特集1 麦(1)
写真/原の辻遺跡(壱岐市立一支国博物館提供) |
今から約1万年前の新石器時代に始まったと言われている小麦の栽培。原産地は中央アジアの高原地帯と考えられており、ここから長い時間をかけて世界各地へと広まっていきました。 日本に伝わったのは、弥生時代のこと。大麦、大豆、小豆とともに、朝鮮半島からもたらされたとされています。静岡県静岡市の登呂遺跡や長崎県壱岐市の原の辻遺跡など、日本各地から炭化した小麦種粒が出土しています。 麦を詠んだ歌が『万葉集』にあり、また平城宮跡から「小麦五斗」という文字が記された木簡が出土しているように、奈良時代には小麦、大麦が栽培されていたことが分かっています。 鎌倉時代中期頃には、稲の裏作としての栽培が始まり、それが江戸期になって本格的に全国へと普及していきました。その土地の風土や嗜好に合わせたさまざまな食べ方が生まれ、米飯と並んで広く親しまれてきたのです。 本特集では、世界における小麦の生産・消費動向、日本の小麦・大麦の生産状況から最新トピックまで、麦に関するさまざまな情報を紹介します。 |
監修/岡田 哲
取材・文/大沼聡子
協力/米田和紀
取材・文/大沼聡子
協力/米田和紀