強化や耕畜連携、畜産物の付加価値の向上等に資する飼料穀物、食品製造副産物といった地域の飼料資源等の活用、肉用牛繁殖経営や中山間地域における放牧を推進していきます。
P.16の11行目からは、共通する関連事項についてです。
(1)の担い手の確保についてですが、酪農・畜産における従事者数は大幅に減少する見込みとなっておりまして、就農の強化を支援していきます。18行目にありますように、ヘルパーからの新規就農支援の観点からのヘルパー制度の機能強化や、データを活用した技術・経営指導のサポートの推進について記載をしています。
(2)の労働力不足についてですが、P.17の17行目にありますように、外部支援組織の活用や、19行目にあります費用対効果を十分に検証した上で、省力化機器の導入推進することなどを記載しております。
(3)では家畜衛生対策としまして、水際検疫の徹底、国内防疫の徹底、産業動物獣医師の確保などの体制整備を推進する旨記載をしております。
そのほか(4)では、畜産物や飼料、動物用医薬品などの生産資材に関する安全確保の取組の推進について、(5)では、アニマルウェルフェアの推進について、(6)では、環境と調和のとれた畜産経営として、家畜排せつ物処理に関する資源循環型畜産の推進、そして消費者の関心も高まっている温室効果ガス対策の推進について、(7)と(8)では、自然災害に強い畜産経営、暑熱に対する取組の推進、(9)としまして、国が行う経営安定対策や配合飼料価格安定制度の着実な運用によりまして、引き続き畜産経営の安定を図ることについて、(10)では、畜産の重要な社会的意義や、畜産物の適正な価格形成などに関する消費者の理解醸成を一層推進することについて記載をしています。
P.24の第2の生産数量目標等の数値的な目標でございますが、この考え方につきましては前回お示ししたところですが、これらの具体的な中身については現在検討中でございますので、また後日お示しすることとしております。
P.25の第3は、基本的指標になります。
酪農経営と肉用牛経営それぞれについて経営のモデルを示すことにしております。
詳細な説明は割愛いたしますが、酪農については土地条件の制約の大小で分けまして、主に北海道についてはICT技術の活用により労働時間削減などに取り組む家族経営など3類型、主に都道府県については飼料生産組織の活用による国産飼料の確保等に取り組む家族経営など2類型、肉用牛経営については繁殖経営と肥育経営に分け、繁殖経営についてはICT技術の活用により省力化と飼養管理の向上に取り組む家族経営など2類型、肥育経営については国産飼料等の活用や肥育成績などのデータを活用した経営改善等を行う家族経営など3類型について記載をしております。
P.31には、最後の第4としまして、流通の合理化について記載をしております。
酪農関係では、集送乳の合理化としまして、物流コストの上昇幅圧縮のための集送乳施設の整備、生乳流通の広域調整などの取組を拡大すること。16行目からは、乳業の再編合理化として、中小飲用乳業工場の再編合理化や、広域の需給調整機能を担う乳製品加工基幹施設の高度化の推進について記載しています。
29行目からの肉用牛関係では、肉用牛の流通合理化としまして、競りの活性化など出荷者・購買者の双方にメリットのある家畜市場の再編について記載しておりまして、P.32の5行目の牛肉の流通合理化につきましては、食肉処理施設の再編・合理化や輸出型施設の整備の推進、食肉卸売市場の機能強化について記載をしております。
P.33は飼料についてです。
冒頭にありますように、配合飼料工場の再編につきましては、これまでの事例により、配合飼料価格低減に資するものと認められます。また6行目にありますように、飼料輸送については、飼料タンクの補充等の高所作業の発生など、特有の負担が存在してドライバーの確保が困難となっております。このため、飼料工場の再編の取組を引き続き推進するとともに、飼料輸送の作業負担削減と安全性の確保など飼料輸送の合理化の取組も推進していくことを記載しております。
以上が酪肉近骨子案の概要となりますので、これについて本日御意見を頂ければ幸いでございます。私からは以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございました。
それでは、これより酪肉近に関しての審議を行いますが、今回の意見交換では骨子案ということになりますので、個別の記載内容についての議論を深めていきたいと思っております。
そこで、今までは委員の皆様にそれぞれ御発言いただいて、それに回答するという形でしたが、今回はそれを少し変えて、骨子案に基づいて五つのパートに分けて意見交換を実施をしていきたいと思います。
まず具体的には、対面で参加していただいている方には、骨子案の全体像をお手元にA3用紙でお配りしておりますが、まず「1の状況の変化」ですね。骨子案の本体のところで言うと、第1の1の総論や全体に関しての意見交換。2番目に酪農関係として、左側青色の生乳の需給状況の変化と対応のところと、右側緑色の持続可能な取組のうち酪農経営のところをセットにして、御発言をお願いいたします。同じような形で、肉用牛関係については、牛肉の需給、肉用牛経営、肉用牛・牛肉の流通の合理化に関しての意見交換。飼料関係については、飼料需給、飼料生産、飼料製造、流通の合理化に関しての意見交換。最後、その他の個別テーマとして、4の関連事項という形で、それぞれのパートに分けて議論をしていきたいとに思います。
各パート同士、内容が関わってくるところがあると思いますので、そこは適宜、こちらにも関わるということで意見を整理をしていければと思っています。どちらか分からなければそこは御発言いただいてよいかなと思っております。
その形でやっていくと、1回の意見が長いとなかなか締まらないところもありますので、一つ一つの御意見は簡潔にいただければありがたいかなと思っておりますので、よろしくお願いします。
それではまずは、この総論、全体のところを通して御意見ある方は挙手をお願いいたします。もし欠席委員の方の意見もあれば、というところも含めてお願いします
では、室長からお願いしたいと思います。


新井畜産総合推進室長
本日御欠席の馬場委員と大山委員から、総論に関するところで意見を頂いておりますので、御紹介いたします。
まず馬場委員です。次期酪肉近で「目玉」となる政策についてです。食料・農業・農村基本法の改正を踏まえ、また厳しい情勢にある生産現場に前向きなメッセージを示すため、次期酪肉近では「目玉」となる国の施策の方向性を強調することが必要であると考えています。
まずは次期酪肉近では何が「目玉」であるのか、農水省としての考えをお伺いしたいと思います。例えば、コロナ禍や物価上昇などによる需給緩和という状況の変化がある中、生乳の需給事情の変化を受けた対応方向として、「需要喚起対策を全力で拡大させていく」とあります。牛肉についても、「1人当たりの国産消費を増やしつつ、インバウンド消費や輸出の拡大もすすめ」とあります。長期的な生産数量目標をしっかり確保することとあわせ、業界、国とともに需要喚起に全力で取り組み、国内生産の増大に結びつけていくことを一つの目玉として強調いただきたいと思います。その上で全体像の目指す方向性にも明記をお願いいたします。
また前回も申し上げておりますが、基本計画と平仄を合わせたKPIの設定についても御検討いただきたいと思います。
馬場委員は以上でございます。
続きまして、大山委員からの意見、3点いただいておりますが、1点目のところまで紹介いたします。
今般提示された酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針骨子案について、まずもって、近年の複雑な情勢変化を踏まえた多角的な分析を基に、事務局を中心として丁寧にまとめていただいたことに感謝いたします。
その上で骨子案を拝見し、私なりに感じたことを3点申し上げたいと思います。
1点目です。最初に目標設定を5年後とすること、またその際の生産数量の目標を現状の生産量並みの水準で検討することに関し賛成します。
前者は、いわゆるPDCAサイクルのうち、ともすればC、Aがおろそかになってしまうことを防ぐという点で大きな意味があると考えます。
後者の水準設定については、様々な意見があるとは思いますが、現在のような人口の減少局面では、これまでと同じ需要を維持することが難しいのは容易に想像できます。現行の水準を維持することは、1人当たりの消費量という点では拡大基調となり、簡単に実現できるとも思えません。したがって、目標は現実的な水準に設定し、それに向かって具体的な施策を展開すべきだと考えます。
以上でございます。
 

小針部会長
ありがとうございました。
今の御意見の部分を最後メッセージとしてどう出すのかについては、中身を詰めてからという部分もあるので、今すぐここで議論するという整理でなくていいかなと思いますが、よろしいでしょうか。まずは御意見として承るという形で整理させていただきます。また、PDCAのところも含めて、数字の議論については調整中というところもありますので、次回以降にそこも含めて議論していければいいのかなと思っております。
骨子案の本文について、私から幾つかコメントをしたいところがございます。
今回、総論のところで食料基本法の改正について述べられていて、P.1の18行目「この点において、畜産は」のところで、畜産の意義が書かれていると思うのですが、今その中に「人間に良質なたんぱく質を効率的に摂取できる形で供給する」という点が入っていないので、そこを入れた方が、より今回の食料安全保障の確保などにおいて、質の面でも意識しているという部分と合致するという意味で、入れるべきではないかなと思います。
また、「~が重要である」という表現が結構繰り返されているので、もう少し書きぶりをすっきりさせて、意義はこうだ、だからこうしていかなければいけないというように、それぞれ言い切りで記載しても問題ない気がします。繰り返されすぎると、言い過ぎという感じになるかと思うので、そこの言いぶりについては検討していただければと思います。
あとP.1の32行目「生乳や牛肉の需要に応じた生産の推進」のところの書きぶりについてです。ここは需要に応じた生産と、需給の変化についてが書かれていると認識していて、基本的な書きぶりとしては、この5年間で起きた変化があって、その変化の下で需給状況はどう変化したのか、だからこういうふうに対応していかなければいけないという論法なんだと思うんですが、よくよく見ると、P.2の6行目「その後、生産拡大を進める中で」以降の飼料価格と経営の話が入ってしまっていて、経営については実は下の項目の「従来の生産手法の見直しを含む生産コストの低減・生産性の向上、国産飼料の生産・利用の拡大を通じた輸入飼料依存度の低減」の部分で、記載をしていると思うので、なるべく上の生乳の需要に応じた生産のところでは、コロナ禍における需要の変化などを整理をした上で、下の項目では、この5年間でのコストをめぐる状況の変化やその状況の変化に対して、こうしていかなければいけない、というような整理をした方が物別に何をしなきゃいけないかということがはっきりをすると思います。そこについても、文章を整理していただければいいかと思います。というところが私が思った点になります。
ほかに総論部分で委員の皆様から意見等々ありますでしょうか。

 

小針部会長
事務局の方からコメントあればお願いします。

 
木下畜産局総務課長
今、部会長の方から言われました良質なたんぱく質という点でございますが、従来、この酪肉近でもその重要性というものをうたっていたと認識しておりますので、今回についても御意見を踏まえて記入させていただければと思います。
それから、いろいろ需給の点と経営の点の書きぶりの書き分けといったところも、すっきりと読みやすいように、しっかりと分けて、何をどうしていくのかというのが分かりやすいように、対応させていただければと思います。
 

小針部会長
ありがとうございます。
恐らく今回は、現行の酪肉近を策定した時から情勢が相当変化していて、そこでの方向性や需給関係も相当違うので、今までと同じ書きぶりにはできないということが、初めのところである程度説明がなされていないと、現行の酪肉近では前向きにどんどん行こうと記載してたのに、なぜ今回の基本方針ではこういう作り方になっているのかということが、伝わりにくくて、理解できない人には理解できないところもあると思います。そこも含めて、中身が伝わるような形になればありがたいかなと思いますので、よろしくお願いします。
里井委員お願いします。

 
里井委員
あえて申し上げることでもないかもしれませんが、前回ウェブで参加させていただいたときには、構成案の総論の部分に対して非常に否定的な感じがあったかなと思っておりましたが、今回の骨子案ではすごくよくなっていて、今の緊迫した情勢についても、私は非常に読みやすくなっていたなと感じました。
あえて言う必要もないのかなと思いましたが、良かったことは良かったと口に出した方がいいなと思ったので、あえて発表しました。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
総論部分で、そのほか、委員の方から御意見大丈夫ですか。
では、宮島委員お願いします。

 

宮島委員
大変な御苦労をされて文章をまとめていただき、ありがとうございます。
私は、現在検討中のまえがきに関して、こういうふうに書いていただければと思いますが、まえがきはまさに一般の人にとって、畜産がどのぐらい重要で、かつ産業としても魅力的かということがしっかりと伝わるような内容を、平易で長くない文章で書いていただければと思います。
もちろん酪肉近を1から丁寧に読めば、これが基本法の下に策定されていることなどが分かりますが、多分一般の人は基本法の改正そのものも、詳細は知らないと思うので、やはりふだん牛乳を飲んだりチーズを食べている、消費者の方々にとっての畜産業がどういったものなのか、そこで今ある危機や問題について、ほかの委員もおっしゃっているように、次の酪肉近は5年前と違い、どこが目玉で、どういう方針でやっていくかということを簡潔にはっきりと書いていただければと思います。
さらに、やはり問題だけじゃなくて、人口が減って需要が落ちたという日本全体の大きな問題をしっかりと捉えていただければと思います。人口が減ったということは、畜産業に来る人も普通に考えると減るわけですがが、私は畜産業はダイナミックなお仕事だなと思っているので、畜産業の重要性や魅力などがうまく伝わるようなことを短くコンパクトにまとめていただければいいかなと思います。

 
小針部会長
ありがとうございます。
今おっしゃっていただいたところ、そのとおりだと思っていて、この総論で書くべきこと、まえがきで書くべきこと、そして、これが概要になるのか。全体像を説明する必要がまたあると思っていますが、それをどういう形でどのように進めていくのかについては、中身の修正・更新とともに一緒に検討していくべきところかなと思っております。ありがとうございます。
総論部分については皆さん以上でよろしいでしょうか。
それでは次のブロックに進みたいと思います。
生乳の需給事情の変化と対応の方向について、そして酪農経営の部分で、御意見ある方お願いします。
では、小椋委員。
 

小椋委員
11ページであります。
酪農経営の(2)経営安定に関してであります。13行目の「国による支援の規模には限りがあるが」という文言があるんですけど、確かに国の予算というのは限られていて、、そこは理解していますが、この文言は私は必要ないと思いますし、この文言は捉え方によっては、後ろ向きな国の姿勢というのが見えてくるのかなと思いますので、この文言の記載に対する取扱いを、まず提案させていただきます。
 

小針部会長
ありがとうございます。
今の点に関連してでもいいですし、酪農パートのところでほかに御意見ある方、挙手でお願いいたします。
里井委員お願いいたします。
 

里井委員
ありがとうございます。
これも少し聞こえ的にどうかなぐらいの話かなと思ったんですが、今後国の方々、皆様といろいろ連動しながらサポートをしていただく中で、全てにおいてきめ細やかな対応を皆さんが希望されている背景で、あまり数値的なことを決めつけるのはどうなのか、という意見です。例えば、P.12の35行目「10年に一度の周期でやってくる酪農の経営危機に速やかに・・・」の記載について、この「10年」という数字の根拠は、もちろん全文を読んでいたり、酪農全てにおいて言える共通の感覚ではあるのかなと思ったんですが、経営危機に関して、生産者の方が様々な思いをお持ちであったり、突発的に何かあるかもしれないという背景の下で、「10年に一度の周期でやってくる酪農の経営危機」とここまで断定しない方がいいのかなという印象を受けました。もちろん、特定の事例の抜粋なのかなという気はしたんですが「10年に一度」と、ここまで言わなくてもいいのかなという気が少しした次第です。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
今の2点の書きぶりについて、御回答いただいてもいいですか。

 
須永牛乳乳製品課長
牛乳課長です。
個別の書きぶりについて、御趣旨承知しました。これは、良い・悪いというよりも、いろいろ御意見いただく中で、より伝わりやすい表現などをまた考えてくということかなと思っています。

 
小針部会長
例えばこれは、なぜ10年なのかみたいな、書きぶりの裏には背景があって、そう記載しているということだと思いますので、よろしくお願いします。
今、里井委員からの御意見にあった文言的なところもそうですがが、全体的にここで伝えたいメッセージ、どのような表現、書きぶりにしていくのかというのは、今後きちんと詰めていく必要があるかなと、私も今の段階で骨子案を読みながら感じるところはあります。恐らく一方で、今の段階ではあまりそういうところを言葉で隠さずに、はっきりこういうことを言いたいんだよと、中身を伝えていく方が、あ、こういう方向で行きたいんだねということが共有されて、最後どうまとめていくのかきちんと議論が出来ると思います。なので、むしろ書きぶりも含めて委員の皆さんから御意見を頂いて、それらも踏まえて直していくという形がいいのではないかなと思っております。以上です。
石田委員お願いいたします。

 
石田委員
神奈川県で酪農をしております石田です。資料の御説明ありがとうございます。
P.12の32行目のところで「生産者が総合的な経営力を高めるため、自らの経営を分析し、改善を図る取組を推進する」と書いてございますが、まさに個々の経営者が、農家から酪農経営者にレベルアップしていくということが、やはり自助の面からも必要になっていると、私自身も痛感しております。
以前の審議会でも御提案しましたが、特に牛群検定などに入っている繁殖成績については、かなり経営の内容を立体的に把握できる良質な情報となっておりますので、そういった情報の活用を推進するような情報発信をお願いしたいと思っております。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに委員の方で御意見ある方いらっしゃいますか。
ありがとうございます。
石田委員のおっしゃっていたことはとても重要だと思っていて、やはり専門家の御意見というのは本当に貴重なので、小椋委員であったり石田委員から、またお気づきの点があれば、どういうポイントで、こういう点を盛り込んでほしいなど、御意見もしくは事務局の方に御連絡を頂ければと思います。よろしくお願いいたします。
新井室長、お願いします。
 

新井畜産総合推進室長
事務局です。本日欠席の松田委員から、酪農関係で意見いただいておりますので申し上げます。
前回の構成案に続き、1か月弱の短期間でまとめられた骨子案について、生産者の皆様に意欲を持って経営を持続していただきたいという思いから、大きく3点意見などを申し上げたいと思います。
1点目は酪農部分について。現行基本方針と今回の骨子案をそれぞれ一読した際の印象の比較です。基本方針策定時の需給事情などの違いを反映しているせいかもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、現行基本方針には総じて前向きな表現が多いのに対して、今回の骨子案には相対的にネガティブな表現が多く、記載されている目標数量の方向性とは裏腹に、生産者の皆様に前向きな気持ちが湧いてこないのではないかと感じます。例えば現行基本方針の対応方向を見ると、チーズは8割を輸入するなどチャンスロスが生じています。国内需要を可能な限り国産生乳により賄うため、都府県酪農の生産基盤の回復と北海道酪農の持続的成長、全国の酪農経営の持続的な経営展開が最重要課題であるなど、今回の骨子案と比較すると非常に簡潔で前向きに感じられます。次期基本方針として記載内容を簡潔にするなどの工夫を期待するところです。
2点目は、生乳の需給事情の変化と対応方向に関する記載内容です。基本的には、現行の需要の長期見通しがそうであるように、主力の飲用向けから始めて、次に乳製品の中で需要の大きいものから順に記載していくのが基本的な流れではないかと考えます。
これに対して骨子案は、チーズから始まっているだけではなく、チーズに関するネガティブな記載の比重が大きく、ややバランスを欠いているように感じられます。また経営の安定のためには価格が重要であることは理解できますが、現行基本方針にはほとんど記載のない価格に関する記載が非常に多い点も違和感のあるところです。
なお「国産に優位性がありチーズの中でも比較的乳価の高いソフトチーズ」という表現や類似の表現が出てきますが、品質保持期限等の観点から相対的に競争力を有するソフト系チーズ等のような表現の方が適切ではないかと考えます。
その他違和感のある幾つかの表現についてということで3点いただいております。
P.5の5行目です。「輸入品と競合しやすいプロセスチーズに一定量を仕向けることも必要である。現在のTPP対策は、これらの観点に応え得るものとなっている」との記載がありますが、これは現行の関税割当を前提とした評価であって、関税割当が持続不可能となった際にも「応え得るものとなっている」という評価には疑問を感じます。先を見通したもう少し工夫した表現が必要ではないかと考えるところです。
次にP.11の9行目です。「国による支援の規模には限りがあるが」中略「酪農においては、乳価の形成が最も重要である」との記載がありますが、生産者団体の要請を打ち消すための記載であるように感じられます。国が基本方針にあえて記載する必要はないと感じたところです。
次、同じくP.11の28行目です。「生乳1キロ当たりの収支を最大化」などの表現がしばしば見られますが、やや違和感があります。多くの生産者にとって基本乳価は同一水準であることを踏まえれば、従来とおり「生産コストの削減」などの表現の方が適切ではないかと感じます。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございます。
事務局から回答をお願いします。牛乳課長お願いします。
 

須永牛乳乳製品課長
幾つかは御意見として承ってよろしいのかなと思っていますが、1点どうしても、団体と我々との間でもう少し意見のやり取りを、我々の方は求めているんですけど、なかなかお話を聞いてもらえていないのかなと思う箇所があります。
一つはチーズについて。この御主張は価格を下げてほしいというように、我々からすると聞こえてしまうのですが、そうであるのかないのか。この場にもいらっしゃっていないのでその辺りがよく分かりませんが、生産者にとっては乳価が大切だというお話と、この乳業側のお声はどういうふうにかみ合っているのか。この辺りについては、我々も何度となく乳業の方にはお話をしているんですが、そこに対してお答えがないというふうに思っています。
それからTPP対策についてです。現在、抱き合わせという形で公共措置がありますが、為替の影響もあって、この効果はコロナ直前ぐらいに一度消えております。それでも我々はこのTPP対策の中で一定程度支える効果があったものだと理解をしていますし、引き続き支えられるように、この内容面の工夫も重ねております。その辺の評価が抜けた上で、一方的に御意見を申されているというところもあります。この辺についても説明をして御理解はいただいていたはずですが、こういう御意見になっているということもありますので、ぜひその辺のお考えをお聞きしたいなと思っています。
最後生乳1キロ当たりの収支の話があります。一定の乳価でという話はありますが、牛1頭当たりどれぐらいの乳量を目指すのか、そのためにどれぐらいの餌を与え、コストをかけるのか、これも経営選択の話になります。さらには、乳質をどういうふうに狙うのか。単純に牛を飼っていれば同じ乳代が得られるというものではないということも、ございますので、この辺もまた認識を合わせていく必要があるのかなと思いました。
以上です。
 

小針部会長
ありがとうございます。
本日はご欠席のため、そこも含めて調整が必要だと思いますので、よろしくお願いします。
私からコメントさせていただきます。先ほどの話で、この現行基本方針と比較しての印象の部分や前向き感をどう出すかというところについては、繰り返しになりますが、この間の変化と今の状況というところの中で、どんなメッセージを出せるのか、もちろん誰も悲観的になりたいわけではなくて、どのように記載し、お伝えできるかということを考えていくかだと思うので、そういう形で進めていければと思っております。ありがとうございます。
羽田委員お願いします。

 
羽田委員
全体にかかってきてしまう話かもしれないんですが、農家さんの規模拡大はあまり意味がないみたいな記載があったように思います。それで、見合った規模でやっていきましょうねという記載が幾つか見受けられますが、それはそうだなとは思います。そういうデータが出ているということだと思うので。しかし、結局そこから何を表したいのかなというところがよく分かりませんでした。農家さんがやめないように、減少しないように、みんなで生産規模に合った経営をすればいいというメッセージを示したいのかどうか、そしてそこまで書くのか書かないのかどうなのかなと思いました。

 
小針部会長
牛乳乳製品課長お願いします。
 

須永牛乳乳製品課長
戸数の問題はすごく重たい問題だと思っています。ただ、戸数というのは、個々の経営者が高齢であったり、いろいろ諸事情があって、やめる、やめないという最後の御判断されるところだと思っていますので、ここをあまり強くコントロールしたりメッセージで出し切るというのは、やはり我々として無責任になるのかなと思っているところではあります。
一方で、規模の話をしているのは、やはり人や土地といった経営資源に見合った経営規模を選択することが、より経営として安定をする。経営として安定をすることが、その個々の経営体がより長く経営を続けていただけるという方向でお支えできる、そういう思いがあると思っています。

 
小針部会長
そのようなことを、今後もう少し明確にメッセージを記載していくということでよろしいんでしょうか。私自身はそういう形かなと思っています。全体のイメージで、マクロの状況でいうと、この需給環境の中で結局、緩和をしていて、価格は下がる一方なので、需給環境を引き締めるためにも、需要に見合った生産が必要ということがマクロの面ではあります。
一方、その下でミクロの経営、つまり供給側として何をするべきなのかと言えば、それぞれの経営が自分たちの持ち得る資源の中で、より効率的な経営をどう目指していくのかということがセットだと思います。そして、ミクロの要素として、今の状況の中で一番重要になっている飼料生産をどうするのか、という流れがあり、その先にP.16の4関連事項のところにある担い手の確保や経営の問題があるのかと思います。そして、それらと環境との問題という形で全体が結びつき、この酪肉近というのが形成されていければいいなと考えています。
ありがとうございます。
ほかに御意見、よろしいですかね。ありがとうございます。
そうしましたら、酪農のパートは一旦以上といたします。
次に2番目の牛肉の需給事情の変化の対応方向と、肉用牛経営のところについての御意見ある方は挙手にてお願いいたします。
丸橋委員お願いいたします。

 

丸橋委員
まずは、今回の会合のために短期間で5つの基本方針について骨子案をまとめていただいた事務局に感謝いたします。
次に、酪肉近の骨子案に関しまして、最終案に向けてお願いをしていきたいと思います。
酪肉近は、その名称のとおり酪農及び肉用牛の生産の近代化をテーマにしておりまして、生産中心の検討にならざるを得ないことは承知しておりますが、供給と需給、生産者と消費者を結ぶ加工・流通が抱える課題についても触れていただけないかというお願いです。
それと、これまでの検討では、全国的な処理施設の老朽化や稼働率が低いことも課題とされていましたが、加工・流通分野においても、技術者不足は課題でございます。
また、原皮の需要が中長期的な課題であることも改めてお話ししておきます。
さらに、アニマルウェルフェアにつきまして、生産現場での課題のほか、生きた家畜の輸送も関連しております。輸出振興上も今後の課題になると考えておりますので、そのあたりもご検討よろしくお願いします。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見ある委員の方いらっしゃいましたら、挙手にてお願いいたします。
小山委員お願いします。

 
小山委員
宮城県で繁殖経営をしております小山と申します。
P.13の29行目の経営安定について。文章的にはまさにこのとおりだと思います。ただ、文章がすごく堅いかなと。実際にこういう状況になって、その状況を乗り越えるために国としては色々行ってきたということを、もう少し柔らかい言葉にしたら頭にすっと入りやすいのかなと、個人的に思いました。
あと、スマート農業を進めていかないと担い手が育っていかないという中で、少し議論から外れるかもしれないんですが、田舎の方では農地に行くと電波が通らず、スマホが使えません。それを理由に、私は農業はしたくないんだという方が何人もいるんですよ。こちらについても一応、意見として付け加えさせていただきます。

 
小針部会長
御意見ありがとうございます。
ほかに御意見ある方ありましたら挙手にてお願いします。
では、事務局より代読お願いいたします。
 

新井畜産総合推進室長
大山委員から1点意見を頂いております。飼料に関することとなっていますが、中身は食肉に関することです。読み上げます。
次に飼料に関することですが、飼料の利用性を改善していくことも畜産業の近代化を図る上で中心的なテーマではないでしょうか。昨今の国際情勢の下、国産飼料の増産を喫緊の課題として位置づけることはもちろん賛成です。しかし、同時に飼料利用の効率を上げていく改良面での取組と、その成果の現場への普及も大切だと思います。改良増殖目標ではかなりの紙面を占めていますが、この点に関する明確な言及が酪肉近にあってもいいのではないでしょうか。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
まず一旦、今のところまでで事務局より御回答をお願いいたします。企画課長お願いします。
 

廣岡企画課長
企画課長でございます。
小山委員からスマホの電波のお話、前の審議会で畠中委員の方からもおおむね同じ質問がありました。なかなか答えづらいですが、畠中委員からもお話があった後に、スマート農業の各省連絡会議というのがありました。その場で農水省の私どもの課からも、スマート機器を動かそうと思っても電波が届かない地域があるので、できるだけ地方、山間部とかそういったところにも電波を届かせるような施策をしていただくようにと、なかなか難しいところもありますが、お願いをしております。
この酪肉近自体にそこを書き込むことは難しいかもしれませんが、引き続きそういう機会があれば、お願いしていきたいと思っています。

 
小針部会長
ありがとうございます。
私から1点、肉用牛のP.13の生産基盤のところは、基本、生産基盤イコール繁殖経営についての書きぶりという理解でいいのでしょうか。肉用牛の生産基盤という形になると、肥育経営のことも入るかなと思うんですが。この(2)の経営安定のところには肥育経営の話が入るんですけど、この生産基盤のところに肥育経営についての記述がないなと思いました。それは状況の変化があまりないからという理由で入っていないということなのか。少しそこは確認をさせていただきたいなと思いますが、食肉鶏卵課長いかがでしょうか。すみません企画課長でも。
 

木下畜産局総務課長
総務課の方からお答えいたします。
生産基盤といったときに、まず牛がいるかどうかということになります。その牛がいるかどうかというのは、肉用牛の場合、特に和牛とか肉専用種の場合には繁殖雌牛がいることが全ての基本で、そこから生まれた子牛が肥育されていくということになりますので、まずはその繁殖雌牛の頭数がどれだけいるのかという点が基本になるかと思います。
その上で、それを飼うための餌ですね。国内の飼料や輸入飼料を安定的に調達する必要があると思いますけど、国内でどれだけ飼料が作れるのかということと、あとは人の問題ですね。牛を飼養管理する人がどれだけいるのかというところ、さらに様々な施設など、それらがどれだけあるのかというところが重要になってくると思いますので、基本的には肉用牛の関係で生産基盤というと、我々の認識では繁殖経営がまず一番大事ということになります。
一方で、人の面や畜舎の数とか、そういったところでは肉用牛も全く関係がないわけではありませんが、記述としては繁殖経営を中心に記載させていただいております。

 
小針部会長
ありがとうございます。
そういうことで、皆さんもよろしいですか。ありがとうございます。
畜産振興課長お願いいたします。
 

冨澤畜産振興課長
畜産振興課長の冨澤でございます。大山委員の方からお話しありました飼料利用性についてです。肉用牛の飼料利用性の改善というのは、生産コストの低減のために重要だということでございます。この後、説明させていただきます家畜改良増殖目標の中で、肉用牛においては、飼料利用性についての指標化・実用化に向けた検討に取り組むという段階でございますので、酪肉近の中で具体的にそれをどう使うかということについては、今回少し延期せていただきまして、家畜改良増殖目標の中で検討した後、今後は活用していただけるような形を考えていきたいなと思っています。
 

小針部会長
私も大山委員の御意見は、今回入るかどうかというのは別として、一つ論点としては非常に重要なポイントだと思っているので、今後のところでは御検討いただきたいと思います。
石田委員お願いいたします。

 
石田委員
石田です。よろしくお願いします。
私からはP.14のところ、こちらも乳用牛と同じテーマですが、経営安定の取組の方向性についてです。肉用牛の方でもやはり「生産者が自らの経営を分析し、改善に取り組むことができるよう」にということ、それから「経営指導の普及・定着を図る」と記載をされております。
ちょうど先ほどの経営規模についての委員の皆様での御議論の補足にもなりますが、今まで規模拡大されていたところを、今度は適正規模に注目していきましょうと。つまり、私の解釈ではこれまでやはり売上至上だったところを、これからは利益を見ましょうということだと捉えております。
これは恐らく農業に限らず一般の多くの中小企業の課題でもあるとは思うんですが、やはり売上げを上げるというのは分かりやすいので、売上げを上げていこうとする。でもそうすると、それ以外に多くのコストがかかってしまい、売上げは上がったが、お金は意外と残らないというのが経営の悩みどころになると思っています。その利益を見るためには、当然ながら毎月どれだけの利益が残っているのかというのをしっかりと確認、モニタリングする習慣がないと、それは実現しないと思っております。
なので酪農のテーマについても、この肉用牛のテーマについてもそうですが、生産者が自らの経営を分析するためには、生産のモニタリングも大変重要ですが、当たり前のことである会計のところも重要になってきます。ただ、毎月損益計算書をまとめましょうとか、バランスシートがどうなっているか、最低でも月次でまとめましょうとか、そういった習慣はどうしても農業者にはなかなかないので、毎月会計を締める習慣の中で、毎月の売上げ、コストで経常利益がどれぐらい残っているかということを分析できるような指導を酪農でも肉用牛でもお願いしたいなと思いました。

 
小針部会長
ありがとうございます。
今の点について、私の方からもコメントすると、恐らくおっしゃるところはそういうことかと思っていて、このP.14の肉用牛のところにも示されていて、酪農については経営力強化のところで書かれていることと、これから議論する4の(1)の経営能力向上のところに、それぞれつながっていくだろうなと思っています。
今御意見いただいた、会計をしっかり見るというところも含めて、本当にどの畜産経営にも関わることになるので、4の(1)のところにもしっかり書き込んでいただいた上で、それぞれ酪農として見ないといけないのは、この1の(2)のところ、肉用牛は2の(2)のところというように、かぶっていても構わないと思うので、そのポイントをきちんと出して、必要なこと・しっかり言わないといけないことはそのような形で整理を頂くといいのかなと思いますが、事務局の方、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
小椋委員、お願いします。
 

小椋委員
P.14の22行目に短期肥育・早期出荷を推進するという文言があります。これは文言的にはそのとおりで全く問題ないのかなと思いますが、以前もお話したかと思いますが、今はサシの入り具合で格付けが決まっていますし、それによって単価も決まります。
そういう文言はないのかなと思いますが、卸、問屋さんに理解をしていただかないと、早期出荷によって枝肉単価が下がってしまっては本末転倒です。早期出荷を執り進めるというのは当然のことでありますが、それに伴うリスクといいますか、問屋、卸業者の理解醸成もいただきながら、一体となって取り組まないと、逆に枝肉が下がってしまっては所得が目減りしていきますので、そういった文言が見当たらないので、発言をさせていただきました。その辺りの見解を伺いたいと思います。
 

小針部会長
食肉鶏卵課長お願いします。
 

伊藤食肉鶏卵課長
早期出荷についてですが、流通のところでの評価が定まっていないと思っております。そういう意味では、消費者に販売するためのつなぎ役である流通事業者の理解醸成が確かに必要だという御指摘については、そのとおりだと思います。
資料のP.14の23行目から25行目にかけて、収益性や安定した品質の確保は重要なので、科学的根拠に基づいたデータを基に生産・流通関係者の認知度向上、理解醸成を図っていくとしておりまして、まずは早期出荷に取り組んでいるものについて食味の分析などをきちんと行って、この流通事業者の理解醸成に努めていきたいと思っております。しっかり御意見を受け止めさせいただきたいと思います。

 
小針部会長
ありがとうございます。
一旦これで肉用牛のところを締めて、飼料生産のパートに入りたいと思います。
御意見ある方は挙手にてお願いいたします。
まず、畠中委員からお願いします。
 

畠中委員
畠中です。
まず、質問というわけではないですが、現行の酪肉近の基本方針を見たところ、飼料米について非常に大きな項目で書かれていまして、今回の骨子案を見る限り、私が気がつく限りにおいては一回も飼料米という単語は出ていないのではないかと思います。
これは、私もこの畜産部会に何回も出させていただいたり、ほかの委員会にも参加している関係上、恐らく書きづらかったのかなと、少し裏側では思っていて、丸めて国産飼料というような言い方をしているので、そこでお茶を濁しているのかなと思っているんですが。多分、先日もここで言ったかと思いますけど、財務省の方から今後、水活では飼料米に対する補助金は出ない方針が出たので、そういうこともあってのことかなと推測しています。
ただやはり、私は特に養鶏ですし、今回の酪肉近は牛のことなので鶏ほど影響はないのかもしれないですが、ただ前回の酪肉近で項目にまでされていた飼料米についての記述が全くない。名前に限ってと言えばそうなんですが、あまり踏み込まれないというのは、先日も申し上げましたが、畜産クラスター事業などを活用して、地元では循環型、骨子案の関連事項の(6)に資源循環型畜産の推進というのが出てきますが、飼料米を作ってもらって、それを鶏や家畜に食べさせて、またその堆肥を田んぼに戻すような取組が、やっとうまくいきかけているところで、はしごを外すようなことにならないかと思って非常に心配しています。
せっかく作り上げた仕組みなんだから、少なくとも農林水産省の方ではしごを外すような書きぶりにならないようにしていただけないか。特に今のように輸入穀物が高騰、高止まりしていて、恐らく今後それほど下がらない状況がずっと続くと思うんですが、そのような中でやはり飼料の確保は食料安保的にも非常に大きな問題なので、やはりそこはくれぐれもはしごを外すような書きぶりにならないようにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 

小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見ある方、お願いします。
小椋委員お願いします。
 

小椋委員
今の意見と全く同じになりますが、国産飼料の増産というのは文言的にうたっています。今後、国産飼料を増産し、飼料を供給しつつもコストを下げていくことは当然ですが、そこに青刈りとうもろこしの耕畜連携についても進めていかなければならないと思います。
そこで、今の御意見のように、飼料用米や子実コーンをこれまで国が推奨してきたわけです。これは水活の絡みもありますし、令和9年から水活の見直し等々があるという大臣の発言もあって、飼料用米という文言が消えてしまったのかなと思いますが、私たちには全く理解できませんし、これだけ飼料用米、子実コーンの生産、利用が定着してきたわけですから、割合は減ったとしても、やはり文言的には入れるべきだと思います。青刈りとうもろこしの拡充は、これはこれでよろしいかと思いますが、そういう一体となって飼料生産に取り組むこの姿勢、それと文言、これは農林水産省としてきちんと明記をしながら、全国の生産者にメッセージを出すべきだと思いますし、逆に出さなければいけないと私は思います。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
石田委員、御発言お願いします。
 

石田委員
度々すみません。私も畠中委員と小椋委員の意見に全く同意でございまして、やはり別の観点から言いますと、このWCSであったり、飼料用米の文言がなくなっているのは、私個人としても大変失望しております。
私としては何を危惧しているかというと、青刈りとうもろこしは非常に良い飼料です。それは生産、利用している人間として、全く同意なんですが、やはり青刈りとうもろこし一本足になってしまうと、それはそれでリスクもあるのかなと思います。
これはエネルギー政策とも似ているのかなと思うんですが、やはり適切なポートフォリオといいますか、青刈りとうもろこし、WCS、イネ科の牧草、マメ科の牧草といったようなバランスが、国産自給飼料を拡大し、さらに持続可能に利用していくためには重要なのかなと思います。病気の蔓延でしたり、あと作業体系としても青刈りとうもろこしの収穫時期はものすごい業務量になり、年間で繁忙期と閑散期の業務量の差が大きいと通年雇用も難しくなります。例えば青刈りとうもろこしとWCSは刈り取り時期が分散していますので、そういった意味でもバランスを持って取り組んでいくことが持続可能性に、この労働力確保の面でも重要なのかなと思っておりますので、その点はぜひ検討していただきたいなと思っております。
それと、資料4のP.15の飼料生産を地域計画の中でも位置づけるというように書いていただけたことは、私としても大変ありがたいと思っております。ちょうど先日、私も地元の市の農業委員会の方で農地を探していたんですが、畜産の自給飼料については、0.5反や1反では話にならないんですね。どうしても最低でも2反、3反は欲しいというところで、やはり地域計画の中で、ほかの作物との組合せですが、ある一定程度の面積は飼料作物の場合は確保しないと、結局生産性が悪くて作りにくく普及しないと思いますので、そのあたりも踏まえて地域計画に位置づけていただけたらなと思っております。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
前田委員お願いします。

 
前田委員
皆さんのおっしゃったことと、私が今日言おうと思って準備したことがほぼかぶっておりますので、重複するところも多いかと思いますが、私はこの会議で子実とうもろこしのことを学び、聞き、もう今年で3年目になりますかね、平地で20ヘクタール、阿蘇で10ヘクタール作っております。今ここではしごを外されるのかなと本当に心配しております。
また、飼料米も年間1,000トン使っておりまして、今年の契約は大変苦労いたしました。面積が10%ほど減少しましたが、それも一生懸命価格交渉に耐えて、値上げして獲得した飼料米であります。また、皆様がおっしゃったとおり、これから5年先、10年先を見据えたこの酪肉近が、本当に青刈りとうもろこし一択で耐え得るのか大変心配しております。
全国の地域の中で5年後に、ここは肥育が盛んであるとか、酪農が盛んである、あるいは鶏が盛んであるなど、5年後どういう地域になっているか誰にも分からない中で、青刈りとうもろこし一択では、現実的に耐え得るのか。やはり飼料作物を作ったらそれを運ばないといけないですし、その地域のニーズの中で、やはり身近にある畜産生産者の必要としているものを作るべきだと思うんですね。
ですから、ここには品目名指しでそれぞれの作物を書いて、それをどう選択するかは、その地域であり、生産者であり、現場であるかと思いますので、その辺りを再考いただきまして記載をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
 

小針部会長
御欠席の方も御意見があるかと思いますので、そちらの読み上げをお願いします。
 

新井畜産総合推進室長
事務局です。飼料の関係について、庄司委員と馬場委員からそれぞれ御意見いただいておりますので読み上げます。
庄司委員は2点ございます。
配合飼料業界に対する関係各位の日頃の御理解、御協力に感謝申し上げます。本日は所用があり参加できず、誠に申し訳ございません。代わって書面にて意見を申し上げます。
これから申し上げることは、これまで発言してきました畜産飼料産業をめぐる各般の課題の中でも特に重要な内容と考えておりますので、農林水産省の政策方針に明確に位置づけて全力で取り組んでいただきますよう改めて強く要請いたします。
1点目です。配合飼料価格安定制度の改革については、昨年の11月13日に開催された畜産部会において意見表明したとおり、農林水産省が公表された「中間的総括」では具体的な解決策とはなっていないため、7割を超える市場シェアを持つ商系の生産者と配合飼料メーカーは今後への不安を強く感じています。
令和7年度以降に異常補塡が発動する事態となった場合、民間の基金積立が十分に確保されるまでの間は、農林水産省による暫定・特例措置の実施をお願いするとともに、食料安全保障の観点から同制度が持続可能となるような改革に向けた関係者による集中的な議論を継続していただきますよう改めてお願いいたします。
2点目です。国産飼料用米については、昨年10月29日に日本飼料工業会会長名で農林水産省の関係局長宛ての要請書を出させていただいたところです。食料安全保障の抜本的な強化が求められる中、配合飼料に関しては、飼料用米が数十万トン単位での供給が見込まれる唯一の国産濃厚飼料原料となっているほか、我が国の風土に適した形での水田活用を通じて国土保全にも重要な役割を果たしています。
これまでの生産・流通・消費関係者による各段階における利用拡大に向けた取組の成果・蓄積にも拘らず、今後供給が大幅に縮小する状況になっており、国産飼料用米の安定供給が将来にわたって確保できるような十分な支援の継続について、政策方針として明らかにした上で着実に実施していただくようお願いいたします。
以上、庄司委員でございます。
続きまして馬場委員でございます。
飼料生産について。濃厚飼料の生産について、「需給事情の変化」では、「濃厚飼料原料をすべて国産で賄うことは難しい」との後ろ向きな表現のみ記載があります。耕畜連携への貢献や省力的な農地利用など、飼料用米や子実用とうもろこしといった濃厚飼料も含めて、飼料生産が果たす役割は多くあり、現場の努力を阻害するようなメッセージとならないよう留意いただきたいと思います。
また、農地確保や労働力不足が課題となる中、耕種農家による生産も含め、省力的な飼料生産を推進することはますます重要です。食料安全保障の確保を柱とする改正基本法を踏まえ、水田政策の見直しにおいて国産飼料生産への支援をしっかりと位置づけ、酪肉近でそうした内容を明記するなど、省内でも農産局などと十分連携いただき、飼料自給率の向上を図っていただきたいと思います。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございます。
まず一旦ここで、事務局の方からお願いします。

 
金澤飼料課長
飼料課、金澤でございます。
前田委員や庄司委員から、足元の飼料用米の調達の話がございました。御案内のとおり、現在、飼料用米に関しましては、水活の交付金を元に生産されているということもありまして、食用米の需給状況の中で、作付が変動しているというところは、ある意味で少し御理解いただかざるを得ないのかなと思っております。一方で、飼料用米に関しましても、多収米、食用米ではない品種への転換というのをこれまでも進めておりまして、それが割合的には足元で増えてきているというのがございますが、どうしても一般品種の分もまだまだございますので、その辺りが少し変動要因になっているということでございます。そこは一方で食料供給の方との兼ね合いかなと思っておりますので、その点は少し御理解いただきたいと思います。
また、各委員から様々な飼料用米や子実コーンをはじめ、しっかり記載を、という御意見がございました。御意見は受け止めて、記載についてはまた調整したいと思いますが、現在、水田政策の見直しという形で、大きな議論が進んできてございます。水田の方に目を向けますと、稲作農家はかなり高齢化も進んでおりますので、これから一気に大幅な減少が見込まれるというような状況でございます。そういう面では、国産飼料でできるだけ餌を作っていくということで、一例として青刈りとうもろこしを掲げさせていただいているところでございます。もちろん適地適作であり、しっかりと地域の実情に合ったものを進めていくということが肝要かと思います。その点はそういうことかなと思っております。
そういうことで、固有名詞では書いていないんですが、いわゆる飼料用米も子実コーンも含めて飼料用穀物という形で、P.15の36行目辺りにも書かせていただいております。
あと、青刈りとうもろこしは例示で入れているんですが、もちろん向き、不向き、湿田には向かないなどがあると思っておりますので、その辺りも含めて書きぶりは整理していきたいと思います。
基本計画でも同じような御指摘もいただいているところでございますので、馬場委員からも農産部局とも連携して、という御指摘もございました。まさに米施策と飼料をどうしていくかということは一体のところでもございますので、そちらの議論とも呼応しながら、書きぶりについては検討していきたいと考えております。
それから庄司委員から、配合飼料価格安定制度の改革について御意見ございました。これも一度御説明もさせていただいてございます。今回は中間的総括という形で、今後議論をしていくところはしっかり議論していきたいと思ってございます。御懸念の令和7年度にも異常補塡が発動するような事態になった場合についても、我々も同じ認識は持ってございますが、しっかり対応策について現在関係当局と調整も含めて対応しているところでございます。まずは運用改善をしっかりやって、その実効性を見ながら今後いろいろと御意見をお伺いしていきたいと思ってございます。
以上でございます。

 
小針部会長
前田委員お願いします。
 

前田委員
御検討よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
それと付け加えまして、水活の見直しについて、私はこれに反対ということではなくて、日本全土の全農地の田畑に光を当てるという施策が今後始まるという話も漏れ聞いておりますが、これは日本全国の農土を守る、あるいは地域を守ることについて非常に良いことではないかと思います。バランスのある政策になればと期待しております。よろしくお願いします。

 
小針部会長
飼料課長お願いします。
 

金澤飼料課長
御指摘しっかり受け止めていきたいと思います。
それから、少し抜けていたんですが、石田委員から地域計画について御意見がございました。まさに地域計画については、しっかり地域で話していただくことが肝要かと思っています。現在、年度末に向けて各地域で作っていただいているところでございますが、当然ながら見直しながら、各地域でその土地をどうやって使っていくか、その中でしっかり飼料の方も組み込んでいただけるように全国的に進めてまいりたいと考えてございます。そういったことを酪肉近でも記載していきたいと思っております。

 
小針部会長
ありがとうございます。
小椋委員お願いします。
 

小椋委員
今ほど説明ありましたが、飼料米と子実コーンというのは、やっと定着してきたわけです。作る側も使う側も認知度が増してきまして、やっと軌道に乗ってきた、という表現はよろしくないのかもしれませんけど、認知、認識されてきたわけです。ここで、大幅に方向転換をするべきではありませんし、そこに作る側はついていけないと思います。その辺りも十分考えた上で、今後の文言等々ご検討いただきたいと思います。
以上です。

 
小針部会長
今の点に絡んで私からも少し発言をさせてください。
皆さんから御意見のあったところについて、私も基本的には中身としてはそういうことだろうなと思っています。
この水田のところをどうするのかというところが今非常に難しいのは承知していますが、基本法の食料安全保障の確保、そこで食料自給率の向上には飼料自給率の向上が、その飼料のための農地利用の拡大が必要だよね、ということが全体でも言われている中で、中身が伴わないというのは駄目ですが、しっかりと進めていけるような書きぶりを、畜産で需要があるものに関しては推進していくことをどのように打ち出せるかだと思うので、そこは一つ知恵の出しようかと思います。
その関連で言うと、3番が「飼料生産」という言葉だけでいいのかなと思っています。つまり、先ほど小椋委員から、作る側、使う側が協力しながらその地域で定着しているということも含めて、作るだけではなくて、国産飼料をしっかりと使う形での飼養の在り方など、地域の中での連携をきちんと作っていかなきゃいけないので、その部分をどうしていくのか。言葉で言うと簡単になってしまうのですが、地域で作った飼料がその地域で使われ、循環していくからこそ、そこに価値が生まれて、支援に繋がっていくという流れが、やはり理想だと思います。逆に言うと、今までそういう形で取り組んでいるものをきちんと定着させていくことは重要なんじゃないかなと思っています。
先ほどの石田委員からのお話にあったとおり、国産飼料を上手に使うには、その地域で取れる飼料と購入飼料等々も含めて、どういうバランスでどのようにに給餌させていくのかということについても併せて追求していかなくてはいけないんですが、給餌の仕方もしっかりと考えていきましょうといった記載が全体的に少ないかなという気もしております。私も耕畜連携の取組をしていると、やはり国産飼料がきちんとバランスよく使えることで飼料費の安定にもつながり、経営も安定するという流れができているなと感じますので、少しそのあたりにも目線を配った書きぶりができると、状況が変わって国産飼料をもっと活用していくとなった時に、何に向けて、何をしていくべきなのかというところに繋がっていくのではないかなと思います。そこの点御検討いただければと思いますが、いかがでしょうか。

 
金澤飼料課長
御指摘を受け止めまして議論していきたいと思います。
酪農また肉用牛のところにも、それぞれ、しっかり自給飼料を使っていくという部分は書かせていただいているところでございます。どういう形で全体としてまとめていくのが分かりやすくてしっかりしたものになるかというのは、少し御相談していきたいと思います。

 
小針部会長
総務課長お願いします。

 
木下畜産局総務課長
今、部会長がおっしゃられたタイトルについてですね。「飼料生産」でいいのかという点については、、例えば、「国産飼料の生産・利用」とかも考えられるかと思いますので、また少し検討していきたいと思います。
 

小針部会長
よろしくお願いします。
羽田委員、お願いします。
 

羽田委員
今おっしゃったように、国産飼料の利用拡大というところが、今回主に表明される部分かと思います。やはり「国産」という文言を入れることが必要なのかなと思いましたので、少し申し上げさせていただきました。
今、畜産経営の安定及び資源循環というところで、恐らく国産飼料を生産・利用していくことは大変重要なポイントだと考えております。皆様の御意見からもそのように推察しております。
畜産業を経営されている皆さまが、国産飼料を利用するとおっしゃっている中で、今、国産飼料を作ってもらえないというところが問題だと思います。そこで私も、なぜ国産飼料の利用拡大がされていかないんだろうということを考えているわけなんです。私が言い切っていいのか分かりませんが、それでも国産飼料を作らないということは、そこに衛生面や動機の面で、全くというとあれですけれども、飼料を作ることにきっとメリットがないんだと思います。だから生産が拡大していかないのだと思います。
酪農における流通の流れを考えていくと、飼料を作る方、酪農経営の方、乳業メーカーという流通を経て、最後私たち消費者のところに来るわけです。ですけど、消費者は国産飼料を使っている製品なのかそうでないのか分かりませんし、乳業メーカーも多分国産飼料を使っているのかどうかは区別せずに買っているんではないでしょうか。乳業メーカーがそこの区別をしないということは、つまり、適正な価格で良質な牛乳さえ手に入ればいいという論理なのだと思います。今のところは。しかし、この牛乳は国産飼料を使って作られているものだよ、いいものだよということを分かってもらい、乳業メーカーに買っていただくことが、国産飼料を拡大していく一助になるのではないかと思うわけです。
今まで審議会に出席させていただいて、私も私なりに昔の様々な施策を見ていたりするんですが、現在の施策も含めて、生産者、酪農家、畜産業と、そして飼料生産への支援・対策しか書かれていないわけです。ということは、消費者と国産飼料の利用・拡大のためには、乳業メーカーが国産飼料を使って作られた牛乳の良さを認めて積極的に買ってもらえるような施策をを打っていかなくてはいけないのではないかなと、素人なりに経営の流れやステークホルダーの流れを考えると、そういう意見になるのですが、いかがでしょうか。

 
小針部会長
一旦、今のところに関して委員の方からほかに御意見とかありますか。大丈夫ですか。
飼料課長お願いします

 
金澤飼料課長
うまくお伝えできるかわかりませんが、消費者に伝わらないという御意見ございました。国産飼料につきましては、今議論になっております飼料用米、子実コーン、といったこれは穀物、いわゆる濃厚飼料でございます。一方で、青刈りとうもろこし、牧草を含む粗飼料。粗飼料はまさに酪農、肉用牛の牛の餌という形で使われていきます。
例えば、特に飼料用米や子実コーンにつきましては、どうしてもやはり概ねは輸入穀物に頼らざるを得ない面がございまして、国内での生産量では全く餌の需要量に追いついておりません。これは逆に飼料用米や子実コーン、国産の飼料が特別なので、そこに付加価値をつけて販売している。特に多いのは、やはり卵や豚肉でございますが、牛肉の中でも国産飼料をうたって差別化しているところも出てきているので、そういう取組をしっかりアピールしていくことも重要かなと思います。
特にそういった取組に力入れておられるのは、例えば生協を通した販売です。多分、前田委員はお詳しいのかもしれませんが。生協は、そういう形で売っていただいております。一方で、酪農、乳業の方に関しましては、やはり流通の問題があります。適正な価格で消費者に届けなければならないとなると、国産飼料を使っている牛乳だけを分別管理して流通させていくというのは、やはりかなりのコストがかかりますので、そういう面でなかなかうたいにくいところはございます。ただ一方で、粗飼料の自給率は約8割であり、畜産物の中で最も国産の粗飼料を食べているのは酪農でございますので、極端な話、国産の牛乳・乳製品を消費していただくことが国産飼料の利用・拡大の推進になると私は思っております。物によっては少し整理しにくいのかなとは思いますが。

 
小針部会長
どうぞ。
 

羽田委員
酪農に限って聞きたいんですけど、既に我々はほぼほぼ国産の飼料を食べている牛からの牛乳を消費しているということですか。
 

金澤飼料課長
例えば粗飼料、牧草類ですね。牧草類も輸入の乾牧草とかもございますが、粗飼料の自給率というのは今80%ぐらいございます。酪農家が主に使っておりますので、酪農の飼料自給率というのは高いです。ただ、乳牛も濃厚飼料、配合飼料を食べますし、その部分はどうしても輸入の割合は高くなってしまいます。その部分では輸入の餌も使っておりますが、飼料自給率という観点から見ると、酪農は飼料自給率が高いということになります。
 

羽田委員
現状も飼料自給率は高いけれど、より高みを目指していくというところですよね。

 
金澤飼料課長
今、より上げていこうとなっております。

 
羽田委員
今よりも、さらにだと思うんです。なので、さらに上げていくにはどうするかというところで、今乳業メーカーのコラボ、が──コラボって言っていいのかな──ステークホルダーとして参加がどこにもないので、そこは参加していただけるところなのかなと、私は思いました。
 

金澤飼料課長
なかなかマスの世界で少しできていないというところはあるかもしれませんが、乳業メーカーの方でも、例えば放牧牛乳みたいなところで分別して商品化しているところも、点々ではありますが、ございます。
 

羽田委員
乳業メーカーや流通業も巻き込んでいくことは必要ではありますが、そこってやはり経産省などの担当分野という意識が高いのではないかなと思います。畜産部会には日本乳業協会やイトーヨーカドーの委員もいらっしゃるので、農林水産省としてもその辺に目を向けていただけたらなと思います。なぜ委員に入っているのかというと、やはりそこを巻き込みながら取り組んでいくという理由があるからだと思いますので。
 

小針部会長
牛乳乳製品課長お願いします。

 
須永牛乳乳製品課長
書きぶりは御指摘を踏まえて、いろいろな書き方を考えさせていただきたいと思います。ただ、本日、乳協が来ておらず、欠席裁判みたいになってしまうので、あまり言うのも何かとは思うんですが、乳業としても、先ほどの紙のコメントにあったとおり、酪農生産者をどのように支えるのかという観点で考えを持たれていると思っています。
その中で乳業は、国産生乳の価値を伝えていくのが自分たちの仕事なんだということをよくおっしゃっています。今、需要への圧力がどうしても下方にかかる中で、生乳の場合は、牛乳、脱脂粉乳をよく使うヨーグルト、そしてチーズ、この辺の需要をしっかりと拡大していくような取組を我々も応援したいと思っていますし、今回の中でも需要拡大策としてそこを強くうたっていくということが、全中の馬場専務もおっしゃっていたとおり、一つの目玉といいますか、力点として置かれるべきところだろうとは思っています。
その需要を拡大する中で、国産生乳の価値をどこに見いだして、どういうふうに伝えていくのか。これはやはり乳業、それと生産者、さらには小売りも含めた関係者の皆さんの理解の下で、どこにフロントがあるかをしっかり探っていくということだと思っていますし、酪農の世界は川上が比較的ウエートを多く持っている産業でもありますので、この課題は、どちらかというと、我々農林水産省のマターなのかなというふうに思っています。その点、この今回の基本方針の中でよく書き込みたいなと思っています。
 

小針部会長
私の方から1点いいですか。
今、金澤課長からお話があった合乳しているから差別化できないよねという話だと、パスチャライズ牛乳、放牧牛乳、そうじゃない牛乳という形でしか差別化できなくて、普通に作っているものでも実は国産飼料を使ったりと色々すごく頑張っていますよ、というのがなかなか伝わらないというところがあると思います。それは、実は乳業だけではなくて、生産者団体などの生産者側とのやり取りの中で、こういう地域で、こういう形で国産飼料をこう使う取組をやっているんだよということをきちんと認めてもらう必要があると思います。物としては合乳されているかもしれないけれども、細分化していけば、どこでどのように国産飼料を使っているのかというのを見ることはできます。そこの価値をきちんと評価していただくとか、これからの取組の中で、国産飼料の価値をみんなに知ってもらうことで、それが価値につながり、所得にもつながっていくということが理想になると思います。そういう取組をどのように作っていくのかについては、今後一つの課題になっていくと思うので、そこは本文中に入れ込んでいただければなと思います。
ほかに委員の方から御意見等々あれば。大丈夫ですか。
ありがとうございます。
そうしましたら最後に、3(ローマ数字)の4の関連事項、(1)から(10)まで、結構幅広いですが、御意見をお願いいたします。

 
畠中委員
畠中です。
関連事項の(3)家畜衛生対策の充実・強化のところについてです。ここに書いてあるのは水際対策と国内防疫の徹底、そして獣医療提供体制の整備というこの3点なんですが、これあくまでも発生するまでの話であって、発生後の殺処分とかはもちろんながら、それ以降の経営再建といった生産者側のことはこの項目に限らず、この基本方針の中のどこにも触れていないと思うんですよね。
私は養鶏農家で、鳥インフルエンザが念頭にあるので、どうしてもそこについてものすごく気になってしまいます。牛に関しても、この10年、20年の間に、BSEや口蹄疫など、国内ですごく大きな流行が起きましたし、今年、ランピースキン病が福岡で流行したように、これからももしかしたらまだ国内に入っていないような未知の病気が流行する可能性は十分あるので、私は伝染病の発生後のことが書かれていない点が非常に気にかかっています。
また、先日の畜産部会のときにも何回か言わせてもらいましたが、発生した後の経営再建や業界のサプライチェーンの維持など、業界全体が経営継続できるような支援体制というのを、もう少しこの基本方針の中にも盛り込んでいただけないのかなと思います。盛り込む場合、ほかの項目にはなかなか盛り込みにくいと思いますし、関連事項の下の方には、暑熱対策や自然災害について、長くいろいろと書いてある中で、特定疾病が発生した後の支援体制については一切触れていないというのは、少しメッセージとして寂しいのではないかと思います。
ましてや国内防疫の徹底のところについてはすごく短いと私は思っています。最後のパラグラフには国内での万が一の発生に備え、これこれしますということが書いておりますが、早期の通報や迅速な摘発などを確実に行ってもらうためには、やはり生産者が発生後でも安心して、責任を持って発生報告ができるような体制を作っていただかないと、早期通報などここに書いてあること全部を行うことは難しいのではないでしょうか。生産者にとっては、とても規則が厳しく、何か上からこれせい、あれせいと言われているようなことしか書いていないというイメージになってしまうので、そうではなくて、ましてや鳥インフルエンザなどに関しては、もう本当に2回、3回とどうしても出てしまう。防疫体制を本当に厳しくしていても発生してしまうような病気が入ってくるかもしれないので、そういうときにやはり生産者はもちろん、サプライチェーン全体が生き残れるようなメッセージを書いていただきたいですし、発生した場合の生産者の経営再建支援が速やかに行われるような支援体制の強化などについてもどこかに入れていただきたいと思います。
その書き方が、例えばこの項目の家畜衛生対策の充実・強化だけになってしまうと、ここに書き込みづらいというのであれば、充実・強化及びその後の支援体制というように、とにかく項目名を変えてでも書いていただきたいなと強くお願いします。よろしくお願いします。
 

小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見ある方挙手でお願いいたします。
まず今の点、事務局から御回答をお願いします。
 

大倉動物衛生課家畜防疫対策室長
ありがとうございます。動物衛生課でございます。
水際・国内防疫対策の徹底と書かせていただいておりますが、おっしゃっていただいたとおり、まずは伝染病を起こさないこと・発生前の備えというのが生産者にとっても何よりも重要であると思っております。なので、書きぶりとしてはどうしても発生予防という点を重点化して記載しております。ただ、御意見いただいたとおり、いざ出てしまったとき、あるいはいざ出てしまうときに、早期の通報をしていただくためには、その後しっかりと再建に至らないと、なかなか通報をためらってしまうこともございます。
まさしく鳥インフルエンザなど過去の経験も踏まえて、家畜伝染病予防法についても充実させてまいりましたので、書き方については少し工夫させていただきたいと思いますし、早期通報と、それを前提とするような再建のための支援といったところもメッセージが伝えられるような書きぶりを考えさせていただきたいと思います。

 
小針部会長
ほかに委員から御意見ある方いらっしゃいますか。
小椋委員お願いします。

 
小椋委員
P.16の4関連事項の(1)担い手の確保、技術・経営の指導に関して発言させていただきます。やはり酪農・畜産のみに関わらず、各種業種においても、今後、担い手をいかに確保していくかというのは、日本全国共通の大きな悩みだと思います。酪農・畜産における今後の従事者数について書いてありますが、これは統計データ上はそうなのかもしれませんけど、一度その方向に向かってしまったのでは、日本の酪農・畜産業というのは全く成り立たなくなります。これはこれで受け止めて、て、これを改善していくためには、担い手の確保をどうすべきかという具体的な文言を書いていかなければならないと思うわけですね。
省力化の推進や外部支援組織等々については書いてありますが、それだけじゃなくて、やはり基本的には所得が確保できる経営体へと導かなければ、親元就農もそうですし、新規就農者も入ってこないわけです。農家は廃業率が高く、特に、後継者のいる酪農・畜産農家が廃業しています。なぜかというと、今ほどお話ししましたように、所得がないからです。今の生産では所得を得られないため、若い後継者が担い手として参画しないという非常に大きな問題が今ありますので、それを改善するためには、所得が得られる、営農ができる、そういう政策と経営指導を推進していかなければならないと思います。そういう文言を十分組み込んでいただきたいなと思います。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに委員の方から御意見、ありますか。
新井室長お願いします。
 

新井畜産総合推進室長
最後の関連の項目で、馬場委員と大山委員から意見をいただいているため、読み上げさせていただきます。
最初は馬場委員でございます。
経営安定について。持続可能な酪農及び肉用牛生産に向けた取組の経営安定の項目では、適切な飼養管理や内部留保を高めるなどの記載が盛り込まれており、こうした生産現場の取組も重要なことであると考えます。
国においても、情報発信や加工原料乳ナラシのメニュー拡充の検討などについては記載いただいておりますが、率直に申し上げれば、生産資材価格が高騰、高止まりする厳しい状況の中、骨子案の段階では、直面する課題に対応する国の政策が見えづらいという印象です。
産業の未来を担うのは生産者、関連事業者であることは間違いありませんが、本文案に向けては、例えば4関連事項の(9)経営安定対策等の安定的な運用の項目などにおいて、酪農、肉用牛ともに具体的な施策を含めて掘り下げて記載していただき、国としての中小家族経営を含めた生産者の経営安定に万全を期すといったメッセージも盛り込んでいただきたいと思います。
馬場委員は以上でございます。
大山委員でございます。(10)消費者の理解醸成についてです。
消費者に畜産業の意義を理解してもらうことに加え、国産畜産物の価値と魅力を知ってもらうことも重要だと思います。その方策の一つとしては、学校教育への位置づけなど省庁横断的な施策といった幅広い取組を期待します。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございます。
今の委員の御意見に加えて、先ほど小椋委員がおっしゃっていた、4の(1)のところは「担い手の確保、技術・経営の指導」となっているのですが、ポンチ絵の骨子案の全体像の方では「担い手の確保、経営能力の向上」となっています。骨子案本体の方もどちらかというと、「技術・経営の指導」よりも「経営能力の向上」の方がしっくりくるのかなという気がします。
今、小椋委員がおっしゃったのは、経営体として何をしていくべきなのかということが骨子案中にあまり記載がないということでした。、先ほど石田委員等との議論でもあった、全ての経営体がしっかりと経営力を上げていきましょうねという話と、、そのための取組は何かというところがこの4の(1)のところに入ってくると、小椋委員がおっしゃっていた後継者が継ぎたいと思うような経営にするためにはどうすべきなのか、というところとも結びついていくと思うので、そこの観点から、ここの書きぶりを工夫していただければなと思います。
また、P.14の3飼料生産のところとも絡むのですが、(6)の「環境と調和のとれた畜産経営」の1資源型畜産の推進のところで、しっかりと堆肥化させて耕種農家等のほ場に還元させていきましょうねという話と、国産飼料をきちんと作っていきましょうねという話には、畜産糞尿をしっかりと還元させていきましょうということも入れ込んでいかなければいけないと思います。そういう意味でも、P.14の3飼料生産のところを修正できるのであれば、国産飼料の利用・拡大という観点で耕畜連携の部分や堆肥等の活用みたいなことも、4の(6)の1に合わせて記載する方が、今の食料安全保障や基本法における環境と調和のとれた農業経営とも合致するのではないかなと思います。そこのところについても書きぶりの工夫をお願いできればと思っております。
事務局の方からコメント等々あればお願いします。畜産振興課長お願いします。
 

冨澤畜産振興課長
畜産振興課長の冨澤でございます。
小針部会長の方から環境と調和のとれた畜産経営の中の資源循環型畜産の推進ということで、家畜排せつ物の適切な処理や装置、飼料畑、また地域内での耕畜連携という面から国産飼料を利用・拡大していくことが重要との御意見ございました。書きぶりは、飼料生産のところと相談しながら工夫したいと考えております。
 

小針部会長
よろしくお願いいたします。
宮島委員お願いします。
 

宮島委員
ありがとうございます。
どのように提案したらよいか悩んでいたのですが、今の小椋委員のお話につながるんですが、全体的に多くの人を畜産業に呼び込もうとか、畜産業の魅力を発信して分かってもらおうというインパクトをあまり感じません。それは、(1)担い手の確保、技術・経営指導のところで、人が足りていない、しかも今後の従事者数が極めて厳しい状況になるということを挙げているにもかかわらず、みんなで頑張って若い人を取りに行こうよという感じがこの基本方針の中のどこにもない感じがするからです。ここでは、ヘルパー増やしましょうとか書いてありますが、そういうことだけではないんじゃないかと思うんですね。
私の認識では、あらゆる産業が今若い新卒などを採用しようとして全力でやっている中で、畜産業はヘルパーの活用やICT化の推進ぐらいで、この担い手不足を乗り越えられるのだろうかという印象を持ちます。
それで、例えば書き方としては、一つは担い手の確保のところをもう少し、本当に人を採りにいくという事を書く。さらに人を採れない理由というのは多分幾つかあって、先程のスマホの話もありましたが、私は、農業大学校の関係者と話をすることがあるのですが、農業をしようと思って入学し、農業を始めたのに、やはりくじけてしまう人たちがいるんですね。それは、ICT化もそうですし、そこの土地の空気感とか、そこでのものの決定の仕方とかが、世代的なのか、合わないようなことがあって、若い人を本当に確保したいのであれば、業界そのものもある程度変わらなければいけない部分がおそらく、みんなじゃないかもしれませんが、あると思います。そういうところをしっかりと乗り越えて担い手をゲットしに行こうという感じがないんですよね。
何となく今までの延長で工夫していきましょうとか、改善していきましょうとかは経営のところでは書いてありますが、そこをもう少し充実させて書けないのかなと思いました。
あるいは、P.16の担い手の確保の部分ではなくて、P.23なのかもしれません。(10)の消費者の理解醸成について書いてありますが、国民と畜産業の関係は消費と生産だけでよいのかと思います。つまり、私たちは食べて飲む人としてだけでいいんでしょうか。食べる人として意識上げましょうということだけじゃなくて、しっかりと我が物としての畜産業を考え、参入まではしなくても、何かの関心を持ちながら畜産業を業として応援していくような形になるための国民へのアプローチも必要ではないかと思います。
今の(10)だと、消費者としての国民でしかなく、少しパンチに欠けるので、だからあるいはここの書きぶりを変える。消費者としての理解ではなくて、その上の(9)のところの経営安定のところに記載するのか。人を惹きつけるための努力というのは、今様々な手法で様々な業界がやられているので、やり方は色々あると思います。
そういったパーツが全体の中で、この労働力危機にありながらパンチを感じられないなという印象を持っております。
 

小針部会長
ありがとうございます。
時間が押している中で恐縮ですが、石田委員、そういう面では様々消費者との交流や御自身の経営の中での従業員への対応・取組のこととかも含めて、感じていらっしゃるところとかもあるかと思いますので、どういう形での情報発信、畜産業の魅力を伝えるためにこういう取組があるとよいといったコメントもしくは、ヒントになるようなことがあれば御発言をお願いしてもいいですか。
また、若い人を酪農・畜産の産業に呼び込むためには、こんなことがあるといいなと思うことが何かあればコメントいただければと思います。

 
 
石田委員
ありがとうございます。
牧場の酪農場を経営する立場として、金銭的な事業経営以外のところでの存在意義としましては、やはり地域の方々にどう理解していただけるかというところに対して、時間を費やすということは私自身も非常に大切にしております。どうしても酪農の生産現場というのは、生乳をバルクに搾った後、ローリーが出荷してしまえば、消費者と実際交流する機会もなく、売上げが立つというところがあります。生産に集中できるという面ではメリットでもありますが、誰のために毎日朝から晩まで家畜の世話をしているのかという本質のところが忘れがちになります。
やはり、この方々の口の中に入っているというその実感が湧くと、生産者、特に直売をメインでされている生産者の方々は、どのようにして喜んでいただこうかとか、安心・安全な農産物をどうしても届けたいとか、そういった形で農作業なり御商売なりされている方もいらっしゃると思います。自分もそうだったのですが、酪農の場合は、消費者というマインドが、どうしても毎日毎日の作業のルーティンの中では薄れがちですが、実際に子供たちとの交流や消費者の方々の笑顔を通して実感することによって、家族の目しかない中でも、誰かが常に見ているという意識で生産に取り組むことができます。これはその瞬間瞬間では利益は生まないんですが、回り回って病気を未然に防げたりですとか、整理整頓が行き届いてきたりということで、収益の改善につながっているのかなという実感はあります。
乳製品というのは本当に身近な食品ではありながら、実際には、牛が大きくなれば勝手にお乳が出るもんだと思っていた大人の方ともたくさんお話をしてきました。消費者側から見ても、やはりそういった酪農に関する情報が少ないことによって、牛乳本来の、乳製品本来の価値ということに気づけていないというのは、もったいないことだなと思っております。
なので、牛の赤ちゃんが生まれたですとか、牛の温かさですとか、毛並みの柔らかさですとか、そういったことを感じていただくことで、例えば臭いや鳴き声ですとか、道路に少し土が落ちてしまっているですとか、そういったデメリット面があったとしても、どこどこ牧場さんはこういう取組を一生懸命されているからということで、理解をしていただけるきっかけにもなるのかなと思っています。そういった点は、牧場側としても取り組むべきものかなと思っております。
また若い方々にどのように酪農の魅力、畜産の魅力を伝えていくかというところについては、農家1軒1軒の力ではやはり限界があります。メディアの力や漫画、ドラマなどの力を借りて、酪農が取り上げられていくことが必要だと思います。つい先日もNHKで、私の母校の大学を舞台とした畜産のドラマがありましたが、やはりそういったところで畜産の大変さなり、素晴らしさなりということを感じていただけるのではないかなと感じております。

 
小針部会長
ありがとうございます。
企画課長お願いします。
 

廣岡企画課長
企画課でございます。
担い手の確保のところで、皆様方からの大変厳しい意見も含めていただきました。経営力を上げるための取組について等を書き込むという御意見もありましたが、私どもも取組をしておりますので、これは少し検討したいと思います。
さらに言えば、宮島委員から畜産業についての情報発信をもっと行っていくべきという御意見ございました。なかなかパンチのあるものというのは難しいと思いますが、それについても実は取り組んでおりますので、そういったことも含めてこの担い手確保の部分に、どう書けるか考えてみたいと思います。
あとヘルパー制度の利用や機能強化等について簡単に記載しておりますが、今回ここに記載したのは、ヘルパーになってから酪農家になる方、ヘルパーになってから酪農に従事される方というのは、結構着実な道としてありまして、それを推していきたいという思いがございます。ただ、そのあたりがしっかり書かれていないので、書き方を工夫してみたいと思います。
 

小針部会長
ありがとうございました。
一旦酪肉近の議論はここで締めたいと思います。
それでは続きまして事務局より、新たな家畜改良増殖目標や家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針、養豚農業の振興に関する基本方針の骨子案について説明をお願いいたします。
 

冨澤畜産振興課長
それでは資料説明させていただきます。
資料番号5-1と5-2の方を御覧いただければと思います。
5-1の資料が新たな家畜改良増殖目標の骨子案、資料5-2が鶏に関する増殖目標の骨子案ということで、二つに分かれております。資料5-1を開いていただき、骨子案のポイントを整理した1枚紙がございますので、こちらを使って説明させていただきます。
1ページ目でございますが、第12次の家畜改良増殖目標の設定に当たりまして、取り巻く情勢ということで一番上のところにございますが、畜産農家の高齢化や後継者不足の進展という状況がある中で、省力的・効率的な飼養管理の下でも高い生産能力を発揮できる家畜が求められているということ。国産畜産物の国内外での需要を一層拡大するため、国内の多様な消費者ニーズや輸出需要に対応した畜産物生産のための基盤強化を図る必要があるという、この2点を主な課題として定めさせていただきました。
2ページ目を御覧ください。
まず乳用牛についてでございます。
主な方向性のところを説明させていただきますが、まず乳量については、生涯生産性を高めるため、繁殖性の向上等を行いつつ、乳量もバランスよく改良するということでございます。乳成分につきましては、今の無脂乳固形分と脂肪の割合について価値比率の検討がいろいろありますので、そこを反映させた形で対応していくということでございます。
また酪肉近にもありましたが、長命連産性ということで、繁殖性・耐久性に重点を置いて、長命連産性が高い乳牛を作出するということで、疾病抵抗性の評価等も行っていくということを記載させていただきました。
そのほか、暑熱耐性、あと大山委員からお話しがありましたが、乳牛においても飼料利用性の新たな形質の導入などによりまして、日本の飼養環境に適した改良を推進するということ。
そのほか、搾乳ロボットの適合性などを目標の方向性といたしまして、能力の向上に資する取組としてゲノミック評価の信頼性向上とヤングサイアの利用促進、そういった繁殖技術を使って取り組むということと、アニマルウェルフェアの指針に対応した飼養管理やICT技術等を活用した飼養管理の実施ということを進めてまいるということで検討してまいりました。
続きまして3ページ目、肉用牛でございます。
肉用牛の骨子案のポイントということでございますが、主な方向性というところでございます。中段一番上の部分ですが、産肉能力の部分につきましては、オレイン酸等の食味の向上に重点を置いた種畜の選抜・利用の推進ということ。あと繁殖性という面では、分娩間隔の短縮、性成熟を踏まえた初産月齢の適正化等を推進していくということでございます。適正な時期に繁殖を行うということや、大山委員からお話しありましたとおり、飼料利用性について、生産コストの低減の観点から指標化・実用化に向けた検討を推進するということでございます。
能力向上に資する取組といたしましては、乳牛と同じく、ゲノミック評価の利用が1点でございます。また、広域流通される種雄牛については、和牛は国内の遺伝資源になってまいりますので、遺伝的多様性に配慮して、一つに偏らないようにということを進めていくということでございます。
飼養管理の方については、酪肉近にも出ておりましたが、短期肥育・早期出荷の普及に向けた実証に取り組んで、生産現場の定着を推進するということで整理させていただいております。
続きまして4ページの豚についてでございます。豚についても、主な方向性を御覧いただければと思います。
繁殖能力としては1腹当たりの育成頭数の向上がポイントの一つになってまいります。産肉能力につきましては、増体性の向上を図るということと、止め雄として肉質に関係してきますデュロック種においては、ロース芯への脂肪交雑の高い集団の作出・利用を推進して、国産豚肉の食味向上に努めるということになっております。また、体型においては、肢蹄に関する評価指標について、普及に向けたデータの収集・分析、改良現場での活用を推進していくということでございます。
能力向上に関しても、純粋種豚の多様性を維持しながら、能力向上と優良な改良素材の活用を推進することで、国内での改良を推進してまいります。また同様に、アニマルウェルフェアの指針に対応した飼養管理、酪肉近と同様、アニマルウェルフェアの方向性というのはしっかりと取り組んでいくべきところとして整理しております。
続きまして5ページになります。
資料の5-2の鶏の改良でございますが、主な方向性をご覧ください。卵用鶏については、長期にわたって高い産卵性を維持する改良を推進するということ。肉用鶏(ブロイラー)については、生産コストを低減するため飼料要求率と育成率の改良を推進するということになります。国際鶏種(地鶏等)については、特色ある品質を保持しつつ、生産コストの低減についても配慮した形で改良を進めるということでございます。
改良の手法等については、始原生殖細胞という新たな技術を使って、遺伝資源を保存するということと、やはりアニマルウェルフェアということをポイントとしております。
続きまして6ページ、馬でございます。
馬につきましては重種、軽種、乗用馬ということでございまして、重種は肉用やばんえい競馬に用いられるものですが、近交係数の上昇に留意した上で、強健性、増体性や飼料利用性の向上を図るということ。軽種馬、これは競馬に使われるものですが、もちろん競走能力の高いものを選抜していくということ。乗用馬につきましては、温順な性格で、動きが軽快な乗りやすいものとしつつ、競技用は運動性に富み、飛越能力、持久力等に優れたものを選抜・育成していくということで整理させていただいております。
技術的な面では、軽種馬では使えませんが、重種馬、乗用馬については、人工授精・受精卵移植等の技術も使っていくということで進めてまいりたいと考えております。
続きまして7ページになりますが、めん羊・山羊でございます。
めん羊・山羊につきましても、主な方向性として、めん羊については、繁殖能力の面で哺育能力を維持して受胎率の向上を進めるということ。山羊につきましては、繁殖能力の面では受胎率の維持・向上に努めまして、哺育能力等の向上も進めるということになります。山羊の場合、乳量については、乳量と乳成分のバランスに留意して、乳質の向上に努めるということでございます。
我が国において、飼養・生産の少ない畜種でございますので、能力向上に資する取組の中では、近親交配の回避、不良形質の発現防止、こういったところに注意しながら進めるということで整理させていただきました。
かけ足でございますが、新たな家畜改良増殖目標の骨子案のポイントは以上でございます。
続きまして、資料6の家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針を御覧いただければと思います。
こちらについても、後ろに、家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針の骨子案がございますが、1枚目を使ってポイントを説明させていただきたいと思います。
家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針については、必要な状況に応じて定めることになっており、前回は令和元年度に定めてございます。その後の情勢としまして、肥料価格の高騰による肥料の国産化に向けた機運の高まりや、混住化の進展による畜産関連苦情の深刻化、そして、温暖化などの環境負荷に配慮した生産の必要性の高まり、の3点がございます。今回の基本方針ではこれらを踏まえながら設定させていただくということでございます。
従来、中段の基本的な対応方向では、国内肥料資源としての有効活用、エネルギー利用、環境規制への対応ということで3点定めてまいりましたが、先ほどの情勢でありましたとおり、環境関係においても地球温暖化対策ということを新たに定めさせていただきました。新たに設定した部分にはNewと印をつけております。
主な部分ということで説明させていただきますが、最初の国内肥料資源としての有効活用という部分では、新たにみどり認定について記載いたしました。国や地方公共団体は、みどりの食料システム戦略や法律などを活用して、畜産農家にみどり認定のメリットを周知しまして、認定取得を推進するという内容になっております。
また、堆肥の地域内流通では、堆肥の余剰感がある地域においては地方公共団体やJA等と連携して、新規需要の獲得や機動的なマッチング体制を整備するということ。広域流通では、地域内で流通が難しい場合、マッチング範囲を県内から県外へ段階的に拡大して広域連携を進めていくということをUpdateとして追記させていただいております。
2番目のエネルギー利用の部分でございます。バイオマス発電においては、消化液等の利用先が確保でき、施設整備等の維持費を十分に勘案した上で、持続可能と判断される場合は、バイオマス発電については有効な選択肢になるということで整理させていただいていますし、バイオマス発電で生じる消化液については、全量の散布先をあらかじめ確保して、不需要期に備えた貯留スペースを用意するということが重要だということを記載させていただいています。
3番目の環境規制への取組の部分でございます。悪臭対策については、見える化等を活用して効率的な改善を進めるという形でしっかり対応いたします。また、水質汚濁対策として、ばっ気など日々の適切な運転管理やメーカー等にメンテナンスを依頼して定期的に機器の調整を行うということを書かせていただいております。
4番目の地球温暖化対策の方については、J-クレジット制度を活用して推進していくということや、堆肥の高品質化や温室効果ガスの排出削減を同時に得られるメリットなどを農家の方々にも理解いただくということでございますし、消費者の理解醸成ということで、こういった環境に配慮した取組を温室効果ガス削減貢献の見える化などを通じて、消費者の方にもアピールしていくということを記載させていただきました。
以上でございます。

 
小針部会長
企画課長、続けてお願いいたします。

 
廣岡企画課長
資料7を御覧ください。新たな養豚農業の振興に関する基本方針においても骨子案を示しておりますが、1枚目の骨子案の全体像でごく簡単に御説明いたします。
今まで意見を聞く会を2回開催いたしまして、この骨子案をまとめております。1から7までありますが、ポイントとしては、下線を引いてあるところが今回新しく設定したところでございます。特に、2養豚農家の経営の安定の中で、5ポツ目に書いてあります経営診断(ベンチマーキング)等を活用した経営・飼養管理能力の向上についてです。こちらは農場の成績を数値でしっかり把握して、経営改善に取り組んでいくということであり、養豚ではかなり取り組んでいる方はいらっしゃいますが、まだ取り組まれていない方もいらっしゃるので、しっかりと推進・拡大させていこうということを記載しております。
また、4飼養衛生管理の高度化、それから5伝染性疾病の予防の部分についてです。豚ではオールイン・オールアウト方式の導入、あるいは5のところの伝染性疾病の予防が特に重要でございます。これらを今回新しく記載し、まとめていこうと考えております。
また、委員の皆様方から出た御意見を元に、本文案を現在作成しておりますので、またこの審議会で御報告いたします。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございました。
このことについて、委員から何か御意見等がありましたら、簡潔にお願いいたします。
よろしいですか。ありがとうございます。
それでは続きまして、事務局より先日5日に行われた食料・農業・農村政策審議会企画部会について説明をお願いいたします。

 
新井畜産総合推進室長
資料8を御覧くださいす。企画部会の状況の御報告でございますが、手短にいたします。
直近ですと2月5日に企画部会が開催をされたところでございまして、前回の畜産部会でも報告しましたが、食料・農業・農村基本計画の骨子案について、前回に引き続き議論が行われたというところでございます。
本文の中に修正点がハイライトされているので、後ほど御覧いただければと思います。畜産に関係する部分としましては,1ページ目,2ページ目になりますが、本日の議論でも出たとおり、水田政策の見直しに関する記述が追加されているところでございます。
飛んで12ページになりますが、企画部会委員の指摘を踏まえて、酪農ヘルパーに関する記述が追加されています。
また大きく飛んで23ページですが、配合飼料の輸送に関する合理化も記述が追加されております。
また企画部会は、今週ブロック別の意見交換会が行われているところでございます。今後の企画部会において、本文案や数値目標に関する議論が行われる予定となっているところです。
以上でございます。

 
小針部会長
ありがとうございました。
このことについて、委員から何か御意見等ございましたら、簡潔にお願いいたします。
よろしいですか。ありがとうございました。
小椋委員、お願いします。
 

小椋委員
酪肉近の話にまた戻るんですが、P.24でうたっております生乳の生産目標、また乳牛頭数、肉牛頭数について。これについての議論は次回とのことですが、生乳の生産目標の方向性の部分で、26~27行目に「現状の生産量並みの目標とする。長期的な姿については」「現行酪肉近の生産数量目標並みを目指すことを検討」と書かれております。5年後、10年後という2段階的に数字を示すのかなと思いますが、現行水準というのは令和4年度、5年度、6年度並みの生産という認識をしていて、長期的というのは10年後という捉え方なのかなと思っております。
しかし、急激な曲線を描かれても、生産現場では対応はできませんし、日本の人口は少子高齢化によって減っています。一方、世界の人口は逆に右肩上がりで増えておりまして、2030年度では牛乳・乳製品の生産が枯渇するであろうと、こういうデータも出ております。そういう中で、今後公表予定の数字や今お話ししたような現状を農水省としてはどのように捉えているのか、簡潔に説明をお願いしたいと思います。

 
小針部会長
牛乳乳製品課長お願いします。

 
須永牛乳乳製品課長
数字の話は、また次回に向けていろいろと検討していきますが、後半の日本の国内で人口が減っている一方で、世界は右肩で上がっているという御意見については、確かに世界の需給の議論をする中で、今後アジアを中心とした需要が高まっていって生乳が世界的には不足するという報告があるのは承知をしています。
一方でもう一つ、我々としてよく認識しなければいけないのは、世界の主要な輸出生乳の価格と、国産の生乳の価格、この差だと思っています。輸出をするに当たっても、やはりその相手国の生乳の価格帯と国産の生乳価格帯のこの二つの問題をクリアしないと、なかなかうまくいかないものだと思っています。だからこそ比較的付加価値を伝えやすく、足も短い飲用というものが一つの切り口として、最近アジアで少しずつ需要が伸びてきているということだと思います。
需要拡大というのは国内だけでありませんので、この出口というものをよく拡大をしながら、それとともに生産を考えていくということが、向こうしばらくの間は大切だと思っています。
そこの出口がないままでいきなり生産を増やしてしまうと、どうしても価格が急激に落ちてしまうということも懸念材料でもありますので、この辺のバランスをどう表現をしていくのかについては検討する必要があるのかなと思います。
 

小針部会長
ありがとうございます。
小椋委員、お願いします。
 

小椋委員
需要と供給のバランスは、今、課長のおっしゃるとおりだと思っていますし、私もそういう認識はしておりますが、需要ですね。需要はコロナ禍以前と比べてかなり改善してきておりますし、国の協力によって脱粉の飼料向け対策も事業として実施されております。
それとは別に、従来、脱脂粉乳が消費されるであろう状況に、今かなり改善してきていると思うんですね。その辺は、農水省の方も十分データとして組み入れていると思いますが、それらを勘案した中で、やはり5年後、10年後の数字というのは出していかなければならないと思います。先ほどお話ししたように、現実、急激な曲線には対応はできませんし、国の方針・指標としても、急激に上げたり下げたりするものは出すべきじゃないと思いますので、その辺を十分踏まえた上で数字を出していただきたいと思います。以上です。

 
小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
 

須永牛乳乳製品課長
やはり今後の需要見通しが我々としてどのように推計できているかとか、そこも数字を目の前に置きながら議論をしていくということかと思います。
例えば、こういう数字になりそうだと我々は見ているが、もう少しここは上がるんじゃないかとか、そういう議論を踏まえつつということと、酪農が生産を変えていくのに3から5年の時間がかかると、これは当然の話だと思います。また、これは全体に通じる話ですが、一度目標を定めたら5年間何もしないということではないということは、この議論の場でも何度か出たお話であると思っています。
やはり需要がしっかりと確保される姿をまずは作っていき、そこを目掛けて生産をどういう順番で考えていくのか。それをやはりこの中で明らかにしていくということが必要だろうと思いますので、また数字を目の前に置きながら議論をさせていただければと思います。
 

小針部会長
小椋委員よろしいですか。ありがとうございました。
本日も長時間にわたり熱心に御審議いただきましてありがとうございました。
次回は本文案の議論となってまいりますので、今日の議論も踏まえ、引き続きそれぞれのお立場から御意見を頂ければと思います。
最後に事務局から何かございましたらお願いします。

 
新井畜産総合推進室長
本日も長時間の御審議いただきましてありがとうございました。
次回の畜産部会、3月中旬頃で開催を予定しております。本日の御議論、御意見も踏まえまして本文案をお示しいたしますので、また御議論を頂ければと思っております。詳細な日程は、また事務局の方から連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
以上です。

 
小針部会長
ありがとうございました。
今日は少し時間配分が悪く、長引いてしまい申し訳ありませんでした。
それでは、畜産部会はこれで終了いたします。ありがとうございました。


午後5時17分閉会

お問合せ先

畜産局総務課畜産総合推進室

担当者:請川、松山、細川
代表:03-3502-8111(内線4888)
ダイヤルイン:03-6744-0568

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