平成12年度日本農林漁業振興会長賞 常吉村づくり委員会(京都府中郡大宮町字常吉)
特色
1.むらづくりの背景・動機
大宮町は京都府の北西部に位置し、丹後半島のほぼ中心にある。町の基幹産業は農業(稲作)と 「丹後ちりめん」の織物である。当村づくり委員会がある常吉地区は町の南西部に位置し、 農業と機織りで生計を立ててきたが、昭和50年代以降、織物業の不況や零細的な農業構造から 農業後継者不足や離村による人口減少と過疎化が顕著な山間農業地域である。 特に近年は過疎化が進み、高齢化率も30%と集落機能の崩壊から、村がつぶれるという危機感が 地域全体を漂っていた。
こういった中、大宮町では昭和61年から地域リーダーの養成に取り組んだ結果、むらづくりに熱意を 持った人材が育ってきた。平成6年、その中の常吉に居住する地域リーダーを中心に「常吉村づくり委員会」が 結成された。また、同時期に発生した地区内のJA支所の廃止を受け、当委員会の実践活動の一環として、 JAの機能を地域で代替する農業と暮らしの総合センター「(有)常吉村営百貨店」を地域住民の出資により設立した。
2.むらづくりの内容
(1)農業生産
- 兼業化、高齢化が進む中、遊休農地が増加傾向にあり、地域の農地は地域住民で守ろうという 意識から、常吉村営百貨店の中に「農作業受託部会」を設置した。農家からの要請に応じ、作業を受託 するシステムで、水稲の作業受託を実施している。
- 8棟のハウス導入により、各種野菜の周年栽培を実施し、新たな設置型農業の提案を行い、新規就農者の 促進を行うとともに、これら農産物は常吉村営百貨店を通じ、地域のスーパーへの「常吉」産として販売している。 また、一部野菜は地域住民に安全、安心な農作物の提供を行い、作ったら売れるというシステムが確立した。
- 高齢者が多いということを逆手に取り、高齢者でも出来る農業をということから、老人会にハウス1棟を賃与し、 ミニトマト、みず菜等の栽培を行っている。また、これらを含めた農産物等は常吉村営百貨店で販売し、 地域の人が購入しており、お金の地域還流と高齢者の生きがいにつながっている。
(2)農村生活
- 当委員会による常吉村づくり構想作成の段階で地元の子供たちに、「いなランド計画」と称して「このような村に したいという絵」を描いてもらい、それを常吉の将来構想にも繁栄させている。
- 地域で老人を見守るシステムを確立するために、常吉村営百貨店では、毎日電話で安否の確認や独居高齢者への 生活必需品の宅配や声かけ運動を行っている。また、店内に小さなベンチと給茶設備を置き、住民がくつろいで 会話ができるように工夫している。
- 地域のやる気と気持ちを一つにすることを目的に、あじさいジャズコンサート、パンプキンフェスティバル等を開催し、 都市住民との交流により、地域の活性化を図っている。
- 将来を担う子ども達に常吉の良さを認識してもらうため、「魚釣り大会」や「寺子屋」活動等を通じ、 世代を越えた交流を行っている。
- 4年に一度の「平地地蔵菰着せ」や、30年ぶりの「大晦日千本づき」等の伝統行事の継続や再興を図っている。
![]() 第14回(H12)パンプキンフェスティバル3位(152kg) |
![]() むらづくり活動の拠点 常吉村営百貨店 |
![]() 農家の百貨店への持ち込み野菜 |
![]() 高齢者によるみず菜の収穫 |
![]() みず菜の料理教室 |
お問合せ先
農村振興局農村政策部都市農村交流課
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