施設栽培葉ジソ(オオバ)のシソモザイク病に対する総合的防除技術
ポイント
- 物理的防除法、耕種的防除法、化学的防除法、生物的防除法を組み合わせることで、シソモザイク病の被害を低く抑えることができる。
- シソサビダニの侵入防止対策として、ハウスの開口部に0.6mm目合いの防虫ネットを展張する。
- 収穫開始までは1週間毎、収穫期間中は1ヵ月毎に殺虫剤を散布してシソサビダニを防除する。散布間隔が開く場合はボーベリア・バシアーナ乳剤を補助的に処理する。
- 発病の拡大防止のため、ハウス内で発病した株または枝を除去する。また、感染源除去のため、圃場周辺で発病したシソやエゴマも除去する。
ネットの目合いによるシソサビダニの侵入抑制効果
注1) 針金製の20cm×20cm×35cmの直方体枠内に、スライドグラス(2.6cm×7.6cm)の片面にシリコーングリースコンパウンド(東レ・ダウコーニング(株)製)を塗布した粘着トラップ(上遠野,1979)を高さ10cm、15cm、20cmにそれぞれ1枚設置した。この直方体枠を袋状(80cm×40cm)にした目合いの異なるネットの中に入れ、室内の実験台上に置いた。次に、シソサビダニが寄生し、さび症が見られた葉ジソの側枝を100mlの三角フラスコに挿し、それぞれの直方体枠から50cm離して一つずつ設置した。その後、葉ジソを挿した三角フラスコ後方からそれぞれの直方体に向けて扇風機(トラスコ中山株式会社製、品番ERF-450M)で60分間送風した。
2) 試験はネット目合いの異なる直方体の位置を変えて4反復で実施した。
a) 粘着トラップ3枚あたりに付着したシソサビダニ数。
b) 接種源として用いたオオバ側枝ごとに反復とした。
c) 対照の虫数を100とした時の各目合いの虫数の割合。
シソサビダニは風に乗って移動するので、施設開口部に0.6mm目の防虫ネットを展張するとシソサビダニの侵入抑制効果が高い。4mm目の防風ネットでもある程度の侵入抑制効果はあるが、0.6mmよりは劣る。
数種薬剤のシソサビダニ成虫に対する殺虫効果
注1) 0.8%寒天溶液をプラスチックシャーレ(直径6cm、深さ2cm)に入れ、固化させた後、直径1.6cmの葉ジソリーフディスクを置き、シソサビダニの成虫を15頭ずつ接種した。接種後、みずほ式回転薬剤散布塔を用い、圧力200mmHg/cm2で所定濃度に希釈した薬液(クミテン5,000倍加用)を4mLずつ処理した。
2) 3連制で試験を実施し、処理後は25℃、16L-8D条件下で保持し、3日後に実体顕微鏡下で生死を調査した。
3) 数値は処理3日後の補正死虫率を示す。補正死虫率=(無処理区の生存率-処理区の生存率)/無処理区の生存率×100
4) 対照(イオン交換水、クミテン5,000倍加用)処理の死虫率は0~11.4%であった。
ミルベメクチン乳剤、ピリダベン水和剤、フェンピロキシメート水和剤、エマメクチン安息香酸塩乳剤の殺虫効果が高い。収穫までの日数を考慮して、定期的に薬剤を処理する。
6月定植の施設栽培葉ジソにおけるシソモザイク病累積発病株率の推移
注1)場所:当センタープラスチックハウス、品種:高知在来、定植:2017年6月29日
注2)体系防除区(300株):物理的防除法として0.6mm目合いの防虫ネットの展張、耕種的防除法として圃場内で発病を確認した側枝を除去、化学的防除法、生物的防除法としてシソサビダニを対象とした薬剤防除を概ね1ヵ月間隔で実施。対照区(300株):4mm目合いの防風ネットを展張。シソサビダニを対象とした防除は行わなかった。
注3)▼▼は体系防除区のシソサビダニを対象とした薬剤散布を、▽は対照区の他の害虫を対象とした薬剤散布のうち、シソサビダニに効果のある薬剤散布を示す。A:エマメクチン安息香酸塩乳剤、B:ミルベメクチン乳剤、レピメクチン乳剤、D:ボーベリア・バシアーナ乳剤
本防除体系を基にした体系防除区では、シソサビダニの発生がほとんど認められず、シソモザイク病を発病株率で約10%以下に抑えることができた。
農林水産省のコメント
長らく有効な防除方法がなかった葉ジソのシソモザイク病に効果的な防除体系であり、普及が期待される。
【生産局園芸作物課】
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本研究成果は「農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業」(課題名:シソサビダニが引き起こすオオバのモザイク病およびさび症の防除体系確立)の支援を受けて得られたものである。
成果に関するお問い合わせ先高知県農業技術センター生産環境課 |
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