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農林水産省

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麹製造適性に基づく酒米の特性評価マニュアル

ポイント

  • 日本酒づくりの要とも言える麹製造(製麹)を再現し、酒米の醸造特性を予測できる。
  • 酒米の育種において、選抜の早い段階で多数のサンプルを評価でき、効率的で低コストである。
  • 製麹はラボレベルで扱える白米約100gまでスケールダウン、酒蔵での作業を忠実に再現した評価法である。
  • 公設研究機関等で実施できるプロトコルを確立し、マニュアルを作成した。

この評価法の原理

原理

麹製造は、一般的に酒造業界で製麹(せいきく)と呼んでいます。

玄米から麹までの加工工程です。玄米を削って白米とし、吸水させて蒸した米にコウジカビを振りかけ、菌糸を繁殖させたものが麹です。麹の持つ酵素により、白米の持つデンプンやタンパク質が分解され、糖類やアミノ酸が生成されます。日本酒製造に欠かせない麹の分析を行うことで、酒米の原材料面での特徴がわかり、醸造特性が予想できます。

この評価法のステップとフロー

ステップとフロー

この評価法は、「精米」、「製麹(せいきく)」、「分析/評価」の3ステップで構成されています。

この評価法では3ステップから成り立っています。そのステップは、玄米から白米に調整する「精米」、吸水させた白米を蒸して蒸米をつくり麹をつくる「製麹(せいきく)」、麹の成分を分析し、原材料特性を把握する「分析/評価」で構成されています。


ステップ1:精米作業の様子

精米作業

精米作業に必要な物品類とテストミル

「精米」ステップでは、「酒造用材料米全国統一分析法」に準拠して実施します。テストミル(写真奥2台)で精米します。砕米率や真の精米歩合を調べることで、精米時の加工特性が把握できます。


ステップ2:製麹作業の様子

発育ステージとメッシュ図

左:種麹の散布の様子、右:インキュベーターでの培養の様子

「製麹」ステップでは、蓋付きプラスチック容器を用いて麹をつくります。まず、約100gの白米を蒸して冷まし、種麹(麹菌)を振りかけ、インキュベーター中で培養します。実際の酒蔵で行われる「盛り」、「仲仕事」、「仕舞仕事」といった作業に準じて、撹拌したり加温したりしながら、約2日間で作業を完了させます。


ステップ3:分析/評価で得られた結果の例

分析結果

分析結果

 指標を組み合わせ、図示した例。上:糖質系指標、下:アミノ酸系指標

「分析/評価」ステップでは、麹から自己消化液と未消化液を調製し、生化学的に分析します。(1)溶解総合活性、(2)グルコース生成総合活性、(3)アミノ酸生成総合活性、(4)麹含有アミノ酸量の4つの指標を算出します。この4つの指標に基づいて、対照品種と比較を行い、サンプルの酒質を予測・評価します。


『麹製造適性に基づく酒米の特性評価マニュアル』の冊子

マニュアル

マニュアルは、公設試験研究機関の研究職員の利用を想定した内容となっています。冊子は、酒米育種担当者が実験の際に使いやすいよう作業手順に沿って記載しています。醸造施設が無い研究機関でも実施できる内容となっています。

農林水産省のコメント

少量のサンプルを用いて生成された麹やアミノ酸に関するデータを分析することで、従来の小規模醸造試験と比較してサンプル量や分析にかかる時間を大幅に低減でき、効率的かつ効果的に酒造好適米の品種育成が可能となる。試験場や研究機関等での活用が期待される。
【政策統括官付穀物課】

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本マニュアルは、農研機構生研支援センターイノベーション創出強化研究推進事業(課題番号:27034C)の支援により作成・発行されました。

成果に関するお問い合わせ先

長野県農業試験場  育種部
電話番号:026-246-9783


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