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水路やため池の通水障害を起こす外来生物の見分け方_ブラジルチドメグサ

ブラジルチドメグサ

国内分布

  • 最初に野生化が確認されたのは1998年頃に熊本県の菊池川流域とされている。
  • 国立環境研究所の情報によれば、分布が確認されているのは、岡山、福岡、大分、熊本の4県(2023年1月時点)。

(出典:「侵入生物データベース」国立環境研究所)


主な生育場所

  • 湖沼、河川、水路、礫質の氾濫原などの水辺に分布。一般に淡水に生育するが、耐塩性が強く、水深は80cm程度でも適応する。
  • 幅広い水質に対応して生育するが、低温(約10℃未満)の乾燥環境に弱い。

水路での発生状況(4月)

水路での発生状況(12月)

取水口付近での発生状況

水路壁付近での発生状況



繁殖・生育拡大の方法

  • 2つの種子がつり下げられる果実をつけて繁殖する。
  • 茎はちぎれやすく、水流があると茎断片が発生して生育域を拡大し、茎断片から葉や根を出して生長。流れの緩い静穏な環境では密集群落を形成する。
  • 通常は水底に根を張って生活するが、水面を浮遊して分布を拡大することもある。
  • 伸長成長は1日に最大20cm程度に達する。

形態・特徴

  • 水底に根を張り、上部が水上に出た状態で生活する抽水植物(多年生)。
  • 茎は長さ1m以上になり、毛は無く、太さは2~5mmで太い。節から1~数枚ずつ葉を出し、多数の根を出す。根は水中では長さ30cm近く伸びる。
  • 葉は毛が無く光沢があり、直径3~7cmで柄の部分がハート型にくぼむ。葉柄は長さ7~35cmで太い。水面上に浮遊して密なマット状に生育する。
  • 開花期は4~6月。花は小さく目立たないが、5枚の花びらをもつ白い小さな花が5~10個集まって、ほぼ球状に配列する。花は葉より上には出ない。

開花期の状況(5月)


(提供:環境省)

冬期の状況(12月)

節から葉と根を出す


(提供:環境省、一部改変)

水中に伸びた根


(提供:環境省)

白い小さな花


(提供:環境省)

1つの果実に2つの種子がつり下がる


(提供:環境省、一部改変)




間違えやすい種との見分け方

  • ブラジルチドメグサとよく似ているチドメグサ属の主な在来種は下表のとおりで、花や葉の特徴が見分けるポイント。
(写真提供:環境省)


注意すべき事項

  • ブラジルチドメグサは、外来生物法により「特定外来生物」に指定されており、拡散を防ぐため、栽培、保管・運搬、譲渡、放出等が禁止されている。ただし、死んだ(枯れた)個体は規制対象外となる。
  • 適切な手続きをとらずに生きた個体を移動等させてしまうと法律違反となるので、取り扱いには十分な注意が必要。
  • 地域住民やボランティア等による駆除の場合、広報誌等による事前告知、運搬時の拡散防止対策を行うことで、生きた個体を焼却施設等に運ぶことが可能となる。


参考情報

  • CABI Digiral Library:Hydrocotyle ranunculoides(floating pennywort),https://www.cabidigitallibrary.org/doi/10.1079/cabicompendium.28068
  • 中国四国地方環境事務所:特定外来生物  ブラジルチドメグサ  中国・四国版,https://www.env.go.jp/nature/intro/4document/files/r_braziltidomegusa_shikoku.pdf
  • 金子洋平・須田隆一・中島淳・石間妙子(2019):特定外来生物ブラジルチドメグサの防除手法開発に向けた生活史特性の解明,自然保護助成基金助成成果報告書28,149-160
  • 環境省自然環境局:特定外来生物  同定マニュアル  植物,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/10hp_shokubutsu.pdf
  • 国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室侵入生物研究チーム:侵入生物データベース,https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/
  • 中嶋佳貴・沖陽子(2017):特定外来生物ブラジルチドメグサの栄養繁殖特性,日本緑化工学会誌42(4),543-549
  • 農林水産省農村振興局農村政策部鳥獣対策・農村環境課(2022):ち切れた断片からも再生して増える強者たち,https://www.maff.go.jp/j/nousin/kankyo/kankyo_hozen/attach/pdf/gairai-13.pdf



写真の無断転載はできませんのでご注意ください。
※このページの情報は、令和5年3月のものです。

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