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農林水産省

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捕食性天敵タバコカスミカメをナスの周年栽培体系で利用する技術「ゴマまわし」

ポイント

  • ナスの周年栽培体系に捕食性天敵タバコカスミカメの好むゴマやクレオメを連続して植栽。
  • ゴマやクレオメでタバコカスミカメを温存・増殖させ、その働きを強化。
  • タバコカスミカメの働きによって、微小害虫ミナミキイロアザミウマ等の発生を周年にわたって低く抑制。
  • ミナミキイロアザミウマ等の防除に使用する化学農薬が削減可能。

開発した管理技術「ゴマまわし」のイメージ

ゴマまわしのイメージ図

1)図中の数字は、下の同数字に管理作業等を示す。
2)曲線の矢印はナスの作付期(露地栽培は5~10月、施設栽培は9~6月)、直線矢印は天敵の移動を示す。
3)曲線は天敵温存植物の作付期を示す。

露地栽培
(1)5月上中旬頃にゴマを畝の端等に植栽し、タバコカスミカメを増殖する。播種、植付けは、1か月ごとに実施する。
(2)ゴマで増殖したタバコカスミカメは、ゴマの生育終盤(植付2か月以降)に、自然にナスへ移動する。
促成(施設)栽培
(3)ナス定植前(8月頃)にゴマを施設内の空きスペースに植栽し、タバコカスミカメを放す。
(4)9月頃に露地のゴマからタバコカスミカメを採集し、施設内のナスに放す。
(5)9~10月にクレオメを植栽し、冬期にタバコカスミカメを温存・維持する。
(6)春季、クレオメとこぼれ種から生育したゴマ双方でタバコカスミカメが増殖する。
(7)6月頃に露地のゴマに、7月頃に露地のナスにタバコカスミカメを放す。

露地のナス圃場に植栽したゴマ

植えたゴマの写真

1)ナスの畝端に2株、植栽した。

ゴマの生長に伴って、放したタバコカスミカメは増殖する。

施設(ビニールハウス)内に植栽したゴマ

施設で植えたゴマの写真

1)ナスの定植前に施設の谷間換気口下に株間50cm間隔で植栽した。

ゴマはナスを定植する前に予め植栽しておき、30cm程度以上に生長したらタバコカスミカメを放すのがポイント。

ナスの露地栽培圃場におけるアザミウマ類の発生推移

アザミウマの発生推移

1)調査は、1圃場当たり25株を対象に、1株当たり上・中・下位の2葉に寄生する成幼虫数を計数した。
2)黒矢印は、近隣のナス施設でクレオメごとタバコカスミカメを採集し、ナスに放したことを示す。
3)白抜き矢印は、化学農薬の散布を示す。左より、エマメクチン安息香酸塩乳剤、スピロテトラマト水和剤である。
4)図中の垂線は、標準誤差を示す。

ゴマまわし実践圃場では、7月以降、化学農薬を使用しなくともアザミウマ類が低密度に抑制された。

ナスの施設栽培におけるミナミキイロアザミウマの発生推移

設置法と羽化率の関係

1)タバコカスミカメは、施設内に予め定植したゴマとナスに放した。
2)4施設も定植時にジノテフラン粒剤が処理された。その後、ゴマまわしを実践した2施設では、アザミウマ類に活性のある殺虫剤は使用されなかった。
3)調査は、1施設当たり25株を対象に、1株当たり上・中・下位の2葉に寄生する成幼虫数を計数した。
4)黒矢印は、C施設における化学農薬の散布を示す。左より、ジノテフラン水和剤、アバメクチン乳剤、ルフェニュロン乳剤である。白抜き矢印は、D施設における化学農薬の散布を示す。左より、クロチアニジン水和剤、アバメクチン乳剤、アバメクチン乳剤である。
5)図中の垂線は、標準誤差を示す。


ゴマまわし実践施設では、化学農薬を使用しなくともミナミキイロアザミウマ類が低密度に抑制された。

農林水産省のコメント

天敵の有効活用により、薬剤投入にかかる労力やコストの削減が期待されるが、その際問題となる天敵の定着を後押しする技術であり、今後の普及が期待される。
【生産局園芸作物課】

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本研究成果は【農林水産省委託プロジェクト研究「収益力向上のための研究開発のうち、強みのある農産物づくりのための技術開発」】
(「土着天敵を有効活用した害虫防除システムの開発」)の⽀援を受けて得られたものである。

問い合わせ先

徳島県立農林水産総合技術支援センター
資源環境研究課病害虫・鳥獣担当
電話番号:088-674-1954


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お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3127)
ダイヤルイン:03-6744-0408

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