令和6年度第11回畜産部会議事録
1. 日時及び場所
日時:令和7年3月17日(月曜日) 13時30分~16時17分
会場:農林水産省第2特別会議室(web併催)
2. 議事
午後1時30分開会
新井畜産総合推進室長それでは、定刻になりましたので、ただいまより令和6年度第11回食料・農業・農村政策審議会畜産部会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、御出席をいただきまして大変ありがとうございます。
それでは、小針部会長に議事をお進めいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
小針部会長
部会長の小針でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
まず始めに、松本畜産局長から御挨拶をお願いいたします。
松本畜産局長
皆さんこんにちは。畜産局長の松本でございます。
令和6年度の第11回目の畜産部会開会に当たりまして、一言御挨拶申し上げます。
委員の皆様におかれましては、日頃より農林水産行政、とりわけ畜産行政に対しまして御理解、また御指導いただいていること、この場を借りまして厚く御礼を申し上げます。また、年度末に向けた何かと慌ただしい時期ではございますが、本日このように御参集いただき、またウェブで御出席いただきます委員の方々に対しまして、改めて御礼申し上げます。
昨年から進めておりました酪肉近・家畜改良増殖目標の議論につきまして、これまで昨年の9月に諮問をいたしまして、議論を重ねてきたところでございます。これまでの皆様の様々な御意見を取り入れながらやってきたところでございます。いよいよ年度末に向けまして、実際の取りまとめの段階に入ってきたところでございます。本日は当方より本文案を御提示させていただくという手はずになっております。
また、先週の金曜日に行われました企画部会におきましても、食料・農業・農村基本計画につきましての本文案をお示しし、いろいろな数値目標につきましても御提示させていただいたところでございます。
酪肉近等につきましてもこのような形で数値をお示ししながら、最終的な議論の段階を考えているところでございます。
最後になりますが、本日も活発な御議論・御意見を頂き、最終局面の取りまとめにおきまして議論が進められますことを祈念いたしまして、冒頭の私からの挨拶とさせていただきます。本日もよろしくお願いいたします。
小針部会長
ありがとうございました。
撮影の方はここで終了となりますので、御退室をお願いします。
(報道退室)
小針部会長
それでは、議事を進めます。
まず、本日の配付資料の確認、委員の出欠状況の報告などについて事務局よりお願いいたします。
新井畜産総合推進室長
本日配付しております資料について、まず確認させていただきます。
会議資料、お手元の端末に資料1から7と、参考資料、全部で8つのシートが表示されているかと思います。これらのシートがタブで開かれていることを御確認いただければと思います。何か不明点がありましたら、遠慮なく近くにいる職員にお問合せいただければと思います。
次に、本日の出席ですが、12名の委員の皆様に出席をいただいております。出席委員のうち、宮島委員、石田委員、井上委員におかれましては、リモートにて参加をいただいているところです。
なお、宮島委員、馬場委員におかれましては、途中退席と伺ってございます。
また、椛木委員、二村委員、川田委員、里井委員、庄司委員、松田委員、丸橋委員におかれましては、御都合により御欠席との連絡を受けております。
審議会に関する規定では、委員及び議事に関係のある臨時委員の3分の1以上の出席がなければ会議を開き議決することができないと定められておりますが、規定数を満たしておりますことを報告いたします。
以上でございます。
小針部会長
ありがとうございました。
本日は、酪肉近をはじめ、家畜改良増殖目標や家畜排せつ物の利用の促進を図るための基本方針、養豚農業の振興に関する基本方針の本文案について議論してまいりたいと思います。本日もできる限り効率的な運営に努めますので、円滑な議事の進行に御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。
新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針の本文案について、総務課長より御説明をお願いいたします。
木下畜産局総務課長
総務課長の木下でございます。
それでは、資料3の中で資料3-2の本文案について御説明させていただきたいと思います。
先月の20日にお示しをいたしました骨子案に頂いた御意見などを踏まえまして、今回の本文案を作成しております。
まず、表紙におきましてサブタイトルを付しています。今回は、生産コストの上昇や人口減少など、これまでの前提が大きく変化している中で、関係者一丸となって対応し、前向きに将来を見通していくための指針としたいという観点から、「変革の時代を切り拓く、酪農と肉用牛生産の新ビジョン」としてはどうかと考えております。
目次の後の1ページ目を御覧ください。まず、前書きを追加いたしました。冒頭に、我が国の畜産業の重要性について記載をしております。農業産出額の約4割を占めており、直近10年間でも約1.4倍になるなど、産業としても成長を続けているということ。酪農及び肉用牛生産は、牧草などの資源を生乳や牛肉という良質なたんぱく質に変えることができる重要な産業であるということ。また、地域の振興や活性化にも貢献している旨を記載しております。
17行目からは、前回の令和2年の策定時には国内外の需要や市場の拡大に応じて、増頭・増産を通じた生産基盤の強化を基本的な方向性としていましたが、世界的な情勢の変化に伴う食料安全保障上のリスクの高まりやコロナを契機とした消費減少と需給ギャップの拡大、資材やエネルギー価格の高騰による生産コストの上昇、我が国の総人口・生産年齢人口の減少といった情勢変化によりまして、前提が大きく変わっている旨を記載しております。
次に、2ページ目にいきまして、5行目からは需要面につきまして、我が国で生産された畜産物はその大宗が国内で消費され、人口減少局面における需要拡大は、容易ではありませんが、生産者が所得を向上させながら安心して生産できるよう需給ギャップを解消し、需要拡大に取り組むことが重要である旨を記載しています。
また、19行目からは新たな基本計画におきまして、情勢変化などを新たに共有しつつ、関係者が一丸となって本基本方針に基づく取組を推進し、生産基盤の維持・強化や経営安定の確保を図ることが重要である旨を記載しております。
さらに、24行目ぐらいからは、我が国の質の高い畜産物を国内外供給していくことで、生産者が誇りを持ちつつ将来に向けた展望を描き、若い世代にも魅力ある畜産業ビジョンとなることを目指すこと、最後に、目標等KPIについて、毎年検証し、進捗管理していくことを記載しています。
次に、3ページの総論部分でございます。食料・農業・農村基本法の改正や、生乳や牛肉の需要に応じた生産の推進といったことを記載しておりまして、4ページの方にいきますと生産コストの低減、生産性の向上、国産飼料の生産・利用拡大を通じた輸入飼料依存度の低減、環境負荷低減の取組について順次記載しております。
5ページの方にいっていただきますと、真ん中ぐらいから生乳の需給事情の変化と対応方向について記載しております。
そこで、6ページの冒頭、1行目からは、新型コロナなどで需要が低迷した際に生産者、乳業、国が需給調整を実施してきたことを記載しております。また、15行から20行目におきまして、畜安法の改正後の現状分析というのを記載したところでございます。
続きまして、7ページを御覧ください。
9行目から今後の需要について、趨勢では飲用需要が10万トン以上低下して、生産者の所得を減らさずに生産量を維持するためには、十分な需要量を確保していく必要があり、この数年間と同じく4~5万トンの脱脂粉乳の在庫削減対策か需要の拡大が不可欠であるということを記載しております。
8ページを御覧ください。
13行目におきまして、目標数量については、次期計画策定までの間、毎年、需要拡大の取組の成果を含む需給状況を踏まえまして、その目標達成の可能性や、それ以上の生産拡大の必要性を検証していくことや、21行目からは生乳取引につきまして、契約遵守を含めた年間安定取引の重要性や各種の法令の規律を周知するなどの国の取組を示しつつ、引き続き必要な措置を検討する旨明記しております。
少し飛びまして、11ページを御覧ください。
7行目から、牛肉に対する多様な消費者ニーズへの対応ということで、和牛特有の脂肪交雑の強みは残しつつ、オレイン酸などの食味に関連した形質に着目した改良の推進や、交雑種や乳用種牛肉の需要拡大について記載をしています。
続きまして、14ページの1行目のところですが、乳価の値上げによって生産者の売上が1,200億円以上増加したことなどから、酪農の経営安定には乳価の形成が最も重要であって、その中で国の役割として需給の安定を通じて乳価交渉の環境を整え、円滑な乳価形成を促すことが重要であるということを記載しております。
15ページの7行目には、規模拡大する場合、土地、労働力等の経営資源に見合った規模とすることや、生乳1キログラム当たりの収支を最大化することによりまして、高い収益力を持った酪農家によって地域が支えられるということを記述しております。
17ページを御覧ください。
6行目から、肉用牛の短期肥育について記載をしております。9行目辺りから、自らの経営分析が重要であり、和牛肉の生産量の見通し等の客観的データの情報発信を行うということを記載しております。
30から32行目にかけまして、国産飼料の生産量の拡大は、耕畜連携を含めた畜産農家からの実需がある飼料生産の環境整備が必要であり、飼料の品質の安定化や飼料輸送の効率化による持続的な流通体制の構築も重要である旨、記載しております。
18ページを御覧ください。
前回骨子案で飼料用米や子実とうもろこしという記載がなかったという点につきまして、多くの委員から御意見を頂いたところでございますが、5行目から9行目におきまして、現場の実態を踏まえた上で、これらについて田畑における耕畜連携の在り方等を検討する必要があるという旨を記載しているところでございます。
続きまして、生産数量目標等の数字でございます。前提情報として、国産生乳の需要量の推計について、資料の3-3を用いて一部説明をさせていただきます。
通しのページでいうと47ページになります。資料の3-3「国産生乳の需要量推計等について」という資料でございます。この資料の1ページ目には、令和12年までの趨勢の推計方法を記しております。過去20年間の用途別の消費量を基に、1としまして20年間の傾向線、18年間の傾向線、16年間の傾向線と、順にその期間を小さくしながら複数の傾向線を引きまして、その上で特異な線を除いて消費量が最大となる傾向線と最小となる傾向線を抽出しております。
次の2ページ目から4ページ目、用途別の内訳が載っていますが、説明は省略いたしまして、5ページを御覧ください。まず、消費量の趨勢を御紹介いたします。
用途別の数値を積み上げて、生乳全体の消費量を算出しております。その結果が上の表でございます。上の表の2段目の牛乳等という部分は、令和5年に前年から10万トン減少し、それ以降、令和7年までは390万トン程度を維持するとしていますが、12年には更に10万トン以上減少すると見通しております。
その分は、牛乳の下の段の脱脂粉乳・バターが10万トン以上増えて、補完するということにしておりますが、脱脂粉乳事業の低迷が続く結果として、令和4年、5年と同規模の4~5万トンの在庫が積み上がってしまうので、その分の対策が必要になるというところでございます。
下の線グラフでございますが、こうした用途別の消費量の趨勢を積み上げた令和12年度の生乳全体の消費量の趨勢は、令和5年と同程度となるということをお示ししているところでございます。
7ページを御覧ください。
消費量に対応する令和12年度の生産量については、酪肉近においては地域別にも示すことになっておりまして、過去の地域別の生産量の変動状況を基に、おおむね上下2%ほどの幅で示そうと考えております。
その上で、本文の27ページを御覧ください。
まず、1番の需要の長期見通しの(1)でございますが、牛乳・乳製品の国内消費仕向量の長期見通しにつきましては、関係者が需要の拡大に取り組むことによりまして、令和12年度において生乳換算で1,152万トンと見込んでおります。
(2)の牛肉の国内消費仕向量の長期見通しにつきましては、人口が減少するものの、生産・流通の関係者が一体となって消費者ニーズを踏まえた生産を行うこと等により、国内外の需要が拡大することを前提に、令和12年度において87万トンと見込んでいます。こちらは輸入も含めた全体の需要量の見通しでございます。
次に、2番目の生乳の地域別の需要の長期見通しです。国産生乳の需要といたしまして、令和12年度におきまして飲用向け需要量は令和5年より12万トン減の378万トン程度、その次の乳製品向け需要量は特にバターの需要が飲用向けの減少を補う形で349万トン程度、ただし脱脂粉乳の削減対策、又は需要拡大が前提となります。そのほかに、自家消費などが5万トン程度と見通しておりまして、需要量の合計は732万トンと見通しています。
また、その下に長期的な姿として、更なる需要の拡大を前提に780万トンと見通しているところでございます。
次に、3の生乳の地域別の生産数量の目標でございます。
令和12年度で需要拡大に取り組むことを前提に、地域差は想定されるものの、国全体としては732万トンとしております。その上で、長期的な姿として前回の基本方針の生産数量目標並みの780万トンとしていますが、地域別につきましては、北海道は、令和12年で428万トンから445万トンと、業界による令和7年度の見通しという欄がございますが、そこから年2~4万トン増加する姿としております。
次に、都府県につきましては地域別に並んでいますが、令和12年で288万トンから305万トンということで、それを地域別に割り振っております。この305万トンというのは、業界による令和7年度の生産見通しと同じになります。
次に、29ページを御覧ください。
4の牛肉の生産数量の目標でございますが、令和12年度の牛肉の生産数量の目標につきましては、国内人口が減少傾向にある中で、国内での国産牛肉の消費拡大が定着し、輸出認定施設の増加や中国への輸出解禁等の環境の整備が進むこと等を前提に、国内外の需要に応じた牛肉生産として、部分肉換算で令和12年度に36万トンと設定しております。
また、長期的な姿としまして、更に輸出拡大が進むこと等を前提としまして、現状の生産量をやや上回る水準として37万トンと設定しています。
次に、5の乳牛及び肉用牛の地域別の飼養頭数の目標につきましては、こうした生産数量の目標の達成に向けまして、地域の動向や自給飼料基盤の地域差、生産性の向上等を踏まえて地域別に設定をしています。
30ページの6飼料作物の生産数量の目標は、飼料基盤に立脚した畜産を進めるという観点から、酪肉近では今回初めて設定するものでございます。飼料作物の作付面積については、令和12年度101万ヘクタールを目標としています。
続きまして、31ページからは経営指標でございます。
前回の酪肉近におきましては、積極的に規模拡大を図る経営モデルを含めてお示しをいたしましたが、今回は生産性の向上を図り、所得向上と持続的な経営を実現するモデルをお示ししています。生産性向上のポイントは、一つ目は国産飼料、中でもエネルギーが高く、農耕飼料からの置き換えも可能な青刈りとうもろこしなどの活用。
二つ目は、スマート技術や外部支援組織、放牧の活用による労働時間の削減でございます。酪農につきましては、北海道などの土地条件の制約の小さい地域、都府県などの土地条件の制約の大きい地域に分けて、飼養規模の異なる5つの経営モデルを作成しております。肉用牛については、繁殖経営と肥育・一貫経営に分けて、飼養規模の異なる五つの経営モデルを作成しておりまして、いずれのモデルも家畜改良や飼養管理技術の向上を踏まえて、経営規模に見合った所得を確保する経営指標となっております。
また、次に38ページから40ページにかけましては、集送乳等経費の目標、牛乳・乳製品工場に関する目標、食肉処理施設に関する目標についてお示しをしております。
最後に、41ページを御覧ください。
16行目ですが、生体輸送に関する項目を設けまして、いわゆる2024年問題によって家畜輸送に不可欠なトラックの確保が難しくなるなどの課題解決に向けた取組を推進する旨、記載をしたところでございます。
説明は以上でございます。
小針部会長
ありがとうございました。
それでは、これより酪肉近に関しての審議を行いますが、今回の意見交換では本文案ということで、個別の記載内容について議論を深めていく必要があります。そのため、本文案に基づいて5つのパートに分けて実施したいと思います。
具体的には、まず1番目としてまえがきと第1の1の総論を中心に進めていって、その後、2番目のパーツで酪農関係、生乳の需給、酪農経営、数値目標について、そして集送乳の合理化について議論を行います。3番目には肉用牛関係として牛肉の需給、肉用牛の経営、牛肉関係の目標、肉用牛及び牛肉の流通の合理化に関して。4番目は飼料関係として飼料の自給、生産飼料関連の目標、飼料の製造・流通の合理化に関して議論を行います。最後にその他の個別のテーマとして関連事項について、以上5つのパーツに分けていきたいと思っております。
発言がある方は、それぞれのパーツごとで挙手の上、簡潔に御意見、御質問を頂ければと思います。その際に、欠席の委員の御意見も読み上げる形で議論を進めていきたいと思います。
それでは、まずまえがき及び総論に関して御意見ある方は挙手にてお願いいたします。
馬場委員、お願いします。
馬場委員
よろしくお願いします。
まず、総論ですが、まえがきが新たに書き込まれております。そこで更なる需要拡大や生産基盤の維持強化、経営安定の確保といった、国としてのメッセージを盛り込んでいただき、これまでの意見を踏まえた前向きな書きぶりとなっているのではないかというふうに思い、感謝を申し上げたいと思います。
最後に、まえがきのところにありますが、食料・農業・農村基本計画における関連する目標やKPIのフォローアップによる毎年の検証、進捗管理についても書き込まれていますが、生産者や関係者、国が足並みをそろえて取組を進めるためにも、適時十分な情報提供をお願いしたいところであります。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見等ある方、お願いします。
大山委員、お願いします。
大山委員
神戸大の大山です。よろしくお願いします。
前書きの2ページの最後の部分なんですが、誇りを持ちつつという表現を今回最後から2つ目の段落に入れていただいたということに非常に高く評価したいと思っています。なりわいとしてやる以上、やはり悪いときもどうしても起こるわけで、そのときにやはり先が見えるということと同じくらい誇りが持てるかということが大事なことだと思いますので、こういう表現を入れていただいたということは感謝いたしますし、関係者は今後これをどのように実現していくのかについて、一緒に考える責任があると思います。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
羽田委員、お願いします。
羽田委員
私からは、内容というよりも個別の書きぶりについての意見ですが、それでも大丈夫でしょうか。
小針部会長
はい、お願いします。
羽田委員
まず、一番最初の段落、状況が変化したというところに、労働人口じゃない、生産年齢人口と、あと国内の人口が減っているということの並びを入れなくてもよろしいでしょうか。まず、P.1の21行目の「しかしながら、」のところですね。20行目から列挙していただいているんですけれども、その中に上と下を合わせる意味で、人口問題が入っていないので、下の34行目と合わせるためにも入れられた方がいいかなというところが一つです。
あと、その次の「まず、」という25行目からの段落部分についてです。こちらに需給ギャップが拡大したことによる脱脂粉乳在庫の積み上がりや枝肉価格の下落が発生したことと、ウクライナ情勢等により飼料を始めとする生産資材の高騰したことの2点が記載されているんですが、ここを読み砕いていくと後ろの飼料について、より言いたいのかなと思いましたが、いかがですか。
となると、27行目で「さらに、」とつなげてしまうと意味が通らなくなるというか、最初の「需給ギャップ拡大による脱脂粉乳在庫の積み上がりや枝肉価格の下落が発生した」を受けるオチがないんですね。なので、どちらを言いたいのかと考えると、「さらに、」の後段の方が落ちがあるので、「さらに、」ではなくて「さらには、」の方が後ろが強調されるので、通りがいいかなと思います。
あと、一々で申し訳ないんですが、実は私、企業診断をしたときに報告書を添削するような仕事もしているので、どう伝えたら分かっていただけるかというところを考えてしまうんですね。なので、一々の添削になってしまうかもですが、せっかく40ページ以上のものを書いていただいたので、どうしたら読者の皆さんに伝わるかを考えていただきたいなと思っております。
次に、34行目の「また、」のところですが、「比較的若手の割合が多く、意欲ある経営者も多いが、」と、あと「が、」が入って逆説になっておりますが、ここは逆説じゃないですよね。「が、」でつないでしまうと意味が分からない。「とはいえ」とかの表現の方が適切だと思います。
あと、大きなところでいうと18行目、「今回の基本方針では、」が始まるんですが、この「基本方針では、」を受ける述語がないです。23行目に「が重要である。」という述語が終わっていますが、それでは意味が通らないので、もう一考していただければと思います。
あと、最後の段落でですが、私が指導するときには、1文を3行以内にしてくださいと言います。なぜなら、主語・述語が分からなくなってくるんですね、それ以上になってくると。
書き手の方々たちはもう理解していることなので、何度読んでも意味が通るんですよ。でも、読み手である、我々一般人や議論に参加していない方は理解できなくなってしまうので、なるべく3行以内で、主語・述語が対応していることをきちんと確認しながら、もう一度確認していただきたいです。
このパーツについては、私からは以上になります。
小針部会長
ありがとうございます。
すみません、今のところ、私も全く同じことを思っておりましたので、ここのパーツ以外の部分においても同じ観点から修正をお願いしたいなと思いますので、併せて申し上げます。
全体に、先ほどの、まず一文は3行以内といいますか、全部一つに流れてしまっているものがあるので、そこは工夫をしていただきたいという点。
あと、先ほどの「が、」の接続詞のところもそうなんですが、本文案の中に、「一方」が使われているのが25か所検索するとありまして、場合によっては「一方で、」が連続しているところもあって、結局何を言いたいのか少し分からなくなっているので恐らく、「一方」を逆説の意味で使っている時もあれば、北海道ではこうである、その一方、都府県はこうでと、英語でいうthe other handのような意味で使っている時が結構混在をしてしまっています。そこは見直していただきたいなと思います。
また、羽田委員のおっしゃっていた、P.1の25行目の新型コロナウイルスのところで、少し時系列について確認をしたいです。まず新型コロナウイルスの感染症の流行によって消費が落ち込んだことで、需給ギャップが拡大して、その結果、枝肉価格の下落が発生したというのがコロナ禍で起きたことですよという説明がまずあって、それがあった上に、今度はウクライナ情勢等々によって生産資材は上がりましたと。その両方が起きたことで、酪農と肉用牛経営は大きな影響を受けているという理解で良いですか。そこで、現行酪肉近から次期酪肉近の内容が変わった背景というのはこういうことなんだということをすんなり伝えているという認識でよいのかということを確認をできればなと思います。
恐らく、文章の書き方と改行する場所の工夫が必要かなと思います。例えば、この「大きな影響を受けた。」の次の「これまで、」のところで改行をすることで、こういう状況だからこうなんだということをきちんとお伝えする方が、今回はこういう状況の下でやっているということがより分かってくると思うので、この辺り、日本語的にというか、文章としてどう伝わるか、また後で整理いただければと思います。
19行目の「今回の基本方針では、」と「重要である。」が結び付かないという意見は、私も同じように思います。私の理解では「今回の基本方針では、」、「・・・新たに共有しつつ、その変化に適応していく」こととしていくこととしているのかなとも思います。ちょっとここはどこで区切るべきなのかなと思いました。そういうふうに適応していくに当たって、生産者以降で、こういうことが「が重要である。」を受けると意味としては通るかなと思いますが、そういう理解でよいのかどうかというところも確認をしたいのが1点。
2点目が、この「また、」以降のビジョンについて、ここが基本方針のメッセージなのか、どうかが少し分かりませんでした。もしかしたら基本方針としては、この「また、」以降にある、こういうことを目指していて、そのためには情景や課題を共有して、こういうことをやっていかなきゃいけないんですねという方が、今までの議論の中では流れとしてはしっくりくるかなという感じもしていますが、少しそこは認識を合わせた方がいいのかなと思っています。
最後の目標・KPIの政策の検証のところについては、またコメントしたいんですが、今までのところで事務局の方から御回答いただければと思います。
木下畜産局総務課長
いろいろ御指摘いただきましてありがとうございます。今言われたこと全てに的確に回答できるというわけでもないんですが、まずこの文章、今、羽田委員から御指摘されたところで、21行目のところのいろんな情勢変化のことが幾つか羅列しているが、そこに人口減少とか労働生産人口の話がないという御意見がありましたが、そこに入れてもいいんですけれども、34ページ目以下で特出しさせていただいているのですが、それでも、もう一回21行目のところにもしっかり記載した方がよいということでございますか。
羽田委員
文章として、分かりやすく上に記載があって、下で対応することを説明していくという形だと思うんですね。労働に関して最初から最後まできちんと問題であるというものが書いていないのに、4の関連事項の1、2とかに記載されているのは、とても唐突感があるんです。なので、どこかで一言でもいいので、人口問題のことを入れておくと、これも課題なんだなというのを認識してもらった上で、後段で説明していく流れが分かりやすいのではないかなと思います。
木下畜産局総務課長
前段のいろんな課題があるところの一つに、まず芽出しをするというようなことですかね。
羽田委員
はい、そうです。その方が分かりやすいと思います。
木下畜産局総務課長
検討させていただきます。
木下畜産局総務課長
それから、その次の25行目の文章で、まず「さらに、」でつながっている前段が需給ギャップの話で、その後段が生産資材・飼料の高騰がありますが、我々としましてはこの二つの事象が問題だと思っています。
もちろん、その後に、「これまで、」以下に書いてある飼料の話で、2番目の飼料を含む生産資材の高騰のところは、それに対する自給飼料生産というのが受けることになるんですが、もう一つの前段の方の需給ギャップについては、国産飼料の生産によってそれに対処できる部分もありますし、それだけでは対処できない需給ギャップそのものの問題である場合もあります。その辺の書き方が若干うまく整合していないところがありますので、その辺についてもこちらでまだ聞き取って、どのようにするのが一番よいのかというのを検討していきたいなと思います。
それから、一つの文が長いというのは我々いつも注意されていますので、そういう視点でまたもう一回見直してみたいなと思います。
それから、主語、述語がうまく対応していないというのは、この手のものには結構よく見られます。その主体がそもそも表題であったり、自明のものは書いていない、あるいはそれを読み手によって少し解釈の幅があったりすると、どうしてもそうせざるを得ないみたいな場合もあるかもしれませんが、できるだけ意に沿うように見直したいなと思っているところでございます。
あと、いろいろと部会長からも御指摘がありましたので、そういった表現の仕方についてはもう一度よく見直した上で、また皆さんに相談したいと思います。
小針部会長
ありがとうございます。
宮島委員から手が挙がっていますので、宮島委員、お願いします。
宮島委員
まず、まえがきのところです。
畜産に関して前向きな話をできるだけ入れてほしいというところには御対応いただいたと思うんですが、やはり人口減少の問題について、もしかしたら事務局の方々は畜産は大丈夫だと思われているんじゃないかという印象を私は持ちます。というのは、今既に委員から御発言があったように、様々な課題を最初に羅列しているところがあるんですが、流通の問題と比べても人口減少の問題というのは気になっていないんだなと受け止めました。
さらにですが、丁寧に見ると、この下に確かに人口減少のことは入れていただいているんですが、書き方として、まず全体の人口減少が進んでいると書いた上で、畜産業は農業の中では若手がいるし、意欲のある人もいると書いているんですね。その後ろに、だけど飼料米とか、ほかの関係のところは人手足りないですよという流れの文章に見えました。つまり、世の中は人口減少かもしれないし、間接的に関係のある人たちの人口は減っているかもしれないが、畜産業本体そのものは農業の中では若いし、やる気のある人も多いので、大丈夫だというふうに私には聞こえてしまうんですね。
今までもずっと議論をしていただいておりましたし、現場の方々の御意見の中にもその担い手の課題は何度も出てきていて、その中で今私が申し上げたように、畜産の生産者そのもの、担い手は問題ないと思われているのであれば全然構わないです。でも、やはり危機感があるのだとしたら、ここの書きぶりは少し安心を伝えてしまう印象を受けました。別に悲観的なことを書く必要はないんですが、現場の危機感をきちんと反映しているのかどうかというのが疑問に思いました。
人口減少の問題はほかの産業や飼料米とかの産業、あるいは需要が足りない分野だけでいいのかという点に関しては、もう一回御検討いただければと思います。
今日途中で早退しますので、先の分野のところもお話しさせていただきたいと思います。
前回の議論で、現場の方から幾つかお話があった飼料用米に関してです。何人かの委員から、青刈りとうもろこし一本足打法は厳しいということ、あるいは国産の飼料用米に関して、せっかく軌道に乗ってきたのだから、このはしごを外さないでほしいというような御意見が前回ありました。こうしたことを受けて、文章の中でも国産の飼料については触れていらっしゃって、今後様々な状況から検討していくということで書かれていますし、私も今までの流れがあるので、検討していくという結論でよいと思います。
一方で、国産の飼料用米の生産を今の形のまま拡大するのがよいかということになりますと、そもそも国民全体から見ると、誘導も含め、飼料用米を作る方への補助金が過剰だったのではないかという問題意識の下に、一部方向転換が図られている部分があるのだと思います。一般の人から見ても、飼料用米ってこんなに高いお金を費やして作っているんだという、驚くべき負担と捉えられる可能性もあると思います。ですので、そこもきちんと視野に入れた上での今後の検討をお願いします。はしごを外したり、一本足打法になったりするのもよくないとは思いますが、飼料用米生産における補助金などのしっかりとした検討が必要だと思います。人口減少とつながりますが、人口が減ると財政は苦しくなることが考えられます。そうすると、補助金が基本にあるあらゆる政策に関しては持続可能性がなくなっていくのではないかと思うので、こうした視点も含めて議論が進めばいいと思います。
以上です。
小針部会長
ありがとうございました。今の御意見のところは、飼料のところでまた反映させて考えていきたいと思います。
一旦まえがきのところで委員の方からほかに御意見ございますか。
そうしたら私からP.2の29行目のなお書きのところからの目標・KPIへのフォローアップに関してですが、需要拡大を前提とすることも分かるし、成果・効果の検証を行うという観点で5年後を目標年度にするというのは分かるんですが、食料の基本計画と「同様に」との「同様」の意味が、5年後という意味での「同様」なのか、その基本計画の考え方に合わせるという意味での「同様」なのかという、そこが少し分かりにくいように思いました。長期的な姿も示すという記載とも何か混在してしまっているので、ここの書きぶりについても後で整理をしていただきたいなと思います。ただ、ここの書きぶりは、難しいところもあるのは承知をしているので、また相談をさせていただければと思います。
それでは、第1の総論のところに関しても御意見ある方いらっしゃいますか。3ページから5ページの17行目までが取りあえずパーツで分けていますが、大丈夫でしょうか。
事務局から二村委員の意見の代読をお願いします。
新井畜産総合推進室長
本日欠席の二村委員から書面にて意見を頂いておりますので、読み上げます。
畜産業の構造について、社会の変化を踏まえた検討が必要です。現在の計画は、需要の拡大が前提となったものになっています。人口減、高齢化社会に合わせた供給量と要求される品質に応える生産・流通の在り方と、そのための飼料の生産・調達の在り方など、新しい社会に合わせた畜産のデザインを検討する時期ではないかと思います。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。恐らくそういうことを考えながら作っているということではないかなと認識をしております。
ほかの方からコメントがなければ少し私の方から総論のところで。細かい文章上のところは後で指摘をさせていただくとして、4ページのところの話は、まず今後の価格なり生産量を見通すためにきちんと需要動向を慎重に見極めましょうと。それを見極めた上で、需要拡大を図る、その需要を拡大するということが需給ギャップを埋めるということの前提になるので、4行目で突然、生産基盤を維持・強化していく必要があるという文言が出てきてしまうと、なぜそこで、突然これが、というところが少しあるかなというのと、その次の、コストを円滑に価格転嫁していきましょうという言い方についてですが、恐らく恐らく、政策的にも今、このような言い方は合理的な価格形成のところで余りしていない気がするので、価格転嫁という言葉じゃない形できちんとコストを反映させるなどの言い方に修正した方がいいかなと思います。
基本的には、需要がだぶついていると、コストを見て何とかしましょうという議論でもなくなってしまうので、きちんと環境を作ろうということではあると思います。その辺りも含めて後で御検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
では、一旦少しこのまえがき、総論のところから次に、2番目の酪農関係のところでの議論に移りたいと思います。
羽田委員
1点いいですか。
小針部会長
羽田委員、お願いします。
羽田委員
すみません。また書きぶりについてです。
小針部会長
書きぶりの話はここのパーツでまとめて御発言いただき、このパーツ以降で同じような指摘のところは同様に御検討いただくということで。
羽田委員
これで最後にします。
小針部会長
円滑にいきましょう。
羽田委員
5ページの5行目の段落以下の文章が長いんですね。なので、2行目の「側面がある」で切る。で、一番最後の「畜産分野における環境負荷低減が課題となっている。」を2行目に持ってくる。そして、6行目の「一方、」以下の文章については、「一方、」を外して、具体的にはこういうことが課題になっていますという流れにした方がロジックがつながります。というのを少し一例として最後に。
小針部会長
ありがとうございます。
恐らく全体として書きたい内容は伝わってはくるんだけれども、読み手、特に初見の人では読みにくいという部分があると思います。せっかく考えて作ってくださっているので、伝わらないのはもったいないなという意図も含めて、改善いただければと思いますので、よろしくお願いします。ありがとうございます。
それではここから2番目の酪農に関してのセクションに入りたいと思います。生乳の需給事情の変化と対応方向についてと、場所が少し分かれますが、P.11以降の酪農経営というセクションで御発言の方をお願いいたします。馬場委員お願いします。
馬場委員
生乳の生産数量目標のところも併せていいですか。
小針部会長
はい。酪農のところ全般ということでお願いします。
馬場委員
28ページから29ページにかけて、酪農の生産数量目標のことが書いてございます。生乳の地域別の生産数量の目標というのが出ていて、全国計では令和12年度で732万トンとなっていますが、地域別には幅があり、北海道は伸びるというような書きぶりとなっています。これはそうかなと思いますし、段階を経て長期的な目標は780万トンですから、それを目指すためにも各地域が生産の維持、あるいは拡大、それをしっかりとしていく上でも、生産者、関係者、あるいは国が一体となって、しっかりと需要拡大を進めていく必要があるということが課題かなと思う次第であります。
以上です。
小針部会長
小椋委員、お願いします。
小椋委員
北海道の小椋です。よろしくお願いします。
今ほど馬場委員からも生産目標に関して御意見が出ていたんですが、この長期的な姿(参考)ということで780万トンというのが明記されていますが、長期的な姿、これは何年後を指すのかお答えいただきたいと思います。
小針部会長
ありがとうございます。
今の生産目標数量の話が出ていますので、生産目標数量に関連することで質問がある委員の方いらっしゃいましたら挙手にてお願いします。リモートの方も大丈夫ですか。
それでは事務局から、一旦御説明を頂いてよろしいでしょうか。この需要拡大の話はここで書かれている内容とも関連するかと。
牛乳乳製品課長、お願いします。
須永牛乳乳製品課長
牛乳課長です。
需要拡大の点は、強調して何度となく冒頭からずっと書き続けている話だと思います。業界を挙げた取組が不可欠だと思っております。
小椋委員の長期的な姿がどこを指すのかというのは、今回の目標は5年ということでありますが、改良目標が10年後になっているということも踏まえた上で、おおむね10年を想定しているものであります。しかし、やはりその需給など、今後の状況をよく踏まえながら進めていく必要があるということで、完全にここというように特定し切っているというものではないという、そういう趣旨であります。
小椋委員
今の牛乳乳製品課長のお話では、長期的な姿というのはおおむね10年先とのことでしたが、であれば具体的な数値、年度というのは明記できないんですか。
須永牛乳乳製品課長
そこもいろいろと議論はあったんだと思いますが、我々が書けるのがこの辺りだったのかなと思っています。一番大きなところは、やはり今後人口が減り、需要が減っていく中で、しっかりとした需要拡大の取組ということが業界の中で、それから我々も入った状態でしっかりとやっていくということ。それを踏まえながら令和12年の目標を毎年しっかり考えていくと。その先に780万トンという数字があるという、そういう意味で、最初の段階から余り年を特定し切るのはどうかと。そういういろんな議論があった上でこの形になったと認識をしています。
小椋委員
当然需要があって生産があるわけですから、需要と生産というのは当然リンクしなければならないと思っていますし、先ほど馬場委員からお話があったように、やはり需要をいかに確保するかが重要ですから、農水省を筆頭に、我々業界も含め、一致団結をしながら消費拡大に努めていき、この長期的な目標へ向かっていけるように是非旗振りをよろしくお願いしたいと思います。
須永牛乳乳製品課長
全くそのとおりだと思っていますが、農水省も含めて、地方公共団体、そして生産者、乳業、みんなで目線を合わせて、向こう令和12年に向けた需要拡大を毎年毎年しっかりやっていくことが重要であると思います。
我々は令和12年の目標について、今回定めたからこれで終わりということではなくて、冒頭でもKPIについては、それを検証すると記載していますので、需要の状況をよく踏まえながら、毎年生産数量を持ち上げられないのかということを検証しながら進めていくと、そういうことだと思っています。特に生産者団体の皆さんにも牛乳の消費拡大、全国的な取組を是非乳業と共にお願いをしたいと思っていますので、御協力方よろしくお願いいたします。
小針部会長
ありがとうございます。
それでは、ほかの委員の方から、この酪農のところに関して、御意見、御質問ある方は挙手にてお願いします。事務局からお願いします。
新井畜産総合推進室長
本日欠席の松田委員から意見を頂いておりますので、酪農に関係する部分を読み上げます。
農水省の皆様には、畜産部会委員各位の意見や関係者からのヒアリングなどを踏まえ、基本方針の本文案を取りまとめていただき、誠にありがとうございます。今回農水省からお示しいただいた本文案を拝見しますと、多岐にわたる意見がおおむね反映され、改善も図られていると評価します。その上で、約1年にわたる意見交換のほぼ最後の機会として3点意見などを申し上げたいと思います。
1点目、5年後の生産数量目標の設定についてです。今回初めて生産数量について5年後の目標が示されました。本文案にも記載されているとおり、生産基盤の構築、あるいは生乳の増産には約3年を要するとされていますが、経験を踏まえればもっと長い時間がかかることが分かります。
バター不足が社会問題となったのは2014年のことです。その直後から官民を挙げて生産基盤の強化に取り組んだところですが、生産に反映し始めたのはその5年後の2019年度からであり、それも前年度比で僅か1%増加したにすぎません。翌2020年度も同様に1%の増加にすぎませんでした。こうした酪農、生乳生産固有の実態も踏まえ、生産現場や生乳需給の混乱を招かないよう、基本方針策定後において目標年度を短期化した理由や目的を生産者に対して丁寧に説明をしていただければ幸いです。
2点目、生乳の生産数量目標の長期的な姿についてです。生乳の生産数量目標については、長期的な姿として現行基本方針と同水準の780万トンという数字が示されたことは、ここ数年、需給の大幅緩和による生産抑制やコスト高騰により酪農経営の離脱が加速化する中、生産者の意欲を喚起し、生産基盤の維持にも寄与するものと評価したいと思います。その目標に向けて着実に進んでいくためにも、引き続き無脂乳固形分を中心とした事業拡大に加え、生産の維持・拡大に向けた御指導、御支援をよろしくお願い申し上げます。この目標に沿って生乳生産が安定的に拡大していけば、生処によるコスト削減努力や新商品開発努力等ともあいまって、国産乳製品に対する需要の確保や産業全体の拡大再生産も期待されます。結果的に、集送乳や乳業についても基本方針に沿った合理化が進みやすくなるものと考える次第です。
もう1点は別のところで御報告いたします。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
事務局から回答あれば。
須永牛乳乳製品課長
特にございません。
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに委員から御意見ございますか。なければ私の方から。
まず、1点確認をさせてもらいたいのが、前回の議論を踏まえて付け加えた部分、初めの説明で聞き漏らしていたらすみませんが、8ページの9行目のところからの「加えて、」の部分について、前回の畜産部会でのコメントを踏まえて、このような形で整理をしていただいていると思うんですが、どういう含意かというところ、もう少しかみ砕いて御説明を頂けると有り難いなと思うんですが、事務局からいいですか。ここというのは前回の議論を踏まえて、まず業界全体できちんと伝えていくことも重要だということをここで入れ込んでいるという形でまとめていただいたということでいいですか。
須永牛乳乳製品課長
そうです。
小針部会長
そういうことで、分かりました。ありがとうございます。
羽田委員から、大丈夫ですか。
羽田委員
飼料のところで発言すべきことなのかなと思っておりましたが、ここは飼料のところには入っていないんですよね。
小針部会長
はい。酪農のところに記載されていますので。
羽田委員
記載を入れてくださったんですよね。恐らく、業界全体でという文言の中にステークホルダーとしていろんな乳業メーカーがしっかり含まれているという理解でよろしいですね。そのことを確認させてくださいということが1点。あと、「消費者の理解が得られるよう」と限定されているんですが、いわゆる飼料の生産者に対してのくだりというのはどこかに入っているんですか。そこについても業界全体の中に含まれているということでしょうか。
小針部会長
入れるべきかなとは思いますが。
羽田委員
恐らく最初の総論のところにも出てきておりますが、それでは少し足りないかなとは思っております。
小針部会長
まず、牛乳乳製品課長、いいですか。
須永牛乳乳製品課長
8ページの「加えて、」のパラグラフのところですが、恐らく冗長になっちゃうのかなと思っております。生産者が国産飼料を使うことの意義は、後半の方でいろんな形で書いています。ここではあくまでも消費者側、そしてそれが本来であれば価格だとか付加価値だとかという形で、生産者の見えるような形で伝わっていくという意味で、スタート地点の消費者の理解が必要であると。そういう旨で書いているということだと思っておりまして、ここに生産側の経営の安定のためとかということを入れると、冗長なのかなというふう理解をしました。
小針部会長
羽田委員、よろしいですか。今ので恐らく納得頂けたと思います。つまり、伝えていかなければいけないことが2面あって、P.8のところは須永課長からの御発言のとおり、物の価値として、そういう国産の飼料を使った牛乳や乳製品なりというものの付加価値をきちんと伝えていく。ここのくだり、需要拡大の中には価格を上げるとか付加価値を付けていくというところも含めて、この形で整理をされているのだと理解をしていて、私自身はこの形での整理でいいかなと思っています。
改めて確認をさせていただきたいんですが、まず今回は人口が確実に減少する中で、デフォルトとして需要は減るトレンドですと。そこの中で全体の需給ギャップ、所得を上げるためにはできるだけ需要を拡大しなければいけないので、その部分は質的であったり、今掘り下げられていないところをなるべく積み上げていこうということで、様々需要拡大をしていく取組のことが書いてあって、その中の一つがチーズであって、ソフトチーズの方にシフトさせていくということもある。それ以外のところの飲用牛乳や脱バ等々のところの取組というのをこの右側の6ページのところで記載をされているという流れがあるのだと思います。その中でこれらの取組を業界で取り組んでいくことで、できるだけ需要自体を拡大していこうというのがまず第1弾であると。
その需要拡大をできるだけ頑張る中で、その需要と供給をうまくマッチさせる生産によって、需給ギャップが生じずに均衡すれば、一定の適正な価格に収まるという形の流れだと理解しておりまして、そうであるからこそ需要拡大の状況がどうなっているのかというのをきちんと検証していく必要がありますよね。その状況を見ながらこれからのことをどう判断していくかということが、8ページの「目標数量については、」のところにつながっていくという、そういう理解でよろしいでしょうか。改めて確認させてください。
須永牛乳乳製品課長
特にそれで違和感があるものではないと思っています。一番大切なのは飲用需要です。生乳は用途別に乳価が決まっていて、その高い順に埋まっていくというものでもあります。牛乳の需要が一番高く、脱バ、チーズと価格は下がっていきます。ですので、飲用需要というものをしっかりと確保していくということが、北海道、都府県、全ての生乳生産者にとって大切なことでもありますし、そこをしっかりと拡大させていくということが今後の生産者の十分な所得、そして生産基盤の維持・拡大に不可欠なものだと思っています。それを乗り越えた上で、脱バの、特に脱脂粉乳の需要を拡大していく。順番があるというふうに思っています。
小針部会長
ありがとうございます。
細かい点で恐縮ですが、6ページの畜安法の改正、15行目のところの話のところで、20行目から「こうした状況により、」のところの「飲用一辺倒ではなく飲用需要に応じて」というのは、飲用需要が変動するので、その変動を踏まえて乳製品に仕向けるという、「応じて」というのはそういう意味でいいんですよね。
須永牛乳乳製品課長
飲用需要に応じての意味は、二つあって、一つは年間の中で飲用は夏が持ち上がって冬に落ちるという、一方で生乳生産は逆の動きをするので、そういう意味で夏と冬、季節の問題、それに応じて乳製品に仕向けざるを得ないという話と。それから中長期でいうと、飲用の需要も年間の需要という形でブレが生じます。一方で、生産地というのは5年とかそれ以上経たないとなかなか生産体制を作れないこともあって、飲用需要に対して完全に生産側が計画的に生産を仕切るということが難しいので、そうするとその分は乳製品に回さざるを得ないと。この二つの、1年間の中、そして中長期の話と、両方が入っている「応じて」だと思っています。
小針部会長
分かりました。ありがとうございます。
あと、細かい話なんですが、8ページの「既に、この観点から、」、年間安定取引の話で、27行の、「更に、契約違反を繰り返す生産者からの翌年度分の取引の申出は拒むことができる」というのは、指定事業者がという理解でいいんですよね。
須永牛乳乳製品課長
そのとおりです。確かに書いていないんですが、生乳の世界は95%以上が指定団体なので、そういう意味でいうと書かずともという世界だったのかなというふうには思います。
小針部会長
分かりました。ありがとうございます。それでは、一旦酪農のパートはこれで締めて、次に肉用牛のパートに移りたいと思います。御意見ある方は挙手にてお願いします。
馬場委員、お願いします。馬場委員、3時過ぎに御退室をされるのであれば、ほかの御意見も含めて御発言いただくという形の方がいいですか、お時間的に。
馬場委員
それでは、肉用牛の29ページです。牛肉の生産目標数量が示されております。この文章の中に4の6、7行目あたりか、5年後を見据えてなんですが、「中国の輸出解禁等の輸出環境の整備が進むこと等を前提に」と書いてあって、でも牛肉の生産量の目標は部分肉で1万トン増えた36万トンなんですよね。長期的にも37万トンなんですよね。中国の輸出を前提にしながらも、これぐらいしか伸びないのかという疑問が湧いてきたわけでありまして、これどう説明するんだろうなというのが質問であります。
時間の関係もあるので飼料の部分についても一つだけ。飼料の自給率が30ページに出ています。飼料の方も生産目標数量について、作付面積が13万ヘクタール増加して、自給率は1%の増加になっている。ということで、これまえがきにもあったんですが、今後5年間で輸入の飼料がいつでも確保できるという前提が変わったという中で、国産飼料に立脚した経営の重要性がしっかり書かれているんですが、1%しか増えていないと。これもどう理解していいのか、よく分かりません。今の目標は34%、令和12年で34%になっているはずですが、今回このような目標設定とした要因や背景等もして御説明をいただければと、分かりにくいなと思っている次第です。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。飼料に関しては、後で飼料の方のところで引き取って議論をしたいと思います。
まず、今の生産数量目標の話が出ましたので、そこに関連して御質問、御意見ある方いらっしゃいますか。大丈夫ですか。
井上委員の御発言、生産数量目標に関連されますか。
井上委員
29ページの牛肉の生産数量の目標についての意見です。
小針部会長
お願いいたします。
井上委員
私の意見は、29ページの5行目、牛肉の生産数量の目標についてです。これを読んでいますと、全く夢も希望もなくて、無理やり35万トンの目標をそこに置いて、もしそれが実現できなかったら、その理由を「前提に、」という言葉で抑えているというように感じ取れるんですね。これでは生産する側の意欲もやる気も全く出ないと。現実問題として、35万トンというのが12年度の実際目標数量としても、その書き方・言い方がもう少し生産者、関係業者に希望を与えるような文言に書き換えられないかなと、それをお願いしたいなと。意見です。
小針部会長
ありがとうございます。
大山委員、お願いします。
大山委員
この辺り、確かに難しいところだと思うんですが、現状としてやはりなかなかすぐに生産を上げていくというのも、先ほどのサイクルの話もありましたし、難しい側面がまずあるということ。
それからもう一つ、現状として御理解いただかないといけないところは、今、黒毛和種の繁殖雌牛の頭数というのも激減しているんですね、実は。今、値段が上がっているのも、もしかすると供給不足による高騰、値段の上昇という側面も多少ならずあると思っているんですね。具体的に言うと、2年間で17%ぐらいの繁殖雌牛が減っていっているような状況なので、意欲を持つというのは大事なんですが、すぐに繁殖雌牛を増やしたり肉を増やしたりということが容易にできない環境の中で、この具体的な数字というのを持っていくというのは大事だと思います。この点に関して付け加えて申し上げたいのは、そういう少し弱体化している繁殖基盤について、どういったことができるのかということもここに書き込んでいただければ、有り難いなと思っているところです。
小針部会長
ありがとうございます。
井上委員、お願いします。
井上委員
今、繁殖基盤のお話をされましたが、これはもう直近の話で、今の繁殖基盤の形を進めたのも、これも農水省の指導でやったことですよね。私はそう理解しています。それを前提に生産基盤が落ちるというのは、これは言い訳にしかすぎないんじゃないかなと思います。私は今、憤りを持って聞いていました。
その中での、この35万トンが12年度の目標でもいいんです。ただ、その文言の中に、そこにも生産者が意欲が湧くような形に、文言に見えないんですよ。結果、35万トンでよろしいですから、この文章の書き方をもう少し考えていただきたいなというのがお願いです。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
食肉鶏卵課長、お願いします。
伊藤食肉鶏卵課長
まず、少し数字についてきちんと整理をしてお伝えさせていただきます。
4のところを見ていてだければと思いますが、牛肉の生産数量の目標、ここでございますが、現状35万トンです。そして、その下を見ていただいて、13行目、14行目ですが、R12年度目標、5年後目標は36万トン、そして長期的な姿は37万トンということになっておりますので、5年後に1万トン増やし、更に長期的な姿で今よりも2万トン増えるとしています。その上で井上委員がおっしゃっている点について、そこの部分の書きぶりをどうするかということについては一回引き取らせていただきます。
その上で、馬場委員からも御指摘ございました。そして、それに対してまた井上委員からも御指摘を頂いて、大山委員の方からお話を頂きました。この需給の見通しを示すに当たって、やはりその生産・供給サイドと需要サイドの両面から試算に当たって考えたということでございます。
供給サイドの面からは、大山委員からもお話ございましたが、繁殖雌牛を家畜市場で買ってきて、種付けして、子牛が出てくるまでに1年ぐらい掛かって、そこからまた更に子牛を肥育して育てるとなると、3年から4年ぐらいは掛かりますので、その中での5年後目標の設定になります。
それから、需要サイドで見ますと、人口の減少は今後3%減っていくと見込んでおります。直近4年で見ましても、過去の畜産部会の資料でもお示しをしてきましたが、1人当たりの牛肉の消費量というのが6.5キロから6.1キロということで減少してきています。人口減少が避けられない中で、国内の需要にだけ応じた生産をやると生産量は減少する一方となってしまいますので、輸出への取組というのも加味して、更にインバウンド需要も見込んで増やしていくということでございます。
5年後に1万トン増というのは頭数規模で見ると、肉用牛を10万頭弱ぐらい増やしていくということになります。今より和牛の枝肉や子牛の価格が高かった平成29年やR2年の肉用牛の頭数というのはおおよそ250万頭、256万頭ぐらいでしたので、それよりも大分増えるような数字になっています。
いずれにしましても、国内消費に合わせて生産していくと生産量が減少しかねないところ、そこを輸出等で増やしていくという計画で、R12、R17の数字を出させていただいています。
小針部会長
ありがとうございます。
井上委員、お願いします。
井上委員
数字には理解しているんですよ。その言葉、文言に対してもう少し書き方がないかなという、そういうことを言っているんです。
例えば、「中国の輸出解禁等の輸出環境の整備が進むこと等を前提に、」とありますが、中国の名前を出す必要もないし、これを前提にと言う必要はないんじゃないですか。「輸出環境を整備し、」とか、そういう言い方の方がよろしいんではないでしょうか。ほかにもたくさんあるんですが、今は時間がないので全部言いません。もう少しこの文章の書き方に生産者の意欲をそがないような文言はないのかなと。
小針部会長
食肉鶏卵課長、お願いします。
伊藤食肉鶏卵課長
生産者の意欲をそがないような表現ぶりにすべきということで、御意見、承りました。
井上委員
ありがとうございます。
小針部会長
基本的には表現ぶりの問題なのかなと思っておりますので、そこはまた整理をしていければというふうに思います。肉用牛の関係でほかに御意見等なければ。
文言や文章の流れについては、また後で御相談をさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
欠席委員からの意見、代読お願いします。
新井畜産総合推進室長
二村委員と丸橋委員からの意見を頂いておりますので、御紹介いたします。
まず、二村委員です。
肉用牛の生産用途について、国内消費の需要に応える方向で検討を要望します。肉用牛の生産やその支援施策が、多投入で価値(価格)を高める生産に偏っているように感じます。海外から高い飼料を買い、高付加価値な肉を輸出するという生産構造は、国際社会の不安定化の中でリスクが高い方式とも言えると思いますし、そのような経営を行える生産者ばかりではないと考えます。国内の消費者が日常的に購入できる価格と品質で牛肉が流通するような生産の在り方について検討を頂きたいと思います。
続きまして、丸橋委員からです。
まずは、今回会合のために短時間に最終案をまとめていただいた事務局に感謝いたします。酪肉近の最終案について意見を述べさせていただきます。
案の11ページ、消費者のニーズへの対応として、牛肉の価値の発信に関し、生産・流通の関係者が一体となり取り組む必要があると記載されたこと、また38ページから39ページにかけて、牛肉の流通合理化として項を設けて対策について記載していること。特に、食肉卸売市場の機能強化について記載されたことを評価したいと思います。その他、構成上、酪肉近には書き込めなかった中長期な課題、加工処理・流通分野でのアニマルウェルフェアや原皮についても検討の中で、事務局と認識を共有できたものと考えています。
以上で私の意見とします。以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
コメント、事務局からお願いします。食肉鶏卵課長、お願いします。
伊藤食肉鶏卵課長
いずれも御意見として承りました。ありがとうございます。
小針部会長
ありがとうございます。
今の二村委員の御意見のところ、いいですか。消費者ニーズの部分をどう捉えるかってすごく難しいなというふうに正直思っていて、恐らくそこも含めて今後の需要拡大というか、これから見ていかなければいけないところなのかなと思います。というのは、明確にこういう形でと一般的に言われていること、恐らく、それもあって科学的にきちんと検証していきましょうという文言がこの本文中にあるという理解をしているんですが、その辺りも含めて本当の消費者ニーズを踏まえた作り方なりをしていくのを考えていきましょうという、そういう理解でいいですか。すみません、少しまとまり切れていないんですが。
伊藤食肉鶏卵課長
消費・流通のサイドから見ますと、確かに多様な消費者ニーズということで、10月来議論させていただきましたが、霜降りの牛肉から赤身の牛肉まで、いろんな消費者の方のニーズがあります。また、これからの若い人たちの消費者ニーズにも応えていかなければいけないということで、御議論させていただいてきました。
それで、一つ、その霜降り牛肉というのは改良の歴史を積み重ねてきた結果、現在では海外のお客さんもこれを食べたいということで日本にいらっしゃる方もいたり、輸出もかなり堅調で、今後もまだまだ伸びる余地があると我々は考えております。
他方、消費者の方のニーズというのを見たときには、それこそホルスタインとか交雑のお肉も含めて、全て牛肉でございますので、全体として生産振興を引き続き図ってまいりたいと思います。
小針部会長
よろしくお願いします。ただ、生産数量目標のところに書き込むのが難しい部分を、この前の本文のところでメッセージ性の部分というところの工夫もあるかなと思いますので、その辺りも含めて御検討いただければと思います。ありがとうございます。一旦これで肉用牛のパートを締めて、次に飼料生産のところに移りたいと思います。御意見ある方は挙手にてお願いします。
小山委員、お願いします。
小山委員
この文章と少し離れるかもしれないんですが、先ほど国産の飼料で原価を安くして安い牛肉を作れるという観点から言いますと、農地利用では基盤整備事業とかそういうのがあって、なかなか中山間地の本当に土地が利用できないところがそのままの状態になっているんですね。そこをうまく利用できるようにして、早期に進めてほしいと思っております。前もって成功例の地域のノウハウを伝授して、うまくそれをつなげていっていただければなと考えました。
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに御意見ある方、挙手にてお願いいたします。まず欠席委員の方の御意見も入れていただけますか。
新井畜産総合推進室長
二村委員から頂いている意見、御紹介いたします。
飼料の国産化を進めるための施策を要望します。
食料安全保障や食料自給率向上の観点から、また昨今の経済情勢から、飼料の国産化を進めることが重要です。今回の計画で重点とされた青刈りとうもろこしは、省力化・栄養価の面で牛の飼料として効果的と期待しています。普及に当たっては北海道だけでなく、都府県でも普及が進むよう、施策を検討いただきたいと思います。地域の土地の状況、規模に合わせた生産方法や、大規模でないほ場でも使用可能な生産機材の開発・普及等も進めていただきたいと思います。
一方、飼料用米は水田を維持できるという利点を重視し、耕畜連携を進めることで需要の開拓を行っていただきたいと思います。水田の機能や、主食である米の生産基盤の維持の観点から、稲作好適地域の場合などには一定程度の補助を継続しても生産・流通を維持すべきと考えます。安定的な調達のためには、耕種側の取組だけに依存することなく、畜産側からのアプローチも必要であると考えます。
いずれにしても地域計画が重要であり、耕畜連携を前提とした、適切・的確な地域計画による生産基盤の整備が行われるよう、地域計画策定見直し運用を行ってください。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
今の小山委員の御意見と二村委員の御意見、共通するところがあると思いますので、まずそこに関してコメントをお願いしたいと思います。
飼料課長、お願いします。
金澤飼料課長
飼料課でございます。
小山委員、二村委員から、しっかり地域に根差して飼料作りしていくべきということだと思っております。御指摘のとおりだと思っております。今後、特に耕種農家サイド、農業従事者が減少してくるという中でございます。地域で空いてくる農地をしっかり使って、国産の飼料生産をやっていくということが重要だと思ってございます。正にそれを具現化していく上でも、今、取りあえずは策定に向かっている地域計画について、関係部局とも連携しながら、実行に移していく途中の見直しも含めて、しっかりやっていく必要があると認識してございます。
それから、二村委員から飼料用米に関して御意見がありました。飼料用米に関しましても、地域によってはやはり水田利用ということだと思ってございます。現場の実態をしっかり調査しながら、今後の対策についても議論していきたいと考えております。
その際、やはり飼料用米、家畜の餌という形での利用をしてございます。今も多収品種にどんどんシフトしてきてございますが、やはりしっかり餌として効率よく供給していただくという面も重要だと思っておりますので、その辺も踏まえてしっかり検討していきたいと考えてございます。
小針部会長
小椋委員、お願いします。
小椋委員
本文には先ほどから説明されておりますように、飼料生産に関して、前回は青刈りとうもろこし一本でありましたが、飼料用米、またWCS、子実コーン等々、加えられております。けれども、前回私もお話ししましたが、作る側と使う側、これが一定程度の認識がされてきて、粗飼料拡大に向けて今進められてきているわけです。やはりこの飼料生産の取組に関しては、最初から出していただきたかったと思ってございます。答えは要りません。
小針部会長
ありがとうございます。
恐らくここで、まず国としてこういう方針・方向でいくんですよというのを基に、これから都道府県計画で作っていくと思うのですが、どれだけこの畜産側のメッセージを作り込んでいけるかというプロセス論でもあると思うので、その辺りも念頭に置きながら、書きぶりの検討をしていただけるといいのかなと思っています。
飼料用米の先ほどの宮島委員の御意見も、今のところでいうことで整理していいですか。ありがとうございます。
そうしましたら、先ほどの馬場委員からありました飼料の自給率目標等についての考え方について御説明をお願いします。
金澤飼料課長
飼料課でございます。
先ほど馬場委員から飼料自給率の目標値。御案内のとおり、飼料自給率、あと生産量、作付面積に関しましては、並行して議論いただいております基本計画と連動してございます。御案内のところかもしれませんが、基本計画の方におきましては、しっかり麦・大豆の生産拡大だったり、あと米の方も輸出拡大をかなり頑張るというようなことで、飼料自給率を引き上げるということになってございます。
一方で、先ほど触れましたが、農業従事者かなり減ってくるという中でもございます。限られた農地とか労働力をしっかり活用していくということで、そこは耕畜連携とか、先ほどの地域計画にしっかり位置付けながら、飼料作物の作付面積に関しましては、今の88万ヘクタールから13万ヘクタールほど大きく伸ばしていくような形で考えてございます。
あわせて、単収向上というのも図っていくということでございますが、前回の基本計画では、先ほど10年目標、5年目標というような話もありましたが、前回10年後目標という中で、かなり意欲的な数字という形にしてございましたが、今回、5年目標にする中で、最大限努力すれば実現可能なというようなところで、1ポイント増でございますが、今回の28%という形で定めさせていただきました。空いてくる農地を限られた人数でどう使っていくかということで、13万ヘクタール増やしていくという部分については、その面ではかなり担当としては結構ハードルが高い目標かなと思ってございます。是非JAグループはじめ、いろんなプレーヤー、しっかり連携して一緒に目指していければと考えてございます。
小針部会長
馬場委員、よろしいですか、今の御回答で。
馬場委員
ありがとうございます。
小針部会長
分かりました。ありがとうございます。
この目標に関して、ほかの委員の方から御意見等々ありますか。なければ、少し私の方から。
ほかの数字もそうだと思うんですが、今回、基本計画で5年後に見直します。そこでPDCAをしっかりやりましょうという目標をどう立てるべきかについて、目線を合わせないといけないんだろうなと思っています。私の感想めいたことになって、ほかの御意見等々あれば御指摘いただきたいんですが、目標というのは、きちんと政策として推進していくために立てるものもあれば、目指すところとして立てるものがあると思います。
現状、PDCA回していきましょうということがきちんと言われているということが一つと、あとこの先どうなっていくのかは全体が大きく変わっていて見通しにくい。確実に人口等々の状況が変化する中で、どう変えているのかというのは見えないので、その意味も含めて、検証しながらやっていきましょうと。
その意味では、一度数字を出したら絶対だとか、この目標を掲げたからこれ絶対ということではなく、そこに絶対感を持ち過ぎず、ただ何もないと議論もできないので、まずこういう考え方でこういう形で作っていますと。その中で、やはりここって難しいよねとなったら、いろんな意味での新しいチャレンジがあるので、随時必要に応じて見直していくという形がいいのかなと個人的には思っているのですが、そういう整理でよいでしょうか。
というのは、この飼料自給率の話は、どうしても飼料自給率でTDN換算にすると濃厚飼料の影響が大きく出過ぎてしまうので、酪肉近で目標にする、しかも率で見ていきましょうということになると、評価の仕方なりは少し難しい部分はどうしても出てきてしまうのだろうなと思います。それもあって、それとは別に飼料作物の作付面積であるだとか、生産量ということを出していただいていると理解をしておりますので、これからこの数字を見ていきながら、どのようなフォローアップをしていくことが適切なのかということは検討していく形で進めていければいいのかなと思っています。
以上です。ありがとうございます。
そうしましたら酪農のところ、石田委員、何かあれば。よろしくお願いいたします。
石田委員
ありがとうございます。
私は全体を通して、目標数量等々も私の中では概ねよい目標設定なのかなと思っております。今後、これをいかに現場に落とし込んでいくのかというのと、あとは現場の一経営体としましては、こういった数量ですとか売上げというところは目安としつつ、本当に重要なのは粗利益だと思っております。そこが適正規模という考え方にシフトしていくきっかけになってくると思いますし、私自身の経営についても、この適正規模と粗利益というところを注視しながら進めていきたいなと感じました。ありがとうございました。
小針部会長
ありがとうございます。恐らく正にその方向性で方針の方も書いていただいていると理解をしております。
それでは、4番以降の関連事項、担い手等々の部分での御意見、ありましたら挙手にてお願いします。
畠中委員からお願いします。
畠中委員
畠中です。
私、再三この間お願いしていたところが反映していただいているなと思って、感謝しています。21ページの家畜衛生対策の充実・強化の(イ)国内防疫の徹底の部分です。前回お願いしたことを組み入れていただいて、語弊はあるかもしれませんが、前回までの文面だと、生産者側からするとどうしても上から何か、ああしろ・こうしろと言われるだけのような、何か冷たい感じにしか受け止められなかった文章が、今回は生産者も一緒に、仲間・チームメートのようにこの日本の畜産を守っていく者として、同じ立場で一緒に頑張っていきましょうというようなメッセージが盛り込まれていて、本当に有り難いなと思っています。
ましてや、先日お願いしたとおり、発生後の経営再建に関する支援についても入れていただいたことは、この畜産部会に私が来た意義がありますし、非常に有り難く思っています。是非とも今後これが現実に運用していただけるように私たちも頑張りますので、農水省の方にも頑張って協力していただきますようお願いします。感想です。ありがとうございました。
小針部会長
ありがとうございます。
では、小椋委員、お願いいたします。
小椋委員
乳業の再編なんですが、ここでよろしいですか。
小針部会長
はい、大丈夫です。お願いします。
小椋委員
38ページにあります乳業の再編に関してですが、この文言に書いてあるとおり、乳業は建物・機械の老齢化によって、工場再編に向けて全国的に進めています。そのことによるコスト削減に乳業メーカーは今進めております。また、「地域の関係者が課題を共有しながら」という文言がありますが、乳業メーカーは民間でありますから、実際には単独で工場再編・合理化を進めているところであります。
合理化が決して悪いということを言っているわけではありませんが、その合理化をすることによって生乳の輸送費が発生してきます。メーカーが輸送費を負担するのであればよろしいんですが、現在のところはそういう状況にはなっておりません。
そこで、この合理化の協議をするときに、関係者の課題共有もそうでありますが、やはり国も協議の段階で加わりながら、再編合理化というものを進めていくべきと思います。工場の偏在というのが今現在見受けられますので、その辺の国の関わり方、また文言等々、関われる状況なのかどうなのかも含めて質問させていただきたいと思います。
小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
須永牛乳乳製品課長
ここで書いていることが結構我々としては気持ちを込めていることだと思います。小椋委員も特定の幾つかの事象を念頭に置かれているんだろうと思っていますし、その状況は我々の方でも危惧をしています。
一部のメーカーの地域とのコミュニケーション不足、対話不足というのが、これに起因しているのではないかと我々は思っています。ほかの地域の中でも同じように合理化が進んでいるものの、丁寧な対応に努めることで、そこまで大きな不平・不満というのが起きていなかった地域もあったと認識しております。そういうことを踏まえた上で、我々としてここに丁寧な対話が必要だということを書き加えて、今後もそれを乳業メーカー側の方にも我々から繰り返しお伝えをしていきたいと思っています。
そこを国がどこまで入れるかというのは、よく考えさせてほしいなと思いますが、かつては投資が大きく進んでいく中で、それを制約しながら国が間に入っておりましたが、今のように投資が全体として低調な中で、国が間に入ると余計投資がされなくなっていくということもありますので、それはやはり局面が違ってくるのかなと思います。
いろんな意味で投資が難しくなってくる中で、いかに投資をしてもらうのかという、この環境もまた必要でありますし、その中でやはり一方で地域の方々との丁寧な対話が必要だと。ここは規制、制約ということではなくて、やはりよくよく地域と話し合いながらやっていただきたいということを、この場でもやはり強く懸念として申し上げつつ、引き続きよく注視をしていきたいというのが我々の立場かなと思っています。
小針部会長
小椋委員、お願いします。
小椋委員
今、牛乳課長から答弁というのか、考え方を頂きましたが、やはり先ほどお話ししましたように、工場の再編・合理化というのは、これはもう当然進めていかなければならないと思っていますし、そこに何ら疑問はございませんが、しかし一方的な再編、また地域に偏った再編、これは避けていただきたいと思いますし、その協議の段階で、この文章にもありますように、地域の協議もそうですが、国もある程度協議の段階で関わっていただいて、双方納得するような再編・合理化というものを進めていただきたいなと思いますので、是非認識方よろしくお願いしたいと思います。
小針部会長
牛乳乳製品課長、お願いします。
須永牛乳乳製品課長
地元に話が下りるタイミングと我々に話が下りるタイミングはほぼ一緒だった事例がございます。その中で、我々も恐らく地元の方々と同じような反応をしたところではあります。
そういう話合いの中で、我々もこういう懸念しているということをよく伝えながら協議を進めていくということが一つと、この問題、我々としては、乳価交渉そのものに近いところがあると思っています。その配乳をその企業にどこまでし続けるか、どういう条件でやるのか、それもセットになるものだと強く思います。ですので、我々乳価交渉の内容そのものをああしろ・こうしろと言うことができる立場ではありませんので、よくよくお互いの立場をすり合わせて、しっかりとお互いが丁寧に対話をできる環境、それを整えていくためのお助けをすることが我々のやるべきことなのかなと思います。
小針部会長
ありがとうございます。
大山委員、お願いします。
大山委員
18ページの本文のところになります。この労働力の部分ですが、ここで対応策として書かれているのは、就農への敷居が高くならないようにすることとか、スマート化による省力化、外国人材を取り込む、それからヘルパーの待遇というようなことが書かれている部分かと思います。現状、外国人も今、賃金面での日本の魅力というのがそれほど高くないという話も聞く中で、担い手も含めた人材のターゲットがどこにあるのかということを示していくことも大事なんじゃないかなと思っています。
どこの業種でも今は人材不足で、人の取り合いになっている中ですので、人材をうまく確保するというのも限界があるところだと思いますが、例えば若い世代にアプローチをしたり、あるいは農業高校も今、就農率が決して高くなかったようなことも記憶しているので、そういったところへのアプローチだったり、もう少し具体的に、どういうところにターゲットがあるのか、どういう働き掛けができるのかということまで記載いただければ非常に有り難いなと思って読みました。
小針部会長
ありがとうございます。
企画課長、お願いします。
廣岡企画課長
大山委員から人材の件のお話がありました。確かにこれは非常に難しくて、今までも何回も答弁しているんですが、今まで大山先生がおっしゃったようなことを列記して、ヘルパーも含めて若手から就農する人を募っていきたいと思っていますし、ほかにも省力化の推進、あるいは外部支援組織もやっていきますし、外国人のことも記載しています。
19ページの16行目ぐらいからなんですが、今回書き入れたところは、宮島委員からもお話がありましたように、もう少ししっかりと広報していくべきとのことで、これは若者のことを実は視野に入れています。こうした制度や取組、サポート、今まで申し上げたもの全てを含みますが、こういったものを広く積極的に周知・広報することで、就農を目指す者の裾野を広げることも重要であると書いております。
それから、10行目ぐらいのところに「自治体や地域の農業組織によるサポートが重要である。」ということで、こういった方々の協力も得ながらやっていきたいということを加筆したところでございます。
大山委員
分かりました。ありがとうございます。例えば小学校とか、その辺りの年代から、本当に先ほどのまえがきじゃないですが、農業というのは非常に誇りのある職業なんだよということがしっかり国全体で理解できるようなことが記載されればいいのかなと少し思ってお聞きした次第です。ありがとうございます。
小針部会長
ありがとうございます。恐らく私が一つ文言というかで指摘したいところと共通するので、私からもコメントさせてください。
18ページの(1)についてです。ここは私がこっちの方がいいよねと言ったので、そのまま残していただいていると思うんですが、「経営能力」ではなくて「経営力」の方がいいかなと思いました。何となく能力というと人の能力という感じがしますし、恐らくここでは「経営力」の方がしっくりくるのかなと。
ここから大きく修正することは難しいと思うので、この整理で大きく変えてくださいと言うつもりはないんですが、法人化が進んでくると、経営と労働がある程度の分離してくる中で、きちんと労働力として確保していかなきゃいけないよねということと、経営者を育てなきゃいけないよねということ。それが「担い手」という言葉になったときに、「担い手」はそれらの両方を含む形態が今は多いので、なかなかどこに主眼を置いて、どういうメッセージを出していこうというのが少し難しいところなのかなと思っています。そこは私も思ったところはあったんですが、今回そこを踏み込むと難しいなと思ったので、次回以降。
逆に言うと、ここからの状況変化は法人化が更に進んでいくとなると、その法人の経営としてどうするとかいうところも含めて、この担い手というところに含まれるということも入ってくると思うので、そこは次回以降の宿題として残していただくということと、大山委員のおっしゃったターゲットなりどういう人をどう呼び込むかというところにも絡んでくると思います。経営者を目指す人を呼び込むのか、そこで働きたいという人を確保するのかということによっても違うと思うので、その辺りが出てくるのかなと思っています。
この4番の関連事項のところ、一旦これでよろしいですか。すみません、事務局から欠席委員の意見の代読をお願いします。
新井畜産総合推進室長
二村委員と松田委員から関係するところで意見を頂いておりますので、申し上げます。
二村委員から。消費者の理解醸成を意識的に強化する必要があると考えます。価格変動や畜産業が取り置かれている環境への消費者の理解が課題になっています。畜産業を身近に感じてもらう取組の推進を要望します。家畜伝染病の問題もあり、消費者にとって畜産は他の農業分野に比べても触れる機会が少なくなっています。畜産を身近に知ってもらう地域の取組について、政策的な支援ができないか検討を頂きたいと思います。
次に、松田委員です。温室効果ガス排出削減対策。持続可能な酪農及び肉用牛生産に向けた取組の中で、温室効果ガス排出削減対策について記載されています。世界の潮流を考えると、我が国酪農も対策に取り組む必要性があることは十分に理解するものの、利用する飼料添加物によっては牛乳の風味に影響する場合があることに留意する必要があると考えます。学校給食では風味変化に敏感な児童生徒の指摘により、衛生的な問題がないにもかかわらず、供給が長い期間停止されることがあり、特に学乳依存度の高い中小乳業等の経営に大きな影響を与えることがあります。したがって、飼料添加物の利用に当たっては、生産者に対しては風味変化への影響に留意の上、使用する必要があることについて、注意喚起をしていただきたいと考えます。
一方、消費者や教育関係者などに対しては、本文案に記載されているとおり、環境負荷低減の取組にはそれに伴うコストの負担が必要となるだけでなく、風味変化が生じることもあることについても理解醸成が必要であると考えます。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
事務局から。企画課長、お願いします。
廣岡企画課長
松田委員の方から温室効果ガスの排出削減に関して、飼料添加物による牛乳の風味変化へのことについて御意見があったと思います。
牛のげっぷからメタンガスが出るんですが、これを減らす資材、この取組に関しては、これまで私どもの課で、通称でエコ畜事業と言っていたんですが、その中で脂肪酸カルシウムを牛に試験的に給与するということに対する支援を行ってきました。
この中で、脂肪酸は牛乳の風味変化、風味異常の要因とされる不飽和脂肪酸、これの生成に影響する可能性が言われておりますので、生産者にはこの事業に当たっては適切な給与水準、これを示してメーカー、あるいは関係者とよく相談するように説明、あるいは指導を行ってきております。
風味変化、これ餌はもとより、いろいろな複合的な要因が関係すると言われておりますので、今後とも科学的知見を踏まえて、環境対策を安全に推進していくということが重要かと考えております。
小針部会長
ありがとうございます。
あと、二村委員の御意見は恐らく今回全体に共通して、業界できちんと伝えていきましょうねというところに通じると思うので、そこの部分でいろんな取組が必要ということで、そこはここに記載もされているのではないかなと理解をしております。
畜水産安全管理課から、お願いします。
木村畜水産安全管理課総括課長補佐
1点、畜水産安全管理課から。
先ほど温室効果ガスの飼料添加物について1点補足させていただきます。
こういった飼料添加物につきましては、飼料安全法上、効果とか安全性、そういったものを確認した上で、指定したものだけがその効果をうたって販売してよいということになっております。ただいま温室効果ガスの削減効果のある飼料添加物としましては、1点のみです。3-ニトロオキシプロパノールといったもののみが指定されておりまして、これにつきましては、私たちの聞いた限り、臭いがあるとか、こういった風味を損ねるといったようなお話は聞いておりませんので、今回委員がおっしゃられているのがその脂肪酸カルシウムなのか、またその他の今後、新しいものが承認された場合、指定された場合というお話なのか分からないですが、少なくとも今指定されて販売されたものについてはそういった恐れはないということ、補足させていただきます。
小針部会長
ありがとうございます。そういう事実確認は重要だと思いますので、ありがとうございます。
それでは、一旦この4のところで、内容はこれで確認をいたしまして、最後にすみません、表紙に戻りますが、先ほど木下課長から御説明を頂きましたとおり、今回の酪肉近の方のサブタイトルを付けようということで、この「変革の時代を切り拓く、酪農と肉用牛生産の新ビジョン」という形で付けておりますが、ここに関して、大分前向きなということと、まえがきのところでも書いてあるような、これから時代変化する中でということのメッセージを込めてこれにしておりますが、御意見等々ありましたらお願いします。
井上委員、お願いいたします。
井上委員
近代化のサブタイトルについて意見を申します。
その前に、近代化の今回の方針の内容については、先ほど私、肉牛生産量の方で少し強い言葉で意見を申しましたが、その内容は十分現状を見据えて、将来に向けたものと評価しております。
ただ、近代化というタイトルは、名称が余りにも現在の畜産生産にそぐわない印象を受けます。近代化といえば、イメージするのは昭和50年代。北海道でもタワーサイロ、本当に雨後のタケノコのように建ちましたね。あれから45年たちました。ほぼタワーサイロの稼働率はゼロ%でしょう。
当時は経済成長と共に畜産も大型化し、生産を上げていこうという、そういう時代には近代化というタイトルはぴったりだったと思います。ただ、もう現在は当時の近代化という目標は十分に達成したと思います。もう成熟したと思います。ロボットが搾乳して、ロボットが哺乳して、AIが牛・家畜を見守る時代です。その一方、今、畜産経営をするテーマというのが環境保全とか、労働安全とか、動物福祉とか、そういう言葉が出てきます。今はもう近代化というタイトル自体を変える、そういう時期ではないかと思います。サブタイトルも結構ですが、タイトル自体を考える、そんなときじゃないかなと思います。
小針部会長
ありがとうございます。
今の御意見に関して、ほかの委員から御意見等あればお願いします。
新井畜産総合推進室長
推進室でございますが、井上委員の御意見は意見として承ればと思います。
近代化には、産業としての発展ですとか、経済的、社会的な諸条件が変わっていく中で、いかに合理化していくか、追い付いていくか、アップデートしていくかとか、そういう意味合いもあるのだろうと思っております。そういう見方からすれば、近代化という考え方が古くなるとか、近代化という言葉を使うこと自体が適当ではないということではないと思っておりますが、そういった意見があったことは承りたいと思います。
以上です。
小針部会長
羽田委員、お願いします。
羽田委員
近代化という中身をもう一度教えていただけますか。近代化、この定義、今教えていただいたと思うんですが。
新井畜産総合推進室長
先ほど私が申し上げたのは、産業としての発展ですとか、経済的とか社会的な情勢という諸条件は常に変わっていくわけですが、そういった中でそういう変化に追い付いていくといいますか、アップデートをしていくという意味合い、そういうものも含まれるんだろうと考えております。別に何かで明確に定義をしているわけではないですが、そういう意味合いも含まれていると考えております。
羽田委員
現状、余り一般的に、今の時代、近代化という言葉は余り使わなくなってきているので、恐らく言葉は時代とともに変化していくので、ここに固執されているわけではないと思うんですが、一度その中身を見ながら、また近代化という中身と、あといわゆる基本方針の中身を表題として合致させることも時代と共に必要なのかなということをおっしゃっているのかなとは思っております。
新井畜産総合推進室長
なので、中長期的には今後の課題といいますか、そういう点では受け止めたいと思っております。
小針部会長
ありがとうございます。
井上委員、お願いします。
井上委員
タイトルって大事だなと思うんですよね。やっぱりそのタイトルでイメージする。今の畜産関係をイメージする。そのタイトルですよね。それが近代化がイメージできるのかとは少し違うんじゃないかなと私は思うんですよ。
であれば、何がいいのと質問されたら、すぐ答えは出ないんですが、これは検討課題として今後検討していく必要があると思います。より今の畜産経営のイメージに合ったタイトルということで検討していくべきだと思います。
以上です。
小針部会長
木下課長、お願いします。
木下畜産局総務課長
今、井上委員からこの近代化というのが少し時代にそぐわないんじゃないかという御意見がございまして、羽田委員からも最近使わない言葉だなというのは正にそのとおりと思っています。
ただ、私たちどもの事情からしますと、これは法律に基づいて、酪農及び肉用牛生産の近代化を図るために基本方針を作るということになっておりますので、今、現時点で変えるということはできませんので、中身は今の現時点の課題に対応して、今後とも酪農・畜産が発展していけるような、そういったものにしていきたいと思っているところでございます。
小針部会長
前田委員、お願いします。
前田委員
今のタイトルの件で、法律に基づいたスタートの時点の、このことが起こる時代のことがあるので、その中で私たち、鶏・豚が会議に呼ばれているというのは感謝すべきことかもしれませんが、タイトルをこの次にまたお考えになる機会には、私はここにいないんですが、畜産という言葉が入ったり、豚とか鶏とか、その他の畜産もありますが、その辺のところもタイトルに入れてもらうと本当に有り難いなと思います。今回は間に合わないと思いますが、またタイトルをお考えになるときにはどうか思い出していただいたら有り難いです。
小針部会長
ありがとうございます。
石田委員から手が挙がっていますので、お願いします。
石田委員
ありがとうございます。近代化というところについて、私からの意見としましては、非常に多様な意見があって今の時点ではいいのかなと思います。今後検討していくに当たって、様々な方々の意見を集約して、よりよい方向に進んでいければいいのかなと私個人としては。だから、今の時点では正解、不正解というのはないのかなと思っております。
一般論として、今、近代化ってそもそもどういう意味なんだろうなというところで、chatGPTに尋ねたら、やっぱり伝統的な社会や経済、政治の仕組みが、産業化や技術革新を通じて、より合理的で効率的な形に変化すること、これが近代化という意味、解釈としてあるということで、というと、今の水準、今の常識というところに対して合わせていくということも近代化と言えなくもないと感じております。
ただ、やっぱり近代化というイメージ自体が、明治維新ですとか昭和の成長、高度経済成長とか、そういったイメージが強いというところも一方であるので、ただ今のこの時代の持続可能性ですとか、アニマルウェルフェアですとか、そういったところに対して順応していくというのも近代化と言えるかもしれない。
なので、この定義付けについては今後も議論を重ねて、タイトルを変えるというところも先ほどの法律の問題もありますし、酪肉近という、略称でもかなり浸透しているというところも含めて、なかなか一筋縄ではいかないなと思います。例えば最初のあらすじのところで、この近代化、今の時点での近代化というものの定義を確認するような文章を一言二言述べてもいいかなとも思いますし、いろいろ議論があっていいのかなとも思いました。
以上です。
小針部会長
ありがとうございます。
今いろんな頂いた意見を含めて、今回のところでということで、私の考えとしては、まず法律事項でも決まっているということで、今回のところでここを動かすということ自体はまず一旦保留で。それをやるんだったらもっと初めからやらないといけないということも含めて、問題提起を受け止めた上で次の宿題という形にさせていただきたいというふうに思います。
今の石田委員がおっしゃっていただいたように、少し前書きのところにそれを入れるかどうかというのは、全体整合を含めて御相談をさせていただきつつも、という整理かなと思いました。
次回以降ということでいうと、今回1年間通していろんなことを見ていく中で、作っていく上で苦労をした部分として、やはり初めに、こういう方針で作っていきましょうねという立て付けと、今の状況でこのようにやっていきましょうという考えに、少しずれが出てきているのかな。それは今の井上委員がおっしゃった畜産環境、畜産をめぐって取り組まなければいけないことの優先順位というものもやはり変わってきているのかなということも含めて、タイトル、名は体を表すということもそうなんですが、もしかしたら少しその辺りも含めて、今回はまずこれでまとめられているので、これはこれでよしとした上で、次に向けてどのようにしていくのか。いずれにしても検証をしていくと様々課題が出てきて、やっぱりこういう建て方の方がいいよね、というようなことも整理される部分というのも出てくると思うので、それも踏まえて次回のときにどうするのかということにしていただければと思います。
以上で。ということで、井上委員、よろしいでしょうか。
井上委員
はい、よろしくお願いします。
小針部会長
ありがとうございます。すみません、それでは少し時間が押しているということもありまして、ここでまず本文案のところはこれで締めたいと思います。
それでは、続きまして事務局より新たな家畜改良増殖目標や排せつ物の利用の促進を図るための基本方針、養豚農業の振興に関する基本方針の本文案について説明をお願いいたします。
和田畜産技術室長
畜産振興課です。
資料4、新たな家畜改良増殖目標の本文案につきまして、簡単に御説明をさせていただきます。
前回の2月の畜産部会では、資料4-1にございます畜種別のポイントについて御説明をさせていただきました。資料4-2及び資料4-3の本文案につきましては、前回お示ししました骨子案からの大きな変更点といたしまして、1点目としてまえがきの追加、2点目として乳用牛の能力に係る目標数値の追加、3点目としまして各畜種の増殖目標の部分、具体的には頭数の目標を追加しております。今回はこれらの変更点を中心に御説明をさせていただきます。
資料4-2の本文案の1ページ目を御覧ください。まえがき部分となります。
1ページ目の2段落目になりますが、畜産を取り巻く情勢としまして、飼料等の資材価格の高騰等による生産コストの増大等が課題となっていること、また持続的な食料システムの構築に向け、年々進行する地球温暖化や、より高いレベルでのアニマルウェルフェアに配慮した飼養管理などが求められていること、さらに消費につきましては、国内需要や品質に重きを置いた海外需要を見極めつつ、多様な消費者ニーズに応じた畜産物生産を進める必要性があることなどを記述させていただいております。
1ページ目の一番下のパラグラフですが、本目標は畜種ごとに研究会を立ち上げて、それぞれで御議論を頂いたところでございますが、その中で主な御意見としまして、生産性を高めつつ、我が国の飼養環境に合わせた改良を進める必要性、我が国の食料安全保障の観点から、国内での家畜改良の基となる種畜の確保とその改良の推進、改良した家畜の能力を十分に発揮させるための飼養管理技術の向上、このような意見があった旨を記載させていただいております。
また、2ページ目の2パラ目、「このため、」以降ですが、このような委員の御意見なども踏まえつつ、例えば乳用牛におきましては、長命連産性の向上のための疾病抵抗性の評価の開始、暑熱耐性などの日本の飼養環境に適した改良の推進、肉用牛につきましては、脂肪交雑だけではなく、食味等に着目した改良の推進や、短期肥育・早期出荷の普及、豚につきましては繁殖・産肉能力を発揮するため、強健性等につながる肢蹄の評価による改良の推進等に取り組む旨を記載してございます。
そのほかの骨子案からの変更点といたしまして、基本計画や酪肉近とも連動しまして、7ページでございますが、乳用牛につきまして表型値目標、例えば1頭当たりの乳量につきまして、こちら改良増殖目標は10年後目標になっておりますが、令和17年度の目標、9,500から1万キロにすること。また、全畜種におきまして増殖目標として頭数、例えば11ページでございますが、乳用牛の令和17年度の頭数目標などを新しく記載をしたところでございます。
続きまして、資料4-3の鶏の改良増殖目標を御覧いただきたいと思います。
1ページ目、こちらもまえがき部分でございます。
2段落目になりますが、こちらも家畜改良増殖目標と同様に、我が国の家畜改良の増殖の情勢等を記述しております。
それから、その二つ下のパラグラフ、「「家畜づくり」の中でも、」というところの後段になるのですが、鶏につきましては他の畜種に比べましてライフサイクルが短く、改良の効果が現れるスピードが速いことから、目標年度は他の畜種とは異なりまして、5年後の令和12年度を目標年度として定めたところでございます。
続きまして、1ページ目の下から1段目から2ページにかけまして、研究会で議論いただきましたその中では、外国鶏種のシェアが大半を占める中で、国産鶏種の選択肢の幅の確保をすることが重要であること、新たにアニマルウェルフェアの対応としまして、鶏の喧噪性等を低減させる飼養管理手法や改良手法を検討することなどについて御意見があった旨を記載させていただいております。
このような御意見を踏まえつつ、卵用鶏におきましては、長期にわたり高い産卵性を維持する改良を推進、肉用鶏につきましては、生産コストを低減するために飼料要求率と育成率の改良を推進、地鶏等の国産鶏種につきましては、特色ある品質を保持しつつ、合理的な価格水準での供給が図られるよう、生産コストの低減を推進することについて取り組んでいく旨を記載しております。
改良増殖目標につきましては以上です。
続きまして、資料5でございます。家畜排せつ物の基本方針について御説明させていただきます。
こちらの基本方針につきましても、前回、2月の畜産部会で骨子案という形でお示しをさせていただきまして、今回は本文案となっておりますが、内容そのものについては特に変更点はございませんが、改めてポイントの方を御説明させていただきたいと思います。
横紙、資料5-1でございます。
家畜排せつ物の基本方針につきましては、酪肉近等に併せまして見直しをこれまでも行ってきておりまして、今回も肥料価格高騰や畜産関連苦情の深刻化、環境負荷に配慮した生産の必要性の高まりなどの情勢の変化を踏まえて見直しを進めてまいりました。本文案では、基本的な対応テーマとしまして、主に四つのテーマ、こちらの横紙ですと左の国内肥料資源としての有効活用から、一番右の地球温暖化対策まで、四つのテーマに分けて記載をしております。このうち、「New」と記載のあるものにつきましては、今回初めて盛り込む内容、「Update」につきましては、これまでも記載はあるものの、内容を大きく見直した、あるいは具体化した部分でございます。
一番左の国内肥料資源としての有効活用の部分につきましては、前回以降できましたみどりの食料システム戦略や、みどり法に基づく融資などのメリットの周知や計画認定の推進について新たに記載するほか、堆肥流通につきましては地域内での新規需要の開拓、機動的なマッチング体制の整備、県内から県外の段階的な広域流通など、それぞれについてより取組方向を具体化しました。
続きまして、隣のエネルギー利用につきまして、これまでは堆肥としての利用が進まない地域の選択肢として記載をしておりましたが、今回の変更では、残渣の処理のほか、施設の整備費、維持費を勘案した上で、持続可能と判断される場合は有力な選択肢であることとして、現行よりも前向きに記載をしております。
また、その右隣の環境規制の対応につきましては、自治体や地域の体制整備のほか、個別の対応としまして悪臭や排水、それぞれの対応方向を整理しております。特に悪臭対策では、臭いセンサーなどを用いた臭気の見える化による対策の効率化についての記載を追加、水質汚濁対策では、センシング技術を活用した曝気の自動制御技術を活用して、水質改善と併せて電気代削減を図ることなど、新たな技術を活用した取組に記載をアップデートしたところでございます。
一番右の地球温暖化対策につきましては、現行の基本方針には記載がなく、完全に新たな項目となっております。J-クレジットの推進。特に、企業などが先導するプログラム型プロジェクトの推進や、GHG対策により同時に得られるメリット、例えば堆肥の高品質化や飼養効率の向上などについての農家への周知、温室効果ガス削減貢献の見える化をはじめ、畜産分野における消費者理解の醸成に取り組むこととしております。
以上です。
小針部会長
ありがとうございました。すみません。
続いて、企画課長、お願いいたします。
廣岡企画課長
企画課の廣岡でございます。
養豚農業の振興に関する基本方針について本文案を御説明いたします。こちらは平成27年3月に策定いたしました。酪肉近のように5年に1度といった見直し規定はございません。情勢の変化を踏まえて見直すこととなっております。5年前のタイミングでは豚熱の感染拡大がありまして、基本方針の見直しはいたしませんでした。今回は生産コストの増加など、情勢の変化を踏まえて初めて基本方針の見直しに着手しております。
見直しに当たって、これまで2回、様々な分野で養豚農業に携わっておられる方々から意見を聞く会を開催いたしました。頂いた意見を踏まえまして、今回の本文案を作成しております。
資料6-2、基本方針の本文案、本体を御覧いただければと思います。前回の骨子案からの主な変更点について御説明さしあげます。
10ページから11ページにかけてですが、ここに5として豚の伝染性疾病の発生の予防及び豚の伝染性疾病が養豚農家の経営に及ぼす影響の緩和に関する事項というのがございます。
11ページの3行目辺りです。豚熱の清浄化に向けた道筋について追記しております。
また、12ページの4行目から、新しく(5)としまして獣医療提供体制の整備、これにつきましても新しく追記しております。いずれも第2回目の意見を聞く会での意見を踏まえての加筆でございます。このほかにつきましては、前回お示しした骨子案から大きな修正はございません。
以上でございます。
小針部会長
ありがとうございました。
このことについて、委員の方から何か御意見等ありましたら、簡潔にお願いいたします。
前田委員、お願いします。
前田委員
いろいろ意見を盛り込んでいただいてありがとうございます。
その中で、養豚の需要動向に即した生産を行う旨として、飼養頭数の総数は790万頭、現在880万頭、目標が約10%減になっております。後継者の不在であるとか、いろいろな要因でこういう数値が書かれたと思いますが、一つ懸念されるところは、やはり先ほど病気のこととか、資材高、それから環境問題、いろいろあります。それで、自然に後継者不在で減る分もあるんですが、畜産クラスターの活用は不可欠で、資材が10年前と比べて3倍、あるいは4倍というふうに上がっている中で、もろもろ御存じのようにコスト高になっております。
その中で、やはり意欲のある生産者にはどうしてもその支援が必要かと考えておりますので、目標が10%減ったからクラスターの使用は難しいということがないように、御支援の方よろしくお願いいたします。
和田畜産技術室長
頭数について少し補足をさせていただきます。
こちら、頭数は時点頭数になります。したがいまして、1頭当たりの出荷体重の増ですとか、あと母豚1頭当たりの生産頭数、こういうものが増加すると見込んでおりまして、実際に10%出荷頭数が減るわけではないということで御理解いただければと思います。
小針部会長
よろしいですか。
廣岡企画課長
前田委員から意見を頂きました。私の方で畜産関係の施設整備を担当しておりますが、今回その事業についても、例えば規模拡大の要件はなくしたり、あるいはより生産性向上を高めるために、単なる規模拡大ではなくて、単位当たり、1頭当たりとかの生産性の向上とか、そういったものをお願いするということで見直しをしました。引き続きこういう形は重要だと思っておりますので、よく状況を見ていきたいと思っています。
小針部会長
ありがとうございます。
ほかに。よろしければ次に進みたいと思います。
続きまして、事務局より食料・農業・農村政策審議会企画部会における食料・農業・農村基本計画の検討状況について説明をお願いいたします。
新井畜産総合推進室長
資料7を御覧いただければと思います。
基本計画の関係に関しましては、これまでも骨子案など報告してきたところですが、先週14日に企画部会が開催されまして、本文案が示されております。時間の関係もございますので、畜産に関連する部分に絞って御紹介いたします。
まず、7-1を御覧いただきたいと思います。
基本計画の全体の構成を示すポンチ絵になっておりまして、左側に今回の基本計画における五つの大きな柱、この前、五つの柱があるという話をしましたが、それに関係する目標数値、また右側の部分にそのポイントが記載されているということで、2枚にわたって記載されているところでございます。
1枚目の上段の緑色の食料自給力の確保というところですが、右の最後の丸のところに生産資材のことが記載されており、国産飼料への転換を推進するという旨が記載されております。
資料7-2ですが、それぞれの目標・KPIをまとめたものです。
本文案がその後にありますので、資料7-3を御覧いただければと思います。
少し飛びますが、基本計画の13ページから目標とKPIの関係が記載されております。基本計画では、目標とともに施策の有効性を示すKPIを設定しておりまして、(1)我が国の食料供給とありますが、そこの目標として表の一番初めに食料自給率目標が記載されております。その右側にKPIが記載されておりますが、少し字が小さくて恐縮ですが、一つ目のポツに品目ごとの生産量や輸出量、四つ目のポツに食料自給率が設定されております。
次のページになりますが、真ん中のやや下の部分で、飼料の備蓄の確保も目標となっております。
ページが飛んで恐縮ですが、16ページに別表1がございまして、そこに先ほど説明した各品目の国内消費仕向量や生産量、輸出量などのKPIが記載されておりまして、後半部分に畜産物ですとか飼料作物関係が記載をされているとなってございます。
続いて、18ページが輸出の促進ということで、輸出目標などが記載されております。そのKPIとしての輸出重点品目ごとの輸出額が次のページ、19ページの別表2で示されておりまして、上の方に牛肉、豚肉、鶏肉など、輸出額目標が記載されております。
また、更に次のページ、20ページに環境と調和のとれた食料システムの確立・多面的機能の発揮とありますが、そこには温室効果ガスの削減量がありますが、KPIでそこに畜産分野における削減量も記載されております。
目標・KPIに関しては以上でございまして、次に文章部分に入ってまいります。
この前もお話ししたとおり、水田政策の見直しの関係が書かれておりますが、その後に35ページまで飛んでいただければと思います。
35ページ、これまでの企画部会、畜産部会でも、飼料米、子実とうもろこしの記載の必要性の言及があったところでございますが、こちらに関しても中段の(3)飼料作物、(ア)生産とありますが、そこの三つ目のパラグラフに、酪肉近と同様に青刈りとうもろこしや子実とうもろこし、飼料用米などの現場の実態を調査・検証した上で、田畑における耕畜連携の在り方も検討すると。同じ文言が基本計画にも入っているところでございます。
その他は各品目に関する記載ですとか、生産資材としての飼料の記載ですとか環境負荷低減。あと、最後のページに、139、140辺りで、技術体系の将来像と経営モデルというものがございます。ここは割愛しますが、後ほど御参照いただければと思います。
企画部会については、今週の21日にも開催して、その後、取りまとめに向けて動いていくものと承知をしております。
以上でございます。
小針部会長
ありがとうございました。
今の点について、委員の方から質問、御意見等ありますか。
大丈夫であれば、すみません、資料をもう一回開いていただいて、128ページについて一言だけコメントさせてください。
今回のこの事項のところで、食料システムの関係者間の連携というのがこの128ページぐらいかと思います。今回この基本法の中で、合理的な価格形成等々も含めて、様々な取組を食料システム、生産者から消費者までの関係者がみんな一体となってやっていきましょう、というのが一つのメインになっておりまして、そこのところがここで書かれています。
同じような話という、なるべく基本法なり基本計画でこういう方向でやっていこうということと、この酪肉近等々でやっていくところでの平仄というのも取っていきたいなと思っておりまして、今回その需要拡大等も含めて、様々なものを業界全体でやっていきましょうという、この流れと、基本的には今回の基本法改正というのは食料安全保障の確保というものに対して、食料システム全体、関係者全体でやっていこうというのが一つの流れとしてあって、全くそういうことと同じようなこと、その需要に応じて、生産だったり、促進だったりというのは、今回酪肉近でうたわれていることも一緒ですので、そういう意味でも平仄を取りながら作っていけているのかなと思っています。
コメントです。以上です。
少々時間を超過していてすみません。
彦坂委員、お願いします。
彦坂委員
こちらの中で、基本計画の中でなんですが、その上から丸の三つ目、食料自給率の確保のところなんですが、地域計画に基づき担い手への農地の集積・集約化を推進しますという記載があるんですが、地域計画に名前が載っていないと国の事業には基本的には参加できないと私自身はそう認識しています。地域計画の進み方によって、農業生産者が地域計画に入りたいですよとか呼んでくださいという性質のものではなくて、市町村から呼ばれる性質のものなんですよね。
そうすると、何かの形で畜産農家、地域計画から漏れていた場合、例えば畑作だとか水田だとか、農地集約のことが分からない畜産農家が結構いそうな気がするんですが、その辺がどうなのかなと思いました。
小針部会長
事務局からコメントを頂ければと思います。
松本局長、お願いします。
松本畜産局長
私は、企画部会に出席していますので、そういう御指摘は、幾つか私も横で聞いています。実際上は、やはりまず一つは地域計画自体ができて数年見直さないというものではないんだろうというのが、まず共通認識です。まず、最初は頑張って作るが、それぞれリボルビングしていって、新たな課題のものを取り入れていくという形で、結局はその地域で農地なりとか農業をどう振興していこうかというものを取り入れながら形を作っていく性格のものです。
今、彦坂さんがおっしゃるように、最初のところで入っていなかったら逆に畜産サイドから、いわゆるほかの畜産サイドにない方に働き掛けて、こういう耕畜連携をやりたいとか、こういうものを地域の計画の中で位置付けてほしいというものを発信していって、その中できちんと位置付けられていけば、初版の第1弾のところで入っていなくても、そこから随時変わっていくものだと思っています。
彦坂委員
では、畜産農家も待ちではなくて、積極的に市町村に対して地域計画の中で位置付けられるような経営になっていくということで、いろいろ情報交換だとか、共有をしていけばいいということですね。分かりました。ありがとうございます。
小針部会長
飼料課長、お願いします。
金澤飼料課長
局長のお答えのとおりですが、地域計画の議論が始まったときから、畜産サイドからも積極的に議論に入ってくださいということは、機会を通じてやってきたところでございます。ただやっぱりなかなか全国各地、全てが全て議論に入っているかといったら、そうでもない地域も多いと思っております。いずれにしましても、年度内に地域計画自体は取りあえず初版が出てくるので、今後どう進めていくかというのは経営局サイドとも我々もしっかり組んでやっていきたいなと思っています。
小針部会長
ありがとうございます。よろしいですか。ありがとうございました。
本日も長時間にわたり熱心に御審議いただきましてありがとうございました。
なお、本日の御意見なども含め、次回の酪肉近などの答申に向けた字句などの調整を行いたいと考えておりますが、それに関しては部会長の私に御一任頂きたいと思っております。それでよろしいでしょうか。
では、異議なしということで、ありがとうございます。
それでは、最後に事務局から何かあればお願いいたします。
新井畜産総合推進室長
本日も長時間にわたり御審議いただきまして大変ありがとうございました。
次回の畜産部会ですが、月末に開催を予定し、酪肉近及び家畜改良増殖目標の答申を頂くことを予定しております。書面での開催を考えております、詳細につきましては改めて事務局の方から御連絡いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
小針部会長
それでは、これで畜産部会を終了いたします。ありがとうございました。
午後4時17分閉会
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