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世界農業遺産に国内3地域が新たに認定

岐阜県長良川上中流域
「清流長良川の鮎~里川における人と鮎のつながり~」

鵜が鮎を捕らえる伝統漁法「鵜飼い」は1300年もの歴史がある
鵜が鮎を捕らえる伝統漁法「鵜飼い」は1300年もの歴史がある


長良川上流で釣り上げられる郡上(ぐじょう)鮎は料亭などにも出荷される高級魚
長良川上流で釣り上げられる郡上(ぐじょう)鮎は料亭などにも出荷される高級魚


日本の世界農業遺産全8地域に
世界農業遺産(GIAHS)は、伝統的な農業とそれによって育まれた文化、ランドスケープ、生物多様性に富んだ世界的に重要な農業システムを次世代へ継承することを目的として、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定するものです。

日本では平成23年に、新潟県佐渡市の「トキと共生する佐渡の里山」、石川県能登地域の「能登の里山里海」の2地域が初めて世界農業遺産に認定。25年には、静岡県掛川周辺地域の「静岡の茶草場農法」、熊本県阿蘇地域の「阿蘇の草原の維持と持続的農業」、大分県国東半島宇佐地域の「クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環」の3地域が認定されました。

そして昨年12月15日、ローマで開催されたGIAHS運営・科学合同委員会において、日本から申請していた3地域が新たに認定されました。

新たな3地域の誇るべき農業遺産
岐阜県の長良川では、鮎を中心とした内水面漁業が盛んですが、そこで暮らす人々の水質保全活動により、清らかな流れが保たれています。そして、この清流によって鮎が育ち、地域の人々が鮎からの恩恵を受けています。こうした人の生活・水環境・漁業資源がつながって循環する長良川の里川システムが評価されました。

和歌山県みなべ・田辺地域は、高品質な梅を持続的に生産できる農業システムが評価されました。この地域では、養分に乏しい礫(れき)質の斜面を梅林として利用し、その周辺には薪炭林(しんたんりん)を残しています。薪炭林は、水源涵養(かんよう)や斜面の崩落防止などの役割を果たします。また、薪炭林に生息するニホンミツバチを梅と共生させるなど、地域資源を有効活用する取り組みが行われています。

宮崎県高千穂郷・椎葉山地域は、森林に囲まれた山間地において、複合的農林業システムが営まれています。針葉樹と広葉樹でパッチワーク状に区分されたモザイク林は、森を豊かに保ちながら木材とシイタケを供給します。伝統的な焼畑農業は、森や土を再生します。また、急斜面に築かれた500キロメートル超の水路網を有する棚田での米作りや、神楽などの特色ある伝統文化の継承も行われていることなどが評価されました。


宮崎県高千穂郷・椎葉山(しいばやま)地域
「高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム」

針葉樹と広葉樹が交互に生えている宮崎県諸塚村のモザイク林
針葉樹と広葉樹が交互に生えている宮崎県諸塚村のモザイク林

椎葉村で今も行われている焼畑農業は、肥料も農薬もまったく使わない。4年間の輪作後は森に戻し、地力を回復させる
椎葉村で今も行われている焼畑農業は、肥料も農薬もまったく使わない。4年間の輪作後は森に戻し、地力を回復させる



和歌山県みなべ・田辺地域
「みなべ・田辺の梅システム」

「梅の産地・田辺市を代表する田辺梅林は「一目30万本」とも形容される
梅の産地・田辺市を代表する田辺梅林は「一目30万本」とも形容される
薪炭林に生息するニホンミツバチは梅の受粉を担っている
薪炭林に生息するニホンミツバチは梅の受粉を担っている





文/葵和みどり