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農林水産省

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特集1 新しい可能性もいっぱい やっぱり、お米が好き!(1)

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お米の消費量は、わたしたちのライフスタイルの変化などに伴い、年々減少しています。
そこで、お米の消費の拡大に向けた、中食・外食といった消費者ニーズに合わせた米の生産や、新しい米消費の拡大に向けた施策や取り組みを紹介します。あらためてお米の魅力を感じてみませんか?


お米の1人当たりの消費量はピーク時から半減しています


文/宗像幸彦、柳本 操、佐々木泉、八幡智子、梶原芳恵
写真/多田昌弘
写真提供/モスフードサービス、農研機構、押上小学校、フクハラファーム・どんどんライス、平田牧場、新潟県酒造組合
国内で自給可能で、総供給熱量の2割を占める米は、食料自給率向上をめざすうえでも重要な作物です。

しかし、わが国における米の消費量は、減少傾向にあり、1人当たりの米消費量は、昭和37年度のピーク時の年間118.3kgから、平成25年度には56.9キログラムと、およそ半減しています。

減少理由については、食生活の変化により、米の消費が減り、代わりに油脂類や畜産物の消費が増えたことや、高齢化により1人当たりの摂取熱量が減少傾向にあること、また、人口そのものが減少に転じていることもあり、消費量は今後も減少することが予想されます。

このような状況のなか、農林水産省では米消費拡大に向けて様々な取り組みを実施しています。

米飯学校給食の推進
米飯学校給食は、味覚の形成期にある子どもたちに、米を中心とした「日本型食生活」の普及・定着を図るうえで重要です。

昭和51年には、米飯学校給食実施校比率は36.2%、週当たりの平均実施回数は0.6回だったのが、平成24年には米飯学校給食実施校比率は100%、平均実施回数は3.3回にまで増加しました。

これまで農林水産省では、米飯学校給食を拡大するうえで、隘路となっている(1)食材の安定確保(2)産地との連携を通じた食育の推進(3)調理時間・コスト などの課題を解決する取り組みの支援をモデル校で実施し、成果を全国の学校給食関係者に普及・啓発しています。

また、米飯学校給食を増加させる場合に、回数の対前年度純増分を対象に、政府備蓄米を無償交付しています。

米飯学校給食をさらに普及・推進するために、文部科学省と連携して「週3回以上」(週3回以上の地域や学校については、週4回などの目標設定を促す)の実施を目標として、取り組みを強化していきます。

朝食欠食の改善
朝食欠食は、年間約50億食といわれています。朝食の欠食改善や、米を中心とした日本型食生活の普及・啓発を図るため、「めざましごはん」のキャッチフレーズで、朝ごはんの効用を訴えています。

また、1食当たり300円として試算した場合、総額約1.5兆円もの市場と推計されます。開拓の余地が十分にある市場であり、米の消費拡大が期待されます。

全ての学校で週3回以上の米飯給食の実施を目標として、取り組みを強化しています

朝食欠食の改善のため「めざましごはん」のキャッチフレーズで米消費拡大を進めています

業務用米の安定供給のために複数年契約を推進
農林水産省では、新しい米の需要に応じ、生産拡大をめざしています。現在家庭でごはんを炊く割合が低下している一方、消費に占める中食・外食などの業務用米の割合は、主食用米の3分の1にまで増えています。この業務用米に求められる品質は、おにぎりにした場合に形が崩れにくいものや丼物に適した粘りが少ないといったものです。そこで、生産者と事業者(実需者)との間を取り持つマッチングを支援します。また、複数年契約を推進するなど、米の安定供給をめざします。

中食・外食向けの業務用米の安定取引を推進生産者と実需者のマッチングを支援しています

主食用米から国内需要の大きい飼料用米への転換を支援しています

飼料用米を利用した豚肉

飼料用米を利用した豚肉

手前が飼料用米を与えた鶏の卵で、奥が通常のエサを与えた鶏卵

手前が飼料用米を与えた鶏の卵で、奥が通常のエサを与えた鶏卵
飼料用米の利用可能量は、450万t程度と大きな需要が
飼料用米は、今年度の国内生産量は18万tですが、配合飼料原料としての畜産農家の利用可能量は、450万t程度と見込まれており、大きな需要があります。

また、豚に飼料用米を与えて育てると、うまみのもととなるオレイン酸が増加し、反対に風味低下の一因となるリノール酸が減少することがわかっており、肉質の向上も期待されています。

今後は需要の増大に伴った安定的な供給体制の整備などが課題となります。