農業経営の収入保険(詳細)
加入できる方
青色申告を行っている農業者(個人・法人)が対象です。加入申請時に、青色申告実績が1年分あれば、加入できます。
(加入申請時に、青色申告実績が4年未満の場合は、4年分ある場合に比べて小さい補償規模から加入できます。)
収入保険に加入できるのは、正規の簿記(最高65万円の特別控除)又は簡易な方式(10万円の特別控除)による青色申告です。
現在、白色申告を行っている方は、複式簿記までは求められない簡易な方式の青色申告に切り替えて、1年分の青色申告実績ができれば、収入保険に加入できます。
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加入・支払等のスケジュール
(1)保険開始前までに加入申請
加入申請は、保険期間が始まる前の月までに行います。
収入保険の保険期間は、1年間(12ヶ月)で、税の収入算定期間と同じです。
個人の場合は、1~12月、法人の場合は、事業年度の1年間が保険期間となります。
収入保険の加入契約は、全国農業共済組合連合会(NOSAI全国連)と結びます。加入申請等の窓口業務は、各地域の農業共済組合等が担当しますので、加入申請等の手続きについては、最寄りの農業共済組合等に、お尋ねください。
〇収入保険の相談窓口(NOSAI全国連の業務委託先)(PDF : 111KB)
★保険期間が令和5年1月~12月の農業者の場合のスケジュール(イメージ)
(2)事故が発生した場合の対応
保険期間中に収入減少に関係する事故が発生した場合は、加入申請を行った農業共済組合等に対して、事故発生の通知を行います。
事故発生の通知は、共通申請サービス(eMAFF)を利用して、ご自宅のパソコンなどから24時間365日いつでも行えるほか、メールや電話による連絡でも可能です。
自然災害や価格低下などにより補てん金の受け取りが見込まれる場合は、補てん金の受け取りまでのつなぎとして、NOSAI全国連から無利子の融資(つなぎ融資)を受けることができます。詳細は(6)つなぎ融資の実施を参照ください。
補償内容
(1)補償の対象
自然災害による収量減少や価格低下だけでなく、災害で作付不能、病気などで収穫不能など、農業者の経営努力では避けられない収入減少全般が補償の対象です。
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(2)原則として全ての農産物が対象
収入保険は、農業者が自ら生産し、販売した農産物の販売金額全体を対象収入とします。なお、原則として全ての農産物が対象です。
(農産物には、精米、もち、荒茶、仕上茶、梅干し、干し大根、干し柿、干し芋、乾しいたけ、畳表、牛乳などの簡易な加工品も含まれます。)
収入減少だけでなく、コスト増も補てんする肉用牛肥育経営安定交付金(マルキン)等が措置されている肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵については、収入保険の対象品目には含めません。
収入保険の対象収入は、青色申告決算書等を用いて、次式により計算します。
対象収入=農産物の販売金額+農産物の事業消費金額+(農産物の期末棚卸金額-農産物の期首棚卸金額)
雑収入については、農産物の販売収入に関係ないものも含みますので、基本的には計算式には入れません。ただし、雑収入に計上されているものであっても、農産物の販売金額と同等のものについては、農産物の販売金額に含めることとしています。
例えば、(ア)農産物の精算金、(イ)畑作物の直接支払交付金、甘味資源作物交付金、でん粉原料いも交付金及び加工原料乳生産者補給金の数量払、(ウ)家畜伝染病予防法に基づく手当金、植物防疫法に基づく補償金、(エ)JTの葉たばこ災害援助金は、農産物の販売金額に含めます。
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補てんの仕組み
(1)補てんの仕組みの概要
保険期間の収入が基準収入の9割(5年以上の青色申告実績がある場合の補償限度額の上限)を下回った場合に、下回った額の9割(支払率)を上限として補てんします。
補償限度額と支払率は複数の割合の中から選択できます。
補てん方式には、保険方式と積立方式の2つがあります。保険方式の加入は必須ですが、積立方式にも加入するかどうかは、農業者が選択することができます。積立方式にも加入する場合は、積立方式の補償幅は、基準収入の5%又は10%から選択ができます。
補てんは、積立方式から先に発動されます。

(2)基準収入の設定の仕方
基準収入は、農業者ごとの過去の収入の平均(例えば、青色申告実績が5年分あれば5中5、2年分あれば2中2)を基本としつつ、保険期間中に見込まれる農業収入金額を考慮して計算されます。
保険期間の経営面積を過去の平均よりも拡大する場合や、過去の収入に上昇傾向がある場合には、基準収入は上方修正ができます。(下図参考)
〇基準収入の試算はこちら(NOSAI全国連)〔外部リンク〕
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(3)補償限度の選択
保険方式の補償限度は、青色申告実績の年数に応じて選択できる割合が異なります。
加入申請時に4年以上の青色申告実績がある場合は、最も高い補償限度である基準収入の80%を選択できます。
加入申請時に1年の青色申告実績がある場合は、選択できる補償限度の上限は基準収入の70%で、その後、提出年数に応じて75%、78%、80%と段階的に引き上げられます。
★「青色申告実績の年数」と、選択できる「保険方式の補償限度」の関係
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(4)支払率の選択
支払率は、保険方式と積立方式で別々に、90%を上限に、80%、70%、60%、50%の中から選択します。積立方式の支払率は40%、30%、20%、10%からも選択ができます。
積立方式の支払率は、保険方式の支払率以下の割合から選択します。
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(5)補てん金額の試算
基準収入が1,000万円で最大補償(保険方式80%+積立方式10%、支払率90%)の場合の補てん金をご紹介します。
上記の場合、補償限度額である900万円から下回った金額の9割を補てんします。
例えば、保険期間の農業収入金額が700万円の場合、900万円(補償限度額)を下回る額は、200万円となります。補てん金は、200万円×90%(支払率)= 180万円となります。
(6)つなぎ融資の実施
自然災害や価格低下などにより農産物の販売金額が減少し、補てん金の受け取りが見込まれる場合は、補てん金の受け取りまでのつなぎとして、NOSAI全国連から無利子の融資(つなぎ融資)を受けることができます。
融資額は、補てん金の受け取り見込額の8割を上限としています。
例えば、基準収入が1,000万円で最大補償(保険方式80%+積立方式10%、支払率90%)の場合、保険期間中に農産物の販売金額が500万円まで減少すると見込まれる時は、400万円(補償限度を下回った額)×90%(支払率)×8割=280万円程度を限度として、つなぎ融資が受けられます。
〇収入保険の加入者は無利子のつなぎ融資が受けられます!(PDF : 503KB)
(7)補償の下限の選択(令和2年1月から)
令和2年1月からの収入保険では、補償の下限(基準収入の7割、6割又は5割)を選択することにより、現行より最大4割安い保険料で加入できるタイプが創設されました。
例えば、基準収入が1,000万円で最大補償(保険金80%+積立方式10%、支払率90%)の場合の保険料は8.5万円ですが、補償の下限が700万円(基準収入の70%)を選択した場合の保険料は4.7万円(約4割安)となります。
★保険期間の収入が、基準収入の7割を下回った場合の補てん図
〇収入保険の掛金の安いタイプ(補償の下限の設定)パンフレット(PDF : 381KB)
〇掛金の安いタイプの掛金・補てん金の試算(PDF : 556KB)
保険料・積立金・付加保険料(事務費)
(1)保険料
保険料には、50%の国庫補助があります。
保険料は掛捨てになります。
保険料率は、保険方式の補償限度80%を選択した場合、1.179%(50%の国庫補助後)です。
保険料率は危険段階別に設定し、自動車保険と同様に、保険金の受取がない方は、翌年以降の保険料率が下がっていきます。
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(2)積立金
積立金には、75%の国庫補助があります。
積立金は自分のお金であり、補てんに使われない限り、翌年に持ち越されます。
(3)付加保険料(事務費)
付加保険料には、50%の国庫補助があります。
納めていただく付加保険料は、以下の計算式によります。
付加保険料 = 加入者割(1年目4,500円、2年目以降3,200円)+ 補償金額割(保険金額及び積立金額1万円当たり22円(※))
(※)保険方式の補償の下限7割を選択した場合 18円
保険方式の補償の下限6割を選択した場合 20円
保険方式の補償の下限5割を選択した場合 21円
(4)保険料・積立金・付加保険料(事務費)の試算
例えば、基準収入が1,000万円で最大補償(保険方式80%+積立方式10%、支払率90%)の場合、掛捨ての保険料は8.5万円、掛捨てでない積立金は22.5万円、付加保険料は2.2万円となります。
また、基準収入の70%を補償の下限として選択した場合、掛捨ての保険料は4.7万円(約4割安い)、掛捨てでない積立金は22.5万円、付加保険料は1.9万円となります。
(5)税務上の取扱い
保険料、積立金、付加保険料、保険金及び特約補てん金については、税務上、以下のとおり取扱います。
保険料と付加保険料は、保険期間の必要経費又は損金に算入
積立金については、預け金
保険金と、特約補てん金のうち国庫補助相当分は、保険期間の総収入金額に算入
類似制度とは選択加入
収入保険と収入減少を補てんする機能を有する類似制度については、国費の二重助成を避けつつ、農業者がそれぞれの経営実態に応じた適切なセーフティネットを利用できるよう、選択加入としています。
収入保険と、農業共済、ナラシ対策などの類似制度については、どちらかを選択して加入します。
ただし、収入減少だけでなくコスト増も補てんする肉用牛肥育経営安定交付金(マルキン)等の対象である肉用牛、肉用子牛、肉豚、鶏卵については、収入保険の対象品目ではありません。
◎現在、当分の間の特例として、野菜価格安定制度(注1)の利用者が初めて収入保険に加入する場合、収入保険と野菜価格安定制度を同時利用(最初の2年間)することができるようにしています(令和3年から同時利用されている方は最初の3年間、同時利用が可能)。
※同時利用される方は、収入保険の保険料等と野菜価格安定制度の生産者の負担金の両方を支払います。
※また、収入保険の保険期間中に、野菜価格安定制度の補給金を受け取った場合、収入保険の補てん金の計算上、その金額を控除します。
(注1)野菜の価格下落時の出荷調整を支援する事業(野菜需給均衡総合推進対策事業)、野菜の契約取引において不作時の数量確保を支援する事業(契約指定野菜安定供給事業数量確保タイプ等)を除く
(1)収入保険と、どちらか一方を選択して加入します
(2)下記の畜産品目と他の品目の複合経営の場合、他の品目の複合経営の場合は、他の品目は収入保険に加入できます
(3)収入保険と同時に加入できます
政府再保険
農業共済や漁業共済など、国が法律で措置している他の制度保険(実施主体が独立行政法人以外)の場合、自賠責保険を除く全てにおいて、保険責任の一部を政府に転嫁する「政府再保険」が措置されています。不測時には、政府再保険が発動し、農業者に対して確実に共済金が支払われています。
収入保険についても、不測時に、農業者に確実に保険金が支払われるようにするため、政府再保険を措置しています。
収入保険に関するQ&A
<よくある質問>
Q1.収入保険の対象者を青色申告を行っている者としているのはなぜですか?
A. |
Q2.青色申告を行っている農業者が経営を移譲した場合、その青色申告実績は引き継がれるのですか?
A. |
Q3.法人化した場合、青色申告実績の取扱いはどうなるのですか?
A. |
Q4.野菜等では、価格が著しく下落すると、出荷しても赤字が増加することから、収穫を中止する場合がありますが、その場合はどう取り扱われるのですか?
A. |
A. |
A. |
Q7.基準収入は、一定額に固定するか、5中3にするべきではないですか?
A. |
Q8.経営面積を拡大する場合や過去の単位面積当たり収入に上昇傾向がある場合の基準収入は、具体的にどのように算定するのですか?
A. 2 具体的には、 3 基準収入については、簡単に試算できるシミュレーションソフトを開発し、各農業共済組合等のホームページで公開しているところです。 (参考) |
Q9.過去5年間いずれかの年に、収入が皆無となるような大きな災害があった場合は、基準収入が大きく下がり、十分な補償とならないのではないですか?
A. |
A. |
A. |
Q12.危険段階別の保険料率はどのように設定されるのですか?
A. 2 具体的には、保険料標準率を中心として、上下10区分(全21区分)の保険料率を設定し、最低区分「-10」の保険料率は、区分「0」の 5 割水準とすることとし、農業者ごとに、 3 その際、保険金の受取りがなければ、基本 1 段階ずつ下がることになり、保険金の受取りがあれば、段階は上がりますが、加入者の負担が極端に増加することのないよう、年最大 3 区分まででとどめることとします。 <参考>危険段階別の保険料率 |
Q13.野菜価格安定制度の指定産地で、野菜価格安定制度から収入保険へ移行する農業者が増えると、産地要件を満たさなくなるのではないですか?
A. 2 このため、指定産地において野菜価格安定制度から収入保険へ移行する農業者が増加したとしても、それにより産地要件を満たさなくなることはありません。 |
Q14.JAが出荷団体として野菜価格安定制度に加入していても、JAの組合員は収入保険に加入できますか?
A. 2 この場合、組合員は収入保険に加入しても、従前のとおり JA の生産部会への加入を継続したり、 JA に出荷を継続することは何ら差し支えありません。 3 なお、出荷団体は、野菜価格安定制度への申込みに当たり、収入保険に移行した組合員の出荷数量を除外した数量に基づき、申込みを行うことになります。 |
Q15.集落営農(任意組合)がナラシ対策に加入していても、その構成員は、収入保険に加入できますか?
A. |
Q16.集落営農法人がナラシ対策に加入していても、その構成員は収入保険に加入できますか?
A. |
お問合せ先
経営局保険課
担当者:収入保険企画班
代表:03-3502-8111(内線5148)
ダイヤルイン:03-6744-2175