このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

特集1 米(5)

[TOPICS]  米に関する最新情報



"ごはん"として食べるだけにとどまらない、米のさまざまな可能性が模索されています。


[輸出促進]
日本の米のおいしさを積極的に世界へアピール


2014年のコメ・コメ加工品の輸出額は168.8億円。精米の輸出額は、2010年と比べて約2倍の14.3億円に増えています。米菓輸出額は39.4億円、日本酒輸出額は115.1億円。農林水産省では、JETRO(日本貿易振興機構)や輸出団体と共同でオールジャパンでの輸出拡大を進めており、2020年には輸出額600億円を目指しています。

目標達成に向け、2014年には全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会が発足し、海外でイベントなどを開催しています。例えば、ロンドン(英国)において、欧州各国から300名以上の食品関係事業者を集め、寿司や日本酒のほか、牛肉、水産物を提供し、その魅力を大いにPRしました。

また、イタリアの高級レストラン「トラサルディ」から料理長とチーフソムリエを招き、日本酒とそれに合う食材を組み合わせた料理と調理法を紹介し、日本酒の伝道師となっていただきました。


日本産米の統一ロゴマーク
日本産米の統一ロゴマーク。海外マーケットにおける日本産米の統一性を確保するとともに、QRコードからWebサイトにリンクさせ、世界の食市場に日本産米の魅力をPRする

海外のレセプションなどにおいて、実際に外国人に日本酒を味わってもらい、その魅力を伝えている
海外のレセプションなどにおいて、実際に外国人に日本酒を味わってもらい、その魅力を伝えている

今や日本酒は世界でも「SAKE」と呼ばれ、人気が高まっており、積極的なプロモーション活動を展開中
今や日本酒は世界でも「SAKE」と呼ばれ、人気が高まっており、積極的なプロモーション活動を展開中

コメ・コメ加工品の輸出額の推移
資料:財務省「貿易統計」を基に農林水産省作成
注:「精米」は援助米を除く商業ベース
シンガポールのスーパーで売られている日本の米
シンガポールのスーパーで売られている日本の米






[用途拡大]
米の魅力を再発見!「米ピューレ」


米粉は、単に小麦粉の代用として使われるだけでなく、食感や吸油性などの特性・機能性にも注目が集まっており、最近ではピューレ状やゼリー状などの新たな米粉食材が開発されています。

「米ピューレ」もその一つ。ネピュレ(株)が手がける「コメネピュレ」は、秋田県産の米を、過熱蒸気と特殊なミキサーを使ってそのままピューレ状にした新食材です。「ピューレ状なので小麦粉や米粉にもなじみやすく、しっとり感を維持する保水性があります」(ネピュレ広報)ので、パンや洋菓子、麺などに使われています。

そのほか、飲料やアイスクリームなど、これまで米や米粉が使われていなかった、新たなジャンルでの商品開発にも取り組んでいます。

米を特殊なミキサーで液化した「コメネピュレ」
米を特殊なミキサーで液化した「コメネピュレ」
コメネピュレを使った商品。しっとりとしてやわらかな食感になる
コメネピュレを使った商品。しっとりとしてやわらかな食感になる






[飼料用米]
田んぼをフル活用!


主食用米の需要量は年々減少しています。しかし、安定した食料供給や国土保全のためには、田んぼを維持し続ける必要があります。そこで注目されているのが、飼料用米の生産。主食用米の減少分を飼料用米に振り分けることで、田んぼをフル活用する仕組みです。ほとんどが輸入されているトウモロコシなどの飼料を、国産の飼料用米に置き換えることで、飼料の安定供給や自給率のアップにつながるというメリットもあります。

農林水産省では、平成37年度までに飼料自給率を40%に、飼料用米の生産量を110万トンに引き上げることを目標としています。

飼料用米で育った鶏の卵撮影/原田圭介
飼料用米で育った鶏の卵
 



Column

もっと「ごはん」を!
学校給食を通じて和食文化を子どもたちへ

もっと「ごはん」を!学校給食を通じて和食文化を子どもたちへ

ユネスコの無形文化遺産に登録されている「和食」。その和食文化を次世代へ継承しようと活動しているのが、「和食給食応援団」です。2014年に日本料理の若手旗手「日本料理 賛否両論」の笠原将弘さんを中心に8名で始まった取り組みでしたが、農林水産省から認定を受け、現在では北海道から九州まで30人余りの和食料理人が参加。全国の小・中学校を訪問し、栄養教諭・学校栄養職員らへの献立提供、開発サポート、児童への食育授業などを行っています。

「14年には26校、15年には23市町村を含む46校を訪問しました。最初は東京の料理人が地方を訪問していましたが、それでは継続が難しい。そこで、最近では訪問する地元の料理人を招いて郷土料理なども作ってもらい、継続できるようにしています」と事務局長を務める合同会社五穀豊穣代表の西居豊さん。「今の子どもたちが10年後、20年後、空腹時に洋食ではなく『和食を食べよう』と思えるようになってほしい。給食は日本の食の最後の砦だと思っています」


東日本代表を務める「日本料理 賛否両論」の笠原将弘さん
東日本代表を務める「日本料理 賛否両論」の笠原将弘さん

北九州市立藤木小学校で
北九州市立藤木小学校で"もてなしの心"を教える「御料理 まつ山」の松山相三さん

「日本料理 雄」の佐藤雄一さんと世田谷区立尾山台小学校の児童たち
「日本料理 雄」の佐藤雄一さんと世田谷区立尾山台小学校の児童たち
「京料理 たか木」の高木一雄さんが考案した芦屋市立山手小学校の季節感あふれる給食
「京料理 たか木」の高木一雄さんが考案した芦屋市立山手小学校の季節感あふれる給食



取材・文/岸田直子