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農林水産省

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令和元年度第1回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会 議事概要

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全体会合

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日時:令和元年6月10日(月曜日)13時00分~14時35分
場所:三田共用会議所(3階大会議室C~E)

1.開会あいさつ(農林水産省 中田大臣官房審議官)

・ 新しい時代を迎えて1回目の協議会開催となった。本協議会は平成26年度に設立。参加企業・団体は当初の76から、現在は420となっている。グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)構築のために、海外ビジネス展開の情報・知見を共有し、農業・食品分野の新たな可能性を考える場として活用していただいている。
・ 本年度は全体会合に加えて、地域別部会や分野別研究会の活動を活発化する。具体的には、テーマを絞った少人数の検討会、地方での協議会の実施なども考えている。
・ 協議会活動のベースとなっているGFVC戦略も策定から 5 年が経過するので、これまでの取り組みを踏まえて、新たなプランを策定していくべきだと思っている。

2.議事

(1)ハウス食品の海外展開について インドネシアハラルカレー事業
(ハウス食品グループ本社(株) 国際事業本部 石川部長)

・ 弊社の海外進出は1981年にアメリカからスタートしている。アメリカでの豆腐事業は現在も続いている。その後、1997年に中国、2000年に台湾で、それぞれカレーレストラン、2011年にタイで機能性飲料、2012年にタイで粉末デザート、2016年にインドネシアでハラルカレー事業をスタートしている。
・ 弊社の売上高構成比は、香辛・調味加工食品事業45.5%、外食事業16.9%、健康食品事業10.3%と続き、海外食品事業は7.4%とまだ低い。
・ 海外事業では、世界のお客様の「新しい!」「うれしい!」を創り、「食を通じて、家庭の幸せに役立つ」という姿を目指している。同時に、お客さまを知り、市場の成長を取り込んでいこうとしている。
・ 海外拠点は、米国、中国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムなどで、従業員数は約2,000 名(比率約30%)と少ないので、今後は現地に根付いていくよう努める。
・ 新興国・成長エリア(中国・ASEAN)は、子どもの成長や家庭の幸せという生活ニーズがあり、食の多様化が進んでいる。生活インフラが整い始め、文化差異も比較的小さいので、日本での成功パターンが応用できる。カレー、メニュー調味料、ビタミンなどを展開している。
・ 先進国・成熟エリア(欧米)は、健康志向や簡便・外部化という生活ニーズがあり、食の高度化が進んでいる。市場成熟が日本よりも先行し、文化差異も大きいので、日本の成功パターンが応用できない。米国での知見・ノウハウを持つ豆腐事業を展開している。
・ インドネシアは、人口約2.6 億人(前年+1.2%)、首都ジャカルタでは約 1 千万人強で、非常に有望なマーケットである。赤道をまたいで、13,000 を超える島で構成される。実質GDP 成長率は5.1~5.3%。2018年のアジア競技大会で成功を収めた。2019 年4月1日、MRT(地下鉄)が開通。2019年4月、5 年に1度の大統領選挙を施行。
・ インドネシアではイスラム教徒の人口は約90%であるため、ハラル認証を取得しなければ事業展開は1歩も進まない。ハラルの解釈は個人に任されているため、判断に役立つ表示が求められる。グローバル・ビジネスにおける宗教リテラシーが必要となる。
・ ハラルカレー事業は、現地で原料調達・生産・販売するというバリューチェーンを構築している。ハラル対象国への輸出販売も行っている。日本国内でもCoCo壱番屋が秋葉原にハラルカレー専門店を2017年9月25日にオープンしている。
・ インドネシア事業の顕著な課題には、ハラルへの取り組み、各種申請手続きの煩雑さ、物流網の構築・整備、ジャカルタ周辺エリアの電力事情が挙げられる。
・ ハラルへの取り組みには、原料制約、味覚作りへの影響がある。また認証までの期間が約1年と非常に長い。さらにラマダン、レバランの間は認証機関も休みになる。
・ 各種申請手続きの煩雑さでは、現地コンサルタントの採用が必須となる。またコスト加算や計画できない期間がある。
・ 慢性的な大渋滞により、経済損失は年間8,400 億円といわれている。また13,000 を超える島がある。物流網の構築・整備が不可欠となる。
・ ジャカルタ周辺エリアの電力事情が悪く、工場製造ライン停止や冷蔵庫への影響がある。
・ ASEANの幻想に惑わされず、現場とその先を見通す姿勢が必要である。
・ 新たな食文化創造のため、日本式カレーを志向しながらも、アレンジや現地特有の具材・使い方を許容し、導入の間口を拡大する。

(2)海外展開における貿易保険の活用
((株)日本貿易保険 営業第1部 坪井シニアアドバイザー)

・ 貿易保険制度は1950年から通商産業省(現経済産業省)によって運営された。2001年、独立行政法人という形で日本貿易保険が設立されて業務移管を受け、2017年から政府100%出資の株式会社となっている。
・ 貿易保険は、国のリスク(カントリーリスク)と取引先のリスクによって、貨物の輸出ができなくなること、もしくは貨物の輸出をした後に代金回収ができなくなることによって被る損失をカバーするものである。
・ カントリーリスクには、為替取引の制限・禁止、輸入制限・禁止、戦争・内乱・革命、支払い国に起因する外貨送金遅延、制裁的な高関税、テロ行為、経済制裁、収用、自然災害など、契約当事者の責めによらない事態がある。
・ 取引先のリスクには、倒産・破産に準ずる事態、取引先の3カ月以上の不払いがある。
・ 船の沈没やコンテ破損による浸水など、輸送途上の損失は海上保険でカバーされる。貿易保険は貨物に対するものではなく、取引に対する保険である。
・ 中堅・中小企業の海外展開サポートの主な取り組みとして、中小企業・農林水産業輸出代金保険を推進している。弊社は東京・大阪の2店舗しかないため、全国117の金融機関と業務提携している。また一部の保険手続き(申込、申請)をウェブでできるように簡素化している。
・ 中小企業・農林水産業輸出代金保険は、2016年7月に中小企業に加えて農林水産業従事者にまで対象を拡大した。日本からの直接輸出、船積後のみ、ユーザンスは180日以内といったシンプルな制度である。例えば中国向けの船積後60日の取引では、契約金額の0.824%の保険料である。ユーザンスによって上下するが、約1%と認識してほしい。
・ カントリーリスクはA~Hの8ランクに分類している。
・ 取引先の信用調査を行い、弊社独自の格付けをしている。民間の取引先では、EE(優良)、EA(良)、EF(可)、EC(注意)の4段階で、EFまでは弊社が代金回収リスクを引き受ける。
・ 主な保険商品には、中小企業・農林水産業輸出代金保険、貿易一般保険(個別)、限度額設定型貿易保険がある。
・ 海外の現地法人で地場の取引に対して、貿易保険と同じような制度を使いたい場合、シンガポール、香港、タイ、ベトナム、イギリスの5カ国だけであるが、民間損保会社と提携した保険制度を持っているので相談してほしい。

(3)JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)の設置について
((独)国際協力機構 農村開発部 睦好次長)

・ 開発途上国の持続的開発目標(SDGs)達成に貢献するための産官学の情報共有・協働体制構築メカニズムとして設置し、2019年4月に設立記念フォーラムを開催した。
・ 目的は2つある。1つ目は、SDGsの達成に向けて、国内の関係者が途上国および日本の課題解決のための活動を促進するために、ゆるやかなネットワーク(プラットフォーム)を設置するものである。2つ目は、情報や経験の共有等を通じて、同ネットワークの中から、さまざまな共同活動を生み出すことが目的である。
・ 対象範囲は、関係省庁、政府機関、大学、研究機関、民間企業、業界団体、市民社会、国際機関など、開発途上国の農林水産および食料・栄養分野に関係する団体または個人である。
・ 活動内容は、途上国の農林水産および食料・栄養分野における情報・経験の共有、各種勉強会・イベント等の開催、共同活動(共同研究・技術開発、民間企業等の海外展開、途上国及び日本の人材育成等)の企画・支援である。
・ JICAの役割は、途上国の現状や課題に関する情報の収集と提供、関連事業(調査、人材育成等)の実施、会員間の共同活動の促進・支援、JICA事業への参画等に関する個別相談対応、事務局運営などである。
・ プラットフォームレベルでは、年1回のフォーラム開催、情報共有のためのウェブサイト、メーリングリストが主な活動内容である。主に力を入れていくのは分科会レベルである。その他、個別事業レベルでは、JICA事業活用への個別対応を行う。
・ 分科会レベルに関しては、内容に応じてGFVC推進官民協議会の各部会と共同開催していく。
・ 地域・国別の分科会には、ASEAN・FVC(第1回:2019年11月予定)、インドネシア(第1回:12月予定)、ミャンマー(第1回:12月予定)、中南米FVC(第2回:7月19日予定)、アフリカFVC(第2回:9月下旬予定)、アフリカ稲作(第1回:第3四半期予定)がある。
・ 分野・作物別の分科会には、スマートフードチェーン(第1回:2019年9月予定)、農業機械(第2回:2020年9月予定)、ゴマ(第1回:2019年11月予定)、畜産(第1回:7月30日予定)、水産(未定)がある。
・ 日本の経験・地方創生についての分科会には、人材育成(第1回:2019年11月予定)、日本の地方創生(第1回:7月19日予定)がある。
・ このようなことに関心がある方はぜひ登録してほしい。
・ JICAでは農業分野だけでも約140件の技術協力を行っているが、それぞれのプロジェクトに派遣されている専門家やコンサルタントと、民間企業や大学をつなぐ場があまりなかった。またJICAでは2012年度より日本の中小企業・民間企業の海外展開支援を実施している。その約3割以上が食品・農業系であったが、各社の調査事業が終わってしまうと、その後につなげる活動をする機会がなかった。それではもったいないのでこのようなプラットフォームを立ち上げた。
・ 設立記念フォーラムで出されたニーズ・期待に対して、今後は共に考えていきたい。

(4)高度外国人材の育成・還流事業「イノベーティブ・アジア(Innovative Asia)」での留学生受け入れについて
((独)国際協力機構 国内事業部 大学連携課 奥本課長)

・ イノベーティブ・アジア事業は、「日本再興戦略2016」(平成28年6月2日閣議決定)において実施が決定した。アジア途上国のトップレベル大学出身の理系の学生を対象に、日本の大学院への留学や日本企業等でのインターンシップの機会を提供する。本事業を通じて育成された優秀な人材が日本企業で活躍したり、母国に戻って自国の産業発展に貢献したりすることで、日本とアジアの双方におけるイノベーション環境の改善を促す。
・ 2017 年度から5年間で長期・短期あわせて約1,000 人の受け入れを目標とする。日本の大学院での英語による修士・博士課程と、日本での企業見学・インターン(在学中・学位課程修了後)を行う。
・ 情報技術、IoT、人工知能等の科学技術分野および工学分野など、理系分野全般を受け入れている。
・ 対象国はASEAN8カ国(インドネシア、カンボジア、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ミャンマー 、ラオス)、南アジア4 カ国(インド 、スリランカ、パキスタン、 バングラデシュ)である。
・ 日本の受け入れ大学は21大学で、主な専攻分野は、工学、理工学、情報学、生物学、農学などである。213 名が在籍している(2019年5月31日現在)。
・ 在学中または修了後に最低1回のインターンシップを実施することが本事業参加者の 修了要件の一つである。本事業修了者が日本での就職を希望する場合、在留資格取得上の優遇措置(高度人材ポイント制の特別 加算)および提出書類の簡素化の対象となる。
・ インターンシップの期間は1週間から最長6カ月間、実施言語は英語が原則である。
・ 主な実施内容は、産学において活躍する人材として身に付けるべきスキルについて現場 での能力強化を行う、日本の産業界と人的ネットワークを構築する、日本で働くことについて理解を深め自身のキャリアを具体的にイメージできるようにする。
・ インターンシップの経費はJICA で手配する。
・ これまではIT企業からの声掛けが多かったが、農学系の学生への機会は少なかった。関心のある企業は、ぜひ連絡していただきたい。
・ 2019 年度以降は、国費外国人留学生制度を使って学位課程の受け入れを行うことが決まった。今秋には対象プログラムで50名ほど来日する予定である。

(5)中南米日系農業者等とのビジネスマッチングについて
(中央開発(株)海外事業部 余川主任)

・ 弊社では、平成31年度中南米日系農業者等との連携交流・ビジネス創出委託事業(農林水産省)を実施している。ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルーの5カ国を対象に、日系農業者と日本との協力関係を築くことを目的としている。
・ 南米日系農業者に対する日本での研修に加え、南米と日本でのビジネス創出に取り組んでいる。
・ 南米は農業大国として穀物・肉類を多く生産している。210万人の日系社会で、農業機械・農業資材・食品加工など、日本の技術・商品への期待は高い。
・ この事業では、2回のビジネスチャンスを提供することができる。訪日する南米農業者に対する商品紹介と、南米訪問による市場視察・商品紹介である。
・ 訪日する南米農業者に対する商品紹介については、2019年9~12月に南米日系農業者の研修生グループが来日する。野菜・果物・穀物・肉牛・鶏卵など、さまざまな農業者が来日する。日系人ということで日本語での説明も可能で、通訳も付けることができる。研修生が帰国後、日本企業との商談が進んでいるケースもある。
・ 南米訪問による市場視察・商品紹介は、2020年1月下旬に予定されている。人数は日本企業2~3社(1社当たり1名)で、渡航費・宿泊費を事業費で負担する。必要な場合は通訳が帯同する。
・ 南米日系農業者・企業が集うサンパウロのセミナーで、自社商品を紹介し、関心を有する農業者・団体と商談をしていただく。南米側からは日本の農業機械・資材を求める声は多く、商談の実現が期待されている。

(6)途上国の栄養改善のために~日本の企業と現地SMEsの連携による健康なフードシステム構築について
(農林水産省 食料産業局企画課 黒岩企画官)

・ 食品事業者等による栄養改善の国際展開(FAO拠出事業)の目的は、開発途上国において、栄養に配慮したフードシステムやヘルシーな食事を推進するための啓発・能力向上を目指し、日本の企業の優れた経験、技術・知識を生かして、開発途上国(ガーナ、ケニア、ベトナム)の中小事業者(SMEs)や栄養を専門としていない農学部等の大学生に対して栄養やバリューチェーンに関するセミナー等を実施するものである。
・ 2016年12月~2021年11月の5カ年事業で、栄養課題という社会的課題を解決するプロセスがFVC改善にどのように貢献するのかという問題意識を持って取り組んでいる。
・ 栄養改善はSDGsの最重要課題として国際的な取り組みとなっている。2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックを契機として国際的な栄養サミットがスタートし、N4G(Nutrition for Growth:成長のための栄養)の議論が本格化した。
・ 世界的な栄養課題は大きく分けて2つある。第1は、発展途上国での栄養改善、特に若い女性と子どもである。妊娠適齢期の女性の栄養不良が子どもの低身長、知能の低下を招く、栄養知識不足による離乳後の子どもの栄養バランスが悪化する。第2は、発展途上国から中進国等における栄養の二重負荷である。先進国から、低価格のいわゆるジャンクフードが大量に投入されることにより低所得世帯の子どもを中心に、肥満でありながら栄養不良が発生している。
・ 栄養サミットはオリンピックのたびに開催国で議論されている。2020年には東京で第3回サミットが開催される。議論のテーマは、保健と開発の優先課題としての栄養、健康的な食生活を推進するフードシステムの確立、脆弱な環境下における栄養の強化、データに基づくアカウンタビリティーの推進、新たな拠出と革新的なファイナンシングの確保、という5つである。
・ ガーナを例に、レポートから見えてくるアフリカの課題と可能性を説明する。ガーナのGDPは、近年増加を続けており、2017年はアフリカにおいて第2位の成長率である。貧困率や5歳未満児の死亡率は減少している。
・ 若年層の発育障害や低体重は減少しているが、都市と農村の格差が存在する。過体重・肥満は急激に増加している。成人の糖尿病も拡大している。ナトリウム摂取量は、国際平均の半分以下で、女性の貧血は多少減っているものの、いまだに45%以上に見られる。
・ 農村地域の多くの家庭が消費する食料の大部分を自分たちの農場で賄っている。根菜類、ジャガイモ、プランテーンなどは、自家消費の約半分を自家生産で賄っている。その他は、穀物・小麦粉が18.4%、野菜が10.9%、肉・魚類が9.6%という状況である。
・ 中級階級の増加が、高級小売市場や輸入の増加をもたらしている。
・ 1人当たりのカロリー消費は1980年代から増え、2014年時点で1人当たり約3,000キロカロリーとなり、一般的な必要エネルギー量を満たしている。
・ 「これらの発展は、アフリカの新鮮な食料のヨーロッパへの輸出において、競争力をもたらすとともに、国内のFVCに、より競争力と商業志向の必要性をもたらしている」というFAOコメントを得ているが、これがファクトなのか希望的観測なのか、現状ではよく分からない。
・ ガーナの農業は、全労働人口の44.7%、GDPの約20%を占める基幹産業である。全体的に農業生産性は低い。ほとんどが2ヘクタール以下の農地で農業を営む小規模農家であり、機械化もされていない、雨水と家族労働力に依存した伝統的な農法が広く実施されている。一方、大規模なプランテーション(ゴム、パーム油、ココナッツ等)もある。
・ 本事業ではかなり細かく食材別FVCのプロファイルを調べている。野菜、鶏肉、乳・乳製品、水産、食肉加工の現状を見てみると、食材の供給増加は栄養改善につながっているものの、そのかなりの部分を輸入に頼っていることがわかる。例えば食肉加工では、原料の入手の難しさ、生産コストの高さにより、成長はとても遅い。
・ レポートから見えてくることは3つである。1つ目は、アジアで起こった栄養の二重負荷がアフリカにも出現していることである。
・ 2つ目は、国民を養うための「雇用」創出が持続可能な発展の鍵であること。政情が安定化したことで人口が増えているので、雇用ニーズも増加している。現地政府の産業育成について、関心はインフラ投資から製造業に関する投資への期待に移っており、1次産業、食品産業への期待は極めて大きい。
・ 3つ目は、栄養改善支援の矛盾である。先進国から安価で高品質な加工食品を輸入することで、栄養改善には一定の効果を上げているが、途上国の食品産業の発展を阻害している側面がある。結果的に雇用も生まれず、先進国に金を払い続けることになっている。
・ 日本はこれまでJICAの支援事業をはじめ、食料安全保障の観点から現地の食糧供給力を高めるため、自律的な1次産業育成を支援してきた。今後は、単に現地への技術指導のみならず、FVC全体の改善支援を行いながら、現地の食品事業者と積極的に連携し、協業で産業を育成することが、途上国の包括的な課題解決になるとともに、日本の新たな産業基盤を築くことになる。

(7)ビジネスと人権に関する行動計画策定について
(農林水産省 大臣官房国際部 国際機構グループ 田端課長補佐)

・ 2011年にビジネスと人権に関する指導原則が、国連人権委員会において全会一致で承認された。これは、国の義務としての人権の保護、企業の責務としての人権の尊重、救済システムの3本の柱で成り立っている。
・ 2015年のG7エルマウ・サミットでは、この指導原則が強く支持され、わが国では2016年にビジネスと人権に関する国別行動計画の策定が決定された。
・ 2018年、ベースラインスタディーが行われた。これは現在の日本の法制度や施策をレビューしたものである。並行して労働界・経済界・省庁の意見交換会が十数回行われた。年末には、今後国別計画を作るに当たっての優先事項は何かという、パブリックコメントも行われた。今月中には、作業部会等で優先事項の絞り込みがされる。本年度後半からは第1案を作り、来年度の夏に公表するスケジュールとなっている。
・ 現時点で優先事項として挙がっているものは、公共調達、開発協力、開発金融、国内外におけるサプライチェーン、中小企業支援、人権デューデリジェンスの促進などがある。今後の議論によって、どのような形でどの程度盛り込まれていくか決まっていく。

(8)G20新潟農業大臣会合の結果について
(農林水産省 大臣官房国際部 海外投資・協力グループ 井上グループ長)

・ 2019年5月、G20新潟農業大臣会合が開催され、G20新潟農業大臣宣言が採択された。「G20がFVCs全体に渡る食料の損失・廃棄の削減に主導的役割を担うべく努力」、「FVCsを通じた農村開発に向けても各国が努力」等、FVC関連の記載がある。
・ FVC構築については国際的にも非常に関心が高くなっており、重要性も認識されている。農林水産省としても、本日お集まりの皆さまから協力を得ながら、宣言の取り組みを推進していきたいと考えている。

(9)二国間政策対話・委託調査について
(農林水産省 大臣官房国際部 海外投資・協力グループ 井上グループ長)

・ 二国間政策対話等の実施状況および今後の予定を資料9に示している。各対話や関連イベントに、民間企業の皆さまにも参加していただける場合、当協議会のメーリングリスト等を通じて案内する。
・ 本年度に実施する各種調査概要を資料10に示している。
・ GFVC推進に係る公的機関の支援ツールの一覧資料を配布しているので、参考にしてほしい。
(編注:本会合の配布資料とは別ページに掲載しております。
http://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokkyo/food_value_chain/about.html
の1.(2)「グローバル・フードバリューチェーン構築の支援ツール」をご確認ください。)

3.閉会あいさつ(東京農業大学 板垣 GFVC推進官民協議会代表)

・ 内容の濃い報告が続き、貴重な情報を提供する機会となった。民間企業が海外に出ていく場合、資金、人材、制度、情報交換など、いろいろ関心があると思う。FVCを海外へ推進していくためにも、ぜひ本協議会を活用していただきたい。
・ 今後とも、日本としてのFVCのネットワークの広がりを期待していきたい。

以上

アフリカ部会

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日時:令和元年6月10日(月曜日)15時00分~16時40分
場所:三田共用会議所(3階大会議室A~B)

1.開会

2.議事

(1)TICAD7に向けた各機関の取組予定

第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の概要および官民円卓会議について
(外務省 アフリカ第二課 野口地域調整官)

・ TICAD(Tokyo International Conference on African Development)とは、1993年に日本が立ち上げたアフリカ開発をテーマとする首脳級会合である。その後5年に1回日本で開催し、2016年のTICAD6からはアフリカ側の要望に応えて3年に1回、日本とアフリカでの交互の開催となった。TICAD6はアフリカで初めてケニア(ナイロビ)で開催した。
・ 現在、アメリカ、中国、EU、インドなど、多くの国がアフリカとの会議と立ち上げているが、TICADがパイオニアである。この先駆性がTICADの第1の特徴である。
・ 第2の特徴は、包括的かつオープンなフォーラムということである。アフリカ諸国のみならず、開発に携わる国際機関、ドナー諸国、民間企業、市民社会も参加するマルチの枠組みである。
・ 第3の特徴は、アフリカ自身のオーナーシップを尊重し、国際社会とのパートナーシップの理念を具体化していることである。先進国として上から目線で教えるのではなく、現地のニーズや考え方を尊重し、国際社会と協調していく。
・ 第4の特徴は、着実な公約実行である。閣僚会合を毎年原則開催し、TICADでの約束をレビューし、着実にフォローアップしている。TICAD6で官民合わせて300億ドルの支援を表明したが、その達成状況についてフォローアップしている。
・ アフリカ諸国は積極的に外資の誘致を行っている。経済インフラや法制度が不足していることを逆手に取り、一足飛びに先端ICT技術を導入し、スタートアップや国際的企業連携が盛んに行われている。このような状況を背景にTICAD7(2019年8月28~30日、横浜)ではビジネスを中心に据えて、成長基盤となるインフラ整備と人材育成を通じ、アフリカの成長を後押しすることを狙いに定めている。
・ TICAD7の柱(案)は、民間セクターの育成とイノベーションを通じた経済構造転換とビジネス環境・制度改善、人間の安全保障のための強靱かつ持続可能な社会の推進、平和と安定(アフリカ自身による前向きな動きを後押し)の3つである。いずれもアフリカの持続的発展のために不可欠な社会的条件といえる。
・ 特にビジネスの文脈では、日本の民間企業からアフリカの首脳に対して、直接ビジネス環境改善や投資政策に関する要望を表明してもらうセッションを設けることを検討している。会場も多数の傍聴者が参加できる場所を考えている。
・ TICAD7に向けて、日本の民間企業の意見・要望を幅広く求めるために、経団連や経済同友会が推薦する企業の経営者へ外務大臣が委嘱して、TICAD7官民円卓会議を開催した。実務レベルのワーキンググループ(WG)を設置し、1年かけて議論した結果を民間からの提言書として4月2日に安倍総理大臣へ提出した。
・ 内容は多岐にわたっていて、外務省のみならず経済産業省、農林水産省、他の各省庁や、JICA、JETROなどの政府機関に関連する提言が含まれている。官邸のアフリカ経済戦略会議の場も活用し、各省庁・機関の協力を得ながら、できるだけ多くの提言内容を実現するべく尽力している。
・ 提言の一つに、日本企業の対アフリカ投資促進のため、官民円卓会議を発展的に改組する形で、常設の官民連携プラットフォームとしてアフリカビジネス官民協議会の設置がある。6月7日に立ち上げ会合が行われた。
・ アフリカは、国や地域で気候も国民性も異なり、非常に多様性に富んでいる。一方、アフリカ連合(AU)に見られるように、アフリカとして一つにまとまって発展する立場もあり、その際には硬直的で融通が利かない。これらの点に注意が必要である。
・ 貿易・経済面では地域共同が進みつつある。アフリカの東西南北で8つの地域経済共同体が創設され、さらに大陸全体を対象としたアフリカ大陸自由貿易協定(AfCFTA)が、5月30日に発効した。
・ アフリカは歴史的に欧州・中東・インドと緊密な関係にあったので、日本が進出していく場合にはこれら第三国と連携していくことは有効である。アフリカ人は日本のことをほとんど知らないが、1度日本に来ると例外なく好きになって帰っていく。そのような意味でもABEイニシアチブの研修生に日本との架け橋になってもらうことを期待したい。
・ 現在、アフリカは中国からの借金に苦しんでいるので、日本にとってはチャンスと言えるかも知れない。
・ 農業はアフリカにとって最も重要な産業である。若者人口が多く、2050年には今の倍の25億人になる。政府は彼らに教育を提供し、雇用を確保し,食べさせなければならない。そのような意味で、アフリカから日本に対して農業分野での協力への期待は大きい。
・ コンゴ民主共和国では、広い国土で雨も降るのにもかかわらず、食料の40%を輸入しているという不合理が指摘されている。農業生産から加工・流通・栄養補給・その他、多くの側面で、国や地域の事情に応じてさまざまな可能性がある。
・ TICAD7にはアフリカ及び第三国の官民関係者が多く参加することが期待される。官民連携を一層推進して、TICAD7を成功させ、日本とアフリカの関係を新たな次元に飛躍させる機会となるよう、全力を尽くしていく所存である。

アフリカビジネス協議会の概要について
(経済産業省 中東アフリカ課アフリカ室 蓮沼室長)

・ TICAD7官民円卓会議でまとめられた提言を受ける形で、外務省、経済産業省、経団連、経済同友会などと共に、6月6日、アフリカビジネス協議会を立ち上げた。
・ 今まで官民円卓会議の場で、民間企業からの提言をいただき、ビジネスについて議論してきたのだが、なかなか民間のスピード感に合わせていけないことがあったので、アフリカビジネス協議会を常設の会議体とした。
・ 6月6日は世耕経済産業大臣および河野外務大臣が参加した。今後はWGという形で、より具体的なビジネス案件について話していく。
・ まず、アフリカの現状認識について情報共有を行う情報基盤ワーキングや、民間企業の関心が高い個別分野でWGを立ち上げたい。
・ 6月6日の第1回会議は、TICAD7官民円卓会議が発展的解消した形になったので、限定したメンバーで開催した。今後、アフリカビジネス協議会はオープンに参加登録を受け付けていきたい。関心のある方は、ウェブページにアクセスして参加登録してほしい。

アフリカにおける農業分野に関する支援について
(農林水産省 大臣官房国際部 国際地域課 平中課長)

・ アフリカ各国の支援ニーズを踏まえ、農林水産省では支援の重点分野として、コメの生産拡大、栄養状態の改善、気候変動への対応という3つを挙げている。具体的な支援としては、人材の活用および国際機関との連携を行っている。
・ コメの生産拡大に関する取り組みでは、アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)の目標達成のため支援を実施していく。
・ 支援の大きな柱の一つが、農業政策シニア・アドバイザー派遣である。農林水産省職員をケニア、セネガル、ザンビアへ派遣して、CARDに貢献していく。これに加え、アフリカ諸国では農林水産省職員14名が農業アタッシェとして活動している。また、アフリカ4カ国にJICA専門家として職員を派遣している。これらも含め、人的支援をしていく。
・ もう一つの柱は、AfricaRiceと連携したアフリカ産米の増産のための研究・開発である。
・ 栄養状態の改善に向けた取り組みでは、WFPと連携してシエラレオネなどで小規模稲作農家の栄養改善指導を行っている。また、Bioversity Internationalと連携した栄養評価法も開発している。
・ TICAD7に向けた農林水産省の取り組みとしては、アフリカにおける稲作振興等を通じたSDGsへの貢献を目指している。具体的には、飢餓の撲滅、市場および高付加価値化へのアクセス確保、栄養不良の解消、持続可能な森林経営に対する施策を打ち込んでいく。
・ 飢餓の撲滅では、CARD2への貢献として、量に加え質の向上を図るため、高付加価値イネ品種を開発する。また、経験豊かな農水省職員を派遣し、政策アドバイザーとして活用していく。
・ 市場および高付加価値化へのアクセス確保では、川上(生産現場)に加え川下(市場)の支援を強化する。日本企業のアフリカ進出への後押しを中心に取り組んでいく。具体的には、グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会を通じた産官学一体の取り組み、現地大使館のアタッシェによる支援を推進していく。
・ 栄養不良の解消では、WFP等の国際機関との連携を強化し、栄養改善に向けた研修等の取り組みを実施する。
・ 持続可能な森林経営では、林野庁職員を派遣する他、FAOや国際熱帯木材機関(ITTO)と連携し、植林を大幅に増加させるための土地利用計画策定や違法伐採対策を推進する。
・ TICAD7に向けた施策としては、アフリカビジネス協議会の創設を踏まえ、GFVC推進官民協議会との情報共有・連携、さらにJICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)との連携も行っていく。

アフリカにおけるICT分野に関する支援について
(総務省 国際戦略局国際協力課 金子国際交渉専門官)

・ アフリカは、54もの大小さまざまな国が存在しており、日本企業のICT分野における進出も一様ではない。一方で、域内の経済統合が進みつつある。従って、意欲のある国々・組織と協力し、重点国・地域から関係強化を展開する。具体的には、ICT立国を掲げるルワンダやスマートアフリカ(2013年10月、アフリカの資源依存体質からの脱却、ICTを活用した産業振興を目的に設立された地域機関)、従来から地デジ協力を進めていたボツワナなどの取り組みがある。
・ わが国ICTの特徴・強みを訴求するため、関係機関等と連携・協力し、質の高いインフラ投資を推進するとともに、わが国ICTの海外展開を通じて、アフリカ各国の経済発展、社会課題解決にも貢献する。
・ ルワンダでICTの大きなイベントがあり、昨年・今年と参加している。そこではAU、ワールドバンク、IT関係の国際機関等が参加するので、日本企業のプレゼンスを発揮することができる。企業の交流会も行っている。
・ 2019年8月28日、TICAD7公式サイドイベントとして「日・アフリカICTハイレベルラウンドテーブル」を行う。アフリカの24ヵ国から構成されるスマートアフリカと、JICA、神戸市の共催である。
・ アフリカ地域における経済的な関係が深いインドの経験を活用すべく、「日印ICT協力枠組み」の下、第三国協力的な人材育成支援として2019年5月16日にルワンダでICT能力構築の支援を目的としたセミナーを開催した。
・ 2019年度に農林水産省と連携し、「アフリカにおけるICTを活用した農業の実証事業に関する調査研究」を実施予定である。
・ 総務省では、小規模であるが各社に集まっていただく場があるので、アフリカビジネス協議会と連携しながら取り組んでいきたい。

(2)TICAD7官民円卓会議の提言報告等
(豊田通商(株) 渉外広報部海外渉外室 羽田室長)

TICAD7官民円卓会議の民間提言について

・ 日本企業はサブサハラ(北アフリカ6カ国と南アを除く)32カ国へ233社進出している。ミャンマーには249社進出しているが、Ease of Doing Business Rankingを見ると、サブサハラにはミャンマーよりも上の国が多くある。アフリカのビジネス環境は大きく改善している。進出が遅れると、アフリカのマーケットは新興国の企業に取られてしまうという危機感を持つべきである。
・ 「このままアフリカ各国にビジネス環境改善だけを訴え続けていいものか」ということを根本の問いとし、アフリカで長年事業を行っている企業から生の声を聞いてから提言を作った。
・ 今回の提言では、議論体制を大きく変更した。第1回会議で河野大臣から、アフリカで活動中のスタートアップ・中小中堅企業に入ってもらうことと、各企業でアフリカビジネスに関わっている実務者で構成されたWGで提言を書いてもらうことが指示された。
・ WGは2つ設置した。1つ目が、アフリカの成長のための経済基盤(質の高いインフラ開発)をテーマとして、経団連と千代田化工建設が運営した。2つ目が、人間の安全保障および強靭(きょうじん)な社会の促進(質の高い生活、ビジネスフロンティアなど)をテーマとして、経済同友会と豊田通商が運営した。
・ 日本とアフリカの民間企業同士が手を組んで事業を行う姿がファイナルゴールであるが、今はアフリカ側の民間企業がよく見えていないので、いきなり民民で進めようとしても物事は動かない。日本の官民においても、今までつなぎ損ねていたスタートアップや中堅中小企業が残っている。そこで、まず日本の官民がしっかりつながることを第1とした。その後、日本の官民、アフリカの官民の4者をつないでいく。WGの議論は、これらの内容を意識して行われた。
・ 21社、35~36名、実質3回の議論であった。もっと多様な方々に集まっていただき、回数多く議論を重ねていけば、さらなる論点が出せたと感じた。その意味でも、6月6日に設置されたアフリカビジネス協議会は、同じ趣旨で心ある方に集まり直していただいたわけで、再度議論を掘り越す原点に立ち返りたい。
・ 民間提言の柱は3つある。1つ目はTICADのモデルチェンジ。アフリカ各国は、自立・持続に向けた自己変革に挑み続けている。また、新たなフロンティアとして新興国からも注目を集めている。この流れに後れを取らないようにすること、そして、民間セクターのみならず、アフリカに関わっているアクターも巻き込んだ新しい官民連携を原動力にすべきという意味である。
・ 2つ目の柱は、新たな官民連携(基本方針)である。具体的な内容は以下のとおり。
・ SDGs目標とAgenda2063 双方への貢献を目的とする(活動の大義)。
・ 自由で開放的な経済秩序の維持・強化と地域経済統合の推進。
・ 官民・NGO・NPO・国際機関を巻き込んだ具体的なソリューションの提案(イノベーションの推進)。
・ 日本の姿勢や取り組み例をTICADモデル/プロジェクト(ショーケース化)として提示し、具体的な行動をコミットした国を優先して巻き込む。
・ 小規模であっても具体的な動きがある民間事業を支援し、パイロット化、面展開する。
・ 柱の3つ目は、官民連携の重点分野を定めることである。提言では、攻めの4分野、守りの4分野を挙げさせていただいた。
・ 攻めの4分野は、質の高いインフラ整備、農業生産性向上・付加価値増への貢献、快適で結構な生活環境づくり(保健衛生、予防医療、栄養改善)、中堅中小企業スタートアップの力を生かす、ということである。
・ 守りの4分野は、アフリカ各国政府への働き掛け(在外公館・政府機関のイニシアチブ)、多彩なパートナーシップを活用した共催者の知恵やネットワークの活用、人づくり(官民の基礎学力向上、民の就労機会提供)、既存ファイナンススキームの改善である。

アフリカビジネス協議会について

・ TICAD(3年ごと)は民間企業のサイクルに合っていないので、アフリカビジネス協議会を「常設の会議体」として設置すべきと提言した。TICADで何を見せるかというアクションプラン作りに着手しながら、分野ごとにWGを立てて、その進捗(しんちょく)に応じたPDCAを回していく。
・ まずは、民間提言に盛り込んだ重点分野から協議をスタートするが、他の分野についても議論が必要になってくる可能性はある。現在、外務省、経済産業省と共に、会議体の設計をしている。
・ 産業分野別WGは、各省庁の既存の枠組みと連携し、最大限活用したい。攻めの4分野では、質の高いインフラ整備と国交省(アフリカインフラ協議会:JAIDA)、農業生産性向上・付加価値増への貢献と農水省(GFVCアフリカ部会)、快適で結構な生活環境づくりと内閣官房(アフリカ健康構想)・環境省(アフリカのきれいな街PF)が連携していく。
・ 特にこれらのWGは、アフリカで活動している具体例からくる困り事や要望を聞いて、何ができるかというところからスタートしていく。TICAD8に向けた3年間を見据えて、情報交換だけで終わらないよう、具体的な目標を持って進めたい。
・ 守りの4分野は、全部新しいWGを立ち上げることになる。皆さんの役に立つものを官民ワンストップで立てられるように企画する。

農業WG発足、今後の進め方について

・ アフリカの農業を考える場合、FVCの考え方とは違う切り口での議論が現実的なのではないか。例えば、作物がたくさんできたら自分の生活が楽になるので生産性を上げる努力をするというモチベーションがない人に対して、生産性向上性を指導しても継続しない。このようなことは現場で貢献しているJICAからのフィードバックが役立つかもしれない。そのようなものをこういった場で共有していきながら、FVCの枠にとらわれない議論もしていきたい。

(3)民間企業・関係機関の活動紹介

農業WGについての提案 ~Tech×農協~(日本植物燃料(株) 合田代表取締役)

・ 提言の中に、「農業従事者の経済的自立に資する、農業生産性向上・付加価値増への貢献」として、農協モデルをアップデート、ICT を活用して複数社で連携、国際機関との連携、電子農協プラットフォームは他の産業にとってのプラットフォームにもなるといった指摘がある。
・ 無電化村での電子マネー運用に必要なものは、タブレットもしくはスマートフォンとその充電のためのソーラーパネルである。これを用い、誰が何を幾らでいつ売ったのか、各自の収入を記録している。このようなデータがあれば融資が可能になることを実証した。
・ 次のステップとして、個別農家から組合としてまとまることが必要である。個別農家の10万円の与信と農協の1,000万円の与信では、できることが異なる。農協相手となってくると、日本企業にとってもメリットが生まれてくる。
・ EUがドナーのプロジェクトでは、FAOが農業資材を補助し、最終的に誰がどういう形で届いたのかトレースしている。本年のモザンビークのサイクロン被害では約250万人が被災をしたが、その緊急支援の補助でも同様の方法で行っている。
・ 農業WG 戦略のロールモデルとしてM-PESAが挙げられる。現地に必要とされ、かつ、支援側の中長期的利益に資する。どの国がODAで貢献しようが、どの企業がM-PESAを活用してビジネスで成功しようが、ケニアが豊かになればなるほどイギリスに利益が還流する。
・ 日本の農家は個別では豊かになってこなかった。農業関連企業も個別に資材を販売しても成長してこなかった。農協の役割は大きい。アフリカでも農協プラットフォームの創出が必要である。アナログではなく、そこにICTを絡めていく。農協の組織運営とマーケットへのつなぎに関して貢献していく。
・ 将来、プラットフォームができた後に、仮に最も肥料を売るのが中国の企業であったとしても、そこで動くマッチングや決済のフィーは日本に還流してくるという構造をつくることができる。
・ 日本では、農作物・農業資材の流通の50~60%は農協である。農家・農業関連企業の双方が農協なしでは成長できなかった。現在のJAを見ると、農作物・農業資材だけでなく、ガソリンスタンドから病院・葬儀まで、地方の生活インフラ全般になってきている。アフリカに農協という切り口で入っていく場合も、同様に農作物の共同販売や資材の共同購入から、生活インフラを支えるところまで広げていける可能性がある。
・ これまで個別農家取引を行ってきた。弊社はKIOSK決済と農作物買取で、個々の村人の収入と支出をデータ化してきた。また、弊社だけではなくアフリカに進出している農業関連企業がそれぞれ独自に流通網を構築してきている。
・ これからは電子農協(VFA:Virtual Farmers Association)をつくっていく。個別農家を組合組織化し、組織運営をICTで補助する。VFA自体が利益を生むものではないが、日本企業進出の助けとなる。
・ VFAがしっかりしてくれば、農協向けマーケットプレイス(VFM:Virtual Farmers Market)づくりが可能となる。
・ 個別農家が、仲買人や資材店との交渉力を向上させるにはVFAが必要である。VFMで農作物の安定供給が実現する。VFM利用によって農協・仲買人・資材店への信用供与が可能となる。
・ 具体的な取り組みとして、モザンビークでWFPとマーケットプレイスづくりを準備している。農協強化(VFA)に関しては、JAと協力している。これは対象者8万人のパイロット案件だが、JICAのSHEPや農業関連企業とも協力できると望ましい。
・ 7~8割のアフリカの小農の生活改善に役立ち、日本にとっても中長期的影響力とメリットを享受できる新たなインフラ提供として、今後VFAをつくっていく。将来的には農業関連企業のみならず、コンシューマー向けサービスを提供する日本企業にとって、ビジネスを発展させる可能性がある。他国企業がVFAインフラを活用しても、流通マッチングフィーや決済フィーは日本に還流する。

アフリカにおける民間連携を促進する取り組み
~JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)を通じた共同活動の提案~
((独)国際協力機構 農村開発部第二グループ 野口課長)

アフリカにおける本邦企業の農業機械の活用に係る情報収集・確認調査(2019年3~9月)
・ 本調査の狙いは、農業機械化が進んでいないサブサハラアフリカにおいて、農業機械の普及により農業生産性や農産品の品質向上に資すること、また本邦メーカーのビジネス進出促進の足掛かりとなり得るJICA事業およびODAスキームへの提案を取りまとめることである。
・ 農業機械化の課題としては、政策・制度、圃場(ほじょう)、製品・技術、販売、運用・維持管理、金融サービス、基準がある。このような切り口で調査を進めた。
・ その結果、支援できるパッケージ案としては、まず本邦メーカー農業機械のPRがあげられる。アフリカで日本製品の良い点が伝わっていない理由は、実際に見る機会がないためである。ODAの役割としては、研修、企業訪問などで、PRをしていきたい。加えて、ODAが民間企業と共に進めていくというスタンスも必要となる。本邦民間企業の現地代理店の育成を図る目的で、そこで見つけた人材に対して、ODAを通じて本邦研修を実施することも考えられる。
・ 2つ目の案は、機械の購入のための融資制度である。同時に企業からは、差別化できる製品開発・価格設定など、販売促進活動を併せて提案したい。
・ 3つ目の案は、包括的な営農支援と機械のメンテナンス支援である。納品して終わりでは信用を得ることは難しい。継続的なオペレーションシステムをつくるバックアップ、部品の供給などの体制を、メンテナンスサービスの強化といった観点から整備する。
・ 今後の予定は、6月26日に本邦農機メーカーとの意見交換会(第3回JiPFA農業機械化分科会)、9月に最終成果報告会(第4回JiPFA農業機械化分科会)となっている。
サブサハラアフリカ食料安全保障・栄養改善のためのFVC開発情報収集・確認調査(2019年3月~2020年3月)
・ 2019年3~7月、本邦企業のアフリカ事業展開ニーズ(国内の作物)を聴取する。これまでの進出分野、事業の進捗、進出先国におけるビジネス上の課題・リスク、今後のビジネス展開などを把握する。第1回、第2回分科会を開催。
・ 7~8月、調査対象国、作物を決定する。開発規模、インパクト、実現可能性など、優先順位の特定を行う。
・ 8~9 月、企業の希望する調査内容を聴取する。本調査に期待すること、開発ニーズ、ポテンシャル作物、サブサハラ地域の食品市場の動向および予測など把握する。9月に第3回分科会を開催。
・ 9~12月、現地調査の実施(5カ国を想定)。
・ 2019年12 ~2020年2月、官民連携事業案への企業から、FVC開発シートなどの官民連携事業案に関するコメントを聴取する。
・ 3月、官民連携によるFVC事業案を完成する。第4回分科会を開催。
・ 現在、聞き取り調査を行っており、民間企業が直面している課題、本調査および「官」に期待することが挙がっている。第1回分科会(4月25日)アンケートでは、JiPFAアフリカFVC分科会に期待することも上がっている。
SHEPアプローチによる小規模農家の所得倍増(JICA事業対象地域での民間連携促進)
・ 園芸作物を中心に、小規模農家を対象として所得を向上させ、モチベーションを上げていくアプローチである。ケニアで成功したものであり、80%の収入向上の結果が得られた。セネガルのある村では約8倍になったという結果もある。
・ アフリカで23カ国を対象に展開中で、1万2,357人の技術指導者育成、約12万8500人の小規模農家育成を達成している(2019年3月現在)。
・ もともと夫婦が別々に営農に従事していたが、夫婦を対象に営農や家計について研修し、夫婦が「経営パートナー」となる農業経営の視点を持ち込む。
・ 農家はこれまではバイヤーが来るのをひたすら待つというスタンスだったが、農家自らが市場を学び、栽培品目・時期を改善し、収入増によって営農意欲を向上させる。
・ 生産性向上や品質の高い農産物の生産のため、農業資材の重要性を認識させる。
・ これらによって、農業資材への投資意欲がある農家が生まれ、本邦企業を含む民間企業による技術・資材普及への可能性(JICA事業対象地域での民間連携)が生まれてくる。
TICADプロセスにおけるJICAの主な取り組み
・ 日本の農業発展の経験・知見・技術を基にした支援、産官学それぞれの優位性を生かした支援を試みる。TICAD IVではCARD(稲作振興)、TICAD VではSHEP(市場志向型農業)、TICAD VIではIFNA(栄養改善)といった支援の実施を発表してきた。
・ CARDはJICAがリードする国際イニシアチブで、10年間でアフリカコメ生産倍増を達成した。2019年より、CARD 2として32カ国に展開することを考えている。
・ SHEPはJICA発の農業普及アプローチで、現在、23カ国に展開している。2030年までに100万人の農家へ展開することを想定。
・ IFNAはJICAがリードする国際イニシアチブで、食を中心とするマルチセクター活動。2025年までに子ども2億人の栄養改善を目指す。
・ TICAD7では、上記取り組みをさらに加速し、アフリカ農業協力における民間連携の促進を目指している。
・ TICAD7のサイドイベントとして、CARD(2019年8月30日)、SHEP(8月29日)、IFNA(8月27日)を予定している。

3.閉会

以上

お問合せ先

大臣官房国際部海外投資・協力グループ

代表:03-3502-8111(内線3512)
ダイヤルイン:03-3502-5914
FAX番号:03-3502-8083

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