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日本全国の麺文化をご紹介! ニッポン麺探訪 第4回

島原そうめん[長崎県]




島原半島(長崎県)
島原半島(長崎県)


島原そうめん
長崎県は兵庫県に次ぐ手延べそうめんの一大生産地。雲仙岳のふもとから湧き出る豊富な水と温暖な気候に恵まれた島原半島はそうめん作りに適しており、職人の熟練の技によって絹糸のような美しい麺が生み出されている。


自然豊かな産地が育む伝統の麺
長崎空港からレンタカーを借り、走ること2時間弱。天草灘の美しい海や、雄大な雲仙岳を眺めながらのドライブは実に気分がいい。そして到着したのが、島原市とともに「島原そうめん」の一大生産地として知られる南島原市だ。

江戸時代初期の「島原の乱」で人口が激減したこの地では、移民政策がとられ、その際に讃岐の小豆島から手延べそうめんの職人が移住し、製法を広めたという説がある。一方、1562年の口之津(くちのつ)港の開港でさまざまな南蛮文化、中国文化がもたらされ、そのころに福州(福建省)から伝わったという説もあり、実際に製造工程や器具が極めて類似しているという。

中でも歴史が古く、300~400社の製麺所があるという西有家(にしありえ)の須川(すかわ)を訪れた。この辺りは「島原そうめん」と名乗る以前から「須川そうめん」として名を馳せた地区。ところが、それらしい建物がほとんど見当たらないのだ。大手らしき企業は数軒あるが、"こだわりの逸品を作る"という評判の会社の住所に赴いても、普通の住宅が建ち並ぶばかりである。

熟練の技が生みだす格別なのどごし
ようやく町の人に出会えたので尋ねてみた。「そりゃそうだよ。この辺りは家族でやっているような小さなところばかりだよ!」。「島原そうめん」としてブランド化したのは平成12年ごろで、それ以前はほとんどが有名産地の下請け生産を担っていたという。

そうめんは切り麺と違って手延べなので、伸ばしや乾燥など、さまざまな工程を経て完成する。技術の習得は難しく、「一級製麺技能士」という国家資格もあるほどだ。

ユニークなことに、島原には"流れるプール"の縮小版のような、全自動回転式のそうめん流しの店が何軒もある。しかも冷たい清らかな湧水を使っている店舗も多く、おいしさを一層引き立てている。

そうめん流しでなくても、キンキンの冷水に浮かべたそうめんを冷たいつゆにつけてスッとすすれば、それだけで旨い。手延べならではのつるりとした口当たり、そして極細麺ならではの滑らかさとのどごしは格別だ。乾麺なので日持ちもするし、寒い時期なら温めた「にゅうめん」にしても、小麦粉の風味が立って、美味。まさに一年を通して楽しめる麺だ。


文/はんつ遠藤
1966年生まれ。早稲田大学卒業後、海外旅行雑誌のライターを経てフードジャーナリストに。取材軒数は8500軒を超える。『週刊大衆』「JAL旅プラスなび」「東洋経済オンライン」などで連載中。著書多数。

撮影/原田圭介


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