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農林水産省

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ナスの促成・半促成栽培における飛ばないナミテントウの定着を促進する代替餌システム

ポイント

  • ブラインシュリンプ耐久卵(アルテミア)を導入することで飛ばないナミテントウ幼虫の発育をサポートし、成虫が多く発生する。
  • 天敵温存植物を植栽することで、飛ばないナミテントウ成虫の定着が促進され、防除効果が持続する。
  • 代替餌システムは、複数の捕食性天敵類の餌として機能する。
  • 代替餌システム導入により、飛ばないナミテントウの放飼回数や総放飼頭数を半分程度に減らせる。

アルテミア等を導入することによる飛ばないナミテントウ幼虫の定着促進効果

アルテミアの効果

矢印は、飛ばないナミテントウ幼虫を株あたり5頭放飼したことを示す。(白矢印:アルテミア等を導入した施設ナス圃場で10月14日に1回放飼、黒矢印:導入しなかった圃場で10月14日と11月04日の2回放飼)

アルテミアにショ糖を1:1の比率で混合した代替餌をナス株上に供与した圃場では、供与しなかった圃場に比べて幼虫の定着数が多く、成虫になる個体も多い。代替餌を導入した圃場では放飼回数を半分にしても、アブラムシ防除効果が同等である。

天敵温存植物(スカエボラ)を栽植することによる飛ばないナミテントウ成虫の定着促進効果、およびアブラムシ防除効果の持続性の向上

スカエボラの効果

矢印は、飛ばないナミテントウ幼虫を株あたり10頭放飼したことを示す。ナスの株間にスカエボラを植栽。

飛ばないナミテントウを放飼することでアブラムシの発生を抑えられているが、スカエボラを植えていない圃場では飛ばないナミテントウがいなくなった後にアブラムシが再発する。一方、スカエボラを植栽した圃場では飛ばないナミテントウ成虫が長く定着し、それによりアブラムシの再発が抑えられる。

代替餌システムを利用している捕食性天敵類

代替餌利用の様子

(1)(2)代替餌であるアルテミア資材と天敵温存植物(スイートアリッサム)
(3)(4)アルテミアを食べる飛ばないナミテントウ幼虫とタバコカスミカメ成虫
(5)(6)天敵温存植物の花粉等を食べる飛ばないナミテントウ成虫とタイリクヒメハナカメムシ成虫

代替餌システムを導入することによる飛ばないナミテントウの放飼回数(総放飼頭数)の削減効果

アザミウマの発生推移

白い矢印は代替餌を導入した処理区に、黒く太い矢印は導入しなかった処理区に、アブラムシの発生状況に応じて飛ばないナミテントウ幼虫を放飼したことを示す。矢印の長さは放飼頭数の多さを表す(株あたり5~10頭)。細い矢印は、株ごとに80cm分のアルテミア資材を10回供与したことを示す。

アルテミア資材を供与し、スイートアリッサムを混植した半促成ナス栽培では、飛ばないナミテントウ幼虫の多くが成虫になるまで発育し、アブラムシの発生が少ない時期はスイートアリッサム上で花粉などを食べることにより定着が促進される。飛ばないナミテントウの定着期間が延びることにより、代替餌システムを設導入していない圃場に比べて、飛ばないナミテントウの放飼回数や総放飼頭数が50%以下でも十分な防除効果が得られている。促成栽培においても同様の効果が確認されている。

農林水産省のコメント

天敵によるアブラムシ防除技術である「飛ばないテントウムシ」の利用・普及を後押しする技術として、今後の普及が期待される。
【生産局園芸作物課】

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本研究成果は【生物系特定産業技術研究支援センター「イノベーション創出強化研究推進事業」】(「飛ばないナミテントウの施設利用を促進し露地利用へと拡張する代替餌システムの開発」)の⽀援を受けて得られたものである。

問い合わせ先

国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
西日本農業研究センター 地域戦略部研究推進室
E-mail : www-warc@naro.affrc.go.jp


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お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3127)
ダイヤルイン:03-6744-0408

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