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平成11年度日本農林漁業振興会長賞  西与賀地域実践協議会(佐賀県佐賀市西与賀町)

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特色

1.むらづくりの背景・動機

西与賀地区は、有明海に面した佐賀平野の中央に位置し、古来より先人の干拓への努力で 農地が拡大され、クリークに囲まれた米麦主体の水田農業地帯である。 昭和30年代後半から40年代にかけて、「佐賀新段階米づくり」と称される集団栽培体制の 下で単収日本一の最盛期を迎えた。その後、減反政策、質の時代に突入するとともに都市化、 混住化、兼業化の進行で農業の活気が失われ、コミュニティ機能が低下していった。 昭和58年からの全農地ほ場整備、62年のライスセンターの設置を機に、かつての 「集落力(多様な担い手の役割分担により倍増する集落全体の力)」の再編成がなされ 秩序ある土地利用(優良農地の確保、最大限の利用)を目指し、「兼業でも規模拡大を」を スローガンに新たな土地利用型農業の確立に向けて動き始めた。

2.むらづくりの内容

(1)農業生産
兼業主体でも農地を守り規模拡大を図るため、集落ぐるみの営農に取り組み、 8集落中7集落で機械利用組合を設立し、水稲、麦、大豆の基幹作業は全農地の 80%をカバーするに至っている。また、集落内での役割分担(基幹作業は担い手、 栽培管理は高齢者等)を明確することで省力化を実現し、余剰労働力を他の作物や 美化運動に振り向けるなど集落営農の形を明確に示している。 その結果、農業に現役復帰する高齢者が出てきたり、専業農家8戸に対し認定農業者 が14戸誕生するなど、米麦オペレーター+園芸型担い手を目指す兼業農家が現れたりしている。
余剰労働力がブロックローテーションによる大豆の団地化、タマネギ等転作作物の生産拡大に 繁がっており、地区内の耕地利用率は200%に達している。また、新たな米作りとして、 高品質の酒米づくりや、幼稚園児、子どもクラブと一緒になって鯉が育てた減農薬米の 栽培に取り組んでいる。 西与賀農業のPRを目的に設置した直売所「やさい畑」は、農家の女性達の手で運営されており、 生産者ラベル、生産者による価格設定、女性の個人口座への売り上げの振り込みなど、流通販売への意識の改革は もとより、野菜、花き等の栽培意欲の向上、加工グループ「ひまわり会」の発足、 消費者との顔の見えるつき合いなど女性の力を発揮している。

(2)農村生活
「今、農業に何が必要かを“問う(TOU)”(T:たくましい(農業)、O:おもしろい(共同)、 U:美しい(農村づくり)」を発想の機軸として地域づくりの活動が仕組まれている。 美しい農村景観づくりとして、下水道及び集落排水整備、清掃による美しいクリークの復活、 地区のシンボルであるライスセンターから小学校までの農道沿いへの桜並木の設置、 一般農道沿いへのシバザクラの植栽、転作田へのひまわり園の開設などに取り組んでいる。 子ども達の全農教育として「西与賀農業見て歩き交流会」「水稲栽培体験学習」を農業者、 PTA、先生達と一緒になって進めているほか、地域交流を深めるイベントとして、「鯉のつかみ取り大会」、 「ふれあい農業祭り」など農業を通じた住民参加型の交流活動がなされている。 新たな女性活動の展開として、直売所「やさい畑」の運営の他、生ゴミの堆肥化による環境対策への 挑戦や、高齢者介護支援のための「さざんかの会」を発足し、ヘルパー資格取得のための研修を行い、 地区高齢者との食事会を開催するなど、時代の要請に合わせたふれあいのある地域づくりを目指している。

西与賀地区の全景
西与賀地区の全景
圃場整備後の航空写真です。集落を中心に秩序ある土地利用が守られています。
ライスセンターと直売所
ライスセンターと直売所
地区の農業シンボルであるライスセンターは米麦100%の共同乾燥調整、新たに大豆も実施
機械利用組合
機械利用組合
丸目3集落の機械利用組合の構成員ですみんなの協力で低コスト化を実現
直売所「西与賀やさい畑」
直売所「西与賀やさい畑」
直売所は大盛況、新鮮な野菜や消費者とのふれあいが売り物です。
鯉のつかみどり
鯉のつかみどり
減農薬米「鯉が育てたお米」で活躍した鯉はつかみ取り大会でも活躍します
通学道路沿いの桜の植栽
通学道路沿いの桜の植栽
「入学時には桜の思い出を」との願いで通学農道沿いに地区住民の参加で実現
シバザクラ
畦畔にはシバザクラ
圃場沿いを彩るシバザクラ、タピアン、バーベナは地区住民の散策コース
ひまわり畑
ひまわり畑
集落力の再結集を象徴しているかのようなひまわり畑は地区の元気を生み出す源
交流会
西与賀農業見て歩き交流会
小学生を対象に毎年開催されている農業の勉強会。思わぬ質問に戸惑う青年部の場面も
タマネギ掘り
家族でタマネギ掘り
タマネギを掘ったあとは、たっぷり入ったタマネギカレーでランチタイム

お問合せ先

農村振興局農村政策部都市農村交流課
ダイヤルイン:03-3502-5946