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モモせん孔細菌病春型枝病斑の発生傾向と複数回病斑せん除による防除効果

ポイント

  • モモせん孔細菌病の重要な伝染源である春型枝病斑をせん除することにより、被害を軽減できる。
  • 春型枝病斑は長期間にわたって発生するため、病斑のせん除は複数回実施する必要がある。
  • 春型枝病斑は、1年枝の先端を中心に観察することで効率的に発見できる。
  • 樹冠上部に発生した春型枝病斑については特に注意し、見逃さずにせん除する。

モモせん孔細菌病の春型枝病斑について

春型枝病斑

左:モモせん孔細菌病の春型枝病斑、右:モモせん孔細菌病の被害果実

モモせん孔細菌病の病原細菌は前年の秋季に枝に感染してそのまま越冬し、翌年の春季に伝染源である春型枝病斑を形成して周囲に飛散します。春型枝病斑の発生が多い場合には、モモせん孔細菌病の被害が大きくなる危険性が高くなるため、病斑のせん除が重要な防除対策となります。

春型枝病斑の発生時期と発生量

発生時期と発生量

春型枝病斑が発生した枝(発病枝)の各月別の発生割合。

モモせん孔細菌病の発生が多い樹を対象に調査を行ったところ、春型枝病斑の発生は発芽10日後頃(3月下旬~4月上旬)から始まり、4~5月に発生盛期を迎え、その後7~8月まで継続して発生が認められました。

春型枝病斑の発病部位

発病部位

春型枝病斑の部位別の発生割合(3~8月の合計)。長さ5cm以上の1年枝を対象に調査を実施。同一枝に複数の病斑が発生している場合があったため、各発病部位別割合の合計値は100%とならない。

春型枝病斑の発生は、1年枝の先端部、中央部、基部のいずれの部位でも確認されましたが、先端部での発生が特に多い傾向が認められました。

春型枝病斑の複数回せん除による防除効果

防除効果

「ゆうぞら」無袋栽培での収穫期における調査結果。2016年は3~8月まで概ね7日間隔、2017~2018年は降雨予測日の前日に病斑せん除を実施した。2016年は無機銅剤及び抗生物質剤は散布せず、2017~2018年はそれら薬剤を含む慣行防除を実施した。

春型枝病斑の複数回せん除区と無せん除区を設けて試験を実施したところ、複数回病斑せん除区の収穫期における果実被害は、無せん除区の1/3~3/5程度に減少しました。

樹冠上部での春型枝病斑を見逃さない

樹冠上部

樹冠上部での春型枝病斑の発生とその直下における新梢葉での発病

モモせん孔細菌病の病原細菌は降雨によって飛散するため、樹冠上部に春型枝病斑が発生した場合は、病斑の直下での被害が大きくなります。病斑せん除の際は、樹冠上部での発生を見逃さないように注意しましょう。

農林水産省のコメント

高品質なももの安定的な生産・出荷を図るためには、果実の外観品質を低下させるモモせん孔細菌病の防除体系を確立することが非常に重要な課題となっている。本技術の導入・普及により、本病の被害を低減できる防除体系を確立することが可能となれば、もも生産の持続的発展に貢献することが期待できる。
【生産局園芸作物課】

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本研究成果の一部は【生物系特定産業技術センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」】(「モモ・ナシの高品質・安定生産を実現する病害防除体系の実証研究」)の支援を受けて得られたものである。

成果に関するお問い合わせ先

福島県農業総合センター果樹研究所
病害虫科
電話番号:024-542-4199


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