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農林水産省

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平成30年度第3回 グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会 議事概要

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日時:平成31年3月13日(木曜日)16時00分~18時00分
場所:TKP赤坂駅カンファレンスセンター

議事概要

1.開会挨拶(農林水産省 中田大臣官房審議官)
・ 協議会はまもなく5年目を迎える。参加企業・団体は当初の76から、現在400を超える非常に大きな規模になっている。
・ 協議会活動のベースとなっているグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)戦略も策定から5年目を迎えた。本年度は企業や有識者が参加し、地域別検討会を開催。各地域の特性に応じた戦略構築についてアイデアや要望を頂いた。
・ 来年度以降はこれまでの取り組みの改善や新たな取り組みなども検討し、皆さんの海外展開に役立つような活動を行っていきたい。

2.議事
(1)イスラム教とハラールの概要及びビジネス上の留意点
(同志社大学 神学部 小原教授)
・ 世界の食品認証制度は、大きく分けて世界で3種類ある。コーシャー、ハラール、ビーガンである。本日はこの中のハラールについて説明する。
・ この数年、ハラールお好み焼き、ハラールラーメン、ハラール手羽先、ハラールカレーなどが話題となり、私たちの日常の一部になりつつある。最新情報としては、福岡を拠点とするラーメン専門店「一蘭」が2019年2月28日、100%とんこつ不使用ラーメン専門店を西新宿にオープンした。
・ 近年、ハラールの情報は非常に入手しやすくなった。ハラル・ジャパン協会では、ビジネスを目的とした情報サイトを立ち上げた。『HALAL MEDIA JAPAN』では、ハラールに関する食品業界の取り組みをニュースとして伝えている。
・ 2019年12月3日付『食品産業新聞』では、大豆で作った肉の開発について紹介している。これはハラール、コーシャー、ビーガンにもなる。
・ 宗教別人口では、キリスト教が約22億人で1位、イスラームが約16億人で2位となっている。加えてイスラームは人口増加率が非常に高い。出生率が高く、1家庭5~6人が普通だ。アメリカで有名な調査会社Pew Research Centerの推計では、2070年にはキリスト教を超え、イスラームが世界1位の人口になる。今後、イスラームを相手にビジネスをするか否かで大きな違いが出てくる。
・ イスラームには多様性があるが、大きく分けるとスンナ派、シーア派がある。スンナ派が約10億人で圧倒的多数を占めている。ただし、ハラールについては宗派による解釈の違いはないので、心配する必要はない。
・ イスラームはもはや中東の宗教ではない。最大の人口を抱えるインドネシアをはじめ、マレーシアなど、東南アジアに中心が移っている。ヨーロッパではキリスト教の人口が多いが、2位はイスラームである。アメリカも増えている。食生活への要求も拡大していることが分かる。
・ イスラム法の視点から、ハラール(合法)、ハラーム(非合法)、シュブハ(疑わしい)という区分けがなされ、その適用は食事に限らず生活全般に及ぶ。例えば、ハラール化粧品の売り上げが伸びている。2018年には、ハラームの風疹ワクチンを拒否して幼児の死亡例が出るに至り、イスラーム指導者が「死ぬよりも豚を選ぶべきだ」と呼び掛けた。
・ 原則的には工業で使用する樹脂製品、金属製品、機械類などに関しても及ぶが、第一義的には食品がセンシティブになる。工業製品に関してのハードルは低いが、2017年には東亜合成(株)が日本ムスリム協会から工業薬品のハラール認証を取得した。
・ ハラールについて機械的に判断する仕組みはなく、最終的には個人の信仰によって判断されている。結果的に幅が出てくる。
・ ハラームの代表的なものは、死肉、血、豚肉、異神への捧げものである。肉は、神の名を唱え、出血させて殺されたものでなければならない。水に生きるものとイナゴの死肉は例外とされる。酒は、コーランでは明確に飲むなと否定されていないが、後に解釈が厳しくなり、ハラームになっている。ただし、幅があり、酒を飲む人もいる。
・ ハラール認証は1980年代から整備された。背景には、食のグローバル化と、加工食品の拡大がある。
・ ハラール認証を巡る事件としては、インドネシア・味の素事件(2000年)がある。触媒がハラームであると指摘され、現地の社長が逮捕された。これを契機に日本企業の意識も変わってきた。
・ 代表的な認証機関には世界ハラール食品評議会(インドネシア)や世界ハラール評議会(トルコ)が存在するが、世界共通の認証機関はない。金儲けを目的として認証機関を名乗る組織もあるので注意が必要である。
・ ハラールの判断は最終的には個人に任せられるので、判断に役立つ表示の工夫が大切である。
・ 厳しいハラール認証を求めるのは東南アジア諸国である。中東では基本的に全てハラールなので認証システムが発展していない。かなり地域差がある。
・ ハラール食をビジネスとして展開していくためには日常的なコミュニケーションが必要で、形式的にクリアしているからOKだという判断では大失敗する可能性がある。彼らも、おいしいものを安全な形で食べたいという同じ人間であることが理解できれば、良い信頼関係が生まれてくる。
・ グローバルビジネス(特に食ビジネス)における宗教リテラシーが不可欠となる。

(2)TPP11の概要について
((独)日本貿易振興機構 海外調査部 長島上席主任調査研究員)
・ TPP11の名目GDPは10兆ドル、人口は5.1億人である。日本の名目GDPは半分の5兆ドル。TPP11は2018年12月30日に発効したが、2019年2月1日に発効した日欧EPAも合わせると、かなり大きな市場となる。
・ TPP11のうちの8カ国については既存のEPAがある。新たに関税撤廃・削減ができたのはカナダとニュージーランドである。これらの国は1人当たりのGDPが約4万ドルで日本と同水準、人口は合わせて約4,000万人である。国内により近い形で物やサービスや投資が動くという基盤ができた点も大きい。
・ TPP11と日欧EPAによって日本の発効済FTAカバー率は36.5%に達した。現在交渉中のRCEPの16カ国が加わると70.6%になる。これらを活用したビジネス展開の重要性がこの数字でも裏付けられる。
・ 国連のデータによると、今後は先進国を含めて世界的に人口は増えていくが、日本だけが減少する。2050年ではベトナムと日本の人口が逆転すると予想されている。TPP11を活用することはこの点からも非常に重要である。
・ 協定上、過半数の6カ国の国内手続きが終わって、事務局であるニュージーランド政府に通報した60日後に発効する。現在、日本を含む7カ国で発効している。その他は国内手続き中である。
・ 2019年1月19日に第1回TPP委員会が開かれ、TPP11から12、13と拡大していくことについて議論がなされた。
・ 日本からの輸出については1月1日が基準になるため、既に2年目の関税撤廃・削減スケジュールに入っている。日本の輸入については、2019年3月31日までが1年目、4月1日から2年目のスケジュールとなる。ベトナムは、日本との関係では2年目(2回目)の引き下げから加わる。
・ 協定の中身は幅広く、いろいろな形で活用できる。例えば、関税撤廃・削減以外にも貿易や投資の自由化がある。ネガティブリスト以外は原則自由となる。
・ 皆さんの関心が高い分野を協定の章立てで見ると、食品の関税撤廃・削減は第2章、原産地規則は第3章、繊維の原産地規則は第4章となっている。
・ 関税撤廃率は、日本を除いて100%あるいは99%と非常に高い。日本は95%である。この5%の差は2つの意味を持つ。1つ目は守るべきものは守るという国会決議が反映されたこと、2つ目は日本の重要性が認識されて数値が低くても合意したことである。他国の農林水産物・食品のほぼ全てで関税が撤廃され、輸出が有利となった。
・ ベトナムとの関係については、ASEANの中でのEPA、二国間のEPA、そしてTPP11がある。これらは併存するので、比較して有利なものを活用していくことになる。
・ ベトナムのみそを例に取ると、一般税率が20%、EPAが45%と逆転していた。10年前の発効時、関税率維持で合意していたが、当時の一般税率が45%だったのでEPAに残っていたのである。TPP11では5年目の撤廃となる。既に2年目に入ったので12%になっている。
・ TPP11では、GFVCに対する二国間FTAの限界を解決する。例えば、チリで養殖をしたサケをベトナムで加工し、日本で輸入する場合を考える。それぞれの二国間にはFTAがあるが、原産地規則によりベトナムではASEAN加盟国原産のサケを加工しなければならない。TPP11では同じ加盟国なので、その規制がない。関税率の撤廃のレベルも高いので、GFVCが成立する。
・ 農林水産省のサイトで、TPP11における各国の対日関税に関する最終結果が掲載されている。各年の税率を知りたい場合は、内閣官房TPP等政府対策本部のサイトで英文の協定を確認してほしい。
・ 原産地規則で重要なことは、協定国以外の材料が使えるかどうかという点である。例えば魚の調整品においては、日欧EPAでは日本産かEU産に限られるが、TPP11では品目別に非常に細かく分かれている。
・ 関税撤廃・削減のメリットを受けるためには、輸出相手国の税関に対して、協定に沿っていることを示す原産地証明書を提出しなければならない。今までの EPA と大きく違う点は、自己証明制度である。ただし、裏付け資料を用意することは変わらないので、楽になったわけではない。
・ 輸入された産品の原産性に疑義がある場合、輸入国の税関は産品についての情報を求めることができるという検認のルールも定められている。

(3)東南アジアのフードバリューチェーン構築に関する調査結果について
((国研)国際農林水産業研究センター 社会科学領域 草野主任研究員)
・ 2016年12月~2018年11月、ジャカルタにある東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)に派遣されて業務に当たった。本事業の目的は、農産物・食品の高付加価値化のための、フードバリューチェーン(FVC)構築の支援である。
・ OECD-ERIA-ASEAN共催のFVC開発のための会議(2018年6月、ジャカルタ)で整理されたFVC改善のための手段は多岐にわたった。FVCの議論を行う際には論点を限定することが重要となる。本日は3つの論点について報告する。
・ 第1の論点は「国ごとの農業・食品産業の概況」である。アセアン8カ国(ブルネイ、シンガポールを除く)を対象に、「FVC関連産業の最終需要が付加価値や雇用に与える影響の把握」と「ASEAN域内で比較したときに、どの国のどの品目に競争力があるかの把握」という2つの視点からデータを整理した。
・ 「FVC関連産業の最終需要が付加価値や雇用に与える影響の把握」では、「ホテル・飲食業や食品・飲料業の最終需要増加は、川上の農業の付加価値増加に寄与する」、「川下産業から水産業への付加価値誘発額も無視できない」、「卸売・小売業はFVC関連産業の中間投入に不可欠だが、最終需要による付加価値誘発額は小さい」という3つの特徴を見いだした。
・ 生産の増加は雇用者所得の増加とともに生じ、雇用者所得の増加は、農林業の1人当り所得増加と、雇用者の減少に分解できる。農業生産性や雇用者所得の向上のためには、農業だけへの介入よりも、川下産業の発展を通した雇用吸収力の増加が効果的である可能性が示唆される。
・ 「ASEAN域内で比較したときに、どの国のどの品目に競争力があるかの把握」では、生産性に基づく資源配分と生産物の差別化という、2つの付加価値向上戦略の観点で見ていった。
・ 土地生産性は、単収に生産者価格を掛けた値により検討した。自国の他の品目と比較して、これが高いと、同じ面積で生産者がより高い収入を得られると解釈できる。例えばインドネシアの果樹の場合、他のASEAN諸国と比べてパイナップル、バナナ、パパイヤ、アボガドなどの土地生産性が高いことが分かった。
・ 差別化の観点では、価格が他国と同レベルであるにもかかわらず、他国よりも多くの量がアセアン諸国によって輸入されるような品目を検討した。これらの品目は、価格によらない競争力があり、差別化の度合いが高いと考えられる。他の製品の販売を行う際にも参考になる。
・ 第2の論点は「生産者の所得向上に注目したケーススタディー」である。小規模生産者はFVCから受益するのか、または受益するにはどうすれば良いかという点を明らかにすることを目的としてケーススタディーを行った。
・ ベトナムでは、ラオカイ省の高品質米生産農家の事例を見た。高地と低地で、販路ごとにバイヤーの活動と収益性を比較した結果、低地のある精米組合が関与するFVCがうまくいっていた。ここから、「販売の役割を担うアクターの機能の強化」と「FVC周辺のアクターによる支援」が重要であることが分かる。
・ マレーシアは、乳類の多くを輸入に依存している。政府は、2010~2020年で生産と輸入のバランスを取り、高付加価値化を実現する目標を立てている。半島南部の小規模酪農家の事例から、より高い価格で売れる市場へのアクセスが重要であることが分かった。例えば、ICTや情報技術を使った乳製品の直販システムがある。
・ インドネシアでは、海面漁業が堅調に成長している。幾つかのサイトでチェーンの構造把握のための聞き取りを実施した結果、資源管理と利用のバランスに大きな問題があった。解決には、「沖合漁業へのシフトとそれに伴うインフラおよび人的資本投資」、「漁業資源を根こそぎ取らないような漁獲技術」、「養殖や栽培漁業を増やすための技術」、「活魚チェーンやコールドチェーンを改善・拡大」などが必要である。
・ 第3の論点は「コールドチェーンの開発」である。世界銀行によるLPI指数によると、ASEANで物流の発展の度合いはタイが2位、ベトナムが3位、インドネシアが5位、ラオスが8位、ミャンマーが最下位となっている。これらの5カ国の調査を実際した。
・ タイでは、政府がさまざまな政策を通して、コールドチェーンの発展を目指している。代表的な取り組みとして、2019年1月から始まった国土交通省のQマークによるトラックの認証のパイロットプロジェクトで、温度管理された輸送についての標準認証が始まりつつある。
・ ミャンマーの国内向けのコールドチェーンでは、プラスチックの箱に氷を入れるという伝統的な方法が一般的に用いられている。これはすなわち冷蔵車や冷凍車という現代的コールドチェーンが大きく伸びる余地があることを暗示している。
・ まとめとして、「FVCの包括的な開発は農林水産業の成長に寄与する」、「生産者の所得向上やコールドチェーン開発のための多様な戦略が存在する」ということが言える。

(4)インド進出マニュアル及びアンドラプラデシュ(AP)州におけるFVC構築に向けたマスタープラン作成に係る調査報告
(みずほ情報総合研究所(株)コンサルティング事業推進部 入間野部長代理)
・ 本年度の事業は、日系食品関連企業のインド進出マニュアルの作成と、投資促進のためのマスタープランモデルの作成である。
・ マニュアル作成事業では、外食産業に関してデリー首都圏、食品加工産業に関してカルナタカ州、コールドチェーン産業に関してウッタルプラデシュ(UP)州と、3地域3業種で調査を進めた。
・ 外食セクターは、2017~2022年の年平均成長率が10%と高い。日本食レストランは圧倒的にデリー首都圏に集中している。デリー首都圏の高級住宅街の家賃相場は150平米で月額約10万円と高い。そのような所で暮らす所得層が存在している。
・ 食品加工市場は2016~2020年で約1.7倍に拡大する予測となっている。食品加工の原料となる豊かな食材があり、魅力的な市場である。
・ カルナタカ州の州都ベンガルール周辺には食品加工が集積し、ICセクターの集積地となっている。インフラ、農産物、アクセスの観点で投資先としての魅力がある。
・ コールドチェーンビジネスは、2016~2020年で約1.3倍に拡大すると予測されている。Eコマースも成長し、市場規模は約20兆円である。UP州、西ベンガル州では冷蔵設備の供給不足が起きている。
・ UP州の人口は2億人を超えている。デリー・コルカタ間を結ぶ貨物専用回廊が走り、産業開発が進んでいる。コールドチェーンに関しても期待ができる地域である。
・ インドへの参入障壁を調査するため、既にインドに進出している企業にヒアリングをした。その中で、例えば「包装容器へのビニール使用禁止」、「テレビCMでのベジタリアンマーク表示の義務付け」など、突然のルール変更という課題が判明した。
・ マスタープラン作成事業では、AP州政府との協議上、FVC構築上の課題を整理し、対応する施策案を検討。例えば、新しい技術の検証という課題解決に向けた施策には、選果機のフィージビリティスタディー、エビ・コメ・マンゴー・トマトの加工に関するフィージビリティスタディー支援、果実保存技術、コールドチェーン、スタートアップ支援などの事業例が考えられる。
・ AP州では農業・食品関連分野に係るシングルウィンドー機能を有したJapan Deskの設立が合意されている。AP州経済開発庁より担当者が指定される。困り事の相談窓口が整うことになる。

(5)ネパールにおけるFVC構築に向けた専門家調査団の派遣結果について
((株)国際開発センター 小松原主任研究員)
・ GFVC戦略に基づき、日本企業のネパールへの進出・ビジネス展開を最終目標とし、4カ月間でネパールの現状を調べるとともに、有望分野に関連した専門家5名、日本企業5社に、現地プログラムに参加してもらった。
・ 日本からネパールへの直行便は現在停止になっているが、関空便が復活する予定である。港はインドまで出なければならず、輸送費が問題となる。国土も小さく、耕地面積も小さい。一方、中国やインドなど、巨大市場にアクセスが可能である。
・ 人口は約3,000万人で現在も増加中。若手も多く人口ボーナスが受け取れる。経済も上向きで、2021年までに中所得国入りを目指している。農業のGDP構成比率は約30%、農業従事者比率は約70%である。貿易相手国はインドが最大である。投資は、累積ではインドが最大だが、ここ1~2年、中国にトップの座を譲っている。
・ 主要農産物の農業GDP寄与率は、1位・穀物、2位・畜産、3位・換金作物
・ である。換金作物はネパール特有のものが多く、価値があるという声が聞こえている。一方、食糧は地域的にかなり偏在している。インド国境平野部は穀倉地帯であり生産量が高い。これに対し山岳・丘陵地帯は生産コスト・輸送コストが高く食糧が不足している。2015年現在、食料自給率は未達成である。
・ 首相直轄の投資庁ができ、農業は重要産業に位置付けられている。地域の特性に合わせた、農産物の高付加価値化を目指している。
・ 外国投資を呼び込む戦略も盛んに取られている。インドへの輸出は無関税で、オープンボーダーアクセスが可能である。中国にも約8,000品目が非課税で輸出が可能である。そして、ほぼ全ての業種で外国投資家による100%所有が認められている。
・ 日本企業が直面する課題としては、生産量の不足、低い生産性、加工技術力の不足、高い輸送コスト、インフラの未整備などがある。
・ 一方、強みとしては、原料の質の高さ・希少性、加工による高付加価値化の可能性、ネパールブランドを活用したマーケット戦略などがある。
・ 今回の調査では、有望分野と想定される、インフラ整備(灌漑施設を含む)、畜産、食品加工(全般)、食品加工(有用植物資源)、FVCという5分野の専門家を派遣した。
・ 現地では日本の関係者、ネパール政府、ネパール企業などとの交流会を開催した。ネパール政府としては、生産・加工・流通の現状と課題を認識し、取り組みを進めている。まだ注目度が低いところもあり、さらなる基礎調査等が必要だと考えている。

(6)ブラジル北部・北東部における穀物輸送インフラ整備に向けた調査 、エクアドル産、エクアドル産カカオ豆の残留農薬問題調査
(中央開発(株) 海外事業部 山口様、道順様)
(ブラジル)
・ 平成26年8月、安倍総理のブラジル訪問時に、ブラジルにおける穀物輸送インフラの改善が両国にとって戦略的に意義があるということが確認された。
・ これまでに3回(2014年、2016年、2017年)の日伯農業・食料対話伯や各種調査結果等を踏まえ、日本企業が関心を持つブラジル北部・北東部の穀物に焦点を当て、これら地域おける穀物輸送インフラ整備に向けた現状・課題を調査した。
・ 具体的には、マトピバ4州(マラニョン州、トカチンス州、ピアウイ州、バイア州)およびマットグロッソ州で調査を行い、農業開発状況、投資を呼び込むための取り組み、日本企業の土地状況、穀物輸送インフラ整備に係る課題を把握した。
・ 2007年から10年間で、ブラジルの大豆生産の栽培面積は約1.5倍、生産量は約2倍に増加している。トウモロコシの生産量は約1.5倍に増加している。
・ 投資を呼び込むための取り組みは、穀物港湾ターミナル拡張工事と道路などの輸送インフラ整備(マラニョン州)、農業開発プロジェクトと食品加工農業開発プロジェクト(トカンチンス州)、道路・内陸水運などの輸送インフラ整備と穀物貯蔵設備(ピアウイ州)、鉄道や路などの輸送インフラ整備(バイア州)、農業開発プロジェクトと鉄道などの輸送インフラ整備(マットグロッソ州)となっている。
・ 穀物輸送インフラ整備の課題には、アクセスインフラの整備と輸送コストがある。
・ 前政権から行われている投資連携プログラム(PPI)には、鉄道、道路、港湾ターミナルといった同地域の穀物輸送インフラ整備案件がある。トカンチンス州とサンパウロ州を結ぶ南北鉄道の案件については、本年3月末に入札が行われる。
・ 本年1月1日よりスタートした新政権は、PPIプログラム等の経済政策を継続。今後の展望としては、アラグアイア・トカチンス回廊の有望性が挙げられる。
(エクアドル)
・ 日本の菓子業界にとって、エクアドルはチョコレート等の原料となるカカオ豆の原料調達国である。しかし、本来カカオの栽培に使われるはずがない農薬が混入し、残留農薬検査で日本の基準を超過して輸入できないケースが多発している。安定したFVC構築に向けて残留農薬問題の原因調査および解決手法を検討し、エクアドル政府に問題解決を働き掛けることが目的である。
・ 日本のカカオ豆輸入量はエクアドル産が第2位で全体の10%、年間約5,800トンである。アンデス山脈よりも太平洋側の地域で主に栽培されている。
・ カカオ豆輸入時の残留農薬検査では、2010年前後が年間で17~18件、500トン前後の違反があって輸入できなかった。2012~2013年には減少したが、2014年以降は平均10件程度、200トン が輸入できないという状況になっている。
・ 日本向けのカカオ豆輸出業者の中には、残留農薬が混ざるリスクを避けるために、大規模農家から直接生のカカオ豆を調達して自社の敷地内で発酵・乾燥させる取り組みを行っていることが分かった。
・ エクアドル政府は日本向けカカオ豆を輸出する前に分析を行い、合格したもののみ輸出している。本年度は民間・政府機関の分析担当者に対する技術指導を行った。その結果、民間分析機関については十分に分析能力が向上したと判断している。政府機関では、分析機器の故障で機会がなかったので、引き続き分析能力向上の余地がある。
・ 原因調査では、生産者、中間取扱業者、日本向け輸出業者でサンプルを収集し、分析した。その結果、幾つかのサンプルから残留農薬が見つかったが、最終的には原因を特定するまでには至っていない。ただし、生のカカオ豆からは残留農薬は検出されていない。エクアドル政府としては、関係者、業界団体、政府機関と協力し、引き続き原因特定に関する調査を進めたいという意向を示している。

(7)北米・中南米地域広域・フードバリューチェーン強化における本邦技術活用のための情報収集・確認調査
((株)パデコ 経済社会開発部 山森プリンシパルコンサルタント)
・ 調査地域は、基本的には中米、ブラジルを含む南米、カリブ諸国、北米はスペイン語圏(メキシコ)でありアメリカ・カナダは含まれない。期間は2019年3月~2020年3月となっている。
・ 中南米地域は世界最大の食料生産地である。経済・社会情勢も比較的安定し、日本企業にとっても魅力的な市場だ。日系人は210万人いて、日本との関係も深い。しかし地理的・文化的に距離感があり、農業部門への日本企業の進出は限られている。日本企業の技術移転による現地FVCの強化を図ることは、貧困対策、雇用促進、環境保護など、SDGsガイドラインに寄与する開発事業にもなり得る。
・ 以上のことを念頭に置き、農業・食品関連の日本企業が今後中南米のFVCに関わる際の指針となる情報収集・分析を行う。
・ 調査の目的は以下の4つである。(ア)現地FVCの課題、投資環境、ビジネスパートナー等の情報の整理、(イ)現地の課題解決に貢献可能な技術・製品・サービス等の情報の整理、(ウ)日本企業が有する技術・製品・サービス等を途上国関係者に発信、(エ)地域のビジネスパートナーを日本に招聘(しょうへい)し、日本の技術等を視察。
・ (ア)、(イ)については、まず中南米進出に興味を持つ日本企業約30社からのヒアリングを行う。次に日本企業からの要望を踏まえ、中南米5カ国を選択し、現地調査を行う。調査終了後は、興味を持つ日本企業・関係機関への現地調査結果報告会を開催し、中南米FVCとのビジネス連携の提案を募集。JICA主導の下、5社を選定する。
・ (ウ)、(エ)については、2019年10~11月、提案企業代表者たちと現地ビジネスパートナー候補を訪問し、ビジネス環境などの情報収集を本調査団と共同で行う。2020年1月か2月、現地の関連企業、商工会議所、政府関係者、生産者組合などを招いてセミナーを開催し、参加企業の技術サービスなどを紹介する。
・ 本調査後のJICAによる支援の可能性については、民間連携事業への応募、海外投融資への応募、自社社員の途上国へのボランティア派遣、JICA が実施する課題別研修への参加などが考えられる。
・ GFVC推進官民協議会には400社の農業・食品関連企業が参加している。本調査の前段階として、「中南米への事業展開に関心があるか」、「有している技術・製品・サービス」、「進出の際のODAに対する期待」、「ヒアリングが可能かどうか」という簡単なアンケートを実施したい。期限は2019年3月22日である。協力をお願いしたい。

(8)グローバル・フードバリューチェーン戦略地域別検討会の検討結果
((株)大和総研 アジア事業開発本部 依田次長)
・ 事業の目的は、GFVC戦略に基づくこれまでの取り組みを踏まえて、各地域における今後のFVC構築の可能性について検討・整理をするというものである。
・ 地域別検討会で検討された具体的なFVC構想について報告する。
・ ASEANは以下の2点となる。経済回廊の食の物流ネットワークとしての活用で域内流通と輸出促進を図る。ベトナムにおける加工食品のFVC構築を行う。
・ 東アジア(特に中国)は以下の5点となる。中国国内市場に向けた日本食の販売戦略推進。外食・中食産業の拡大を踏まえたコンビニの展開など戦略的なアプローチ。日本の経験を生かした高齢化対応市場への展開。経済成長が進む内陸部市場の開拓。EC市場などの新たな販売チャネルへの積極的なアプローチ。
・ インドは以下の4点となる。加工食品の生産・輸出。フードロスの削減。人材育成の強化。富裕層をターゲットとした日本の外食産業の事業展開。
・ 中東は以下の3点となる。わが国技術を生かした生鮮野菜の供給。現地の潜在的ニーズを捉えた外食産業の進出。政府間協議を通じて食品輸出入規制対応における企業負担を軽減し、海外進出を促進する。
・ アフリカは以下の3点となる。経済協力を積極的に活用した生産性向上。主要品目の加工工場による国内供給および第三国輸出。先行するレバノン系・シリア系財閥企業とのパートナーシップや、オールジャパンの協力体制構築。
・ 中南米は以下の3点となる。農業・水産業の持続可能な発展と第三国を含めた食料供給力の拡大。現地消費者の動向を適切に捉えた日本食ブームの開拓。世界最大の日系社会とのネットワークを活用した人材育成・交流。
・ ロシア・中央アジアは以下の4点となる。極東大豆の輸出体制の構築。水産物のアジア・太平洋地域への輸出体制の構築。ロシア極東における野菜の供給能力拡大。シベリア鉄道を活用した日本産食品等のロシア・ヨーロッパへの供給。
・ 豪州は以下の3点となる。わが国からの水産物輸出と連携した第三国市場への周年供給体制の確立。大豆やカカオ等の加工原料の安定調達のための生産体制の整備。農業関係の調査のテストベッドとしての日豪協力。
・ FVC構築のために官が担うべき役割について、検討会では非常に多くの意見が出た。主なものを資料に整理しているので、ご覧いただきたい。

(9)二国間対話結果報告(農林水産省 国際部海外投資・協力グループ 井上参事官)
・ 第5回日ミャンマー農林水産業・食品協力対話、第2回日タイ農業協力対話、第2回日アルゼンチン農林水産業・食料対話を実施。詳細は資料参照のこと。

(10)平成31年度グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会の活動予定
(農林水産省 国際部海外投資・協力グループ 井上参事官)
・ GFVC推進官民協議会及び地域部会・分野別研究会(東京)は、第1回全体会合、ロシア部会・アフリカ部会(6月)、南アジア部会(7月または8月)、第2回全体会合、ロシア部会・アフリカ部会・中東部会(11月)。第3回全体会合、ロシア部会・アセアン部会(3月)。
・ GFVC推進官民協議会地方協議会(年度後半)は、北海道、東北、北陸、東海、近畿、中国・四国、九州で各1回。
・ 二国間政策対話実施予定国は、ベトナム、インドネシア、インド、アルゼンチン、ブラジル、ロシア等。

4.閉会挨拶(東京農業大学 板垣代表)
・ 時間の制約があって十分な説明ができなかった部分がある。ぜひ資料に目を通していただきたい。
・ これからもGFVC推進官民協議会を通じて、皆さんに役立つ情報の提供に努めていきたい。

以上

お問合せ先

大臣官房国際部海外投資・協力グループ

代表:03-3502-8111(内線3512)
ダイヤルイン:03-3502-5914
FAX番号:03-3502-8083

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