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農林水産省

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令和4年度に収集した技術的課題(現場ニーズ)

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令和4年度に開催された地域研究・普及連絡会議を通じて、国及び都道府県の行政、研究、普及の関係者から467件の現場ニーズを収集しました。
今年度は、課題を解決することにより、「みどりの食料システム戦略」(令和3年5月策定)の実現に貢献するものについて、その貢献分野を示しました。



本概要のPDFファイルはこちら(PDF : 937KB)


技術的課題リストはこちら(EXCEL : 1,044KB)


令和3年度以前に収集した技術的課題はこちら

1.「みどりの食料システム戦略」の実現に貢献する現場ニーズ

  • 延べ305件の現場ニーズの解決が「みどりの食料システム戦略」の実現に貢献する
  • 化学農薬や化学肥料の使用量低減に関する現場ニーズが多い(図1)

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図1 「みどりの食料システム戦略」における貢献分野別の現場ニーズの割合

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※各貢献分野についてはページ最下部の(参考)を参照。
1つのニーズが複数の分野に分類されている場合があり、各分野の計は課題件数と一致しない。

「みどりの食料システム戦略」における貢献分野別の主なニーズ
※( )内は当課題および類似課題を提出した機関や県名

▶化学農薬(化学農薬使用量の低減)
【米】
品種抵抗性とミネラル資材の利用を核としたイネ病害の防除技術の開発(農研機構)
気候変動に伴い多発化する病害の抵抗性品種育成(埼玉県、岐阜県、三重県)
斑点米発生抑制技術の開発(長野県、岐阜県)

【野菜】
圃場センシング等を活用した土壌病害対策支援システムの構築(農研機構、長野県)
施設栽培葉菜類のクロルピクリン剤を減ずる土壌消毒技術の開発(岐阜県、青森県)
農薬動態把握に基づく露地野菜を対象としたドローン防除技術の開発(香川県)

【果樹】
薬剤耐性・抵抗性のモニタリングと評価手法の確立(長野県)
露地作物における土着化天敵・土着天敵等の高度利用技術の開発(農研機構)
果樹カメムシ類に対する生物農薬の開発(岐阜県)

 

▶化学肥料(化学肥料使用量の低減)
【米】
化学肥料代替資材による水稲高品質・安定生産技術の確立(埼玉県、栃木県、三重県)
輸入に頼らない肥料原料、燃料による稲作(福井県)
低肥料でも安定した収量を維持できる作物栽培技術の開発(福井県)

【麦、豆、畜産】
化学肥料低減と地力維持を両立する輪作体系の構築(秋田県)

【野菜】
化学肥料低減のための土壌メンテナンス技術の開発(農研機構)
窒素利用効率の高い品種の開発と施肥低減栽培技術の開発(農研機構、岩手県、愛知県)
汚泥肥料の有効活用技術の開発(三重県)

▶有機農業(耕地面積に占める有機農業の取組面積の拡大)

【米】
有機栽培で利用できる雑草に負けないアレロパシー能を持つイネの育種(福井県)
大規模化及び大区画ほ場に対応したスマート有機農業技術の確立(新潟県)

【豆】
有機ダイズ栽培で利用できる除草技術の開発(石川県、岐阜県、滋賀県)

【野菜】
有機農産物生産に適した土壌条件の解明(茨城県)
有機栽培に適する野菜品種の探索と栽培・利用技術の実証(長野県)
微生物殺虫剤の効果的な利用の開発(農研機構)

【茶】
有機茶栽培体系における省力除草(三重県)

▶温室効果ガス(農林水産業のCO2ゼロエミッション化)

【米】
温暖化緩和のための炭素貯留型肥料の開発と利用技術の確立(長野県)
水稲のメタン低排出系統選抜のためのメタン排出量の可視化技術の開発(石川県)

【野菜】
野菜生産における生分解性資材によるプラスチック代替生産技術の開発(長野県、青森県、富山県)

【果樹】
果樹せん定枝の循環利用による環境負荷低減技術の開発(福島県)
新たな凍霜害対策技術の開発(栃木県)

▶園芸施設(化石燃料を使用しない園芸施設への移行)

【野菜、花き】
統合環境制御と植物生体情報を活用した高品質生産技術の確立(埼玉県)
地下熱を利用した冷却、加温技術の活用(石川県)
施設園芸における超透過性断熱資材の開発(岐阜県)


2.作目別の分類

  • 野菜、果樹、米、畜産に関する現場ニーズが多く(図2)、これらの上位4つの作目で全体の73%を占める

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図2  技術的課題の分類(作目別)
(「その他」は、特産物、作目全般、水産品等を含む)

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1つのニーズが複数の作目に分類されている場合があり、各作目の計は課題件数と一致しない。

3.主な作目ごとの技術別分類

(1)米

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図3)
  • 栽培技術については、化学肥料使用量の低減や労働生産性の向上、高温障害への対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、環境負荷低減を目指した水稲施肥技術の確立、UAVを用いた水稲直播技術の開発、水稲白未熟粒の発生を抑制する植物調節剤の実用化等
  • 防除技術については、化学農薬使用量の低減や各種病虫害の防除等に関するニーズがあり、主なニーズは、減農薬栽培や有機栽培で利用できる病害虫防除技術の開発、非破壊・非接触による水稲の生育および病害虫発生状況の簡易把握技術の確立等

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図3  米の技術別分類

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1つのニーズが複数の技術に分類されている場合があり、各技術の計は課題件数と一致しない。(以下、同様)

(2)麦

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図4)
  • 栽培技術については、化学肥料使用量の低減等に関するニーズがあり、主なニーズは、化学肥料低減と地力維持を両立する輪作体系の構築、有機質肥料を利活用した畑作物への施用技術の開発等
  • 防除技術については、雑草やかび毒の防除に関するニーズがあり、主なニーズは、難防除帰化雑草のモニタリングおよび防除技術の開発、麦類のフザリウム属かびによる被害実態把握とその防除等

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図4  麦の技術別分類

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(3)豆類

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図5)
  • 栽培技術については、化学肥料使用量の低減や気象変動への対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、化学肥料削減のための有機資材を活用した施肥技術の開発、気象変動に対応した大豆の安定収量対策技術の確立等
  • 防除技術については、化学農薬使用量の低減や各種病虫害の防除等に関するニーズがあり、主なニーズは、黒ダイズの減収要因としてのアブラムシ媒介性ウイルスおよび土壌伝染性病害の発生実態の解明と収量回復技術の確立、ダイズの減収および品質低下対策技術の確立等

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図5  豆類の技術別分類

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(4)野菜

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図6)
  • 栽培技術については、化学肥料使用量の低減や気象災害への対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、化学肥料低減のための土壌メンテナンス技術の開発、気象災害を軽減する露地野菜生産技術の確立等
  • 防除技術については、化学農薬使用量の低減や各種病害虫の対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、施設栽培における微生物農薬利用の省力化、種子伝染性細菌病害の防除技術の高度化等

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図6  野菜の技術別分類

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(5)果樹

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図7)
  • 栽培技術については、生理障害への対策や省力化、有機農業等に関するニーズがあり、主なニーズは、ブドウ「シャインマスカット」の開花異常の機構解明および対策技術の開発、果樹苗木の低コスト省力生産技術と苗木利用技術の開発等
  • 防除技術については、化学農薬使用量の低減や各種病害虫への対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、有用な天敵がいない害虫に対する化学農薬に頼らない防除技術の開発、飛来性害虫の防除対策等

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図7  果樹の技術別分類

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(6)花き

  • 栽培、防除に関するニーズが多い(図8)
  • 栽培技術については、品質や生産性の向上等に関するニーズがあり、主なニーズは、作業労力軽減を目指した鉢花等の高度底面給水システムの開発、実需の要望に対応した切り花供給を可能にする計画的・安定的な栽培技術の構築等
  • 防除技術については、化学農薬使用量の低減や各種病害虫への対策等に関するニーズがあり、主なニーズは、花きにおけるIPM技術の開発、カーネーション萎凋細菌病に対する耐病性程度簡易評価法の開発と耐病性品種を核とした総合防除技術の高度化等

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図8  花きの技術別分類

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(7)茶

  • 栽培、環境対策に関するニーズが多い(図9)
  • 栽培技術については、有機農業や生産性の向上等に関するニーズがあり、主なニーズは、チャにおける有機栽培推進のための技術体系の構築、多収性品種の育種及び多収安定生産体系の構築等
  • 環境対策技術については、温室効果ガスの削減に関するニーズがあり、主なニーズは、茶園におけるCO₂ゼロエミッション化に向けた取り組み、製茶工程における省エネルギー(脱炭素)対策について等

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図9  茶の技術別分類

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(8)畜産

  • 飼養管理、スマート農業、育種に関するニーズが多い(図10)
  • 飼養管理技術については、栄養管理やアニマルウェルフェア等に関するニーズがあり、主なニーズは、高度に改良された肥育豚に対応した精密栄養管理技術の開発、ブタのストレス評価技術の開発とAWへの対応による新たな高付加価値型養豚の確立等
  • スマート農業については、家畜の情報管理や放牧技術に関するニーズがあり、主なニーズは、ICTを活用した簡易な牛体情報測定ツールの開発、中山間地域におけるスマート放牧技術を活用した高収益・低環境負荷の子牛生産等
  • 育種については、飼料生産や家畜の耐暑性向上に向けた雑草競争力の強いチモシー新品種の開発強化、家畜の耐暑性を向上させる育種技術の開発等

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図10  畜産の技術別分類

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4.技術別の分類

  • 栽培、防除、スマート農業、育種に関する現場ニーズが多い(図11)
  • 特に栽培や防除といった営農基本技術に関するものが過半を占める
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図11  技術的課題の分類(技術別)

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1つのニーズが複数の技術に分類されている場合があり、各技術の計は課題件数と一致しない。

(参考)




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お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3127)
ダイヤルイン:03-6744-0408

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