緑肥利用マニュアル-土づくりと減肥を目指して-
ポイント
- 緑肥を活用した土づくり、減化学肥料栽培に役立つ技術を紹介。
- 緑肥作物の種類やすき込み時期に応じた土づくり効果を堆肥との比較で定量的に提示。
- 緑肥作物の種類やすき込み時期に応じた減肥可能量を養分の種類ごとに提示。
- 収量を維持・向上させながら堆肥や化学肥料を減らすことで、所得に効果。
- 様々な導入事例について、栽培暦や導入のメリットを掲載。
緑肥の様々な効果
緑肥は、有機物補給による土壌の団粒化や根伸長による下層土の硬度・透水性の改善等により、土づくりに役立つ。また、根粒による窒素固定や溶脱養分の吸収による養分の蓄積、有機物補給による有用生物の活性化は、いずれも減肥に役立つ。さらに、有害生物の制御や土壌侵食の防止などにも効果が期待できる。
緑肥ソルガムと同量の有機物を土壌に蓄積させるのに必要な牛ふん堆肥の量
*ソルガムを草丈2mですき込み、1年後に土壌に残存する炭素量を基準に、有機物蓄積効果を堆肥と比較。
*すき込んだ緑肥と堆肥の炭素分解率は、ガラス繊維ろ紙法で調査。
*10aあたり炭素150 kgの有機物を蓄積させるのに、牛ふん堆肥は1.4tの運搬・散布が必要である一方、ソルガムは5 kgの種子の播種で良い。
土づくりに重要な有機物補給に関しては、すき込んだ緑肥の炭素分解率を牛ふん堆肥と比較することで、緑肥の土壌への炭素蓄積量が牛ふん堆肥の何トンに相当するのかを求め、それを指標に、様々な緑肥の有機物蓄積効果を定量的に示している。
ヘアリーベッチの導入と減肥(窒素・リン酸・カリ50%減肥)がスイートコーンの収量に及ぼす効果
*本事例では、ヘアリーベッチを導入した区で窒素・リン酸・カリを50%減肥しても、緑肥なし慣行施肥区とスイートコーンの収量が同等。
肥料効果については、緑肥を栽培してすき込む区と緑肥を栽培しない区を設け、それぞれに、施肥量を変えて主作物を栽培することにより、緑肥の導入によって、次の作物の収量を減らさずに、施肥量をどのくらい減らすことができるのかを評価している。
農林水産省のコメント
これまで特定の県では緑肥の活用のための資料がだされていたが、日本全体のマニュアルは初めて。緑肥導入の効果を堆肥と比較しながら紹介するとともに、所得への効果、労働時間への影響、導入に必要な機械などもあわせて示している点、普及資料として広く活用が期待される。
【生産局農業環境対策課】
詳細情報
2019年度普及成果情報「土づくりと減肥のための緑肥利用マニュアル」[外部リンク]
「緑肥利用マニュアル-土づくりと減肥を目指して-」[外部リンク]
SOP20-408「土づくりと減肥のための緑肥利用標準作業手順書」[外部リンク]
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