夏期高温期の湛水によるタマネギべと病の一次伝染抑制技術
ポイント
- タマネギべと病が発生した圃場で夏期高温期に湛水することで一次伝染株の発生を抑制できる。
- 湛水期間中は落水せず、水深は常に5cm程度を維持する。
- 処理期間は梅雨明け直後から50日間を必要とする。
- 処理期間の平均地温を30℃以上に保つ必要がある。
タマネギべと病の伝染環
べと病によって枯れた葉に形成される卵胞子は、罹病した茎葉とともに収穫終了後に土中にすき込まれると長期にわたり残存する。この卵胞子が、次作の苗床や本圃でタマネギに感染する。これを一次伝染という。一次感染株は、全身に分生胞子を形成し、周囲の株に感染する。これを二次伝染という。
湛水の様子
稲などの作物は栽培せず湛水のみ行う。また、湛水中は日減水深が20mm未満になるように漏水を防止し、土壌表面が露出しないように常に水深5cm程度に保った状態で処理する。
湛水日数の違いがべと病一次伝染株の発生に及ぼす影響
1)試験場所は佐賀県農業試験研究センター白石分場内圃場。
2)供試品種は「七宝早生7号」。
夏期高温期に湛水するとタマネギべと病の一次伝染を大幅に抑制できる。また、湛水処理期間は約50日を必要とし34日では抑制効果が低い。
湛水時期の違いがべと病一次伝染株の発生に及ぼす影響
1)試験場所は佐賀県農業試験研究センター白石分場。
2)栽培容器は1/2000 a ワグネルポット。
3)調査株数は各区40株。
4)供試品種は「七宝早生7号」。
5)一次感染株の発生株調査機関は12月から4月まで。
梅雨期の処理では平均地温が夏期高温期(約30℃)に比べ約25℃と低くなるため、一次伝染を抑制できない。
農林水産省のコメント
深刻な被害が発生するタマネギのベト病発生を防止する手段の一つとして、普及が期待される。
【生産局園芸作物課】
-----
本研究成果は【生物系特定産業技術研究支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業」(うち地域戦略プロジェクト)】(「西日本のタマネギ産地に深刻な被害を及ぼしているべと病の防除技術の開発と普及」)の⽀援を受けて得られたものである。
問い合わせ先佐賀県農業試験研究センター白石分場 |
他の農業技術を探す
お問合せ先
大臣官房政策課技術政策室
担当者:推進班
代表:03-3502-8111(内線3127)
ダイヤルイン:03-6744-0408