平成11年度天皇杯 石川郷中(秋田県山本郡峰浜村石川)
特色
1.むらづくりの背景・動機
峰浜村は、秋田県の北西部に位置し、石川地区は村東部南端の4集落からなる旧村で、 周辺を山林で囲まれた中間農業地域である。昭和38年に石川地区の、 138戸を消失する大火が発生し、地域住民がその財産のほとんどを失った。 この後、復興に向けた取り組みのなかで地域の一体感の醸成が促進され、 また、出稼ぎ者がさらに増加したことから、自治会的組織である「石川郷中」が中心となり、 稲作依存から複合経営への転換による農業所得の向上を目標に掲げ、農業を核とした 郷中のむらづくり活動に取り組んでいる。
2.むらづくりの内容
(1)農業生産
- 国営の農用地開発事業や区画整理事業により、基盤整備を推進し、稲作作業の効率化・ 省力化のため、5つの機械共同利用組織を設立し、機械化一貫体系による高能率生産を実現した。 平成9年には農協に働きかけ、常温除湿方式カントリーエレベーターを設置したことに伴い、 コンバインリースによる稲作作業受託グループを組織するなど高能率生産システムの拡充を図っている。
- 稲作の省力化により生じた余剰労働力を活用することで、複合化として多彩な戦略作物の導入を 検討し、現在はキャベツを主体とする土地利用型農業が展開されている。
- そばについては「石川そば生産組合」を組織し、コンバインの共同導入や品種の選抜 そば打ち機械の独自開発等を行い、作付けの拡大及び収益の向上に努めている。
- 女性の生産活動も活発で、郷中の農家女性が中心となって農協にみょうが部会を設立し、 品質向上のために技術指導に努めている。
- 最近では、大規模稲作農家や稲作作業受託グループに稲作作業を委託し、施設トマトや菌床椎茸に専念する 農業者や有機栽培などに取り組む農業者も現れている。
- 他市町村から婿入りし新規就農でピーマンづくりに取り組む28歳の後継者や、 農協を退職し施設トマト栽培に取り組む36歳の後継者が誕生するなど、農業生産現場の活性化が図られ、 高い技術水準と経営センスを持つ先輩農業者が精神面と技術面からサポートしている。
(2)農村生活
- 石川郷中の上水道は、昭和38年の大火後、各戸の井戸が埋没、破損したことから、郷所有の 山林の売却益や村からの借入金を基に、郷有林地の湧き水を水源として、郷独自に簡易水道を整備し、 昭和42年に供用を開始した。水道部が運営し、町水道よりも低い水道料金が、 洗浄して出荷する必要があるみょうが栽培の定着にも寄与している。
- 石川地区は、村で最初の農業集落排水事業の実施地区に選定され、平成13年4月の供用開始に向けて工事が進んでいる。
- 大火により消滅の危機にあった伝統文化の復活・継承に努め、駒踊りと奴踊りは小学校の 正課クラブとして後継者の育成に努めているほか、石川番楽は、大火後久しく絶えていたものを青年層が主催する 石川フェスティバルの創設時に、復活させている。子ども達の地域に対する理解の拡大や愛着心の醸成等が 着実に進んでおり、農業分野はもとより、非農家も含めた地域の後継者の確保が進み、地域が活性化している。
- 石川そば生産組合が中心となり、秋そば開花時期の9月初旬にそばの花見と試食を行うそば祭りの開催や、 農産物直売所などと併せてそば店が整備されている「おらほの館」で、そば加工品の販売やそば打ち研修等を 実施し、都市との交流を行っている。
- 生活研究グループで活動する農家女性が、女性ならではの感性をいかした石川そばの加工・販売を軌道に乗せ、さらに、 加工・販売活動を通じた様々な取り組みが、都市農村交流に発展している。
![]() 駒踊り 小学生による駒踊り |
![]() キャベツの観察 キャベツ生育状況の観察 |
![]() そば加工研修 おらほの館でのそば打ち研修 |
![]() そば加工品 そば加工品 |
![]() そば祭り 9月に開催しているそば祭り |
![]() おらほの館 平成10年12月にオープンしたそば食堂・直売施設「おらほの館」 |
お問合せ先
農村振興局農村政策部都市農村交流課
ダイヤルイン:03-3502-5946
FAX:03-3595-6340