水路やため池の通水障害を起こす外来生物の見分け方_ミズヒマワリ
ミズヒマワリ
国内分布
- 1995年に愛知県で侵入・定着を確認。
- 国立環境研究所の情報によると、茨城、栃木、群馬、千葉、埼玉、東京、愛知、滋賀、和歌山、大阪、兵庫、高知、福岡、大分の14都府県で分布が確認されている(2023年1月時点)。
(出典:「侵入生物データベース」国立環境研究所)
主な生育場所
- 水路や河川、ダムなどの止水域または緩やかな流水域を好み、水中や水辺に生育する。
- 霜にあたるまで枯れず、完全に氷結する場所以外では地下茎が越冬し、春に急速に茎をのばす。
水路での発生状況(8月)
(写真提供:環境省)
開花(8月~10月)
(写真提供:環境省)
マット状に繁茂した状況(4月)
(写真提供:環境省)
繁殖・生育拡大の方法
- 枝分かれした茎が地表を這って水際に広がり、茎の節から新たな芽や根が出て生長し生育域を拡大。
- 種子からの発芽による繁殖もあるが、栄養繁殖が極めて旺盛で、ちぎれた茎の節から根を出して短期間で生長する。
横に伸びる茎の節から芽や根が出る
(写真提供:環境省、一部改変)
薄い果皮に包まれた種(痩果、そうか)
(写真提供:環境省)
形態・特徴
- 根は水底の土に固着し、水中から水の上に伸びる抽水植物(多年生)。
- 茎は空洞で、長さ0.5~2m。水深が深いと長さ1m以上になり、直立できなくなると水面に倒れて浮かぶ。
- 葉は対生し、中央より下の部分が最も幅が広い形で、長さ20cm程度になる。水中葉では葉のふちのギザギザ(鋸歯、きょし)は目立たないが、水上葉には低い鋸歯がある。水上葉がヒマワリに似ていることから、この名がついた。
- 開花期は8月~10月頃。花は直径6~10mmほどの丸くて白い菊のようなものが、枝分かれした茎の先に複数咲く。
直立した茎と節
(写真提供:環境省)
対生してつく葉
(写真提供:環境省、一部改変)
鋸歯のある水上葉
(写真提供:環境省)
水中葉
(写真提供:環境省)
小花が集まってできた花(9月)
(写真提供:環境省)
咲き終わった花(9月)
(写真提供:環境省)
間違えやすい種との見分け方
- ミズヒマワリ属の在来種は日本になく、日本の水辺に生える植物でミズヒマワリに類似した植物はない。
注意すべき事項
- ミズヒマワリは、外来生物法により「特定外来生物」に指定されており、拡散を防ぐため、栽培、保管・運搬、譲渡、放出等が禁止されている。ただし、死んだ(枯れた)個体は規制対象外となる。
- 適切な手続きをとらずに生きた個体を移動等させてしまうと法律違反となるので、取り扱いには十分な注意が必要。
- 地域住民やボランティア等による駆除の場合、広報誌等による事前告知、運搬時の拡散防止対策を行うことで、生きた個体を焼却施設等に運ぶことが可能となる。
参考情報
- 環境省自然環境局:特定外来生物 同定マニュアル 植物,https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/manual/10hp_shokubutsu.pdf
- 国立環境研究所生物多様性領域生態リスク評価・対策研究室侵入生物研究チーム:侵入生物データベース,https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/
- 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター:琵琶湖生物多様性画像データベース,https://www.lberi.jp/iframe_dir/index.html
- 地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所:淡水魚・水生植物・外来種・大阪府の水辺の生物図鑑 水草図鑑(外来種) 植物 ミズヒマワリ,https://www.knsk-osaka.jp/zukan/zukan_database/mizukusa_gairai/4350b31dd019ea9/2850bd5ce15692d.html
- 農研機構農業環境技術研究所:外来植物図鑑,https://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/project/plant_alien/book.html
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※このページの情報は、令和5年3月のものです。
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