平成10年度内閣総理大臣賞 農事組合法人犬甘野営農組合(京都府亀岡市西別院町犬甘野)
特色
1.むらづくりの背景・動機
犬甘野地区は、京都市の西隣、亀岡市の南西端に位置し、 大阪府に接する標高300m前後の山に周囲を囲まれた農村である。 高度経済成長期以降、産業廃棄物処分場が計画され、投機目的の土地取得や、 ほ場条件の悪さから耕作放棄地が発生するなど農業を中心とした地域社会の崩壊が危惧され、 集落を越え地域ぐるみで農地と自然環境を守ろうという気運が高まった。 地域農業の将来について徹底した話し合いがもたれ、全農家の同意のもと集団転作に取り組んだ。 その成功をきっかけに昭和55年には3集落からなる「犬甘野地域農業振興協議会」を発足させた。 その後、活動の発展・拡充に合わせ組織の改変を行いながらむらづくりの取り組みが行われてきた。 昭和63年には「農事組合法人 犬甘野営農組合」が設立され活発なむらづくり活動を展開している。
2.むらづくりの内容
(1)農業生産
- ほ場整備の成果を活かし、営農組合が所有する大型農機具を活用して作業受託するとともに、 水稲の品種統一や栽培管理の徹底、共同育苗等生産の効率化を図っている。 この結果、営農組合の水稲生産費は全国平均の約半分となっている。 このような水稲生産の効率化は野菜等の生産を可能にし、担い手の経営安定、 所得向上に寄与している。
- 農産物の供給量が少なく市場流通に乗らない弱点を、 都市近郊にある利点で活かそうと直売施設「季楽」を開設した。 マーケティングを行いながら売れる物を見つけだし、自らが作り、 販売することにより地域農産物の販路拡大と所得向上を図っている。 特に転作そばは「犬甘野そば」のブランド名で京都の特産品として定着している。
- 農産物の産地直売には「安全」「新鮮」が重要との認識から、畜産農家と提携し堆肥舎を建設、 農作業受託体制と散布機を活用した省力的な堆肥施用で地域ぐるみの土づくりを実施している。
- 昭和63年に法人化され、個人の尊重、組織営農の展開と特徴ある活動を行い、 平成6年には農産物の運搬・加工・販売及び貯蔵に関する事業拡大を行う等、着実な経営を展開し、 近年は少額ではあるが配当できる法人経営を実現している。
(2)農村生活
- そば打ち体験道場の開設や、ほたるのふるさとコンサート、かぶと虫狩り、 秋の味覚ふる里フェアなど地域の農産物や自然環境を活かしたイベント等が行われており、 犬甘野の良さを沢山の人達に理解してもらうとともに農産物等のPRにつなげている。
- 婦人部では、事業企画や「季楽」の運営、 ふるさと直行便等営業面で営農組合の中核を担っている。 また、地域の美化活動にも婦人部で取り組む等、 地域の農業と消費者とのつながりを深めることに貢献している。
- 生活環境の改善では、上水道の整備やほ場整備と一体となった集落道の整備等を実現している。 さらに快適さづくりと自然環境保全の必要性から、 平成13年の完成予定で集落排水事業を実施している。
![]() 犬甘野風土館『季楽』外観 『季楽』の正面を直売スペースとしている。また、丸型テーブルを設置した飲食スペースも確保している。 |
![]() 犬甘野地域の風景 標高300m前後の山に周囲を囲まれた農村地域である。農地は、ほとんどがほ場整備を完了している。 |
![]() 直売所風景 地域の農家で生産される新鮮な野菜が、毎朝各農家から持ち込まれ、直売スペースに並べられる。 |
![]() 『季楽』内部 テーブル席×4、カウンター席×6とこじんまりしており、お客と婦人組合員との会話のはずむスペースとなっている。 |
![]() イベントの開催 平成3年度から始まった営農組合主催の『ふれあい秋の味覚ふるさとフェア』 |
![]() そば打ち体験道場 予約により、ソバの手打ちを体験できる。婦人組合員のきびしい指導を受けて打ち上げたソバは季楽で試食でき、格別の味。 |
![]() 犬甘野太鼓 御田植祭りでの犬甘野太鼓各種イベントにも出演して盛り上げる |
![]() 犬甘野そば 100%地元産のそば粉を使用し、山の芋をつなぎに使用。味も香りも本物の生そばです。 |
お問合せ先
農村振興局農村政策部都市農村交流課
ダイヤルイン:03-3502-5946