よくあるご質問(回答)
【基本用語】
1 農地中間管理機構(農地バンク):都道府県、市町村、農業団体等が出資して組織されている法人であり、都道府県知事が県に一つに限って指定することで「農地中間管理機構」となります。 地域によっては「農地バンク」「機構」「公社」などと呼ばれています。
2 協議の場:市町村が主催する地域の農業者等による話し合いのことです。将来の農業の在り方や、誰がどの農地を利用していくのか等を話し合うこととなります。
3 地域計画:農業経営基盤強化促進法(昭和55年法律第65号)が改正(令和5年4月施行)され、「人・農地プラン」は「地域計画」として法定化されました。地域計画は「協議の場」の結果を踏まえて市町村が作成するとともに、必要に応じ、随時見直しを行います。
4 目標地図:地域計画の中で、将来の地域農業の在り方や、地域の農地の効率的かつ総合的な利用を図るために誰がどの農地を利用していくのかを一筆ごとに定めた地図のことです。
5 農用地利用集積等促進計画:農地中間管理機構が農地を借り受けたり、貸し付けたりする際に作成する計画です。この計画を都道府県知事が認可・公告することで、この計画に記載された権利設定等の効力が生じます。
【 回答 】
Q1 農地中間管理機構(農地バンク)とはどのような事業を行う組織ですか。
1 農地中間管理機構(以下「農地バンク」といいます。)※1は、農地を貸したい人(以下「出し手」といいます。)から農地を借り受け、耕作を希望する人(以下「受け手」といいます。)にまとまりのある形で農地を貸し付ける事業を行っています。
2 農地バンクは令和5年度より、市町村が、「協議の場」※2の結果を踏まえ作成した「目標地図」※4を含む、「地域計画」※3の達成に資するよう、地域計画に位置付けられた者に農地の貸借等を行います。
Q2 農地バンクを通じて農地を借りたいのですが、どこに相談すればよいですか。
1 農地バンクは市町村が作成した地域計画に位置付けられた者に対して農地の貸し付けを行います。
また、地域計画外の区域についても、必要に応じて農業委員会が農地バンクに対して農用地利用集積等促進計画(以下「促進計画」といいます。)※5を定めるべきことを要請する等により、農地バンクを通じた権利設定は可能となっています。
2 このため、農地の貸し借り等のご相談については、該当地域の、地域計画の策定主体である市町村または農地利用最適化業務を行う農業委員会にお問い合わせください。また、農地バンクにも相談窓口を設置していますので、お気軽にお問い合わせください。
➡各農地バンクのHPはこちら
Q3 農地バンクでしか貸し借りはできなくなると聞きました。今後の農地の権利移動はどのように行われるのですか?
1これまでの市町村が作成する相対の計画による貸し借りでは、農地の分散錯圃が解消されず、農地の集約化を進めることが困難でした。
2このため、農業経営基盤強化促進法の改正により、市町村が作成する計画による農地の貸し借りを農地バンクを経由した方法に統合しました。(※)
今後は農地バンクが地域計画に基づき、分散した農地をまとめて借り受け、必要に応じて整備した上で、受け手が使いやすい形で農地を貸し付けていきます。
(※)令和7年4月以降も農地法3条許可による手法は引き続き利用可能です。
➡令和5年度以降の農地の権利移動の方法について、詳細はこちら(PDF : 295KB)
Q4 農地バンクが作成する計画は、農業者の営農計画にあわせて作成することができますか?
1 多くの農地バンクは、月1回以上の頻度で促進計画を作成することとしており、その他の農地バンクでも農業者の意向に即した柔軟な対応ができるようになっていると承知しています。
2 国としては、地域計画に位置付けられた者への農地の権利設定について、一部添付書類の省略を可能にするとともに、促進計画が円滑に作成されるよう標準的な処理期間等を各農地バンクがHP等で公表することを推奨しているところです。
Q5 農地バンクを利用した場合、どのようなメリットがありますか。
地域計画に基づき農地バンクが農地の借り受け及び貸し付けを行い、一定の要件を満たす場合には、地域に対して協力金が交付されたり、農家負担ゼロの基盤整備が可能となったりするほか、出し手・受け手に対しても支援措置が用意されています。
➡メリットについての詳細はこちら(PDF : 384KB)
Q6 遊休化した農地でも借りてもらうことはできますか。
1 地域計画では、地域の農業者等による話し合いで、遊休農地や所有者不明農地を含めた地域内の農地について、一筆ごとに耕作する者を目標地図として明確化することとしています。
2 地域計画は、一度決定したら変更できないものではなく、定期的に見直すことも可能ですので、遊休農地であっても、草刈り等の簡易な整備を行うことで耕作する者が位置付けられる場合は、農地バンクが出し手から当該農地を借り受けて、簡易な整備を行った上で、受け手に貸し付けることができます。
➡「遊休農地解消対策事業」の詳細はこちら(PDF : 289KB)
Q7 共有状態の農地を借りたい場合どのようにすればよいですか。
1 地域計画に位置付けられた者が共有状態にある農地を借りようとする場合には、農地バンクが作成する促進計画を活用することができます。
2 共有状態となっている農地であっても1/2を超える共有持分を有する者の同意が得られていれば、農地バンクは最長40年の期間で借り受けることが可能であり、その後に当該農地を受け手に貸し付けることとなります。
3 また、共有者が1/2以下であっても、共有者のうち一人でもわかっていれば、農業委員会の探索・公示(2カ月)の手続きを経て、農地バンクが借り受けできる仕組みが用意されていますので、詳細は農業委員会又は農地バンクにお問い合わせください。
➡共有農地の制度概要はこちら(PDF : 291KB)
Q8 隣接農地を借りたいが、相続人(所有者)が不明のため借りられない状況です。どうすればよいですか。
1 所有者が不明な農地であっても、農業委員会が農地法に基づいて探索・公示(2ヶ月)の手続を行った上で、農地バンクが都道府県知事に利用権設定の裁定を申請します。当該裁定により、農地バンクに利用権が設定され、当該農地の貸し付けができるようになります。
2 なお、農地バンクは、地域計画に位置付けられた者に対して農地の貸し付けを行うことになりますので、まずは市町村又は農業委員会にお問い合わせください。
➡所有者不明農地の制度概要はこちら(PDF : 291KB)
➡所有者不明農地の活用についてはこちら(事務マニュアル、活用実績等)
Q9 農地バンクを利用した場合の借賃はどのように決まり、いつ支払われるのですか。
1 農地バンクを利用する場合の借賃は、農業委員会が提供する借賃情報等を参考に、出し手と受け手、及び農地バンクの三者が協議して決めることとなります。
2 また、農地バンクを経由した支払い(受け手からの納入、出し手への支払)については、11月・12月に行っているところが多いようですが、詳細は農地バンクにお問い合わせください。
Q10 農地バンクに農地を預けたいのですが、貸付期間に制限はあるのですか。10年以上貸してもらいたいと言われました。
1 基本的には現場の実情に合わせ、農地バンクとの調整の上で柔軟に貸付期間を決定していただくこととなりますが、他方で地域計画はおおむね10年先を見通して策定されるものであり、その達成に向けて農地バンクは農地を借り受けることとしています。
2 このため、貸付期間については、地域計画の達成や受け手の経営の安定・発展に資するよう、できるだけ長く設定していただくようご理解をお願いいたします。
Q11 農地バンクから農地を借り受ける場合、どのような手続きが必要となりますか。
1 農業委員会が出し手・受け手の意向を確認し、地域の農業者等の関係者の話合いを踏まえて市町村が地域計画を作成します。この地域計画に基づき、農地バンクが市町村や農業委員会等とも連携して、出し手・受け手が希望する貸借の期間、借賃、借賃の支払方法等について調整を行うこととなります。
2 こうした調整の後、農地バンクは促進計画を作成し、都道府県知事の認可・公告を経て、受け手は農地を借り受けることとなります。
3 農地バンクが促進計画を作成するに当たって、受け手が用意する書類としては、
(ア) 現に使用収益等している農地の利用の状況
(イ) 耕作に必要な機械の所有の状況
(ウ)農作業に従事する者の数及び配置の状況
(エ)法律その他の農業に関する法令の遵守の状況
(オ)受け手が個人の場合、耕作の事業に必要な農作業への従事状況
等がありますが、これらの一部を省略できる場合もありますので、詳細は農地バンクにお問い合わせください。
Q12 農地の出し手に相続が生じた時はどうすればよいですか。
1 農地バンクが借り受け、受け手に貸し付けている農地において、農地の所有者が死亡し、相続人が新たな農地の所有者となった場合であっても、賃貸等の契約は相続人に引き継がれることとなります。
2 その際、農地バンクは、契約が円滑に継続されるよう、相続人に対して、農地の貸出先・貸出期間・賃料等の契約内容を説明し、改めて賃料の支払先等を確認することとしています
Q13 農作業受託を希望していますが、農地バンクは仲介していますか。
1 農作業受託により地域計画を達成しようとする場合には、農地バンクは当該農作業の受委託を取り扱うことができます。
2 農地バンクが取り扱う農作業については、各農地バンクの判断になりますが、将来的に貸借に移行することが見込まれる「特定農作業受託」又は「基幹三作業以上の受託」が基本と考えています
Q14 新規就農を希望していますが、農地バンクでは研修を行っていますか。
農地バンクによっては、新規就農等のための研修を行っているところもありますが、農地バンクごとに研修内容等が異なってきますので、どこで就農したいのか等を検討してから農地バンクにご相談ください。
Q15 農地にハウス等の農業用施設を設置したいのですが可能ですか。
1 農地バンクから借り受けた農地に農業用ハウス等の農業用施設を設置しようとする場合は、農地バンクの同意が必要であり、農地バンクは出し手の承諾を得た上で同意することとなります。また、契約が終了した場合には、自分が設置した農業用施設を収去して原状を回復する義務を負うことになるのが一般的な取扱いです。
2なお、農業用施設の設置については、一般的に農地転用の許可が必要となりますので、農地の所在する農業委員会にご相談ください
Q16 機構集積協力金について詳しく教えてください。
1 機構集積協力金のうち「地域集積協力金」は、農地バンクを活用して、担い手への農地集積・集約化に取り組む地域に対して交付するものです。協力金は、農地バンクの活用率等に応じて交付されます。
交付額は、農地バンクに貸し付け等を行った面積に対して、2.8~3.4万円/10a(農作業委託は1.4~1.7万円/10a)を乗じた額となります。
2 機構集積協力金のうち「集約化奨励金」は、農地バンクからの転貸等を受けて、農地の集約化に取り組む地域に対して交付するものです。
交付額は、農地バンクからの転貸等により新たに増加した1㏊以上(中山間地域又は樹園地は0.5㏊以上、北海道は6㏊以上)の団地面積に対して、1.0~3.0万円/10a(農作業受託は0.5~1.5万円/10a)を乗じた額となります。集約化奨励金は団地面積の増加割合に応じて交付されますが、団地面積の割合の増加幅によって設定される区分の上昇によって、再度交付を受けることが可能となっています
➡機構集積協力金交付事業の詳細はこちら(PDF : 1,895KB)
Q17 農地バンクを活用した農家負担ゼロの基盤整備事業について詳しく教えてください。
1 農地中間管理機構関連農地整備事業は、施工地域の全ての農地について、農地バンクが15年以上の借り受けをしていることや、事業対象面積が10ha以上(市町村が実施主体の場合または中山間地域の場合は5ha以上)であること等の要件を満たす場合に、農家負担ゼロで基盤整備ができる事業です。
2 また、令和4年度より、従来の区画整理に加え、新たに農業水利施設等の整備も行えるようになりました。
3 加えて、令和7年度より、農地バンクが所有する農地においても、基盤整備事業を行えるようになりました。
➡農地中間管理機構関連農地整備事業リーフレットはこちら(PDF : 556KB)
➡農地中間管理機構関連農地整備事業の詳細(実施要綱・実施要領等)はこちら
Q18 税制上のメリットについて詳しく教えてください。
1 所有する全ての農地(10a未満の自作地を除く)を、新たに農地バンクに10年以上の期間で貸し付けた者に対しては、固定資産税を一定期間1/2に軽減する措置があります。
(ア)15年以上の期間で貸し付けた場合には、5年間
(イ)10年以上15年未満の期間で貸し付けた場合には、3年間
2 また、農地バンクの促進計画等により農用地区域内の農地を譲渡した場合に譲渡所得を特別控除できる所得税の軽減措置があります。
(ア)促進計画により譲渡した場合800万円
(イ)農業経営基盤強化促進法に基づく農地バンクとの買入協議により譲渡した場合1,500万円
3 農地バンクの促進計画により農用地区域内の農地を取得した場合、登録免許税及び不動産取得税を減額できる措置があります。
(ア)登録免許税:固定資産課税台帳の固定資産価格×2%→固定資産価格×1%
(イ)不動産取得税:固定資産課税台帳の固定資産価格×4%→固定資産価格×2/3×4%
➡農地バンクの活用に係る税制の詳細はこちら
Q19 農地バンクに農地相談員(現地コーディネーター)がいると聞いたのですが、どのようなサポートを受けられますか。
農地バンクが現場段階で事業を円滑に推進するために配置している農地相談員(通称:現地コーディネーター)は、今後、地域計画の達成に向けて、
(ア)農地の借り受け・貸し付けに関する協議・調整
(イ)農家負担ゼロの基盤整備の実施に向けた土地改良区との調整
(ウ)農地バンクによる遊休農地解消に向けた関係者との調整
等の活動を精力的に行っていくこととなります。
お問合せ先
経営局農地政策課
担当者:農地集積・集約化促進室
代表:03-3502-8111
ダイヤルイン:03-6744-2151