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農林水産省

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住宅地等における農薬使用について

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平成25年4月26日更新

担当:消費・安全局農産安全管理課

25消安第175号

環水大土発第1304261号

平成25年4月26日

都道府県知事 宛

農林水産省消費・安全局長

環境省水・大気環境局長

 

 農薬は、適正に使用されない場合、人畜及び周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれがある。特に、学校、保育所、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹並びに住宅地に近接する農地(市民農園や家庭菜園を含む。)及び森林等(以下「住宅地等」という。)において農薬を使用するときは、農薬の飛散を原因とする住民、子ども等の健康被害が生じないよう、飛散防止対策の一層の徹底を図ることが必要である。
  このため、農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成15年農林水産省・環境省令第5号)第6条において、「住宅の用に供する土地及びこれに近接する土地において農薬を使用するときは、農薬が飛散することを防止するために必要な措置を講じるよう努めなければならない」と規定するとともに、「住宅地等における農薬使用について」(平成15年9月16日付け15消安第1714号農林水産省消費・安全局長通知)及び「住宅地等における農薬使用について」(平成19年1月31日付け18消安第11607号・環水大土発第070131001号農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知)において、住宅地等で農薬を使用する者が遵守すべき事項を示し、関係者への指導をお願いしてきたところである。
 しかしながら、依然として、児童・生徒が在校中の学校や開園時間中の公園、庭園等で農薬が散布された事例、街路樹等に対し害虫の発生状況にかかわらず一定の時期に決まった農薬が散布されている事例、周辺住民に事前の通知がないままに農薬が散布された事例等が報告されており、地方公共団体の施設管理部局、庭園、緑地等を有する土地・施設等の管理者等に本通知の趣旨が徹底されていない場合があると考えられる。
 ついては、住宅地等における農薬の適正使用を推進し、人畜への被害防止や生活環境の保全を図るため、下記の事項について貴職の協力を要請する。また、別添のとおり関係府省宛てに通知したところであり、貴管下の施設管理部局、農林部局、環境部局等の間においても緊密な連携が図られるよう配慮いただくとともに、貴管内の市区町村においても同様の取組が行われるよう、市区町村に対する周知・指導をお願いする。
 なお、本通知の発出に伴い、「住宅地等における農薬使用について」(平成19年1月31日付け18消安第11607号・環水大土発第070131001号農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知)は廃止する。

1 住宅地等における農薬使用に際しての遵守事項の指導
 農薬使用者、農薬使用委託者、殺虫、殺菌、除草等の病害虫・雑草管理(以下「病害虫防除等」という。)の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管理者(市民農園の開設者を含む。)(以下「農薬使用者等」という。)に対して別紙の事項を遵守するよう指導すること。

2 地方公共団体が行う病害虫防除における取組の推進
 貴地方公共団体が管理する施設における植栽の病害虫防除等が、別紙の1を遵守して実施されるよう、施設管理部局及びその委託を受けて病害虫防除等を行う者に徹底すること。取組に当たっては、以下のような地方公共団体における取組事例を参考としつつ、状況に応じ効果的に行うこと。
(1)植栽管理の業務の委託に当たり、当該業務の仕様書において、農薬ラベルに表示された使用方法の遵守、周辺住民等への周知、飛散低減対策の実施、農薬の使用履歴の記帳・保管等、別紙の1に掲げる事項を業務内容として規定する。
(2)入札の資格要件として、当該業務の実施上の責任者が、当該地方公共団体が指定する研修を受けていること又は当該地方公共団体が指定する資格(農薬管理指導士、農薬適正使用アドバイザー、緑の安全管理士、技術士(農業部門・植物保護)等)を有していることを規定する。
(3)地方公共団体の施設管理部局の担当者が、本通知の周知・徹底を目的とした研修に定期的に参加する。
また、植栽管理に係る役務については、グリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号))に基づき定められた「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(平成25年2月5日変更閣議決定)において、「特定調達品目」に定められており、「住宅地等における農薬使用について」の規定に準拠して病害虫防除等が実施されることが環境物品等に該当するための要件とされている。このため、庁舎管理の担当者は、グリーン購入法の趣旨を踏まえ、委託する役務が環境物品等に該当するよう、植栽管理において本通知の遵守の徹底に努めること。

3 相談窓口の設置等の体制整備
 健康被害を引き起こしかねない農薬の不適正な使用に関して周辺住民等から相談があった場合に、農林部局及び環境部局をはじめ関係部局(例えば、学校にあっては教育担当部局、街路樹にあっては道路管理担当部局)が相互に連携して対応できるよう、相談窓口を設置する等、必要な体制を整備すること。

 

別紙住宅地等における病害虫防除等に当たって遵守すべき事項

1 公園、街路樹等における病害虫防除に当たっての遵守事項
 学校、保育所、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹及び住宅地に近接する森林等、人が居住し、滞在し、又は頻繁に訪れる土地又は施設の植栽における病害虫防除等に当たっては、次の事項を遵守すること。なお、農薬の散布を他者に委託している場合にあっては、当該土地・施設等の管理者、病害虫防除等の責任者その他の農薬使用委託者は、各事項の実施を確実なものとするため、業務委託契約等により、農薬使用者の責任を明確にするとともに、適切な研修を受講した者を作業に従事させるよう努めること。
(1)植栽の実施及び更新の際には、植栽の設置目的等を踏まえ、当該地域の自然条件に適応し、農薬による防除を必要とする病害虫が発生しにくい植物及び品種を選定するよう努めるとともに、多様な植栽による環境の多様性確保に努めること。
(2)病害虫の発生や被害の有無にかかわらず定期的に農薬を散布することをやめ、日常的な観測によって病害虫被害 や雑草の発生を早期に発見し、被害を受けた部分のせん定や捕殺、機械除草等の物理的防除により対応するよう最大限努めること。
(3)病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためやむを得ず農薬を使用する場合(森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)に基づき周辺の被害状況から見て松くい虫等の防除のための予防散布を行わざるを得ない場合を含む。)は、誘殺、塗布、樹幹注入等散布以外の方法を活用するとともに、やむを得ず散布する場合であっても、最小限の部位及び区域における農薬散布にとどめること。また、可能な限り、微生物農薬など人の健康への悪影響が小さいと考えられる農薬の使用の選択に努めること。
(4)農薬取締法(昭和23年法律第82号)に基づいて登録された、当該植物に適用のある農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度等)及び使用上の注意事項を守って使用すること。
(5)病害虫の発生前に予防的に農薬を散布しようとして、いくつかの農薬を混ぜて使用するいわゆる「 現地混用」が行われている事例が見られるが、公園、街路樹等における病害虫防除では、病害虫の発生による植栽への影響や人への被害を防止するためにやむを得ず農薬を使用することが原則であり、複数の病害虫に対して同時に農薬を使用することが必要となる状況はあまり想定されないことから、このような現地混用は行わないこと。
 なお、現に複数の病害虫が発生し現地混用をせざるを得ない場合であっても、有機リン系農薬同士の混用は、混用によって毒性影響が相加的に強まることを示唆する知見もあることから、決して行わないこと。
(6)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、農薬の飛散を抑制するノズル(以下「飛散低減ノズル」という。)の使用に努めるとともに、風向き、ノズルの向き等に注意して行うこと。
(7)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。さらに、立て看板の表示、立入制限範囲の設定等により、散布時や散布直後に、農薬使用者以外の者が散布区域内に立ち入らないよう措置すること。
(8)農薬を使用した年月日、場所及び対象植物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。病害虫防除を他者に委託している場合にあっては、当該記録の写しを農薬使用委託者が保管すること。
(9)農薬の散布後に、周辺住民等から体調不良等の相談があった場合には、農薬中毒の症状に詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介すること。
(10)以上の事項の実施に当たっては、公園緑地・街路樹等における病害虫の管理に関する基本的な事項や考え方を整理した「公園・街路樹等病害虫・雑草管理マニュアル」(平成22年5月31日環境省水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室)に示された技術、対策等を参考とし、状況に応じて実践すること。

2 住宅地周辺の農地における病害虫防除に当たっての遵守事項
 住宅地内及び住宅地に近接した農地(市民農園や家庭菜園を含む。)において栽培される農作物の病害虫防除に当たっては、次の事項を遵守すること。
(1)病害虫に強い作物や品種の栽培、病害虫の発生しにくい適切な土づくりや施肥の実施、人手による害虫の捕殺、防虫網の設置、機械除草等の物理的防除の活用等により、農薬使用の回数及び量を削減すること。
(2)農薬を使用する場合には、農薬取締法に基づいて登録された、当該農作物に適用のある農薬を、ラベルに記載されている使用方法(使用回数、使用量、使用濃度等)及び使用上の注意事項を守って使用すること。
(3)粒剤、微粒剤等の飛散が少ない形状の農薬を使用するか、液体の形状で散布する農薬にあっては、飛散低減ノズルの使用に努めること。
(4)農薬散布は、無風又は風が弱いときに行うなど、近隣に影響が少ない天候の日や時間帯を選び、風向き、ノズルの向き等に注意して行うこと。
(5)農薬の散布に当たっては、事前に周辺住民に対して、農薬使用の目的、散布日時、使用農薬の種類及び農薬使用者等の連絡先を十分な時間的余裕をもって幅広く周知すること。その際、過去の相談等により、近辺に化学物質に敏感な人が居住していることを把握している場合には、十分配慮すること。また、農薬散布区域の近隣に学校、通学路等がある場合には、万が一にも子どもが農薬を浴びることのないよう散布の時間帯に最大限配慮するとともに、当該学校や子どもの保護者等への周知を図ること。
(6)農薬を使用した年月日、場所及び対象農作物、使用した農薬の種類又は名称並びに使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数を記録し、一定期間保管すること。
(7)農薬の散布後に、周辺住民等から体調不良等の相談があった場合には、農薬中毒の症状に詳しい病院又は公益財団法人日本中毒情報センターの相談窓口等を紹介すること。
(8)以上の事項の実施に当たっては、都道府県等の防除関係者や農業者向けの「総合的病害虫・雑草管理(IPM)実践指針」(平成17年9月30日農林水産省消費・安全局植物防疫課)や、農薬の飛散が生じるメカニズムやその低減に有効な技術をとりまとめた「農薬飛散対策技術マニュアル」(平成22年3月農林水産省消費・安全局植物防疫課)も参考とすること。

お問合せ先

消費・安全局農産安全管理課農薬対策室
担当者:農薬指導班
代表:03-3502-8111(内線4500)
ダイヤルイン:03-3501-3965