園芸用施設への微小害虫の侵入を抑制する新防虫ネット
ポイント
- 新防虫ネット(商品名:虫バリア)は、通気性能と防虫性能が両立している。
- 網糸に合成ピレスロイド剤(エトフェンプロックス)を練り込み、微小害虫を忌避する。(殺虫効果はない。)
- コナジラミ類、アザミウマ類、アブラムシ類等の微小害虫を忌避する。
- ハウス等の施設園芸専用であり、作物に直接触れるベタガケやトンネルには使用できないことに注意。
従来品の防虫ネット(0.75mm目合い)とオンシツコナジラミの体長、体幅の関係
これまでの園芸施設では、一般的に0.6~0.8mm目合いの防虫ネットが適用されてきましたが、近年、コナジラミ類やアザミウマ類などの微小害虫が媒介するウイルス病による園芸作物への被害が大きな問題となっており、これら微小害虫の侵入を抑制するには、従来よりも目合いの小さな0.4mm以下の防虫ネットを適用することが推奨されています。
新防虫ネットの効果
防虫ネットの網糸の表面に滲み出るエトフェンプロックスは微量であるとともに、特殊な技法で練り込まれているため、蒸散・揮発せず、その忌避効果は約5年間持続されるように製造されています。また、害虫は網糸に直接触れることによりエトフェンプロックスを感知し、防虫ネットに長時間留まり続けることを防ぐ化学的忌避効果があります。
プラスチック製の容器は防虫ネットで仕切られており、ネットの裏側にはキュウリ苗が置かれてます。容器内の手前側にオンシツコナジラミを放飼すると、右側の容器ではオンシツコナジラミが従来品防虫ネットを潜り抜けて行きますが、新防虫ネットで仕切られた左側の容器ではオンシツコナジラミがネットに定着することを忌避しています。
微小害虫の侵入を完全に防ぐことはできませんが、同じ目合いの従来の防虫ネットよりも農薬の使用回数を減らすことが期待されます。
農林水産省のコメント
多くの施設園芸作物において、コナジラミ類やアザミウマ類の防除は重要課題となっている。従来の防虫ネットと比較して、侵入抑制効果と通気性を確保した効果的な新技術であり、普及が期待される。
【生産局園芸作物課】
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本研究成果は、農林水産省革新的技術開発・緊急展開事業「施設園芸における高機能性被覆資材の利用技術体系の開発」の支援を受けて、農研機構、千葉大学、株式会社イノベックスの共同研究により得られたものである。
成果に関するお問い合わせ先国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 |
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