特集1 東日本大震災からの復旧・復興 みんなの力で、未来(あした)へ(2)
未来へ向けた様々な動き
「仙台いちご」の復活(宮城県亘理町・山元町)
太平洋沿岸に位置する宮城県の亘理町・山元町。東北一のいちご産地として、「仙台いちご」のブランドで年間約3800トンのいちごを生産・出荷していました。しかし、震災による津波で、ハウスの95%を失うことに。その年の10月までに、阿武隈川沿いの耕作放棄地にパイプハウスを建て、生産を再開したものの、出荷量は震災前の5分の1まで落ち込みました。 本格的ないちご栽培の再開に向けて、平成24年10月には、国の復興交付金を活用して、いちご団地の建設がスタート。工事は急ピッチで進み、平成25年度中には総面積約40ha、180棟以上の大型ハウス団地が完成しました。新しいハウスでは、従来の土耕栽培ではなく、地上1.2mにプランターを並べて養液で栽培する方法を採用。水やりや施肥、温度を自動管理するシステムも導入しています。 選果場も再整備し、需要のピークとなるクリスマスに間に合うようにと、平成25年11月から本格的に出荷を再開し、平成26年6月までに約2200tを出荷しました。 151戸の被災農家が力を合わせ、新しいハウスで一から栽培に取り組んだ「仙台いちご」。震災から復興した農業生産のモデルとして、どう普及を図っていくかが今後の課題です。
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水産加工団地の土地のかさ上げや、高度衛生管理に対応した荷さばき所の整備
宮城県石巻漁港では、防波堤や岸壁、市場施設や水産加工団地などが広範囲に壊滅しました。地盤は約70cm沈下し、満潮時には、漁港や水産加工団地に海水が流入し、冠水する状況に。そこで、平成23年末までに、岸壁・漁港施設用地の一部をかさ上げし、背後の水産加工団地への海水の流入を防止しました。 さらに、平成24年4月より、岸壁・漁港施設用地のかさ上げと合わせて、背後の水産加工団地の土地のかさ上げ工事を実施し、平成26年3月末に完成。石巻漁港に活気が戻りつつありますが、一度失った販路の回復や新規開拓という課題が残っています。 現在は高度衛生管理に対応した荷さばき所の整備のため、平成25年11月に工事に着工し、平成27年度早期の完成をめざしています。
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強く、豊かな海岸防災林の再生
津波により、青森県から千葉県にわたる海岸防災林(約140km)が被災しました。復旧・再生にあたっては、安全性が確認された災害廃棄物由来の再生資源を活用して植生基盤の整備を23年から進めているほか、海岸防災林に対する様々な取り組み事例・提言を踏まえて植栽樹種・方法に関する実証実験にも着手。また、樹木の植栽などはNPO、企業などの協力も得ながら実施しています。 平成32年度末までの完了に向けて、地域のニーズなどを踏まえた植栽を進めるため、安定的な苗木の確保が課題です。
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