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農林水産省

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第1回グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会中南米部会 議事概要

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日時:令和2年11月6日(金曜日)9時30分~12時30分
場所:TKP新橋カンファレンスセンター ホール14G

議事概要

1.開会の挨拶

(池⽥道孝農林⽔産⼤⾂政務官)
・オンライン方式による開催にも関わらず、国内の民間企業、関係団体、政府関係機関、在京大使館、そして、12時間以上の時差の中、現地関係者の皆様にもご参加いただいている。
・中南米は、世界の一大食料生産地域として、我が国の穀物の安定供給等に大きく貢献している。昨年、我が国は大豆については全輸入の2割を、トウモロコシでは約3割をブラジルから輸入した。
・中南米は、210万人を超える日系人社会を有し、全世界の日系人の約6割を占めている。
・政府機関が連携し、官民が一体となって、我が国食産業の中南米への展開を加速化するための取組を推進することが重要。
・本日は、民間企業4社(前川製作所、ソフトバンク、豊田通商、ブラジル・ベンチャー・キャピタル)より、中南米における取組や日本政府への要望・提案などについて発表いただく。

2.趣旨説明

(農林水産省 大臣官房国際部新興地域グループ 櫻井国際調整官(中南米チーム長))
・この部会設置に当たり趣旨について説明。
・GFVC推進官民協議会の主な活動内容は、地域部会の開催を通じた情報発信等である。
・二国間政策対話を開催し、相手国との食料・農業対話を通じた官民合同での日本の食産業の海外進出に向け、ビジネス、投資環境の整備を推進してゆく。
・中南米の特徴として、世界最大の穀物生産地域であり、我が国の食料安全保障上、重要な地域である。また、200万人を超える日系人社会を有し、中南米における日本食の普及、わが国の食品、食材の輸出促進といった観点からも、潜在的な可能性を秘めている。
・今回、中南米部会を新設し、政府機関が連携し官民が一体となって、わが国食産業の中南米への進出、展開を加速化させるための取り組みを推進する。

3.⺠間企業からの報告
     中南⽶における⺠間企業の取組の現状と課題、政府への要望等

(1)(株式会社前川製作所 ソリューション事業本部食品部門営業グループ 福元課長)

・弊社は、産業用の圧縮機を製造しているメーカーで、コアとなる圧縮機を中心に、冷却設備、冷蔵設備、急速凍結設備、また、加熱などの熱に関するエンジニアリングを営業から設計、施工、メンテナンスまで手掛けている、エンジニアリング会社でもある。
・主要な事業分野は、鶏のもも肉とか豚肉のもも肉、腕肉の脱骨をする食品用のロボットを製造。食品加工事業所などに、冷却設備、冷凍設備を納入している。
・日本国内は57事業所、生産拠点として国内が3拠点。海外には45カ国、105の海外事業所を構えて、日々活動している。
・中南米における事業については、ブラジルのアルジャにあるパッケージの工場、メキシコのクエルナバカの鋳物工場と加工工場、圧縮機を造る工場など、全部で12カ国で事業展開しており、拠点数が40、現地社員990名、駐在員14名で活動している。
・FVCに関する良い事例として、乾燥設備の燃料の転換、脱骨の機械、イチゴの凍結の設備などの紹介。
・ポストハーベスト(川上側)から食品加工(中流)、そして消費(コールドチェーン)、輸出(川下側)へとシフトチェンジしていく時期ではないか。
・課題として、ジャパンブランドの低迷、安売り合戦のレッドオーシャン、CC未整備が起因するフードロスなど。強味として、中南米は親日国が多いというのはアドバンテージである。
・課題と背景、解決の要望として、現地のキーとなる民間企業の日本への招聘、環境対応配慮型の機器類として二国間協議によるインセンティブの検討、日本でよく使われている機器類を活用した食料の輸入、地の利を生かした二国間協議、インフラ整備の補助事業の組成、経済特区制度の適用など。
・日本政府への期待として、二国間協議の推進、インフラ整備への補助事業、輸出入をスムーズに行うための経済特区制度の活用など、大きく3つのことを期待している。

(2)(ソフトバンク株式会社 5G&IoTソリューション本部コアソリューション統括部測位ソリューション部 戸上 担当部長 兼e-kakashi課 課長)

・2015年から本格的に農業分野に取り組んでいる。農業IoTソリューションe-kakashiを国内、中南米を中心に展開している。
・e-kakashiの取り組みとして、中南米農業現場でのデジタルトランスフォーメーション推進と、そして、科学的農業実践による課題解決に向けた取り組みを紹介したい。
・現在、日本国内では、約500カ所以上にe-kakashiを設置。基本的にどの作物にも利用可能だが、導入の実績があるのは水稲、イチゴ、トマト、葉菜類、ブドウや果樹や、イモ類や花卉など。
・情報活用による一次産業分野の発展と新たな価値の創造。環境・天然資源・食糧問題解決への貢献がe-kakashiの目指すビジョン。
・温度や湿度、日射量などのデータをどのように使えば、栽培に役立つことができるのか、生産性を上げることができるのか、または、環境保全で使えるのかが極めて重要なファクターである。
・日本国内における科学的農業の実践について、宗像市とJAむなかたの事例の紹介。
・スマート農業の分野での施設園芸で使われるケースの紹介。反収増加といった成果を出している。
・人材育成について、植物科学的観点で栽培ができるという若者をどんどん育てていきたい。九州を中心とする農業大学校と連携して教育プロジェクトを実施している。
・農林水産省の事業で、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビアの日系農業者の視察を受入れた。
・SATREPSのプロジェクトがきっかけで、コロンビアで農業プロジェクトを実施した。中南米でのさらなる展開に向けた戦略的フードバリューチェーンの紹介。
・中南米展開のメリットとして、言語、インフラ、宗教文化、気候・自然災害などがある。
・科学的農業と最先端技術による持続的食糧生産エコサイクルを核とした経済発展モデルにより、生産性向上のための科学的なアプローチ、環境保全、人材育成も同時並行で回す取り進めの紹介。
・将来的には、戦略的なスマートフードバリューチェーンを構築する必要。例えば、生産性を高めても流通段階で品質が劣化してしまっては、生産性を高めた意味がないので、情報連携、マッチングが重要である。
・デジタルトランスフォーメーションを進める上での通信インフラ、電力インフラが大きな課題になるため、相手国政府ならびに関連企業との対話などで支援をお願いしたい。また、中南米における先端技術、システム、ソリューションおよび製品連携実証の場としてジャパンイノベーションハブの創設と、支援事業の枠組み。企業マッチングした後に連携して取り組めるような事業支援を期待している。

(3)(豊田通商株式会社 穀物第二部 加藤 部長)

・ブラジル中心に穀物事業の紹介と、課題認識、そこから来る提言をしたい。
・モビリティー以外にも、リソース・アンド・エンバイロンメント、ライフ・アンド・コミュニティーの大きく三つの分野と、それぞれの重なりの部分で、本業を通じた社会課題の解決に取り組んでいる。
・豊田通商100パーセント出資の穀物集荷販売会社のノバアグリがブラジルにある。マトピバ地域にあるイタキ港で輸出ターミナルを擁してオペレーションを行っている。約300名の従業員がコロナ禍でローテーションを組み、ライフラインを守っている。
・世界の穀物貿易量について、ブラジル・米国・アルゼンチンで世界の大豆・コーンの貿易量の約8割であり、ブラジルが世界の穀物貿易量の成長を牽引している。ブラジルの生産、輸出の伸びが非常に顕著である。
・ブラジルの地域別穀物生産量については、過去10年で中西部の穀物生産量は急増し、北東部は生産拡大の最後のフロンティアとなっている。
・食料安定調達、供給継続における課題は、輸出の仕向け先が中国に一極集中していること。二つ目が、農家からの穀物調達における集荷業者の資金負担が増大し、規模が拡大するにつれて重たくなってきていることと、ブラジルの物流コスト。これらの課題に対して、農家へのワンストップサービス充実による長期的な関係を作り、モバイルアプリを開発して、密に農家とコミュニケーションを取ったり、その上にクロップインシュランスを付けたり、トヨタのハイラックスとバーターをやってみたり民間で取り組んでいる。Moratória da Sojaを尊守し、環境保全・持続可能性に配慮している。穀物グローバルバリューチェーンを構築し、効率的な運営を行うことでライフラインを守り、食糧安定供給を実現する。
・キーアセットであるイタキ港の港湾ターミナルの輸出設備能力拡大により輸出能力を年間1200万トンに倍増した。
・日本政府・GFVC中南米部会への提言として、マトピバ地域のような新興農業地域における大豆・コーン等の農家に対する支援策の提供。農家に対するファイナンススキームなど(環境配慮への優遇含め)。ブラジルの穀物や油が国際市場において競争力を得るために必要な国内物流費用逓減のための支援策の提供。オペレーション改善のためのIoT技術等の支援(技術・資金)、取扱量拡大・安定化のための新規投資にかかる融資支援。緊急事態における日本としての穀物安定調達先の確保、ブラジルとの協定締結(日本裨益)。

(4)(ブラジル・ベンチャー・キャピタル(BVC)中山 代表)

・課題意識としては、将来性の高い中南米各国に対する日本のプレゼンスの低さ。
・特に、フードバリューチェーンにおいては、中南米の重要性が高い。
・ブラジル・ベンチャー・キャピタルとしては、投資先が受け皿となるような形で日本の市場、企業、投資家とリンクをして、リンクをした企業を海外進出駐在代行で、日本の企業、投資家のラテン進出をサポートしている。
・特に体力のない中小企業・スタートアップにとっては中南米進出までのステップを考慮した施策が必要。
・ブラジルのスタートアップエコシステムの調査や、ブラジルにあるブラジル日本商工会議所でのイノベーション研究会、JETROのスタートアップハブ事業のサンパウロ担当などの実績がある。
・トラクターの自動走行のソリューション提供をしている農業情報設計社。日本式の青果生産から販売までを手掛ける日本農業。岡山の会社で、耕うん爪、作業機で日本一の小橋工業とのプロジェクトを紹介する。
・農業情報設計社は、IVSという、スタートアップで日本でトップ3に入るカンファレンスで、優勝したスタートアップで、トラクターの自動走行に関する技術を提供している。スマートフォン、タブレットがあれば、トラクターを操縦しながら、自分がどこを走ったかが記録で残り、作業の重複を避けたり、作業の漏れをなくすといったソリューションを提供している。約100万ダウンロードのうち、半数が中南米のユーザーで、昨年から一気に伸ばすところの飛躍のお手伝いをしている。
・日本農業は、INDUSTRY CO-CREATION、ICCという、国内三大カンファレンスの一つで、優勝した企業。小橋工業は、世界最先端の、特に製造、農業が絡んだ事業に関して、積極的に連携をしている。
・来年以降の弊社の事業計画では、サンパウロ近郊でアグリテックのアクセラレーション事業で、アグリテックのデモンストレーションをし、日本式の農業生産を実際に見せる場を、弊社の投資で行う予定。
・政府への提言として、一つ一つのプログラムが各機関で独立的にやっていることが多いので、中南米を横串でまとめた情報提供をすると、いろいろなプログラムが使いやすく、理解されやすく、認知されやすくなる。2点目は、応募へのハードル、3点目は、特に中南米での活動実績のウエイトを増やしてもらいたい。関税が非常に高いので、サンプル品の関税を低減するような措置。最後は、中継ぎ不足についてで、日本企業と相手方を集めるだけでは、マッチングは起きない。
・オールジャパンでの取り組みを期待。弊社としては、成功事例を三つ作る。

4.政府関係機関からの報告

(1)中南⽶の投資環境-ブラジル、アルゼンチン、メキシコの現状-(農林⽔産政策研究所 林主任研究官)

・『アルゼンチン、ブラジル、メキシコの経済・投資環境』というタイトルで、これら3カ国の現在の市場動向と今後1年ぐらいのスパンで留意すべき点について、お話する。
・コロナ禍における3カ国の経済の様子について、オックスフォード大学が、「学校閉鎖」、「職場閉鎖」、「公共イベントの中止」、「集会に対する規制」、「公共交通の閉鎖」、「外出の自粛要請」、「国内の移動制限」、「海外への渡航制限」、「国民への啓蒙活動」について指標化し、各国政府のCOVID-19に対する厳格さを表す指数を作成。厳格指数の高いアルゼンチンにおいては、2020年第2四半期のGDP成長率におけるマイナス幅が非常に大きい。
・IMFのGDP成長率予測(年率)については、2021年の予測は、いずれの国もプラス成長を見込んでいるが、2020年度の予測は、コロナの影響が顕著になるにつれて、アルゼンチン、ブラジル、メキシコの見通しが引き下げられているという状況である。
・アルゼンチンのマーケットは、コロナ感染が拡大するとともに、通貨および株式いずれも売り局面となった。最近の外貨準備高も、一般的に必要と言われている輸入の3か月分という水準を上回る350億ドル前後で推移している。これからのアルゼンチンを見ていく上でのポイントとなる点として、これから本格化するIMFとの債務交渉、2点目は左派的勢力を示すフェルナンデス政権の今後の対応、3点目は通貨規制や輸出税による輸出企業におけるネガティブなマインドの改善、4点目は中国との距離感、5点目はコロナの隔離政策がいつまで継続するのかなどの点である。
・ブラジルについては、2019年に発足したボルソナーロ政権は、年金改革を無事に遂行することができたことを受け、市場は比較的に安定推移していたが、3月以降のコロナ感染の拡大を受けて、経済低迷と財政悪化の見通しから、S&Pはアウトルックについて格付け引き上げを意味する「ポジティブ」から現状維持の「安定的」と見直しを実施し、また、感染拡大や主要閣僚辞任などの報道を受けて為替は売られ、現在も歴史的にレアル安の水準で1ドル=5.5レアル前後で推移している。ブラジルについての留意点は、一つ目は、税制や行政システム改革等の進捗について、二つ目は、アマゾン地域をはじめとする環境問題、三つ目は、パウロ・ゲデース経済大臣やテレザ・クリスチーナ農務大臣などの主要大臣の去就である。
・メキシコは、2018年12月に大統領に就任したオブラドール氏による政権が開始して以降、冒頭のGDP成長率でも示したが、2019年は設備投資減少もありマイナス成長と、経済のファンダメンタルズは弱含みであった。そして、コロナ感染拡大とともに、原油価格が下落すると、メキシコの通貨および株式は売られるようになった。また、コロナ対策による国内や米国市場の停滞もあり、2020年第2四半期のGDP成長率は大幅なマイナスを記録した。6月以降は、国内の経済活動が少しずつ戻ったことや原油価格の回復もあり、為替も株式も現在は若干戻している。メキシコの注目すべきポイントについて1点目は、米国の対墨方針、2点目はオブラドール政権のエネルギー政策、3点目は緊縮財政の動向である。

(2)政府機関の取組

(JICA(独立行政法人国際協力機構中南米部 吉田部長))
・中南米地域の民間企業連携における魅力は、同市場がASEANと同程度の人口規模であり、経済規模がその約2倍という点。
・日系社会の存在も中南米地域における企業進出の支えとして取り入れている。また、各国の政府関係機関や大学等と共に様々なプロジェクトをこれまで実施しており、この関係をアセットとして捉え、新たな社会課題解決へ向け、本邦企業と共にスクラムを組み、取り組んでいる。
・当該地域はJICAにとって次世代協力モデル形成地域として捉えている。高齢化社会への対応、DXをいかせる素地など、近年の課題に対して共創しやすい環境。
・ここ数年は海外投融資の案件が複数件組成されている。
・ソフトバンクよりe-kakashiのコロンビアでのJICA事業との連携を起点とした取組みが発表されたが、これに続く取組・挑戦を、益々JICA中南米地域協力を起点として生み出していきたい。
・ブラジルにおける現地穀物企業であるAmaggi社への海外投融資事業について紹介。当該案件はシティバンクとの協調融資案件。穀物物流へのインフラ整備、中小規模農家向けの耕作資金貸付を通じ、当該地域の持続的な農業開発と世界の食料安全保障への貢献を狙いとしている。
・技術協力プロジェクトでは、DXを活用したスマートフードチェーン(SFC)確立に向けた支援のあり方を検討する調査を昨年度実施。その結果を踏まえ、ブラジルにおけるアマゾンの保全と食料安全保障の両立のための新規案件を形成。スマート育種システム、あるいは、ゲノム編集等新技術等、バリューチェーンを捉え、その中で日本の比較優位性を発揮できるIoT技術を活用し、課題に対応していこうという事業。世界最大、最高レベルの熱帯農業研究機関であるEMBRAPA(ブラジル農牧研究公社)とブラジル農牧省がパートナーとなる。
・課題別研修事業では、スマートフードチェーンのJICA筑波センターにおける取り組みを紹介。途上国の農業分野の技術者や高官とのビジネスマッチングの場なども研修期間中に提供しており、例えば、19年度の実績では、アサヒバイオサイクル、トヨタ、クボタ、ヤンマーと意見交換をする場を設けている。来年度以降、四国(高知)、帯広において同種の研修を中南米地域に特化して実施する予定。外国人材受け入れ支援、開発協力人材育成の場としても、課題別研修を通じた人材を更に育成していきたい。
・中南米広域フードバリューチェーン強化のための情報収集・確認調査を、2020年3月まで実施。またビジネス連携調査団概要を説明(日本の中小企業を対象に毎年、2013年から行っている事業)。これらの調査や調査団を経て、中小企業支援スキームへ発展し、現地での事業化に向けた後押しを一連のパッケージとして提供。
・スタートアップ連携調査の準備を進めている。中南米地域で革新的手法によるソーシャルビジネスを展開し得る日本の候補者の発掘、支援を行う。

(ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構 企画部海外地域戦略班 中南米担当 中山))
・本日は、ジェトロが行っている農林水産物輸出支援について、前半部分でお話し、後半部分でジェトロが行ってるスタートアップ支援を中南米フォーカスした形で、説明します。
・2013年から2020年までの日本の農林水産物食品の輸出額の推移と政府目標について説明。政府目標へのジェトロの貢献としては、輸出の支援は5千件ほどジェトロで行い、290億円ほどの輸出成約金額である。
・支援として、三つのサポート。一つ目が、国内事業者向けの情報スキル支援。二つ目が、海外バイヤー向けの日本産農林水産物、食品のプロモーションと、三つ目が、商談機会の提供である。
・一つ目の国内事業者向け情報スキル支援は、国内の事業者向けに商談スキルセミナー、品目別のセミナー、海外の市場がどうなってるかっていうことを説明するような別途セミナーなど。二つ目が、個別の相談活動である。例えば、日本酒をメキシコに輸出したい、その個別の相談を受け付ける輸出の相談窓口などを設けている。三つ目の国内ネットワーク構築支援は、日本の事業者と日本の国内の商社とのマッチングなどである。
・海外バイヤー向けの日本産農林水産品の食品プロモーションには、プロモーションを専門にするJFOODOという別部隊がいる。日本酒、お茶、和牛などいくつかの品目を絞って、海外でのプロモーションを行っている。
・今年度は特にコロナウイルスの影響で、ジェトロとしても、オンラインを活用した商談機会の提供に力を入れている。農水産品の輸出支援に関するデジタル化の取り組みについて紹介。
・EC(ジャパンモール)事業では、海外の主要ECサイト上で自国の製品を販売できる事業を行っている。日本国内での買取り条件のため、中小企業にとってリスクが低く、継続輸出の可能性が高い取り組み。
・バーチャルツアー商談会では、オンラインでバーチャルツアーとして、商談を行っている。
・ジェトロのスタートアップ支援について、ブラジルでのグローバル・アクセラレーション・ハブ事業を紹介。
・大きく3つあり、ブートキャンプセミナー、海外展示会出展・ピッチイベント開催、海外における通年の個別企業サポートで、ジェトロ・グローバル・アクセラレーション・ハブを行っている。中南米で唯一、サンパウロにグローバル・アクセラレーション・ハブを置いている。
・ジェトロの中南米のウェブサイトでも各情報を発信してる。FacebookやYouTubeでも、オフィシャルページで写真や動画を交えた発信を行っている。

(3)農水省国際部の取組

(農林水産省 大臣官房国際部新興地域グループ 櫻井国際調整官(中南米チーム長))
・第1回中南米部会での4社の民間企業から提案をいただいた。中南米と日本の距離を縮めるための取り組みというところにフォーカスを当てて、この中南米部会の取り組みを今後も進めていきたい。
・この部会の開催に向けて、民間の企業と意見交換を行ってきた。いろいろな現地でのビジネス展開においての課題、要望などが出ており、今後、鋭意検討していきたい。
・アンケートの調査の結果を紹介したい。
・今後の取り組みについて、今後、国別、あるいは、テーマ別の意見交換の場を設けていきたい。穀物の安定供給の分野や、食産業の事業展開に関するコールドチェーン、食品の規制制度の改善、あるいは、日系人社会との連携といったテーマの分科会の開催を考えており、少人数制での意見交換会っていう形を想定している。分科会のテーマについては、あらためて皆さまのご意見、ご要望を伺いながら、開催をしていきたい。
・部会のホームページを開設する。政府関係機関等の協力、連携の下で、オンラインによる中南米関係の情報発信をする。ホームページを使い民間の交流の場を設け、コンソーシアムの形成やマッチングを推進していきたい。
・ウェビナーの開催を行う。公的な支援スキーム、先行優良事例、あるいは中南米の状況、コロナなど、さまざまなテーマについて、まず年度内に関係機関の協力を得ながら、開催をしていきたい。
・中南米部会の全体像については、部会開催、分科会、コンソーシアムの形成、そして、二国間の政策対話につなげていきたい。
・日本での取り組みについては、分科会の中でコンソーシアムの形成を日本政府として連携をして、支援をしていき、コンソーシアムを形成した後の民間の活動を海外に展開する上での、相手国政府との連携、相手国政府からの支援の枠組みをしっかりと作って対応していきたい。

5.意見交換

(在ペルー日本大使館 塚本書記官)
・ペルーのコールドチェーンの状況について簡単に紹介したい。ペルー政府としても、コールドチェーンの重要性は認識されている。ペルー国家食料安全保障計画の食料安定供給に、コールドチェーンの構築が明記されている。他方、絶対的なニーズが足りていない。特にインフラ整備における関係者の意識付けが重要である。
・ペルーの情報等、必要な情報を収集した上で、こうした会で提供したい。 

(駐日チリ大使館ハイメ参事官)
・パブリックとプライベートのパートナーシップによる構築していくことが、非常に重要だということは、十分に認識している。特にチリの食料産業に関しては、JETROとJICAの協力が、非常に重要。そして、インテリジェントアグリカルチャーで、さまざまな課題を超えようとしている。水と、農薬を使わない安全な農業を推進していきたい。導入によって、大規模な農業地主と小規模な農家との格差を解消することができる。 

(駐日アルゼンチン共和国 アラン・ベロー大使)
・パブリック・プライベートでの協調ということに関心を持っている。
・まず、民間での細かな話をする二国間の協議というものがあって、それを中南米部会の中で、さらにまとめていくというものである。
・例えば、前川製作所の事例にもあったコールドチェーンに非常に関心があり、両国の間で話し合っていきたい。こうしたイニシアチブを通じて、さらに両国の関係を深いものにしていきたいと考えている。 

(在日ペルー大使館 マリタ・プエルタス参事官)
・ペルーと日本の関係を強化したい。二国間の協議の場を設置してゆきたい。
・様々な面で、日本との協力を深めてゆきたい。
・ペルーとしては、水産物が重要。 

(駐日ブラジル大使館 Vitor Mattos VAZ 書記官)
・ラテンアメリカは、世界で重要な穀物の生産国である。その中で、日本への穀物やタンパク質の供給というミッションを持っている。よい関係をラテンアメリカのすべての国とも持っていただきたい。

(拓殖大学国際学部 竹下 准教授)
・規制や基準について、日本の先端技術、あるいは、先進的なノウハウを、新しい企業をどのように中南米に紹介していくのか。これによって、中南米各国にもイノベーションの波というか、そういったことが広がり、日本のスタートアップ、ベンチャーにも、新しいビジネス基準としての中南米が、アピールできるのではないか。
・スタートアップについて、事業を進める中で困ったことが出てきたときに、それに対する伴走型のサービスが、これから重要になってくるのではないか。現地日系社会との連携をより深めながら、ここを補っていくことが必要になってくるのかと思う。
・日本にいる中南米の、定住されてる方、あるいは、起業されている方との接点というのが、なかなかないように思います。日本におられる中南米関係者との接点も作っていくと、また違うアイデアも出てくるのではないかと考える。 

(農林水産省大臣官房国際部新興地域グループ長 小島参事官)
コメントをいくつかいただいたので、紹介します。
・『JICAのブラジル教育調査のメンバーに以前なりました。このたび、国連大学のSDGsの達成のための大学プラットフォームの全国25大学のメンバーにも選定されました。SDGsの人材育成としても生かせる内容だと思います。これから、ぜひ次世代育成政策としても展開して欲しいと思います』
・パラグアイ日系農業協同組合中央会参事の安田様から、コメントをいただいております。『自動車産業のように海外での工場投資が食料、農業分野にもあれば、われわれ日系社会でも農業ビジネスが可能だと思いますが、見本があれば。そういうプロジェクト等はございませんですか。』

6.まとめ

(農林水産省大臣官房 谷村参事官(環境・国際))
・政府としては、食料の安定供給をいかに果たすかが大事な役割ですが、国の内外から多くの食料を調達している我が国として、やはり世界の食料システムがいかに安定したものになるかということが、非常に重要な課題である。中南米は大きな役割を今までも果たしており、中南米諸国との貿易や投資が拡大するというのは、極めて我々としては重要なポイントと考えている。
・その中でも特に、単に物を持ってくる、買うだけではなく、その国における食料システム、バリューチェーンの中に、日本の企業がちゃんとそこにプレゼンスを持っているということが、非常に大事だと、そういう問題意識も持って、中南米部会を立ち上げているところです。
・食料システムに、日本および日本の企業がきちんと参画をしていく。逆に、そうして安定にいかに貢献するか、その責任を持っているという認識を、強く持っている。
・中南米の国々との関わりというのは、われわれの食料供給、そして、それを支える食産業がしっかりと持続的に展開するための、ビジネス上の重要なパートナーでもあり、われわれの責務を果たしていく上での、重要なパートナーであるという認識を持ってやっていきたい。

7.閉会の挨拶

(深川由起子GFVC協議会代表 早稲田⼤学政治経済学術院教授)
・日本は輸入国としてのプレゼンスの方がはるかに大きくて、輸出国のプレゼンスが小さかったので、輸出をプッシュすることが目的であるかのように誤解されていることがあると思う。しかし、フードバリューチェーンは輸入も輸出も、まさにバリューチェーンであり、輸入でも輸出でも、それぞれの競争力のあるバリューを出せる方たちが担っていって、その中に日本の関係者全体の付加価値が増えていくということを目指すべきと考える。
・相手のバリューチェーンの中に入っていって、安定供給ができるようになり、同時に付加価値版をみんなで進めて行ければと思う。
・その意味では、特に中南米は、もともと、日本への安定供給の確保という戦略的な目的のある地域のため、あまり輸出一辺倒にならず、輸出と輸入が力強くリンクするバリューチェーンを作っていくことが、中南米部会の大きな役割と感じる。
・豊田通商のプレゼンテーションで非常に驚いたのは、日本の大豆の輸入が既に、タイ、ベトナム、韓国よりも小さい点。文字通り人口が減っていくということは、人間の口が減っていくことであり、それに伴い国内市場が縮小していくと思うが、それでも、どう考えてもこれらの国よりは市場は大きいため、どうして劣後するのか、非常に不思議に思った。
・日本人は一般的には小さい局面の問題解決能力は、結構高い。一生懸命やるし、関係者みんなで協力するため、成功するが、それで満足して終わってしまうことや独りよがりも多い。いい成功事例が、恐らく日本にもたくさんあると思うが、それが一般化できないため、外国で展開できない。DXの世界は先進国、途上国の差が非常に少ないため、レガシーコストがない新興国の強みを活かして新しいことをやり、良かったら、広げる、というアプローチもあるだろう。どんどん、ぜひ新しい実験を中南米で実施して、日本に持って帰ってくるようなバリューリンクの仕方もあると感じた。
・中南米は、人の要素がまだ大きい。物理的な距離が遠く、行くのも一苦労だが、人材の交流や育成は、引き続き大事と思う。
・人的交流やマッチングを行い、そこで終わりということではなく、そこで生まれる人材のデータベースのようなもの、例えば、「我が社としてこれをやりたいが、もしかしてJETRO、JICAで誰か政府高官が来る、あるいは、随行の誰々がいて、こういうコンタクトポイントある」というようなことを一発検索できたら、役立つのではないか。公的な人脈は民間を支えるべきだ。個人情報保護の観点はあると思うが、相手にも利益があるため、それぞれのフローとしてのビジネスマッチングが、ストックとして還元されていくような事業を、ぜひ人的な交流を中心にやっていただければいいと思う。
・中南米はそれぞれ特性がある。関わり方も全く異なり、日本との関係も全く異なるため、ぜひ中南米部会としては、伝統的な、とにかく食料を安定供給するということに拘泥せず、むしろそれをレバレッジとして食品というレベル、あるいは、コールドチェーンも含めたバリューの連鎖という意味で、新しいつながりを拡大していくことが必要ではないだろうか。

以上
 

お問合せ先

大臣官房国際部国際地域課

担当者:GFVC推進官民協議会事務局
代表:03-3502-8111(内線3511)
ダイヤルイン:03-3502-8058
FAX番号:03-5511-8773

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