人手不足や収穫量を増やしたいなどの農林水産業の課題に対応するためには、ロボットやAI・ICT(情報通信技術)を使うスマート農業技術や、新しい特徴をもつ農作物の品種などの開発が必要です。
例えば、農作業用の機械であるトラクターは、通常は人が乗って運転しますが、最新の自動走行トラクターは無人で走ることができます。無人で土を耕したり、肥料や種をまいたりすることで、人手不足の対策になります。農業用ドローンでは、農作物の生育状態を調べ、その生育状態の悪いところにだけ肥料をまくということもできます。これも作業時間が短くなって人手不足の対策になるだけでなく、必要なところにだけまくことで無駄な肥料が減り、環境への影響も少なくすることができます。
品種の開発もさかんに行われています。ヨーロッパのブドウにはマスカットの香りやパリッとした食感をもつ品種がありますが、日本では病気になりやすく、屋外ではほとんど栽培されていませんでした。そこでヨーロッパのブドウの良いところをもち、病気に強くて日本でも栽培しやすいシャインマスカットが約30年かけて開発され、大人気になっています。
また、米は熱帯地方で生まれた植物で寒さにはあまり強くありません。日本は南北に長く、北海道や東北などでは、米が充分に実らない冷害が何度も起こりましたが、寒さに強い品種を開発することで、全国で米がとれるようになりました。ところが近年では、地球温暖化による極端な夏の暑さで、米の粒が白くにごり品質が落ちてしまうことが問題となっています。このため、今度は暑さに強い品種を開発しました。このように、米では寒さにも暑さにも強い品種の開発が進められています。
農林水産省は、研究所、企業、大学などといった人たちと協力し、これからも様々な技術開発を進めて、食と農林水産業の問題を解決します。