水路やため池の通水障害を起こす外来生物の見分け方_アゾラ・クリスタータ
アゾラ・クリスタータ
国内分布
- 1990年代にアイガモ農法での利用のために導入され、野生化が進んだとされている。
- 国立環境研究所の情報によれば、宮城、茨城、群馬、埼玉、東京、岐阜、愛知、三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡山、広島、香川、愛媛、徳島、福岡、佐賀の20都府県に分布(2023年1月時点)。

主な生育場所
- 湖沼、水田、休耕田、ため池、水路など日当たりの良い、水深の浅い水域を好む。
- 水面を覆うように繁茂するため、水面下の水生生物への影響が懸念されるほか、富栄養化を引き起こす可能性がある。
ビニールハウス周辺での発生状況(7月)
(写真提供:環境省)
水面が覆いつくされた池(8月)
(写真提供:環境省)
水路での発生状況(11月)
紅葉時の状況(11月)
繁殖・生育拡大の方法
- 花は咲かずに胞子で繁殖するが、栄養繁殖が旺盛(特に夏季)で、茎がふたまたに枝分かれを繰り返しながら水面上で生育域を拡大する。
- 胞子、植物体とも水流により容易に運ばれるため、下流域に分布が広がる。
形態・特徴
- 水中に根を垂らし、水面に浮いた状態で生活する浮遊植物(多年生)。
- 全体は円形状またはやや五角形で長さ5~30mm。
- 葉は長さ約0.5~2mm。楕円形で柄は無く、水面で瓦状に2列に互生。上下の2裂片に分かれ、上側の裂片は水面に浮かび、縁は半透明の膜質である。表面に2~3個の細胞からなるいぼ状の突起がある。秋には紅葉し赤色になる。
- 根は茶褐色で長さ3~5cm。細く枝分かれせずに水中に沈む。長さ1mm近い根毛がある。
- 一部の系統は5~6月に胞子嚢(ほうしのう)をつける。胞子嚢は枝分かれした最初の下側の葉の間につくことが多い。
全体の形状(紅葉時:11月)
盛り上がって生育する状況(紅葉時)
(写真提供:環境省)
アイオオアカウキクサ(※)の葉や根
※アゾラ・クリスタータとニシノオオアカウキクサ(外来種)の雑種。
(写真提供:環境省、一部改変)
間違えやすい種との見分け方
- アゾラ・クリスタータとよく似ているオオアカウキクサ(環境省レッドリスト:絶滅危惧1B類)との違いは以下のとおりで、葉や根の特徴が見分けるポイント。

注意すべき事項
- アゾラ・クリスタータは、外来生物法により「特定外来生物」に指定されており、拡散を防ぐため、栽培、保管・運搬、譲渡、放出等が禁止されている。ただし、死んだ(枯れた)個体は規制対象外となる。
- 適切な手続きをとらずに生きた個体を移動等させてしまうと法律違反となるので、取り扱いには十分な注意が必要。
- 地域住民やボランティア等による駆除の場合、広報誌等による事前告知、運搬時の拡散防止対策を行うことで、生きた個体を焼却施設等に運ぶことが可能となる。
参考情報
- 環境省自然環境局:日本の外来種対策 特定外来生物の解説,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list/L-syo-12.html
- 環境省自然環境局:特定外来生物 同定マニュアル 植物,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/10hp_shokubutsu.pdf
- 国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室侵入生物研究チーム:侵入生物データベース,https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/
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※このページの情報は、令和5年3月のものです。
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