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農林水産省

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特集 本場の味と農山漁村の魅力でおもてなし 食と農のインバウンド(5)

外国人旅行者に「本場」の食体験を!  さまざまな取り組みが広がっています



インバウンド(訪日旅行)の拡大に伴い、地方を訪れる外国人旅行者も増加してきました。そうした需要を取り込もうと、外国人に本場の食と農の魅力を体験してもらう取り組みが各地で始まっています。


農林漁家に泊まって農作業などを体験!

南島原ひまわり観光協会[長崎県]
南島原市が農林漁家民泊事業を始めたのは2009年から。以来、国内外から年間約1万人を積極的に受け入れています。日本への留学経験がある台湾の旅行会社社員がそれを知り、同市観光協会を視察に訪れたことから、台湾人向けの農林漁家民泊ツアーがスタートしました。
1泊2日民泊体験ツアー
1泊2日民泊体験ツアー
台湾から訪れた8家族・33名が、それぞれの受け入れ先の民家に宿泊しました

1.台湾客を乗せたバスが到着
台湾客を乗せたバスが到着
受け入れ先の家族が総出でお出迎えする
  2.入村式で受け入れ先の家族と対面
入村式で受け入れ先の家族と対面
会場は市の武道館。まずは握手から
  3.流しそうめんで親睦を深める
流しそうめんで親睦を深める
南島原市は日本有数のそうめん生産地。みんな大喜び

4.民泊先農家の畑で農作業を体験
民泊先農家の畑で農作業を体験
夕飯のおかずとなるナスやピーマンを収穫
 
5.家族と一緒に夕食の準備
家族と一緒に夕食の準備
畑で採ったピーマンを使って肉詰めを作る
 
6.みんなで夕食。「いただきます」
みんなで夕食。「いただきます」
自分で採った野菜を食べるのは初めての体験

7.翌朝、お別れの記念撮影
翌朝、お別れの記念撮影
「南島原にまた来てくださいね!」



「酒」×「食」×「観光」で地域を元気に!
北海道広域道産酒協議会[北海道]
北海道の清酒、ワイン、ビール、ウイスキーの酒造メーカーとJTB北海道などが設立した北海道広域道産酒協議会では、道産酒情報を掲載したスタンプラリー帳『パ酒ポート』を作成。北海道を訪れる外国人観光客への新しい旅の提案や、道産酒のPRに活用しています。



パ酒ポート英語版 『パ酒ポート』は、スタンプラリー形式で道内各地の酒蔵やワイン醸造所を巡り、地域の食にも親しんでもらおうという仕掛け。昨年英語版を発行し、外国人観光客の訪問を促進
スペイン・イビザ島での道産酒の展示会。輸出の足掛かりに
スペイン・イビザ島での道産酒の展示会。輸出の足掛かりに
欧州のバイヤーらを招いた酒蔵ツアー。酒造りの現場を体験
欧州のバイヤーらを招いた酒蔵ツアー。酒造りの現場を体験





免税対応や観光案内所の設置でお土産販売を拡大!
JA紀の里ファーマーズマーケット「めっけもん広場」 [和歌山県]
道の駅「とよとみ」[山梨県]

JA紀の里「めっけもん広場」は、JAの直売所として全国で初めて免税店に登録。関西国際空港に近い立地を生かし、輸出拡大につなげる取り組みを開始しています。外国人ツアーバスが立ち寄る道の駅「とよとみ」では、館内に外国人観光案内所を設置しました。


めっけもん広場

英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)で免税を解説
英語、韓国語、中国語(繁体字、簡体字)で免税を解説

はっさくの缶詰や梅酒など、JAオリジナル加工品20品目が免税対象
はっさくの缶詰や梅酒など、JAオリジナル加工品20品目が免税対象
免税マーク



道の駅「とよとみ」

この日は米国アイオワ州からの団体が来店
この日は米国アイオワ州からの団体が来店

外国人スタッフが常駐し、観光客に対応している
外国人スタッフが常駐し、観光客に対応している



外国人旅行者をもっと地域へ!
今年上半期(1~6月)の訪日外国人旅行者数は、前年同期比46%増の914万人と過去最高となり、年間で1800万人前後に上る見通しです。外国人旅行者の訪問先は、これまで東京や大阪などの大都市圏や人気観光地に偏りがちでしたが、旅行者数の増加とともに、地方へと広がりを見せています。

こうした流れに呼応して、インバウンド需要を地域に取り込もうという動きが、全国各地で展開されています。その一つが、外国人旅行者に「本場」の食を体験してもらい、地域活性化につなげるものです。

例えば、南島原市(長崎県)では、2013年から台湾の一般客を農林漁家に宿泊(民泊)させるツアーの受け入れをスタート。民泊先の畑で地元の農産品を収穫した後、一緒に調理をし、夕食を味わうという心温まる体験は、現地メディアに報じられたことで人気を呼び、年間約800人の台湾からの旅行者が訪れています。

参加者からは「日本の農村を初めて訪ねたが、食の安全・安心の理由がわかった」「食を通じた心の交流ができてうれしい」などの声が聞かれます。



農産品の輸出拡大・販売促進に向けた動きも
年間約137万人(14年)の外国人観光客が訪れる北海道では、インバウンドと組み合わせて、道産酒の消費拡大や輸出につなげる取り組みを展開中です。地元酒造メーカーと旅行会社などが共同で、道内の酒造所の情報を掲載した英語版のスタンプラリー帳を発行し、旅行客の取り込みに活用しているほか、海外バイヤーの誘致や欧州での商談会を実施。すでに世界遺産・スペインのイビザ島への道産酒の輸出が開始されています。

また、JAの直売所や道の駅でも、お土産品の販売促進を図る取り組みがスタートしています。

JA紀の里ファーマーズマーケット「めっけもん広場」(和歌山県)では、昨年10月に外国人旅行者を対象とした免税販売の対象品目が食品類にも拡大されたことを受け、6月27日から消費税免税コーナーを新設。地元農産品を使った加工品を販売しています。また、JA紀の里が輸出している青果物等を帰国後に購入してもらえるよう、香港、台湾、シンガポールの取扱店舗を示す看板を設置しました。

道の駅「とよとみ」(山梨県)のように、日本政府観光局(JNTO)認定の外国人観光案内所を設置する動きも全国で進んでいます。



取材・文・撮影/中村正人   写真提供/北海道広域道産酒協議会、JA紀の里