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農林水産省

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明日をつくる 東日本の復旧・復興に向けて vol.9

豊かな三陸の海の幸を世界に売り込む

宮城県石巻市 「日高見(ひたかみ)の国」グループ




宮城県石巻市の水産加工業者が共同で立ち上げたチーム「日高見の国」。
古代の東北地方の呼び名を冠した統一ブランドを用いて海外での展示会や商談会を活用しながら、販路を着実に開拓しています。
宮城県石巻市


香港の食品見本市「FOOD EXPO 2013」に参加した「日高見の国」のメンバーと古藤野靖さん(写真右端)
香港の食品見本市「FOOD EXPO 2013」に参加した「日高見の国」のメンバーと古藤野靖さん(写真右端)


宮城県石巻市の水産加工施設は東日本大震災の津波により壊滅的な被害を受け、そこに福島第一原子力発電所事故の影響もあり、商品の販路は大きく損なわれました。

そうした苦境の中、「石巻の水産業を守るため海外に活路を求めよう。東北の美味しい海産物を世界に届けよう」。そう決意した人たちがいました。

東北の美味しい海産物を世界中に売り込むために
「志を同じくする同業者が力を合わせ、海外での事業展開のため営業や商品開発を行っていくことにしたのです」

そう語るのは三陸の海で水産加工業を行う末永海産株式会社企画室長の古藤野(ことうの)靖さんです。

同社を幹事会社に、それまでライバル関係だった石巻の水産関係者が結束しました。株式会社ヤマサコウショウ、株式会社ヤマトミ、株式会社丸平かつおぶし、株式会社山形屋商店がチームを結成(2014年度から水月堂物産株式会社が参加)、東北地方の古い呼び方である「日高見の国」を共通のブランド名として、手始めに香港で行われた食品見本市「FOOD EXPO 2012」に出展しました。

その後、JETRO(日本貿易振興機構)の協力を得ながら、海外の展示会や商談会に精力的に参加。国内外のバイヤーと交渉を重ね、輸出先に代理店を確保するなどして流通ルートを確立していき、香港、タイ、台湾、シンガポール、マレーシア、米国への輸出を実現させました。


熱気あふれる「FOOD EXPO 2013」で現地テレビ局の取材を受ける。日本の食への関心の高さがうかがえる
熱気あふれる「FOOD EXIPO 2013」で現地テレビ局の取材を受ける。日本の食への関心の高さがうかがえる


東北ブランドを確立し海外展開の拠点を築きたい
「慣れない海外ビジネスで当初は戸惑いもありましたが、とにかくやってみよう、と前向きに取り組むうちに販売先の見つけ方、国ごとの送り方、卸し方などのノウハウがだんだんわかってきました。何より誠実さが大事なことは、国が異なっても同じです。サンプルだけ良い物を出すようなことをせず、つねに品質にこだわり、信頼を得ることを第一に考えています」

原発事故の影響は海外にもおよんでおり、放射能の検査データを示しても、バイヤーに尻込みされたこともあります。一方、被災地の実情を知り、「私の国の消費者がどう反応するかわからない。正直言えば不安だが、何とか手助けしたい。あなた方を信じましょう」と応じてくれた人もいます。

さらに、海外には支持してくれる数多くの消費者がいました。

「かつては日本風の食で満足していた海外の人たちが、値が張っても良い物、日本と同じ物を求めるようになっています。あらためて、日本産というブランドの強さを実感しています」

人気があるのは生の牡蠣(かき)やホタテ、ワカメなどの業務用の食材、加工品では牡蠣の潮煮(うしおに)や焼き魚などです。売上は2013年度の約350万円から2014年度は約4,600万円と急伸しています。
「復旧・復興を進める生産者と一体になり、販路を拡大していく」とする古藤野さんは、「いずれは私たちのグループだけでなく、東北の水産会社の商品を詰め合わせて世界へ送り出す拠点をつくりたい」とビジョンを語ってくれました。


栄養豊富な三陸で採れる素材を生かし、調味料を用いずに煮る末永海産の人気商品「牡蠣の潮煮」。農林水産大臣賞や水産庁長官賞など数々の賞を受賞
栄養豊富な三陸で採れる素材を生かし、調味料を用いずに煮る末永海産の人気商品「牡蠣の潮煮」。農林水産大臣賞や水産庁長官賞など数々の賞を受賞
仙台での米国のバイヤーとの商談。現在サンフランシスコやロサンゼルス、ヒューストンで商談が進んでいる
仙台での米国のバイヤーとの商談。現在サンフランシスコやロサンゼルス、ヒューストンで商談が進んでいる
仙台で商談会が開催された際、見学に訪れた香港や台湾など海外のバイヤー
仙台で商談会が開催された際、見学に訪れた香港や台湾など海外のバイヤー


文/下境敏弘