
森をぬけると、急なしゃ面に、たな田が広がっていました。初めて見る風景に2人が「わあ!」とおどろいていると、小さな妖精があらわれました。
「ぼくはフタバ、田畑の妖精さ。ここは、お米や野菜を作ってるんだよ。それに鳥や虫やいろんな生き物も住んでいるんだ」
「何だか楽しそう」みのりんが言い、みのるんも「ちょっと住んでみたいな」と言いました。
「できるよ!グリーンツーリズムと言って、ここのくらしを体験するために街から来る人もいるんだ」
「ホントに!?ぼくたちでも食べ物作れるかな?」
みのるんはフタバに言いました。

「できるさ。まずは土づくりと水に気をつけて、田んぼをきちんと整えることが大切なんだ」
フタバは教えてくれました。
「そうすると、食べ物がちゃんと作れるし、ほかにもいろんないいことがあるんだ」
「いいこと?」みのりんがたずねました。
「そう。雨水をたくわえて、こうずいを防いでくれるし、周りをすずしくしてくれるんだ」
みのりんは初めて聞く話におどろきました。
「君たちも一度、手伝いにおいでよ。ごはんが今よりもっとおいしく思えるようになるよ」
フタバはそう言って、田んぼの中に消えて行きました。

2人が田んぼでカエルやゲンゴロウと遊んでいると、お兄さんが通りかかりました。
みのるんは「何をしてるの?」と声をかけました。
「今から畑に行くんだよ」
「畑では何を作っているの?」みのるんが聞くと
「いろいろさ。ぼくはもともと、街で働いてたんだ。けど、食べ物を作る仕事に興味があって最近農業を始めたんだ。はじめての人にも、村の人が何でも教えてくれるんだ」とお兄さんは答えました。
「農業のことをもっと知りたいなら、あそこの村長さんに話を聞いてみなよ。すごく物知りなんだよ」
「うん、わかった!」
2人はお兄さんにお礼を言って、村長さんのところに向かいました。

さっそく、2人はたずねてみました。
「村長さん。何を作ってるの?」
「米や野菜じゃよ。けどな、みんながお米を食べる量が減っているから、他の食べ物も作ろうといろいろ努力してるんじゃ」
村長さんは言いました。
「お米を食べなくなっているの!?」
みのりんはおどろきました。
「そうんなじゃよ。それに、近ごろじゃ、外国からもたくさんの食べ物をどんどん輸入しておるしな。それなのに、何も作っていないところが増えているんじゃ」
「じゃあ動物を飼ってみたら?」
みのるんが言いました。

「そうなんじゃよ。ただ、牛やブタやニワトリを育てるにはエサがいっぱい必要なんじゃ。そのエサは外国から輸入してるんじゃが、近ごろはエサのねだんが上がってこまったものじゃ」
「食べ物を作るのがそんなに大変だなんて知らなかった」みのるんは、はずかしそうに言いました。
「はっはっは。そうじゃ、牛やブタのフンはバイオマスと言って、上手に利用すれば電気にもなるんじゃよ。それにとうもろこしやさとうきびもバイオ燃料として期待されてるんじゃ」村長さんは言いました。
「電気や燃料に!?すごい!」みのりんはおどろきました。
「そうじゃ、食べ物のことをもっと知りたいなら市場にも行ってみるといい」
村長さんの言う通り2人は、さっそく市場に向かいました。
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